itomasa7の観てきた!クチコミ一覧

41-60件 / 173件中
THRee'S

THRee'S

ENG

笹塚ファクトリー(東京都)

2014/09/10 (水) ~ 2014/09/15 (月)公演終了

満足度★★★★★

すごい!丁寧!またすごい!
終幕後、演者全員勢揃いしてのご挨拶、
笹塚ファクトリーの閉館時間の都合もあり
すぐに全員ハケたのですが拍手が鳴り止みません
(自分も「これはWアンコール呼ぶべき」と拍手し続けました)。

いやー、お芝居途中に好感触を感じる部分は多々あったのですが、
ほんと終わってみるまでお芝居は分からない、
という好例と言える良作だったと思います。


ネタバレなしで何が書けるか(??)なのですが、
まずチケット購入時に貰っていたかっこいい1枚ものチラシの
劉備/関羽/張飛が実際に出揃った時、

今まで漫画、ゲームその他で色々と描かれている
3人が本当に現れたかと思うぐらい、
このお三方が適役すぎてなんだか不思議と涙腺が緩んでしまいました。


そして物語の描き方が非常に丁寧だと思いました。
黄巾党の乱から董卓の台頭、董卓征伐まで
いろいろと事象、登場人物も多く
複雑になりがちな部分や独自解釈その他を
うまく脚本/演出し役者陣もそれを見事に
演じて分かりやすく観せてくれたと思います。


そして何よりお互いを良く知る
脚本久保田唱&演出佐藤修幸コンビだからこそ、と言えるぐらい
「2人が力を出しきった作品なんだー!」
と大声で言いたくなるぐらいに感心させられ驚かせられの大展開でした。


2014/09/15(月)16:00 観劇二度目
───────────────────────
・ 三国志序盤を元に独自の物語を作るにあたっての、
  虚実の盛り込み方/事実の取捨選択のバランスの良さ
  (必要なものを必要なだけ、決して冗長にはなっていない)

  三国志を知らない人でも楽しめるし、
  知っている人は「ニヤリ」としてしまう場面も多々

・ 意味をもったダンス、映像などを上手く活用して
  早い段階から観客の気持ちを掌握

・ 場面場面の転換、シーンの差し込み方が上手い、
  観客の気持ちをお芝居から基本離さない
  スピーディーかつなめらかな展開

・ 各役者の技量の高さ(演技とそこへの感情の載せ方が上手い)、
  それぞれのキャラの個性の出し方が素晴らしい
  (他劇団公演などと比較しても若手から中年層まで
  本当に「芝居上手」が集まっているかと)

・ 体躯の大中小、殺陣の流派の違いなどを
  それぞれ出し合った夢の大立ち回り(まるで異種格闘技戦のよう)

・ それぞれの演者を知っている人をも驚かせる「配役の妙」

などなど、脚本/演出から実際のお芝居、照明/音響などに
至るまで演劇界屈指のドリームチームを結成した、と思いました。

これはひとえに演出兼総合プロデュース佐藤修幸さんの
DMF/ENGから他劇団客演などで得た
色々な素晴らしい繋がりを駆使したからこそ
生み出されたものと思います。

絶妙のバランスで作られてますね、THree'Sは。

ネタバレBOX

2時間45分の中で本当に色々な気持ちをいだきすぎて
全部は書ききれそうにないです。


1.「三国志」の雰囲気が出まくっている
  劉備/関羽/張飛に始まり董卓、曹操、袁紹(だっけ?)、
  その他多くの人々の、衣装からアクションからその他もろもろの
  演技までが見事に三国志序章の世界を表現していたと思います。

  衣装や武器も素晴らしい上、
  武器だけじゃなく武術も使う殺陣がこれまたかっこいい。

  猪突猛進の張飛や、そして何より関羽と呂布の大立ち回り
  (2人とも大体躯なのでこれがまた映える映える)、
  その他各演者陣の舞台段上1m以上の高さからの
  飛び降りを駆使してのやりとりも迫力でした。


2.思わぬキャスティングがまたいい(特に女性陣)
  光栄のゲーム三国志ではおじいちゃんだった董卓が
  本作ではめっちゃ若くてバイタリティに溢れ、そして悪で強い。

  不思議な力を持って台頭していく董卓、
  そして王允と董卓の2人が対極に並んだ場面が
  (2人とも星降る夜にタイムスリップしたものとして)なんとも印象的でした。


  また曹操も正義でありながらも、自らの野望を持っているのが
  表情から演技からに溢れてる。

  袁紹(だっけ?)のちょっと小物ぶりもイイ!

  そして何より、女性陣を大胆にキャスティングしたのが
  本作で何より素晴らしかったと思います。

  何進の妹かごう(でしたっけ?)に竹花さん、
  十常侍(字あってますか?)に客演多数で鍛えまくっている大友さん、
  今までのボクラ団義その他の作品でのキャスティングと違い、

  本作が三国志序章であり、
  ・ 中ボス
  ・ 中ボス
  ・ 大ボス(董卓)
  とゲームのように敵役が次々と控えているからこそ、
  単なる脇役ではなく重要な役回りを
  バイプレイヤーな女性陣に任せる事が出来る。

  観ていて、今までにない「面白さ、フィット感」を感じさせました。


  そして王允中村さんはもう「おじいちゃんのスペシャリスト」ですね。
  物語のストーリーテラーを年配の方が演じる事は多いと思いますが、
  実際若手の中村さんが安定の王允役、
  王允、シャンイン?(三田寺さん)、首切り役の3人が眺める形での
  物語展開とその説明について、観客席側からも
  非常に分かりやすく、そして共感しつつ眺める事が出来ました。



3.物語が非常に理解しやすく展開している(演じられている)
  先にも書きましたが、三国志序章とはいえ
  登場人物の多さ、それぞれの行動、出来事、
  そして独自解釈など色々な要素がありながら
  それを十分に丁寧に描いているからこそ
  混乱せずに観る事ができる。

  この優しさは重要だな、と思いました。
  ※ 特に本日子連れのお客さんが何人かいたので、
    「子供でも理解出来るといいな」
    と思っていたので( ´ー`)


4.思わぬ所でファンタジー
  始まりがファンタジーチックだった事を忘れさせるぐらい
  三国志の物語を展開させた上で、
  それほど大量ではなくも散りばめられた伏線が回収され始めた時、
  「ああ!そういえば最初ファンタジー展開してたわ!」
  と思い出させられるこの流れ、

  これは久保田唱さん脚本の頭脳パズルな面を見事に活かしている、
  それでいて三国志としての色も失わせていないのは
  自ら三国志大好きっ子(?)を名乗る
  佐藤修幸さんとの見事な連携プレーによるもの、と思いました。


ほんと物語に引き込まれた上で、
あっと驚くどんでん返しを用意して、
という展開、想像だにしませんでした。


? 董卓の逆さ字の「たくとう」って人は
  本当にいたんでしょうか?
  創作でもいいのですが、かなり気になりました。


ダラダラと書いてしまいましたが、
その他にも観劇中は色々な良さを感じていたのですが、
ちょっと思い出しきれません。

次の観劇(千秋楽)が楽しみです。
(その前にパンフレット読みが( ´ー`))


2014/09/15(月)16:00 観劇二度目
───────────────────────
・ 特に、董卓、張飛の衣装がかっこいい

・ 実際の殺陣だけでなく、
  立ち居振る舞いがかっこいい
  董卓が打撃後、スッと脚を引き姿勢を正す
  そのポーズは美しくすらある
  (身体能力の高さをうかがわせる)

  呂布は、当代最強を歌われるにふさわしい、
  (言葉忘れた)微動だにしない、剛の者にふさわしい振る舞い

  張飛は猪突猛進、剣と拳とで縦横無尽に暴れまくり、

  関羽は儀礼を重んじる中に呂布に負けないほどの
  剛の者である事を見せる、ダイナミックな剣使い

・ 二度観だからこそ分かる、表の演技とそこに隠された伏線(裏の意味)
  そしてお芝居自体の思わぬこまやかさ
  例.呂布が、貂蝉を董卓に斬られた場面、
    思わずそこに生まれる感情の動き

・ まずは壮大な世界観で観客を魅了し、
  そして最後には貂蝉と劉備、王允/イ・審判の悲劇、
  などにより急激に涙腺を刺激
  (本劇は感情劇主体とはいえませんでしたが、
  それでも世界観で魅了した上に
  悲劇、そして感動劇としての締めくくり)

さよならの唄

さよならの唄

企画演劇集団ボクラ団義

六行会ホール(東京都)

2013/05/30 (木) ~ 2013/06/02 (日)公演終了

満足度★★★★★

『盛りだくさん』、その一言に尽きる
2ヶ月ぶりですか?(本公演だと4、5ヶ月ぶり?)のボクラ団義さん本公演。
冒頭から「これでもかっ!」というほどの
演技とダンスと演出と設定の多さに目が眩んでしまいそうでした。

いつもならなんとか物語と設定を(だいたい)全部把握して
納得できるのですが、今回はいつもを超えているのか
自分の理解力が落ちたのか、一部人のつながりその他理解しきれなかった所が・・・
(この人は事前に出てきた人だっけ?どの人とつながってるんだっけ?と)

また、演出方法について「こういう意味かな?」ぐらいに捉えていたのが
終演後帰りの電車でアフターパンフを読んでいて
「ああ、そういう意味であの観せ方だったのか」と前公演のツボの件のように、
もう一度見なおさなきゃ分からんなあ( ´ー`)、という箇所も。

と、お話を全部は回収しきれなかったなあ、とは思いつつも
2時間45分という長編を演者皆様の演技の良さに引っ張りこまれて
涙と笑いとその他色々な感情を持って見届ける事が出来ました。

ネタバレBOX

ただ、後でアフターパンフや今回初登場の本格的パンフを読みつつ
これから物語を思い出さないと

劇中で「あ、この人のこの台詞いいなあ、見事にこの場面/話を言い表してるな」
など、ちょっとずつ心に残った場面などが思い出し切れないのは、
ちょっといつもに増して情報量多すぎか?とも思ったり思わなかったり。


冒頭でバス車内での演技をしてる時に座ってる人、立ってる人それぞれ
演技をしつつも身体は荒れた山道に合わせて揺れてたり
細かい所が見事だなあ、などいろいろな箇所で思ったのですが
その箇所も思い出しきれません
(そういう見えない良点が多数散りばめられていたせいもあるのでしょうが)

ただ、タイムスリップものなので当然のようにいくつもの史実/歴史的設定が出てくるのですが、
脳死の時点では「これが今回の背景的なメインテーマかな?」
と思ったら更に列車事故/震災と続いたのは、ちょっと時事ネタ入れすぎかな、という気も


また、病院と女子高生2人の場面が始まって、
また次にこの組み合わせが登場するまでの間がかなーり開いたようで、
最初の登場では「メインキャラ的な立ち位置か?」と思っていたのに、
次の登場時には、自分の中からこの人達のことがポッかりと抜けてました。
(その事に気づいた時、更に「あっ!この人(キムラさん)の設定が
まだ何1つ出てないや!」と更に驚かされましたが)


最初の傘ダンスの時点で思いましたが、あれだけの大人数、
メインとなる人も多数、それぞれに複雑かつ深い設定
(それぞれが背景としては2013年、2010年?、2003年に集約されているのですが)
を見事に膨らませて落としたなあ、と思いますが、
やっぱり良くも悪くもボリュームが大きすぎ、ですね。


複数回公演を観られる方や、DVD/ブルーレイを購入して再見する方はともかく、
1度見ただけで全容を理解するのは難しくなってきたのかなあ、と。
(そこまで含めてボクラ団義流、と考える事も出来るのでしょうが)

自分は「このスタイル」のボクラ団義さんに大満足ですが、
人を選ぶようになってきた(?もともと?)とも取れるのかなあ


追記.
いただいたアフターパンフを読んで設定を振り返り、
更にカラーパンフを読んでいて、
千代將(あってますか?)太さんを観て、
「ああっ!ピーナツバターの人だ!そうだ、そういうシーンあったあった!」
と思い出しました。

多分、いつものモノクロパンフだけだったら思い出せなかったと思います、
やっぱりカラーでキャスト写真載ってると記憶を呼び起こす力がハンパないです、

コストとか大変だったと思いますが、ぜひカラーパンフは続けてほしいなあ

( ´ー`) 「これはいいものだ」
『ひとよ』★【横浜公演】6月6日・7日KAAT大スタジオ!★

『ひとよ』★【横浜公演】6月6日・7日KAAT大スタジオ!★

KAKUTA

ザ・スズナリ(東京都)

2015/05/21 (木) ~ 2015/05/27 (水)公演終了

満足度★★★★★

笑いと涙は両立出来るのか?⇒KAKUTAの回答「出来る!」
(タイトルがネタバレだったらすいません)
舞台セットはなんとも生活感の感じられる謎の事務所、
タクシーの配車センター(事務所)でした
(これは開演前に分かります)。

そこでの「一夜(ひとよ)」、いったい何が起こるのか?

開演前の暇なひととき、色々と想像してみたのですが、
開演早々からその後の展開まで、
自分の想像力のはるか上を行く物語が
狭い事務所を中心に繰り広げられました。

役者の軽妙なやりとりに「今回のKAKUTAは喜劇なのか?」
と思わせておいて、
練られた脚本は確実に胸に突き刺さっていく、
(^▽^*)と(´;ω;`)が共存し続けた、
舞台観客として幸せな2時間でした。

ネタバレBOX

あらすじ全部書くのもアレなので

・ かーちゃんは子供達を守る為に亭主を轢き殺し

・ しかし「殺人者の子供達」のレッテルを貼られた兄弟たちが
  幸せになれるほど優しい世界でもない訳で

・ そして15年が経ち

・ かーちゃんの友達だった女性は、亭主に死なれ
  痴呆の義母の毎日のイビリに耐え切れず殺人を犯し

・ シャブ中で家族に逃げられた元ヤクザは、
  10数年ぶりの息子からの連絡に喜び
  仕送りの為に運び屋に手を染めて

・ ジョニーデップが語る「ターニングポイント」は、
  それぞれが経験したただの「一夜(ひとよ)」の出来事だった

・ 子供達が自分の不幸を受け入れ笑う時、
  かーちゃんは自分の行為が「本当に正しかったのか?」と
  思い返して涙する

・ 笑いは絶えないのに、みんながみんな不幸を抱えたタクシー会社でのひととき

ただ「幸せ」になりたくて行った行為が「不条理」な結果を生み出して、
それでも人々はたくましくもそれにあらがって生きていく、

桑原脚本/KAKUTAワールドは今回も健在でしたヽ(´ー`)ノ


今日は雪山さんのトークショーがあったのですが、
メインのお芝居を笑いと涙で本当に堪能できたからこそ、
「マスクのお兄ちゃん」はキャストトークも非常に楽しめました。

ああ、幸せな時間だなあ( ´ー`)


PS.実際の所、冒頭でかーちゃんがあっけらかんと
  「父ちゃんを轢き殺してきた」と独白するシーンから
  既に自分の妄想力全開で涙がボロボロ出ていました。
  
  自分は「KAKUTA演劇を神格化してしまっているのか?」とも思いましたが、
  あの舞台上でのそれぞれ怪我をおっていた無言の兄弟達、
  そして現れたかーちゃんのあっけらかんとした
  独白から「今後」についての話からが、
  既に涙なしではいられない「不条理」な背景世界として
  自分の感じる心に刺さってたんですね。

  そこからいきなり15年ふっとんで、
  喜劇としてリスタートした時は驚きました、

  脚本/演出が「匠(たくみ)」だなあ( ´ー`)

PS2.2015/05/24(日)追記
  意図的なものだったか分かりませんが、
  ヤクザの子分の登場の仕方が「もしかして殺したはずの亭主?」とか
  タクシー運転手(ヤクザ兄貴)の電話が「裏で何か悪い事が動いている?」とか
  色々と観客の想像力を刺激して、ミスリードさせてくれたのも楽しかったです。
  (色々な方向性を想像するからこそ、事実が明かされた時
  「なるほどっ!」と驚くので)
朗読劇 私の頭の中の消しゴム 5th letter

朗読劇 私の頭の中の消しゴム 5th letter

ドリームプラス株式会社

天王洲 銀河劇場(東京都)

2013/06/04 (火) ~ 2013/06/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

有名タイトルなので結末はみんな知っているだろうけど、それでもぜひ観覧してほしい
去年に続いて2度目の観劇だったけど、本筋以外は忘れてたのと細かい部分のネタは新しくしてくれていたようで、初めての気分で観れた。それにしても福山潤さんの声と演技はすごいな、声優なので声の良さは分かるけど、喜怒哀楽その他色々な表現を身体まで使ってあそこまで演じるとなるとそれこそ「演劇」と言ってもいいのではないかと思った。笑い所と怒り所、そして感情のたかぶる泣き所がとてもよかった。途中、ポケットからハンカチを出し目を拭っていたが、あれは本人も演技に感極まってしまったのだろうか?

ネタバレBOX

あと名前は分からないけどヒロイン役の人もとても良かった。(特にアルツハイマーの症状でキレやすくなったり、という怒りの表現が真に迫ってる。)

まわりの席の人、かなりの人数鼻をすすり涙を溜めていたと思う、自分は号泣までは行かなかったけど、やはり涙腺は緩みっぱなしだった。

あと、始まりからずっと2人がそれぞれの日記を読む、という形でお話が進むが、その掛け合いのペース/テンポの早さがこれまたすごいと思う。
どれだけ練習したんだろう?


ぜひ来年もやってほしいし、来年こそは全メンバー観てみたい、お金貯めようっと
ダディ・ロング・レッグズ ~足ながおじさんより~

ダディ・ロング・レッグズ ~足ながおじさんより~

東宝

シアタークリエ(東京都)

2014/03/01 (土) ~ 2014/03/22 (土)公演終了

満足度★★★★★

美しすぎる歌劇
3/01(土)。
ええと自分坂本真綾さんのファンクラブ入ってますが、
だから坂本真綾さんが「美しすぎる」っていう意味じゃないです。

(あしながおじさんの原作はほとんど知りませんが)
あしながおじさんによって高等教育を受けられる事になった孤児院の少女が、
おじさんからは返事はもらえないまでも毎回送る手紙の内容、
そしてそれに対するおじさんの気持ち、とってしまった行動など
全てが2人(坂本真綾、井上芳雄)のとてもきれいな歌
(単独、かけあい、ハーモニーなど)で綴られた、
本当にとても美しいミュージカルだと思いました。

コンサートと言っても通じるぐらい、会場中すばらしく声の通る
(自分はミュージカルを理解しきっていないのでこう呼びますが)
「素晴らしい歌劇」だったと思います。

3/4(火)18:30坂本真綾&井上芳雄合同FC回観賞。

前回はかなり前目の席だったけど今回は観客席一番後ろぐらいで
演者さんの表情も良く見えない距離。

しかしだからこそ歌の歌詞だったり
曲(舞台裏で演奏してるオケの皆さん)だったり
セットに合わせほどよく抑えた演出などを中心に
堪能出来た(とも言える)。

2度目でもやっぱり2人の歌のお芝居に惹きつけられ、
そしてやっぱり最後泣けました。


3/15(土)夜。

3回観賞して一番泣けた。
なぜか?

