アメリカン家族
ゴジゲン
吉祥寺シアター(東京都)
2010/04/29 (木) ~ 2010/05/02 (日)公演終了
満足度★★★★
散漫、ブラックできつい、笑いもたいして多くない、だけど好き
前作の「ハッピーエンドクラッシャー」の「観てきた」に書いたことをもう一度書こう。
それは、
「単に笑わせるのではなく、人の哀しさみたいなものを、笑いの中に見せてくれる劇団になっているのかもしれない。さらに「笑い」は、中心ではなく、芝居の一要素になっていくのかもしれない」
というもの。
それがさらに強まっていたような舞台だった。
そして、根底にあるのは「家族愛」なんだなあ。
ネタバレBOX
「家族」というテーマは、どうやったって、自分がさらけ出されてしまう。
自分の家族のこと、自分と家族の関係、距離など。
この舞台では、一見壊れてしまっているような状況にある個人が、集まって家族を形作っている。外から見ると、家族という形も壊れてしまっているように見える。
だけど、それは違う。これが家族なのだ。
松居さんの家族なのだ。
そして、私の家族でもある。
声を荒げたり、涙や、ときには血を流しても、というより、声を荒げたり、涙や、ときには血を流すから、家族なのだ。
傷つけ合っているように見えても、結局は離れることはできないのが家族。
松居さんは、「家族」というものに希望を持っているのではないのだろうか。「愛」と言ってもいい。「幻想」と言い換えても同じかもしれない。
これだけ破壊して、壊れていても成立している家族の姿を見ると、そう思わずににはいられない。
だから、観ていて、イヤな気持ちが起こらなかったのだと思う。
舞台の上の出来事は素直に受け入れられた。
静かな気持ちで観ることができた。
そして、考えたりもした。
ラスト前の、壁を破ったり、演劇としての決まりごとである、天井や廊下の壁や、セットの隙間などを取り込んで、その意味を壊していく様は見事としか言いようがなかった。
震えるほど。これは凄い。
その上で、ラスト台詞のためだけに、翌朝のシーンを付けたのは蛇足ではなかっただろうか。きれいに終わらせたい気持ちはわかる。家族の話だから。だけどそんなありきたりの方法じゃなくても、それはできたんじゃないかと思うと、やっぱり蛇足に思えてしまった。
今回、吉祥寺シアターという大きな劇場での公演であったが、どう観ても、もっと小さな劇場用のセットと演出を単に大きくしたようにしか見えなかったのは、初だったからだろうか。それが散漫な印象を与えていた。
役者のかみ合わなさも感じた。
ずれているというか。初日だったからというわけではないと思う。
ただし、その無駄な空間が、「母がいない」つまり、「家族が欠けいてる」という、この家族の心の隙間を表現していたように思えてしまった。さらに、ずれが不思議な感覚を呼び起こしていたようにも思える。ちょっと甘い見方かもしれないけど。
なんだか、気になったことはいろいろあるけど、もう別にいいやと思えてしまう。
つまり、なんだか、うまくまとまっていないような感じだったのだが、終わってみれば「面白かった」と言ってしまう。
単にゴジゲンが好きだからということだけではないように思える。
そして、この劇団は、いつかもう一皮剥けていくような気がする。
外人だのモンちゃんだのという、普通じゃない人を演じると俄然輝く目次さんが、やはり光っていた。もちろん、島田曜蔵さんあっての「家族」だったし、土佐さんの浮いてる感じもなかなか良かった。化けの皮がはがれた後の津村知与支さんも。
アンポテンツ
劇団チャリT企画
インディペンデントシアターOji(東京都)
2010/04/28 (水) ~ 2010/05/02 (日)公演終了
満足度★★★★
世界を表すに足りてしまう人数
タイトルから観ると昔々の安保闘争が背景になっているのでしょうけれど、
そこからうまく青臭さを抜いて
したたかに現代にも通じる世界に仕立てていました。
役者たちひとりずつが
世界を背負ってしまう。
キャラクター達が具象化する
世の中の様々な層に
しっかりとした裏付けが感じられて・・・。
基礎をがっつり持った茶番を楽しむことができました。
ネタバレBOX
中産階級や無産階級、政治・警察などなど・・・。
それらが、とても下世話に置き換えられていく姿に
ぞくっとする。
とてもしたたかに作られたベタ感が
現実を凌駕するような感じに息を呑みました。
圧倒的な門の存在や
人を食ったようなボタンの存在。
そのどこか古い感じが
とても生き生きと見えるのです。
過去にうまく今を投影する手腕の確かさ。、
それを劇団として表現のバリエーションにさらっと取り込むのが
けっこう凄いことに思えて。
いやあ、おもしろかったです。
☆★★
パンラが野毛にやって来た★GA~!GA~!GA~!
