【追加公演決定しました!】『B4 paper books 2』 公演情報 劇団パラノワール(旧Voyantroupe)「【追加公演決定しました!】『B4 paper books 2』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    【黒の章】を観劇
    【黒の章】を観劇。
    『きこりと木の精』 が異常に良かった!

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX



    裏日記はこちら→http://ameblo.jp/misa--misaki/

    『ジャック・ザ・リッパーたるために』
    1888年、ロンドンを震撼させた切り裂き魔ジャック。しかし、その正体は定まらなかった。 これは一挙に怪しまれた4人の被疑者が、切り裂きジャックたるための供述を記した記録寓話である。

    ・・・から始まるこの物語は5人目を殺したのは俺じゃない。これは贋作だと言い張るジャックの言葉を受けて、4人の被疑者が5人の娼婦をどのように殺したかを再現したものだ。実際、殺されたのは長い事ブサイクに甘んじて生きてきたババアだ。しかし、ここでババアに演じてもらうわけにいかない。今回は此奴らにババアの役をやってもらう・・・と、あと10年もすりゃあババアになる女優たちが演じるのだ。

    それぞれの女優たちは男に殺されるまでを演技するのだが、あまりにも倒れ方が美しいのが川添だ。川添は死んだ後の絵のような画を鏡で見ながら練習したのだろうか?


    『きこりと木の精』
    3篇の中で一番好みだったのがこの物語だ。大人の童話さながら美しいファンタジーであった。
    男は長くきこりとして俗世から遁れていたためか、目に映る人々の中に木人が混ざっているような気がしていた。中にはすでにしっかりとした木の幹になっているものもいたので、きこりとしては伐るしかなかった。そうだ、家を建てよう。・・・きこりを演じたのが中尾僚太。彼はこれを演じる為に生まれてきたような男だ。物語の中にしっかりと溶け込み、きこりの鬱積した生き様を見事に演じていた。

    またこの物語をファンタジックに魅了したのが演出力だ。きこりが木人を伐った址には木の足首と赤い靴が取り残されていた。青い靴でなく赤を使うところが実に素晴らしい。そして31名の行方不明者は森に居るんじゃないか?と説いた刑事が木の幽霊に誘い込まれ、自身も木人になってしまうシーンは残酷だが妖しくて美しい。そしてキャストの全員が全身タイツで蠢くさまはエロく官能的だ。木人は流れるように自分たちで家を建てて築き上げる。死体を隠すなら死体の山を作れ!
    照明も素敵な大人の寓話。


    『黒髪と魚の足とプレシオサウルス』
    サーカス団はフタバの人体切断マジックで大好評を博した。しかしこれはマジックではなく実際にフタバの足を切断していたのだった。やがて何度も切断してはくっつけしているうちに、思うようにくっつかなくなり、サーカス団員のフィッシュとフタバが提案したのは人魚による遊泳ショーだった。フィッシュを想うあまり犠牲的精神で自分を切り刻んできたフタバの怪奇と狂気の生き様を描いた物語。
    残酷ショーをみているような気分になって、正直言って、こちらはあまり好みではなかった。

    黒と赤を観て気が付いたことだが、何かが足りない・・とずっと考えていた。そしてそれはコメディと狂気を分け隔てる空気の遮断だ、と思う。どの物語にも狂気とコミカルさが点在している。だからそこに漂う空気感がぐだぐだになってどっちつかずになってしまうことだった。これをどうにかしないと狂気と滑稽の繋がりも曖昧になってしまう恐れがある。ここ、どーにかならないだろうか・・。

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    2011/12/11 17:07

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