4STARS One World of Broadway Musicals フォー・スターズ ワン・ワールド・オブ・ブロードウェイ・ミュー
梅田芸術劇場
青山劇場(東京都)
2013/06/15 (土) ~ 2013/06/23 (日)公演終了
満足度★★★★★
本物のエンタメを堪能できる幸せ
この公演が発表された日から、今日の日をずっと待ちわびていました。
まさかこの方達の生の歌声を、東京にいながらにして、聴ける日が来ようとは、思いもしませんでした。
チケットを入手しても、夢を見ている心地でした。
でも、間違いなく、私の目の前に、「ミスサイゴン」のキム役だったレアさんや、「オペラ座の怪人25周年コンサート」で、我々を魅了してくれたシエラさんや、ラミンさんが、存在して、生歌を流麗な歌声で届けてくれていました。
奇跡のような夜でした。
我が日本ミュージカル界からは、誰より背が高い、見目麗しい城田さん。
3人の超ベテランと伍して、お見事でした。
客席に、本当にこの公演を観たくて、聴きたくて参集した客が満員で、1曲終わる度に、溜息と共に、賛美の拍手が鳴りやまない、素敵で、本物のエンタメに、心からの喜びと癒しの時間を頂き、幸せな気持ちになれたことに、感謝しかありません。
獣の柱 まとめ*図書館的人生(下)
イキウメ
シアタートラム(東京都)
2013/05/10 (金) ~ 2013/06/02 (日)公演終了
満足度★★★
前川さんの変容を感じる
震災以前、イキウメの芝居は、大変センセイショナルでありながら、現実社会ではあり得ないようなSF的な世界を、あり得そうな世界に変換して見せる技術がずば抜けていました。
あり得ないような世界に生きる男女の恋愛模様にカタルシスを感じ、息の詰まるような感動を覚えたものでした。
でも、あり得ない程の悲劇的現実の非情さの前で、前川さんは、もしかしたら、戸惑いを感じてはいないでしょうか?
原発事故が、劇作家前川氏に、足枷を食めてしまったような印象を、震災後の公演を観る度、感じてしまいます。
演劇的カタルシスが薄まって、ある種の自信が揺らいでいるような、遠慮がちな劇世界が、何となく残念に思える作品でした。
汚れた手
劇団昴
俳優座劇場(東京都)
2013/06/01 (土) ~ 2013/06/09 (日)公演終了
満足度★★★★
驚きの長さなのに、厭きなかった
サルトルの芝居を観るのは、初めてだし、外国の革命や内戦事情などに、疎いので、理解できるだろうかと不安でしたが、人間の本質を深く抉った内容で、私にも共感できる普遍性があり、飽きずに観劇することができました。
だけど、終わって時計を見たら、3時間40分近くの長い上演時間に改めて驚愕!
正直、途中でウトウトしてしまった部分もありましたが、観て良かったと思える公演でした。
主役のユゴー役の中西さんの台詞が、所々、明瞭に聞こえず、しばらくは、心が舞台に吸い寄せられずにいたのですが、エドレルが登場してからは、私も彼の言葉に感化され、説得力のある彼の台詞を通して、ユゴーやジェシカの気持ちが痛い程理解できて、心が痛くなったりもしました。
サルトルって、相当凄い人なんだと、実感した舞台でした。
うかうか三十、ちょろちょろ四十
こまつ座
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2013/05/08 (水) ~ 2013/06/02 (日)公演終了
満足度★★★
商業興行作品としては??