studio salt
OFF OFFシアター(東京都)
2010/04/24 (土) ~ 2010/04/29 (木)公演終了
満足度★★★★
雰囲気を切り取る力
以前の作品に比べて物語性のようなものは薄く、
むしろ動物園の雰囲気を切り取る力に
その卓越を感じる作品でした。
ネタバレBOX
ソルト的コメディということでしたが、
コメディの枠組みでこの舞台を捉えると
メリハリに足りなさを感じました。
しかし、動物園という世界を正門ではなく
勝手口から眺めて描写していく力は
とても確かなものに思えました。
多分モデルになったであろう
桜木町からぷらぷらと坂を上ったところにあるその動物園へは、
私も何度か行ったことがあって
それが無料であることに驚き、園内の意外(褒め言葉)な充実に
さらに驚いたことがあるのですが、
この舞台を観ていると、そのことがすっと思い出される。
しかも檻の外側からではなく
格子の内側の感覚を伴って
その雰囲気やささえる人たちの空気が
とても緻密に伝わってくる。
浮世絵などでも、
波の間や作りかけの桶の内側に富士山が描かれることで
富士山の印象が一気に広がることってあるじゃないですか。
それと同じように
動物園の風景をちょっと違う角度から描くことで、
山の上の動物園での感覚に
すっと奥行きが生まれる。
多少ベタとさえ思える
絵空事の物語で時間を流していく中で
動物園というある意味特殊な世界のリアリティを現出させていく
作・演出や役者たちのスケッチ力に
すっと捉えられる感じ。
ひよこのエピソードからやってくる現実の質感、
飼育員たちの動物に対する想いと
プロとしての割り切り方・・・。
そこにある動物への愛情が、
動物園の存続という政治的な風合いや、
さらにはダンスの進化と撚り合わさっていくのを観ていると、
単なるコメディとは別の、
動物園という世界の思えてくる。
そして、物語の枠組みが淡白だからこそ
バイアスの掛かっていない
動物園での命の軽重の概念が
ゆっくりとやってきて、心に残るのです。
いろんなバリエーションでの表現ができる
この劇団の底力を感じたことでした。
☆
ムネリンピック
神保町花月
神保町花月(東京都)
2010/04/28 (水) ~ 2010/05/03 (月)公演終了
満足度★★★★
やりたい放題! そしてグダグタ、グダグダ・・・。
メタなのか? そうなのか?
