満足度★★★
復讐
序盤、妄想とサスペンスの入り混じったコメディな描写だったが、終盤にかけての復讐劇はこれから起こり得る幸喜の未来を暗示しているようで怖かった。
以下はネタばれBOXにて。。
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物語は田舎の駅長室での出来事。幸喜は10年前に3人を殺してしまった過去があった。現在の幸喜は、過去の幸喜を知った上で、結婚3日目を迎えた妻・幸恵と一緒に今は亡き3人のお墓参りにここに訪れたのであった。幸喜は無感情で無表情だった為、感情の表現の仕方が解らず、妻が倒れて雪に埋もれ仮死状態になっても、どうしたらいいのか解らなかった。これは元々の幸喜の性格なのか、あるいは、殺人を犯して罪を背負ったあの時から感情が凍ってしまったのか、はっきりしなかった。
それでもあの時、全てにムカついたから3人を殺してしまったのははっきり覚えている。
一方で殺し屋ジャムは、ある時は駅長に、ある時はキャッツアイに、ある時は雪ん子に、ある時は工事現場のおっさんに変化しながら戸塚に殺しの指示を出すが、元来、苛められっこで気が弱い戸塚は殺しを実行できなかった。後半になって戸塚の行動は戸塚の妄想の中にある殺し屋ジャムを使って鬱憤を晴らしていたことが理解できる。
そして戸塚と同じように頭の中に殺し屋を飼っていた幸喜は10年前に本当に実行してしまったというわけだ。するとこういった妄想癖から幸喜と戸塚は似ているのだと思う。被害者の遺族は駅舎で幸喜を見つけると殺してやりたいほどだったがそれは出来ない。それで彼らはそれぞれに幸喜を詰ったり指先を傷つけたりしながら、自分自身を納得させることしか方法がなかった。
しかし、物語が進むうちに幸喜の妻である幸恵は10年前に幸喜に殺された小さな男の子の母親だったことが明らかにされる。しかしこれを幸喜は知らない。幸恵の復讐は、幸喜の感情を復活させて喜怒哀楽を感じられるように仕向け、とことん幸恵を好きにさせて、幸恵がいなくては生きていけない程、溺れさせてから、幸喜を捨ててやることだった。
田舎の駅長室で起こる、渦巻く闇と屈折した人間関係を描写した物語。
殺し屋ジャム(神春菜)と戸塚(豊田高史)の掛け合いがバリ、アニメチックコメディだった。あまりにもコミカルさが押し出されてしまった為、ミステリアスな雰囲気が削がれてしまったように思えた。終盤になってサスペンス性が強くなるも、それまではずっとコメディ一直線で突っ走っていた。だから全体的にまとまりがなかったように感じられた。うなじの痛みの部分がワタクシにはちょっと違和感があった。ズラはベタすぎて笑えず。苦笑!
満足度★★★★
カクレキリシタン
実は恥ずかしながらカクレキリシタンをよく知らない。カクレとは今の今までキリスト教だと信じてきたワタクシはカクレと呼ばれるカクレキリシタンがブードゥ教のようなキリスト教と土着の信仰が融合したものだと始めて知る。
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長崎県南松浦郡。上五島の中心である中通島にほど近い孤島、柄島。漁業を営むわずか2世帯14名が居住する島の一角、下窄孝子の家が舞台。劇中のセリフから苗字に下という字がつくとカクレであるとのこと。出来たらこういったカクレについてもっと詳しく描写してほしかった。
孝子の葬儀に離れて暮らしていた3人の娘たちと近所の住民、シスターが集まってくる。孝子はカクレであったが、ある理由から26年前に家を捨てて失踪していた。孝子の3人の娘たちは隣家によって育てられていたが10年前に孝子が戻ってきた時を最後に娘たちは家を出て暮らしていたのだった。
孝子の葬式で集まった娘たちは賑やかな葬式の場でふと自分たちの過去の話題になった時、つばきという4人目の妹が居たことを思い出す。それは26年前、つばきを抱いた長女が階段を滑ってつばきを落としてしまい、これが起因でつばきは死んでしまったのだ。3人の娘たちはつばきを隠してしまえば、なかったことに出来るんじゃないか、という幼子の咄嗟の考えから、長女と秀晴(孝子の弟)の二人でつばきを貯水槽の中に沈めてしまったのだ。
この記憶をすっかり忘れていた京子と八重に陽子が過去の出来事を説明する。「母さんが失踪したのは私たちのせいじゃない。二人とも覚えてないの?じゃあ、ずっと苦しんでいたのは私だけ?!」と。
一方で10年前に孝子が帰ってきてから秀晴は自宅の家の水道に仕掛けをして赤い水が出るようにする。これは失踪した孝子に対して、振り回される周りの人を考えたことがあるのか、水道から血の涙を出して姉さんを反省させる。という秀晴の鬱積した行為だった。
家族を軸に偏狭的な人々は島という、独特の閉ざされた環境で皆で抱えた罪を黙してけっして外に漏らさないことで、柄島独自の治安を守ってきたのだ。一つの事柄に対して秘密を持つということは集団の結束を固め易い。
この物語に登場する佳代子という女がつばきの霊のように振る舞う。母親が神経症になってナンドガミを祀っていた、ナンドガミのようにも振舞う。
この物語はカクレを信仰し続けた女とその家族の物語である。カクレをもっと勉強していたらまた違った見方も出来たと思う。それが残念でならない。終盤、徳雄が歌うカクレの歌が神々しかった。
また序盤に撒いた伏線を終盤にかけてきっちり回収されていたものの、それまでの謎あかしがあまりにも長く思えた。そしてシスターの存在とカクレの関係性もイマイチ良く解らなかった。次回もこの劇団は観たいと思う。本が素晴らしい。。
満足度★★★★★
アートな女
なんすか、この面白さは。笑
幕が開けると一人の女(男優)が頭上1メートル上の高さに吊るした扇風機の羽に髪の毛が絡まり身動きがとれなかった。
もう、この情景を観た途端、プッ!!と噴出してしまい可笑しくなってしまったワタクシ。笑
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そしてみたからにその光景は完璧なアートとしてそこに存在し、女の髪は天を目指して竜巻のように扇風機の羽にくっついてる。こんな見せ方はノゾエの感覚の素晴らしさで、これだけでワタクシがノゾエの作品にぞっこんなのが解るというものだ。
こうして、ひょんなことから身動きのとれなくなった女に遭遇した男は、たぶん、一目で彼女を気に入ってしまったのだろうと推測する。なぜって、女はとても可愛いのだ。そして女のワタクシが見ても表情やら仕草がやけに色っぽくてキュートなのだ。こうして男は手が不自由だと女に嘘をついてまで、彼女の髪を扇風機の羽から解きたくないようだった。
