パパのデモクラシー 公演情報 劇団東京ヴォードヴィルショー「パパのデモクラシー」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★

    期待が高過ぎたのかも
    この作品、永井さん作、鈴木さん演出ということで、大好きなお二人の女性演劇人のタッグに、胸躍らせて観に行ったのですが、少々と言うか、正直かなり期待外れでした。

    たぶん、初演はもう20年近く昔だったんでしょう。

    その当時なら、斬新な切り口の芝居だったのかもしれません。

    ですが、今の日本の、憂える現状満載の時期に観るには、少々、まどろっこしさを感じてしまう内容でした。

    役者さんも、役のヒントが少なくて、役作りが難しかったのではと感じます。

    ただ緑川を演じたあめくみちこさんは、いつにも増して可愛くて、素敵でした。

    ネタバレBOX

    とにかく、舞台運びがのんべんだらりとし過ぎて、高揚感を感じません。

    客席は、開演前に流れた過去の流行歌を全て歌える私でさえ、若い方ではと思える、高齢者だらけ。この観客層なら、東宝争議に加わったとされる映画俳優の名前を列挙されても、懐かしさを感じ、彼らの実態を知っている世代だから、すんなり、芝居の世界に入って行けるでしょうが、若い観客には、耳馴染みないのではと余計な心配をしてしまったりしました。

    全般に、こんな調子で、戦後の事情に疎い観客には、ピンと来ないことが多すぎるように感じました。その時代状況がわからないと、ただただ気持ちが置いて行かれるばかりです。
    この芝居を観て、今更、井上ひさしさんの偉大さがわかりました。

    人物個々の描き方には、あまり難はないのですが、舞台に描かれていない、それぞれの関係性が、どうもあやふやで、作者が何を描きたかったのかが不明でした。

    「こんにちは母さん」のような秀作を書いた永井さんも、昔は若かったのだなと感じました。

    特に、佐藤B作さんが演じた千代吉という人物が、どういう人間なのか、全く推測できませんでした。知恵遅れなのか、そうでなく、ただ性格的に幼いだけなのか?養子というけれど、どういう経緯で、あの家にもらわれたのか?父親との関係はそれまでどうだっったのか?
    そういう細部の説明が全くないし、かといって推理するだけのヒントもないので、最後の場面の千代吉の父親への台詞が、全く、心の琴線に触れず終いでした。

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    2013/04/06 01:24

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