っていうより、やりたい放題。
でも2時間近いのに飽きなかった。
お客さんが笑いに来ているということもあって、笑いは終始起きていた。
私も確かに笑った。
ネタバレBOX
ヨーロッパ企画の永野宗典さん演じる会長が、「ムネリンピック」なるグタグタな競技会を主催している。
それは、突然始まり、突然巻き込まれるものだ。
「虚」の旗印とともに。
舞台の横に「虚」の文字が置いてある。
「虚構」の「虚」であり、「虚しい」の「虚」でもある。
これがまさにテーマだった。
「ムネリンピック」とは、例えば、「しゃくれんぼう」は、ガストで突然始まる。隠れている会長を捜すという一見かくれんぼうに似た競技なのだが、見つけるのはアゴがしゃくれているときの会長でなければならないというもので、単に会長のさじ加減ひとつで勝敗が決まるというものだ。
または、勝手に人の家に上がり込み、冷蔵庫の残り物で料理を作るというものもある。一体何を作るのか? というクイズなのだが、結果は途中で飽きて何も作らない、だったりする。
映像なども使われながら、無意味な競技やイベントが次々に繰り広げられる。
そんなグダグタで内容のないイベントに巻き込まれた人は、なぜか怒ることもしない。そのイベントを偶然見かけた記者が、ムネリンピックに関係した人を集め、取材をするのだ。
ところが、そこで急に大地震が起こり、さらになぜか会長が首を吊るという展開になり、その上、これは、神保町花月で行われている演劇であると、会長は告げる。
「演劇は死んだ!」と。
ムネリンピックを続けながら、敗者の役としてのプロフイールを消していくことで、役と演じている者の境が曖昧になっていく。
さらに、この舞台(ムネリンピック)の打ち合わせのときに取材した個人的な内容を、舞台で暴露することで、役者たちを芸人でも役でもない個人に戻し、さらにその自分を自分で演じさせようと強いる。
たぶん、このあらすじを読んでいて何のことかわからないと思う。
そんな、どこに行くのかまったくわからず、意味不明で、めちゃめちゃな展開が、テレビのバラエティのような姿をしつつ(出演者の秘密をばらす的な)、メタな空気を漂わせながら、とにかくグダグダと進んでいくのだ。
地震とか、ムネリンピックとかが「虚」に変わり、役者たちも「虚」になっていく。
「一番演劇にとらわれているのは、永野さんだ」という台詞で自分自身も切っていき、脚本を舞台の上で書き換えることで、自分自身の「虚」をさらけ出す。
とはいえ、これは、単に、永野さんがやりたかったことを(ヨーロッパ企画ではやれないことを)、吉本というバックを手にして、やりたい放題やってみました、という内容だろう。
それなりにウケていて、客席も一杯だったから気持ちが良かったのではないか、とも思う。
カリカなどの芸人さんたちがいるから成り立っていたとも言える。そうじゃないと、持たない場面もあったと思うし、たとえ、脚本どおりの展開としても、芸人さんたちのアドリブ的とも言える、空気の読み方とタイミングでかろうじて成立していたと思えるような危うさもあった。
それでいいのだろう。
それは初めから織り込み済みの脚本であり、演出なのだろう。
役者じゃ持たなかったかもしれない。
なんだか、いちおう芝居のラスト的なものは付けてあるが、それにはあまり意味がないように思えた。形だけというか。
これだけグダクダならば、ラストも収集がつかないほど散らかしたままで終えてもよかったように思える。
ヨーロッパ企画は、何本も映画になったり、去年はジャニーズともコラボして、今回は吉本とである。じんわりとブレイクしているんだろうなぁ。勢いあるから、こんなのもアリなんだろう思う。
あ、グダグタと何回も書いたが、これは「イイ意味」でのグダグタであったことを付け加えておきたい。
ただ、誰にでもお勧めとは言えない。笑えるけど。
そして、どうでもいいことだが、この会場ではお客さん全員にオロナミンCの自販機用のコインが配られていて、帰りにみんな飲んでいた。私は好きじゃないので、飲まなかったけど。
アメリカン家族
ゴジゲン
吉祥寺シアター(東京都)
2010/04/29 (木) ~ 2010/05/02 (日)公演終了
満足度★★★★
慈悲深くあるために。
たとえ死ぬほど嫌いでも、どんなにひどい目にあったとしても、何とか信じていたいとおもう気持ち。
だって家族を否定することは自分を否定するのと同じようなことだから。
許す、許さない、アリ、ナシ。二者択一でジャッジしないで正しい心でいたいけど、期待の持てない現実に感情のバロメーターがオーバーヒートしてしまったら、何かを壊したくなったり、誰かを傷付けずにはいられない欲望に振り回されてしまっても仕方がないのかも。
