よしの観てきた!クチコミ一覧

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ラブ☆ガチャVol.3

ラブ☆ガチャVol.3

茶柱日和

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2011/09/06 (火) ~ 2011/09/11 (日)公演終了

満足度★★★

玉石混交
既に他の方のレビューで詳しく紹介されているので、簡単に・・・。
まず、ガチャポンで、見事3等賞でお菓子獲得!

さて、公演本体だが、ポイントは各演目ごとに。

1 あいより~ 3P
2 屋上 2P 
3 携帯メモリー 3P
4 デフラグ 3P

この辺までは、正直退屈でした。
喜劇が悲劇より難しいというのは、何回か申し上げていますが、
ネタのセンスの良さと、役者の絶妙の間の取り方が命。
そういう点で、正直物足りない印象が。

5 消防署の方から来ました!
お笑いとしてはさほど面白くない。
人情話としてはまあまあだけど、でも、格別いいとも思えなくて・・・ 3P

番外? テツ&ミチ 「切れ」は良かったのだけど、短すぎて… 2P

6 貯金箱
7 エレベーター
8 迷子

この辺りからは、結構面白い作品が多くなってきた気がする。
また、単に笑わせるだけではなくて、観る者に考えさせる要素もある作品で。
特に、個人的には6は良い作品と思った。
なので、この3作品は4P

ということで、平均すると3Pくらいでしょうか?
で、お菓子も頂いたので、1Pプラスと思いましたが、
結構長くて、予定より15分ほど押したこともあり、
1Pマイナスで、結果、3Pにしました。

ポイントはともかく、特に前半の作品はもうひとひねり欲しいかなあ?

それから、一部の人は、同じ役名で複数の演目に出ていましたが、
「伏線」というほどでもなく、特に関連付けなくても良いような気もしたし、
終演の挨拶で、役者がいっぱい出てきて私もびっくりしましたが、
逆にいうと、同じ人が服装やメイクを変えていたのかな?と思ったくらいで、
むしろ、同一性格的な役を同じ役者にやらせて、
関連付けを強くしても良かったのかもしれない。

もんぞもんぞ

もんぞもんぞ

ジャイアント・キリング

Geki地下Liberty(東京都)

2011/09/08 (木) ~ 2011/09/12 (月)公演終了

満足度★★★★★

面白かった!…色香に翻弄される男たちの悲喜劇?!
大変楽しく拝見しました。
舞台上には、古い木造の2階建て旅館があり、
2階へは、段数はさほど多くないが階段が中央にあり、
階段を上がると左右に2畳の部屋が1部屋ずつ、計2部屋ある。
向かって右側の部屋には、障子もあったり、廊下も用意されていたり、
また1階には「非常口」の例のマークがあったりと
極めてコンパクトながら、凝った造りである。

さて、ここに5人の男性が新人研修の宿泊場所ということで、
泊まりにやってくる・・・

ネタバレBOX

実はこの5人、新人と言っても新卒は1人だけで、
あとは、再就職、元フリーター、元ニート…であり、
妻子持ちの年かさの者もいる。
言動に一癖あるものもいて、若干ギクシャク気味。

つまり、この5人は、新卒でもここしか入れなかった者を含めて、
人生が順調とは言えない人達ばかりだったのだ。

折しも、ニュースを付けると、台風が接近中で、
風は次第に強くなり、古い木造旅館はきしんだりもする。

さて、この旅館、人(?)がやたら多く、しかも若くて色っぽい女性も多い。
御婆さんと、若い男性(ほとんど台詞はオウム返し)と、
可愛いが大人しそうな2人の制服姿の女子高生、
ここまでは、まあ普通の人なのだが…
(男性はぶっきら棒のオウム返しが多い・・・
なので客に後で怒鳴られたりする)。

しかし、その他に、女子中学生(?)2人と、それより若干年上の女性が、
結構色っぽい恰好でいたずらしたり
(冒頭から客のカバンを空けてお菓子を食べてしまったり)、
そして、男性客を誘惑したりする。

さらに、20代(?)の若い女性も数人いて、
1人は乳呑児を持つシングルマザー、
1人は影の薄そうな女性で黒い洋服を、
もう1人は、色白で、かつ白い和服を着ている。
こちらは、服装自体は挑発的ではないものの、
大人の女性の色気で、やはり男性客を幻惑する。

ということで、20歳前後の魅力的な6人の女性が、
イマイチ冴えない5人の男性を色香で翻弄し、手玉に取るのだが、
しかしそれだけではなく、男性陣の心の弱みを鋭く突いたりもする。
その部分は、心理学や哲学の専門家のような台詞さえあり、
男性陣はタジタジ。

さらには、新人として入社したばかりの健康食品会社が、
商品で事件を起こしTVで報道される・・・
会社倒産の噂も流れ、元々不運な5名はさらにお先真っ暗。

ということで、嵐の晩は宿泊客にしてみれば、
色々なことがあり過ぎて、大変な一夜を過ごすのだが、
朝になると、台風一過で日も差してきて、小鳥もさえずっている…。
ばあやに、「随分従業員多いですね」と聞くと、
「いや、ここは、私と高校生2人と男の子だけですよ」と答える・・・?
(これ以上はネタバレでも明かしません・・・ぜひ公演で!)

ということで、ばあや役(はじり貴奈)は、
動きや台詞の間の取り方がとても上手い。
また、中学生役(終演後お一人が通路にいらしたので聞いてみたら、
本当は高校生とのこと)も含め、翻弄の仕方も大したもの(末恐ろしい?)。

しかし、決して馬鹿騒ぎだけに終わらず、
「人生」について、ほろっと考えさせられる部分も・・・。

というわけで、民話の要素も取り入れた、大変面白く素晴らしい芝居で、
2時間弱があっという間に過ぎてしまった。
RAMPO 2011

RAMPO 2011

ヌオヴォ・ヴィルトゥオーゾ

東京オペラシティ・リサイタルホール(東京都)

2011/08/24 (水) ~ 2011/08/24 (水)公演終了

満足度★★★★

坂田守の舞踊が秀逸だった現代オペラ
室内オペラの現代音楽作品という珍しい公演
しかも、4幕作品を4人の作曲家が分担対応するというのも、
あまり聞かない。
(文化大革命の頃の中国では、一時この手法が華やかだったそうだが、
文革が終わるとあっさり捨てられてしまった。)

乱歩の推理小説が素材なので、ネタバレは避けて、
興味のある方は原作かネット等で当たって頂ければと思う。

それで、聴いてみた結果は、やはり、不協和音や特殊奏法が中心の現代音楽とはいえ、
4人の作曲家の個性の違いが出てしまって、良い結果をもたらしたとは思えなかった。
過去の流行歌や民謡を取り入れた人、楽器音のみならず電子音を取り入れた人など様々で、
それを取り入れるかどうかはどちらでも、としても、
ある幕だけある手法が取り入れられ、それがその幕の表現に必然的というよりは、
担当作曲家の好む手法として、というだけでは、どうなのかなあ、と思った。

4人の合作(?)と言えば、「不都合な4日間」を思い出すが、
こちらは、台本作家が、バトンタッチしていき、
後に宿題を押し付けていくことが笑いの要素になっていたわけだが、
音楽の場合、そういう笑いが取れるわけでもなく、
やはり1人で作曲された方が良かったのではないか?

