うさぎライターの観てきた!クチコミ一覧

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掏摸―スリ―

掏摸―スリ―

サイバー∴サイコロジック

OFF OFFシアター(東京都)

2012/03/14 (水) ~ 2012/03/18 (日)公演終了

満足度★★★★

掏摸師の哀しみ
フライヤーから立ち上る“ピカレスクの香り”に強く惹かれた。
荒川ユリエル演じる掏摸師は、繊細なたたずまいで14歳から29歳まで自然に見せる。
とてもナイーブでミステリアスな表現が出来る人だ。




ネタバレBOX

父親と木崎の台詞が重なり、呼応する演出に緊張感があって惹き込まれた。
この犯罪者サイドの勝手な論理を堂々と展開するのが原作の特徴かもしれない。
善悪を超えた、ある種の人間の、確かに存在するタイプの人間の黒い論理。
天才詐欺師の仕事ぶりをもう少しシーンや台詞で伝えてくれたら
彼がこの黒い論理に翻弄される哀しみが際立ったと思う。

原作の魅力的な言葉を忠実に再現しようとした結果か、
全体が饒舌でストーリーが時折立ち止まる。
ラップで犯行声明を出すところや首相を拉致したラームラのメンバーの仲間割れの場面、木崎の台詞とそれに伴う身ぶり手ぶりも、
もう少しコンパクトにメリハリつけたら
終盤なだれ込むような展開に勢いがついたかと思う。
大事な言葉を丁寧に言おうとするあまり、タメが長くなって
時折観る側の集中力が途切れがちなのが、とてももったいない気がした。

荒川ユリエルさん、名前と同様中性的で繊細な魅力があり、この役にぴったり。
「人を殺すな」と説得する悲痛な叫びは、彼自身が助けを求めているようにさえ聴こえた。

母親役の定塚ユリカさん、その絶妙な間や台詞にリアリティがあり
存在感抜群!

平平平平さん、絶対悪という父親の台詞に説得力があって
一体どうしてこんなオヤジになっちゃったんだ?とずっと思っていた。

ベッドのまん中に穴があいていて
そこからいろんな人が登場してくるというセットが面白い。
死んだはずの父親がはい出してきた時は「貞子」みたいで本当に怖かった。
会場のスタッフさん達が柔らかで快適な空間だった。



アイ・アム・アン・エイリアン

アイ・アム・アン・エイリアン

ユニークポイント

シアター711(東京都)

2012/03/13 (火) ~ 2012/03/18 (日)公演終了

満足度★★★★

そうだ、議論しよう
全く同じ条件でドナーからの移植を待つ患者二人。
どちらに移植するべきかを決める審査会に、市民から無作為に選ばれた7人が集まった。
ひとりを助ければ、もう一方はやがて死ぬだろう。
患者は二人とも幼い子どもである・・・。
普通の人がこんな重い選択を迫られるとき、人は何を基準に判断するのか。
そもそも人が決定出来ることなのか?

ストーリーは私たち市民の目線からブレることなく、
観客がちゃんとついて来ていることを確認するように慎重に進む。
その結果とても現実的で説得力のある舞台になった。





ネタバレBOX

舞台いっぱいにドーナツを半分にしたようなテーブルが半円を描いて置かれている。
テーブルは印象的なムラのある赤い天板、背もたれと脚が黒い椅子が10脚。
部屋の隅にはお茶のペットボトルと紙コップが用意されている。
そこへ患者2人との面会を終えたメンバー7人が入って来る。
ゆっくりと客席が暗くなった後は、照明も変化せず、暗転も無く役者はほぼ出ずっぱり。
舞台と同時進行の1時間半、私たちも一緒に辛い選択を迫られるのだ。