最前列だったから。

※ ただ単に坂本真綾さんとか井上芳雄さんとかの
  ファンだから近くで見たいって事じゃなくて
  前2回の観賞では
  ・ 2人の歌の素晴らしさ
  ・ 物語の感動
  はあったものの、大劇場ゆえの舞台との遠さに、
  2人の熱意/熱さがまったく(という事はないか)
  伝わってこなかった。
  本当に遠く観客として観ている感じ。

今回、最前列で2人の歌に乗せてのお芝居(主に表情芝居)が
観れて、それにより楽しい場面、悲しい場面、それぞれでの
2人の歌と演技に込めている気持ちが伝わってくるように、
こちらも気持ちを乗せて観賞する事が出来た。

だから、最初から最後まで2人の物語
(主にジルーシャからの手紙)が展開する度に
何故か笑いと共に涙が出た。

またその結末にはボロボロと泣けた。


本当にいいミュージカル、歌劇だと思う。
(出来れば毎年公演してほしいぐらい。)


だからこそ思うのが、大劇場は難しい。
今日の自分と同じぐらい舞台上の2人に気持ちを
引っ張られたのは、だいたい前から何列目ぐらいまでだろう?

ある程度の距離が発生してしまうと、表情が見えず、
(アクロバティックに)身体を使う舞台でもない為、
共感性が薄くなる、と自分は思います。


かなりの集客が見込める事からの大劇場舞台でしょうが、
これが小劇場で演じられたらそれこそ会場全体の人間の気持ちを
鷲掴みに出来たのではないか、と思うと、
「有名俳優/歌手/声優の舞台も難しいもんだな
(ファンに出来るだけ観てもらおうと思えば思うほど、
会場が大きくなりファンとの(気持ちの)距離が離れていく)」
と感じました。

まあ、遠くから観てもこの歌劇の素晴らしさは☆5ついってる
事には変わりないんですが( ´ー`)

いやあ、ファンクラブ入って1年待って良かった。。。

ネタバレBOX

3/01(土)
────────────────────
書架というか図書館のような古い本が本棚に詰まったセットの中、
(待遇も良いとはいえない)孤児院で過ごす最年長の
少女ジルーシャ(坂本真綾)に対して、

「書いた作文が面白かった、この少女は文才があるので高等教育(大学)へ
行かせてぜひその能力を磨いて欲しい」と援助する約束をするが、
ただしいくつかルール

・ 自分に礼を言うな

・ 自分の事を知ろうとするな

・ 毎月自分に近況の手紙を送れ

・ ただし返事はしない

などを設け、と素性を明かさずにチャンスだけを与えた篤志家ジャービス(井上芳雄)。


ジルーシャは帰りの車に乗る篤志家の背中、ライトで照らされた長い足の影から
「ダディ・ロング・レッグ(あしながおじさん、というよりあしなが蜘蛛)」
というアダ名をつける。


当初は単に「面白い物語を書ける小説家が生まれればそれでいいし、
そうならなかったとしてもそれ以上の事には興味がない」という風で
善意でもない、単なる変わり者として援助を行っていたジャービスに対して
毎回毎回自分の近況その他をとても興味深い手紙として送り続け、


※ 返事はしない約束でしたが、ジルーシャが病気で臥せり滅入っている時、
  ジャービスは花束を贈り少女に「ダディは私を見守ってくれている」
  というイメージを植え付けてしまいます。


ジャービスに「なんとかジルーシャという少女に会ってみたい、
しかし自分で設けたルールをどうしよう、
そうだ、少女のルームメイトは自分の遠縁に当たるので
その知り合いとして会いに行く、という形を取ろう」
とジャービスはジルーシャに近づき、


※ ジルーシャはジャービスをルームメイトの嫌味な上流階級少女の遠い親戚、
  ただしこの人だけはちょっと変わり者でいい人らしいと認識している。

※ また、ジルーシャはダディの事を老人で白髪あるいはハゲの人と思っている。


そしてジルーシャに恋に近い気持ちを持ってしまったジャービスは、
ジルーシャが他の男子と仲良くなる機会などを手紙で知る度に
「篤志家の秘書」の名の元に「そこへ行ってはいけません」などと
横槍を入れて邪魔をする、という子供のような行為を行う事になる。


そんな2人の関係(ジルーシャは毎月ダディに手紙を送り、
手紙に返事はしないがルームメイトの知人としてかなり近くに現れる)が
温かく続いて行くが、


ジルーシャが他の男子と仲良くなるのにヤキモチを焼き過ぎ、
知人としてジルーシャを怒らせてしまったジャービス、

そして「本分に立ち返り、自分はこの娘を見守る事にしよう」と
その距離を置く事になる。


そして大学卒業の日、ジルーシャは
「ジャービスとも仲違いしてしまい、自分には誰も卒業を喜んでくれる人が
いない、ぜひダディに会いに来て欲しい」とせがむが、
知人ジャービスとしては現れられても結局何も明かせないままで、
ジルーシャは「ダディは来てくれなかった」と悲しむ事に。


そしてジルーシャは大学と自分の努力で学んだ文才を活かして
小説を出版社に売り込み、自分のいた孤児院の理事になる事が
出来るまでに成長する。


そして、ジャービスは(ダディではなく)ジャービスとして
ジルーシャの元へ現れ結婚を申し込むが、ジルーシャは
「自分が親の顔も知らない孤児院育ちだと知ったら
ジャービスはきっと後悔するかも知れない」とその申し出を断ってしまう。

この全てをジルーシャはダディ(=ジャービス)へ手紙として送ってしまう。


そしてダディ=ジャービスであり、ジルーシャの想いの全てを本当は
知っているジャービスは、ダディとして「1度会おう」とジルーシャと
とうとう対面する事になる。


・ ジャービスが自分の手紙を読んでいた事に怒り、

・ ダディの知り合いだと思って怒り、

・ そしてダディが老人ではなく若々しいジャービスであった事、
  それを隠して自分に会いに来ていた事に1度は怒るジルーシャ、

しかしそんな事もまた許して結ばれる2人。


まさに自分が聞きかじりで知っていた「あしながおじさん」のお話でした。




で、すごいのがこの物語が全て
・ ジルーシャからダディへの手紙、という歌

・ ダディ(ジャービス)の反応、という歌

など、歌に継ぐ歌、歌、歌で演じられている事。


坂本真綾さんの歌声の綺麗さは知っていましたが、
それに応じる井上芳雄さんもこれまた張りのある良い声で
真綾さんの問いに返す、といった形で
2人のハーモニー、かけあい、などが歌で綴られます。


はっきりいって「ここまで全てを歌で表現する」
ミュージカルは観た事がありませんでした。

※ 演劇の合間に歌が入るのではなく2人の歌に聴き惚れる事で
  物語が進んでいく、という形。

自分、実際はこのミュージカルを観たいが為に
坂本真綾さんのファンクラブにまで入りました。
(前回買おうとしたらとんでもない早さでSOLD OUTし、
ファンクラブ会員しか無理なのかな?と思ったので)

坂本真綾さんの歌も好きは好きですが、
元々長年の歌手活動の歌のほとんどを知らないので
そもそもはファンクラブまでは考えてませんでした。。。




いやあ、でも本当にファンクラブに入ってこのミュージカル公演を
見る事が出来て良かったと思います。

最後に2人がキスしてしまう所はちょっと「うわっ!」と照れ(*ノωノ)と
男としての悔しさ(それは鈴村健一さんが思うべきものか)なんかも
ありましたが、この2人とそのバックで演奏を続けたバンドメンバーの皆さんの
舞台は本当に素晴らしいものでした。


自分、ミュージカルには詳しくないのですが、
「団体で演じるもの」というイメージがあるので、
これは「ミュージカル」というより「歌劇」と言った方が良いのかな、
とか意味ない所で悩んだりもしてしまいました。


前半1時間ちょい、休憩20分を挟んで後半も1時間ちょい、
合わせて2時間半ほどの長丁場を、「歌」で全て表現しきった
このメンバーのお芝居は本当に素晴らしいと思います。


いやあ、この歌劇にたどり着けて良かった、
という実感がすごく湧いています。

PS.坂本真綾さんのファンって男よりもアラフォー女子とかが多いんですかね、
  今日の会場を見ててそう思いましたが・・・
  まあ、だからといってどういう事もありませんが( ´ー`)


─────────────────────────
3/4(火)18:30坂本真綾&井上芳雄合同FC回観賞。

「さて2回目はどういう観方(観劇の仕方)しようかなー」とか
思ってたら今回は最後方席と言っていいような席だったので
坂本さんも井上さんも表情はよく見えない。

そういう意味でも
「せっかくのミュージカルなんだから(1回は)
演者さんの演技よりもその歌と歌詞、生オケ演奏、
そして演出面に集中して観賞しよう、と決めた。

・ 歌については(ムード的に)「明るい場面」「暗い場面」などで
  (印象はガラッと変えて演奏してるが)使いまわされる曲
  (それに対して歌詞の方はその場面のお芝居に合わせ変更したもの)や、
  本当にキーとなる場面でだけ演奏するメイン曲/歌詞だったりと
  メイン曲と汎用曲とが使い分けられてるのかな?という印象を受けた。
  (実際CD予約したのでそういう構成だったか後で確認しよう。)

  歌詞の方は場面を表すセリフ的なものと
  原作のテイストとも言える英単語/フレーズを組み合わせたもの
  (チャリティー(義捐/支援)など)と、
  よく聴いてみるとお芝居の進行として以上に
  なんだか味のある内容が多かった。

  それも単に1人で歌い、2人で歌い、ではなく、
  1人が歌ってその合いの手を2人目
  (主にあしながおじさんジャーヴィス(井上さん))
  が入れたり、と中々技巧に凝った歌い方も多く見受けられた。


・ 演出面は、まずセットが少女ジルーシャ(坂本真綾さん)の日常を表す
  前側と、その後ろ書庫/図書館といった趣のあるジャーヴィスの事務所。
  そこに対してスポットライトで2人のシーンの切り替えをしたり、
  窓を開けると夏の日差しがあったり、
  舞台上に配置された数多くのトランク/箱を
  時にベッド、時にトランクそのもの、時にテーブル、時に山、
  など色々なものに見立てるという面白い試みがされていたり。


※ あと、初回演者さんに集中するあまり見逃してしまっていたのが、
  ジルーシャの手紙一通一通をジャーヴィスが本棚のいたる所に貼っていく場面。
  前回は中盤の休憩でスタッフさんが貼っていたのかと勘違いしていたが、
  進行に合わせ1枚1枚ジャーヴィスが貼っていたのだった。
  (スタッフさんも貼っていたようだけど)


全体俯瞰で(舞台全体を視野におさめ)、その歌詞の内容を
(一部聞き取れない部分もあったが)理解しつつ観劇すると
初回の2人の歌劇そのものに感動していたのとはまた違う、
演者として各役の2人の心情面が
(歌詞やその歌い方/感情の込め方、また演奏のされ方などから)
分かってきて、少し違う楽しみ方が出来た(と思う)。


前半1時間20分ぐらい、後半1時間20分ぐらい、
と2時間40分ぐらいの構成のほぼ9割が歌で構成されているこの舞台、
終演後のトークショーで聞いた所によると、
2人そろっての練習はそれほど出来ていない(個人練習がほとんど)、
だったらしい。

それにしては(井上さん?真綾さんだったか?)が言っていた、
「初演時は2人の歌の終わりがずれたりと色々合わせきれなかった面もあるが、
今回はそういう部分がこなれてきたのかピッタリ合うようになった。
これで4日目、まだまだ舞台は続くのできっともっと2人の息も合うようになる。」
との事だったが、本当にすばらしく2人の歌とその掛け合いが
見事に合っているな、と思った。


あと井上さんが「ジャーヴィスも思えばかわいそうなんですよ、
お金持ちの名門貴族に生まれたからといって、
名門貴族ゆえの義務として福祉その他を行わなければいけない立場にあった」と。

だから、あしながおじさんの始まり、ジャーヴィスは
(義務として)支援はするが自分の事は勘ぐるな、関るな、
と9箇条を設けてジルーシャに対して壁を作っていたのか、と
なんとなく当時の貴族の生活が理解できたような気がした。


もう1回観るけど今度はどの辺の席かな、
1回は完全に目をつぶって歌と演奏に聞き入るのもいいかな、
と思う(ただ、周りの雑音(ビニールがさがさやって飴食ってたりと)も
かなり聴こえちゃうんだよなあ…自分神経質なのかしら)


────────────────────
3/15(土)

今回ネタバレないので感想は表にあげてしまいました。

なので、気にした点といえば、

2人の協奏(曲)、そして競争、
最前列で観賞する際
・ 2人がそれぞれかぶせて歌う時どちらを見ればよいのか
・ 片方が歌い片方が歌に合わせたお芝居をする時どちらを見ればよいのか

近すぎるがゆえに迷う場面が沢山でした。


表情劇や小芝居では井上芳雄さんに一日の長があるな、
と思いましたが、
ジルーシャの全ての手紙を歌い切る坂本真綾さんは
「これこそ一流の歌手!」と思わせるものがあり
(井上さんの歌もすごく良かったですが)、
この2人の共演あってこそのこの舞台なのだなあ、と。

また、近くから観てやっとセット上の気付かなかった演出に
いくつも気づきました。

・ ダディロングレッグズを見た時、ジルーシャに光が差し
  それがダディならぬジルーシャ自身の影をあしながおじさん状態に
  していた事

・ ロックウィロー農場の場面、2人が窓を開けますが、
  同時に書庫の本棚の後ろにも
  ロックウィロー農場の風景が広がっていた事。

その他もろもろ。


3回の観劇で真ん中、一番後ろ、一番前、と
観劇を楽しむ為の全ての位置で観れて良かったな、と思いました。


ああ、幸せ( ´ー`) ファン以外のみんなにもこの気持が伝わるといいなあ・・・
虹色の涙 鋼色の月

虹色の涙 鋼色の月

企画演劇集団ボクラ団義

SPACE107(東京都)

2013/12/04 (水) ~ 2013/12/08 (日)公演終了

満足度★★★★★

すいません、ベストコンディションで観たら最高の舞台でした
(2回目の感想失礼します。)
すいません、何はともあれまずは前回の感想で自分が思った事、
観た(つもりになっていた)ものについて勘違いなど多々あった事、
それらをベストな状況で観劇しなおしたら改めて気付かされました。

「前回の感想ごめんなさい」と謝りたい気分です。
(申し訳ないのですが、前回の感想は確かに前回の感想なので
メンテせずに残し、こちらに今回の感想で書かせていただきます。)


OVER SMILE(Play.Againの方)を2回観劇した時から思っていたのですが、
ボクラ団義の舞台には
1.「初見の楽しみ」と更に
2.「2度観(目)の楽しみ」があるな、
と今回もやはり思わされました。

初見では複雑怪奇な物語が展開され紐解かれていく
(観客自身が理解していく)様に驚きを覚えながら観劇し、

そして2度観ではネタをひととおり知ったがゆえに分かる、
初見では気づけなかった役者陣の一挙手一投足、演出その他に
込められた更なる伏線などボクラ団義の舞台の芸の細やかさに
更に驚きを覚えながら感激してしまう、
という楽しみ方があるのかな、と。

特に今回は1回目は椅子のせいで否定的な気持ちになっていたのか、
「いつも通りよく出来ている物語/舞台、だが…」のような
自分に合わなかったかのような感想を持ってしまっていたのですが、
今回ちゃんとベストな状態で観なおしてみたら全然違う感想を
抱いた事に自分自身も驚きました。
(残念なのは今回「初見の楽しみ」が椅子のせいで奪われた事でしょうか…)

※ ただ、確実に前日よりもお芝居が更に良くなっているような気もしました、
  これは劇場慣れなどといったものなのか、
  あるいは舞台公演中も演者の皆様日々精進されている
  成果なのでしょうか?


話は変わりますが、CoRichの感想欄だけで僕と他の方1件、
SPACE107の前席(X~Z)の辛さについて指摘していました。
(=実際は他にも多くの方があの椅子に辛さを感じて、
この劇の本当のポテンシャルを楽しめていなかった
可能性があると思います。)

次回公演もSPACE107を使うとの事で、
僕らが次回前席に座らなければいいというだけの問題ではなく
ハンズで売ってる600円ちょいのクッションをつけるなど
なんらかの対応をとっておいた方がよいのではないでしょうか?
(椅子ごときの為に舞台の感想が変わるなんて
(申し訳ない話ですが)もったいなすぎます。)

ネタバレBOX

前回の反省を活かし今回は携帯用クッション持参で参りました。
空気を入れるタイプ(かなり携帯性にすぐれる)も
持ってきたのですが、ぽっちゃり系な自分が座る事で
これがパンクなどしたら舞台自体が壊れてしまうとの恐れから
こちらの実戦投入は避け普通のクッションタイプのものを使用しました。

多少席の狭さは気になるもののお尻、脚ともにすごく快適でした。

※ もしかしたらクッションのせいで自分の座高が上がり、
  後ろの人の観劇の妨げになっていたかも知れません。
  そうだったらごめんなさい!




で、舞台の方ですが、初見ではなくアフターパンフレットも
本格的パンフレットも読んでの2度観でしたが、
やはりボクラ団義は面白かった、完全に気持ちを持ってかれた、
という感じです。


・ まず驚かされたのは、初回は普通に観てしまっていた冒頭から
  もう表情や身振り手振りで伏線を張りまくっていた、という事実でした。


  最初にルナからイセが海の色を聞かれた時の表情、
  若干の間と返答自体に含まれたニュアンス的なもの、
  それがイセも色盲、更にはジンの息子であった事に
  ついての伏線であったとは・・・
  (初見では、ミナトから指摘があった時初めて
  「ああ、そういえばそんな事言ってたような」程度しか
  記憶していませんでしたが、それがこんな形で
  最初から細やかに演じられていたとは思いませんでした・・・)


  そして、予見の力を使う際のあの片目を隠すポーズ、
  これがジンに始まり、その死をきっかけとして
  ルナ、カイ、最後にはイセまで、
  (予見の力の説明が出る中盤よりもかなり前から)
  物語が展開する際にたびたび表現されていたとは・・・


  あとこれは完全に単なる見落としでしたが、
  カラブリは剣なりなんなりいろんなものを空振りしてたんですね( ´ー`)


・ ミステリ部分について、
  初回を(ダメなコンディションで)観て、
  アフターパンフレット、本格的パンフレットを読んで、
  それでもまだ理解しきれない
  (物語としてそこだけ成立していたかどうか疑問になっていた)
  部分があったのですが、
  ベストの状態での二度観で、やっと長の死、少女の証言、
  そこから生じる矛盾、
  その後の各人の行動、第二第三の殺人、
  すべての真相について
  劇中の内容が自分の中で腑に落ちたような気がします。

  単純に初回のコンディションが悪かったからか、
  あるいは今回は結構難解なお話だったのか、どちらだろう(??)