個人的には第1幕の音楽が、これから始まる不気味な世界を巧みに表現しているように感じられ、
好みに思ったが、しかしこれは全く嗜好の問題で、音楽自体の優劣の問題ではない。

演奏は、4人の器楽奏者(笙を含む)と、配役の無い歌唱人4人で、
こちらはいずれも腕達者揃いで、良い演奏をしていたと思う。
まあ現代音楽なので、それなりに腕のある人を集めないと、演奏自体無理であろうが。

ステージ上の前面に指揮者と演奏者が座り、
その奥の一段高くなったところに、歌手が歌うため譜面台が置かれ、
そこで歌手は基本的に歌う。

これは昔からオペラについて言われ続けていることではあるが、
「歌詞が聴き取れない」点は、特に改善の努力が払われているとは思えなかった。
しかし、推理小説を題材としている以上、
歌詞がよく分からないというのは、やはり問題とされるべきではないか?

で、もし、以上のみ、つまり、音楽だけの表現だったら、
多分評価はそれほどでもないと思うが、
今回の公演を素晴らしい表現にさせたのは、
なにより坂田の舞踊であったと思った。

顔は白塗りで、ある時は歌手から離れて、またある時は歌手に絡みついて、
いわゆる(暗黒)舞踏的な動きを繰り広げるのだが、
これによって、この話の奇怪な雰囲気が大いに増幅され、
結果的にこの公演を見応えのあるものにしていたと思う。

ところで、サイトでは、彼の名前が無いのだが、
プログラムによると、当初3/24に公演予定だったところ、
大震災の影響でこの日に延期となり、
その際に歌手を歌に集中させるため、
急遽坂田に出演を依頼したとのこと。
それで、更新の際に彼の名前を入れ忘れたよう・・・。
しかし、これがより良い舞台にさせてしまったのだから、
まあ、不思議な経緯である。

太陽のコトコト島

太陽のコトコト島

山下幼稚宴

相鉄本多劇場(神奈川県)

2011/09/03 (土) ~ 2011/09/11 (日)公演終了

満足度★★★★

久々のミュージカル観劇
ミュージカルを観る機会は私はあまりないので、楽しく拝見しました。

ネタバレBOX

ある島(コトコト島)には、人形・道具・機械だけが生活している。
その島の憲法には「人間を入れてはいけない」とある。

ところが、ある時、人間の女の子が流れ着く。
弱っている彼女を気の毒に思った島の女性大統領
(といっても良い服を着ているわけでもなく、
その辺にいる普通のおばさんといった風情だが)ミシンは、
彼女を助け、ヒー子と名乗らせ、人間であることを隠して、
学校にも通わせ、リキ(リカちゃん人形のパロディ)の家に住まわせる等、
色々面倒を見てやる。

生徒が中心の芝居であり、かつ学校教室内の場面も多く、
それが童話的な雰囲気を観る者に与えていたことも
良い雰囲気を与えていたと思う。

さて、淡い恋心ながら、嫉妬から、リキは魔神に、恋敵を石にしてしまうよう躊躇しながらも頼んでしまう。
ところが、魔術は、誤ってミシンの子ボビンにかかってしまい、
彼は石になる。ところが、意外にも、級友たちも大人達も
「私達は道具だから、壊れたらそれまで…」と悲しまない。

それにどうしても付いていけないヒー子は、友を失った悲しみを訴え、
さらに、自分が人間であることをも告白してしまう。

だが、そのために、島の住民の会議が開かれ、憲法違反の罪で、
彼女が人間であることを隠して世話をした者として、
大統領に弁明を求める。

そこで大統領は「今までだって彼女が人間だと誰も気が付かなかったでは
ないか。それに、彼女は大切な「感情」を教えてくれた」と島民に訴える。
実は彼女自身も人間社会に嫌気がさし、魔神の力でここに辿り着いたという経緯があった。しかしここでも、自分が期せずして恋敵になってしまい、そのためボビンまで石になってしまったことに罪悪感を覚えるが、
今度は島民たちに「あなたによって大切な感情を教えられた」と励まされ、
人生に希望を持つことができ、人間社会に帰る決心をする…。

ステージの他、通路まで花道のように使っていたことも、
良い効果を上げていた。

服装については、全員白であり、ウェディングドレスのように見える人
(リキ)もいれば、作務服、柔道着、寝間着、下着…のように見える人もいて、様々。
ただ、例えば冴えない割には女性にもて、今回の恋の騒動の対象となった
「百科事典」は、腹のあたりにページがめくれるような工夫がされていて、それはそれで面白いのだが、なにしろ全員白なので、
そういう辺りが目立たないのは残念(私は最前列の端っこでした)。
全員白と言うのは、ここの住人が人間ではない、ということの象徴でも
あろうし、集団で歌う時も照明に映え独特の雰囲気ではあるのだが、
例えば各人の個性的部分だけ色を使ってみるのは、やってみないと分からないところもあるが、あるいは効果があるかもしれない。

それから、歌唱については、ミュージカルでは常々思うことであるが、
「もっと歌が上手ければなあ」と思う場面も正直、いくつかあった。
ただ、ミュージカルならではの、集団で歌う際の役者の輝かしい笑顔は
中々良いもの。(主役ヒー子はもっと輝いても良かったかも)
ともあれ、小劇場でのミュージカル公演でもあり、
現実を忘れる楽しいひと時を過ごせました。
ジャンヌ・ダルク―ジャンヌと炎

ジャンヌ・ダルク―ジャンヌと炎

東京演劇集団風

レパートリーシアターKAZE(東京都)

2011/09/01 (木) ~ 2011/09/05 (月)公演終了

満足度★★★★★

サービス精神旺盛の素晴らしい舞台
ジャンヌの話自身は有名なものであるし、
すでに多くのレビューが投稿されているので、
詳しい紹介は避け、私なりに特に気が付いた点のみ記したい。

ネタバレBOX

冒頭は、「東中野に着くのが遅れちゃって…」とか、「僕の鞄知りませんか?」などと言いながら、役者が客席にまで入り込んできて、
いかにも「旅芸人一座」というような風情を見せる。
それから、舞台作り(もちろん一部だが)も始まったりと、
大変凝った趣向で始まる。
(なお、終演時も同じくシェークスピア作品のような口上がある。)

そして、劇が本筋に入ってからも、例えば、人形劇
(小さい人形、大きな仮面、腕だけ使用した人形劇的な手法など様々)、
影絵、話芸的手法などの要素もふんだんに取り入れられ、
言わばサービス精神が旺盛なのである。

ちなみに、大きな仮面は死神とか疫病と言った恐ろしい超人間的存在に
ついて使用されるが、私は、インドネシアに伝わる
善と悪の神の対決を描写した仮面劇と類似性を感じた。
(もしかしたら、そこからヒントを得ているのかもしれない。)

それはともかく、普通はあまりにあれこれ手を出すと、底が浅くなったり、
嫌らしい感じになったりすることもあるが、
演出が巧みであることと、役者各人が芸達者であるせいもあり、
これら様々な要素が話の流れを妨げたりせず、
大変効果的な役割を果たしていた。
それは、2時間半にわたる長編の芝居において、
観客を飽きさせずに楽しませ続けさせる工夫の1つとなっているのである。