端的で、要領を得た芝居は、視覚的にも面白く、飽きずに観るのに、ちょうど良い作品でした。
まるで、「日本昔話」の舞台版のような趣。
鵜山さんの手に掛ると、とにかく、舞台作品としての、一定の体栽が整うことには、いつも感心するばかりです。
でも、観終わった後にすぐ頭を過った想いは、「これ、井上さんは、こういう形で上演されることを良しとされたのだろうか?という疑問でした。
たとえば、小学校の5,6年生対象の観劇会とかで、上演するような形なら納得できるのですが、商業的な興行としては、内容も、上演時間の短さも、あまり適切な作品とは感じられない気がしてしまいました。
恐怖が始まる
ワンツーワークス
劇場HOPE(東京都)
2013/05/24 (金) ~ 2013/06/04 (火)公演終了
満足度★★★★
芝居中、別の思考が駆け巡る
チラシを見ただけでは、どんな恐怖が描かれているのか、予測がつかず、チラシの右の雪だるまみたいな人物の意味するところも、わかりませんでした。
冒頭、出演者達が号礼のように口にする数字の意味も、固有名詞が話されないので、徐々にわかるようになるまで、時間を要します。
そして、この芝居の描く恐怖の輪郭がはっきりした途端、今度は、思考は、舞台上のそれではなく、私がこの芝居を観ている今この時にも、作業している方達へと飛んでしまいました。
この芝居を観ている、一般人の私に一体何ができるのかと、もどかしい思いが心に充満するばかりで…。
大変、うまく構成された舞台で、役者さん達の演技も秀逸なのですが、演劇として、この作品をどう捉えたら良いのかと、ある種の戸惑いも感じました。
アフタートークは、ゲストの劇団チョコレートケーキの古川さんの紹介に終始した感があり、まるで、チョコレートケーキの宣伝のような印象でした。
会場に来ていた客は、今観た芝居の話題を中心にした話を聞きたいのではと思うので、もう少し、そういう方向でのアフタートークであってほしかったと感じます。
ディズニーミュージカル「リトルマーメイド」東京公演
劇団四季
四季劇場[夏](東京都)
2013/04/07 (日) ~ 2017/04/09 (日)公演終了
満足度★★★★
結果的には、ほぼ満足
映画を観ているので、ストーリーの展開の速度が緩やかな点に、最初は戸惑いました。
「ライオンキング」や「美女と野獣」や「アイーダ」に比べると、ダイナミズムではかなり劣る気はします。
でも、相変わらず、お元気な飯野おさみさんのステージワークは魅力的だったし、ヒロイン、ヒーローが、四季の公演には珍しく、観目麗しいキャスティングだった点も、嬉しく感じました。
海の中の人魚の動きが素晴らしい。
客席の子供達も喜んでいたし、これは観られて良かったと思える公演でした。
もっと、印象に残る曲がたくさんあれば、尚良かったのですが…。
明治座 五月花形歌舞伎
松竹
明治座(東京都)
2013/05/03 (金) ~ 2013/05/27 (月)公演終了
満足度★★★★★
演目の配分が良い夜の部
自分のイージーミスのせいで、「将軍江戸を去る」は、20分遅刻し、二場の途中にようやく間に合いました。
勘九郎さんの血気盛んな鉄太郎の登場場面を見逃したのは残念でなりません。
で、そこでは、「中村屋!」の掛け声も発せられたのかもしれませんが、私が席に着いてからは、勘九郎さんが、青果の名台詞を朗々と発する間でさえ、常に、「高麗屋!」の掛け声ばかりで、これでは、知らない人は、勘九郎も高麗屋なんだと誤解するのではと思う程でした。
「藤娘」の七之助は、見た目は申し分ない美しさでしたが、まだ踊るのが精一杯と言った感じで、余裕がなく、腰をもう少し、落して踊った方が、座りが良い舞踊になりそうな気がしました。衣装の変化と共に、踊りの内容も変化して行くのがこの演目の醍醐味なので、今後に期待したいと思いました。
「鯉つかみ」は、暑くなってきたこの季節には、うってつけな楽しい演目で、あまり歌舞伎に詳しくない観客でも素直に楽しめる作品でした。
1階席の前方のお客さんは、何かと大変そうで、夜の部は、2階席にして、正解でした。
ラジオスターの悲劇
少年社中