メンバー7人のキャラが明確でとても面白い。
ライターの男が移植の基礎を説明するのも、難しい話がすんなり入ってわかりやすい。判断のよりどころとなるのはやはり正確な情報だと思わせる。
とにかくさっさと終えて帰りたい気持ち満々の男は、全員一致にしようと説得を試みる。
その強引なやり方に強く反発する硬派な女は、議論しない結論は必ず後悔すると言う。
「母親なら絶対…」と感情的に主張する若い母親は次第にエスカレートしていく。
様々な背景が固有の価値観を生み、皆その価値観にしたがって
この難題に立ち向かおうとするのだが、その価値観がぶつかり合ってまとまらない。

やがてメンバーの中に疑問がわいてくる。
「A、 Bでなく患者の名前を知りたい」
「生活保護を受けている母親が美容院へ行くなんて…」
「ドナーの子どもはどうして脳死状態になったのか」
「ドナーの親はどうして移植に同意したのか」
「虐待していたのではないか」
「そもそも移植してまで生きるべきなのか」
この辺りの疑問の出し方が観る側を置いてきぼりにせず丁寧だと思う。

そしてついに決断が下され、全員一致で1人の患者が選ばれた。
解放され、ほっとして場が緩んだとたん、突然移植は中止になる。
誰も予期していなかった理由で・・・。

劇中、「犠牲者の数で悲劇が量られ、寄付金の額で善意が量られる」
という意味の台詞があった。
私たちは「物語」が大好きで、「物語」を欲している、という台詞も。
悲劇のドナー、移植を受けて喜ぶ親子、
死んだ子どもの臓器が生き続けることで納得するドナーの親・・・。
みんな自分を納得させるための「物語」でしかない。
マスコミもそうだ。
裁判員制度はもちろん、震災を強く意識させるこの台詞にどきりとさせられる。

キーワードや根幹にかかわる言葉が出てくると
トイピアノのような無機質な音が響く。
これがとても効果的で舞台にピシッと緊張が走る。
言葉を失うような、はっとするような場面が一瞬静止画になる。

ライター役のナギケイスケさんの静かな、でも誠実でリアルなたたずまいがとてもよかった。進行役の男を演じた古市裕貴さん、最後にメンバー全員にお礼を言う時の一瞬こみ上げた顔が忘れられない。どピンクのパンツを穿いたオネエ役の小林英樹さん、ひょっとして地なのかと思った。

「議論しましょう」という洪明花さんの切羽詰まった声がまだ聴こえる。
「ドナーは、いかなる瞬間でも移植の中止を申し出ることが出来る」という事実。
脳死とは生きているのか、死んでいるのか・・・。
回復の可能性はないが温かい人間とは何か・・・。
深く考えさせられた。





















青春の墓標 ~盗まれた革命~

青春の墓標 ~盗まれた革命~

オフィス再生

APOCシアター(東京都)

2012/03/10 (土) ~ 2012/03/11 (日)公演終了

満足度★★★★

あのころも今も変わらない絶望
千歳船橋の駅から1分、1階がカフェスペースで、2階が劇場という空間で
役者さんが立ち上げたと言う一軒家カフェシアターはとても快適だった。

今の若い人が感情移入するには難しい時代背景にも関わらず、出演者が豊かに共鳴しているのが伝わって来て「僕が死んだら」「私が死んだら」という悲痛な、切実な叫びに泣けてしまった。
なぜならそれは仮定の話ではなく本当に自ら命を断ってしまった人の声であり、「死んでも変わらない」ことを知ってしまった絶望の果ての死だから。


ネタバレBOX

普通のカフェに入って二階へ案内されたら、そこは劇場だったという感じ。
座布団付きパイプ椅子が40個ほどだろうか。
客席と同じ高さの舞台中央にパイプのごついやぐらが組んであり、ヘルメットがかかっている。
上手と下手にはそれぞれ小さいテーブルとライト。
バックの白い布のスクリーンには、何か文章がびっしり書かれている。
カルメンマキの「時には母のない子のように」や
井上陽水の「傘がない」などが流れている。