・ 色々な箇所で少しずつ涙腺に来るものがあったのですが、
  イセとジンとの最後の別れだったか、
  あるいはイセが第二第三の殺人の容疑をかけられてしまう
  無声芝居の場面だったか、
  あるいはルナがニホンの少女の話を聞き、それに対して
  自分は何も出来ない事を悔いる(恥じる?)場面だったか、
  どこかの場面で確かに泣いてしまいました。
  (泣いたり笑ったり喜怒哀楽の感情を表に出す事や涙を流すのは
  健康にいいなどと言いますが、こうやって舞台上の役者の演技や
  役柄などに気持ちを重ねて自分の感情を刺激してくれるのも、
  役者と観客とが同じ空間で演じ、それを観劇する
  お芝居の良い所だと思います。)


・ 1つの大きな物語(メインストーリー)の中でいくつもの人達
  それぞれの物語も同時に展開している事に改めて気付かされました。

  ・ 「美しい雪、では雪とはいったい?」という失われた過去から来た
    自分の名前や「孤島」「南海」「東の月」などの謎の言葉に興味を持ち、
    そして殺人事件を追う邏卒でありストーリーテラー的な役割を果たし、
    最後には捜査日誌は航海日誌となり、
    綺麗な雪、その雪降る国ニホンへ向かうミユキの物語

  ・ 殺された長ジンとイセ、そしてジンとサカイガワの間に
    隠されていた物語
    (まあ、これはメインストーリーですね)

  ・ (今回もやっぱり気になった)
    愚直なまでに母と自分の正義を信じていたのに、
    自分が悪事の片棒を担がされていた事を知り、
    そして殺されそうにまでなって
    悪と権力への欲へ落ちてしまった、サンゴ

      ミチサキがどの場面でサンゴの手にかかったのか
      初回はイマイチ分からなかったのですが、
      2度観でウエシマと組み合っている所を
      ミチサキごとなで斬りにするサンゴの姿を
      見て、「ああ、こういう形だったのか」と
      分かりました。
      母親を盲信し続けた若者の悲しい形の親離れ、ですかね。。。

  ・ 海へ出たい、海に立ちたいというあこがれをイセ同様に持ちつつも
    島のしきたりに従い海辺での釣りと素潜りだけで漁をしてきた
    漁師たち、そして仲間の死とそれに対して何も出来ず
    逃げ出したイセへ怒りをぶつけ、
    イセが宮へ乗り込む時には「俺たちは何もしない」
    と言いながらも加勢にかけつけ、
    最後にはそれぞれの適正を活かして海へ乗り出していく
    仲間思いの漁師たち

    そしてサンゴに殺されてしまったアキカゼの無念・・・
    (網の話だけ最後なんか笑いのネタになってましたね。゚(PД`q。)゚。)

  ・ 新たな造船技術を求めて孤島へ辿り着き、
    それが引き金となって島中を争いの中へ落としてしまった原因でもあり、
    そしてみんなに「みんなが乗れる大きな船を作って島を出よう!」
    と大演説をぶって、
    ただ刀、武器を作る為だけに鉄、鋼を叩き続けたウツセミや
    とにかく金の為に立ちまわるゴンドウ達を説得したクッキー

    初回はイセの海にかける情熱が一番目立ったのですが、
    今回はクッキーの大演説シーン(それぞれにかける言葉の1つ1つ)が
    かなり記憶に残りました。

  ・ 「古代の兵器を復活させた、この島はもう終わりだ」と
    争っていたカイやサンゴを止め、「自分はこの島に残る。
    まあ、残った者達もしばらくすれば仲良くなるだろう」
    と、この孤島に残る道を選んだ
    (ジンの最後の願いである「後を継いだ」ともいえる?)
    サカイガワ(とヒラセ)

  その他にもカイやエミリの物語も・・・


・ (いつもそうだったのかも知れませんが)
  お芝居中に入るダンスに、
  物語の先の展開などを予兆させたものと
  物語のシーンの一部としてのものと
  そういう使い分けがされていた事に初めて気づきました。


・ 笑いを取りに行くべき部分と、ここは取らないでおく、
  という部分の使い分けがすごい、と感じました。

  「サスペンスファンタジー」とは言ってもボクラ団義、
  ちゃんと観客みんなの笑いのツボは押さえてますよ、
  と物語中に多々織り込まれる笑いのネタ、
  しかし、ここぞという場面では「笑わせに行く事もできるが!?」
  と観客にも思わせながら、しっかりシリアスな劇にしていたり、
  という笑わせる部分とそうでない部分の緩急の付け方が
  これまたうまいなあ、と
  (「サスペンス」としてちゃんと成立させられる
  絶妙な笑いの配分だったと思います。)


・ (これは初回も感じたのですが)
  例えば群衆での殺陣については実際は相手の身体の離れた所で
  止められた刀を剣戟の音と観客(自分)自身の想像力を働かせて、
  「ここでは壮絶な争いが繰り広げられている」とイメージしていた
  つもりなのですが、

  イセ(竹石さん):カイ(沖野さん)の1:1の戦いで
  「やっぱりこの2人の殺陣は映えるな!」
  と思わされたら更に続くカイ:サンゴ(加藤さん)の殺陣もいい、
  更に・・・と

  これらの時は想像力の力を借りるまでもなく迫力が違う、
  剣と剣が本当にぶつかりあいかわしあいしているのが観ていてわかる、
  この凄さは今回のキャスト全員の修練の賜物でもあるのでしょうが、
  やっぱり沖野さんがすごいのかな、と

  あのダイナミックかつアクロバティックなアクションを観ると、
  「(本人否定の)アクション俳優」の名に恥じない
  素晴らしい殺陣でありアクションだと思います。

  沖野さんが絡むと殺陣の迫力が変わる。。。


・ 初回観劇時は多分歌詞が頭に入っていなかったのでしょうが、
  火矢に沈みゆく船に合わせて
  ローズインメニーカラーズさんの

×  「しーずーみーゆーくー、船を見ーてるー」

12/11ツイッターでご本人に指摘されました(´∀`*)
  「沈んでく船を見て」

  という歌詞が、13年前の楽曲とは思えないほど
  ピッタリマッチしている事に驚きです
  (脚本/演出も13年前にこのシーンを考えて作った(笑)という
  ローズインメニーカラーズさんもスゴイ!)。

  だからあのタイミングであの楽曲が入り、
  歌の盛り上がりに合わせ、物語の更なる展開を仕込んできた、
  という事か、と納得と驚きです。


・ 前説で、今回とうとう出演者陣から大神さんだけでなく
  客演の宇野さん(でしたよね?)も投入されましたが、
  やっぱりアドリブで笑いを取るのが上手いですね。

  大阪人のDNAにはいつでもどこでもボケとツッコミと
  笑いのネタが取り出せるアドリブ神経のようなものが
  組み込まれているのか、と感心(というか感嘆)しました。



【以下、すいません、勘違いしてた、気持ちが変わった部分】
・ 長ジンがサカイガワに「もう楽にしてくれ」と確かに言ってました。
  昔兄弟で争っていた事を前振りにした上で、
  死に際の苦しみの中でジンは確かに
  「もう楽にしてくれ」と、弟サカイガワに懇願して、そして・・・
  の行為でした。
  確かに最後に手を下したのはサカイガワ、で物語すっきりしてますね。

  ただどうして女邏卒ミユキが2人が兄弟である事と
  手を下したのが本当は誰か、という所まで推理できたのか、
  については、更に観劇しないと分からない謎ですかね。。。


・ 「虹色の涙」は決してイメージとして弱くない。
  イセにのみ予見の力が残りルナは色を感じる事が出来るようになった
  (と推測される)、

  アヤブキが「色の分からない姫にも、色調の違いで楽しめるように」
  と仕立ててくれた虹色の船の帆、

  そして争いの中破滅に向かう島を何も出来ずに脱出した後悔と
  これから向かう未知の国への期待その他色々なものが
  感極まった瞬間のルナの涙、

  エミリが「帆の色は何色に見える?」と聞いた時に
  「涙で見えない」との事、

  この虹色を見つめた涙を指して「虹色の涙」、

  パンチは十分でした。


  ただ、順で言うと「鋼色の月 虹色の涙」なのかなあ、とか思ったり


・ OVER SMILEの世界との繋がりは「イイ!」と思えてきました
  ・ (OVER SMILEの物語で)
    世界が争いに滅び、ニホンに逃げ延びた一部の人々が更に争い、
    いつしか3つの色に分かれて更に争いは続き、
    しかしその争いをたった1人の少女が終わらせた、
    というクッキーの説明に対して

    同じ少女でありながら何もできない自分を責めるルナ

  ・ そして、真犯人が分かったはいいが、それが元で島を分けての
    争いになってしまい、
    漁師イセは父親である長ジンの
    「ルナやその他の人を守って島から脱出して欲しい」という願い、
    自分の仲間である漁師その他の人々もこの争いから助けたい、
    そして何より長く禁じられ知る事もなかった海とその外の世界について、
    島民として漁師として1人の若者としてのあこがれから
    海へ出る、クッキーのいた国「ニホン」を目指して

  ・ イーストムーンの人々は元々戦火のニホンを逃れて、
    孤島イーストムーンへ渡ったというクッキーの説明に対して、
    ニホンでの言葉を名前に持つそれぞれの人々のニホンへの憧れ

  そういう色々な意味をあわせると

  やっぱり東の太陽「ニホン」とその更に東の孤島「イーストムーン」、
  この物語がつながるのは意味がある事なのかな、
  実際舞台上の各人と同じ気持ちで考えた時、
  クッキーの言う「ニホン」は憧れの地であり、
  そのあこがれの「ニホン」がOVER SMILEの舞台であった
  あの世界である事からOVER SMILEを観劇した人にとっては、
  「憧れ」「新天地」など色々なイメージを膨らませる
  (膨らませやすい)材料になるのかな、という意味で
  やはりOVER SMILEとつながる事は良かったと思います。


以上長々とすいません。
大阪公演頑張って下さい。


PS.すいません、忘れてました。
  第二第三の殺人の後イセがミユキの元を訪ね、
  犯人はカイである、カイは次にイセかルナを狙う、ルナが危ない、
  と言った瞬間にスポットライトが移り、
  カイとルナの会話、そしてカイのルナを殺そうという決心
  (幸いエミリが現れた事で回避されましたが)
  こういったストーリーの流れ流れでの上手な場面の転換に
  「TVドラマを観ているかのようなテンポの良さ、シーンの切り替わり」が
  これまたすごいな、と思いました。
  1つの舞台の中でほんとにいくつものシーンを使い分け、
  そしてその切り替わりのテンポがほんとにいい、
  こういった上手さもボクラ団義流舞台の強みだと思います。
シカク

シカク

企画演劇集団ボクラ団義

サンモールスタジオ(東京都)

2014/12/18 (木) ~ 2014/12/28 (日)公演終了

満足度★★★★★

栗田「まあ!これはただの『会話劇』なんかじゃないわ、『ボクラ団義の会話劇』なのよ!」
山岡「ああ、これをそんじょそこらのスーパーで並んでる会話劇と
  一緒にしてもらっては困る。
  これはあの企画演劇集団ボクラ団義が丹精込めて作った、
  ロジカルミステリの傑作会話劇なんだ!」
と美味しんぼネタは置いておいて・・・


編成:竹石さん、沖野さん、大神さん、平山さん


何を書いてもネタバレになってしまうので内容には触れられないのですが、


普通、(特に少人数の)会話劇と言うとその登場人物達の
言葉のキャッチボールの楽しさ、悲しさ、怒りなどの感情劇とその深さと、
その裏に刺し込まれた脚本/演出家のメッセージ/テーマに対して
共感出来るかどうか、で面白さが決まるものと思ってました。


しかし企画演劇集団ボクラ団義の「ほぼ4人芝居『シカク』」の会話劇は、
いつものダイナミックな殺陣その他がなくても
見事に観客の感情・思考をがっつり掴んで自由自在に動かしまくって、
というロジカルミステリ脚本の第一人者久保田唱と
情熱のベテラン役者陣が揃ったボクラ団義だからこそ、

そしてならでは!と言いたくなるほどに
「思考迷路」(攻殻機動隊の用語( ´ー`))に
陥りそうなくらいに心を物語に動かしまくられた、

「ハイパー脳トレ(アクションなし版)」とでも言うべき
見事な会話劇(会話物語とでも言うべき)でした。


あとこちらに書ける感想として、
前公演「耳があるなら蒼に聞け!」の時、
初めてのスタンプラリーイベントという事で
5回までは観劇してみたのですが、

何度観ても「名作である」とは思うものの、
1週間1ヶ月1年と間も空けずに連続で観劇していると、

何回目かで「伏線回収などの面白さ」を越えて、
同じネタを繰り返し観ている事により
感動度合いが減ってしまうのを正直感じていました。

※ はっきりいって「同じお客さんに10回観劇させる努力より、
  新しいお客さんを開拓するのが正道なのでは?」と思いました。


しかし、今回のスタンプラリーイベント(再観劇のお誘い)は、
それとは一味も二味も、その意味が異なります。

スターシステム?(看板俳優を中心として、脇役もバイプレイヤー(脇役としてのベテラン)を配置した形)の
構成を中心にいつも編成してきたボクラ団義、

正直「この俳優さんのもっと深いお芝居を長く観てみたい!」と思っても、
それは「客演舞台でどうぞ」という形になっていたかと思います。
(まあ集客の為には観客を呼べる看板俳優を中心に据えない訳にもいかないのですが・・・)

しかし、役者ファンというより劇団自体のファンの自分には、
全役者の芸幅とその力量が見れない
(脇役の方は出る場面やその背景設定などが限られていて表に出てこない)、
というのは非常に残念でした。


特に最近ENGのTHRee'sで

※ あのお芝居は人が主役というよりも
  「三国志序章 新案」とでも言うように
  物語自体が主役という形式だった事もあり

ボクラ団義のベテランから若手演者までが
「それぞれの場面まるごと」をもらって
そこでかなりいい演技をしていたのを観て、

「ああ、こういう舞台が観たかったんだよなあ」
と(お父さん的心情で)涙腺を緩ませてしまいました。




そして今回の「シカク」、
「耳があるなら蒼に聞け!」の時、
「次は会話劇かつ4人芝居」という情報にも驚きましたが、
その4人を劇団員フルアサイン(竹花さんはお怪我の関係で今回は残念でしたが)と聞いて

「これこそ劇団員というより劇団自体のファンである自分や
その他の観客が何度でも色々なキャストで観劇したい、
全劇団員フルコンプリートする為に再観劇したくなるタイプの舞台、
そしてスタンプラリーが活きる舞台だ!」と思いました。

また、ゲスト様についても
ボクラ団義本公演でも何度も絡んでいるベテラン演者陣
(中野さんはENG THRee's共演ですが?)の出演に、
これまた観たかった組み合わせ、と期待させられました。


残念でならないのが、こんなにレベルが高い舞台だと知っていたら
もっと早くフライヤーでキャスト編成を確認して、
全キャスト登場回をフルコンプリート狙えば良かったかな、という事です。

※ 正直、「4人の会話劇」と聞いた時から
  普通に会話劇をやっちゃって、
  感想「突拍子もないタイトルの割に案外普通でした」という事に
  ならないか心配で様子見の4回予約でした。

とりあえず、予約間違いで押さえられなかった一部演者様の舞台は
この感想書き終わったらすぐ予約します。


表感想がこんなに長くてすいませんm(_ _)m

ネタバレBOX

※ 今まで感想は1舞台に対して1投稿にしてましたが、
  やっぱり何度でも観ているものについては
  その回その回で感想があるので
  (特に今回のようなキャストの異なる芝居では)
  別々に感想を上げる事にします。


2014/12/18(木)19:00観賞

編成:竹石さん、沖野さん、大神さん、平山さん

・ 舞台開始の白幕裏、影絵での暴行シーンから、
  もうボクラ団義マジックは始まってたのかな

  あそこで「あれ?暴行してるの沖野さん?」と沖野犯人説、
  が頭の片隅に置かれました。
  それがまさかここまで動くなんて・・・

  ある意味沖野さんは犯人でしたが、物語としては被害者でもあるんだなあ・・・


・ 会話劇というと=静の舞台
  というイメージでしたが、本当に(いつも以上に)
  動きまくる物語でした。

  アクションがない、間と闇を有効活用していた事などから、
  物語自体の展開の多さがよく感じられました。

  最初、暴行事件、彼氏との突然の別れ、はあれども最後新しい彼氏と
  楽しくバーベキューする、愛のある終わりを迎えたのか、
  と思わせた次の瞬間

  男B沖野さん「死んだのは俺だった!」(彼女に殺されたのは俺だった、だっけ?)


  と物語が思わぬ方向へ展開し
  (手袋は確かに気になってましたが、今が丁度冬だったのであの伏線は読めませんでした)


  今度はヒロインとの仲がずっと偽の恋愛だった、演技されていた、という話から
  失明自体が嘘、犯人を探している、という話へ。


  この頃に気になりだすのが、
  あくまでも男A竹石さん(彼氏)、男B沖野さん(犯人)、女平山さん、
  の3人(の三角関係)が目立ち、
  「恋の話である」と何度か繰り返される台詞からも、
  これだと男C大神さん(ヒロイン兄)は目立たず、
  「シカクじゃなくてサンカクなんでは?」

  と思わせておいて(きっとこれも久保田唱流人心操作術なんでしょうね・・・見事に騙されました)


  更にヒロインと兄、そしてヒロインの過去の悲しい物語、
  更には犯人が「犯人ではない(心臓の記憶に操られていた、かつレイプはしていない)

  と動き出して、


  現在~未来のバーベキューまでの間のいくつかのシーンが何度も
  リプレイされる度に
  観ているこちらの感情と思考を
  ・ 恋の話?
  ・ 殺された?
  ・ 犯人探し?
  ・ 過去の悲しい記憶と兄妹のいびつな関係、
    そしてヒロインの本性(復讐心)
  ・ でもみんな「生きる」決意をした?
  と何度も何度も自由自在に思考操作されてしまいました!