もちろん、ジャンヌは最後に捕えられ、宗教裁判にかけられ、
ジャンヌも心が揺れるが、しかし最終的には火刑になることを受け入れる
…そして昇天…。
これらの場面は照明の効果も加わり、大変感動的であった。
終わってみれば、やはり大変素晴らしい舞台を観ることができた、
という感想に尽きる。


最後に、些細で下らない指摘を…。
まだジャンヌが子供の頃、「アヴェ・マリアも歌えるよ」と言って、
一説口ずさむのだけど、「それってシューベルトでは…?」
まあ、「開演前設定」とはいえ「東中野」も出てくるから、良いのかな?
「ベルナルダ・アルバの家」

「ベルナルダ・アルバの家」

ウンプテンプ・カンパニー

シアターX(東京都)

2011/09/01 (木) ~ 2011/09/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

重い・・・しかし素晴らしい作品
正直、まだ感想が頭の中で完全にまとまっていないほど、
インパクトの強い作品。

実は私は5年前、北千住1010で、同じ演目を見ている
(こちらの劇団ではないが)。
その時も、帰りの足が重たく感じるほどのショックを受けたが、
違う劇団・演出・役者で観ると、
「一度観た作品」という気がしないのが不思議なほど。

しかし、休憩込みで3時間近い公演だが、
前半も悪くは決してないものの
後述するように娘たちの性格付けについて、
もう一工夫あればより不気味かつ不安感が
強くなったのではとも思ったが、
後半は見事に破局へ突き進み、
全体としても充実感を感じた・・・
観終ってみれば素晴らしい作品!

さて、演劇本論はネタバレなので後回しにして、
先に、まず音楽のことを書いておきたい。
ピアノと打楽器(ヴィブラフォン?…鉄琴の一種…が主体)の
2人の奏者のライブ演奏。
ピアニスト(神田)が作曲も担当したそうで、
この音楽、基本的には「現代音楽」で、不協和音が主体・・・
しかし、高音域で柔らかく奏されるため、
これから起こる「事件」を予知させるとも言えるが、
決して不快な響きはしない。
ヴィブラフォンも、普通に叩くだけでなく、
ヴァイオリンの弓で擦るなどの奏法も取入れられ、
独特の雰囲気を醸し出すことに成功している。

(最も私は、2列目の向かってもっとも左の席だったので、
演奏者に近過ぎて、最初はそれが少々気になったのだが、
次第に演奏者の息遣いが感じられることが面白く思われた。
ただ、舞台も広いし、できればもう少し後ろの席の方が
一般的には良いだろう。)

それから、パンフレットについても付言しておきたい。
カラー写真付き8ページで、有料パンフではないし、
決してかさばるものではないが、
当時のスペインの社会事情・背景なども分かりやすく解説され、
過不足無い出来の良い作りである。

ネタバレBOX

さて、ここから、劇そのものについてだが・・・
あまりにワンマンで、自分に逆らうことは一切許さない
タイトルロールの女主人。
口答えなどすると、ステッキで殴りつける(今なら虐待とかDVだろう)。
夫が亡くなったばかりで家族一同喪に服している。

この謹厳な母に育てられた5人の娘は、
いわば母の顔色を伺って育ってきた娘達。
しかし、それだからこそ、内面に鬱積しているものがあるし、
それは穴が開けば噴出する。
しかも、「無菌培養」されているだけに、一旦菌に侵されると弱い・・・。

そして、役としては登場しないペペは、金目当てで長女と婚約するが、
夜中に逢瀬を重ねるうちに、妹たちも彼に惹かれ始める。
そして、末娘はついに、彼に身体を許すまでに至る・・・。

まあ、要約してしまうとそれだけなのだが、
いわばこれを舞台上にリアルに表現されていくわけである

また、最後に起こる悲劇の伏線として、
この村で未婚の母となって(当時は大変なタブー)、
発覚を恐れた母は子を亡き者にしようとする・・・
しかし他の村人の知るところとなり、
破戒女として村人になぶり殺しとなる。
(キリスト教の聖書本来の教えと違う気もするが、
しかしこれが現実のキリスト教社会だろう。)
これは実際に演じられるのではなく、
伝聞として扱われるのだが、この話もきわめて効果的である。

演技としては、何よりタイトルロールの新井純の存在感が大きい。
役柄としてそれは当然でもあるのだが、
この重い役を見事にこなしていたと思う。

一方、欲を言えば、5人の娘たちについては、
1 過酷な母親に育てられ、今も一緒に生活している
・・・しかし母のいないところでは別の側面を見せる部分
2 5人それぞれの個性の違い・・・年齢のみならず性格も違う
の2点についてもう少し明確に表現されれば、と思った。

それから、女主人に対して女中頭は同年代とはいえ結構タメ口だったり、
それに中年の女中まで、意外とぞんざいな口の利き方を
怖い女主人にしてみたり。

これが、この女主人の威厳を割いているような気もした。
もちろん、女中頭は、この家のことも思って、
あえて女主人に強く忠告をする場面もあるのだが・・・。
しかし、それが受け入れられず、
「後は野となれ・・・」的な態度に変わってしまうのだが、
その部分のコントラストも弱くなってしまうように思えた。

これはもしかしたら全く的外れかもしれないが、
原語では日本語のような敬語はないし、
二人称に親称、敬称の区別があっても、
これも日本語と一致しているものではない。
この辺の翻訳(日本語表現)の仕方で、もう一工夫できるのでは、
という気もした。

ただし、以上の指摘は、すでに演劇として高水準のものに到達している
ゆえに、あえて、それ以上のものを望んだものであることは、
あらためて付言しておきたい。
サヨナラ サイキック オーケストラ

サヨナラ サイキック オーケストラ

Mrs.fictions

上野ストアハウス(東京都)

2011/08/25 (木) ~ 2011/08/29 (月)公演終了

満足度★★★

期待しすぎてしまって・・・
前評判も良く、他ユーザーの「観てきた」でも高評価だったので、相当期待して行ったのだが、期待し過ぎたためか(?)、
少々拍子抜けしてしまった。

ネタバレBOX

最初に、ビルの屋上と思われる場所に、少々内気で地味な女子高生と、
(後で分かるが)環境省の職員が登場。
2人とも何やら訳ありと思われる。ここではまだ詳細は語られない。

一度暗転すると、さらに3名増えているが、
みんな座っている方向も服装もてんでんばらばら。

結局、ここに集められたのは「超能力者」で、
現在、小惑星が地球に向かって進んでいて、
科学技術による対策でも衝突が避けられない場合、
言わば最後の手段として、彼らの超能力に期待しよう、というもの。

しかし、集まった「超能力者達」は、いずれも大した能力を持っておらず、
それどころか、その能力自体が怪しげなものもいる。
おまけに、宇宙人を自称する者もいて、変な声かつ、
台本を棒読みするような口調で、地球人に向かって
おっかなびっくりながら「上から目線」で物を言っていたかと思うと、
相手に強く出られると急に弱腰になったりして、
観客から大いに笑いを取っていた。

