満足度★★★★★
秀作会話劇、そして「歌」へのこだわりが素晴らしい
GENKI Produceさんの初演は
「久保田唱のロジカルミステリ」の観劇作法として
1.隠されていた謎に驚く
2.冒頭からいくつも仕込まれた伏線の回収を楽しむ
と、2回観劇しました。
しかし今回のSANETTY Produceさん版では、
「既に謎を知ってしまっている」という事で、
まずチケット発売時1回予約しました。
もう1回観るかどうかは「その後の情報公開次第かなー」と
思っていたのですが
(前の感想にも書いたのですが)
・ 数名の役者達が別舞台参加から
本舞台まで残す所わずか10日のタイミングで合流、
という事実を知る。
・ 同様舞台直前のタイミングで体調不良で役者が降板。
などから、舞台としてそもそも成立しない可能性を考え、
「とりあえず1回でいいや」と思っていました。
しかし、いざ観劇してみると、
まず役者自体の演技について問題など全くない上に、
(自分にとっての最大の楽しみである「謎解き」はともかくとして)
会話劇としてのテンポの良さ、
初演と比べて「音楽」への強いこだわりなど、
あくまでも「別プロデューサーによる作品」である事が
強調されていて、非常に楽しめました。
そして、これだけ良く出来ている舞台なのに、
「体調不良による役者降板」が響いたのか、
平日から千穐楽までまだまだ席が残っている、との事。
「もったいないな」という気持ちが非常に強かったので、
千穐楽日を急遽予約しました。
(笹塚ファクトリーの良い所として、
どんな席でも舞台自体は見やすい、というのもあったので)
今回の観劇では「純粋に会話劇」として楽しんでみよう、と
いう視点で観ましたが、
・ ロッカーあさくらの荒々しさ
・ ライブハウス「シェリー」に集う様々な人々
の会話の掛け合いの中に
・ 激しさ
・ 巧みに組み込まれた笑い
・ 隠された真実に近づくにつれての悲しみ、各役者の情熱の高まり
・ 静寂の上手い使い方
・ ストーリーテラーとしてのマスターの語り
など、会話で物語を作っていく面白さがあふれている上に
ライブハウスならではの「歌」への強いこだわり(くりゅうさん?)、
が出ていて非常に良い作品だなあ、と
観なおしたからこそ分かる良さに気付かされました。
元々が良い作品を、新しいプロデューサーの色で見事に再構築した、
SANETTY Produceの今後に期待です。