  最近ご無沙汰だった事もあり、
  「ああ、これぞボクラ流ロジカルミステリ
  (演劇スタイルは今回は会話劇ですが)」
  と、ちょっと懐かしさも感じました。


・ 最後の締め、男B沖野さんがヒロインを助けようと(実は自殺しようと)川へ飛び込むシーン、
  その叫びを男A竹石さんが
  「生きる資格じゃなくて、あいつは(ヒロイン兄の記憶も蘇った)俺には死角はない!と叫んだんだ」
  という言葉が胸にグサリと刺さりました。


・ かなり小さめの劇場(椅子も小さい)でしたが、
  演出方法が面白いものばかりでした。

  白幕の影絵による暴行シーンに始まり、
  いつものような映像、
  プロジェクションマッピング?(でしたっけ?あの箱に映像投影する技術)、
  群舞的なダンス、
  そしてヒロインの失明した世界を表す為の真っ暗闇での会話劇、
  最後の群青色の川を表す天井落ち、
  などなど。


喉を痛めてしまっていて咳をして舞台の邪魔をしてしまうのが大変申し訳ないのですが、
ぜひ出来るだけ出演キャストをコンプリート出来るよう
更に観劇数を増やしたいと思いますm(_ _)m
DUST SHOOTERS~ダストシューターズ~【金曜マチネ完売しました】

DUST SHOOTERS~ダストシューターズ~【金曜マチネ完売しました】

カプセル兵団

笹塚ファクトリー(東京都)

2013/02/28 (木) ~ 2013/03/03 (日)公演終了

満足度★★★★★

こんな舞台初めてヽ(´ー`)ノ
ヘロヘロQカムパニーの長沢美樹さんが客演されるとツイッターで言ってたのでつい予約。
劇団や公演内容については前提知識なしで当日現地着、パンフを見たら「難しい話ではなく、みんなが単純に楽しめるような話」という事となんとか星人とかだれだれを倒すとかあったので「SF系ファンタジーものかな?」しかしセット類ほとんど前準備なし(かつ笹塚ファクトリーさんは小屋狭めなのでセット入れ替えもできなそう)でどう宇宙船とかいろいろな場面を演じるんだ?と半信半疑的な状態で開幕を待ちました。

しかし、始まってみて驚かされました、SFについてこんな表現方法があったのか!


10年前の公演内容の再演との事なのですが、この劇団さんを見たことない人はぜひ観に行った方がいいと思います。
コメディ系という意味で笑劇ですが、初めての体験に衝撃を受ける事間違いなしです。

劇団ごとに表現方法/脚本構成/殺陣/演技その他どこかに特徴があるものですが、カプセル兵団さんのこの舞台での表現方法はまさに驚きの一言です。
この話以外で同じ方法が使えるのかが気になります(舞台からくりサーカスのDVD流してたけどアレもカプセル兵団さんだったのかな?)

とにかく自分はこの劇団の今後を「要チェックや!」と思いました。
初体験って意味では100点あげたい

ネタバレBOX

セット類、小道具がほとんどありません。

いざ舞台開演し、宇宙船内の場面を演じていたと思ったらいきなり役者さんが集まってきて「宇宙船」を組体操のように体現したり、広い宇宙でのドッグファイトを手のひらで表現しだしたり、宇宙船の扉が開いたりする場面を人が演じていたり、踊りでその場の空気を表現したり、とにかくセット、小道具その他モロモロすべてを人と集団が表現する、というとても斬新な試みだと思いました(お笑いのコントが短時間で演じてるものをそのまま長編大作化したような)。

漫画系の小ネタとかも挟んでてこの辺はあざとさ(一部層へのウケ狙い)も感じましたが、とにかく集団が入れ替わり立ち代わりして場面場面を表現していく、しかも会場の笹塚ファクトリーは舞台の左後ろ右、あとは客席真ん中に出入り口があるのですが、その集団の入れ替わりに客席真ん中の出入り口まで使うので、真正面で見てた自分からすると「うわっ!こっちに来るぞ!」とか「うわっ、ここから現れたぞ!」とかシーンごとにドキドキさせられてしまいました(多分笹塚ファクトリーを一番うまく使った演出ではないでしょうか?)。

お話の方も単純に始まり単純に終わるのか、と思っていたら大どんでん返しが待っていたりと最後まで集中を途切らすことなく楽しめました。

先日ミュージカルを観て、歌による表現方法にも驚かされましたが、多分驚きという意味ではカプセル兵団の本劇の表現の方が更に驚きです。
月がとってもきれいです

月がとってもきれいです

はらぺこペンギン!

駅前劇場(東京都)

2014/11/26 (水) ~ 2014/11/30 (日)公演終了

満足度★★★★★

全ての人が人生で1度は考えなければならないテーマかと
夏目漱石のちょっと奥ゆかしいようなタイトルと、
あらすじからアットホーム的かつちょっと重いネタも含まれる、
そんな物語を想像していました。

しかし描き方は明るめながらも、
その重厚というかするどすぎる切り口のこの「テーマ」について、
1人の人間として観劇しつつ打ちのめされてしまいました。

一生に一度出会うべき演劇なのかも知れません。

※ネタはネタバレの方に

ネタバレBOX

「殺人」

被害者家族に対しての苦しみは今までにも色々なジャンルで
数多く取り上げられてきましたが、
いざ「加害者」家族になってしまった時、

自分ではない血のつながった者の犯したその罪に
どこまで人は向きあえば許されるのでしょうか・・・


物語をだんだんと理解していくと

・ ある少女の殺人事件加害者(少年院受刑者)

・ その被害者家族
  (今まで誰にもこの話はしてこなかったという居酒屋チェーン店主兄妹)

・ (別の大人の殺人事件の)加害者家族(兄妹)
  (こちらは事件の事がバレるたびに転職、引っ越しを繰り返し逃げてきた)

・ この兄妹の次男に当たる、工場で働く元「加害者」

が、思ったよりも近い存在として物語中、描かれていました。


最初、殺人事件加害者が少女を追いつめ凶行に及ぶさまが
言葉で描かれる場面にかなり嫌悪感を覚えました。

そこから他の登場人物の素性が明かされるまでが長かったので
しばらく各人物間の紐付けは分からなかったのですが、


(あくまでも)「自分ルール」では

・ 弱者に対する暴力、性的暴行その他絶対に許す事の出来ない犯罪は
  加害者には極刑

・ 犯行に至る動機に理解を示す事が出来るもの(被害者側に問題のあるもの)は
  情状酌量の余地あり

と考えて生きてきました。

※ 多分他の観劇者も自分なりの「ルール」に
  照らし合わせて本劇を観劇していたのではないかと思います。


序盤の情報では、2つの事件それぞれ「許せる」余地のないもので
加害者自身は少年法を変えてでも「死刑」で当然、
弁護士女性のいう死刑廃止論など単なるキレイ事、としか思えませんでした。


(1)しかし「加害者家族はどうなるのか?」と言われると
  ・ 加害者が加害者になる所以を作ったのだから許せない

  ・ あくまでも加害者本人と別個の人間であり、
    別の人として考えなければならない

  ・・・自分の中でも答えは出ませんでした。
  (分かりやすい、加害者の性格をねじ曲げる原因となったとされる
  母親、父親などはともかく、その人格形成になんら関わりを
  持っていなかったと思われる兄弟姉妹までは・・・)


(2)つつましく生きる元加害者男性
  物語の中では、今の人生になんら楽しみを持たず、
  ただ仕事をして、被害者の一家に仕送り?を続ける青年。

  お芝居/演技としてもそうでしたが、この青年のありように
  残虐性その他は感じられず、
  「本当に彼が事件の加害者なのか?」と問わずにはいられませんでした。

  事件の被害者を知る遺族、その関係者はともかく
  「今」だけを見れば「彼」ほど人生をつつましやかに
  生きている人間はいないように感じられました。
  (それは自分が重い十字架を背負い、
  またその家族にも背負わせてしまった事を十分に理解しているものの
  行動に思えました。)


そういった意味で「殺人」の被害者家族、加害者家族、の
ありようとその顛末までは本当に重い「テーマ」が描かれていました。

今までこれほど重く「殺人」を扱ったお芝居を観た事がなかった事もあり、
「感動」とは別の意味で「自分の中に得るものはあった」と思いました。


人生で「答えのでない事」として
・ 宇宙の果てのその外側はどうなっているか?

・ 死んだら意識はどうなるのか?

というものがありましたが、

・ 「殺人」の定義で許される殺人と許されない殺人は
  法の元で規定されるのか?

というのもあるのだな、と思いました。


居酒屋で働く加害者兄と結婚の決まった加害者妹、
そして自分の婚約者が「殺人事件加害者」の家族である事を知ってしまった婚約者と
居酒屋店主達、
ここまでで十分「加害者」の家族には辛すぎる人生が待っているのだな、
という意味で

「このあたりで終わりなのかな?」

と思っていたのですが、

・ 同級生女子の父親を殺害した青年には理由があった

というのを示されてしまって、
これにははっきりいって「蛇足」感を感じてしまいました。

それまで「加害者」「被害者」としてはっきり線を引いてきた役者達が
ここで大きくバランスを崩されてしまう、と思いました。

※ まあ、これは「感動物語」としては
  許されない事件があったとはいえ
  最後の最後に
  兄弟妹が再び再会する、という
  「もし許されるならば」という物語だったのかと思いますが・・・

  自分はこの「許し」がない方が本テーマがより際立つものと思えました。

自分の胸に響いたのは、女性弁護士が被害者妹に対して、
少女殺人加害者の事を
「許さないで下さい」「一生、許さないで見届けてください」
と言っていた事です。

死刑廃止=許されてしまう、と自分も捉えていましたが、
死刑ではなく社会に戻れたとしても、一生「お前を見張っているぞ!」と
いう目で観ている事は、もしかしたら単に「死刑を与える」事よりも
重要で、そして「犯罪者・加害者」にとっても苦痛であり、
償いなのかも知れません。

※ まあ、自分は人を殺したいほど憎んだ事はありますが
  その行為に及ぶほどの勇気も狂気も絶望もなく、
  生きてきた人間なので、「何が一番犯罪者・加害者にとっての罪/償いとなるか」
  は想像も出来ませんが・・・

あと、殺人事件加害者だと知ってなお工場へ入れてくれた工場長や
「自分の子供が殺されたらどうするの!」と怒る嫁、
元同級生の弟が事件を起こした事を語る知人、
「そういう噂が立ったら困るから」とクビにした居酒屋店長や
殺人犯の家族でも「付き合って下さい」という妹、
そして最後吹奏楽演奏に参加させてくれた女性など、
それぞれの場面/立場で自分だったら、と考えると
やっぱり、良くも悪くも同じ行動を取るんだろうなあ・・・と思えました。


物語の「テーマ」自体がかなり考えさせられるものだった為、
観劇していたこちらも結構ダラダラと感想を書いてしまいました。

はらぺこペンギン!さんはこういう「局所的」テーマに絞って演じる劇団なのですかね、
あるいはタイトルのようなアットホーム展開もあるのでしょうか?
「局所的」内容でも観てみたいですし、
アットホームな内容ももう少し観てみたいと思いました。


PS.ちなみに何かで読んだんですが「月が綺麗ですね」は
  実際夏目漱石が言ったかどうかかなり怪しいそうです。
  日本人の奥ゆかしさを表したいい言葉だと思うのですが
朗読劇 私の頭の中の消しゴム 8th letter

朗読劇 私の頭の中の消しゴム 8th letter

天王洲 銀河劇場

天王洲 銀河劇場(東京都)

2016/04/27 (水) ~ 2016/05/08 (日)公演終了

満足度★★★★★

すごい「体感」をした
相葉裕樹×日笠陽子回観劇。
10年来の売れっ子声優日笠さんの朗読芝居が観たくて(聴きたくて)の
観劇でしたが、これまた2人ともすごかったです。

「演技上手」な上にしょっぱなからめちゃくちゃ情熱的に演じる日笠さんに対して、
他者の男役と違い最初テンション抑えめ粗野さも控えめな相葉さん
(悪く言うと台本を「読み」に入ってしまってる?、
「台詞」を置きにいってしまっているのかな?と感じられた)、

日笠さんのカオルと色々な意味で対照的な演技でした
(元々本物語の最初は水と油な2人なのを表していた?)。


それが物語の起伏(出会い~色々あって~結婚~アルツハイマー~別れ~結末)の
流れと共に、日笠さんは更に情熱的な演技を振り絞り、

相葉さんは段々と気持ちが移り変わっていく、
人間は一人だ、俺は誰も信じない、とかたくなだった気持ちがほぐれていき、
カオルを愛するコウスケになっていくさまがとても良く描かれていました。


カオルのアルツハイマー症状が悪化していく中、
それを愛し続けようとしながらも苦しみ助けを求めるコウスケ、
この2人のありようが観劇しているこちらにも実体験
(アルツハイマー症の家族を持った人)のように
ヒシヒシと伝わってきて
「どうしようもない苦しみ」を感じ、
神様を恨んですらしまいました(´;ω;`)


本組み合わせに限らず、
本劇の良さはそれぞれの演者の組み合わせがそれぞれに

コウスケ×カオル

2人の物語について、
役の個性と物語の起伏に合わせた感情表現を

他の組み合わせと同じものにするのではなく、
あくまでもそれぞれの演者で考えて表現している
(実際の演出指示がどうなっているのかは分かりませんが)、
というのがとても面白いなあ、と思います。


この数年で10組以上のコウスケ×カオルを見つめてきましたが、
同じ台本であっても1組として同じお芝居は存在しない。

各男性演者は、
コウスケをちょっとオチャラケさせてみたりめちゃくちゃ怖い人にしたり、
情熱的で涙もろくしたり感情表に出す事の不器用さを表現しようとしたり、

それに対してカオルの方は元々持っている
20代成人女性としての顔から、アルツハイマー告知の衝撃、
アルツハイマーゆえの記憶障害への怒り、悲しみ、
そして幼児退行していってしまうなど、
それぞれの喜怒哀楽狂気などについて、
各女性演者が思うがままに演じていく。


各組それぞれ同じ台本でも観ていて飽きない
不思議な面白さがあります。

今年の観劇前は、
「今年あたりで本劇も卒業かなあ」などと考えていましたが、
これだけ面白く演じてくれる役者陣が
まだまだいるのならば、
また来年再来年とまだまだ本劇の
「新しい組み合わせ」と「進化」を見届けたい気持ちになりました。

ネタバレBOX

【思った事】
・ 説明
  日笠陽子さんは10年来のベテランにして超売れっ子声優。
  相葉裕樹さんは俳優、バンド経験などを経て、声優としても
  最近伸びてきているらしい(詳細不明)。


・ 日笠さんの感情表現がすごすぎた。

  元々アニメなどで多々目にしている安定のベテラン声優日笠さんの演技なので、
  「演技上手」(感情表現や発声その他多彩な演技をするのだろう)
  というのは予想がついていましたが、

  しょっぱなから予想を超えて感情的に、気持ちを乗せて、
  情熱的にカオルを演じて来ました。

  恋愛するカオルの喜びと悲しみなどの感情の起伏があまりにも激しく、
  「少々飛ばし過ぎかな?」
  ※ 序盤からここまで大きく感情表現を表に出してしまうと、
    物語の盛り上がり場面でもこれ以上に起伏が付けられなくなってしまうのでは?
    そうすると「物語」全体としては、案外山のないお芝居になってしまうのでは?
  など、少々心配もしました。

  しかし、物語の盛り上がりに合わせ、更に隠れていた「情熱」をぶつけ、
  本当にコウスケ役の相葉さんと真っ向勝負を挑んでいたように思えます。

  ※ 大声優日笠陽子の底の深さを改めて知りました。
    アニメその他画面越しだけじゃなく、
    朗読/群読その他色々な場で
    もっと色々な人たちに「生の演技」を観せるべき女優さんだと思いました。

  ※ (多分ですが)今まで見てきた本劇の中で初めて
    アルツハイマー症の妻とそれを支えようと苦しみもがく夫の姿が、
    観客としてよりも実際の経験のように「体感」させられたかと思います。

    その要因の1つは間違いなく日笠さんの「演技上手」とそして
    何よりその演技に込められた大きな熱量にあったと思います。


・ 相葉裕樹さんの演技プラン(と言っていいのかな?)もとても上手でした。
  コウスケについては、今までの色々な役者陣の演技から
  粗野/粗暴にして乱暴っぽさがあり(実際現場監督も殴るし)、
  過去のトラウマから人生については悲観的、
  それを口調その他から攻撃的に演じる人が多かったですが、

  相葉さんのコウスケは少し落ち着きも持った、
  「母親に捨てられたトラウマ」を抱えた悲しみからか
  何か諦めというか達観というかを持った少し深みのあるコウスケを
  うまく表せていたのかな、と。

  ※ 最初はその落ち着いた語りように
    「台本を”読み”にいってしまっている?」
    「台詞のひとことひとことを(落ち着いて)置きにいってしまっている?」
    と、今までのコウスケ像と違うものを感じてしまいましたが

  それがカオルと恋に落ち、自分のトラウマから喧嘩別れして、
  偶然の再開で「この世で1番大切なものを知り、そして変わる事を決意する」、

  段々と進む物語の中で、少しずつ優しさや内面に隠していた本当の心情、
  そして悲しい結末に向けてどんどんと表に出てくる
  カオルへの悲しいほどの愛情とを、

  コウスケの「変化していく気持ち」といった形で
  その語り口調を変化させていく事でうまく表現していました。

  ※ クライマックスでのコウスケはもう「別人」というほど、
    色々な経験からその語り口調などが変化していました。

  ※ 物語を読み込み、
    「こう演じていこう、こう変化をつけよう」と
    考えての事だと思いますが、
    それが見事にカオルの熱量と噛み合って、
    面白い舞台に仕上がりました。


・ 2人での合わせの練習で決めた事か、
  それぞれがたまたま同じ事をやろうと思ったのか、
  ブレスその他の使い方が朗読劇の場面場面に
  単なる「台本読み」から違った空気を与えていました。

  ため息だったり、
  その他色々な台詞の間に「音にならない音」「台本にない音」を
  入れてくる、それが他の組み合わせではなかった、
  面白い表現として入っていました。


・ 一応ツッコミ
  噛み、台詞トチリ、台詞かぶり(相手の台詞に台詞をかぶせてしまう)、
  などは思ったよりあったかも。


多分ですが、初めて本劇を演じる組み合わせは皆、
本物語の内容を演じる中で惹きつけられ、
いつの間にか気持ちを乗せて演じてしまうようになっている、
その込められた情熱が観客の気持ちを惹きつけ、
演者と同じように涙させてしまうのかな、

そういう意味で良い「物語」だなあ、と思います。

※ そろそろ巨人が優勝を逃し「だから原はダメだっつったろ!」のくだりは
  時代に合わせて変えてもいいかな、と思いますが( ´ー`)
縋り雨

縋り雨

牡丹茶房

王子小劇場(東京都)

2016/03/03 (木) ~ 2016/03/07 (月)公演終了

満足度★★★★★

「この方向のお芝居の一つの到達点」は言い過ぎでも「観て良かった」とは胸を張って言えます
事前パンフで主催が「女性の絶望を描いてきた」とあり
(何故か「退廃の美」という言葉と勘違いしてましたが)、

また本お芝居の始まりの印象からも、
「きっと説明通りのラストになるんだろうなあ」と
「その一方向にのみ突き進む舞台って最終的に面白いのかな?」と
少し疑念も持ちながらの観劇でしたが、

物語のスタートラインから段々と数限られた
登場人物達の事実/背景が浮かび上がり、

そして同じようで同じでなく、
救いようがないように観せては度々
「もしかして救われるのかな?」と
想像させられるようなギミック的要素もあり、

と2時間10分の大作でしたが
最終的にとても「楽しませて」いただきました。

今後、この方向のみでなく多方面のお芝居を作るなら
追っていきたい劇団かな?と思いました。

ネタバレBOX

【思った事】
事前パンフの説明、
お芝居始まりの女性3人の「母親を失った(事に起因する)」という同一の不幸、
舞台上に観える空気感から、

※ 舞台上の登場人物達の行動が裏目裏目に出て
  悲劇が更なる悲劇を生んで終わってしまう舞台の脚本/演出方法、
  名前なんて言うんでしたっけ?(チェーホフとかが得意とした一形態だったか?)