ところで、その後も「皆で協力して」、あるいは「各自の超能力」によって
「小惑星の衝突を食い止めよう」という場面は登場せず、なぜか話は、
さらにホームレス男性まで登場して、それぞれが、
各人各人の半生を語ったり、人生談義(?)になったり…という具合。

結局、ここに集まった人々は、主催側の環境省職員を含めて、
いじめにあったり、DVにあったり、平凡なレールを歩く人生で
なかったり…と、ある意味、心に傷のある人たちばかりだったのである。

ただ、小惑星衝突というのは、下手をすると人類滅亡になりかねないほど
のインパクトがある話で、それが目前に迫っているという設定で、
こんな話ができるのか?、しかも結構緩い雰囲気で…というのが、
(他ユーザーからも指摘があったが)私としてもやはり違和感が…。

もっと小さい事件(火山が噴火するかも、とか、赤潮が押し寄せてくる等)
にした方が、この点はクリアーできるのではないか?
あるいは、事件が無くとも、こういうメンバーが、
雑誌の企画でも何でも良いので集まったら、
自然と「人生談義」になるはずで、そうであれば、
「小惑星衝突」と言う本来相当重い設定自体不要だったのではないか?

最後は、時々将来を観ることができる女子高生が、イマイチ冴えない環境省職員との朝食風景を観る…と言う、なにやら「ほのめかし」のような
話で終わり、まあ「小さな」ハッピーエンドとなっている。
だから後味は悪くない。
でも、「小さな話」で終わらせるのなら、
なおさら「小惑星」でなくて良いと、最後まで思ってしまった。
楽屋

楽屋

π

ザムザ阿佐谷(東京都)

2011/09/02 (金) ~ 2011/09/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

迫真! かつ質のとても高い演技
場内は満席で、それに節電のためか少々蒸し暑かったが、
90分の公演時間中、舞台を注視し続けてしまった。
笑いあり、迫力あり、人生への省察あり、そして体当たりの演技ありで、
台本も、そして役者の質も高く、素晴らしい内容であった。
私の「今年ベスト5」に入るかも・・・。

また、観終わった後で感じたことは、単なる引用ではなく、
「チェーホフ」的な雰囲気のある演劇であると感じた。
つまり、色々の出来事の後、余韻の中に「何か」を観る者に
考えさせる…というような点で。

なお、以下ネタバレだが、これから観劇予定の方は、ネタバレを読まず、
内容を知らずに観劇されることを強くお勧めする。
ですので、以上に結論的なことを先に申して置いた次第である。

ネタバレBOX

楽屋内では、年かさながらヒロイン役を続けているベテラン女優と、
もう2人、念入りに化粧し続けている黒地の服装で地味な女優
(演じているのは男優)がいる…こちらも決して若くない。
ベテラン女優は、「かもめ」の台詞を口にして練習したり、
「いつもここで間違えるのよね」などと言っている。

この辺でもう、ヒロイン役の気迫で、舞台上はピーンとした雰囲気、
そして、観客も皆、舞台上を注視…。

やがて、ベテラン女優は、2人のいる辺りについて
「淀んでいる…」などと雰囲気を貶しながら、
しかし、彼女が劇中劇のステージに上がるため楽屋を去っていく…。
すると、残った2人は昔話にふけり出す…。
彼女らも、主役の座を射止めることを夢見ながらも、
ついに願いはかなわず、万年端役、万年プロンプターに甘んじていたのだ。

そして、「マクベス」、博徒物、「かもめ」の一場面を演じて見せたりする。
(初日と言うことで、少々噛んでいたところもあったが)
この場面も結構長くて、そしてこちらも中々気迫のある名演であった。

さて、そこにもう1人、若い娘が楽屋に登場。
そして、ベテラン女優が楽屋に戻ってくると、親しげに話しかけるので、
若い娘は知り合いであることが分かる。

そして娘は(しばらく病気入院していたのだが)
「私健康になりました」というので、
ベテラン女優は「じゃあ私のプロンプター、明日からやって!」と言う。
しかし、娘は「私は健康になった。だから私の役を返して」(?)と言う。
「かもめ」のヒロインは、元々自分の役だった、だからそれが当然!
と言うように。しかも、冷静かつにこやかに…。

さらには、「お疲れだろうから、あなたの入院の予約までしてある」
とまで言う。
さらに加えて、ベテラン女優が経験の大切さや
女優の苦労を説き、「私だって、いずれはババアになる…」
など説いたところ、その言葉に対し、「あなたは、今、もうババアよ」
とまで言ってしまう。もちろんこれも、冷静かつにこやか、当然のように。

さて、ここまでは、ある意味頓珍漢なやり取りであり、
笑いも多くコミカルな雰囲気であったのだが、
この言葉に激怒したベテラン女優は、近くにあったビール瓶で、
娘の頭部を殴りつける……瓶の破片が飛び散る……娘は倒れる。
我に返ったベテランは娘を介抱する…
(黒い2人が破片を掃除している。)
やがて娘は起き上がって楽屋から去っていく…。
ベテランも悔しい思いを胸にしながら去っていく。

さて、例の2人だけになって、今の出来事に一しきり話していると、
また娘が戻ってくる。そして2人に話掛ける。
2人は驚き「私達が見えるのか?」と訊く。「ええ」という娘。
そう、この人はすでに死んでいて、しかし女優の夢を捨てきれないため、
楽屋に毎日現れて、出番がもらえないかとメイクに励むのである。
そして、この2人が見えた、と言うことは、
娘もすでにこの世の者ではない…。

そして仲間となった3人は、人生論(死者の人生論と言うのも変だが)や
演劇論についてまた話をし始める。
あの世の住人になっても演劇への意欲は失わない。
それは死霊の執着のようなものではなく、さらに向上して行こう、という
もので、何となく平和な気分となった中、幕となる。

まあ2つだけ注文を付ければ、まず1点は、
生きている者は、黒服の2人は見えないのだが、
しかし2人からは生きているものが見えるし、
生きている人間の言動に対して、批判めいたことなどを言うのである。
ただ、そうすると、生きているものからは見えていないという設定が、
観客には分かりにくい。

しかも、初めはこの2人がすでに死んでいることさえ分からないのだから。
この辺をうまく処理できれば、より良いものになると思われる。

もう1点は、お笑いの時事ネタで、「原発事故」をも扱っていたが、
これはさすがに笑えなかった…。
さすがに、これは、お笑いには不適切なのではないか?

