忍ブ阿呆ニ死ヌ阿呆 公演情報 企画演劇集団ボクラ団義「忍ブ阿呆ニ死ヌ阿呆」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    再演は進化の可能性!!
    本作品については初演を観ていた為、
    物語の展開にも「あっと驚く」という事はないかな、
    と観劇前から思っていました。

    今回特に期待していたのは以下の点でしょうか。
    ・ あの人のあの役再演
    ・ 「ヤングチーム」側がボクラ団義その他
      ベテラン役者陣チームと比べ、どれだけ
      「まだまだ役者としてのレベルが足りないと感じるか」
      「逆にフレッシュな情熱を感じさせる事ができるか」


    劇場で舞台セットを見て、
    センターの高台が以前より高い事や
    舞台セット全体があざやかになっている事など、
    そういう面を強化しての再演なのかな?
    とも感じました。


    実際舞台が始まって、まず映像面での強化
    (ここ数年ボクラ団義公演を観るごとに
    OP映像などが格段に強化されている)について、
    最前列だった事もあり全体を視野に捉える事が出来なかった為、

    「これは生舞台で観るよりもDVD/ブルーレイなどの
    映像媒体化されるのを待って楽しむべきなのだろうか?」など、

    今回(序盤は)「生の迫力」を楽しむよりも
    そういった一歩引いた気持ちで観劇していたような気がします。

    その後、お芝居が進む中でも
    一部役については初演のキャストとの見比べで
    「発声などは初演時のキャストの方が良かったかな?」
    など色々思いながら観劇しましたが、

    途中途中で以前にはなかった「アレ?」と思う事がありました。

    以前は物語の途中途中に
    「なんでこの時この人はこの行動を取ったのだろう?」など、
    説明不足や設定不足(あるいはわざと隠した)などによる「疑問点」が、

    叙述トリックの名手であるボクラ団義主催にして
    脚本/演出家久保田唱の舞台では常につきまとっていたのですが
    (そのし掛けを「良い」と思うむきも
    「トリックに走る為にこじつけている」と思うむきもありました)、

    今回物語の流れが「かなり自然である」と感じました。


    「こういう理由だからこういう行動を起こした」など、
    初演では見えなかった「何故?」の穴が全て埋められていたように感じます。

    そういった物語面の補正(進化といっていい?)のおかげで、
    物語自体に仕込まれたさまざまなトリックについて、
    そのほぼ全てに「こういう理由があったのか」のように納得しつつ、
    見入る事が出来ました。


    そして、物語がクライマックスに向かうにつれ、
    序盤台詞回しに少々難を感じていたキャスト達も
    皆お芝居にのめり込むように集中し、
    最後には涙腺に来るものまでありました。


    「再演」(Play Again)は、
    1度脚本/演出し上演した舞台について、
    更なる進化をとげるチャンスでもあるんだな、
    という事を強く感じさせられました。


    早くヤングチーム公演と見比べて見たいですね。

    ネタバレBOX

    【思った事】
    ・ 以前は森田涼花さんが務めた下忍の妹役を
      今回は今出舞さんが務められていましたが、
      序盤発声/滑舌に難があるように感じ、
      「初演の方が(森田さんも声は小さかったですが)良かったかな?」
      とも思いましたが、
      後半に入るにつれて演技がみるみるうちに
      良くなっていくように感じました。


    ・ 下忍仲間の「だんじょう?」(でしたっけ?)
      物語のキーマンとなるあの役、
      初演は塩崎こうせいさんが務められていたかと思いますが、
      今回のキャストの方も、
      ただ優しいだけでなくひとくせもふたくせもあるような
      「智者」的ないい雰囲気が出ていたと思います。
      (その分コスケ(?)が、情熱一本槍に
      つっぱしっているようにも見えてしまいますが)


    ・ ストーリーテラーとして常に舞台上で状況を見守っている3人
      (老人、若者、お江様)が、
      時に目の前で起こっている内容についてツッコミなどを入れたりと
      ただの傍観者、説明者ではなく、
      次元を越えて舞台に関わっていたのが良い演出だと感じました。

    ・ そして、沖野さんの織田信長について、
      初演では「ただただ狂気」という印象だったのに対して、
      今回は戦国時代の寵児として様々な苦難を乗り越え
      駆け上がっていく名将でもあり、

      そして「忍びを毛嫌い」し、
      後々「本能寺の変」を迎えるまでに(史実その他で)