吉祥寺シアター(東京都)
2013/05/08 (水) ~ 2013/05/15 (水)公演終了
満足度★★★★
役者の温度差を感じる
劇団の15周年記念第一弾公演だそうで、劇団の役者さん達の熱は、思う存分感じたのですが、反面、客演の役者さんとの温度差が出てしまった気もします。
一部の役者さんに、ミスキャストの感もありました。
二重構造のドラマ進行が、ラジオドラマの方は、結構面白いのに、本題の方の、ストーリーには、やや工夫が足りないようにも感じ、その点がとても残念でした。
主役のラジオスターを、日替わりゲストが演じるというアイデアはとても成功していたように感じ、楽日の三上さんの大熱演を観た限りでは、好感触で、楽しむことができました。
ただ、せっかく、ゲストが真面目に演じているだけに、コントのいじり的なアドリブ場面は、不必要な気がしたし、内容的にも、不釣り合いな印象を受けてしまいました。
ダンス場面は、高揚感があって、社中らしくて、好きでした。
ライター役の井俣さんに一際の存在感があり、嬉しく拝見させて頂きました。他に、堀池さん、岩田さん、山川さん、甘浦さんが、好演されていたように思いました。
三大ミュージカルプリンスコンサート StarS
アトリエ・ダンカン
東急シアターオーブ(東京都)
2013/05/08 (水) ~ 2013/05/12 (日)公演終了
満足度★★★★★
和やかで楽しいコンサートでした
井上さん、浦井さん、山崎さんと、どなたも初舞台から拝見しているミュージカル俳優さんなので、、半ば、身内意識的な思いも加わり、期待半分、心配半分で、観に行きました。
これを機に、3人で「Stars]というミニアルバムも出され、そのトリオとしてのコンサートなので、3人で一緒という形式の選曲、構成が多く、本音を言えば、もう少し、各自のソロを楽しみたかったという欲もありますが、結果的に、チームワークも良く、トークも愉快で、和やかな気持ちになれる素敵なコンサートでした。
歌手としての実力は、やはり、ダントツ井上さんですが、浦井さんの、人柄の出たフリートークが、とにかく愉快で、何度も笑ってしまいました。
最近の楽曲は、つまらないものだらけなので、是非、ヒットチャートを賑わせて、ミュージカルを観ない方にも、三人の存在を知らしめてほしいものだと思いました。
ただ、チラシやポスターの3人の写真の髪型のセンスの悪さには閉口しました。
衣裳のセンスも今一つ。3人ともせっかく素敵なのに、実物より悪く見えるこのフライヤーは、ファン層を開拓するには、逆効果だと思うのですが…。
明治座 五月花形歌舞伎
松竹
明治座(東京都)
2013/05/03 (金) ~ 2013/05/27 (月)公演終了
満足度★★★★
頼もしい勘九郎実盛
どちらかと言えば、切られ与三の方がお目当てでしたが、作品の完成度は、実盛の方が勝っていました。
とにかく、勘九郎さんの実盛が、理想形に近く、あっぱれです。手堅い配役で、台詞も明瞭。近来の上演の中でも、わかりやすさの点では、群を抜いていました。何度も観ている演目ですが、仁左衛門さんの実盛以外で、泣かされるとは思いませんでした。
小万との経緯を物語る場面は、的確な表現で、観客の目を逸らせずに語る説得力があり、大変頼もしく感じました。
瀬尾役の亀蔵さんは、口跡も良く、今まで拝見したどの瀬尾役より、最期の場面に共感してしまいました。お若い頃から、父が注目していた役者さんでしたので、帰宅して、早速、仏壇の父にも報告したくらいです。
「玄冶店」の場が有名な切られ与三は、七之助さんのお富が美しく仇っぽいのはいいのですが、どうも、実のない、性悪女に見えてしまうのが惜しい。染五郎さんの与三郎は、見染の場の若旦那ぶりはいいのですが、やさぐれた後の強請り場での役作りは、まだ工夫が必要だなと感じました。蝙蝠安の亀鶴さんの軽やかな演技には、楽しませて頂きました。
ところで、この日、明治座のカフェで、河竹登志夫さんはお元気かしらとふと思い出し、帰宅後、自宅の書庫で、登志夫先生の著書を数冊立ち読みしていました。まさか、当日亡くなられていたとは!
虫の知らせだったのでしょうか?