舞台は、基本的にテーブルの女性2人が本を読み、
他の4人がそこからインスピレーションされた台詞と動きを繰り広げる。
やぐらの上の武士は赤い糸の束を握っており、その先は
倒れている男性の衣装につながっている。
書物=思想に操られる哀れな「操り人形」の悲劇が連鎖して行くのを見せる。

樺美智子の死に影響された奥浩平が「青春の墓標」を残して自殺、
その「青春の墓標」から強い影響を受けた高野悦子が鉄道自殺して「二十歳の原点」を遺す。
「青春の墓標」が読まれ、やがてそこに「二十歳の原点」が呼応していく。

途中三島由紀夫の「盾の会」の「檄」が再現されたが、
その演説の間の操り人形の剣の舞い(?)が少し中途半端で残念だった。
台詞に迫力があっただけに、時代を映す出来事として挿入するならば
演出にも力強さが欲しい気がした。
それにしてもあの「檄」をよく覚えたなあと感心してしまった。
中盤にメリハリがついたのは確か。

懐中電灯でバックの白い布に書かれた文字を照らしながら読むところなど演出の工夫があって面白かった。
本のページを破って操り人形の亡骸を覆うところも良かったが、
若干長くて間延びした感があり、残念。

やぐらの上の武士、「檄」の鶴見直斗さんに華があり、
本を読んだあべあゆみさんに安定感があってバランスが良い。








東京ノーヴイ・レパートリーシアター 第8シーズン公演

東京ノーヴイ・レパートリーシアター 第8シーズン公演

TOKYO NOVYI・ART

東京ノーヴイ・レパートリーシアター(東京都)

2012/02/03 (金) ~ 2012/05/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

孤独な美しい旅
初めての東京ノーヴィ・レパートリーシアター、
「銀河鉄道の夜」を選んだのは、一体どんな宇宙を創るのかぜひ観てみたかったからだ。
そしてその宇宙の旅は、今思い出しても泣きそうになるほど
果てしなく、孤独で、美しい旅だった。

   

ネタバレBOX

冒頭、子ども達を演じる役者さんの年齢が少し気になったが、場面が銀河鉄道の列車に移った辺りから気にならなくなった。
台詞の上手さとか技巧ではない。
ジョバンニを演じる金子幸代さんの、他者の台詞に涙をいっぱいためて反応するのを見ると、どうしようもなく泣けて来る。
ジョバンニはカンパネルラがもう死んでいることを知らないはずなのに
死者の言葉と知って聞けば、その台詞はひとつひとつ重い。
「ほんとうの幸い」とは何か。「ほんとうにいいことをしたら幸い」なのか。
たったひとりの友を喪ったジョバンニの孤独と相まって、死者の語る「幸い」は
あまりにも悲しい。
誰かのために死んでしまって、それを幸いと語る人にマジで泣いてしまう。

私が見たかった空間の創り方に関して言えば、期待をはるかに上回る素晴らしさだった。
足元の川の流れ、マリア像の照明、闇を横切る小さな列車、ケンタウル祭で川に流される灯篭。全てが息を飲むほど美しい。

この劇場の、この空間で「銀河鉄道の夜」を観ることに幸せを感じる、そんな舞台だった。
Turning Point 【分岐点】

Turning Point 【分岐点】

KAKUTA

ザ・スズナリ(東京都)

2012/02/23 (木) ~ 2012/03/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

KAKUTAの大切な場所
3人の脚本×3人の演出のリレー形式によるオムニバスという
この冒険が大成功していると思う。
メリハリがあり、同時に貫く芯のようなものがくっきりした。
ここには、劇団が分岐点に立った時常に立ち返る大切な場所が描かれている。
温かく、雑多な、居心地の良いその場所は、
「変わらないこと」、「変わり続けること」、この二つの根っこは同じなのかもしれないと思わせる。
KAKUTAを初めて観たが、これまでもすごい役者さん達とやって来て、これからもやっていくんだろうなあ、と私も分岐点の端っこで思ったのだ。