最後はボロ泣き。人間の弱さとかエゲツナさを乗り越えようと、ちいさな一歩を踏み出したことに感動した。120分
ネタバレBOX
所々がチープだったり、トリッキーだったりする適度に現実味のあるマンションの一室が舞台。窓はないものの下手側の奥はバルコニーになっていて、窓から差し込む光の角度や強度、色使いで何時くらいの出来ごとなのか、おおよその見当がつく。時間の経過を物語る照明がすごくいい。
深夜のシーンからはじまって朝、慣れない食事をつくった父さんと息子3人が食卓を囲うまでの様子が舞台上で淡々と無言で繰り広げられるなか、母さんが出て行った大まかな経緯〰牧歌的に行われている誕生日会の映像がプロジェクター越しに投射されたものが並行するため、家族の回想(願望?)と家族の現実を比較しながら鑑賞できるのが画期的。
物語は、家族の誕生日には家族揃って家族だけでお祝いをすることに強いこだわりを持つ光田家の二男のサプライズパーティー(といっても毎年恒例だからだいだいパターンは決まってるのだけど)の準備をはじめるものの、母親が居ないために争いごとが起きてしまったり、部外者がワラワラ介入してきたために、なかなか事が進まないばかりか、家族の秘密が暴露されたり、カミングアウトしちゃったりして色々と面倒なことになる・・・というもの。
家の中では絶えず誰かが誰かを責めたてていておっかないけど、部外者が賛同すると家族は怒る。これはあくまで光田家という特別な間柄でのみ、行使できる権限らしい。自分勝手でめちゃくちゃで、何かが著しく歪んでいて、何かが底なしに欠落しているキャラクターたちが無自覚に、ストレートに壊れている様相は、ほんとうに無様で悲惨。なのに、鋭利な刃物を生身の人間に向けることや、殺しに纏わる過激な発言が幾度となく繰り返されるうちにだんだんと衝撃度が薄れはじめ、パターン化されていく壊れ方のタイミングを掴んでしまうと、妙に心地よくなったりもした。
後半、バースデーパーティーに母が不在というあるまじき現象と、部外者へのストレスや嫌悪感や苛立ちを制御しようとする二男の背中ごしに、部外者たちが誕生日パーティーを勝手に仕切りなおす異常な光景が繰り広げられるなか、怒りを露わにしながら彼らから隠れるように身を埋めて、ソファーで不貞腐れ寝たフリしている二男に「風邪引くぞ」なんてぼそっと呟き、さり気なく毛布をかける父さんは、なんだかんだ言ったって優しい人で、二男もそんな父親を大きな存在だって認めたくないけど、ほんとうはわかってるんじゃないのかな。そう思うとたまらない気持ちになった。
そして、この後すぐに家族が一時的にすばらしい結束力でもって他人の不幸を蜜の味にして楽しんでいる部外者たちをまるで悪霊退治をするかのように敷地内から完全に追い出した暴動は、何とも病的で、決してフェアーなやり方とは言えないけども、ガツンと来た。
表向きは暴力的でありながら、家族の前では揃いも揃って照れ屋サンで。愛しているのに、ぶっ殺す!とか平気で言っちゃうひとたちだから。ちょっとした言葉のアヤですれ違ってしまったり、遠回りしてしまうんだな。
みんなほんとは何がベターかわかっているのに、思った通りになかなか出来ない・・・。そんな人間の至らなさが、未熟さが、不完全さがなんだかとても愛おしかった。
ひょっとして壊れることは、失うことがすべてではない。って信じていたいから。なのかもしれないけど。
深い闇(痛み)が心の深奥まで到達しないように、家族たちは傷つけあいながら、かばい合って、必死に守ろうとしていたんじゃないかな。この家族を存続させるために。はなればなれになるのは寂しいけど、ちょっぴり成長した息子たちがひょっとして、家出した母さんを説得して連れて帰って来るんじゃないのかな、って、ラストのゆるやかに傾いていく陽の光のなかで、ぎこちなく言葉を交す家に残った父と子を見て、おもった。
満点にしなかったのは、母が父からDVを受けていたくだりや、長女の真穂子と夫の関係が尻切れトンボなっちゃってたから。(アフタートークでたまたま、続編があると聞き、腑に落ちたのですが・・・。)
あと、包丁を振り回したり、全員死ね。とか軽率にやってしまう辺り、アカルイ狂気や安直な絶望感が混ざり合うようで好きだったのですが、衝動とノリで走り過ぎていて精神面や感情面での、うねりの描写がやや追いついていない印象を受けました。それが狙いだったのかもわかりませんが・・・。突発的な行動って、子供のころの失敗談とか兄弟ゲン化カとか親に叱られた記憶とか、根に持ってるくだらないことが突然怒りにすり替わるようなイメージがあるので、ね。
アメリカン家族
ゴジゲン
吉祥寺シアター(東京都)
2010/04/29 (木) ~ 2010/05/02 (日)公演終了
満足度★★★★
島田曜蔵さんの存在感が舞台を支える!