これで、父のご友人は皆さん、父と同じ世界にいらしてしまわれました。
合掌。
エレノア
サスペンデッズ
駅前劇場(東京都)
2013/04/26 (金) ~ 2013/05/03 (金)公演終了
満足度★★★★★
早船色は健在
他の劇団のために書き下ろした作品だということで、何か制約を感じるかと危惧しましたが、全く変わらず、早船さんの、人間を優しく見つめる視点が利いている素敵な作品でした。
ただ、チラシの文章から受ける印象とは大分違う作品でした。チラシの雰囲気では、イキウメ的かと思いましたが、いつもながらの、どこにでもいそうな人物の、市井の出来事の断面を切り取ったような、スケッチ風の佳品。
登場人物全員の描き方が実に細やかで、これで、1時間半で、完結できる、早船さんの作家としての力量に、またしても、感嘆しました。
他への書き下ろしのせいか、伊藤さんや佐野さんの役柄が、いつもと違って新鮮でした。
客演の野々村さんの、確固たる存在感。一色さんの、まさかの声の説得力。
普通の主婦に見えたともさとさんの女の色気。明るく見えて、自らの性癖的性格に悩む和泉役の山下さんの健気さ。佐藤さんの、いつもながらの、安定感。伊藤さんも、謎めいた男の憂愁美が素敵ですが、ちょっと台詞が聞き取り辛かったのは残念でした。
役者さんは、皆さん、魅力的でしたが、中でも、いつもの役柄のイメージと違う、普通の人の好い男を好演された佐野さんの実在感には、感服しました。
個々の役者さんの体を通して、実在するかのような人物が生き生きと躍動する舞台に、何故か、嬉し涙がそっとこぼれました。
どんな有名な劇作家でも、これだけ、丁寧に、登場人物一人一人に光を当てて丁寧に命を吹き込める作家は、早船さんを置いて他に見当たらないという気さえします。何しろ、話にしか出てこない人物や、死者までが、生き生きと躍動してるんだもの。
横濱短篇ホテル
劇団青年座
紀伊國屋ホール(東京都)
2013/04/19 (金) ~ 2013/04/28 (日)公演終了
満足度★★★★★
小粋で、誰もが楽しめる芝居
どうしようかと迷った末、予約した舞台でしたが、本当に観に行って良かったと嬉しくなる作品でした。
まるで、ニールサイモンの芝居のように、小粋で、アフター5に、中高年カップルが、映画感覚で、気軽に観るのに相応しい感じの作品でした。
マキノさんは、引き出しが多いから、この手の芝居は、お上手だなあと、改めて感心しました。きっと、青年座との相性も抜群だと思います。
あるホテルの1室で起こる短編芝居は、先日も、ある劇場で拝見したことがありますが、その作品に比べて、練り上げられた構成の妙が、気持良い舞台作品でした。
那須さんが退団されてしまった今、椿さんは、私にとって、青年座一、魅力的な女優さんです。何か、あの男前なところが好き!
出番の少なかった、加門さんも、ダンディで素敵!
横堀さんは、軽佻浮薄ならぬ、軽妙洒脱な演技が、相変わらず、魅力的!
香椎さんの、見せる演技には、新鮮な驚きで、先が楽しみな女優さん。
小暮さんから、津田さんへの流れは、キャスティングの妙を感じ、大成功だと思います。
大家さんは、役によって、荷が重いのではと感じさせられることもある役者さんですが、今回は敵役で、はまっていました。
映画監督役の、小豆畑さんには、何故か、養成所時代の8割世界の鈴木雄太さんの演技を思い出させられました。
若いカップルを演じた、須田さんと田上さんも、コンビぶりが、しっくりして、好配役。
とにかく、全編を通じて、マキノさんの作劇センスと、宮田さんの上品な演出のマッチングが絶妙な作品。主要人物二人の役を、お一人の女優さんで通さなかったのも、大成功の要因ではと感じました。
あまり、難しいことを考えたり、現実に即して、嫌な気分になることなく、こうして、気持良く笑える芝居を観られるのは、何よりの幸せです。
特に、「人間観察」の、加門さんと、加茂さんのシーン、すごく好きでした。
青年座のフレンド会員でいて良かったと、心から思いました。(青年座は、全員の役者さんに実力が備わっているので、演技面でも、本当に、安心して観ていられる貴重な劇団だと、再認識しました。)
おのれナポレオン
東京芸術劇場
東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)
2013/04/06 (土) ~ 2013/05/12 (日)公演終了
満足度★★★★★
エンタメ作品の観点なら、上出来
三谷作品は、結構好きで、かなり拝見しているせいか、三谷さんのドラマの構築法が、大分予測がつくようになってしまっていて、謎解きという観点で観ると、最初から、筋書きを予想できてしまいましたが、芝居の出来栄えとしては、かなり満足度の高い舞台で、安心しました。
何しろ、演劇人として、プロ中のプロだけが結集している舞台ですから、観ていて、安心感があります。
