『おわり』『はじまり』 公演情報 大駱駝艦「『おわり』『はじまり』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    『おわり』
    素晴らしいPUNK ROCK、ナゴム系。
    下手に銀色の消防車のゴムホースのようなものが丸まった物体、上手に侘び寂びを感じる曲がり萎びた老木、奥に巨大なシーソー。
    御歳79の麿赤児氏の今作における宣言からスタート。これは彼なりに到達した宇宙観、暗黒舞踏でこの世界の成り立ちを解き明かしてみせる。
    麿赤兒氏は自身の死を見据えている。今、こんな作品をリアルタイムで体験できる者は運が良い。
    観客全員に配られる五十周年記念パンフレットがオールカラーの凄い出来。

    ネタバレBOX

    ①『だるまさんが転んだ』で遊ぶ少女達、独り取り残されてしまう女の子。そこに現れた奇妙な物体にアブダクションされてしまう。銀のゴムホースの塊を神輿のように担ぐ異形の者達は八本脚で蛸を思わせ、異星人をイメージさせる。鎖で背中合わせに繋がれた二人の禅僧がシーソーの天秤(この世の法則)を左右に揺らす。長く白い顎髭を垂らした村松卓矢氏は痴呆のようにヘラヘラ笑い、厳しい修道僧の面構えの田村一行氏は喝を叫んで回る。老木は宙に浮き空間にたゆたう。村松卓矢氏の指の一本一本の長さが気になる。足の指も長い。
    ②舞台は銀河へ。白、青、金の長大なドレスの三組の女、それぞれ黒塗りの男が対になっている。銀河における陰陽のSEX。禅僧がそれを蹴散らす。金のドレスの女は赤毛でエリザベス一世のよう。特に切っ掛けもないのに全員の舞踏の変化が揃っている。
    ③額に紐を付けた男女、赤と青の二組。対角線上に張られた二本の紐はこの世界の法則のように人々を囚えて苦しめる。銀のゴムホースの塊を手にする麿赤兒氏。糸は切られる。この塊はきっと宇宙の心臓なのだろう。繰り返されるシーソーの無限運動、手を合わせる村松拓矢氏の姿にぐっと来た。禅の魔境のヴィジョンを超え、到頭本質に至る。物理学と禅の到達点が一致する瞬間。
    ④80年代のシンセ・ポップのような曲をパロディーのように暗黒舞踏団が送る。カッコイイ。

    「麿赤兒氏がこれだけやってるんだから、自分も頑張らないと」と、素直に思えた。

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    2022/07/16 00:38

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