もう島田曜蔵さんなしではこの舞台は成立しないでしょう。
そう思わせる存在感でした。
素晴らしいです。
頑固で不器用で自分勝手で、でも家族を家族として守りたくて。
今回のゴジゲンは、嫌な感じの家族の微妙な空気を、緊張感とユーモアを持って描き出すことに成功していました。
ネタバレBOX
他の役者さんも、どの方も魅力的。
中国人を演じていた目次さん、実はストーカーという津村さんなどは特に目を引く存在でした。
途中で学生の友人が人を刺してしまうのだけは、唐突すぎるし必要なかったんじゃないかなあと思いました。
結局刺されても死なないし。
全体通してあれだけ浮いていた印象でした。
最後の、そこまで築いてきた劇構造をぶち壊す家族の大暴れには爽快感があり、同時に悲しさが溢れてました。
アンポテンツ
劇団チャリT企画
インディペンデントシアターOji(東京都)
2010/04/28 (水) ~ 2010/05/02 (日)公演終了
満足度★★★
初見でした。
王子小劇場の一面にそびえる壁と門。
威圧感のあるその前で繰り広げられるドタバタ劇。
チャリT企画さんは初めてみたのですが、楽しかったです。
でも、役者さんの個人技とか力技で笑いを取りに行ってる感じが今時の小劇場の演劇の流れとちょっと違って古い感じも・・・。
あと、安保闘争60周年の年という事だけど、この舞台自体は「安保闘争」としてわざわざとりあり上げる程の意味合いを感じられませんでした。
とりあえず自作に期待します。
2人の夫とわたしの事情
シス・カンパニー
Bunkamuraシアターコクーン(東京都)
2010/04/17 (土) ~ 2010/05/16 (日)公演終了
満足度★★
そんなに面白いかな・・・?
絶賛する声が多い中、申し訳ないですが正直それほど面白いと感じなかったです・・・。
段田安則さんの安定感はさすがでした。
松たか子さんは、パイパーを見たときにも思ったのだけど、声のトーンがひとつ上がっていて、どうも自然体に見えないのですけど。
でかい劇場なので表情までは良くわかりませんでした。
表情が分かるとまた違ってくるのでしょうけど。
話も確かに面白いけど、これなら今の小劇場の若手の方が面白いものを書いていると思います。
そして、何より平日に18:30開演というのが、一般的な社会人を拒絶しているようで嫌でした。
平日のチケットしか取れなかったので仕方なしに水曜日に見にいったけど、間に合う訳もなく、最初30分は見逃しました。
社会人はそれほど暇ではないのです。
演劇をもっと気軽に見てもらえるようにしたい、というのは演劇関係者誰もが思っている事と思いますが、こんな事をやっているから一般の社会人は演劇を見に行かないのです。
「上演時間が長いから開演も早くした」という言い訳も聞こえてきそうだけど、高いチケット代だから3時間みせなければいけない、というものでもないと思います。
充実した密度の濃い2時間の芝居の方が、3時間のダレた芝居よりずっと満足できます。
正直この作品はこれだけ長い意味がなく、途中ダレてました。
動け!人間!