ネタバレBOX

いきなりショッキングな出だしで、女二人のクライムロードムービーみたいになるのかと思いきや、第一話の繊細な音響と照明にすっかり魅せられてしまった。
蝉、ひぐらし、とんびの声に、なんて素敵な夕焼けの色なんだろう。
第二話は何と言ってもキローランの高山奈央子さんでしょ。よくぞここまでという感じ。みなさん振り切れるとこまで演ってるから面白くないはずがない。
Gカップの海老原(桑原裕子)さん、いいキャラだなあ、好きなタイプ。
第三話で貴和子と絵里が本音をぶつけ合うところでは、何だかボロ泣きしてしまった。反発しながら離れられない、そしていつも傷つけ合う心の底をさらけ出すところ。
ギャグが打率100%、ひとつもスベッてない。これってすごくレベル高いことだと思う。
狂おしき怠惰

狂おしき怠惰

TRASHMASTERS

駅前劇場(東京都)

2012/02/18 (土) ~ 2012/02/29 (水)公演終了

満足度★★★★★

超近未来
よくできたセットに感心してしまった。こんなの観たことない。
病院を舞台に次々露呈する人々の裏事情、それを辿れば霞が関につながるという現代の暗部がてんこ盛り。
その設定とスピーディーな展開が素晴らしい。
全ては抽象的な言葉ではなく、取材のたまもののようなリアルなデータで語られ、その説得力に圧倒される。
この話は超近未来のシミュレーションだ。
ゆっくりと落下していく「生」の重み。
生きているうちにそれを感じる人は、ごくわずかかもしれない。

「やるべきこともやらないで、たらたら生きてんじゃねーよ!」
その声を背中に聞きながら、私は劇場を後にした。




バックギャモン・プレイヤード

バックギャモン・プレイヤード

カムヰヤッセン

吉祥寺シアター(東京都)

2012/02/09 (木) ~ 2012/02/13 (月)公演終了

満足度★★★★

饒舌な良心で出来ている
多くを知ることで人は幸せになれるのか。
私たちはもう知らなかった時代に戻れないし、価値観の転換も出来なくなってしまった。何か大きな力によって全てを失わない限り・・・。
終盤、孤独な彼の叫びが私たち自身の痛恨の記憶を激しく揺さぶる。
まっとうな主張は饒舌だが、今はこの直球勝負を評価したい。
役者陣の熱演も○。
熊さんみたいな北川氏の良心が感じられる。

ネタバレBOX

先の読める展開に若干集中力が途切れそうになったところで
五所川原(小玉久仁子)さん登場。
ずん胴だったウエストがキュッとくびれた感じ。
客席の神経を一気に持ってった。いいキャラだ。
ひとり波に乗れないまま破滅の道を辿る花火職人が、行動をおこすに至るプロセスにもう少し説得力が欲しかった気がする。
こんなにも

こんなにも

クレネリ ZERO FACTORY

シアター711(東京都)

2012/02/01 (水) ~ 2012/02/05 (日)公演終了

満足度★★★★

鋭い台詞
人はそれぞれ「こんなにも」をたぎらせて生きている。
でもそれはどこかズレてる。
美しく温かいものに疑いの目を向ける作者の視点に共感。
初日から高い完成度の台詞と、なぜか劇中の音楽が耳に残る。

火葬

火葬

らくだ工務店

OFF OFFシアター(東京都)

2012/01/25 (水) ~ 2012/02/15 (水)公演終了

満足度★★★★★

「火葬」見届けました
あんな風に時折笑いながら観ていて良かったのか?
教師たちの秘密もさることながら、衝撃のラストシーンが
一夜明けた今でも頭から離れない。
もう一度落ち着いて検証しながら観たら
また違った物が見えるような気がする。
これ、世に溢れる「普通の善い人」全てに観て欲しい。

ある女

ある女

ハイバイ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2012/01/18 (水) ~ 2012/02/01 (水)公演終了