ただ、冒頭に記した通りで、この芝居、
大変素晴らしい内容であったことは間違いない。
一見の価値あり!と私は思う。
ハルシオン・デイズ

ハルシオン・デイズ

シアターウィザード

銀座みゆき館劇場(東京都)

2011/08/27 (土) ~ 2011/08/28 (日)公演終了

満足度

基礎からみっちりやり直して
残念ながら非常に不出来。

銀座みゆき館という劇場は、私は初めてで、少々迷って、2~3分ほど遅れてしまった。
案内されて入って一番前に座ると、中は真っ暗で、舞台上に2人の男性が、自殺をほのめかすような場面が始まっていた・・・。

その後、急に舞台が明るくなって、さらに女性2人が加わり4人となる。
衣装や舞台装置は、とてもカラフルで、なんか童話劇か、
幼稚園・小学校物が始まっても良いような雰囲気。

ネタバレBOX

それで、結局自殺サイトを見て集まった男(なぜか現在戦争中で、
非戦闘員として「人間の盾」になれば爆撃を防げると信じている)、
オカマ(一応男?)、クライエントを死なせてしまった女性カウンセラー、
それにその死んでしまった女性が集まっているのだ。

ところが、「泣いた赤鬼」の芝居をすることになって、
劇中劇的に稽古がはじまる。
しかも、この劇をボランティアとして慰問上演する気になる・・・。

ということで、かなり話の展開が唐突な印象。
鴻上尚史作品なのだが、少なくともこの芝居を観た限り、
観ている者への説得性が感じられない。

そして、なぜかカラフルな舞台装置や衣装もちぐはぐな感。

しかも、小さい劇場なのに声だけはかなり大きく、しかも気持ちが籠っていない台詞回し。

一番前で聴いていて、正直うるさく感じたので、休憩時に後ろへ退散したが、やはりうるさく感じたことは変わらなかった。
おそらく、声量だけでなく、イントネーションも含めて耳障り感を感じさせたのだろうと思う。
それに、演技も、残念ながら上手と言えるものではない。

実は、休憩時に客席を見回すと、空席がかなり多いし、これまで述べたような内容だったので、ここで中座しようかどうか迷った次第。
これまでも、前半イマイチでも、後半多少とも持ち直した観劇経験もあるので、まあ残ることにしたのだが、正直、帰った方が良かった・・・。

ということで、第8回まで公演を重ねている劇団のようだが、基礎からみっちりやり直して頂きたい。
超家族

超家族

お布団

プロト・シアター(東京都)

2011/08/20 (土) ~ 2011/08/22 (月)公演終了

満足度★★★★

かなり不気味で変わった話
かなり不気味で変わった話である。

畳は敷いていないが、おそらく和室の広間という設定と思われる。
奥に、能面のようなものが3つ、横木に掛かっている。
登場人物は、みな喪服のような姿。
ほとんどが陰鬱な表情の中、1人の「おばさん」がやけに陽気で
(結構ある話かも)他の甥姪などに話しかけるが、なぜか皆敬遠。
これから葬儀か法事が始まるのかと思ったらそうではなかった。
この桜内家のしきたりとして、親族で「儀式」を行わなくてはならず、
しかもその儀式と言うのは、「台本」を親族一同が手にして、演じて、
踊るという、まあ演劇好きの一家なら結構楽しいかもしれない(?)もの……
では決してなくて、・・・・・・

ネタバレBOX

・・・・・・この話は自分たちの先祖の話であり、人殺しも含んだかなりドロドロしたものであることと、1時間以内に儀式を終えない場合は、祟りがあって子孫が絶えてしまうという、とっても怖いものである。

さて、その儀式の「演劇」部分は、この家の先祖の、地元民との関係や親族身内間の出来事(ほとんどが生々しいもので殺し合いも多い)台本を観ながら演じて行くもの。

そして、話の途中には、輪舞がある。まあみんなが輪になって踊るので、盆踊りのような風情だが、音楽は和風のものではなくロック調。
で、観ている最初の頃は、色々の要素があって面白く思っていたが、
「同じパターン」が多くて、正直、段々飽きが来てしまったのも事実である。
その1つは、踊りがマンネリということで、毎回登場する踊りが観る限り同じなんですよね。

まあ役者自体、次第に結構疲れてくるようで、汗だくになって、喪服も乱れ、Yシャツがズボンから飛び出してきたり、そういうところは変わってきたし、最後の輪舞はちょっとテンポが遅くなったようには思ったが、基本的に同じパターン。ここは、筋の進行によって雰囲気を変えたりできなかったのかな?
それから、輪舞で使われるロック調の音楽も、最初は「意外に合っている」と思ったものの、こういう怪奇的な芝居では、やはり邦楽の方が超現実的世界へ誘ってくれる雰囲気も醸し出せるし、良い曲を使えばぐっと舞台が引き締まったような気がする。

それからもう1つ、殺す場面も基本的に同じで、殺されるのは、あるいは熊であったり、天狗であったり(この時にその役を演ずるものは奥に掛かっていた面を付ける)なのだが、四方から交代に鉄砲(古い時代のもので連射はできないという設定)を撃って長い時間をかけて仕留める、というやり方。

もしかしたら、輪舞も含めて、あえて古典芸能的に様式的な表現を志向したのかもしれないが、私の観た限り、特に効果が上がっているとも思えなかった。

さて、狭い村内での生々しい事件が突如として、劇的に雰囲気が変わってしまい、霧が舞台に濃くたちこめ、宇宙創世のような世界に転換する。
そして、極めて象徴的かつ簡素な振りと台詞(例えば「進化」と言ってちょっぴり動いたり)で、宇宙の誕生から生物の発生、その進化が示される。
この部分も、ここだけで観れば面白い趣向と思うのだが、前半部との関連性は何なんだろうかと思うと、私にはよく分からない。

それから冒頭で「お前は親族ではない…だから(お前は)子孫が絶えることはない」と言う台詞があったが、結局この伏線がどうなったのか不明確で、せっかくの素材がもったいない気がした。

まあそんなわけで、もっと考えてほしいところはいくらでもあるのだが、
単なる怪奇ものや奇譚の紹介で終わるのではなく、実験的な手法も取り入れ、「独特の雰囲気」を創造していたことは私は高く評価したい。
今後ももっと練って面白い作品を見せて頂きたい。
古典『勝三郎連獅子』 新作『夏の夜の夢』シェイクスピア原作

古典『勝三郎連獅子』 新作『夏の夜の夢』シェイクスピア原作

藝〇座

日本橋公会堂ホール「日本橋劇場」(東京都)

2011/08/18 (木) ~ 2011/08/19 (金)公演終了

満足度★★★★

【新作『夏の夜の夢』シェイクスピア原作」】新作への取組は評価したいが…
後半は新作で、シェークスピア「夏の夜の夢」の翻案物。
冒頭は、深い森の中の岩の上に女神が立ち、
そこに日が射し、靄の中で光が線のように見え、
まるで、古事記神話の一場面を思わせるような素晴らしい光景!
そして、話は進んでいくが、基本的に台詞が無く、舞踊だけ。
例外的に、ロバに変えられた男だけは、時に台詞を発する…。
まるで、「和風バレエ」といった趣。

私的には、こちらもまあそこそこ良いかな?という印象。
若干不満があるとすれば、「夏の夜の夢」って、やっぱり台詞回しが、
とっても面白いんじゃあないでしょうか?
パック役がローラースケートで登場したり、色々工夫はされているものの、
舞踊のみだと、何となくぼんやりしていて、突っ込みの鋭さが
感じられないのは、致し方無いものの残念な気がする。
(もっとも、観たことはないが「バレエ」化もされていると聞いてますが)

なお、音楽は基本的に和楽器(右:筝、三味線、尺八?、
左:鉦などの鳴り物)を使用し、多少洋楽器(左:ドラムス?)も
使用した演奏で、バルコニーのような2階席の左右に分かれて
配置されている。指揮者も和服姿で、右側にいて、
時々左側を振り返って指示を出していた様子。
(なお、私は向かって左側の席だったので、2回左側は良く見えない。)

音楽自体は、この日のためのオリジナルと思うが、
西洋音楽の音階やリズムが基本であり、西洋音楽を邦楽器で演奏している、
という感じ。
時に、そんなにうるさく演奏しないでも良いのに、という場面で、鳴り物が結構にぎやかに奏される…あたかも祭囃子のように
…ここはもっと考えられてよいのでは?

