FIRELIGHT 公演情報 たすいち「FIRELIGHT」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    幻覚の美しさが光る
    主催の目崎剛が「娯楽、エンターテイメントを提供したい」と言う通り
    舞台から飛んでくる直球が心地よく、演出のセンスの良さもあって楽しかった。
    キャラの立った出演者の熱演と設定のアイデアが光る舞台だった。

    ネタバレBOX

    3年前の大火事で家族を失った人々が肩を寄せ合うように暮らしているスラム街。
    このスラム街に、「マッチ売りの少女」が出没する。
    彼女が売っているのはマッチタイプのクスリ「FIRE LIGHT」だ。
    見たいものが幻覚となって現われるという心の麻薬で、連日大勢の客が来る。

    火事の原因は放火だったのか、犯人は誰か?
    一体誰が「FIRE LIGHT」を作ったのか?
    記憶喪失の少女は何を知っているのか、何を見たのか?
    家族や恋人を喪った人々と、真相を追う警察がスラム街をぐるぐるめぐる。

    空間を活かしたセットがストーリーを立体的に見せる。
    アンサンブルも含めると総勢30人近くが舞台を出入りするのだが
    上手下手の他、二階建セットに合計6か所くらいの出入口があって
    場面の切り替えもスピーディーに行われる。

    スラム街の人々のキャラクターが所謂典型的なタイプではあるが
    それが気持ちよくはまっていて安定感がある。
    それに対して警察メンバーの行動にイマイチ納得できないところもあった。
    犯人を撃った男は逮捕されたのか?
    警官としての職務はあれでいいのか? 等々も・・・。

    ラスト、一気に謎が解ける場面でちょっと緊張感が途切れた。
    火サスの崖のシーンじゃないけど引っ張り過ぎると終わりが締まらない。
    それより、犯人の動機をもう少し丁寧に描いた方が納得できたと思う。
    スラムの人々が魅力的なだけにそれを破壊するだけの理由づけがないと腑に落ちない。
    ファンタジーの中で真実=人の心のありようを描くなら
    真実がリアルな方がどちらも際立つのではないかという気がする。

    しかしそういう「?」を蹴散らすだけのアイデアが随所にあった。
    見たいものを幻覚として見せるクスリ「FIRE LIGHT」という発想が光る。
    幻覚の場面の演出も秀逸、シンプルながら儚くて哀しくてとても良かった。
    効果音や劇中の音楽もセンスの良さを感じさせる。

    あの客入れの時の歌、すごくいいですね。
    あれは誰が歌っているのか知りたいと思った。

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    2012/04/30 00:03

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