男は作家だといいながら、本のネタを女と一緒に考え、相変わらず、女の髪を解こうとしない。そして女も携帯電話があるのに警察にも連絡せずに先輩にどーでもいいような電話をかける。笑
とにかく男と女の会話がシュールで不思議で必死で滑稽なのだ。やがて男は毎日少しずつ女の元に数時間、髪を解きにやってくる。男の企みは、こうして誰にも女を渡さず女の髪を毎日少しずつ解く日々を送りながら女の感情が自分に向くことを期待して通い詰めるのだ。笑
要は宝引きと同じで、そうあっさりと手(髪)を放してしまわないほうがよろしいようだ。じっくり粘ったらハズレが当たりに変わることもあるように、律儀に逢瀬を重ねて口説けば、女もだんだんとほだされていつの間にか一番心を許す相手になっていたという話をよく耳にする。
だから男はせっせと通いつめ、女の人の身体は衰弱していくが、そうした日々を送っているうちに男と女は同じ感情が芽生え、身体が近寄る数時間を楽しむ二人になっていった。そして、チューをする二人。「また明日。」・・・男はこういって女の元を去るが、もし男が不慮の事故で死んでしまったら、女はくる日もくる日も男を待ち続けるのだろうか。
そんな愛おしい物語にも、やがて最後はやってくる。男は案の定、不慮の事故で死んでしまうのだ。しかし、男はここを出る前に髪を切るハサミを置いていったのだ。
ワタクシが観たのはA「男」:男優×「女」:男優バージョン。
大人の童話さながら、美しい夢物語でファンタジーだ。このまま、童話になりそうな繊細で楽しい本だ。男と女の感情の機微を絶妙に描写したこの本は、好きな女を自分の手元に置いておきたい男の心理を表現した「コレクター」でもあった。
惜しむらくはキャストが噛んで聞き取れないセリフがあったこと。しかし全体的に好みだった作品だから許せる範囲。
満足度★★
演技力のレベルは低い
坂上忍の作・演出。ちょっと、脚本がぐだぐだ。
野々村真の結婚(再婚)式前夜の男たちだけの宴。お客様に笑って頂くためならなんでもやるとのことだったが、あまり面白くない。
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相変わらず野々村真の演技はヘタだ。ワタクシはムーディ勝山という人を知らなかったが昔はそこそこ有名なタレントだったらしい。要するに今は落ちぶれたタレントだ。永澤俊矢
はカツゼツが悪くセリフが聞き取りにくい。でもって終盤、永澤俊矢の私生活暴露があってこれが一番面白かったが、司会のカツゼツも悪く永澤俊矢のセリフと同様、聞き取り辛い。つまり、役者としてのカツゼツの悪さは致命的なもので、これに輪をかけて演技力が酷い。
一方でなんの取り得も無いと独白していた吉川泰昭のフラフープを使ったサーカスのようなショーが素晴らしかった。また「壁に手をつきな!」と命令する女王様こと、はづきのご乱交が楽しかった。
更に舞台上のセリフの殆どは下ネタの乱舞。本物の酒での一気飲みのシーンもあったりして結構な量を飲んだキャストは酔っ払って幕後に挨拶していたが、これもぐだぐだで、ヤレやれ・・の公演だった。
また、暫く観に行くのは止めて少し様子をみようと思う。
満足度★★
まんま、ぬいぐるみハンター
を観てるよう。しかもぬいぐるみハンターと出演キャストも殆ど変わらないから、タマコロなのか、ぬいぐるみなのかも区別がつかないほど。。
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アイドルバンド「タマコロ」のネーミングはローリングストーンから取ったらしく、転がり落ちるタマ!だ。笑
まさに、うれないままに落ちてくアイドルの表裏を描いた作品。相変わらず、丸石彩乃が汚れ役。ブラジャーにパンツ姿で大股開きまくりの絶叫さ。だから、男子はこのうえもなく楽しいはずだ。しかもタマコロアイドルは5レンジャーならぬ、戦隊タマコロと称しそれぞれの萌え服なんかを着こなして全体的にはオタクとかコア客が喜ぶような舞台なのだ。
一方でニュートンが盛り上がった舞台を盛り下げるようなギャグを打ち放つも、どんだけさぶいんだよ!ってピューピュー、風ふきまくるようなネタ。まあ、そんなだから、演劇と言うよりもショー的な公演で余興とみたら男子は楽しいはず。そういえば・・キャバクラもこんな感じなんだろうか?
満足度★★★★★
【黒の章】を観劇
【黒の章】を観劇。
『きこりと木の精』 が異常に良かった!
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『ジャック・ザ・リッパーたるために』
1888年、ロンドンを震撼させた切り裂き魔ジャック。しかし、その正体は定まらなかった。 これは一挙に怪しまれた4人の被疑者が、切り裂きジャックたるための供述を記した記録寓話である。
・・・から始まるこの物語は5人目を殺したのは俺じゃない。これは贋作だと言い張るジャックの言葉を受けて、4人の被疑者が5人の娼婦をどのように殺したかを再現したものだ。実際、殺されたのは長い事ブサイクに甘んじて生きてきたババアだ。しかし、ここでババアに演じてもらうわけにいかない。今回は此奴らにババアの役をやってもらう・・・と、あと10年もすりゃあババアになる女優たちが演じるのだ。
それぞれの女優たちは男に殺されるまでを演技するのだが、あまりにも倒れ方が美しいのが川添だ。川添は死んだ後の絵のような画を鏡で見ながら練習したのだろうか?
『きこりと木の精』
3篇の中で一番好みだったのがこの物語だ。大人の童話さながら美しいファンタジーであった。
男は長くきこりとして俗世から遁れていたためか、目に映る人々の中に木人が混ざっているような気がしていた。中にはすでにしっかりとした木の幹になっているものもいたので、きこりとしては伐るしかなかった。そうだ、家を建てよう。・・・きこりを演じたのが中尾僚太。彼はこれを演じる為に生まれてきたような男だ。物語の中にしっかりと溶け込み、きこりの鬱積した生き様を見事に演じていた。
またこの物語をファンタジックに魅了したのが演出力だ。きこりが木人を伐った址には木の足首と赤い靴が取り残されていた。青い靴でなく赤を使うところが実に素晴らしい。そして31名の行方不明者は森に居るんじゃないか?と説いた刑事が木の幽霊に誘い込まれ、自身も木人になってしまうシーンは残酷だが妖しくて美しい。そしてキャストの全員が全身タイツで蠢くさまはエロく官能的だ。木人は流れるように自分たちで家を建てて築き上げる。死体を隠すなら死体の山を作れ!