「悲劇の本質を見せる形で進んでそのまま終わるんじゃないかな?」と思ってました。

事実、女性3人を取り巻く登場人物と3つのグループの背景が見えていく中で、
「幸せになるきっかけ」となりうる人物が存在しないように見えたので、
きっと最初思った通りに「不幸に始まり大不幸に終わるのだろうなあ」と。


しかし、舞台上の役者陣について、
きっと「悲劇」という設定に向けてのお芝居をする、
と心に決めているからこそのブレのない演技と
そのひたむきさ(熱心さ)を感じ、

お芝居の世界に引きこまれ(共感、反感、嫌悪その他色々な感情で同調し)、
いつしか観劇の時間感覚を見失い、
「物語の盛り上がり的にそろそろ終わりかな?」と思ったタイミングでの、

(大きな波ではありませんが)
「もしかしたら、この物語に救いが登場する?」と
思わせられるような場面が何度かあり、
何度も色々想像させられては騙されて、が楽しかったです。

例.女子高生一家の不幸の源である「父親の暴力」に対して、
  漫画家志望が偶然にもその父親とゆきずりの情事を行う事になり、
  「ここで漫画家志望が父親を殺せばとりあえず女子高生は(ある意味)救われるかな」
  など。


また、物語についても

・ スタートラインの単純に「母親を失った3人の女性」という
  同一の不幸から始まり

・ その内容の違いと
  更には女子高生、カウンセラーの不幸に比べれば
  「自分の不幸は甘すぎる」と思ってしまう漫画家、

  しかし「それでも自分はやっぱり不幸なんだ(としか思う事が出来ない)」という
  2人との距離(2人への引け目?)を感じて
  段々と異常な行動

  ※ 女子高生の父親と知ってなお関係を持ち、
    「初めて満たされた」と。
    そしてカウンセラーの弟とも関係を持つ。

  を取って、同じ不幸を持った3人から2対1の別の立ち位置に立っていく。

  同様に女子高生:カウンセラー、カウンセラー:それをカウンセリングする漫画家志望、
  という移り変わりも興味深い流れでした。

という変化の過程について、
それぞれの心理状況を推測/共感しながら観劇していて、
なかなかに見えない各役の「心」の部分が動く作品だなあ、と。


何度か「ここで終わりかな?」と思わせておいて、
(その後更にその先の場面をを用意して)
引っ張った部分は「長すぎ」の感もありましたが、

最終的に、深い悲劇を抱えた2人は救われ、
浅い悲劇と思っていた1人が救われない、
という形、その状況がとても良かったです。

1.女子高生
  親子の関係を修復する為に病気の少女を演じ続ける事を決意する。

2.カウンセラー
  弟、叔父と通じ合う事が出来た、家族の形が復活出来た、と本人には信じこませておいて、
  弟、叔父のサイドからは
  「もう姉はまともじゃない、姉の言う通りに家族を演じてみせなければ本当に殺される」
  という恐怖支配。

3.漫画家志望
  ゆきずりの男たちとの関係を持ち続けた中で、
  誰の子か分からない子供をみごもったその後で、

  初めて同棲していた男性が「愛/結婚を誓ってくる」というタイミングの悪さ。

  そして、最終的に男性と別れ家も出て仕事もなく1人、
  「これからどうしよう」と立ち尽くす(だったかな?)の場面。


など、今まで色々見てきた
「笑った」「泣いた」「(アクションが)激しかった」「面白かった」「(テーマについて)考えさせられた」、
という爽快さなどで終わるお芝居とは一線を画した、
「気持ち良さ」とは違う何かで観客の心を刺してくるお芝居だったなあ、と。

※ 女子高生に対して父親がチーズケーキを買って帰り~の場面だけは
  一瞬家族の絆が復活するのか?と想像し涙腺が緩んでしまったかな。


・ 最後の最後の数度噛みがあったくらいで
  本当に集中してましたね、役者陣全員。


(良くなかったかな、と思った点)
・ 漫画家志望が女子高生の父親と偶然の出会いから関係を持つのはともかく、
  更にカウンセラーの弟とも偶然に出会って関係を持つ、
  というのは物語的に2対1の立ち位置を作るにしてもご都合主義的過ぎですかね。
  せめて、「漫画家志望がそうなるよう仕向けた」という物語を
  盛り込んで欲しかったかなあ、と。

・ 人数が少ない事もあり、役者陣が別役も同時に演じていたのですが、最初それが分からず、

  「カウンセラー宅に居座る叔父が漫画家志望と関係を持った?」
  と誤認してしまい、

  その後、漫画家志望が
  「不特定多数の男性とゆきずりの情事を重ねる事でのみ自分の心の空白を埋めていた」という
  これまでの登場人物(男性)全員が別役(ゆきずりの男)として登場しての
  心象風景的な描写で初めて
  「あ、別役をやってたのか」と理解したり、

  逆に漫画家志望が偶然女子高生の父親と会ったシーンは
  「あ、本当にこの人は女子高生の父親(役)の場面だったのね」と、
  更に物語が進んでから気づく、などこれまた誤認しかけてしまいました。

  可能なら人自体を、あるいは衣装ぐらいは分けた方が良かったかと。


途中まで、演技の良さや「悲劇の一方向」への観せ方の良さで
「☆4つかなー」などと思ってましたが、

後半でかなり物語に惹きつけられた上で単なる悲劇とは違った、
「優しさ」「狂気」など色々な結末を観せられた事で、

「こういう演劇には多分触れた事がなかったかな?」と思っていた自分には
とても「面白い」お芝居だったので☆5つとしました。
ダークナイトライジング

ダークナイトライジング

カプセル兵団

ワーサルシアター(東京都)

2014/02/13 (木) ~ 2014/02/18 (火)公演終了

満足度★★★★★

吉久さんの特撮会話劇にハズレなし
前回ヒーロー達の会話劇「アヴェンジャーズ」をやって、
今回は悪役達の会話劇「ダークナイト・ライジング」。

カプセル兵団さんというと「動」
(ビジュアルイマジネーション演出、やっと覚えた)
をまず思い浮かべますが、(スーツアクターである事を含め)
特撮へのこだわりづくしの会話劇にもこれまた
演劇の(というか会話の)妙があるように感じられました。

「おもしろい!」(会場中大爆笑)
※ 僕は特撮そんなに詳しくないんで
「多分あの辺のヒーローかな?」
ぐらいの知識で観てるんですが
それでも古いネタから新鮮なネタまで
食いつかずにはいられない。
ドリフのような笑いの空間が観客席中に
生まれていたと思います。

はっきりいって今年度初舞台は大成功だったんじゃないでしょうか。

ネタバレBOX

「もったいなすぎる!」と思いました。
本劇公演を知ったのが先週、それまで他の舞台などで
カプセル兵団さんの今年度初舞台の情報は
全く入ってきませんでした。

本日は大雪の為もあるかと思いますが、
ちょっと観客席に空きの目立つ状態。

アヴェンジャーズの時は確か満員だったかと・・・

あれに並ぶか超えるか、と思える会話劇だっただけに、
今年度1月2月の宣伝への力の入れ方が
ちょっともったいなかったなあ、と思えました。



物語は
──
パンフで最初に読みましたが、
いろんなヒーロー達に自分達の居場所を奪われてしまった悪役キャスト達、
そんな悪役に「集まれ!」と言わんばかりの囁きが・・・
その声に惹かれて集まった悪役キャスト達の裏話あり、
(アヴェンジャーズでもありました)
吉久さんの世界史/日本史/近代史、そしてヒーロー論
(今回は悪役/陰謀論)、
聞けば聞くほど「なるほどなあ、そういう考えはありうる」
と納得してしまう自分がいました。
笑いの中にそういう深みを入れるのがまたうまい。

悪役の立場で言わせてもらうけど、というお話に、結構
「言われてみると、悪っていうほど悪じゃないんじゃない?この時代」と
思わせられる発言も多々ありました。

正義も悪もどちらの言い分も五分五分になってしまいますね、
前作と合わせると。。。
──


他では叩かれてしまいそうな
演劇中のタバコについても
・ 今回はマスクを配って回っていた
・ その他寒さ対策としてコーヒーのサービスも
など、劇団として
「どうしてもこの会話劇にはタバコが欲しい」
という想いを持ちながら、
お客さんに対しては出来る限りの対応はさせていただきます、
という劇団側の対応が非常に良かったです。

※ 僕はタバコをすいませんが
  あの会話劇の雰囲気(会社でいうタバコ部屋や
  今回のBAR設定のような)は
  本物のタバコなしでは出せないのでは、
  とも思えてしまいます。


そして(すいません、僕はどなたか存じませんでしたが)
スーツアクター界、特撮撮影界においての巨匠の方をゲストに
読んでのトークパート、ここもまた
「特撮のうんちくからなにから」でおおいに笑わせていただきました。
また、この方の腰の低さにも非常の好感がもてました。
恐れられいた「悪の大幹部の更に大幹部とは一体・・・」、
多分ググれば出てくるんだろうなあ( ´ー`)


そして、会話劇の中で
最近のヒーロー劇について
「悪の連中を集めるだけ集めて掃討する為にやってるんじゃないか」
と思える、というセリフに対して、

あのオチの締め方。

ダークな連中の話だけあって、ダークなオチをつける所が
また見事でした。


こうなると3作目は、「何」をターゲットに特撮を語ってくれるのか、
(あるいはアニメその他?)すごく気になってしまいますね。




演目終了後の「打ち上げ会」、自分は
雪で帰れるかすら分からなかったのですぐ
帰ってしまいましたが、
どんな事話してたんだろうなあ、
とすごく気になりました、うらやましい( ´ー`)
男ばかりの会話劇 『アベンジャーズ Ver2014』

男ばかりの会話劇 『アベンジャーズ Ver2014』

カプセル兵団

ワーサルシアター(東京都)

2014/09/10 (水) ~ 2014/09/15 (月)公演終了

満足度★★★★★

ますますの迫力で大人たちの会話劇がワーサルシアター八幡山を支配
昨年初演の「男たちの会話劇 アベンジャーズ」が
今年も帰ってきたヽ(´ー`)ノ

ビジュアルイマジネーション演出のカプセル兵団を
「動」のカプセル兵団としたら
会話劇シリーズはまさに「静」のカプセル兵団。

(特撮ヒーローについて)
吉久直志さんの信念のこもった脚本を、
実際特撮ヒーローに関わってきた
大人たちが”特撮ヒーロー自身”として、

タバコ部屋の雰囲気そのままに
時に熱く、時に笑い、
時に懐かしく、時に深く、語り合う。

ワーサルシアター八幡山で
その会話劇を眺める観客達も
同じタバコ部屋の住人として、

いつの間にか特撮ヒーロー達の感情(熱)に
引きこまれ、一緒に笑って一緒に考えて
一緒に涙腺をゆるませて、

非常に引き込まれる1時間30分でした。

ネタバレBOX

脚本については基本的には初演
「男たちの会話劇 アベンジャーズ」のネタを中心に
一部時事ネタその他見直しをかけた感じでしょうか?
(キャストの方は半分ぐらい初演と異なる模様。)


ド派手な炸裂音から始まる舞台に
「ああ、そういえばこうだったな」という
懐かしさがまずあり、

その後特撮ヒーロー達の
(台本の流れに沿うというより)
自分の言葉でしゃべっているかのような
感情のこもった会話劇に
気持ちを引きこまれ、
ワーサルシアター八幡山自体が
舞台上の6人の会話に夢中になりました。


会話の1つ1つのネタはたどりきれませんが

※ 今年は上演台本買っちゃいました、
  後で会話内容も振り返ろうと思います

特に
「アメリカでは国を守る人として軍隊/軍人は憧れの的である、
それに対して日本では敗戦、そして憲法第九条により
軍隊は悪、自国を守る為の自衛隊ですら叩かれる、
そうやって現実に憧れるべき対象を失った日本人達が
”日本独自の特撮ヒーロー達を生み出していった”」
という論に、ほんとーに深くうなずかさせられるものがありました。


特撮ヒーローの中の人(スーツアクター)に憧れた
(実際やられていたんでしたっけ?)の
吉久直志さんだからこその深い日米(日本対海外)の特撮ヒーロー考察、
その重みがあるからこそこの会話劇自体が
深みと観客の心に対する吸引力を持ったのだと思います。


・ 正義の特撮ヒーロー
・ 悪役
の会話劇をこなした次は、

出来れば「ガンダ○」「マクロ○」などの
「ロボットSF論」を語り合ってほしいなあ( ´ー`)

と願いますね。

※ 自分は特撮ヒーローについては、少年時代に
  そこまで深くはハマらなかった事もあり、
  出来れば自分のストライクゾーンど真ん中の
  「ロボットSF論」を一度吉久さんに斬ってほしいなあと・・・
舞台 新耳袋3

舞台 新耳袋3

タンバリンステージ

ザ・ポケット(東京都)

2014/04/02 (水) ~ 2014/04/06 (日)公演終了

満足度★★★★★

怖くて面白い、怖面白い(こわおもしろい)作品(それも物凄く)
4/4(金)観劇。
ボクラ団義久保田唱さん作/演出+団員多数出演という事で、
僕自身まったく不得意なジャンルである
「オカルト/ホラー系ミステリ」の舞台に初めて手を出してみました。

原作小説「新耳袋」は超有名らしいですけど
そもそもこのジャンルを避けてた自分は全く知らず。
(耳袋(みみぶくろ)と耳朶(じだ)を間違えてたくらい。)

このジャンル、自分の人生でほんと数回ぐらいしか手を出した事がありません。
(多分「世にも奇妙な物語」が自分のハードルの限界(だと思ってました)。)

それでもラジオその他で久保田さんが
「自分自身怖いのが苦手だからただ怖くはしない」と
言ってたので信じてみたら

「なにこれ超怖い!」

「スゴイじゃなくて凄い!」
って凄惨な方の漢字を使いたくなるような怖さの残る作品でした。

(終わった後原作者木原先生と演者数人の笑いあり恐怖ありの
トークショーがありましたが、自分は今観たばかりの物語の
実感が頭よりも身体に残っていたのか小刻みに震え続けていました。)


しかし、メインは恐怖体験話ながらも
各演者のキャラ(役どころ)がほんと全員立ってる上に

シンプルなセットに対して音響/照明などの演出も凝りまくっていて、
そして物語自体もスゴク(こっちはカタカナ)面白くて
小ネタで笑わせ、泣かせ、そして癒やし(これは自分の勝手な感性?)まで
含んでいて、本当に盛りだくさんな恐怖体験でした。
やっぱり怖い(((( ;゚д゚))))

久保田さん作品といえば初見で驚き、二度見で更に驚かされる、
そんな噛みごたえがあると思っている自分は、
ツイッターでネットの評判を聞いてすぐ追加予約しましたが、

今日観たこのお芝居をもう一度観れる
(しかも今日がかぶりつきで明日は全体俯瞰)という事で、
「いやあ、今回かなりの当たり作品で二度見出来るなんて
これまた最高だな!!」と怖いながらも思います。

ほんと怖いんだけど面白い、怖面白い(こわおもしろい)、
としかいいようのない作品、

ジャンル初体験、という事もありますが、
☆でいったら5つじゃなくて6つか
それ以上の体験をしたと思います。
───────────────────────
4/5(土)18:00観劇(ソワレ、でいいんだよな)

ネタバレ以外の特記事項としては、
今日はちょっとミスが目立った(昨日はミス0ぐらいに思えたけど)。

軽い噛みぐらいならともかく、
一度演者さん2人の会話で完全に(どちらかの)セリフが
(頭から)飛んだようで、下手すると舞台が壊れる
(+観客側も集中切れる)かと
ちょっと違う怖さを味わった。。。

まあ、その後挽回出来たので問題なしかな。

ネタバレBOX

4/4(金)観劇。
──────────────────────────────
新耳(3/3)袋なのに獅子(4/4)の日!
関係ありませんね。


オチで救うのがボクラ団義、
オチで救わないのが新耳袋、
この言葉を書きたくてずっと帰宅中頭の中で復唱してました。


ネタバレでしかも今回物語がすごく濃厚/濃密な感じで展開したので、
感想だけを散文詩(感想ポンポン書くのは散文詩って言わない?)的に
書いちゃいます。


どの物語にもオチに必ず泣きや救いを持ってくるのが
企画演劇集団ボクラ団義の舞台公演だと思ってます。


しかし、今回他劇団参加した作/演出久保田唱さんは
どの物語にも救いじゃなくて「救われない…」を持ってきた
(というか原作者木原さんが、ですかね?)。


1.ある女性のマンションでのエレベータ恐怖体験から
  そのマンション内で起こっていた連続失踪→殺人事件を
  発覚させ解決した、と思わせて最終的にそれだけで
  物語は終わらず女性(姉)でなく妹を救えなかった、という事件
  (いったいあのマンションには更なる何があったんでしょう(((( ;゚д゚)))))


2.海岸崖での恋人同士の痴情のもつれによる

  彼→彼女の突き落とし事件、

  から始まる彼女の霊の登場、
  そして突き落とし事件の真相、

  更にそれでも成仏しない彼女について

  「彼女は彼に伝えたい事があるのでは!」
  という希望的観測(?)に基づいて
  上司の指示を振りきって独走したヒロインに対して、

  事実は彼女に取り憑き死に至らしめた霊と全く同じで
  (同じ感情を持っていたからこそ取り憑かれた)、
  彼女自身も自分の彼に対しての浮気の疑念と恨みつらみ、
  裏切りに対して共に死のうとしていたのを、
  (先に同じ場所で殺されていた霊に)
  邪魔された事、そして彼と浮気相手に対しての怒りから成仏しなかった、
  という救いようのない事件


3.ある家に同居する姉妹夫婦に対して、
  転落死殺人の被害者女性の霊の理由不明な呪いによる
  「男達」(亭主/同居人/子供)の呪い殺し(呪殺)、
  そしてそんな被害者女性の霊にも救いを、
  と願ったヒロインの衝撃のラスト


ほんと、本来なら本舞台を観て「スッキリした!」とは
まったくいかないオチの連続だったと思います。


でも物語として面白い、各演者のお芝居が面白い、
小ネタで笑わせられ、小ネタに驚かされ、小ネタに泣かされ、
そして癒やしまで感じてしまったという。。。
その上で骨太の本筋が面白いからこそ、最後まで集中して観れた(ハマれた)、と。
(新耳袋は今回初めて観劇しましたが、
この絶妙な配分があったからこそ、新耳袋3は
心に残る名作になったのだと思います。)


・ 三田寺さんの生前説(「せいぜんせつ」じゃなくて「なままえせつ」)に
  「萌え」という感情をひさしぶりに感じました。

・ 進撃の巨人林野さんの寡黙なようでいて、
  ボケの多い特殊課警視キャラに笑わされた上で、
  霊に対してのヒロインへの警鐘に
  色々なものを考えさせられました。
  (結局の所、この世に怨念を持つ霊と分かり合うなんて無理だ、
  という締めなのでしょうか?)

