ザ・ボイスアクター アニメーション&オンライン (再演) 公演情報 劇団6番シード「ザ・ボイスアクター アニメーション&オンライン (再演)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    アニメ声優ヲタクの自分が熱弁したくなってしまうほど収穫のある舞台
    感想2連投すいませんm(_ _)m
    しかし、オンラインゲーム編、アニメーション編は
    全く別の舞台だったので
    2つとも感想を上げさせていただきます
    (特にアニメーション編は書きたい内容多々だったので)。


    マチネでオンラインゲーム編にてプロの「声優」の
    あまりの「熱さ」に触れて、
    その後ソワレですぐにアニメーション編、

    実際席についてから思ったのですが、
    「オンラインゲーム編/アニメーション編の位置付けって、
    きっとWキャスト、一部物語変更あり」みたいなものなんだよな、
    と想像してました。

    だからあまりに同じ展開が続いてしまうと、
    あれほどに「熱さ」のある舞台だからこそ
    ちょっとだけ「飽き」ちゃうのかな?
    (気持ちが引っ張られなくなってしまうのかな?)
    とマイナス思考してしまっていました。

    しかし心配は杞憂に過ぎませんでした。


    ・・・いやあ、ほんとすごい!

    背景となるアニメ/ゲーム、
    そして登場声優としての背景設定は一緒とはいえ、

    ・ アニメのアフレコ現場風景

    ・ ゲームのアフレコ(違う言い方があったような?)現場風景

    全く別の劇をメインキャスト一緒でやってしまうなんて
    思いもしませんでした。

    ※ だって
      ──────────────────
      ゲーム編2時間+アニメ編2時間=4時間
      ──────────────────
      かつアフレコ中心のお芝居という事で
      アフレコパートでは1時間近くポンポンと続く長台詞を

      ※ ゲーム編は台詞間にわざと筋(つながり)が
        なかった為覚える事自体に苦労したかと

      逆にアニメ編は1つのアニメとして台詞間には
      物語の筋(つながり)がある分
      台詞は覚えやすかったかも知れませんが、
      マイク前での移動のやりとりが延々続く為(それがアフレコ作業)
      そういう位置取りなんかも覚えなければいけないという、
      合計すれば超ロング舞台。

      それを本日アフレコパートについては
      「ミス(ほぼ)ゼロ」でこなしてましたので。


    ネタバレにならない範囲で驚いた事

    1.ほっちゃんがいた!
      川村ゆきえさん演じる大声優役が
      まさにほっちゃん(堀江由衣)さんの
      グラビア/コンサートとは違う表に出ないアフレコ現場での姿
      (として浅野真澄さんの漫画「それが声優!」で語られている)
      まんまだったので驚いてしまいました(低姿勢ぶりまでまさに大声優)。

    2.宇田川さんの声優演技があまりに「声優!」してる
      素の声と全く異なるキャラ付け/デフォルメされた声、
      とでも言うのでしょうか、
      マスコットキャラの声を見事に演じていました。
      その為、役者がやる「声優業界のお芝居」というよりも、
      「本物の声優達のアフレコ現場」として観る事が出来ました。
      ※ 他にもすごく「声優!」な声を出している方がいましたが、
        すいません名前が分かりませんでしたm(_ _)m
        女王様みたいな人。

    3.アフレコ現場の実際が描かれている(と思う)
      アニメのアフレコ現場って声優10人近くが
      3本足らずのマイクを取り合ってどんどん
      台詞を言っていく形式、という事は「アニオタ」なので
      さすがに知っていましたが、
      今まで実際その光景がまったく頭に浮かびませんでした。

      どうやって順番に、かつ自分の使うマイクを選んで台詞を発していくのか?
      それが今回の「ザ・ボイスアクター アニメーション編」を
      観る事で痛いほど(実際主人公はかなり痛い思いをしまくりでしたが)
      よく分かりました。