劇中、ナポレオンの台詞にある、「お客を緊張させてはいけない」という演技の基本姿勢を、このキャスト陣は皆さん、実践して下さっているので、久々、客席でゆったりした気持ちで劇を楽しむ余裕がありました。
近年の三谷作品の中では、私には出色の舞台だったと感じました。特に、演者としての野田さんの起用は大成功だったと感じます。
チェスの知識が皆無なので、チェスをもっと知っていたら、更に楽しめたのではと、残念。
個人的に、素人は、過去の有名人の死因には、疑問を抱いて、調べたりしない方が、無難だという、レクチャーを授かったような気もしています。
パパのデモクラシー
劇団東京ヴォードヴィルショー
座・高円寺1(東京都)
2013/04/04 (木) ~ 2013/04/14 (日)公演終了
満足度★★
期待が高過ぎたのかも
この作品、永井さん作、鈴木さん演出ということで、大好きなお二人の女性演劇人のタッグに、胸躍らせて観に行ったのですが、少々と言うか、正直かなり期待外れでした。
たぶん、初演はもう20年近く昔だったんでしょう。
その当時なら、斬新な切り口の芝居だったのかもしれません。
ですが、今の日本の、憂える現状満載の時期に観るには、少々、まどろっこしさを感じてしまう内容でした。
役者さんも、役のヒントが少なくて、役作りが難しかったのではと感じます。
ただ緑川を演じたあめくみちこさんは、いつにも増して可愛くて、素敵でした。
鉄火のいろは 【観たい!コメントorツイッター呟き で特製バッチプレゼント☆】
蜂寅企画
ウエストエンドスタジオ(東京都)
2013/03/27 (水) ~ 2013/03/31 (日)公演終了
満足度★★★
いつもの中尾脚本の切れがないのが残念
蜂寅は御縁あって、旗揚げからずっと見守ってきた劇団。
ですから、思い入れも相当です。
それだけに、今回の作品は、期待が高かった分、自分にとっては、非常に口惜しくなる舞台でした。
まず、開演から相当経っても、舞台が温まらない苛立ち。ストーリー上、火消し十番組を組の面々は、必要なかったような気もしました。
蜂寅の殺陣にはいつもワクワクさせられるのですが、今回は、殊の外、ストーリー上、必須な殺陣でないシーンも多く、蛇足にさえ感じる部分もありました。
舞台終盤になって、ようやく、いつもの蜂寅の高揚感が漲った感じを受けました。
中尾さんは、時代劇作家として、類稀な実力をお持ちと、日ごろ期待度が高いだけに、今回の舞台は、やや拍子抜けでした。
更に、験算を積んで、出演者にも、華がある俳優さんが加わって下さったら、もっと魅力ある劇団になるに違いないと、次回公演に期待したいと思いました。
出演者の髪型にも、更に工夫をお願いしたいと思います。
音楽劇 スマイル・オブ・チャップリン SMILE of CHAPLIN
チャップリン・ザ・ワールド製作委員会
赤坂ACTシアター(東京都)
2013/03/27 (水) ~ 2013/03/28 (木)公演終了
満足度★★★
短編舞台と言うより、寸劇的
作りは悪くないし、出演者も、適材適所で、好感の持てる舞台でしたが、音楽劇の方が、どうも付け焼刃的な雰囲気で、特に、2幕の「マイ・マン・フライディ」は、チャップリン主体ではなく、彼の日本人秘書だった、高野虎市が主役の舞台で、ちょっとここで上演するには違和感を感じる作品でした。
ミニコンサートの司会を担当した、若いお二人が、意外にも好印象で、彼らの歌が一番受けていたかも。
一幕ごとに、10分の休憩が2度入りましたが、トイレタイムには不十分だし、ここは、短編舞台2作は続けて上演し、20分の休憩後、趣を変えて、コンサートにした方が良かったのではと感じました。
三月花形歌舞伎
松竹
新橋演舞場(東京都)
2013/03/02 (土) ~ 2013/03/26 (火)公演終了
満足度★★
美しい二人椀久
歌舞伎をあまり踊り主体で観に行くことは稀ですが、夜の部のお目当ては、染五郎さんと菊之助さんが二人で踊る「二人椀久」で、これを観たさに出かけました。
お二人とも、お母様譲りの端正な顔立ちでいらっっしゃるので、薄暗い幻想的な舞台に、幽玄美を放たれた舞踊で、心酔しました。
「一條大蔵譚」の方は、染五郎さん初役ですし、今までのどの大蔵卿より、阿呆の作りに、まだ工夫が必要な感じを受けました。
場転の時間の長さも、今までで一番。スタッフの仕事ぶりに、素人感が見えました。
それにしても、3階席、ヨーロッパからのお客様が多く、私の前に座られた男性が、完全に前のめりでご覧になっていて、舞台が全く見えず、どうしたものかと思案していたら、遅刻のお客様を案内して客席誘導の女性が通られたので、帰り道を押しとどめ、身振りで、懇願したら、即、外国語の絵入りの前のめリ禁止ボードを提示して、忠告して下さったので、助かりました。
機転の利く案内嬢に感謝!