鰰[hatahata]
アトリエ春風舎(東京都)
2010/04/16 (金) ~ 2010/05/05 (水)公演終了
満足度★★★
なんとなく「淡水魚」と呼ばれている方
【プログラム『た』→なんとなく「淡水魚」と呼ばれている方】を見ました。
「創作過程を公開する」事を目的とした公演という異色の公演で、正直面白いのかどうか不安でした。
結果、役者さんの魅力がズイっと出てきて、とても楽しめました。
ネタバレBOX
ただ、演劇はやはり完成された作品で勝負してほしいという気持ちも強く、最初と最後に見せてくれる発表作品があまり面白くないのが難点だと思いました。
稽古は本当に面白くて、演劇は本番より稽古場のほうが面白い、というのがひしひしと伝わってきました。
でも、本当はそれじゃいけないのだとは思いますけど・・・。
この日はクライマックスのシーンを作る、という事で斉藤美穂さんと高須賀千江子さん対象にタップリ時間を取って、正に1から組立てていってました。
その作品作りを見れただけでも十分満足でした。
普通の台本があって、それに沿ってシーンを作っていくだけの演劇ではないから、こういった稽古の面白さ、魅力というのも大きいのだと思います。
斉藤さんに「自分は何だったら高須賀さんに負けないと思いますか?」と問いかけるところから始まって、答えは「陰気」。
「じゃあ陰気を表現してみてください。」
と言われても陰気なんて表現できなくて、逆に「じゃあ高須賀さん、陽気を表現してみてください」と言われて、悩んだ末笑顔で陽気なダンスをする。
「一緒に踊ってみてください」
とかやってるうちに、うまくいかないということで方向性を変えて、「力士を演じてください」「ディズニーランドの思い出を語ってください」とか演出の指示が出て、汗だくで取り組む姿が魅力的。
「ディズニーランドには行ったことがあります。2回あります。高須賀山は?」とかセリフもその場で作られてて。
途中どうしても笑ってしまう役者に「笑わないで真剣にやって。思ってるほど面白くないから」という冷静な神里さんの指摘が、浮ついた稽古場を冷静に見ていて、さすが演出家でした。
最後に通して上演してみたけど、うーん、出来てる作品はあまり面白いとは言えないんですよねえ。
15 Minutes Made Volume8
Mrs.fictions
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2010/04/29 (木) ~ 2010/05/02 (日)公演終了
満足度★★★★
充実6団体
他にもいくつかの劇団の集まった公演が行われますけど、プロデュース面で15mmは優れていると感じます。
この企画を行う趣旨がはっきりしているし、参加団体も単なる団体紹介ではなく渾身の15分を見せてくれるのが嬉しいです。
毎回作品を上演している主宰のMrs.fictionsさんの作品を、今回初めて「面白い!」と感じました。
今までは観念的な抽象的なものや無理のあるお芝居が多かったけど、今回はMrs.fictionsでこんなに笑うなんて、と思うほどおかしくて、でも笑えるだけじゃなくて、コミュニケーションに真っ向から取り組んだ衝撃作でした。
ネタバレBOX
国道五十八号戦線はちょっと遊び過ぎた感じだったけど、好きです。
劇団芋屋は初めてみました。
ストレートで良質のコメディですね。サルの衣装がちょっと・・・、と思ったけどそれ以外は15分で起承転結付けてしっかり楽しめました。
時間堂はどうしちゃったのだろう・・・?という作品でした。
作品自体は良いのだけど、役者さんがちょっと・・・。
若い男性の役者さんが、舞台に居れてなかった感じで、残念でした。
黒澤さんは演出に専念した方が良いと思います。
Mrs.fictionsは素晴らしかったです!
松本隆志さんにいちいち爆笑してしまいました。
宇宙人が地球にやってきて、ヤンキーのボスに祭り上げられているけど、それが自分の星に帰ってゆく話。
周りで頭悪いけど人情に厚いヤンキーたちに囲まれて、ボスの「ヒカルくん」が冷静に周りを分析した言葉を羅列してゆくギャップが楽しかったです!
「時間堂上等」とか特攻副に書いてあるし。
PLAT-formanceの公演は見た事無いので、ここで見れて良かったです。
なかなか一筋縄ではいかない、入り組んだ話のふたりコントで、人質が死ぬ時がおっかしかった!