      台本上の各人の台詞とその空きの長さを把握して

      ※ 基本的にアニメやお芝居は「現実世界」と違い、
        狙って複数人の台詞をかぶせる以外では
        1人1人順に台詞を発していく形になるので
        (現実世界だとお互いが同時に喋り出したり、という事が良くありますが)
      
      今マイクを使っている人の台詞終わりとその後の空きの長さで
      次に使うマイクを決めて後ろに並んでいく、
      という流れだったんですね。

      主人公もトラブってしまいますが、
      これって慣れないとかなり難しい流れ作業だな、
      と思いました。

      そして何より主人公。
      最近のTwitterなどでも話題になっていましたが、
      俳優がいきなり「声優初挑戦」する風潮ってどうなのよ、と。

      スタジオジブリなんかだと「媚びた演技の声優よりも俳優の方が偉い」
      みたいな事を宮﨑駿も言ってしまっていたので、
      何か声優が格下のように使われているイメージがありますが、
      本来ならアウェイである声優業/アニメアフレコに初参加する
      俳優さん側が「勉強させてもらう」立場なんですよね。

      本劇ではベテラン俳優だけどアニメアフレコは初めて、という
      主人公がかなーりの低姿勢で、
      アニメアフレコのルールが全く分からずに
      色々とトラブっていく姿が描かれていて、
      「そりゃそうだよな」と納得してしまう上、
      「声優」がちゃんとした立派なプロの仕事として
      描かれているのがなんだか嬉しいです。

      更に言うと最近「SHIROBAKO」という、
      アニメ制作会社がアニメ制作していく流れを描いたアニメが放送され
      かなりネットで話題になっていたのですが、

      それが終わったばかりのこのタイミングでの「ザ・ボイスアクター」(再演)、
      まさに流行にリアルタイムでこんな舞台が観れるとは、
      とタイミングの良さにも感激しました。


    ※ 表感想の時点で長くてすいませんm(_ _)m

    【総括】
    「アニオタ」ならアニメーション編は観るべき
    (そしてリアルに顕現したアフレコ現場のほっちゃんをまず見るべき)、

    そして「声優」好きなら声優ブームの火付け役となったゲームへのボイス入れ、
    そしてゲーム業界の「今」

    ? 実際には「今」よりは古いお話なのでしょうが

    が分かる「オンラインゲーム編」も観るべき、
    という感じでしょうか。

    ネタバレBOX

    【思った事】
    表に描かなかったのは

    ・ 最初初声優挑戦の主人公に優しく接してくれるほっちゃんが
      主人公が俳優としての「自分流」をどんどん取り入れて
      現場を荒らしていく(?)姿にめちゃくちゃ怒り、
      そして「メンタル的に弱い」ほっちゃん
      (堀江由衣さんはメンタル弱くないですよー、
      田村ゆかりさんはともかくとして)は
      それに調子を崩されて演技に支障をきたしてしまう。

      そして「主人公を下ろしてくれ」と音響監督に言ったり
      主人公に「自分の演技の事だけ考えて(他人なんて考えず)演じろ!」と言ったり、

      途中チームワーク的な所から外れた本性を見せるのですが、
      最後にあくまでも声優初心者で頑張っている主人公のその熱意その他を認めてくれる所に、
      ほっちゃん(川村ゆきえさん)自身の成長を感じたり。


    ・ 主人公が絵コンテを観ながら
      (動くアニメ映像じゃないからうまくイメージがつかめず)
      手探りで演技していく中、
      熱が入ってきてやっと「自分の役のイメージが見えた!」と
      思った瞬間に、
      絵コンテが真っ白状態に(作画未着手部分に入った為)状態になってしまい、
      せっかく見えたイメージが消えてしまい、台詞が喋れなくなってしまう。

      それが元で色々トラブルが起きるが、最後主人公が
      「自分の役の最後の姿が明確にイメージできました!」と
      音響監督にそのイメージを伝える。
      
      しかし、音響監督は「作画がまだ上がってきていないんだから、
      実際そんなイメージで演技されてもそれに上がってきた作画が合うかどうか分からない、
      今思っていたイメージは全て頭から捨てろ、その上で”ただ”泣いて見せろ」と
      無茶(?声優さんには普通なんですかね?)な要求をする。