そんなわけで、こちらも日舞的見地というより、
独断偏見的(いつもですが)演劇的見地から4Pとしました。

古典『勝三郎連獅子』 新作『夏の夜の夢』シェイクスピア原作

古典『勝三郎連獅子』 新作『夏の夜の夢』シェイクスピア原作

藝〇座

日本橋公会堂ホール「日本橋劇場」(東京都)

2011/08/18 (木) ~ 2011/08/19 (金)公演終了

満足度★★★★

【「古典『勝三郎連獅子』】慣れない日舞鑑賞でしたが…
何と日本舞踊!
普段のこりっちでは小劇場演目が多いので、異色の演目。
受付には和服姿のお嬢様…ここで普段なら「こりっちで予約(招待)の…」
と言うところを、思わず「こりっち『という』サイトで…」
と言ってしまった(苦笑)

この日は2演目で、前半は古典物
「親獅子は子獅子を谷底に突き落として、這い上がってきた子だけ育てる」という伝説に由来するもの。
正直申して、日本舞踊自体は初見ではないが、しかし極めて鑑賞回数は少ない。しかも、日本の伝統芸能の中でも、落語>文楽>能・狂言>歌舞伎>邦楽(長唄・清元…)>日本舞踊、という具合で
そんなわけで、日舞について、レビューを書く資格などは全く持ち合わせていないものの、無責任を承知で書かせて頂ければ…

まあ、ざっくばらんに行って、お正月の獅子舞の獅子を小さくしたやつが、
紅白(縁起物?)2体あって、2人の演者が、
これを使ったり使わなかったりして舞っていく。
また、音楽は生演奏で、いわゆる「邦楽」である。
なんか、歌舞伎、相撲、寄席などと共通する
「湯上りのような良い気分」感があって、中々良い!
それに、黒子の方が、例えば蝶々(棒が付いていて操るやつ)
を舞わせたり、日舞も結構サービス精神旺盛なのだな、と思った。

話は前後してしまったが、蝶々の登場する場面は、
中間部のゆっくりした部分で、ここを挟んで速い音楽の部分があり、
概ね、急~緩~急の構成。

それで、なにしろ藝大の日本舞踊科の若手卒業生であるだけに、
私が観ても、しっかりした舞踊だと思うし、まずまず面白いと思った。

ただまあ、歌舞伎・演劇評論家の渡辺保氏が、
「名手の日本舞踊を観て、超越的なこの世ならぬものを観た思いをした…」
というような話を大分前だが聞いたことがあって、
さすがにそこまでのレベルではないと思うので、
こちらについては4Pということにしました…。

これは僕が神様になりたかったけれどなれなかった話で、僕の彼女が実は地球だったってオチが待っている話なわけで、

これは僕が神様になりたかったけれどなれなかった話で、僕の彼女が実は地球だったってオチが待っている話なわけで、

劇団エリザベス

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2011/08/19 (金) ~ 2011/08/21 (日)公演終了

満足度★★★

「間」の取り方・・・
こちらも投稿が遅れてしまったので、重複は避け、私なりに気が付いたことだけ記しておきたい。
開演前から役者はすでに登場し、ゆったりと動いており、あたかも舞踏を観ているかのような気持ちにさせられる。
また舞台装置も幻想的であり、優れたものであると思う。
そのうちに、女優さんがそうめん(?)を食べ始めたり…。
ということで、開演前からすでに芝居は始まっており、雰囲気作りも抜群!
前評判も良かったので、「これは大いに期待できそう」と思ったのだが…。

私も概ね他の方のレビューと同意見で、詰め込み過ぎで消化不良気味かな、
と正直思った。
結局色々な要素が多くて、もっとも本質的なもの(すべてが本質だと
言われればそれまでだが…笑)が紛れてしまってたような気がした。

それと、こういう種類(筋が論理的ではない)の芝居なら、なおさらと
思うが、こういう芝居でであろうとなかろうと、台詞回しというか、
台詞の「間」(間合い・間の取り方・音楽でいう「フレージング」)を
十分練ってほしい。
(昔、某美人フルーティストが演劇か映画に出演した際、他の俳優から、
「台詞のフレージングなんて考えたこと無いの?」と言われ、赤面した、
なんて言うエピソードを思い出した…)
この点で、長谷美希は及第点!で、彼女は基本的に
ゆっくりした発声をしていたが、間の取り方が非常にうまく、
その台詞回しは雰囲気作りも説得力も備えていた。
もちろん、「間」はゆっくり口調では特に気になるところであるが、
それは「早口」であろうが「絶叫」であろうが、必要であることは当然であることは言うまでもない。

そんなわけで、芝居自体は、まあ良くは分からなかったのですが、
個人的には「オリザ」ギャクは大笑いしたので、3Pにします。

それと余談ですが、終演後、ロビーに「肩幅おばけ」さんが
出ていらしたので、「肩幅は何でできているんですか?」と伺ったところ、
「綿を輪ゴムでしっかり止めている」とのこと。
上演中は「変な人」だったが(もっとも、ほとんどすべての登場人物も
同じだが)、素顔はとてもお綺麗な方でした。
「おばけ」はちょっとひどい?!

【ご来場感謝!】『キスより素敵な手を繋ごう』/『追憶と記憶』『メロウ』

【ご来場感謝!】『キスより素敵な手を繋ごう』/『追憶と記憶』『メロウ』

ナイスコンプレックス

サンモールスタジオ(東京都)

2011/08/12 (金) ~ 2011/08/16 (火)公演終了

満足度★★★★

【キスより素敵な手を繋ごう】複雑難解な前半と、ベタで感動的な後半
すでに多くのレビューが書かれていて、それによると、
連続して上演された「追憶と記憶」「メロウ」と3部作であり、
関連性もあることが指摘されている。
ただ、私は本作のみで、他の2作品は観ていないので、
関連性の辺りは指摘することができないことはお断りしておく。

ネタバレBOX

さて、これは、記憶を喪失してしまった(正確には、毎朝、
それまでの記憶をなくしてしまう、という症状の)2人の物語。
といっても主役としては、男性刑事のみで、
もう1人の女性の記憶喪失の作家の話は
途中でどこかへ行ってしまった感が…。

それから、この芝居のもう1つの特色は、
基本的に逆時系列的に演じられること。
しかも、そのことがしっかり告知されるわけでもないので、
中々分かりにくい作品になっている。

前半は、比較的短い1シーンが、前述の通り、逆時系列順に演じられる。
したがって、後で起きたことが、その前に起きたことの伏線になっている、
という具合である。
つまりは、かなり複雑な構成。