安藤理樹さんはこゆび侍「はちみつ」で見ていたけど、ホームでの演技の方が活き活きしてました。
器用な役者さんですね。
TOKYO PLAYERS COLLECTIONは和知龍範さんをメインに据えての短編で初お披露目。
役者さんが良いから見れたけど、これを90分とかやられたら途中で帰りたいし、本公演がどのようなものになるのか想像がつかない作品でした。
期待してただけに残念なデキ。
闇の光明 Lux in Tenebris
東京演劇集団風
レパートリーシアターKAZE(東京都)
2010/04/27 (火) ~ 2010/05/01 (土)公演終了
満足度★★★★★
ブレヒトによる「性の寓話」
初見の劇団。ご贔屓の「東京演劇アンサンブル」と活動状況に共通点がある劇団があると、夫が教えてくれたので、観に行ってみました。
なるほど、専用劇場を持っているとか、学校公演を行っている点やHPのつくりなども東京演劇アンサンブルと似ている。
本作は「性の寓話」だが、ブレヒトはこういう短編茶番劇も書いていたんですねぇ。
高台の舞台の3方を客席が囲む。舞台装置や「場」の説明、ト書きなどを俳優自らが行うのが印象的。
女郎屋の建物をミニチュアで配したり、女郎屋のランタンの「青い灯、紅い灯」を表現した照明や軽快な音楽など、アンティークな雰囲気がとても洒落ていた。松本修の演出と似たところもある。
上演時間は約1時間と短いが、最近2時間以上の小劇場芝居が続いたせいか、すがすがしく感じた。上演時間が長ければいいというものではない。先ごろ、同じブレヒトの「アルトゥロ・ウイの興隆」をピーチャム・カンパニーで観たが、あの長時間屈葬状態の悪環境での観劇のときとは別世界の快適さ。
大人の鑑賞に堪えうる劇団にまたひとつ出合うことができた。とても嬉しい。
ネタバレBOX
売春窟通りで、興行師パドゥークが「<光あれ>国民に衛生教育を!」の看板を掲げ、テントの中で「性病」に関する怪しげな展覧会を始め、怖いものみたさに客が詰め掛けて、連夜満員札止めの盛況ぶり。そのせいで女郎屋は軒並み閑古鳥が啼いて灯りも音楽も消え、さびれてしまう。ホッゲ夫人が直談判にやってくるが、パドゥークは取り合おうとしない。かつてパドゥークは、ホッゲ夫人の経営する女郎屋の客だったが、持ち金が足りずに追い出されたことを根に持っていた。
パドゥークは展覧会の成功に味をしめ、「性教育映画」の上映会も目論む。
もとよりパドゥークの目的は「衛生や性道徳の啓蒙」などではなく、金儲けである。懐が温かくなり、ほくほく顔のパドゥークに、ホッゲ夫人は、こういう見世物は一度見たらおしまいでリピーターは期待できないから、早晩、興行はすたれることを説き、それよりも女郎屋で遊んだほうが楽しいに決まっていると、娼婦の写真を目の前でちらつかせる。展覧会のために禁欲生活を送っていたパドゥークはたちまち興奮して女郎屋に出かけてしまう。音楽と酒、女、やっぱり、こっちのほうが楽しいことを悟る。
5人の俳優が1人何役かを演じるが、パドゥークの車宗洸とホッゲ夫人の辻由美子のやりとりが面白い。男の役も演じる辻はズボンにブーツを履いているが、ホッゲ夫人のときだけスカート姿になってほしかった。ロングの巻きスカートなどを使えばズボンの上から着脱できるのに。演技の途中で俳優が観客の隣に腰掛けて顔を覗き込んだり、楽しい演出。
「闇の光明」という題名に象徴されるように、この芝居のもうひとつの主役は照明だ。パドゥークが見世物テントに明るい白色照明を使ったことにより、周囲の女郎屋のランタンの灯りがかすんでしまったのである。しかし、その光明も、所詮は売春窟という闇があってこその光明であったという皮肉。
やっぱり、ブレヒトは面白い!
15 Minutes Made Volume8
Mrs.fictions
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2010/04/29 (木) ~ 2010/05/02 (日)公演終了
観劇
お気に入りの劇団が見つかりました。PLAT-formance。
それでも、ボクのアイドル
はらぺこペンギン!
