恐怖が始まる 公演情報 ワンツーワークス「恐怖が始まる」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    芝居中、別の思考が駆け巡る
    チラシを見ただけでは、どんな恐怖が描かれているのか、予測がつかず、チラシの右の雪だるまみたいな人物の意味するところも、わかりませんでした。

    冒頭、出演者達が号礼のように口にする数字の意味も、固有名詞が話されないので、徐々にわかるようになるまで、時間を要します。

    そして、この芝居の描く恐怖の輪郭がはっきりした途端、今度は、思考は、舞台上のそれではなく、私がこの芝居を観ている今この時にも、作業している方達へと飛んでしまいました。

    この芝居を観ている、一般人の私に一体何ができるのかと、もどかしい思いが心に充満するばかりで…。

    大変、うまく構成された舞台で、役者さん達の演技も秀逸なのですが、演劇として、この作品をどう捉えたら良いのかと、ある種の戸惑いも感じました。

    アフタートークは、ゲストの劇団チョコレートケーキの古川さんの紹介に終始した感があり、まるで、チョコレートケーキの宣伝のような印象でした。
    会場に来ていた客は、今観た芝居の話題を中心にした話を聞きたいのではと思うので、もう少し、そういう方向でのアフタートークであってほしかったと感じます。

    ネタバレBOX

    つい先日も、東海村の事故があったばかりで、本当に、この国の未来には憂えることだらけ。

    自国の事故の尻拭いさえできない政府が、他所の国に、これを買わせようと画策する現実。汚染水や瓦礫の処理の問題、進まない復興支援…。
    解決のつかない難問が山積みで、更にいつまた余震が来るとも知らないこの国で、オリンピックを開催しようなんて無謀な計画もあり…。
    そう言った現実の脅威を心に置いたまま、この芝居を観ている自分の行動の意味づけに苦労しました。

    現場で作業する男達と、その家族に焦点を絞り、登場する人物も、悲劇的なキャラクターにせず、演劇的に、興味を持たせるような、普通の人物像を造型し、観客に興味を持たせつつ、芝居を進行させて行く、古城さんの構成力の巧みさには舌を巻くのですが、過去の出来事ではないテーマだけに、何もできない自分に、無性に歯がゆさを覚え、演劇として楽しむ余裕はありませんでした。

    前回の公演では、悩める母を好演された山下さんが、今度は、一転、原発作業員の夫を作業の犠牲で失う妻ながら、持前の明るさで、悲観的にならない健気な女性像を、巧みに演じられ、お見事でした。

    ワンツーワークスは、役者さんのバランスが良く、いつも感心させられます。

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    2013/05/29 01:31

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