ところが後半は、どこからか送られてきた郵便(ここで、爆弾ではないか?
という騒ぎもあるが、その話もどっかに行ってしまった)、
を主人公が開封するとビデオテープが入っていて、
それを再生すると(もしかしたら爆発するのかと私は思った…(笑))、
それは20年前に娘が両親を撮影したものであった。
これを観ることにより、20年間への妻と娘への愛情、
そしてその気持ちが今でも変わっていないことを再認識する。
この部分は、大変感動的なのだが、ここでは、細かく場面を分けて、
それを逆時系列で再現していく手法は(もちろん)取らず、
言わば普通のベタなお話である。

それで、成功しているのは、やはり感動を与える後半であって、
前半は分かりにくい、となると、逆時系列的手法は何だったのだろう…
と言うことになってしまう。
(もちろん、実験的手法ゆえ、結果論ではあるが。)

それで、話は前後するが、前半部分でもう1人出てくる
記憶喪失の女性もいて、多分、彼女の方が先に記憶消失ということが
観客には分かるのだが、彼女に絵本を書くよう依頼に来る男性が来る。
この男性の様子も怪しげで、何やら犯罪の臭いさえ漂うのだが、
これらの話が(一部すでに述べたが)どこかへ行ってしまうのである。
この辺も不可解だし、それから(これもすでに指摘されているが)
警察と刑務所を混同しているあたりも、
細かい話ながら私も気になったところである。

以上のように、決して欠点も少なくなく、評価が分かれる作品と思いますが、
後半が良かったことと、実験的手法にチャレンジする精神も買って
4Pとしました。
【千秋楽売り止め】かいじんぐるーのはなし【台本絶賛公開中】

【千秋楽売り止め】かいじんぐるーのはなし【台本絶賛公開中】

アメウズメ

STスポット(神奈川県)

2011/08/25 (木) ~ 2011/08/28 (日)公演終了

満足度

私には理解不能で・・・
劇団HPに、台本も公開されていますが、ネタバレになってしまうので、
読まずに行きました。

で、これはHPで観て頂いても分かると思いますが、
一文一文ごと、いや、一区切り一区切りごとでは、
普通の文章ですし、意味が分からないことはありません。

しかし、それらのつながりが私には理解不能・・・。
また、理屈抜きに、何か感じるもの、伝わるものがあるか、と言われても、
私には見い出せませんでした。

役者のレベルとしては、前説を兼ねた冒頭の台詞と、
最後の台詞を担当された方、噛んでいましたし、
無機的な感じがしました。
やはり最初と最後は肝心では?

描いたように(満員御礼!!無事公演終演いたしました!)

描いたように(満員御礼!!無事公演終演いたしました!)

613

テアトルBONBON(東京都)

2011/08/24 (水) ~ 2011/08/28 (日)公演終了

満足度★★★

心理描写が弱いのが残念
売れない画家でアルバイトをしている青年と、
ふとした出会いから交際を始め、同棲を始めてしまった女性が中心の物語。

彼の部屋は、(実際にはあり得ないのだけど)
壁に額縁的な飾りつけもされていて、
いかにもここの住人が絵を目指している青年で
あることを象徴させている。
この舞台装置は私は気に入った。

ネタバレBOX

そして、この部屋は、大家であり1階の作業場のための資材置き場も兼ねていて、
人の出入りも多く、まあそのために家賃は安くしてもらっているという設定。
というわけで、そこの社長や社員、家族、そして、画家仲間・関係者が頻繁に出入りする。
台詞にもあるが「プライバシーが無い」のである。

ただまあ、この主人公、イマイチ気弱で、
個展の話があっても断ってしまうし、
彼女にも自分の悩みを語らないがゆえにぎくしゃくし、
また彼女を大事に思っているだけに、プロポーズも簡単にできない。

まあ、そんなような「日常的な話」である。
たしかに、責任を感ずればこそ告白に慎重になったり、
芸術家であっても、事故の作品を発表することは
恥ずかしいし、そして、怖い。

もちろん、それは私も分かる(つもり?)のだが、
しかしあまりに頑ななところが彼にあって、
(自分自身のことを棚に上げるが)
「どうして一人でそこまで抱え込むの?」
と正直感じてしまった・・・。

でもまあ、なぜか最後はプロポーズして、
まあ一応ハッピーエンドかな?となる。

ただ、これでは、どうして頑なで、そしてどうしてそれが変われたのか、
台詞の説明はあっても、観ている側にはストンと落ちてくるような説得性が無い。

これは、主人公だけではなくて、社員である(古い言葉だが)ハイミスの女性が、
初めは同棲を嫉妬していながら、
ふとしたことから料理の上手なことが皆に知れ渡り、
そしていつしか同僚と恋仲になって行く経緯についても同様。

要は、事実で筋を一応進めていても、
心理描写としては非連続の感じを受けるのである。
この辺、台本・演出・そして演技面で、
もっと練って頂ければ良くなってくるだろうに、と思った。
明けない夜 完全版

明けない夜 完全版

JACROW

シアタートラム(東京都)

2011/08/25 (木) ~ 2011/08/28 (日)公演終了

満足度★★★★

そこそこ楽しめました
相当評価が割れているようですが、
私はそこそこ面白く観ました。

たしかに、ある意味ベタな刑事ドラマですが、
役者も良い人が揃っていたし、
それぞれの役柄の個性もしっかり表現されていたと思います。
劇場サイトには、このホールは小劇場とあるが
(もう1つ大きいのがあるので)、
まあ中劇場での芝居として、面白く観せてもらいました。
それから、舞台装置も2階建てで、
「凝ってるな」とまでは思わなかったものの、
こちらも結構良く作られていたと思います。

まあ、刑事でかなりガラが悪いのもいたり、
出生と保身が第一のお偉いさんもいたり、
それから、誘拐された少女の父親がとても好色で、
若い女子社員に手を付けて、泣かせかり、
たしかに、良からぬ連中ではあるが、
「現実にもよくある話」でもあるのでね・・・。

ネタバレBOX

気になった点としては、
まず、若い刑事は実は子供を無くしており、
そのことは(初めにも伏線はあるものの)
最後の方で本人から語られるが、
この材料の扱いはあまり上手く行っていなかったのではないか?

それと、(こちらの方が問題が大きいと思うが)
複数の証言の矛盾について、終わりに誘拐場面が登場して、
それは明らかになるのだが、
一旦、少女とその母親役が観客に挨拶したので、
「この後、全員出てきて挨拶するのかな?」と思ったら、
まだ続きがあって、さらなる「事件の秘密」が暴露される・・・
でも、このシーンがいかにも「付けたし」というか「オマケ」的で、
個々の扱いをもっと効果的にできなかったのか・・・と感じた次第。

最後に、舞台向かって右側に、日時くらいながら「字幕」が出ますが、
これが薄くて読みにくい・・・要改善ですね。
寂寥 【緊急告知!】25日(木)アフタートーク開催決定! ゲスト:土田英生氏(MONO)

寂寥 【緊急告知!】25日(木)アフタートーク開催決定! ゲスト:土田英生氏(MONO)

セロリの会 

「劇」小劇場(東京都)

2011/08/25 (木) ~ 2011/08/28 (日)公演終了

満足度

平板な内容な上に、さらに・・・
元アイドルだった「4人姉妹+1人」は共同生活していて、
今度そこの屋上でバーを開こうとして、賛成・反対が入り乱れる。
ここに、ちょっと変な昔からのファンや、元アイドルの親族の話、
さらには、登場人物の個々の人生問題も絡んでくる。

正直、台本としては、「その辺で聞かれる女性同士の話」程度で、
特別大きな事件が起こるわけでもなく(それはまあ良いのだが)、
かと言って、それぞれの登場人物の心理的な掘り下げも弱いし、
平板な印象しか持てなかった。

多少良くなったのは、最後の花火のシーンくらいでしょうか?