  同時にストーリーテラー的な立ち位置でもあり、
  「新耳袋」(小説)に対して
  「本には”扉”はあっても”出口”はない」
  が印象的でした。

・ ヒロイン木本さんの「オカルトを否定」しながらも
  それを実際体験して捜査を進めていく自分(その熱血ぶり)、
  そしてそれぞれの霊達に対して上司の静止を振りきってまで
  「善意」でもって向かっていって
  それが全て裏目に出てしまうという
  恐ろしくも悲しい物語展開に恐怖と涙しました。

・ 恒松あゆみさん(警視正)の役柄ゆえの落ち着きと
  美声に癒されました。

・ 沖野さんの独特すぎる霊媒体質キャラに笑わされ、
  引かされ、驚かされました。

・ 三田寺さん&ヤマケンさんコンビの喫茶店での
  三田寺さんの萌えメイドぶりにこれまた癒されました。

  三田寺さんと沖野さんの「ホットティー or コーヒー」についての
  やりとりに笑わされました。

  何作品か三田寺さん観てますが、「こんなに可愛いのか!!」
  という驚きを持ったのは本作が初めてですね。

  そして、コーヒーへのこだわりすぎるまでのこだわりと
  いつまでも塗りたてペンキの匂いの残る店、
  のその理由がやっぱり新耳袋。。。

・ そして、演者全員の笑いの小ネタに笑わされました。

・ 霊とそれに関る人たちの物語と衝撃の展開に
  驚かされ、恐怖させられました。

  ※ すごいのは観客への恐怖のあたえ方、観せ方が1つじゃなく
    いくつものバリエーションに富んでいた事です。

  (あれ?さっきと同じ事書いてるな)

  1.では、マンション殺人事件でそもそも
    存在しない地下へ降りるエレベータには
    女性だけでなく男性も乗っていた、という事、
    それが伏線となり
    事件解決と思わせておいて
    更なる霊事件で妹が殺されてしまう、という後引きの悪さ。

  2.では、霊に取り憑かれ彼を殺そうとした為、
    彼に崖から突き落とされた女性、
    しかし実は霊に取り憑かれる以前から
    彼の浮気に疑念を持ち、彼を殺そうとしていた、
    そして霊になった後もその浮気相手である仕事の同僚の元を
    49日間ずっと離れなかった、という物語の締め方

  3.では、たまたま姉妹夫婦の同居人が、
    殺人犯に殺された女性が「彼(殺人犯)」にあげようとしていた(?)櫛を
    拾ってしまったが為に

    殺された女性の霊を呼び寄せ、
    単に男というだけで旦那、同居人と次々と呪い殺され(呪殺)、

    ※ 同居人が実際霊に飛びかかられ殺される際の照明演出
      (あの演出の呼び方は「フラッシュバック」で良かったんですかね?
      あるいは「フラッシュライト」?)
      がすごく怖かった。
      本物の怨霊のようでした。


    それに対して、殺された女性の霊の気持ちを理解しようとするヒロイン、
    その善意につけ込んで女性の霊はヒロインに取り憑き
    「本当の思いの丈」を振りまき、
    彼を最後に殺した女性をも殺そうとした所を
    霊媒体質の沖野さんに止められる。

    そして、更に物語は進み、
    ヒロインは捜査一課へ戻り更に出世するが、
    「オカルト」の存在を認め、
    「また特殊課へいつか戻りたい!」と警視に伝え、
    物語としての(一応の)ハッピーエンドを見せるのか、

    と思わせた所で、更にオチのオチに、
    姉妹の子どもたちもその後殺されていて、

    更にはヒロインのバックに入っていた櫛、

    そしてヒロインに襲いかかる(本当に恐怖の)怨霊、
    という救いようのないオチ、締め

・ 物語の恐怖とその他のネタ比率、
  8:2ぐらいですかね、
  しかし、苦手だと思っていたジャンルも
  物語が良く出来ている上で
  演者、演出も良いと
  「面白い物語」として観る事ができた事に驚きました。
  
  怖いんだけど面白い、また観たくなってしまう、
  ほんと何度も言いますが
  怖面白い(こわおもしろい)
  物語でした。

  最初は物語自体は恐怖もの、という事でそこにはほとんど期待はなく、
  久保田さんの伏線たっぷりの脚本/演出と
  その回収の流れさえ観れれば良いかな、
  程度に思っていたのですが、
  見終わった感想としては

  「今年度No.1作品」
  「☆をつけるなら5つじゃなく6つ以上」
  「ジャンルに関わらず良いものはやはり良い」

  という事を見せつけられました。

・ DVD買おうっと( ´ー`)


以上、散漫な感想でした。
明日も楽しみだーヽ(´ー`)ノ
───────────────────────
4/5(土)18:00観劇

・ 二度見して思ったのは、1日目は「全部いい!」の一言で
  アンケート終わってしまったが、全体的に何よりも
  お芝居ならではの「音」全般(BGM、SEそして演者さんの大絶叫)、
  それに合わせての暗転がとても怖さを煽ってるな(上手い)、と思った。

  2度使ってたけど、2度とも(知ってても)
  身震いするようなシーンだった。
  (木本さんも言ってたけど)


・ 物語として、上司の静止を振り切ってまでの
  ヒロインの善意と熱意が
  逆に負の連鎖を産んでヒロインを苦しめていく展開は
  シュールというかダーク、まさに救いのない怪談話だと思った。


※ 前回の感想で1つ間違えてたけど、「櫛」じゃなくて「髪飾り」、
  それを崖から突き落とされ殺された彼女が呪いを込めて
  彼(犯人)宛てに流したものが渡りわたって
  彼女自身を呼び出し悲劇を生み出していたのだった。。。


・ 恐怖とその他の比率8:2とか思ってたけど、
  展開を知った上で恐怖慣れしてくると
  久保田さんの「ただ怖くはしない」の説明通り、
  結構笑いと癒やしも織り交ぜていたように思えた。

  特に各編の始まりは必ず喫茶店から展開し、
  三田寺さん+ヤマケンさんの癒やしキャラが
  絡んできてたし。

・ トークショーで沖野さんが言ってたけど、
  芝居の流れで自分メインのパートじゃない時の行動は
  アドリブで色々やっていた、との事。

  以前もヤマケンさん竹石さんそれぞれが
  色々久保田さんのメイン脚本の範疇外で
  「観客を楽しませる工夫」を試していた、
  という話を聞いたけどやっぱり
  その脚本任せでなく「どこまでもお客様を楽しませよう」と
  更に上を目指すスピリットはとても重要だなあ、と思った。

・ トークショーで三田寺さんのトーク時以外の挙動を観ていて
  お芝居含め「天然キャラ」なのか、
  と何か納得した。
  今度発売するDVD第二弾、というのがHな感じでなければ
  ぜひ購入したいなあ、癒やしだなあ( ´ー`)

  あと、恒松さんの癒やしボイスな朗読会もぜひ行きたいなあ。


最後に
新耳袋1、2では、怪談ものを取り扱うTV番組やお芝居特有の
トラブルが本当にあったらしいけど、
このまま何事もなく千秋楽を迎えられますように(-人-)

そしたら4も観に行こうっと。
ロストマンブルース

ロストマンブルース

SANETTY Produce

笹塚ファクトリー(東京都)

2015/05/26 (火) ~ 2015/05/31 (日)公演終了

満足度★★★★★

秀作会話劇、そして「歌」へのこだわりが素晴らしい
GENKI Produceさんの初演は
「久保田唱のロジカルミステリ」の観劇作法として
1.隠されていた謎に驚く
2.冒頭からいくつも仕込まれた伏線の回収を楽しむ
と、2回観劇しました。

しかし今回のSANETTY Produceさん版では、
「既に謎を知ってしまっている」という事で、
まずチケット発売時1回予約しました。

もう1回観るかどうかは「その後の情報公開次第かなー」と
思っていたのですが
(前の感想にも書いたのですが)
・ 数名の役者達が別舞台参加から
  本舞台まで残す所わずか10日のタイミングで合流、
  という事実を知る。
・ 同様舞台直前のタイミングで体調不良で役者が降板。
などから、舞台としてそもそも成立しない可能性を考え、
「とりあえず1回でいいや」と思っていました。

しかし、いざ観劇してみると、
まず役者自体の演技について問題など全くない上に、

(自分にとっての最大の楽しみである「謎解き」はともかくとして)
会話劇としてのテンポの良さ、
初演と比べて「音楽」への強いこだわりなど、
あくまでも「別プロデューサーによる作品」である事が
強調されていて、非常に楽しめました。

そして、これだけ良く出来ている舞台なのに、
「体調不良による役者降板」が響いたのか、
平日から千穐楽までまだまだ席が残っている、との事。


「もったいないな」という気持ちが非常に強かったので、
千穐楽日を急遽予約しました。
(笹塚ファクトリーの良い所として、
どんな席でも舞台自体は見やすい、というのもあったので)




今回の観劇では「純粋に会話劇」として楽しんでみよう、と
いう視点で観ましたが、
・ ロッカーあさくらの荒々しさ
・ ライブハウス「シェリー」に集う様々な人々
の会話の掛け合いの中に
・ 激しさ
・ 巧みに組み込まれた笑い
・ 隠された真実に近づくにつれての悲しみ、各役者の情熱の高まり
・ 静寂の上手い使い方
・ ストーリーテラーとしてのマスターの語り
など、会話で物語を作っていく面白さがあふれている上に
ライブハウスならではの「歌」への強いこだわり(くりゅうさん?)、
が出ていて非常に良い作品だなあ、と
観なおしたからこそ分かる良さに気付かされました。


元々が良い作品を、新しいプロデューサーの色で見事に再構築した、
SANETTY Produceの今後に期待です。

ネタバレBOX

【思った事】
1つだけ
・ ストーリーテラーとしてのマスターが語る、
  「ライブハウス」が消える時、についての話
  あさくらが永遠に忘れない限り、
  ライブハウス「シェリー」は永遠に不滅なんだな、
  と自分なりにそのメッセージを受け取りました。

2015/06/10(水)
PS.書き忘れてましたが、ネタばらし後の暗転で、
  ロッカーの髪が白くなってますよね。

  他の人も言ってましたが勘違いでなければ、

  前半.ロッカーの世界(20うん年前)の視点の時は黒く、
  後半.実際の世界(2015年)の視点の時は周りと一緒に歳を取って白く、

  なってるのかな、と思うと芸が細かいなあ、と。

  ロッカー役沖野さんご本人この舞台後に髪を切ってる事からも
  かなり髪を痛める方法を使った?のかと思います。

  舞台公演前半に比べ、後半になるほど髪が傷んでか、
  前半と後半での差が見比べにくくなってた気はしますが、
  役の為に身体を張るのはやはしすごいですね。

忍ブ阿呆ニ死ヌ阿呆

忍ブ阿呆ニ死ヌ阿呆

企画演劇集団ボクラ団義

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2015/03/11 (水) ~ 2015/03/22 (日)公演終了

満足度★★★★★

再演は進化の可能性!!
本作品については初演を観ていた為、
物語の展開にも「あっと驚く」という事はないかな、
と観劇前から思っていました。

今回特に期待していたのは以下の点でしょうか。
・ あの人のあの役再演
・ 「ヤングチーム」側がボクラ団義その他
  ベテラン役者陣チームと比べ、どれだけ
  「まだまだ役者としてのレベルが足りないと感じるか」
  「逆にフレッシュな情熱を感じさせる事ができるか」


劇場で舞台セットを見て、
センターの高台が以前より高い事や
舞台セット全体があざやかになっている事など、
そういう面を強化しての再演なのかな?
とも感じました。


実際舞台が始まって、まず映像面での強化
(ここ数年ボクラ団義公演を観るごとに
OP映像などが格段に強化されている)について、
最前列だった事もあり全体を視野に捉える事が出来なかった為、

「これは生舞台で観るよりもDVD/ブルーレイなどの
映像媒体化されるのを待って楽しむべきなのだろうか?」など、

今回(序盤は)「生の迫力」を楽しむよりも
そういった一歩引いた気持ちで観劇していたような気がします。

その後、お芝居が進む中でも
一部役については初演のキャストとの見比べで
「発声などは初演時のキャストの方が良かったかな?」
など色々思いながら観劇しましたが、

途中途中で以前にはなかった「アレ?」と思う事がありました。

以前は物語の途中途中に
「なんでこの時この人はこの行動を取ったのだろう?」など、
説明不足や設定不足(あるいはわざと隠した)などによる「疑問点」が、

叙述トリックの名手であるボクラ団義主催にして
脚本/演出家久保田唱の舞台では常につきまとっていたのですが
(そのし掛けを「良い」と思うむきも
「トリックに走る為にこじつけている」と思うむきもありました)、

今回物語の流れが「かなり自然である」と感じました。


「こういう理由だからこういう行動を起こした」など、
初演では見えなかった「何故?」の穴が全て埋められていたように感じます。

そういった物語面の補正(進化といっていい?)のおかげで、
物語自体に仕込まれたさまざまなトリックについて、
そのほぼ全てに「こういう理由があったのか」のように納得しつつ、
見入る事が出来ました。


そして、物語がクライマックスに向かうにつれ、
序盤台詞回しに少々難を感じていたキャスト達も
皆お芝居にのめり込むように集中し、
最後には涙腺に来るものまでありました。


「再演」(Play Again)は、
1度脚本/演出し上演した舞台について、
更なる進化をとげるチャンスでもあるんだな、
という事を強く感じさせられました。


早くヤングチーム公演と見比べて見たいですね。

ネタバレBOX

【思った事】
・ 以前は森田涼花さんが務めた下忍の妹役を
  今回は今出舞さんが務められていましたが、
  序盤発声/滑舌に難があるように感じ、
  「初演の方が(森田さんも声は小さかったですが)良かったかな?」
  とも思いましたが、
  後半に入るにつれて演技がみるみるうちに
  良くなっていくように感じました。


・ 下忍仲間の「だんじょう?」(でしたっけ?)
  物語のキーマンとなるあの役、
  初演は塩崎こうせいさんが務められていたかと思いますが、
  今回のキャストの方も、
  ただ優しいだけでなくひとくせもふたくせもあるような
  「智者」的ないい雰囲気が出ていたと思います。
  (その分コスケ(?)が、情熱一本槍に
  つっぱしっているようにも見えてしまいますが)


・ ストーリーテラーとして常に舞台上で状況を見守っている3人
  (老人、若者、お江様)が、
  時に目の前で起こっている内容についてツッコミなどを入れたりと
  ただの傍観者、説明者ではなく、
  次元を越えて舞台に関わっていたのが良い演出だと感じました。

・ そして、沖野さんの織田信長について、
  初演では「ただただ狂気」という印象だったのに対して、
  今回は戦国時代の寵児として様々な苦難を乗り越え
  駆け上がっていく名将でもあり、

  そして「忍びを毛嫌い」し、
  後々「本能寺の変」を迎えるまでに(史実その他で)

  忍びの者および明智光秀、豊臣秀吉、徳川家康それぞれに対して、
  これはあまりにも不遜にして非人、
  「恨みをかって当然だろう」と思わせる行動の数々が
  (初演よりも)今回強く描かれていたように感じます。

  だからこそ、この展開に至った、という事が納得できます。

  今回、本劇を観劇している中、「大筋を知っていた」がゆえか、
  結構目の前で演じられるお芝居自体には
  心を引っ張られる面が少なく感じていましたが、

  徳川、豊臣、明智の3者での会談の場面だったか(?)、
  明智が織田信長のあまりの非道ぶりに怒りを露わにする場面、
  そこで自分の涙腺に涙の火(?)が灯ったように感じました。

  そこからは前半に張りまくった伏線の回収について、
  かなり物語に引き込まれていきました。

  その上、ラストに至るまで、
  今回は色々「優しさ」的に心に触れるオチを
  追加しているのがなんともいい感じでした。
  (下忍仲間がみんな生きていたという設定や
  茶々様にも事実を告げて生きてもらおうと行動する所など)


・ 織田信長が「本能寺の変」にて死ななければならない理由、
  これが「初演時一番疑問視されていた点」だったと思いますが、
  これについて今回は「ただ暗殺するのではいけない事」、
  「秀吉がその後天下をとるにしろ、信長の系譜を終わらせる事」、
  など、ちゃんと狙いがあってそうしている、
  その為に暗殺後だんじょう?は信長の自決までを演じていた、
  という事がとてもよく理解できました。


・ ボクラ団義といえば3時間近い長編が主ですが、
  その間に休憩を入れてくれた事は良かったと思います。
  (初演でも入っていたかしら?)

