ヴォンフルーの観てきた!クチコミ一覧

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中国の不思議な役人

中国の不思議な役人

劇団☆A・P・B-Tokyo

明石スタジオ(東京都)

2018/11/01 (木) ~ 2018/11/06 (火)公演終了

満足度★★★★

寺山修司作品の中でも判り易く面白いのでお薦め。地獄の娼婦宿にさらわれた妹を救う為、兄は役人殺しを請け負う。ただ、その役人は不死であった。娼婦宿はエロ・グロ・ナンセンスのオンパレード。拾ったカストリ雑誌で読んだ丸尾末広の漫画のよう。飯塚美花さん初め娼婦達が客席にまで雪崩れ込み観客との垣根を破壊していく。ヒロインの花姚役、渡邉結衣さんが素晴らしい。よくこんな娘捜してきたなと驚いた。まだ中一、末恐ろしい。兄の麦役の横木安未紗さんが出ていると寺山修司度が高まる。出演している役者全員、実生活が見えない。舞台上にしか存在しないのではないかと思う程。

黄金バット~幻想教師出現~

黄金バット~幻想教師出現~

劇団唐組

雑司ヶ谷鬼子母神(東京都)

2018/10/27 (土) ~ 2018/11/04 (日)公演終了

満足度★★★

怒濤の展開、面白いのか面白くないのかすら判断不能になる。ただ見終わった後は凄い充足感に包まれた。幻の学校に消えた教師を、かつての生徒達が思い思いの方法で捜していく。キーとなるのが、『ゴッホは何故自分の耳を切ったのか?』である。初期永井豪のキャラクターを使ってつげ義春が描いた劇画のよう。第二幕、隻腕の教師、月船さららさんの登場から狂気が炸裂。完全に気が違ったオーラに客席の空気が呑まれた。藤井由紀さんとの対決は見もの。福本雄樹さんが何でもこなせる良い役者だなあと感心。 ラストの光景の美しさは必見。

ネタバレBOX

ラストは『書を捨てよ』なのだが、判っていても美しい。このシーンを見せる為だけにこの物語が必要だったとさえ思う。教育論とか社会風刺とかどうでもよくなる。「ゴッホは耳を切ったのではなく、ゴーギャンからの『サヨナラ』を切ったのだ。」素晴らしい台詞。
紅姫物語【ご来場ありがとうございました!】

紅姫物語【ご来場ありがとうございました!】

劇団えのぐ

萬劇場(東京都)

2018/10/24 (水) ~ 2018/10/28 (日)公演終了

満足度★★★

面白かった。役者のレベルが高く、細かい演出がしっかりしている。妖怪と人間の純粋なる恋物語。劇中劇にて『椿姫』をも想起させる。物語の展開が想像の斜め上を行くので飽きさせない。噺家役の立田聡実さんの口上が実に良かった。キャラ一人一人に何かしらを持たせていてその他にはしていないのが良い。

ネタバレBOX

物語のキーマンとなる忠右衛門の内面をもっと描き込んで欲しかった。御都合主義的なキャラクターはつまらない。ラストが説明過剰でスムーズに進行していかないのがテンポ悪く残念。劇中劇と被せても良かったのでは。
宮沢賢治「銀河鉄道の夜」

宮沢賢治「銀河鉄道の夜」

楽園王

サブテレニアン(東京都)

2018/10/10 (水) ~ 2018/10/14 (日)公演終了

満足度★★★

観に行って良かった。下に電球を吊るした椅子が十二脚。殆どそれだけのセットなのだが、夢うつつの世界にいざなわれていく。ずらした句読点、妙なイントネーションで語られる宮沢賢治の世界。エッシャーの騙し絵からのインスパイアということでこちらも細かい部分にも勘繰ってしまう。『銀河鉄道の夜』の世界と一組のカップルの物語とが同時進行していく。ヒロインの藤田早織さんが綺麗だった。宮沢賢治論としても興味深い。敢えて欠落させている感覚が夢の中のよう。ラストのジョバンニが印象的。

想稿 銀河鉄道の夜

想稿 銀河鉄道の夜

ことのはbox

新宿シアターモリエール(東京都)

2018/10/10 (水) ~ 2018/10/14 (日)公演終了

満足度★★★

未完であるが故に果てしなく続く銀河鉄道の旅。ももクロの『幕が上がる』やamazarashiの『スターライト』などジョバンニとカムパネルラは未だ銀河を彷徨していく。自己犠牲に依って世界を正そうとするカムパネルラ役を岡田彩花さんが好演。凛とした佇まいで美しい。ジョバンニ役の春名風花さんの涙ぐむ演技は流石。二人が銀河鉄道の旅に出ないのは珍しい。マタギ役の山崎亨太さんがド迫力。作品の世界観に厚みを増した。要所要所で登場するダンサーの5人は必見。驚く程ハイレベル。楽曲が素晴らしく照明も工夫されている。観劇後、宮沢賢治が何を表現したかったのか、想いを馳せることでしょう。

ネタバレBOX

客席がパイプ椅子を並べただけなので場面によっては見辛いことも。冷房が効き過ぎでは。駅で列車を待っているだけというのが絵的に残念。『本当のことが知りたいんです』、素晴らしい台詞。
燃えひろがる荒野

燃えひろがる荒野

ピープルシアター

シアターX(東京都)