照明も素敵な大人の寓話。
『黒髪と魚の足とプレシオサウルス』
サーカス団はフタバの人体切断マジックで大好評を博した。しかしこれはマジックではなく実際にフタバの足を切断していたのだった。やがて何度も切断してはくっつけしているうちに、思うようにくっつかなくなり、サーカス団員のフィッシュとフタバが提案したのは人魚による遊泳ショーだった。フィッシュを想うあまり犠牲的精神で自分を切り刻んできたフタバの怪奇と狂気の生き様を描いた物語。
残酷ショーをみているような気分になって、正直言って、こちらはあまり好みではなかった。
黒と赤を観て気が付いたことだが、何かが足りない・・とずっと考えていた。そしてそれはコメディと狂気を分け隔てる空気の遮断だ、と思う。どの物語にも狂気とコミカルさが点在している。だからそこに漂う空気感がぐだぐだになってどっちつかずになってしまうことだった。これをどうにかしないと狂気と滑稽の繋がりも曖昧になってしまう恐れがある。ここ、どーにかならないだろうか・・。
満足度★★★★★
【赤の章】を観た。短編2つからなる。
相変わらずの劇団海賊ハイジャックらしい屈折と狂気と残酷ぶり。笑) 一見するとこの物語は観客の好みに分かれてしまう。それというのも鮮血やら殴り合いや、不条理な殺され方で人がバタバタと死んでいくし、挙句、口汚い言葉での罵りや、あるいは吐き捨てるセリフで眉根をよせてしまう観客も少なくないからだ。しかし、遠目で距離を置いて全体像を眺めるとこれほど滑稽でバカバカしい物語はないのだ。だから刺激的なコメディとして観劇するとひじょうに楽しめる。
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『dogma』
学び舎では毎日が戦場で教師は生徒にとって絶対の存在で生徒は服従を強いられていた。ここでは教典に基づいて生徒を教育し、全てのテストに100点満点を取らなければ死が待っている。397人居た生徒が今では模範生8人のみになってしまっていた。
卒業式の日、8人の生徒を試す試験(教典の中から出題される問答)が行われる。ここで合格すれば晴れて栄光の卒業生となるが、不合格しても合格しても、殺される運命だ。要は死の卒業式なのだが、これは教典に基づいた教えでもあった。
ここで観客はなんで?なんて新たな疑問が沸々と沸き起こるが、免疫のない優等生たちが学園の外の世界に出たら、不条理な差別に出会い落胆し絶望し生きていけないだろう・・と説く教師がいた。笑
まあ、世の中を痛いほど熟知していると思われる宇野の台本でのセリフだ。
しかしここで五大先生(川添美和)が教典の逆説、つまり真実を暴き出す。それは校長の生き様について綴った物語だった。この物語にワタクシはひじょうに感動し落涙したほど素晴らしく美しい話だ。生きることに真摯に立ち向かい朽ち果てるまで生きるという執念を感じた不幸な男の話だ。男が歩んできた鮮やかな場面が想像され、それらが、まるでしんしんと降り積もる雪のように・・・やがてずっしりとワタクシのこころを満たす場面だ。自己犠牲的な物語でもある。
悪しき風習を継承した学舎を舞台とした驚異の学園活劇は五大先生の逆説によってその縛りを放たれ生徒らは巣立っていく。終盤でいい話だったなぁ。と感動する物語でもある。
『テッドとリチャード』
連続殺人事件の被疑者として告発されたリチャードは「やったのは俺じゃない。悪魔の仕業だ。」と直訴を始めた。悪魔崇拝とヘヴィメタルに魅了された異常者は、端整な風貌と快活な弁舌を併せ持っていた為、彼の愁情に斟酌した愚昧な聴衆は一躍彼を担ぎ、量刑の裁断を待たずしてスターに祭り上げた。そのころ真犯人テッドが自供し死刑執行されることになる。
リチャードは晴れてシャバに戻りヘヴィメタルの演者としてスターダムに乗っかり贅沢三昧を繰り返していた。テッドの死刑執行の日、執行官は「最後の望みをいいなさい」という。テッドはリチャードに合いたいと希望し、そして被害者の関係者のリストを手渡すのだった。テッドは「俺は君が言った被害者の家族、友人、上司、あらゆる関係者に謝りたい。といった言葉に感動して君の身代わりになった。獄中に居たら謝りに行けないだろう?だからこれからは君が一人ずつに謝りに行くんだ。」と残す。
ほんとうの真犯人はリチャードだったが、彼の身代わりになって死んだテッドの代わりになって被害者の関係者らに謝りにいくという、なんとも複雑で苦悩に満ちた物語。
死刑執行が電気椅子との設定だった。海外では一人の執行官がアームを引くのだろうか?日本では確か3人の執行官がそれぞれボタンを押す仕組みだから、執行官が鬱になるのを防ぐように出来ているが・・。
また電気椅子での死刑の場合、頭に被せる帽子の下に水を湿らせたスポンジを乗せて死刑囚の頭が黒焦げになるのを防ぐのじゃなかったかしら?
どちらにせよ、死刑執行されてしまった場合、事件そのものが終わってしまったという理由で真犯人が解っても罰せられないという法の抜け穴は不思議としかいいようがないのだが・・。
ここに登場する警察官が頼りなくてはちゃめちゃ。ものすっごく弱腰だ。笑
川添は赤と黒で膨大なセリフを吐くが、よく頑張ったと拍手を贈りたい。こういった2バージョンは役者泣かせだけれど、川添はちっさな体で本当に根性があります。演出もお見事!