  休憩直前に「盛り上がり場面」を入れた事、
  ブレイクタイムパンフレットとして現在までに
  分かった事などを示す事で、
  ・ 観劇者達を置いていかない工夫
  ・ 前半戦で物語に集中した気持ちを完全にリセットしてしまわない工夫
  がなされていたのがかなり効いていたかと。

  結構ボクラ団義の舞台感想といえば、
  「トリックの面白さ」か「2時間オーバーはツライ」かに
  二分されてしまう事が多かったように感じますが、
  今後もこのように、効果的に休憩時間を入れてくれると
  ボクラ団義お芝居のハードルが下がって、
  更なる観客が見込めるかも知れません。

  また、いつもなら観劇終了後のアフターパンフレットで
  「(本当の)事実」を改めて観客に理解させる」だけで
  終わっていましたが、
  ブレイクタイムパンフレットを使う事で、
  1.何も知らない状態
  2.今までに分かっている事
  3.真実
  のように、3段階で物語を楽しめるようになるかも知れません。

  今回は戦国時代の歴史を辿る流れがあったから
  こういう試みを行いやすかったのかも知れませんが、
  今後も続けていって欲しい試みだと思いました。


・ 本日3日目、との事でしたが、
  各役それぞれに長台詞が多い事もあり、
  ちょっと台詞トチリが多かったように感じました。

  噛みトチリぐらいは大した事ではないのですが、
  舞台自体の吸引力が落ちてしまうとツライものがあるかな、と。

  汗だくになって演じる役者皆様に「熱」は感じていたのですが、
  舞台上からの「吸引力」という感じ方はあまりしなかったんですよね。
  不思議だなあ。
  (知らず知らずのうちに客観視していたのかも知れません。)


・ 今後もどんどんPlay Againにて、
  進化した再演を期待したいと思います。


まあとにかく、二度観とヤングチーム公演が楽しみです。


PS.3月15日
どうしてここまで良く出来た舞台、役者の演技なのに
自分の感情引っ張られる力を感じたのは明智が「信長、討つべし!」と
立った場面からだったんだろう?
とずっと考えてましたが多分信長の暴虐武人ぶり、狂気
(裏では忍の画策あり)に見とれてしまっていて(客観視に近い?)、
感情ではその狂宴に母まで殺された明智が立つ瞬間に
気持ちがシンクロした、という感じだったのかしら?
あまり「見とれる」という感覚は持った事なかったので
「感情があまり引かれなかった」と捉えて、
☆4つにしてましたが
ネットでOP10分見ても「やはり秀作、名作」と思えたので
今さらですが☆5つに直しますm(._.)m
300年の絵画と鉄仮面の姫君

300年の絵画と鉄仮面の姫君

KENプロデュース

北沢タウンホール(北沢区民会館)(東京都)

2014/09/13 (土) ~ 2014/09/15 (月)公演終了

満足度★★★★★

ミュージカルとしては発展途上、だけど舞台は最上級!
KENプロデュースさん、初のミュージカルとの事で
今までそれなりに歌もうまく面白かったミュージカルを観てきた自分
(全然初心者ですが)にとってツッコミ所は結構あったのですが、

まず舞台/お芝居として本劇が面白すぎる、
特に後半~終盤の流れは観客の「心」を完全に引き込んだと思います。

「感動」って言葉を最近使いませんが、まさに”感動”させられました。
ハートを射抜かれるいい舞台でした(´;ω;`)

ネタバレBOX

先に「ミュージカル」としての突っ込みどころ(覚えている所)

・ 序盤の合唱まではともかく、それ以降の歌とダンスの使い方について
  お芝居が延々続いた後に盛り上がりでちょこっと織り交ぜる、など
  ちょっと「ミュージカル」を名乗るには上手い構成だったとは・・・
  (この人をこの場面で歌わせる意味は?という場面もいくつか)

・ 初のミュージカル、そして座組メンバーもミュージカル初の方など
  多数(?)との事で、歌については上手い/下手が顕著に現れていました。
  ※ お芝居自体ではなく、あくまでも歌唱の発声が出来ているか、
    歌いながらの演技が出来るか、
     その後のお芝居に「歌い疲れ」(呼吸的に)がでていないか
    などの点で

  配役について、自分ははっきりいって(お芝居としての良さを除けば)
  合唱はともかく独唱するのは「(現時点で)歌がそれなりに上手い」
  メンバーに絞るべきだったと思います。
  (その演者自身に歌わせなくても、「ミュージカル」的に
  場面を表現する方法はいくらでもあったかと)

・ ほぼ全員でのダンスはちょっとまとまりに欠けたかと
  少数のダンスはいいものがあったのですが・・・


それらを突っ込んだ上で、本劇はお芝居としてとても面白かったです。

・ 序盤からの物語の流れ/構成

・ 後半主人公(?「砂漠の風」5人全員が主人公でしょうか)が
  「本当の愛」を知る場面

・ 数は多くなくともはられた伏線のその活かし方
  特に、実は元はキツネだったという仲間が最後、
  仲間たちを救った上でキツネの絵にされてしまい・・・
  という流れ

後半から終盤、いっきにすごい吸引力で観ているこちらの涙を誘いました。
(涙なしで舞台上を見つめる事が出来ませんでした。)


そして、終わりの演者紹介をしつつ、
更に物語の終わりがハッピーエンドであった事を伝えるシーン
(キツネの絵から仲間が救い出される場面)
「ここまで使ってくるかあ!」と拍手しながら
その上手さに驚きが隠せませんでした。

その上での合唱〆(しめ)もすごく良かったです。
(本劇では聴こえのとても良い「合唱」の方をもっと使うべきだったかも知れません。)


「ミュージカル」としてはまだまだこれからの劇団だと思いますが、
舞台としては最上級に面白く仕上がっていたと思います。

PS. トラブルで剣を落とした役者を別の役者がアドリブで上手くサポートする場面など
  役者としての上手さも感じました。
ザ・ボイスアクター アニメーション&オンライン (再演)

ザ・ボイスアクター アニメーション&オンライン (再演)

劇団6番シード

新宿村LIVE(東京都)

2015/04/15 (水) ~ 2015/04/21 (火)公演終了

満足度★★★★★

アニメ声優ヲタクの自分が熱弁したくなってしまうほど収穫のある舞台
感想2連投すいませんm(_ _)m
しかし、オンラインゲーム編、アニメーション編は
全く別の舞台だったので
2つとも感想を上げさせていただきます
(特にアニメーション編は書きたい内容多々だったので)。


マチネでオンラインゲーム編にてプロの「声優」の
あまりの「熱さ」に触れて、
その後ソワレですぐにアニメーション編、

実際席についてから思ったのですが、
「オンラインゲーム編/アニメーション編の位置付けって、
きっとWキャスト、一部物語変更あり」みたいなものなんだよな、
と想像してました。

だからあまりに同じ展開が続いてしまうと、
あれほどに「熱さ」のある舞台だからこそ
ちょっとだけ「飽き」ちゃうのかな?
(気持ちが引っ張られなくなってしまうのかな?)
とマイナス思考してしまっていました。

しかし心配は杞憂に過ぎませんでした。


・・・いやあ、ほんとすごい!

背景となるアニメ/ゲーム、
そして登場声優としての背景設定は一緒とはいえ、

・ アニメのアフレコ現場風景

・ ゲームのアフレコ(違う言い方があったような?)現場風景

全く別の劇をメインキャスト一緒でやってしまうなんて
思いもしませんでした。

※ だって
  ──────────────────
  ゲーム編2時間+アニメ編2時間=4時間
  ──────────────────
  かつアフレコ中心のお芝居という事で
  アフレコパートでは1時間近くポンポンと続く長台詞を

  ※ ゲーム編は台詞間にわざと筋(つながり)が
    なかった為覚える事自体に苦労したかと

  逆にアニメ編は1つのアニメとして台詞間には
  物語の筋(つながり)がある分
  台詞は覚えやすかったかも知れませんが、
  マイク前での移動のやりとりが延々続く為(それがアフレコ作業)
  そういう位置取りなんかも覚えなければいけないという、
  合計すれば超ロング舞台。

  それを本日アフレコパートについては
  「ミス(ほぼ)ゼロ」でこなしてましたので。


ネタバレにならない範囲で驚いた事

1.ほっちゃんがいた!
  川村ゆきえさん演じる大声優役が
  まさにほっちゃん(堀江由衣)さんの
  グラビア/コンサートとは違う表に出ないアフレコ現場での姿
  (として浅野真澄さんの漫画「それが声優!」で語られている)
  まんまだったので驚いてしまいました(低姿勢ぶりまでまさに大声優)。

2.宇田川さんの声優演技があまりに「声優!」してる
  素の声と全く異なるキャラ付け/デフォルメされた声、
  とでも言うのでしょうか、
  マスコットキャラの声を見事に演じていました。
  その為、役者がやる「声優業界のお芝居」というよりも、
  「本物の声優達のアフレコ現場」として観る事が出来ました。
  ※ 他にもすごく「声優!」な声を出している方がいましたが、
    すいません名前が分かりませんでしたm(_ _)m
    女王様みたいな人。

3.アフレコ現場の実際が描かれている(と思う)
  アニメのアフレコ現場って声優10人近くが
  3本足らずのマイクを取り合ってどんどん
  台詞を言っていく形式、という事は「アニオタ」なので
  さすがに知っていましたが、
  今まで実際その光景がまったく頭に浮かびませんでした。

  どうやって順番に、かつ自分の使うマイクを選んで台詞を発していくのか?
  それが今回の「ザ・ボイスアクター アニメーション編」を
  観る事で痛いほど(実際主人公はかなり痛い思いをしまくりでしたが)
  よく分かりました。

  台本上の各人の台詞とその空きの長さを把握して

  ※ 基本的にアニメやお芝居は「現実世界」と違い、
    狙って複数人の台詞をかぶせる以外では
    1人1人順に台詞を発していく形になるので
    (現実世界だとお互いが同時に喋り出したり、という事が良くありますが)
  
  今マイクを使っている人の台詞終わりとその後の空きの長さで
  次に使うマイクを決めて後ろに並んでいく、
  という流れだったんですね。

  主人公もトラブってしまいますが、
  これって慣れないとかなり難しい流れ作業だな、
  と思いました。

  そして何より主人公。
  最近のTwitterなどでも話題になっていましたが、
  俳優がいきなり「声優初挑戦」する風潮ってどうなのよ、と。

  スタジオジブリなんかだと「媚びた演技の声優よりも俳優の方が偉い」
  みたいな事を宮﨑駿も言ってしまっていたので、
  何か声優が格下のように使われているイメージがありますが、
  本来ならアウェイである声優業/アニメアフレコに初参加する
  俳優さん側が「勉強させてもらう」立場なんですよね。

  本劇ではベテラン俳優だけどアニメアフレコは初めて、という
  主人公がかなーりの低姿勢で、
  アニメアフレコのルールが全く分からずに
  色々とトラブっていく姿が描かれていて、
  「そりゃそうだよな」と納得してしまう上、
  「声優」がちゃんとした立派なプロの仕事として
  描かれているのがなんだか嬉しいです。

  更に言うと最近「SHIROBAKO」という、
  アニメ制作会社がアニメ制作していく流れを描いたアニメが放送され
  かなりネットで話題になっていたのですが、

  それが終わったばかりのこのタイミングでの「ザ・ボイスアクター」(再演)、
  まさに流行にリアルタイムでこんな舞台が観れるとは、
  とタイミングの良さにも感激しました。


※ 表感想の時点で長くてすいませんm(_ _)m

【総括】
「アニオタ」ならアニメーション編は観るべき
(そしてリアルに顕現したアフレコ現場のほっちゃんをまず見るべき)、

そして「声優」好きなら声優ブームの火付け役となったゲームへのボイス入れ、
そしてゲーム業界の「今」

? 実際には「今」よりは古いお話なのでしょうが

が分かる「オンラインゲーム編」も観るべき、
という感じでしょうか。

ネタバレBOX

【思った事】
表に描かなかったのは

・ 最初初声優挑戦の主人公に優しく接してくれるほっちゃんが
  主人公が俳優としての「自分流」をどんどん取り入れて
  現場を荒らしていく(?)姿にめちゃくちゃ怒り、
  そして「メンタル的に弱い」ほっちゃん
  (堀江由衣さんはメンタル弱くないですよー、
  田村ゆかりさんはともかくとして)は
  それに調子を崩されて演技に支障をきたしてしまう。

  そして「主人公を下ろしてくれ」と音響監督に言ったり
  主人公に「自分の演技の事だけ考えて(他人なんて考えず)演じろ!」と言ったり、

  途中チームワーク的な所から外れた本性を見せるのですが、
  最後にあくまでも声優初心者で頑張っている主人公のその熱意その他を認めてくれる所に、
  ほっちゃん(川村ゆきえさん)自身の成長を感じたり。


・ 主人公が絵コンテを観ながら
  (動くアニメ映像じゃないからうまくイメージがつかめず)
  手探りで演技していく中、
  熱が入ってきてやっと「自分の役のイメージが見えた!」と
  思った瞬間に、
  絵コンテが真っ白状態に(作画未着手部分に入った為)状態になってしまい、
  せっかく見えたイメージが消えてしまい、台詞が喋れなくなってしまう。

  それが元で色々トラブルが起きるが、最後主人公が
  「自分の役の最後の姿が明確にイメージできました!」と
  音響監督にそのイメージを伝える。
  
  しかし、音響監督は「作画がまだ上がってきていないんだから、
  実際そんなイメージで演技されてもそれに上がってきた作画が合うかどうか分からない、
  今思っていたイメージは全て頭から捨てろ、その上で”ただ”泣いて見せろ」と
  無茶(?声優さんには普通なんですかね?)な要求をする。

  悩む主人公に打ち解けてきた
  (というか主人公を少しずつ認めてくれ始めた声優陣が)

  風の谷のナウシカの「ラン、ランララランランラン」の
  テーマが流れてる場面、
  あれをイメージすればだいたい泣けるから、
  とアドバイスしてくれた上、
  最後主人公が泣く演技をする場面でまさかの全声優陣大合唱。

  ネタとして笑わせつつ、「そうだよな」と納得もしてしまう、
  そんな「面白い」締め方をするのが上手いなー、と。


・ アニメ主人公(本劇の主人公ではないです)の単なる仲間役の
  若手声優が初めて「脇役のその深層に迫る」という
  主役級の場面を貰うが、
  その演技が上手く行かず(音響監督からOKを1つも貰えない)悩んだ挙句、
  主人公(俳優)に
  「俳優さんはカメラに向かって演技すると思うんですが、
  人ではなくカメラに向かって演技する場合
  どうやってその気持ちになりきるんですか?」と相談する姿など、
  ありうるよなー、と思える本劇の本筋が「面白い!」。

  そして、それが後々のトラブルに繋がっていってしまう流れが「上手い!」


・ オンラインゲーム編、アニメーション編、両方ともで思ったのは、
  普通お芝居を観る上で「噛み」「トチリ」なんてつきもので
  1芝居観れば少なくて数回、多ければ10回以上出会ってしまい
  場合によっては、せっかくのお芝居への集中が解けてしまう事もある、
  しかし「人間なんだから噛み、トチリぐらいしょうがないよな」と
  半ば観客としてあきらめている部分でもありました。

  でも本劇はあくまでもアニメの「アフレコ現場」、
  アニメのアフレコの本番で「噛み」「トチリ」なんてあったら
  別録り含め録り直し当たり前の世界の為、
  本劇中のアフレコシーンでの「噛み」「トチリ」は
  普通のお芝居以上に本劇が作っていく空気感、求心力を
  壊してしまう可能性がある、

  そんな高過ぎるハードルを越えて
  1人につき何十何百という台詞を(声優と違い台本なしで)、
  発していく「声優」役の役者陣の凄さに驚嘆しました。

  はっきりいってクライマックスのアフレコの流れは、
  (オンラインゲーム編も同様の構成でしたが)
  いつミスが出ないか、という怖さも含め
  手に汗握ってしまいました( ´ー`)


あと私事(わたくしごと)ですが、
自分がそもそもお芝居を本気で(?)観劇するようになったのって、
そもそも無趣味だった自分が
インターネットでラジオが聴ける事を知り、
なんとなくで声優さんのラジオを聴いて
声優さんって声もいいし話も面白いな、
と思ってアニメを見始めて、
更に声優さんの活動を調べていったら

声優業/俳優業を兼業される方が多く
声優さんの舞台を観に行ったのが初めで、

しかしその頃はお芝居としての面白さなんて
まったく感じていなくて単に
「あの有名声優を生で見れる」ぐらいの気持ちしかなくて、
それがたまたま応援しているJリーグのチームの応援番組の
アシスタントのグラビアアイドルが出るという小劇場演劇を観に行って、

「これが本物のお芝居か!」とあまりに精巧に作られた脚本から
本物の役者の演技からに惹かれるものがあり、
小劇場演劇の方にハマっていって、という流れもあったので、

まさかその小劇場演劇のお芝居でかつて自分が憧れた(?)
声優業/アニメのアフレコ現場の真実(にしか見えない)に
触れられた、というのは嬉しかったなあ、と。



長々と失礼しました。
いやあ、6番シードさん、開演前のPVその他含め
こんなに面白い劇団さんだと知りませんでした。

ファンになりました。
黄金のコメディフェスティバル2014

黄金のコメディフェスティバル2014

黄金のコメディフェスティバル

シアター風姿花伝(東京都)

2014/09/18 (木) ~ 2014/09/29 (月)公演終了

満足度★★★★★

企画的に満点でしたヽ(´ー`)ノ
第2回との事ですが、
「コメディ」というテーマで演劇団体6団体が
それぞれに与えられた45分を使って短編芝居を行い、
それを審査員および一般観客で審査して大賞を決定するというこの企画。


まず、投票する為には全劇団観劇しなければいけないという
(当たり前ですが)このルールがいいですね。

自分のお気に入り団体だけ観劇して投票、
という偏った審査ではなく、
(心理的な公平性はともかく)
「全劇団を観劇した上で」投票する事になるという事は、

・ 各劇団に新たなファンの獲得チャンスを与える
  そして賞を狙う事により、更なる注目を集めるチャンスでもある

・ 観客側にとっても、新たな劇団を知るチャンスである

主催その他の方いわく「演劇自体は他と比べるようなものではない」
との事でしたが、こういう色々な劇団同士が自分達の
お芝居内容を評価/比較され、切磋琢磨しあう事は
劇団の為にもすごく良いのではないでしょうか?

