舞台 新耳袋3 公演情報 タンバリンステージ「舞台 新耳袋3」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    怖くて面白い、怖面白い(こわおもしろい)作品(それも物凄く)
    4/4(金)観劇。
    ボクラ団義久保田唱さん作/演出+団員多数出演という事で、
    僕自身まったく不得意なジャンルである
    「オカルト/ホラー系ミステリ」の舞台に初めて手を出してみました。

    原作小説「新耳袋」は超有名らしいですけど
    そもそもこのジャンルを避けてた自分は全く知らず。
    (耳袋(みみぶくろ)と耳朶(じだ)を間違えてたくらい。)

    このジャンル、自分の人生でほんと数回ぐらいしか手を出した事がありません。
    (多分「世にも奇妙な物語」が自分のハードルの限界(だと思ってました)。)

    それでもラジオその他で久保田さんが
    「自分自身怖いのが苦手だからただ怖くはしない」と
    言ってたので信じてみたら

    「なにこれ超怖い!」

    「スゴイじゃなくて凄い!」
    って凄惨な方の漢字を使いたくなるような怖さの残る作品でした。

    (終わった後原作者木原先生と演者数人の笑いあり恐怖ありの
    トークショーがありましたが、自分は今観たばかりの物語の
    実感が頭よりも身体に残っていたのか小刻みに震え続けていました。)


    しかし、メインは恐怖体験話ながらも
    各演者のキャラ(役どころ)がほんと全員立ってる上に

    シンプルなセットに対して音響/照明などの演出も凝りまくっていて、
    そして物語自体もスゴク(こっちはカタカナ)面白くて
    小ネタで笑わせ、泣かせ、そして癒やし(これは自分の勝手な感性?)まで
    含んでいて、本当に盛りだくさんな恐怖体験でした。
    やっぱり怖い(((( ;゚д゚))))

    久保田さん作品といえば初見で驚き、二度見で更に驚かされる、
    そんな噛みごたえがあると思っている自分は、
    ツイッターでネットの評判を聞いてすぐ追加予約しましたが、

    今日観たこのお芝居をもう一度観れる
    (しかも今日がかぶりつきで明日は全体俯瞰)という事で、
    「いやあ、今回かなりの当たり作品で二度見出来るなんて
    これまた最高だな!!」と怖いながらも思います。

    ほんと怖いんだけど面白い、怖面白い(こわおもしろい)、
    としかいいようのない作品、

    ジャンル初体験、という事もありますが、
    ☆でいったら5つじゃなくて6つか
    それ以上の体験をしたと思います。
    ───────────────────────
    4/5(土)18:00観劇(ソワレ、でいいんだよな)

    ネタバレ以外の特記事項としては、
    今日はちょっとミスが目立った(昨日はミス0ぐらいに思えたけど)。

    軽い噛みぐらいならともかく、
    一度演者さん2人の会話で完全に(どちらかの)セリフが
    (頭から)飛んだようで、下手すると舞台が壊れる
    (+観客側も集中切れる)かと
    ちょっと違う怖さを味わった。。。

    まあ、その後挽回出来たので問題なしかな。

    ネタバレBOX

    4/4(金)観劇。
    ──────────────────────────────
    新耳(3/3)袋なのに獅子(4/4)の日!
    関係ありませんね。


    オチで救うのがボクラ団義、
    オチで救わないのが新耳袋、
    この言葉を書きたくてずっと帰宅中頭の中で復唱してました。


    ネタバレでしかも今回物語がすごく濃厚/濃密な感じで展開したので、
    感想だけを散文詩(感想ポンポン書くのは散文詩って言わない?)的に
    書いちゃいます。


    どの物語にもオチに必ず泣きや救いを持ってくるのが
    企画演劇集団ボクラ団義の舞台公演だと思ってます。


    しかし、今回他劇団参加した作/演出久保田唱さんは
    どの物語にも救いじゃなくて「救われない…」を持ってきた
    (というか原作者木原さんが、ですかね?)。


    1.ある女性のマンションでのエレベータ恐怖体験から
      そのマンション内で起こっていた連続失踪→殺人事件を
      発覚させ解決した、と思わせて最終的にそれだけで
      物語は終わらず女性(姉)でなく妹を救えなかった、という事件
      (いったいあのマンションには更なる何があったんでしょう(((( ;゚д゚)))))


