汚れた手 公演情報 劇団昴「汚れた手」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    驚きの長さなのに、厭きなかった
    サルトルの芝居を観るのは、初めてだし、外国の革命や内戦事情などに、疎いので、理解できるだろうかと不安でしたが、人間の本質を深く抉った内容で、私にも共感できる普遍性があり、飽きずに観劇することができました。

    だけど、終わって時計を見たら、3時間40分近くの長い上演時間に改めて驚愕!

    正直、途中でウトウトしてしまった部分もありましたが、観て良かったと思える公演でした。

    主役のユゴー役の中西さんの台詞が、所々、明瞭に聞こえず、しばらくは、心が舞台に吸い寄せられずにいたのですが、エドレルが登場してからは、私も彼の言葉に感化され、説得力のある彼の台詞を通して、ユゴーやジェシカの気持ちが痛い程理解できて、心が痛くなったりもしました。

    サルトルって、相当凄い人なんだと、実感した舞台でした。

    ネタバレBOX

    宝塚のレビューでお目に掛るような、大階段だけのセット。

    でも、この空間を違和感なく、作品の世界に導く動きが随所に見えて、驚きました。

    具体的な革命の内容には精通していない私でも、普遍的な、革命の矛盾や、人間の思想のあやふやさが、きめ細かく描かれた芝居で、至る所で、共感できる瞬間がありました。

    人間は、思想や理念とは関わりなく、信頼に足る人物には、心惹かれてしまうという、心の襞が精密に描写されていて、ジェシカが、エドレルに惹かれて行く心情も痛い程わかるし、彼の暗殺を命じられたユゴーの苦悩と葛藤も、自分のことのように、胸に刺さりました。

    ユゴーが、エドレルを殺した理由を、時代の変化の中で、自ら許容できずに、殺されることを選ぶラストシーンは、大変納得できる場面でしたが、最後に、ユゴーが、階段を転げ落ちて来る部分は、蛇足だったような気もします。
    映画ではないので、どうしても、役者さんが、怪我しないように、自らを庇うような動きが見え、ラストの衝撃を持続させないようで、とても残念に思いました。

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    2013/06/02 03:57

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