満足度★★★★
荒船泰廣の映像力
土着系幻想演劇を謳う小栗としては今回は異色の作品と言っても過言ではないと思う。
今回は1995年、阪神淡路大震災を題材に脚色した物語だ。だから以前のように幻想度は強度ではないものの、演劇としてはやはり虚構の世界だ。
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そして毎回のごとく、この物語に映像がなかったら成り立たないほどの映像力!荒船泰廣の巧みな技だ。ワタクシは以前からこの荒船の映像が好きで好きで堪らない。だから荒船が映像だけで物語を作りますぜ。なんて誘われたらタケコプターで吹っ飛んで行ってしまう。そのくらい好きだ。
虫から成長するヘリコプタの羽。舞い上がる粉塵。青く明け始めた朝の空。誰かの返り血。蝶。カブト虫。大地震で壊れた街並み。焼け爛れた風景。カブト虫が大怪獣に変化していく映像は、残酷な幻想の世界だ。やがてこれらの下で息づいていた主人公・佳代のドキュメントとして家族や知人で構成されるストーリーへとワタクシ達は誘われる。
物語は阪神タイガースの選手・満男が、知的障害者である自分の弟のためにとある施設を設立した。彼の愛人・ミミを管理人にしたその施設は「ハウス」と呼ばれ、近隣の芸大生や関西地区で活動するア-ティストが居住し芸術を作った。ある日、タイガースの選手の本妻が押しかけて、夫を取り戻すべく画策する。一方で本妻が夫の後輩と不倫をしてしまうと、これを許せない夫は「俺のものだ」とばかりに後輩と殴り合いの喧嘩をする。夫はどちらも欲しいのだ。そしてミミを慕うギタリストの久地楽。
佳代のいとこのミミの妹・野花はアホと呼ばれながら育つも絵画に才能を発揮する。世の中のあらゆる悲しみや喜びや怒りや楽しみを彼らはどん底で味わいながら、泣き叫び、そして温かみを感じるのだ。それは真実の人間像なのかも知れない。だから、満男の本妻・ゆう子の感情が不憫で悲しいのだが、彼女は夫を捨てられず、ひたむきに愛するのだ。
そして佳代の恋人は大震災で死に、これらの揉め事は絶えないけれど、彼らの生活の営みはここしかなかった。震災をきっかけに病んだ者。アルコール中毒になった者。避難所で生活しながら彼らが「ハウス」に戻るまでを描いた物語だ。
描写は抽象的でピースをばら撒いたように舞台上の右と左で演技される。そして終盤にかけてがっちりとこれらが結ばれて収束するのだ。当日パンフで配布される「ほしのふるよるにあいましょう」という詩があるが、こちらの方が土着的幻想ではある。そして神のこういった仕打ちを受け入れながら、それでも生きるという業に忠実に生きるのだ。そして、「頑張ろう神戸」と締めくくる。
野花を演じた桑島亜希がめちゃくちゃ可愛い。そして全身タイツを吐いたなんちゃってヌードで登場するあたり、目が離せない。知的障害者・ショウジ役の吉田能が生ピアノを担当し、野球のシーンで魅せる。阪神タイガースの選手・満男役の櫻井よりフォームがいい。笑) それぞれのキャラクター達の見せ場もあって楽しめた舞台だった。
だけれど次回はやはり土着的幻想劇が観たい。なにしろ小栗の独特の世界感が大好きなのだから・・。
満足度★★★★
まんまバー
相変わらずドタバタコメディ。妻がいなけりゃカクテルも作れないダメ男のマスター、フィリピン嬢のサーラン(どちらかというとタイ嬢にも見える!笑)、ホントは若いのに老け顔(頭)の福田・・と、ぶっ飛んだキャラクターの数々が登場する。なかでも宮本ゆるみが演じるキャラはジパングではもはや、宮本がリアルなのか、サーランがリアルなのかわけが解らなくなるほど定番中の定番になっちゃってる。笑
またこういったキャラが実に合っている宮本なのだ。
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物語は福田(佐土原正紀)が20年前に幼馴染の裕美と「20年たってもお互いに独身だったら結婚しよう」の約束どおり、結婚を申し込む為にバーにやって来たことから始まる。
二人は共に40歳。バーのマスターと常連客が福田の事情を聞いて彼を手助けするべく奮闘する物語だ。
しかし裕美一途かと思っていた福田はバーに居た若い女・りさ子からプロポーズされ、これにブレまくり結婚指輪を渡してしまう。福田には元々、優柔不断で他人に流されてしまうところがあり、裕美との約束は頭の片隅にあったものの、りさ子にいってしまうのだった。
そんな福田の性格を熟知していた裕美はバーにやってきたが、福田との結婚の約束を忘れていた。記憶障害だ。これは裕美がずっと前から福田と結婚したいと渇望していたが福田の優柔不断さに不安になった挙句に引き起こした病気だった。
一方でそんな裕美にポロポーズする刑事(よっし)。福田はライバルが現れた途端にまたまた気持ちがブレて裕美が欲しくなってしまう。男とはまったくもって、どーしようもない生きものだなぁ。なんて思いながら、楽しく観ていたが、結局薬局、福田と裕美は結ばれるのだ。
劇中、「20年たってもお互い独身だったら結婚しよう、というのは不謹慎だ。」というセリフがある。確かにこの言葉にはロマンがあるように感じられるが、本当に相手が好きだったら今、プロポーズするべきだと思う。未来の契約は結婚できなかった場合の受け皿に過ぎない。
また裕美を巡って決闘する福田と刑事の場面でアルコール96%のスピリタスというカクテルをバトル飲みするが、ワタクシはそれを飲んだことがない。きっと飲むときに喉が熱いんだろうな・・と漠然と考えながら、わはは・・と楽しめる舞台だった。福田の酔っ払いぶりも絶妙なコメディだった。また刑事役のよっしがベタで大げさな役を演じていた。緩く楽しめる舞台。
セットがリアルでまんまバー。
満足度★★★★
人間味溢れた公演
セットが素晴らしい。どっしりとした趣のある民宿のセットだ。
祖父の一周忌の為に三姉妹が、老舗の民宿「松浪荘」に集ったさまを描く。三女の多恵(作家)を主軸に大正時代の情景を絡みながらの舞台だった。
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序盤、老齢の腎茂エイジが登場するが、これが実に素敵だ。エイジもこんな風な老人になるのだろうな・・と想像できて楽しかった。また、「松浪荘」のアルバイトの金谷(中村まゆみ)のキャラクターが毎度のごとく、ウザ過ぎるほどで、完全に中村はピエロ化していた。苦笑!
多恵は自分の作品を描く上でルーツを探るべく、見知らぬ曾祖父に想いを馳せる。その物語は作品の中の大正時代の松浪荘だ。曾祖母の恋愛と曾祖父の関係を現代と交差させながら三姉妹の今後の行く末も描いていた。長女、次女、三女の性格設定が絶妙で、次女の夫は、いろんな意味で理想的な夫ではなかろうか?