    2.海岸崖での恋人同士の痴情のもつれによる

      彼→彼女の突き落とし事件、

      から始まる彼女の霊の登場、
      そして突き落とし事件の真相、

      更にそれでも成仏しない彼女について

      「彼女は彼に伝えたい事があるのでは!」
      という希望的観測(?)に基づいて
      上司の指示を振りきって独走したヒロインに対して、

      事実は彼女に取り憑き死に至らしめた霊と全く同じで
      (同じ感情を持っていたからこそ取り憑かれた)、
      彼女自身も自分の彼に対しての浮気の疑念と恨みつらみ、
      裏切りに対して共に死のうとしていたのを、
      (先に同じ場所で殺されていた霊に)
      邪魔された事、そして彼と浮気相手に対しての怒りから成仏しなかった、
      という救いようのない事件


    3.ある家に同居する姉妹夫婦に対して、
      転落死殺人の被害者女性の霊の理由不明な呪いによる
      「男達」(亭主/同居人/子供)の呪い殺し(呪殺)、
      そしてそんな被害者女性の霊にも救いを、
      と願ったヒロインの衝撃のラスト


    ほんと、本来なら本舞台を観て「スッキリした!」とは
    まったくいかないオチの連続だったと思います。


    でも物語として面白い、各演者のお芝居が面白い、
    小ネタで笑わせられ、小ネタに驚かされ、小ネタに泣かされ、
    そして癒やしまで感じてしまったという。。。
    その上で骨太の本筋が面白いからこそ、最後まで集中して観れた(ハマれた)、と。
    (新耳袋は今回初めて観劇しましたが、
    この絶妙な配分があったからこそ、新耳袋3は
    心に残る名作になったのだと思います。)


    ・ 三田寺さんの生前説(「せいぜんせつ」じゃなくて「なままえせつ」)に
      「萌え」という感情をひさしぶりに感じました。

    ・ 進撃の巨人林野さんの寡黙なようでいて、
      ボケの多い特殊課警視キャラに笑わされた上で、
      霊に対してのヒロインへの警鐘に
      色々なものを考えさせられました。
      (結局の所、この世に怨念を持つ霊と分かり合うなんて無理だ、
      という締めなのでしょうか?)

      同時にストーリーテラー的な立ち位置でもあり、
      「新耳袋」(小説)に対して
      「本には”扉”はあっても”出口”はない」
      が印象的でした。

    ・ ヒロイン木本さんの「オカルトを否定」しながらも
      それを実際体験して捜査を進めていく自分(その熱血ぶり)、
      そしてそれぞれの霊達に対して上司の静止を振りきってまで
      「善意」でもって向かっていって
      それが全て裏目に出てしまうという
      恐ろしくも悲しい物語展開に恐怖と涙しました。

    ・ 恒松あゆみさん(警視正)の役柄ゆえの落ち着きと
      美声に癒されました。

    ・ 沖野さんの独特すぎる霊媒体質キャラに笑わされ、
      引かされ、驚かされました。

    ・ 三田寺さん&ヤマケンさんコンビの喫茶店での
      三田寺さんの萌えメイドぶりにこれまた癒されました。

      三田寺さんと沖野さんの「ホットティー or コーヒー」についての
      やりとりに笑わされました。

      何作品か三田寺さん観てますが、「こんなに可愛いのか!!」
      という驚きを持ったのは本作が初めてですね。

      そして、コーヒーへのこだわりすぎるまでのこだわりと
      いつまでも塗りたてペンキの匂いの残る店、
      のその理由がやっぱり新耳袋。。。

    ・ そして、演者全員の笑いの小ネタに笑わされました。

    ・ 霊とそれに関る人たちの物語と衝撃の展開に
      驚かされ、恐怖させられました。

      ※ すごいのは観客への恐怖のあたえ方、観せ方が1つじゃなく
        いくつものバリエーションに富んでいた事です。

      (あれ?さっきと同じ事書いてるな)

      1.では、マンション殺人事件でそもそも
        存在しない地下へ降りるエレベータには
        女性だけでなく男性も乗っていた、という事、
        それが伏線となり
        事件解決と思わせておいて
        更なる霊事件で妹が殺されてしまう、という後引きの悪さ。

      2.では、霊に取り憑かれ彼を殺そうとした為、
        彼に崖から突き落とされた女性、
        しかし実は霊に取り憑かれる以前から
        彼の浮気に疑念を持ち、彼を殺そうとしていた、
        そして霊になった後もその浮気相手である仕事の同僚の元を
        49日間ずっと離れなかった、という物語の締め方

      3.では、たまたま姉妹夫婦の同居人が、
        殺人犯に殺された女性が「彼(殺人犯)」にあげようとしていた(?)櫛を
        拾ってしまったが為に