      忍びの者および明智光秀、豊臣秀吉、徳川家康それぞれに対して、
      これはあまりにも不遜にして非人、
      「恨みをかって当然だろう」と思わせる行動の数々が
      (初演よりも)今回強く描かれていたように感じます。

      だからこそ、この展開に至った、という事が納得できます。

      今回、本劇を観劇している中、「大筋を知っていた」がゆえか、
      結構目の前で演じられるお芝居自体には
      心を引っ張られる面が少なく感じていましたが、

      徳川、豊臣、明智の3者での会談の場面だったか(?)、
      明智が織田信長のあまりの非道ぶりに怒りを露わにする場面、
      そこで自分の涙腺に涙の火(?)が灯ったように感じました。

      そこからは前半に張りまくった伏線の回収について、
      かなり物語に引き込まれていきました。

      その上、ラストに至るまで、
      今回は色々「優しさ」的に心に触れるオチを
      追加しているのがなんともいい感じでした。
      (下忍仲間がみんな生きていたという設定や
      茶々様にも事実を告げて生きてもらおうと行動する所など)


    ・ 織田信長が「本能寺の変」にて死ななければならない理由、
      これが「初演時一番疑問視されていた点」だったと思いますが、
      これについて今回は「ただ暗殺するのではいけない事」、
      「秀吉がその後天下をとるにしろ、信長の系譜を終わらせる事」、
      など、ちゃんと狙いがあってそうしている、
      その為に暗殺後だんじょう?は信長の自決までを演じていた、
      という事がとてもよく理解できました。


    ・ ボクラ団義といえば3時間近い長編が主ですが、
      その間に休憩を入れてくれた事は良かったと思います。
      (初演でも入っていたかしら?)

      休憩直前に「盛り上がり場面」を入れた事、
      ブレイクタイムパンフレットとして現在までに
      分かった事などを示す事で、
      ・ 観劇者達を置いていかない工夫
      ・ 前半戦で物語に集中した気持ちを完全にリセットしてしまわない工夫
      がなされていたのがかなり効いていたかと。

      結構ボクラ団義の舞台感想といえば、
      「トリックの面白さ」か「2時間オーバーはツライ」かに
      二分されてしまう事が多かったように感じますが、
      今後もこのように、効果的に休憩時間を入れてくれると
      ボクラ団義お芝居のハードルが下がって、
      更なる観客が見込めるかも知れません。

      また、いつもなら観劇終了後のアフターパンフレットで
      「(本当の)事実」を改めて観客に理解させる」だけで
      終わっていましたが、
      ブレイクタイムパンフレットを使う事で、
      1.何も知らない状態
      2.今までに分かっている事
      3.真実
      のように、3段階で物語を楽しめるようになるかも知れません。

      今回は戦国時代の歴史を辿る流れがあったから
      こういう試みを行いやすかったのかも知れませんが、
      今後も続けていって欲しい試みだと思いました。


    ・ 本日3日目、との事でしたが、
      各役それぞれに長台詞が多い事もあり、
      ちょっと台詞トチリが多かったように感じました。

      噛みトチリぐらいは大した事ではないのですが、
      舞台自体の吸引力が落ちてしまうとツライものがあるかな、と。

      汗だくになって演じる役者皆様に「熱」は感じていたのですが、
      舞台上からの「吸引力」という感じ方はあまりしなかったんですよね。
      不思議だなあ。
      (知らず知らずのうちに客観視していたのかも知れません。)


    ・ 今後もどんどんPlay Againにて、
      進化した再演を期待したいと思います。


    まあとにかく、二度観とヤングチーム公演が楽しみです。


    PS.3月15日
    どうしてここまで良く出来た舞台、役者の演技なのに
    自分の感情引っ張られる力を感じたのは明智が「信長、討つべし!」と
    立った場面からだったんだろう?
    とずっと考えてましたが多分信長の暴虐武人ぶり、狂気
    (裏では忍の画策あり)に見とれてしまっていて(客観視に近い?)、
    感情ではその狂宴に母まで殺された明智が立つ瞬間に
    気持ちがシンクロした、という感じだったのかしら?
    あまり「見とれる」という感覚は持った事なかったので
    「感情があまり引かれなかった」と捉えて、
    ☆4つにしてましたが
    ネットでOP10分見ても「やはり秀作、名作」と思えたので
    今さらですが☆5つに直しますm(._.)m

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    2015/03/13 19:25

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