また、CoRich感想投稿者のように舞台を観て批評する、
という人達にとっても、いつものように
1劇団だけを観ての感想ではなく

複数の劇団についてそのお芝居の内容を(出来れば)公正に審査し、
批評する、という事に審査のプロ(?)と一緒に参加出来るイベントというのは、
今後の観劇人生にとってのなんかの指標になるような気がします。

自分は今回の自分の感想と投票内容、
そして実際の各賞受賞劇団/演者さんについて
とても満足しています。
またこのようなイベントに参加したい、と思いました。

ネタバレBOX

各劇団感想おば。

●アガリスクエンターテイメント
『出会わなければよかったふたり』

本イベントの最初を務めるにふさわしい劇団、そしてお芝居でした。
脚本/演出家そして演者が仕掛けた1つ1つのネタが見事にツボにハマり、
会場中が爆笑爆笑また爆笑。

そうやって爆笑で終わらせるようで、最後に主人公の見せる優しさが
アクセントを加えるという笑い9割涙1割、
演出/脚本家の方が言っていた「コメディがやりたくて自分はお芝居を目指した」という
言葉にふさわしい見事な正統派コメディ演劇でした。


●バンタムクラスステージ
『シャンタンスープ』

コメディ5割にシリアス5割、「お笑い」の世界そのものについて
切り込んだ力作でした。
お芝居としては一番上手に喜怒哀楽の緩急を使い分けていたと思います。
(「笑い」の世界でありながら時に緊迫の空気を作り、
最後にはお笑いの世界の仲間たちの「友情」的なものまで生まれるという)

ずっと投票で迷った劇団でした。
最後は今回は「コメフェス」という事で票を外しましたが、
大阪から東京に拠点を移したというそのお芝居を今後も応援したいと思います。


●ゲキバカ
『ゲキバカ・ディスティニーランド』

難しかったですね。最初顔をゴルゴ13調にした主人公の登場から、
ちょっと「狙いすぎか?」という疑問がつきまとっていました。

物語途中も「とにかく高いテンションで」という
”テンションコメディ”とでも言うような笑いの取り方で
観劇3劇団目でちょっと疲れていた自分やその他の観客には、
この笑いについていくのは辛かったかなあ、
順番が早ければまた違った評価になったかなあ、と。

なんとか賞を取られた女優さんいわく「まだ演劇経験は浅い」との事。
お芝居の枠内に留まらないこの熱を、今後うまく放熱させる事が
出来るようになったらきっと面白くなる、とは感じました。


●8割世界
『ハッピーちゃん』

2度のダンスなど、演劇構成にこだわった劇だったと思うのですが、
ちょっとコント仕立ての笑いネタで、1つ1つのネタが引っ張りすぎたかなあ、と。
例.ハゲネタなど

ゲキバカさんと同様、このネタ振りについて行けるだけの体力があるうちなら
もう少し笑えたかな?と思いつつ、「構成の流れは良いのにもったいない」
と思わせられた劇団でした。


●おぼんろ
『U&D&O』

前説的に会場に現れた俳優が、「物語」に対する自分達の考え方などを伝える場面は、
4時間以上観劇を続けてかなり疲れた思考に対して、
一種の清涼剤のように良く響きました(いい事言うんだもの)。
目が覚めた感じがありました。

しかし、2人芝居の方、「自分の感覚を研ぎ澄ませて思い浮かべて下さい」という事で
かなり2人の言葉が紡ぎだす世界を想像し、その映像を眺めていたつもりですが、
「テーマ」が良く分かりませんでした。

そして「コメディ」路線からは完全にハズレていたかなあ、と。

観劇後のコメントなどでもやはりいい事言うんですよね、
企画/演出兼俳優の方。

次は何か「テーマ」を絞って2人芝居に挑んで欲しいなあ( ´ー`)
2人のパフォーマンス付き朗読劇的なものと考えれば
自分の好きなジャンルなので。


●ポップンマッシュルームチキン野郎
『殿(しんがり)はいつも殿』

休憩中トイレに行って帰ってきたらもう前哨戦が始まっていた。。。
鶏メイクをする役者がメイク担当に対して、
「俺の鶏に対してチキンのあいつが合わせられてないと思うんだ、
なんで鶏がチキンに合わせる必要がある?」
ともう笑いの攻撃が始まってました。

この時点で
”本舞台前の攻撃は姑息だけど観客を喜ばせるという意味で上手いなあ( ´ー`)”
と思わされましたが、この時点ではまだ今日はグーチームの
・ 正統派演劇
・ 「笑い」の世界をリアルに描くお芝居
2つで決まりじゃないかな?
と思ってました。

しかし、何よりも本日の観劇コース的にも殿(しんがり)で、
一番疲れた観客達を相手にする一番辛い立場なのにも関わらず、
本日の演劇で一番「吹き出してしまった」(前の席の人には申し訳ないですが)
爆笑の上限まで達するお笑いの上手さ、そして物語の奇想天外さと
見事なコメディ、完全に「笑い」で観客席を掌握しておいて

最後に悲しみ、そして愛と優しさをもって落とすという、
すばらしい物語の起伏。

やっぱりPMC野郎は単にブラックネタを盛り込む危険集団ではなく、
ちゃんと邪道に正統派お芝居で泣かせてくれる集団でした。

最後まで見ちゃうともう自分の中でランク変動激しくて、
投票直前まですごく葛藤させられましたが、
「PMC野郎がトップ」は外せないな、と完全に思わせられました。

※ 「ドキンちゃん」「瀬戸内寂聴」「資格のオーハラ」その他、
  危険なネタを沢山盛り込んでいる為、
  「優勝してもTVには出れないんじゃないか?」
  とずっと思ってましたが
  明日(9/29(月))の収録ではそこは一部回避策を盛り込むそうです( ´ー`)


●その他
歌のイベントがある事は自分は知らなかったけど、
いきなりアイドル登場はちょっと辛かったですね。
応援したり直視したりしようにも、想定外の出来事だったので( ´ー`)


●表彰式
最後の表彰式、審査員および観客投票によるいろいろな賞の受賞、
多少手心?(というか優しさ?)を持った賞もあったと思いますが、
今回のフェスに参加された各劇団が今後再びコメフェスその他への出場や
演劇への思いを新たに切磋琢磨してくれればいいなあ、と。
はんなり☆夏語り~縁~

はんなり☆夏語り~縁~

はんなりラヂオ

赤坂RED/THEATER(東京都)

2015/06/20 (土) ~ 2015/06/22 (月)公演終了

満足度★★★★★

はんなりさんは泣かせ上手
朗読劇「はんなりラヂオ」、
今回は人と人との「縁」に絡めた3作品。

【沢村校長の晩年】
【花まんま】
【縁の五十両】

はっきり言って【花まんま】が泣かせました。
(ネタバレ避けて)フライヤーに書いている限りで、

自分の妹が「別人」を名乗りだした!

という所からの物語の展開が、
笑わせながらでありながらも、
それはあまりにも悲しくて、
でも「救い」があって素晴らしかったです(´;ω;`)


あと沢村校長の口ではブチブチ言いながらも
案外今の家政婦との暮らしを気に入っていそうな所も
癒やされましたね。

縁の五十両、見事に縁の連鎖の話なのですが、
自分にはちょっと「そもそも~~」という所で、
ちょっと大トリという感じではなかったですかね。

まあ、「これぞ朗読(群読)」と言える作品達、
そして演者陣でした( ´ー`)

ネタバレBOX

【思った事】

●沢村校長の晩年

・ 始まってすぐの頃、阪脩さんの語りが
  「ナレーション口調」のみだったように感じられ、
  「役に入り込めていない?」
  「ただ”読み”になってしまっている?」など、
  少々不安を覚えましたが、

  その後だんだんと沢村(元)校長が地を出していくにつれ、
  その口調から何からが「人のぬくもり」と
  「沢村(元)校長の(少々の)嫌味ったらしさ(?)」などを
  表に出していく様に、

  「ああ、最初は皆に慕われた”沢村校長”(という嘘の人格者)で、
  それが家政婦さんとの付き合いの中でだんだんと
  ”本音”を出すようになったんだな」という「変化」を演じた、
  と感じられるようになりました。

・ 「ただ言いたい事をいつも表に出さず」という行動が
  「いい人」という扱いを受けてしまい、
  その「誤解」は解ける事もなく、、、

  と晩年まで過ごして来た沢村(元)校長が、
  あまりにも押しの強い家政婦との付き合いの中で
  だんだんと「地の性格」を表に出すようになり、

  それがいつしか「家政婦手編みのニットキャップ」まで
  かぶるような仲になってしまっている(溶け込んでいる)という、
  だんだんと変化していく波のような「縁」に
  微笑ましさを感じました。


●花まんま

※ あらすじまんま書いちゃってます。

  (大阪ならではの笑いのテンションそのままの流れでありながら)
  妹が産まれてすぐに父を亡くし、
  片親(母親のみ)で苦労しながらも
  兄として必死で妹の面倒を見てきた。
  ※ 途中で兄妹とも10歳、7歳だったかと。

  しかし妹がある日高熱を出して以来、
  妙に大人びてしまった。

  ※ その時から、舞台横に「おばさん(?)」演者が
    一緒に(ジョジョで言うスタンドのように)立つようになり


  そして、「彦根(ひこね)」について色々と聴いて来る妹。

  ? すいません、彦根について自分自身詳しくないのですが、
    多分京都大阪の海の方?

  更には友達の家に行くと言って帰らず、
  電車にズル乗りし京都付近で保護された妹
  (彦根へ行こうとした模様)。

  兄は妹のノートに書かれた自分の家族と
  知らない誰かの家族達の名前、
  そして妹の名前が何故自分達の方に書かれてなかったのか?
  に疑問を持ちます。

  そして妹が「彦根へ連れて行って!」とお願いしてきた際に
  妹のノートの謎について問いただします。

  そして、、、

  妹「自分の中には別の誰か(しげたきよみ)がいる。
    そしてしげたきよみは二十歳を過ぎて、
    エレベーターガールになって
    知らない男に刺されて死んだ。
    彦根にはその家族がいる。
    一度でいいから彦根へ行かせて。」

  との願いに

  兄「彦根には連れて行ってやる。
    だけど、お前はうちの妹だ!

    苦労して育ててくれた母ちゃんもいるし
    死んだ父ちゃんとの約束もある。

    相手の家族だっていきなり知らない娘が
    ”実は死んだ娘(の生まれ変わった姿)だ”なんて
    言ってきても困るだけだ。
    だから(元の)家族に会うのは諦めろ」

  と。

  そして兄と妹、+なぞの「おばさん」(幽霊?)

  ※ この時点では「おばさん」=死んだ「しげたきよみ」本人かと思ってました。
    年齢が合わない所が更なる「謎」でしたが・・・

  は彦根へ、そして「おばさん」の案内もあり、
  海辺近くへ辿り着き、
  そこでガリガリのおじさん、を見かけます。

  妹「・・・お父さんだ・・・」

  兄に説明したしげたきよみの父親はとても太っていたそうです。


  近所の人にその話を聴くと、
  「娘さんが”事故”で亡くなってしまった時、
  自分は何も知らずたぬきそばを食べていた。
  そんな自分が許せずにそれから何も食べていない(最低限の栄養はとりつつ)。」
  との事。

  ※ この頃には妹=しげたきよみの死の直後に転生したもの、
    と物語上背景が見えています。

  (きよみの)父に会いたがる妹に「どうしてもダメだ!」とつっぱねる兄。

  そして妹は「ならば、あるモノを渡して欲しい」と兄にお願いします。


  そして兄はしげたの家を訪ね、
  立派に成人し歳をとったしげたきよみの兄、姉に対して

  兄「そこで髪の長い花がらのワンピースを着たお姉さん(しげたきよみの姿)に頼まれた」

  と父親に袋に入ったあるモノを渡すように頼みます。

  最初いぶかしがるしげたきよみの兄と姉、
  しかし父親がその”モノ”を見て驚きます。

  「花まんまだ・・・箸もちゃんと枝で2本・・・」

  ※ 花まんまは(自分は知りませんが)
    子供がおままごとでお花を使ってつくる
    「お弁当」のようです。

    そして、妹も、しげたきよみも、
    かつておままごとのたびに
    これを兄や(きよみの)父親にいつも出してくれた、と。

  亡き妹の事を思い出し、「誰からこれを託された!?」と
  執拗に聴くきよみの兄、姉に対して、
  ただ喜び、花まんまを(多分実際に)食べる(きよみの)父親。

  ※ この場面もう号泣でした。
    あまりにも悲しい家族に対して
    これまたあまりにも優しい場面(´;ω;`)

  そして兄は去ります。


  その後、妹の願い「○○湖を散歩しよう」に付き合って、
  じゃあ帰ろうと駅についた時、
  きよみの父、兄、姉がそこにいました。

  ※ (きよみの)姉は婦人警官なので、
    きっと子供がこれから
    帰るとすれば駅に行くだろう、と張っていた。


  そして、(きよみの)兄、姉が
  「花まんまを作ったのは、お嬢ちゃんなの?」と問いかけますが、
  (きよみの)父は「きよみ・・・」と妹を見つめます。

  兄は「さすがに父親には分かるのか・・・」と。

  しかし兄は妹を守り、
  妹は(きよみの)兄に名前を問われ、
  葛藤しつつも「今の自分の名前」を名乗ります。


  そして、(きよみの)母親が既に亡くなった話を聞き、
  亡くなったのが3年前だと言う事を知り
  (=ちょうど妹が高熱を出し、それから行動がおかしくなった)、
  
  きよみの家族達は、
  「きよみだけじゃない、母さんも父を心配してたんだ・・・」
  と気付きます。

  ※ そう、妹が高熱を出した後、ずっと「しげたきよみ」のように
    付き添っていた「おばさん」演者は
    「きよみの亡き母親」だったのです。


  そして、、、
  しげたきよみが亡くなった24歳を越えて、
  実の母親も過労が祟って亡くなり、

  妹がお嫁に行くその日、

  兄は「しげたきよみが生きた時間はもう過ぎた、
    これからは間違いなく、自分の妹の時間なんだ・・・」

  そして、親族のほとんどいない兄、妹に対して
  (亡き)父、母、きよみの母(幽霊達)、

  そして、
  きよみの兄、姉、

  更にはきよみの父親が妹のバージンロードの手を引いて歩く、という・・・

※ 千穐楽という事で【花まんま】作者の方も会場にいらしてましたが、
  ほんといい話書く人だな、あんた(´;ω;`)

  思わずあらすじそのまま書いてしまいました・・・


●縁の五十両

ささっと・・・

江戸時代の頃、貧乏な屋根職人の家を継いで自分も屋根職人になり、
50を越えようという父と母、
そして「せめて息子だけはこの貧乏暮らしから抜けさせたい」と
学を付けさせ、着物問屋に奉公にやらせた息子。

息子がある日家に現れたと思ったら、

息子「五十両貸してくれないか!理由は言えないが、
  おタナのお金に手をつけてしまった。
  年末までに用意できないと大変な事になる。」

心配する母親をよそに父親は息子を殴って追い返します。

※ 甘やかして育ててしまった。。。
  男にはそういう時がある。
  なんとか切り抜けろ、と。


しかし、それでもなんとか息子を助けようと
父は屋根職人の棟梁に「金を借りられないか」相談しようとしますが、
棟梁は「用事がある」と出かけてしまいます。

※ 自分が言いたかった「そもそも」はここ。
  棟梁と話せていたらこの物語は成立していない。

そして、父は屋根の瓦を積んでる中で、
その家の主が金庫(?)に大金を入れる途中で、
用事を思い出して出て行ってしまうのを見かけてしまう。

そして、「善人で正直者」だけがとりえだった父が
ついこの金を盗って逃げてしまう。


更には、この父が川に子供共々身投げしようとする
年増女(江戸時代の年増は25歳ぐらい)をみつけ、
自殺を止めた上で身の上話を聞き、
「悪い亭主に騙されて50両で今年の年末に女郎に売られるこの身、
その亭主も亡くなり、
しかしこの子があまりにも不憫で・・・」の話に、
盗ったばかりの五十両をそのまま年増にやってしまう。

※ この時点で、年増女と息子の関係は読めてました。
  それぞれの台詞的に。


そして家へ帰った父は、家の中がすっからかんに
なっている事を女房に聞き、

母「家財道具一式売って、あとは息子がいつも
  仕送りしてくれたお金を合わせて10両になった。
  あとはあんたがなんとかしてくれ。」

と。

で、父も今日あった出来事を話し、
「自分はとんでもない事をしてしまった。
とりあえず屋根職人の棟梁にこの事を伝え、
お縄を頂戴しよう」と。。。


その頃、息子と年増女が逢引。
そこで、
息子「まだ金が工面できないんだ・・・」という息子に対して
年増女「お金は、、、とんでもない”良い人”がめぐんでくれたんです・・・」
と。


そして翌日、屋根職人の棟梁の元へ出向き全てを話す父、
そこで屋根職人の棟梁は驚く話を。

棟梁「そもそも家の主が用意していたその金は、
  うちへの入金予定の金。
  そして、○○さん(父)が思わず金を盗むのを見てしまい、
  あわてて”確かに頂戴しました”との領収証を
  書いて出てきた」と。

棟梁「確かに盗みは悪い事だ。しかし良く話してくれた。
  ○○さん(父)の腕なら
  五十両ぐらいすぐ稼げる。
  そして、息子さんの五十両も貸すから
  来年、うーんと働いてくれ!」と、

気前よく、父の不貞を許す棟梁。


そして、年増女の話を聴いて父の元へ現れた息子と年増女と母。

息子「気前良く金を出してくれた、という御仁、
  聞けば聞くほど、父としか思えなくて」と。


そして、「今は仕事の途中だ、なんなら手伝え!」という父に
息子「おれも屋根職人を継ぐ!」と息子が告げて

~ Fin ~

と。


※ 結局、棟梁とすぐに話せてたら、
  めんどくさい事になってないですよね?

  あとあまりお話が練られていないな、
  という事で、高評価は上げられませんでした。

  この物語を2/3にして、
  最後が【花まんま】だったら、
  見事な構成だったんですが・・・


まあ、攻殻機動隊SACの「猿オヤジ」事阪脩さん、
そしてちびまる子ちゃんことTARAKOさん、
など見事に演出してたかなあ、と。


長くなってしまいましたが、はんなりラヂオの朗読会は
次もぜひ聴きに来たいです( ´ー`)

PS.今回、【花まんま】の号泣度合いは、
  銀河万丈先生の「ごんべん」の最近の物語を
  超えてるレベルだと思いました。
  「別会」に近いレベルかと。

このページのQRコードです。

拡大