2018/10/03 (水) ~ 2018/10/08 (月)公演終了

満足度★★★★

天才作家、船戸与一の魂は未だ燃えたぎる。氏の遺した浪漫が舞台上の荒野に吹きすさぶ。日本の黒歴史、幻の満州国。四兄弟の視点からそこに確かに生きていた者達の息遣いを聴く。シェパード犬の猪八戒がPUNKでかっこいい。確かに船戸与一の作品であった。アブサンを飲みたくなる。観た方が良い。

大脚色

大脚色

Dangerous Box

浅草六区 ゆめまち劇場(東京都)

2018/08/08 (水) ~ 2018/08/11 (土)公演終了

満足度★★★

『ドグラ・マグラ』的脳髄の迷宮のような物語。ある著名なミステリー作家が殺害される。彼の遺した最後の作品の中に真相が隠されているのか。編集者が原稿を読み進めると、現実と虚構がリンクしていく。複数の世界で同時進行する連続殺人事件。いよいよ名探偵木暮一片の登場である。劇場の特性をフルに生かした体感型ミステリー。モーツァルトが大音量で轟く。篠田賢一さんが実に良かった。ダンサーが魅力的。

ネタバレBOX

台詞が音楽で聞き取れない場面が多い。探偵登場からが凄く盛り上がったので、物語世界に没頭させて欲しかった。メタ構造に比重を置き過ぎていて、作品世界の登場人物に感情移入し辛い。
泣いた赤鬼

泣いた赤鬼

糸あやつり人形「一糸座」

シアターX(東京都)

2018/07/27 (金) ~ 2018/07/29 (日)公演終了

満足度★★★★

観ておいた方が良い。『泣いた赤鬼』に涙したことのある全ての人へ、そのもやもやした涙の正体が掴めるかも。歌と演奏も兼ねる王子菜摘子さんが素晴らしい。赤鬼役の田中英樹さんの存在の在り方に唸る。誰もが知っている話の新しさ。高畑勲作品に通ずる。

ネタバレBOX

劇中、青鬼が突如として言う。『そうだ、この世界に意味はない。』それこそがこの物語の底流に流れているもの。人間達と仲良くなりたかった赤鬼はそれを手に入れた。だが、心のもやもやは収まらない。青鬼に逢いに行くとお別れの手紙が残されたのみ。そこでラスト泣くのだが、青鬼の優しさに泣くのではない。何もかも忘れてしまう自分に泣くのである。このもやもやは晴れることなどない。ただ、忘れていくだけ。
散ッと舌を突く凍えそうな毒夢

散ッと舌を突く凍えそうな毒夢

劇弾☆ムーチョ・モーヂョ

吉祥寺シアター(東京都)

2018/07/26 (木) ~ 2018/07/29 (日)公演終了

満足度★★★

とある戦地にある精神病院の患者達が今日もひたすらボケまくっている。それをボンヤリと眺めていると、突然木刀片手の看護婦、那海さん演じるドロン嬢が突っ込み捲り暴れ捲る。そこからは怒濤の展開、戦場の狂気と病院の狂気の取っ組み合い。筒井康隆風シニカルなドタバタ。那海さんが好き放題やっているのがスカッとする。自殺願望のある患者役の安達優菜さんも印象的。

ネタバレBOX

役者が若すぎるのが残念。幅広い年代を揃えた方が厚みが出る脚本。
NoBody,NoParty

NoBody,NoParty

東京AZARASHI団

シアターサンモール(東京都)

2018/05/16 (水) ~ 2018/05/20 (日)公演終了

満足度★★★★★

超面白い。筒井康隆調ドタバタ・メタ・フィクションが好みの方、観といたほうが良い。人を笑わせるとはこういうことだ。三谷幸喜『ラヂオの時間』ぽいかも。昔ながらの喜劇の良さで観劇後、温かい。

ネタバレBOX

オールスター映画のような豪華出演陣。阿達由香さんが出ていれば最高だった。
火遊び公演「焔の命--女優の卵がテロリストになった理由」

火遊び公演「焔の命--女優の卵がテロリストになった理由」

オフィス上の空

恵比寿・エコー劇場(東京都)

2018/05/09 (水) ~ 2018/05/13 (日)公演終了

満足度★★★

どこにでもあるような売れない小劇団が突如、大規模な爆弾テロを敢行。大量の被害者を生む。フリーのルポライターはその謎を解明すべく、加害者の家族や獄中の犯人に取材を続ける。到頭一人の自称女優が犯行に至るまでの手記を手渡す。

ネタバレBOX

70年代、連合赤軍。90年代、オウム真理教。最早大規模テロを引き起こす原動力となる思想などなくなったかに見える現代日本。どっこい燻る情念は無害かに思える演劇青年達の内面に秘匿されていた。テロリストの情念も虚構の表現に懸ける情念も同質のものだ。それを取り締まりたいのならば、日本から演劇を禁忌せよ。そんな舞台を観たかった。
LADYBIRD,LADYBIRD

LADYBIRD,LADYBIRD

アリー・エンターテイメント

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2018/05/02 (水) ~ 2018/05/06 (日)公演終了

満足度★★★★

評判が良かったので気になっていたのですが、観てみると納得。主演の葛岡有さんの顔芸の凄いこと。ギャグセンスが高い為、コメディとしても秀逸。アンサンブルも含め全ての出演者が歌も踊りもハイレベル。ディズニー映画並の志の高いシナリオ。マザーグースの詩を下敷きにしているのであろう。人に勧めたくなる作品でした。一人二役の吉田菜々さんも良かったです。

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