また画家の湯浅の「みんな好き」な女好きキャラクターの立ち上がりも絶妙で、バカバカしいけれど楽しい。一方でちょい役で登場した人気作家の北原(大竹浩平)がものすっごいインパクトで、観客を喰っていた。正直言ってもっと見ていたかったキャストだったが、ほんのちょっとの登場だったので残念だった。ものすっごいオーラ!ケンシロウもびっくりのオラオラオラオラ・・・の百裂拳オーラ!笑
終盤の描写と導入音楽が素晴らしい。温度のある人情味溢れた舞台だった。
満足度★★★★★
絶妙な間合い!
初のオムニバス公演ということで、ものすっごく期待していたのだけれど、開演時間を14時と間違えて行ってしまった為、1話を見逃してしまった。ホント残念だった。そしてなんだかんだいって、4話目の「リハビリ」、これがめっさ、面白い!
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2話「昼夜」
男(高野アツシオ)と女(石田麻織恵)がシェアする部屋での光景。
男は警備会社に努め、女とは昼夜逆転した暮らしぶり。そのうち男はジャージを脱ぎっぱなしで洗濯もしない。当然、部屋は汚れ放題で、シェアする女はストレスが溜まる。そんな女の気持ちは御構いナシで、男は脱いだジャージで絵模様を作って遊び始める。こういった男のロマンというか、遊び心は男にしか出来ない描写だ。しかし、女はそんな男を懲らしめるために、少年のような悪戯を決行する。男と女の奇妙で心温まる二人芝居。高野アツシオのお尻が美しい。笑
3話「管理人」
男(関幸治)の借りた部屋に、シェア希望の女(宇佐美恵子)が転がり込む。女は彼に振られたばかりで同じように男も彼女と破局を迎えたばかり。お互いになんとなくお互いを利用しているような心もちだったが、男はアプリ開発をしながら、女を共存としてではなく単体としての行動を管理して留守中にビデオに収め記録していた。これを知った女は「今度は私が管理してあげる」といって男の手首を自分の手首に縛り付ける。シェアも相手によっては危険を伴うというデンジャラスな描写。
4話「リハビリ」
実はこれがめちゃんこコメディだった作品。勿論、笑い転げて楽しんだ。
シェアしていた畑(村尾俊明)が出て行ってしまってから、残されたオカマと男2人は畑サンプルを設定して彼の扱いを巡ってシュミレーションを行う。このシュミレーションの情景がとにかく可笑しい。セリフの間合い、言葉選び、キャストらの表情、特に村尾俊明のダルさ満点の演技力が素敵だ。ウザイと感じていたメイト達が静か過ぎるシュミレーションでは、かえって畑が気を遣ってしまうさまや、賑やかで畑が巻き込まれているさまの光景がなんとなく温かみのある芝居だった。
このぶんなら「ままごと」も素晴らしかったに違いない。どの短編も違ったカラーが楽しめて絶妙な舞台だった。コメディのセンスが抜群なオムニバス!役者が素晴らしい!物語は分かりやすい。終演後、拍手が鳴り止まなかったのははやり他の観客受けも良かったのだ。シェア、場合によってはいいなぁ。してみたいなぁ。。
満足度★★★★
妄想の果て
物語は北澤の葬式のシーンから。ここでコミカルなダンスも披露し、高羽の独特なセンスが浮き出される。そして死んだはずの北澤(西泰平)が友人のもっさん(長嶺安奈)に「自分は死んでない。焼かれるのは嫌だ。俺を背負って、ここから逃げてくれないか?」と言い張る死体に逃亡を持ちかけられたことから、この「みちゆき」は始まるのだ。
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だから「みちゆき」はまんま、道行なのだ。
朽ちゆく死体を背負いながら逃げるもっさんに、彼女に密かな恋心を抱いている田辺医師が加わり二人と死体の珍道中が始まる。ここで喪服のもっさんが白装束の死体を背負って彷徨うさまが実に可笑しいし、はたまた、北澤の精気を失った死体があまりにもリアルだ。
もっさんは口を半開きにしたままの死体を、腐らせないようにと氷で冷やしてみたり、北へ行くことを決意したりと、とにかく死体を恋人のように甲斐甲斐しく世話をするのだ。更に北に向う田辺の車中で、死体と仲むつまじく会話するもっさんをみるとどうやら二人は恋人同士だったようで、もっさんに流されるままついて来た運転手の田辺の心が痛々しい場面でもある。そして彼らを追う遺族と死体の死因に不信感を持つ刑事らが絡み、物語は大山けいこ温泉という旅館に落ち着く。
しかし、この旅館に終結した自殺志願サイトの面々と生死の根源に触れ、そしてこれを支援する旅館の女将にも疑問を抱いたもっさんは思うのだ。ここは生きたいと考える私たちの居るべきところではない。だってここは死にたいという人たちの場所だもの。
徐々に朽ちてゆく「死体」を背負いながら朽ち果てるまで道行しようというもっさんの心が痛々しい。やがて田辺の「死体は死んでいるんだ。」との説得と真実によって、目が覚めたもっさんは幻想から目覚めたように現実を見るのだった。
北澤本人と家族の意思で安楽死を選択した後の物語。死ぬ直前にやっぱり死にたくないと本人の気が変わったら・・・というセリフにかなり考えさせられた。また雪の降る北の国の情景があまりにも美しく、そこで落とされた赤い塊も芸術的であった。喪服に白いナース帽って案外、色っぽいんだね。西泰平と長嶺安奈が絶妙な演技をしていた。素晴らしい。
コミカルで滑稽で愉快な舞台。だけれど胸にズシン!!と響く。
満足度★★★★
アトラクション!