        殺された女性の霊を呼び寄せ、
        単に男というだけで旦那、同居人と次々と呪い殺され(呪殺)、

        ※ 同居人が実際霊に飛びかかられ殺される際の照明演出
          (あの演出の呼び方は「フラッシュバック」で良かったんですかね?
          あるいは「フラッシュライト」?)
          がすごく怖かった。
          本物の怨霊のようでした。


        それに対して、殺された女性の霊の気持ちを理解しようとするヒロイン、
        その善意につけ込んで女性の霊はヒロインに取り憑き
        「本当の思いの丈」を振りまき、
        彼を最後に殺した女性をも殺そうとした所を
        霊媒体質の沖野さんに止められる。

        そして、更に物語は進み、
        ヒロインは捜査一課へ戻り更に出世するが、
        「オカルト」の存在を認め、
        「また特殊課へいつか戻りたい!」と警視に伝え、
        物語としての(一応の)ハッピーエンドを見せるのか、

        と思わせた所で、更にオチのオチに、
        姉妹の子どもたちもその後殺されていて、

        更にはヒロインのバックに入っていた櫛、

        そしてヒロインに襲いかかる(本当に恐怖の)怨霊、
        という救いようのないオチ、締め

    ・ 物語の恐怖とその他のネタ比率、
      8:2ぐらいですかね、
      しかし、苦手だと思っていたジャンルも
      物語が良く出来ている上で
      演者、演出も良いと
      「面白い物語」として観る事ができた事に驚きました。
      
      怖いんだけど面白い、また観たくなってしまう、
      ほんと何度も言いますが
      怖面白い(こわおもしろい)
      物語でした。

      最初は物語自体は恐怖もの、という事でそこにはほとんど期待はなく、
      久保田さんの伏線たっぷりの脚本/演出と
      その回収の流れさえ観れれば良いかな、
      程度に思っていたのですが、
      見終わった感想としては

      「今年度No.1作品」
      「☆をつけるなら5つじゃなく6つ以上」
      「ジャンルに関わらず良いものはやはり良い」

      という事を見せつけられました。

    ・ DVD買おうっと( ´ー`)


    以上、散漫な感想でした。
    明日も楽しみだーヽ(´ー`)ノ
    ───────────────────────
    4/5(土)18:00観劇

    ・ 二度見して思ったのは、1日目は「全部いい!」の一言で
      アンケート終わってしまったが、全体的に何よりも
      お芝居ならではの「音」全般(BGM、SEそして演者さんの大絶叫)、
      それに合わせての暗転がとても怖さを煽ってるな(上手い)、と思った。

      2度使ってたけど、2度とも(知ってても)
      身震いするようなシーンだった。
      (木本さんも言ってたけど)


    ・ 物語として、上司の静止を振り切ってまでの
      ヒロインの善意と熱意が
      逆に負の連鎖を産んでヒロインを苦しめていく展開は
      シュールというかダーク、まさに救いのない怪談話だと思った。


    ※ 前回の感想で1つ間違えてたけど、「櫛」じゃなくて「髪飾り」、
      それを崖から突き落とされ殺された彼女が呪いを込めて
      彼(犯人)宛てに流したものが渡りわたって
      彼女自身を呼び出し悲劇を生み出していたのだった。。。


    ・ 恐怖とその他の比率8:2とか思ってたけど、
      展開を知った上で恐怖慣れしてくると
      久保田さんの「ただ怖くはしない」の説明通り、
      結構笑いと癒やしも織り交ぜていたように思えた。

      特に各編の始まりは必ず喫茶店から展開し、
      三田寺さん+ヤマケンさんの癒やしキャラが
      絡んできてたし。

    ・ トークショーで沖野さんが言ってたけど、
      芝居の流れで自分メインのパートじゃない時の行動は
      アドリブで色々やっていた、との事。

      以前もヤマケンさん竹石さんそれぞれが
      色々久保田さんのメイン脚本の範疇外で
      「観客を楽しませる工夫」を試していた、
      という話を聞いたけどやっぱり
      その脚本任せでなく「どこまでもお客様を楽しませよう」と
      更に上を目指すスピリットはとても重要だなあ、と思った。

    ・ トークショーで三田寺さんのトーク時以外の挙動を観ていて
      お芝居含め「天然キャラ」なのか、
      と何か納得した。
      今度発売するDVD第二弾、というのがHな感じでなければ
      ぜひ購入したいなあ、癒やしだなあ( ´ー`)

      あと、恒松さんの癒やしボイスな朗読会もぜひ行きたいなあ。


    最後に
    新耳袋1、2では、怪談ものを取り扱うTV番組やお芝居特有の
    トラブルが本当にあったらしいけど、
    このまま何事もなく千秋楽を迎えられますように(-人-)

    そしたら4も観に行こうっと。

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    2014/04/05 00:04

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