IN/GO 公演情報 EgofiLter「IN/GO」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    カクレキリシタン
    実は恥ずかしながらカクレキリシタンをよく知らない。カクレとは今の今までキリスト教だと信じてきたワタクシはカクレと呼ばれるカクレキリシタンがブードゥ教のようなキリスト教と土着の信仰が融合したものだと始めて知る。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX


    裏日記はこちら→http://ameblo.jp/misa--misaki/

    長崎県南松浦郡。上五島の中心である中通島にほど近い孤島、柄島。漁業を営むわずか2世帯14名が居住する島の一角、下窄孝子の家が舞台。劇中のセリフから苗字に下という字がつくとカクレであるとのこと。出来たらこういったカクレについてもっと詳しく描写してほしかった。

    孝子の葬儀に離れて暮らしていた3人の娘たちと近所の住民、シスターが集まってくる。孝子はカクレであったが、ある理由から26年前に家を捨てて失踪していた。孝子の3人の娘たちは隣家によって育てられていたが10年前に孝子が戻ってきた時を最後に娘たちは家を出て暮らしていたのだった。

    孝子の葬式で集まった娘たちは賑やかな葬式の場でふと自分たちの過去の話題になった時、つばきという4人目の妹が居たことを思い出す。それは26年前、つばきを抱いた長女が階段を滑ってつばきを落としてしまい、これが起因でつばきは死んでしまったのだ。3人の娘たちはつばきを隠してしまえば、なかったことに出来るんじゃないか、という幼子の咄嗟の考えから、長女と秀晴(孝子の弟)の二人でつばきを貯水槽の中に沈めてしまったのだ。

    この記憶をすっかり忘れていた京子と八重に陽子が過去の出来事を説明する。「母さんが失踪したのは私たちのせいじゃない。二人とも覚えてないの?じゃあ、ずっと苦しんでいたのは私だけ?!」と。

    一方で10年前に孝子が帰ってきてから秀晴は自宅の家の水道に仕掛けをして赤い水が出るようにする。これは失踪した孝子に対して、振り回される周りの人を考えたことがあるのか、水道から血の涙を出して姉さんを反省させる。という秀晴の鬱積した行為だった。

    家族を軸に偏狭的な人々は島という、独特の閉ざされた環境で皆で抱えた罪を黙してけっして外に漏らさないことで、柄島独自の治安を守ってきたのだ。一つの事柄に対して秘密を持つということは集団の結束を固め易い。

    この物語に登場する佳代子という女がつばきの霊のように振る舞う。母親が神経症になってナンドガミを祀っていた、ナンドガミのようにも振舞う。
    この物語はカクレを信仰し続けた女とその家族の物語である。カクレをもっと勉強していたらまた違った見方も出来たと思う。それが残念でならない。終盤、徳雄が歌うカクレの歌が神々しかった。

    また序盤に撒いた伏線を終盤にかけてきっちり回収されていたものの、それまでの謎あかしがあまりにも長く思えた。そしてシスターの存在とカクレの関係性もイマイチ良く解らなかった。次回もこの劇団は観たいと思う。本が素晴らしい。。

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    2011/12/12 16:21

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