劇場に入ると男女2人のフライトアテンダーが船内の説明をしている。ここはスペース内、ギャラクティックドリーム号だ。そしてワタクシ達観客はコロニーメトロポリタンまで搭乗する観客という設定。船内にはスペース独特の機械音が流れバリバリ、ディズニーのアトラクションのさま。いあいあ、めっさ楽しくなりそうだ!なんつってワクワクしちゃう。
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私たちは枯渇した地球を脱出し宇宙空間へ移住した。それはスペースコロニーでの新しい生活だ。そして主軸となる乗組員は祥子と比鞠の親子、国生と春香の兄妹、聡と久美夫婦、鮫島という旅人、そして革命家を隠して乗り込んだROTSらだ。ここで親子、兄妹、夫婦・・という設定が家族愛をテーマに押し出した作品だと察する。実際、親子の情愛の場面で涙ぐむ。
当日パンフにはSPACE CRAFTの内部が印刷されており、ワタクシの座っている位置も容易に想像出来る。こういった撒きえさの仕方は大西の上手いところだ。
比鞠と春香は同じ不治の病にかかっており、比鞠はその病気が悪化して既に死んでいる状態だが、母親がその肉体のみを改造しているようだった。息子を愛するが故の行為だ。一方で春香は手に黒い痣が広がって、やがて比鞠と同じように死を迎える運命だ。ここでも兄が妹を思いやる愛をみせつける。
彼らの病気は宇宙革命家(ROTS)のような科学者が未来のことを考えずに多くの悪を発明した結果、もたらしたものでもあった。そして革命家の企みは人類の遺産である新しい兵器を作るべくワープシステムを操作し宇宙船の機能を低下させ、乗客全員をブラックホールに導き殺すことだ。
そんな折、春香にだけ宇宙に響く歌が聞こえ、そして同じように比鞠にも歌が聞こえる。この二人だけが頭で交信できる能力があり、これらは宇宙生まれ宇宙育ちとなった彼らの特別な能力なのだろうか?ちょっぴり「宇宙少女」を思い出した。やがて宇宙を彷徨いながら革命家は徐々に正体を現していく。そして彼らに立ち向かう比鞠だったが、彼の意思や考えは革命家に復讐するという歪んだものに変化する。しかしこれを止める春香。
その昔、地球は美しく青かった。しかし今の地球は赤く染まり、暮らすことはできない。
そんな嘆きの星に神は哀れみ、百光年の詩を歌うのだろうか。その歌は幸福の歌ではない。人間を創世した神は自分の愚かさに嘆き哀しんだに違いない。その詩は地球という星から響いてくるのだ。
そんな地球に彼らは戻る。赤い星だと思っていた星は青かったのだ。結末に希望を残して幕引きとなる舞台だ。壮大な宇宙ロマンの物語。
スペース内から見た宇宙の映像があったら更に良かったかな。
満足度★★★★★
流石は青年座
恥ずかしながら、切り子(キリコ)って人の名前かと思った。そしたら金属を削ったときに出る螺旋状の金属くずのことだって。いあいあ、まだまだ勉強が足りませんな。苦笑!
以下はネタばれBOXにて。。
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舞台は1974年秋、東京都大田区にある従業員がたった2人の佐久間製作所。流石は青年座です。セットの作りこみが素晴らしい。物語は下町で起こる人情劇だ。
亡き父親のあとを継いだ出戻りの幸子と職人たちの熟練で細々となんとかやってきた町工だったが、親会社の倒産によって諸に打撃を受けた佐久間製作所は工場の存続の為に駆けずり回っていた。そんなある日、光子(幸子の姉)は杉山(光子の夫)を連れ立って実家の佐久間製作所にやってくる。
それは、小さな工場が集るこの一角を新しい工場町として立て直すことだった。「もう町工場の時代じゃないんだよ。コンピュータがあれば職人なんていらない」と、技術革新の波を引っさげて土地買収にやってきたのだ。
従業員も家族同様の扱いをされて和気藹々と頑張ってきた佐久間製作所は大きな帰路に立たされるも、幸子は姉夫婦の提案を頑として受け入れることが出来なかった。それは亡き父と姉夫婦の間で過去に起こった出来事を含め、姉夫婦の考え方に共感できなかったからだ。そして何よりも幸子自身がここでの暮らしを幸せと感じていることだった。
そんな幸子に職人の伸吉はプロポーズのような言葉、「二人で一緒に工場を続けて行きませんか?自分ももっと最先端技術を習得します。」と告白し、これを受けて幸子は大きく頷く。町工を営む昭和の家族にも温かな明るい日差しが射した場面だ。
職人たちと家族の絆を描いた物語だったが、全てのキャストの演技力が秀逸で、町工の風景を鮮やかに彩っていた。満夫を演じた山崎のキャラクターにも笑わせてもらったし、舞台上に立つ役者の役年齢も相応で違和感がないというのが観ていて自然だった。
ほのぼのとしたいい物語だと思う。
満足度★★★
これで見納め
人口263名の天王寺村に受け継ぐ因習に縛られた人たちの物語。
幕後、赤澤ムックが三つ指をついて挨拶する姿が印象的な公演だった。
以下はネタばれBOXにて。。
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会場に入ると、頭に鳥かごをかぶり電柱に縛り付けられ微笑む娘に、棒でつついて叫ぶ母親。まるで籠の鳥ならぬ、籠娘なのだが、この娘が「お役目果たし」といわれ、森や山に捧げる人柱だ。この「お役目果たし」に選ばれた娘を、村中が神の子と称し、村の未来永劫の栄えの為に人命を犠牲としている。
お山には化け物がいると信じて疑わない村人はスピーカーから流れる教祖まがいの言葉のとおり、「お役目果たし」を出し続けてきたのだった。体のいい人殺しだ。村の住民はこの村を畜生の村だといい、実際に住んでる住人は缶詰泥棒、淫乱、知恵遅れなどの何処かしら欠陥のある人たちだ。
そんな村に赴任してきたお役所役人も、この村には何の問題もない・・と見てみぬふりをする。そんな村では既に人口が減って、村長が言うには「村ってのは生きているんだ。人口が減ることもあれば増えることもある」とのたまう。
そんな人柱を題材に娘の母親が一芝居をうって、「自分以外は皆、死んだからお役目果たしが出来ない・・。」と訴え、全員で村を捨てて逃げるという結末。
公演時間90分ほど。出来たらキャストに役柄も載せて欲しかったところ。
今後、ムックこと金糸雀はちょっと遠いところへ飛んでいくらしいが、何処にいても幸せであって欲しいと思う。
満足度★★★★
バリコメディ!