満足度★★★★

マジな思いはすれ違う
不倫でも不倫でなくても、男と女はすれ違うものだ。
タイミングも盛り上がりもマジな思いも。
極端な行動はストーカーでもイタ電でもタカコの場合でも同じ。
すれ違う思いを目に見える形で伝えたいだけだ。
しょうもない女を、それでも岩井さんは優しく書いている。
いつもながら男岩井のスカートに違和感なし。

ハムレット

ハムレット

劇団東京乾電池

ザ・スズナリ(東京都)

2012/01/04 (水) ~ 2012/01/15 (日)公演終了

満足度★★★

結果ベテランが際立つハムレット
冒頭あまりの早口にびっくりした。
その理由は私には定かでないが、この演出で
ベテラン勢のテンポと間が際立つことになった。
柄本明はいつも同じ顔をしていながら、その肩に乗っかっているものが
全く違う。
今回は「墓掘り30年の裸の肩」を見せて味わい深かった。
トリプルキャストのこの日のハムレットは嶋田健太さん。
じっくり悩むハムレットも聴いてみたいと思った。
柄本明が率いるからこそ、劇団乾電池に期待する。

ミュージカル 宮(クン)

ミュージカル 宮(クン)

松竹

東京国際フォーラム ホールC(東京都)

2011/12/16 (金) ~ 2011/12/30 (金)公演終了

満足度★★★

なんかやっぱりすごい
K-POPのメンバーの区別もつかない私が
ひょんなことからソンモとチャン・ユジュンの組み合わせの日に
公演を観る機会に恵まれた。
冒頭イ・フンジンの素晴らしい声と、豪華な美しい衣装に魅了される。
謙虚でお行儀のよいアイドルが、しっかり聴かせるし身体鍛えてるし
何と言ってもダンスの表現力が素晴らしい。
写真撮影OKタイムとはいえ、カーテンコールの時に拍手もなく
みんながカメラを向けるのにはびっくりだが、
それさえも韓国のエンタメビジネスの徹底ぶりと強さに見えた。
こりゃ日本のゲーノー界持ってかれそう・・・。

オールド・バンチ~男たちの挽歌・完結篇~

オールド・バンチ~男たちの挽歌・完結篇~

流山児★事務所

ザ・スズナリ(東京都)

2011/12/16 (金) ~ 2011/12/25 (日)公演終了

満足度★★★★

あった事をなかった事には出来ねえんだ!
本当にこれが最終公演なのだろうか。
見聞きした東北大震災には反応しても、見たことのない戦争・原爆には想像力が及ばない若い世代。彼らににぶつける瓜生氏の長台詞には説得力がある。
「あった事をなかった事には出来ねえんだ!」という言葉の悲痛な叫び。
高齢者劇団のだいご味は、台詞に人生が反映されるところだ。
チラシの写真の不敵な面構えを見れば、いまや「男」とは「アウトロー」の世界にしか存在しないのかと思う。このアラーキーの写真と妹尾河童のセットが素晴らしい。この二人も舞台に上がったら面白いのに・・・。
いつかまたきっと男たちは帰って来ると信じている。

ピカレスク・ホテル

ピカレスク・ホテル

ジェイ.クリップ

赤坂RED/THEATER(東京都)

2011/12/13 (火) ~ 2011/12/18 (日)公演終了

満足度★★★★★

設定の妙が可笑しくて切ない
20年以上前のシリーズが復活したのだと言うが、シンプルなホテルの一室を舞台に男女の会話劇というのが何だか新鮮。90分の2本立てというのもコンパクトで丁度良い。1本目は「高校教師がデリヘルを頼んだら元教え子がやってきた」というストーリー。ラッパ屋のおかやまはじめさん、厳格な教師が別の面を素直にさらけ出すのが可笑しい。ハイバイに出ていた内田慈さんが、ここでは素朴そうに見えたマッサージ嬢が次第に主導権を握っていく過程を力まずに見せて素晴らしい。
2本目は「12年も付き合っていて結婚に踏み切れない女と男」の会話。長い付き合いの男女それぞれのこだわりどころとかみ合わない価値観が浮き彫りになってくる。
江口のりこさんのゆるいけど強情な女が上手い。ピアノの生演奏が会話を邪魔せず心地よい。息の合ったテンポの良い会話劇の楽しさを十分堪能させてくれるこのシリーズ、ぜひ続けて欲しいと思う。

