掏摸―スリ― 公演情報 サイバー∴サイコロジック「掏摸―スリ―」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    掏摸師の哀しみ
    フライヤーから立ち上る“ピカレスクの香り”に強く惹かれた。
    荒川ユリエル演じる掏摸師は、繊細なたたずまいで14歳から29歳まで自然に見せる。
    とてもナイーブでミステリアスな表現が出来る人だ。




    ネタバレBOX

    父親と木崎の台詞が重なり、呼応する演出に緊張感があって惹き込まれた。
    この犯罪者サイドの勝手な論理を堂々と展開するのが原作の特徴かもしれない。
    善悪を超えた、ある種の人間の、確かに存在するタイプの人間の黒い論理。
    天才詐欺師の仕事ぶりをもう少しシーンや台詞で伝えてくれたら
    彼がこの黒い論理に翻弄される哀しみが際立ったと思う。

    原作の魅力的な言葉を忠実に再現しようとした結果か、
    全体が饒舌でストーリーが時折立ち止まる。
    ラップで犯行声明を出すところや首相を拉致したラームラのメンバーの仲間割れの場面、木崎の台詞とそれに伴う身ぶり手ぶりも、
    もう少しコンパクトにメリハリつけたら
    終盤なだれ込むような展開に勢いがついたかと思う。
    大事な言葉を丁寧に言おうとするあまり、タメが長くなって
    時折観る側の集中力が途切れがちなのが、とてももったいない気がした。

    荒川ユリエルさん、名前と同様中性的で繊細な魅力があり、この役にぴったり。
    「人を殺すな」と説得する悲痛な叫びは、彼自身が助けを求めているようにさえ聴こえた。

    母親役の定塚ユリカさん、その絶妙な間や台詞にリアリティがあり
    存在感抜群!

    平平平平さん、絶対悪という父親の台詞に説得力があって
    一体どうしてこんなオヤジになっちゃったんだ?とずっと思っていた。

    ベッドのまん中に穴があいていて
    そこからいろんな人が登場してくるというセットが面白い。
    死んだはずの父親がはい出してきた時は「貞子」みたいで本当に怖かった。
    会場のスタッフさん達が柔らかで快適な空間だった。



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    2012/03/18 02:44

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