劇団浪漫狂NEOといえば第27回公演「新・五月晴れの青い空」を観てからなんと2年半ぶりだ。当時は古臭い笑いのネタの乱舞で劇団側は必死に笑わせようとしているのだが、客席はシーン・・。あまりにも痛々しい舞台だった為、ワタクシ自身、遠ざかってしまっていたわけだが、久しぶりに観ようと思い劇場に足を運んだ。
以下はネタばれBOXにて。。
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傷心館の幽霊はいくばくかの小劇団で公演しているが、決してホラーではない。むしろコメディだ。
何かに導かれるように傷心館に集まった2人の女と1人のオカマ。オカマのリリーは浩に騙され店の権利証を売られてしまう。信用金庫勤務のOL・美里は不倫相手の上司・寺田に騙され大枚を巻き上げられる。そして丸友商事秘書課勤務のOL・京子は婚約者である銀行の頭取の息子・洋介に破談を言い渡される。
「死にたい・・・」とまで呟いていた彼女達だったが、傷心館のオーナー・絹子に、「無駄死にするまえに騙した男たちを懲らしめてからでも遅くない。」と説得され、近所の村野一家もこれに賛同し復讐劇を計画する。それは自分達を騙した男達を招待しての『復讐パーティー』だった。
浩と寺田に対する復讐劇は、まさにコメディなのだが、浩はヤクザに脅された挙句、オカマにされてしまう。一方で寺田は美里の亡霊を見て失神し、恐怖に慄き返金し自首する。そして京子は今でも洋介を愛しているという理由から、復讐心で彼を酷い目にあわす事が出来なかったが、同じように洋介にも破談せざるを得なかった理由が明らかになり二人はめでたく結ばれる。というオチだ。
観ていて絶妙にスカッとする幕引きだった。そしてオカマのリリー役のJ田平の演技がサイコーに素敵だ。マッチョなバディに程よくこんがり焼けた皮膚のカマ風味が女装している姿を想像してほしい。無駄に気持ち悪いことこの上ないオカマなのだ。笑
そして佐伯卓郎(亡き傷心館のマスター)の存在感の無さは、あまりにも素晴らしい。彼は死んでるのに成仏できない、云わば死にぞこないで、未だに傷心館をうろつきまくっているのだが誰も気が付かない。まあ、幽霊だから気が付かないのは当然なのだが、何をするでもない只、そこに居るだけだ。黒いマントを着て。
ワタクシも最初は気になっていたが、そのうち幽霊が動いても立っていても、殆ど気にならなくなった。とにかく目立たない顔立ちなのだ。だから彼が役者を降りてひっそりとリアルに戻った時、駅で見かけても、あるいは、道でぶつかっても、あるいは犯罪を犯しても、殆ど記憶に残らない顔なのだ。
メフィストフェレスはこんな奴だったのではないだろうか、と思った。悪魔は決して目立たない。悪魔でございますという顔もしていない。いつのまにか、百年の知己のような顔をして静かに隣を歩いているのだ。笑
そんなこんなで無茶な想像もしながらひじょうに楽しめた舞台だった。コメディとしても面白い。そして登場人物もそれぞれがインパクトがあって笑えた舞台だった。次回は紀伊国屋ホールで公演するという。大丈夫か?!
観に行きたいと思う。
満足度★★★★
十二夜を観た
双子の兄妹セバスチャンとヴァイオラの乗った船が嵐に遭い、ヴァイオラはイリリアの海岸に打ち上げられる。彼女は消息の分からない兄を死んだと思い、身を守るために兄そっくりに男装してシザーリオと名乗り、イリリアの公爵であるオーシーノに小姓として仕えることにする。
そもそもこの物語はあまりにも瓜二つな双子の兄妹が発端となる恋物語だ。
以下はネタばれBOXにて。。
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オーシーノは伯爵の娘であるオリヴィアに恋をしていたが断られ続けており、オーシーノは、オリヴィアにこの求愛の手伝いをさせる。密かにオーシーノに淡い思いを抱いていたヴァイオラはその命令に苦しむが勤めを果たすべくオリヴィアに会いに行き、使者としてやってきたシザーリオにオリヴィアは心を奪われてしまうのだ。
一方でオリヴィアの執事であるマルヴォリオは、道化師のフェステ、オリヴィアの伯父トービー、彼の友人アンドルーの三人が毎日飲んだくれていることを説教する。これを恨んだ3人はオリヴィアの侍女のマライアと共に、仕返しをする。それはオリヴィアが書いたように思わせる偽恋文を彼に拾わせるのだった。「もし私の愛を受け入れるのなら、黄色い靴下に十文字の靴下留めを身につけ、微笑んで下さい」と書いてあり、彼はオリヴィアの前で実行するが、気違いと思われ、真っ暗な檻に監禁されてしまう。
一方、ヴァイオラがてっきり死んだと思っていた双子の兄セバスチャンは、別の船の船長アントニオに助けられており、彼と共にイリリアにやって来ていた。
場面は変わって、オリヴィアの求婚を巡ってアンドルーはシザーリオに決闘を申し込む。しかしシザーリオのことをセバスチャンだと思い込んだアントニオが割って入り決闘を止め、ヴァイオラは彼が自分の事をセバスチャンと呼ぶのを聞いて、兄が生きていることを知るのだった。
その頃イリリア見物をしていたセバスチャンは、偶然にオリヴィアと出会いセバスチャンは見ず知らずの美しい姫に求婚されて夢ではないかと戸惑うも、その申し出を受け入れる。オリヴィアはシザーリオに今まで頑なに拒まれてきたこともあり、相手の気が変わらぬうちにとすぐに結婚式を挙げてしまう。
その後オリヴィアと出会ったオーシーノは彼女に求婚するも、いつも通り断られてしまう。さらには彼女が自分の小姓を夫と呼ぶのを聞いて、裏切られたと思ったオーシーノはシザーリオに激怒する。しかし身に覚えのないヴァイオラはそれを否定するが、今度はオリヴィアが裏切られたと叫ぶのだ。そんな口論の最中にセバスチャンが現れ、一同は驚くのだった。ヴァイオラとセバスチャンは互いに素性を確かめ合い、別れ別れになっていた兄妹と知る。こうしてオーシーノはシザーリオが女だと知り、改めて求婚し二組のカップルがめでたく誕生した。
スタジオライフといえば宝塚の男バージョンみたいな劇団で有名だ。故にキャストの全ては男ばかりなので女役も彼らがこなすが、いわゆるこれらのオカマが実に美しい。
ヴァイオラ(シザーリオ)役の松本慎也は絶世の美女だし、セバスチャン役の関戸博一とも瓜二つだ。
またマルヴォーリオ役の坂本岳大のキャラクターの立ち上がりがとても素晴らしくて笑えた。
元々、『十二夜』は喜劇だが、スタジオライフ風に味付けするとものすっごくコミカルで楽しい。舞台セット、衣装、照明、音響、全てが秀逸でエンタメミュージカルだ。
そして初日のこの日はサー・トービー・ベルチ役の笠原浩夫が座った途端にパンツの尻が20cm以上も破れ、下着がまるで見えるというアクシデントがあった。このアクシデントを笑いに変えて彼自身が道化に徹するキャストとなった。観客の笑の渦を全て吸収していたが、これがあった為にむしろ楽しめたし、顎が外れるくらい笑い転げてしまった。
暗転後、彼はカーディガンを腰に巻いて登場し、それでも動きによっては白いパンツが見える。苦笑!
