掏摸―スリ―
サイバー∴サイコロジック
OFF OFFシアター(東京都)
2012/03/14 (水) ~ 2012/03/18 (日)公演終了
満足度★★★★
掏摸師の哀しみ
フライヤーから立ち上る“ピカレスクの香り”に強く惹かれた。
荒川ユリエル演じる掏摸師は、繊細なたたずまいで14歳から29歳まで自然に見せる。
とてもナイーブでミステリアスな表現が出来る人だ。
アイ・アム・アン・エイリアン
ユニークポイント
シアター711(東京都)
2012/03/13 (火) ~ 2012/03/18 (日)公演終了
満足度★★★★
そうだ、議論しよう
全く同じ条件でドナーからの移植を待つ患者二人。
どちらに移植するべきかを決める審査会に、市民から無作為に選ばれた7人が集まった。
ひとりを助ければ、もう一方はやがて死ぬだろう。
患者は二人とも幼い子どもである・・・。
普通の人がこんな重い選択を迫られるとき、人は何を基準に判断するのか。
そもそも人が決定出来ることなのか?
ストーリーは私たち市民の目線からブレることなく、
観客がちゃんとついて来ていることを確認するように慎重に進む。
その結果とても現実的で説得力のある舞台になった。
青春の墓標 ~盗まれた革命~
オフィス再生
APOCシアター(東京都)
2012/03/10 (土) ~ 2012/03/11 (日)公演終了
満足度★★★★
あのころも今も変わらない絶望
千歳船橋の駅から1分、1階がカフェスペースで、2階が劇場という空間で
役者さんが立ち上げたと言う一軒家カフェシアターはとても快適だった。
今の若い人が感情移入するには難しい時代背景にも関わらず、出演者が豊かに共鳴しているのが伝わって来て「僕が死んだら」「私が死んだら」という悲痛な、切実な叫びに泣けてしまった。
なぜならそれは仮定の話ではなく本当に自ら命を断ってしまった人の声であり、「死んでも変わらない」ことを知ってしまった絶望の果ての死だから。
東京ノーヴイ・レパートリーシアター 第8シーズン公演
TOKYO NOVYI・ART
東京ノーヴイ・レパートリーシアター(東京都)
2012/02/03 (金) ~ 2012/05/27 (日)公演終了
満足度★★★★★
孤独な美しい旅
初めての東京ノーヴィ・レパートリーシアター、
「銀河鉄道の夜」を選んだのは、一体どんな宇宙を創るのかぜひ観てみたかったからだ。
そしてその宇宙の旅は、今思い出しても泣きそうになるほど
果てしなく、孤独で、美しい旅だった。
Turning Point 【分岐点】
KAKUTA
ザ・スズナリ(東京都)
2012/02/23 (木) ~ 2012/03/04 (日)公演終了
満足度★★★★★
KAKUTAの大切な場所
3人の脚本×3人の演出のリレー形式によるオムニバスという
この冒険が大成功していると思う。
メリハリがあり、同時に貫く芯のようなものがくっきりした。
ここには、劇団が分岐点に立った時常に立ち返る大切な場所が描かれている。
温かく、雑多な、居心地の良いその場所は、
「変わらないこと」、「変わり続けること」、この二つの根っこは同じなのかもしれないと思わせる。
KAKUTAを初めて観たが、これまでもすごい役者さん達とやって来て、これからもやっていくんだろうなあ、と私も分岐点の端っこで思ったのだ。
狂おしき怠惰
TRASHMASTERS
駅前劇場(東京都)
2012/02/18 (土) ~ 2012/02/29 (水)公演終了
満足度★★★★★
超近未来
よくできたセットに感心してしまった。こんなの観たことない。
病院を舞台に次々露呈する人々の裏事情、それを辿れば霞が関につながるという現代の暗部がてんこ盛り。
その設定とスピーディーな展開が素晴らしい。
全ては抽象的な言葉ではなく、取材のたまもののようなリアルなデータで語られ、その説得力に圧倒される。
この話は超近未来のシミュレーションだ。
ゆっくりと落下していく「生」の重み。
生きているうちにそれを感じる人は、ごくわずかかもしれない。
「やるべきこともやらないで、たらたら生きてんじゃねーよ!」
その声を背中に聞きながら、私は劇場を後にした。
バックギャモン・プレイヤード
カムヰヤッセン
吉祥寺シアター(東京都)
2012/02/09 (木) ~ 2012/02/13 (月)公演終了
満足度★★★★
饒舌な良心で出来ている
多くを知ることで人は幸せになれるのか。
私たちはもう知らなかった時代に戻れないし、価値観の転換も出来なくなってしまった。何か大きな力によって全てを失わない限り・・・。
終盤、孤独な彼の叫びが私たち自身の痛恨の記憶を激しく揺さぶる。
まっとうな主張は饒舌だが、今はこの直球勝負を評価したい。
役者陣の熱演も○。
熊さんみたいな北川氏の良心が感じられる。
こんなにも
クレネリ ZERO FACTORY
シアター711(東京都)
2012/02/01 (水) ~ 2012/02/05 (日)公演終了
満足度★★★★
鋭い台詞
人はそれぞれ「こんなにも」をたぎらせて生きている。
でもそれはどこかズレてる。
美しく温かいものに疑いの目を向ける作者の視点に共感。
初日から高い完成度の台詞と、なぜか劇中の音楽が耳に残る。
火葬
らくだ工務店
OFF OFFシアター(東京都)
2012/01/25 (水) ~ 2012/02/15 (水)公演終了
満足度★★★★★
「火葬」見届けました
あんな風に時折笑いながら観ていて良かったのか?
