連続おともだち事件 公演情報 クロムモリブデン「連続おともだち事件」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    国芳の再来かと思う青木さんの才
    クロムは、「空耳タワー」から、連続7作目の観劇になると思うのですが、いつも感じるのは、現代社会の闇や裏事情を、ポップにコミカルに、デフォルメして、活写する、青木さんの劇作家・演出家としての、ずば抜けた技量の確かさです。

    まるで、国芳の浮世絵が動いているような感覚。

    これを、作者で演出家の思い描いた通り、体現できる役者さんの技量も、負けず劣らず。

    これだけの劇団は他にないんじゃないかなと、観る度思います。

    ただ、今回の作品は、内容的には、少し不満が残りました。

    もっともっと、クロムらしい突き抜けた終わり方にしてほしかったような…。

    ネタバレBOX

    お一人様が好きなアリヒロの所に、突然押しかけレンタルフレンドとしてやって来るマコト。一方的に、レンタルフレンドの効用を捲くし立てる冒頭から、すっかりクロムの魔法に掛り、心地よい感覚になりますが、ここでちょっと残念だったのは、マコトが持参した、お試しキャンペーンのカタログ。表紙に、2011~2012と印字されていました。舞台設定が、2013年であることは、後の台詞でも明確なので、ここは、2013までにしてほしかった。

    レンタルお友達ショップを壊滅させようと目論む、メンタルお友達ショップ、世田谷の仲良しハウスのシラヌイ役の幸田さんが、今回もダントツ面白い!!
    彼女の台詞の間の確かさには、いつも大笑いさせられます。

    ただ、クロムは、デフォルメしたオーバーアクションや、劇画的な表情など、計算され尽くした独特の演技が魅力なのに、今回、客演俳優の素が出てしまうグダグダシーンが一瞬でもあったのは、クロム色を薄め、やや拍子抜けしました。

    レンタル組とメンタル組の攻防戦紛いの終盤も、それで終われば良かったのではと思うのに、ナズナの父親である元校長の自殺の理由等、クロムらしからぬ、取ってつけ感のあるオチは、あまりこの劇団には、馴染まないと感じましたし、テルマ(さとうひろみ)とウツキが幼馴染だった偶然は良いとしても、シラヌイと、ウナギモトまでが旧友だったとする必要性も感じず、少し、設定に鼻白む部分もありました。

    せっかく、日本の現実をここまで、ある意味、写実化して、舞台に乗せているのだから、変に、情緒的にしない方が、説得力があって、スッキリとした後味が残ったように思いました。

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    2013/03/21 02:13

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