終演時刻が、7時台で、遠方に帰られる、年配のお客様にはいいかもしれませんが、それなら、チケット代は、もう少し、安くしてもいいのではと感じます。
いつもより、演目が少ないのに、代金が一緒というのには、少し、不満が残りました。
八月のラブソング
加藤健一事務所
本多劇場(東京都)
2013/03/08 (金) ~ 2013/03/24 (日)公演終了
満足度★★★★★
戸田さんの魅力が、余すところなく発揮される舞台
何もかもが、譬えようもないくらい素敵な素敵な珠玉舞台。
お二人の共演は、「ランフォーユアワイフ」以来の観劇ですが、あの爆笑コメディとは、全く雰囲気の異なる、大人のファンタジーといった趣の、極上の二人芝居でした。
鵜山さんの演出だけあって、舞台装置も、照明も、舞台内容と見事にマッチングして、大人の絵本を見ているような夢の世界のようなラブストーリーでした。
戸田さんの魅力が、最大限生かされている芝居で、同性の私でさえ、うっとりしてしまう素敵さに満ち溢れていました。
私も、死ぬまでに、もう一度、こんな風に心を通わせられる異性に巡り合いたいと痛切に思いました。
連続おともだち事件
クロムモリブデン
赤坂RED/THEATER(東京都)
2013/03/06 (水) ~ 2013/03/20 (水)公演終了
満足度★★★★
国芳の再来かと思う青木さんの才
クロムは、「空耳タワー」から、連続7作目の観劇になると思うのですが、いつも感じるのは、現代社会の闇や裏事情を、ポップにコミカルに、デフォルメして、活写する、青木さんの劇作家・演出家としての、ずば抜けた技量の確かさです。
まるで、国芳の浮世絵が動いているような感覚。
これを、作者で演出家の思い描いた通り、体現できる役者さんの技量も、負けず劣らず。
これだけの劇団は他にないんじゃないかなと、観る度思います。
ただ、今回の作品は、内容的には、少し不満が残りました。
もっともっと、クロムらしい突き抜けた終わり方にしてほしかったような…。
ウェディング・シンガー
東宝
シアタークリエ(東京都)
2013/03/01 (金) ~ 2013/03/20 (水)公演終了
満足度★★★
トリオの相性が良く、それなりに楽しい
今まで、初演も再演も興味がなく、拝見したことはないのですが、今回は、ウエディングバンドのトリオが、新納さんと吉野さんなので、初めて観に行きました。
内容は、予想以下でも以上でもなく、時間があって、出演者に興味がある方以外に、わざわざお勧めしたい程の作品ではないものの、期待通り、3人の相性が抜群で、楽しく拝見することができました。
リンダ役の徳垣さんのインパクトが凄過ぎて、ビックリ。
ロージー役の初風さんは、泉ピン子さんそっくりでした。
ホリー役の彩吹さんは、いつも私が拝見する時は、色気がある役をなさることが多く、今回も、それがちょっと腑に落ちませんでした。