教師たちの秘密もさることながら、衝撃のラストシーンが
一夜明けた今でも頭から離れない。
もう一度落ち着いて検証しながら観たら
また違った物が見えるような気がする。
これ、世に溢れる「普通の善い人」全てに観て欲しい。
ある女
ハイバイ
こまばアゴラ劇場(東京都)
2012/01/18 (水) ~ 2012/02/01 (水)公演終了
満足度★★★★
マジな思いはすれ違う
不倫でも不倫でなくても、男と女はすれ違うものだ。
タイミングも盛り上がりもマジな思いも。
極端な行動はストーカーでもイタ電でもタカコの場合でも同じ。
すれ違う思いを目に見える形で伝えたいだけだ。
しょうもない女を、それでも岩井さんは優しく書いている。
いつもながら男岩井のスカートに違和感なし。
ハムレット
劇団東京乾電池
ザ・スズナリ(東京都)
2012/01/04 (水) ~ 2012/01/15 (日)公演終了
満足度★★★
結果ベテランが際立つハムレット
冒頭あまりの早口にびっくりした。
その理由は私には定かでないが、この演出で
ベテラン勢のテンポと間が際立つことになった。
柄本明はいつも同じ顔をしていながら、その肩に乗っかっているものが
全く違う。
今回は「墓掘り30年の裸の肩」を見せて味わい深かった。
トリプルキャストのこの日のハムレットは嶋田健太さん。
じっくり悩むハムレットも聴いてみたいと思った。
柄本明が率いるからこそ、劇団乾電池に期待する。
ミュージカル 宮(クン)
松竹
東京国際フォーラム ホールC(東京都)
2011/12/16 (金) ~ 2011/12/30 (金)公演終了
満足度★★★
なんかやっぱりすごい
K-POPのメンバーの区別もつかない私が
ひょんなことからソンモとチャン・ユジュンの組み合わせの日に
公演を観る機会に恵まれた。
冒頭イ・フンジンの素晴らしい声と、豪華な美しい衣装に魅了される。
謙虚でお行儀のよいアイドルが、しっかり聴かせるし身体鍛えてるし
何と言ってもダンスの表現力が素晴らしい。
写真撮影OKタイムとはいえ、カーテンコールの時に拍手もなく
みんながカメラを向けるのにはびっくりだが、
それさえも韓国のエンタメビジネスの徹底ぶりと強さに見えた。
こりゃ日本のゲーノー界持ってかれそう・・・。
オールド・バンチ~男たちの挽歌・完結篇~
流山児★事務所
ザ・スズナリ(東京都)
2011/12/16 (金) ~ 2011/12/25 (日)公演終了
満足度★★★★
あった事をなかった事には出来ねえんだ!