「劇」小劇場(東京都)
2010/04/21 (水) ~ 2010/04/25 (日)公演終了
よしもと神保町花月でも上演出来る作品
主宰の白坂くんは、よしもと神保町花月で脚本や演出の仕事を沢山していて、若手芸人やアイドルと一緒に笑いのある舞台を作っている。かれこれ数年はやってるんじゃないかな。
そして、自身の劇団である「はらぺこペンギン」では、ちょっとしんみりしていた人情劇をよくやっていた。
だけど、他所に提供した脚本では「オタ芸」と言われる、あのへんてこな踊りをやりまくっていたのだった。
いままで振り分けられていた3つが、今回はドロドロに混ざり合って、とてもいいバランスで融合されている。
人情劇は根底にあるんだけど、笑いのレベルの底上げがされていて、オタ芸を無理なく挟み込んで来る(笑)
なので、これはよしもと神保町花月に今すぐ提供しても遜色の無い作品となっている。本当、褒め言葉よ。
僕はこの方向性を断然支持します。
明るくてカラっとしてて、素敵じゃないか。
[日曜昼観劇・場内満員]
アメリカン家族
ゴジゲン
吉祥寺シアター(東京都)
2010/04/29 (木) ~ 2010/05/02 (日)公演終了
満足度★★★
家族のルール
この家族のルールは極端だったけど、きっと誰の家庭にも、端からみたら不思議なルールってあるんだろうなって思いました。自分たちにとっては当たり前の姿、表向きは変えられないお約束事。でもどこかでその異端さを感じているからこその切なさ・・・。
セット全体の不自然な歪みがすべてを象徴しているようでした。
ゴジゲンは初見でしたが、評判を聞いていたので観劇できてよかった。
客演も人気劇団の役者さんが多くて安定感抜群。見応えありました。
☆3.5。
ネタバレBOX
アフタートークでヨーロッパ企画の上田誠さんも言ってましたが、もっとコメディなのかと思っていたので、そこまでではなくて若干の肩すかし。チラシに書いてあったし、笑う気で行ってしまったからなぁ。
母の桜が散った夜
“STRAYDOG”
赤坂RED/THEATER(東京都)
2010/04/02 (金) ~ 2010/04/14 (水)公演終了
満足度★★★★★
素晴らしかった!!
ほぼすべての「公演」を、観劇させていただきましたが、「奥の深さ」が【秀逸】で、とても『考えさせられた』「作品」でした。。。
「再々々演」を、期待します!!
本当に、面白かったです!!
R.F.D
PLAT-formance
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2010/04/29 (木) ~ 2010/05/02 (日)公演終了
満足度★★★
「irregular」から
久しぶりの観劇。15分の間にアドリブがどれくらいあったのか?「ジャンク」見逃したし次回本公演楽しみ。
アンポテンツ
劇団チャリT企画
インディペンデントシアターOji(東京都)
2010/04/28 (水) ~ 2010/05/02 (日)公演終了
満足度★★★★
深いテーマを軽やかに!
「安保」だとか、こちらとあちらをわける「壁(門)」だとか、重いテーマを取り扱っているのに、描き方は軽やか。漫画を楽しむように笑いながら、でもふと気づくと背筋が寒くなるような作りの深さを感じる。ここら辺見事。
劇中にゴドーを待ちながらのようなシーンが出てきたり、遊び心満載で、あっという間に時間が過ぎた。
アンポテンツ
劇団チャリT企画
インディペンデントシアターOji(東京都)
2010/04/28 (水) ~ 2010/05/02 (日)公演終了
満足度★★★★★
メーデーの日に
政治とか社会派臭くないのに、ものすごく世の中や人間に対してドライでクール。笑いも盛りだくさんあって、次第に心が打ち抜かれていく。この作品、相当面白いです。最後だけちょっと政治臭いかなあ。
役者の演技も練り込まれていて、劇団員がみんないい。内山、高見、長岡…。客演陣も充実で、演劇を見て脳内が活性化される。
15 Minutes Made Volume8
Mrs.fictions
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2010/04/29 (木) ~ 2010/05/02 (日)公演終了
満足度★★★
3度目の観劇
観るのが定番になりました。いろんな劇団を観られるのは楽しい。
In The PLAYROOM
DART’S
ギャラリーLE DECO(東京都)
2010/04/27 (火) ~ 2010/05/02 (日)公演終了
満足度★★★
変わらない中でも変わってるんでしょうね
前回観ているっていう油断でとろりと観ていたら、後半やられた、って感じでした。観る場所を変えたってだけでもだいぶ違う。熱すぎたり、ややついていくのに苦労する部分はあるけど、ストーリー的には前回よりわかりやすく、展開が見えた瞬間のどきどきはたまらないものがありました。
ネタバレBOX
前回は入り口側から、今回は奥側から観劇。PLAYER疑いの方たちの顔を見られるから、やっぱり奥側からのほうがお薦めかも。