      悩む主人公に打ち解けてきた
      (というか主人公を少しずつ認めてくれ始めた声優陣が)

      風の谷のナウシカの「ラン、ランララランランラン」の
      テーマが流れてる場面、
      あれをイメージすればだいたい泣けるから、
      とアドバイスしてくれた上、
      最後主人公が泣く演技をする場面でまさかの全声優陣大合唱。

      ネタとして笑わせつつ、「そうだよな」と納得もしてしまう、
      そんな「面白い」締め方をするのが上手いなー、と。


    ・ アニメ主人公(本劇の主人公ではないです)の単なる仲間役の
      若手声優が初めて「脇役のその深層に迫る」という
      主役級の場面を貰うが、
      その演技が上手く行かず(音響監督からOKを1つも貰えない)悩んだ挙句、
      主人公(俳優)に
      「俳優さんはカメラに向かって演技すると思うんですが、
      人ではなくカメラに向かって演技する場合
      どうやってその気持ちになりきるんですか?」と相談する姿など、
      ありうるよなー、と思える本劇の本筋が「面白い!」。

      そして、それが後々のトラブルに繋がっていってしまう流れが「上手い!」


    ・ オンラインゲーム編、アニメーション編、両方ともで思ったのは、
      普通お芝居を観る上で「噛み」「トチリ」なんてつきもので
      1芝居観れば少なくて数回、多ければ10回以上出会ってしまい
      場合によっては、せっかくのお芝居への集中が解けてしまう事もある、
      しかし「人間なんだから噛み、トチリぐらいしょうがないよな」と
      半ば観客としてあきらめている部分でもありました。

      でも本劇はあくまでもアニメの「アフレコ現場」、
      アニメのアフレコの本番で「噛み」「トチリ」なんてあったら
      別録り含め録り直し当たり前の世界の為、
      本劇中のアフレコシーンでの「噛み」「トチリ」は
      普通のお芝居以上に本劇が作っていく空気感、求心力を
      壊してしまう可能性がある、

      そんな高過ぎるハードルを越えて
      1人につき何十何百という台詞を(声優と違い台本なしで)、
      発していく「声優」役の役者陣の凄さに驚嘆しました。

      はっきりいってクライマックスのアフレコの流れは、
      (オンラインゲーム編も同様の構成でしたが)
      いつミスが出ないか、という怖さも含め
      手に汗握ってしまいました( ´ー`)


    あと私事(わたくしごと)ですが、
    自分がそもそもお芝居を本気で(?)観劇するようになったのって、
    そもそも無趣味だった自分が
    インターネットでラジオが聴ける事を知り、
    なんとなくで声優さんのラジオを聴いて
    声優さんって声もいいし話も面白いな、
    と思ってアニメを見始めて、
    更に声優さんの活動を調べていったら

    声優業/俳優業を兼業される方が多く
    声優さんの舞台を観に行ったのが初めで、

    しかしその頃はお芝居としての面白さなんて
    まったく感じていなくて単に
    「あの有名声優を生で見れる」ぐらいの気持ちしかなくて、
    それがたまたま応援しているJリーグのチームの応援番組の
    アシスタントのグラビアアイドルが出るという小劇場演劇を観に行って、

    「これが本物のお芝居か!」とあまりに精巧に作られた脚本から
    本物の役者の演技からに惹かれるものがあり、
    小劇場演劇の方にハマっていって、という流れもあったので、

    まさかその小劇場演劇のお芝居でかつて自分が憧れた(?)
    声優業/アニメのアフレコ現場の真実(にしか見えない)に
    触れられた、というのは嬉しかったなあ、と。



    長々と失礼しました。
    いやあ、6番シードさん、開演前のPVその他含め
    こんなに面白い劇団さんだと知りませんでした。

    ファンになりました。

    0

    2015/04/18 23:22

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大