本当にこれが最終公演なのだろうか。
見聞きした東北大震災には反応しても、見たことのない戦争・原爆には想像力が及ばない若い世代。彼らににぶつける瓜生氏の長台詞には説得力がある。
「あった事をなかった事には出来ねえんだ!」という言葉の悲痛な叫び。
高齢者劇団のだいご味は、台詞に人生が反映されるところだ。
チラシの写真の不敵な面構えを見れば、いまや「男」とは「アウトロー」の世界にしか存在しないのかと思う。このアラーキーの写真と妹尾河童のセットが素晴らしい。この二人も舞台に上がったら面白いのに・・・。
いつかまたきっと男たちは帰って来ると信じている。
ピカレスク・ホテル
ジェイ.クリップ
赤坂RED/THEATER(東京都)
2011/12/13 (火) ~ 2011/12/18 (日)公演終了
満足度★★★★★
設定の妙が可笑しくて切ない
20年以上前のシリーズが復活したのだと言うが、シンプルなホテルの一室を舞台に男女の会話劇というのが何だか新鮮。90分の2本立てというのもコンパクトで丁度良い。1本目は「高校教師がデリヘルを頼んだら元教え子がやってきた」というストーリー。ラッパ屋のおかやまはじめさん、厳格な教師が別の面を素直にさらけ出すのが可笑しい。ハイバイに出ていた内田慈さんが、ここでは素朴そうに見えたマッサージ嬢が次第に主導権を握っていく過程を力まずに見せて素晴らしい。
2本目は「12年も付き合っていて結婚に踏み切れない女と男」の会話。長い付き合いの男女それぞれのこだわりどころとかみ合わない価値観が浮き彫りになってくる。
江口のりこさんのゆるいけど強情な女が上手い。ピアノの生演奏が会話を邪魔せず心地よい。息の合ったテンポの良い会話劇の楽しさを十分堪能させてくれるこのシリーズ、ぜひ続けて欲しいと思う。
エクソシストたち
渡辺源四郎商店
こまばアゴラ劇場(東京都)
2011/12/02 (金) ~ 2011/12/04 (日)公演終了
満足度★★★★★
まるで井上ひさし作品のよう
丸いちゃぶ台だけのセットなのに、照明で鮮やかに場面が切り替わる。
3.11をあんな風にとらえた作品を私は他に知らない。
どこのクラスにもいる老け顔の小学生。
あとで大学生と知って驚愕した。
突っ立っているだけで、複雑な家庭に翻弄される11歳になっている。
イタコに呼びだされて戻ってきた元夫の台詞の「間」の素晴らしさ。
このテーマ、この構成を選んだ畑澤氏に脱帽。
しかも怪しいエクソシスト達の可笑しさと言ったら・・・。
シリアスなテーマにユーモアを混ぜ込んでくるくるねじって見せる、
畑澤さん、これはまるで井上ひさし作品のようです。
深呼吸する惑星
サードステージ
紀伊國屋ホール(東京都)
2011/11/26 (土) ~ 2011/12/18 (日)公演終了
満足度★★★★
最初で最後の第三舞台
観劇経験の浅い私はこれが初めての第三舞台。
いやー、第三舞台ってこういうのだったのか!
ギャグあり、ダンスあり、被り物あり(被り物ダンスが素敵)・・・。
筧利夫のオーラの源泉はここであったかと改めて感じる。
改めて、多くの劇団が第三舞台の後に続いて来たのだと思った。
鴻上さんの手書きの「ごあいさつ」が温かく、心に残っている。
舞台も客席も本当に楽しそうだった。
あ、それから斉藤和義の楽曲を使っていたのが最高!
黄金時代(仮)~【公演終了致しました。皆様、有難うございました。次回作もご期待下さい。】
劇団夢現舎
新高円寺アトラクターズ・スタヂオ(東京都)
2011/11/19 (土) ~ 2011/12/04 (日)公演終了
満足度★★★★
ホスピタリティ溢れる超マイペ劇団
久々の夢現舎は、公演チラシからして謎めいていた。
「その風が吹いた時、どこにでもいるような 私が 人を殺めました・・・。」
入口でもらった「立会人」のカードを首から下げて
3つのバラバラ殺人事件の「実況見分」に私は立ち会った。
益田さん、と高橋さんの強力な両輪によって夢現舎は転がる。
──人は何故誰かを殺すのか?
時に殺したくない人まで、殺してしまう
その爆発的なエネルギーはどこから来るのか?
水色のバスタブに自分の居場所を見出した女たちは
凶器が目に入ると、ためらわずそれを手にする。
緊迫した謎解きを、台詞のくり返しがところどころで
堰き止めてしまったのが残念。
相変わらず公演本体に加えて様々なアプローチで
観客にも参加する楽しみを与えてくれる。
公演案内や入場券、座席、アンケートの返送など
全てにアイデアと手間をかけて楽しませてくれる。
その結果、また行きたくなるから効果は絶大!
東京ミルクホールの快傑ハリマオ〜双頭の虎DX〜
劇団東京ミルクホール
SPACE107(東京都)
2011/11/16 (水) ~ 2011/11/20 (日)公演終了
満足度★★★★
あれ?グンちゃん?!
相変わらずの美し過ぎる男子校、浜本ゆたかのキレのいい動きに加えて
まるでグンちゃんと見紛うような美形がひとり!
バビ市、ちっちゃい顔からまつ毛がはみ出て今度も徹底エンタメありがとう!