エクソシストたち

エクソシストたち

渡辺源四郎商店

こまばアゴラ劇場(東京都)

2011/12/02 (金) ~ 2011/12/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

まるで井上ひさし作品のよう
丸いちゃぶ台だけのセットなのに、照明で鮮やかに場面が切り替わる。
3.11をあんな風にとらえた作品を私は他に知らない。
どこのクラスにもいる老け顔の小学生。
あとで大学生と知って驚愕した。
突っ立っているだけで、複雑な家庭に翻弄される11歳になっている。
イタコに呼びだされて戻ってきた元夫の台詞の「間」の素晴らしさ。
このテーマ、この構成を選んだ畑澤氏に脱帽。
しかも怪しいエクソシスト達の可笑しさと言ったら・・・。
シリアスなテーマにユーモアを混ぜ込んでくるくるねじって見せる、
畑澤さん、これはまるで井上ひさし作品のようです。

深呼吸する惑星

深呼吸する惑星

サードステージ

紀伊國屋ホール(東京都)

2011/11/26 (土) ~ 2011/12/18 (日)公演終了

満足度★★★★

最初で最後の第三舞台
観劇経験の浅い私はこれが初めての第三舞台。
いやー、第三舞台ってこういうのだったのか!
ギャグあり、ダンスあり、被り物あり(被り物ダンスが素敵)・・・。
筧利夫のオーラの源泉はここであったかと改めて感じる。
改めて、多くの劇団が第三舞台の後に続いて来たのだと思った。
鴻上さんの手書きの「ごあいさつ」が温かく、心に残っている。
舞台も客席も本当に楽しそうだった。
あ、それから斉藤和義の楽曲を使っていたのが最高!



黄金時代(仮)~【公演終了致しました。皆様、有難うございました。次回作もご期待下さい。】

黄金時代(仮)~【公演終了致しました。皆様、有難うございました。次回作もご期待下さい。】

劇団夢現舎

新高円寺アトラクターズ・スタヂオ(東京都)

2011/11/19 (土) ~ 2011/12/04 (日)公演終了

満足度★★★★

ホスピタリティ溢れる超マイペ劇団
久々の夢現舎は、公演チラシからして謎めいていた。

「その風が吹いた時、どこにでもいるような 私が 人を殺めました・・・。」

入口でもらった「立会人」のカードを首から下げて
3つのバラバラ殺人事件の「実況見分」に私は立ち会った。

益田さん、と高橋さんの強力な両輪によって夢現舎は転がる。
──人は何故誰かを殺すのか?
   時に殺したくない人まで、殺してしまう
   その爆発的なエネルギーはどこから来るのか?

水色のバスタブに自分の居場所を見出した女たちは
凶器が目に入ると、ためらわずそれを手にする。

緊迫した謎解きを、台詞のくり返しがところどころで
堰き止めてしまったのが残念。

相変わらず公演本体に加えて様々なアプローチで
観客にも参加する楽しみを与えてくれる。
公演案内や入場券、座席、アンケートの返送など
全てにアイデアと手間をかけて楽しませてくれる。
その結果、また行きたくなるから効果は絶大!


東京ミルクホールの快傑ハリマオ〜双頭の虎DX〜

東京ミルクホールの快傑ハリマオ〜双頭の虎DX〜

劇団東京ミルクホール

SPACE107(東京都)

2011/11/16 (水) ~ 2011/11/20 (日)公演終了

満足度★★★★

あれ?グンちゃん?!
相変わらずの美し過ぎる男子校、浜本ゆたかのキレのいい動きに加えて
まるでグンちゃんと見紛うような美形がひとり!
バビ市、ちっちゃい顔からまつ毛がはみ出て今度も徹底エンタメありがとう!

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