そしていよいよ次の暗転でパンツを履き替えて登場しちゃったから、ワタクシはものすっごく残念だった。笑
そんなこんなでとにかく笑った!舞台だった。
スタジオライフ、素晴らしいです。次回も必ず観ます。
でもって、笠原浩夫、がんばれ~~~!!
満足度★★★★
奇奇怪怪
アンデルセンの名作「人魚姫」をモチーフにし、映像をコラージュしたオムニバスストーリーというキャッチだったが、特に「人魚姫」というイメージは生まれなかった。「人魚姫」という狂気的で純粋で一途で我の強いキャラクターは確かに魅力的だが、かくゆう人間だってよほど奇奇怪怪だと思うのだ。笑
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「青い鱗」
とあるホテルの一室。一世一代のプロポーズに見事玉砕直後の男(中村祐樹)が一人。そこに現れたのは招かざるタイ人のデリヘル嬢。タドタドシイ日本語を話すサラピョン(木村佐都美)が実にキュートだ。青い鱗を纏った彼女の言葉に次第に男は癒され励まされる。
「Wishcost」
「変わりたい」鏡を見てつぶやく整形女。ユキの部屋に転がり込んでるヒモ男・陽一はゲームをやりながら、まともにユキの話も聞かない。いつも二人でいるのに孤独だ。そんなヒモ男はタマエと言う家出少女の面倒をみてやるなんて言い出す。ユキに何の説明もなくパジャマ姿でヤマンバメイクのタマエ(木村佐都美)が突然訪れ、ユキをおばさん呼びしながらずかずかと上り込んで来る。しかしユキはタマエを使って自分を変えるきっかけを探していたのだった。そしてこの馬鹿王子から離れることを決意する。
「生まれて、もう何百年。後、ひと月で十五。」
老女・ハナサン(木村佐都美)は海を見つめながら何時間も砂浜に座り込んでいる。
そして彼女はそこに愛しい人がいるかのように、
「誰もいない無人島であなたと二人きりで暮らしたい。毎日すき焼きを食べて、接吻して、毎日海で泳ぎ裸足で恋を語り合いカモメのように歌いながら、ずっと二人で・・。」
と繰り返す。それはもう死んでしまった人を何百年も待ち続け、いつか逢えることを楽しみに生き続ける老女のお話。
3話全てに登場した木村佐都美が実に素晴らしい。ガングロタマエからタイ人のデリヘル嬢、そして老女と変化しながら魅せていた。ワタクシがキャラクター的に好きだったのは、なんつったってデリヘル嬢のサラピョンなのだが、シュールな会話の間があまりにも絶妙でコミカルだった。そういう点では1話も2話もコメディなのだが、3話で「待ち続ける女」という一途さに清々しく胸打たれたワタクシは、その情景を想像し、しっとりと、そしてどっぷりと浸かることが出来た。
今回の箱だが、段差のない平面に丸椅子を置いただけだったのでとにかくキャストが見辛かったのが難点。前列は桟敷席にするとか、工夫して段差は作れないものだろうか?
あるいは舞台を高くするとか、なんらかの方法を考えて欲しかった。
ここのキッシュ300円は絶妙な美味さ。後で下北沢に行った折に、また食べようと思う。
ワタクシ、常連客になっちゃう。
満足度★★
おっさんウケ!な公演
生きるために、エロ。というキャッチどおり、期待に答えて素晴らしい半裸の脱ぎっぷり。
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原作は、だらだらと続く戦争をとっとと終わらそうと、兵隊の妻達がセックスストライキを決行し、平和へと導いていく話だが、今回の舞台はまったく原形をとどめていないほど脚色していて、殆どがショー。その描写は、はちゃめちゃ。
だから、じっくりとした芝居を観たい方には不向きだが、おっさん受けはしそうだ。
そのせいか、客席最前列はおっさんだらけで、舞台上でも同じセリフを吐いていた。苦笑!
オープニングから描かれる物語は、はっきりいって良く分からず、登場するキャラクターは全てセーラー服だ。27番の御馴染み柿丸美智絵だって、なりふり構わずセーラー服だ。今回の舞台ではっきりくっきり分かったことはセーラー服には年齢制限がないらしい。ということ。
でもって20番の高山のえみが「砂の女」と称してすり足でパフォーマンスしたのには大受けしたが、全体的には同性としては、もうちょっと演劇重視にして欲しかった。勿論、次回も脱いで欲しいのだが・・。笑
ちなみに、今回、江本純子は脱がない。
満足度★★
昭和のテキスト
ものすっごくベタな大衆演劇だった。かつてこれほどまでの大衆演劇は観たことないわ!ってくらい。大きな健康ランドで公演してるような催しそのもの。しかも公演の半分はカラオケ大会みたいなナリ。
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花組芝居は自らを『ネオかぶき』と称し、活動しているがあまりにも歌舞伎とは程遠い演劇。歌舞伎というよりも、いにしえのドリフターズを観ているよう。とにかく緩い。原川浩明はセリフを忘れ、アドリブかますわ、全体的にはちゃめちゃ。
劇団の紹介は「高尚になり、堅苦しく難解なイメージになってしまった『歌舞伎』を、 昔のように誰にも気軽に楽しめる最高の娯楽にと、『歌舞伎の復権』を目指す。 底知れない歌舞伎の知識を活用しながら、全く枠に囚われないユニークな発想と、 古今東西の音楽美術を取り込んで、独特の『加納ワールド』を展開。 」なんて偉そうに書いてあるが歌舞伎のかの字もない体たらくでした。マジ、びっくり!!
流石に衣装は豪華絢爛。キャストは男性ばかりなのでカマ風味も登場し、狸や狐や海坊主(原川浩明)も参加し殆どお化け屋敷状態!失笑
物語は、かつて狸軍を率い救世主と称えられた姫狸田の君。処刑裁判により火刑に処せられてから25年。ポントコナ七世の命により復権のため尋問が開かれようとしている。
なんつってジャンヌ・ダルクのような筋だが、観ているとジャンヌとはかんなりかけ離れた筋のように観える。休憩を挟んだ公演だったが、休憩時に帰られた観客も結構いらして眼の前の視界は遮られることなくゆるりと田舎芝居を観てヘタな歌を聴かされて、眠くなりました。