まあ、役者自身はそこそこの演技をしていたとも思うが、
これだけ、個性ある役柄を登場させておきながら、
使える題材をほとんど生かしていない、というのが正直な感想。

ネタバレBOX

それと、以下は上演自体とは全く関係ない話ですが・・・
この日は、このサイトではないチケプレで御招待頂いたのですが、
案内によると、開園15分前までに来ないと招待無効に、
しかも、入場できるのは開演5分前・・・
ということは、ここの猫の額のようなロビーで、
最低10分は待たなければならないということ。

そして、満席に近かったせいもあるが、
待たされた上で案内されたのは最後部のスタンドのような硬い椅子席で、
しかも、天井が近くそのライトも熱い。
ライトは開演と同時に消えたが、私の周囲は暑く、
何人かは扇子であおぎっぱなし・・・
(外に出たらむしろ涼しかったので、
換気だけでもしっかりやってくれれば、と思った。)

もちろん、チケプレで招待して頂いたことはとても有難いし、
チケットを買われたお客さんが最も大事ということも分かるが、
しかしここまで差を付けられると、もう観劇前にちょっと気分が滅入る・・・。
こちらだって、時間を作って交通費もかけているんで
・・・(チケット買った人も同じだけどね)。

ただ、ここまで差を付けるのは、やはり珍しいし、
つい最近も1度、「チケプレの方の入場は5分前です」というのがあったが、
この時は「だから5分前までに来て下さい」でしたからまだまし。
この日の最後の方の台詞に「残飯が・・・」というのがあったが、
なんか、ホント、残飯チケットをもらった感じ。

チケプレの1つの目的は、「次回はチケット買っても行こう」
と思わせることだと思うが、
これで、公演自体がとても素晴らしければまだ良かったし、
また行こうかと思うだろうけど、
今回は前述のとおり、それほどの内容でもなかったし、
むしろこんなやり方では「もう行くの止めようかな」と
逆効果になってしまうのでは?
それだったら、こういうようなチケプレなら、
実施自体しない方が良いかも・・・と冗談でなく思いました。

正直、公演自体は2Pと思いますが、
以上の点もあるので1Pマイナスで1Pとしました。
「くすり・ゆび・きり

「くすり・ゆび・きり

エビス駅前バープロデュース

エビス駅前バー(東京都)

2011/08/21 (日) ~ 2011/08/30 (火)公演終了

満足度★★★★

本物のバーが会場…その臨場感と限界
本物のバーを利用して行われる芝居。
会場は3階のはずなのだが、「4階 離婚式会場」という貼り紙もあって、
一瞬どっちに行って良いか分からなくなってしまった…。

ネタバレBOX

離婚式当事者の馴れ初めから始まり、
夫に先立たれた離婚式会場のバーのママさんの話や、
さらには離婚式参加者の不倫や同性愛も発覚し、
これらが重なり合って、離婚式も混乱状態に…。
しかし、最後はちょっといい感じで終わる。

ということで、「バーをそのまま演劇の会場にすることのリアル感」や、
小劇場よりも小さい室内で間近に俳優の演技を観られる臨場感という
メリットがある一方、
残念なこととしては、別室で行われている離婚式の様子は、
役者の台詞による伝聞でしか知りえないこと。
そのため、離婚式についてのリアル感は、やや薄くなってしまった。
まあこれは、会場の制約のため仕方がないことであるが・・・。
もしこれを小劇場で上演して、暗転・場面転換という形で、
離婚式そのもののシーンを見せられたら、
もっと面白くなった気が私はする。
「エダニク」「サブウェイ」

「エダニク」「サブウェイ」

真夏の極東フェスティバル

王子小劇場(東京都)

2011/08/25 (木) ~ 2011/08/28 (日)公演終了

満足度★★★★★

【エダニク】「タブー」にチャレンジした意欲作
「エダニク」って何だろう?外国語かな?と思っていたら、
「枝肉」のようだった。

はじめは、職場の休憩室らしいテーブルと椅子だけの簡素な部屋で、
男二人が登場し、カップ焼きそば談義という、
いわばどうでも良い話から始まる。
なんかユルイ話だな、こんなのをずっと見ていたらたまらんなあ、と思っていたら、話は次第に面白くなってきた。

ネタバレBOX

ここに若い男がもう1人入ってくる。
口の利き方もイマイチだし、色々話してみると、
どうもアルバイト以外に勤めた経験が無く、ニート歴が長い様子。
職場の工場部分で何やらもめ事が起こっているらしく、
社員のうち年かさの男は出て行き、若い方の社員と、ニート歴の長かった男の2人だけとなる。
社員の方は結婚して、子供も1人いる33歳。
ところが元ニートは30歳で3歳しか違わない。
そこで、ついつい、「社会人の先輩」として説教を垂れる。

ここまでの話から、この職場が食肉工場、つまり屠殺業であり、
社員2名は屠殺に従事していることが次第に分かってくる。
さらに、元ニートと思って小馬鹿にしていた青年は、
実はこの食肉工場に仕事を出している畜産農家の御曹司であり、
父親が社長、息子は今日は父の運転手役として来ていたのだった。
それを聞いて、いままでの先輩口調が、敬語に変わる(笑)

ここで、年かさの社員が戻ってきて、若い社員と交替する。
ところが、この男は、得意先の御曹司と知っても、
ぶっきらぼうな態度を改めないどころか、
「お前のところは面倒な仕事を出す」とまで言ってしまう。

完全に次期社長になる御曹司を怒らせてしまったところに、
若い社員も戻ってくるが、会話はますます険悪になり、
しまいには刃物まで登場する・・・。

きれいに生肉に加工するために熟練と体力を要する職人的な側面や、
ヘマをすると自身が怪我をしかねないという厳しい側面を持つ一方で、
屠殺業従事者がやはり差別の目で世間から見られている側面等々、
中々演劇のみならず他の分野でも中々取り上げられないし、
言い換えれば取り上げにくいテーマを、しっかり捕えていたと思う。

さて、これらのやり取りの中で台詞に登場するのが、
屠殺従事者への色々の見方、考え方。
畜産農家は、食肉として売り渡すために、牛や馬を丹精込めて育てる。
しかし、それを食肉工場に売り渡す時は、
やはり(多少なりとも)寂しく悲しいもので…
せめて、心を込めて解体してほしいもの…。
たしかにそうかもしれない…。

一方、食肉会社に勤めていれば、一々悲しんだり哀れんだりしていては
仕事もできないし、ほとんどの人は肉を食するのだから、
肉を食べる人が屠殺従事者に偏見を持つのはおかしいだろう…、
と思いながらも、やはり家畜が苦しみながら死んで行くのは確かだし、
また、我が子の一言一言が気になったりもする。

ちなみに、実は私はベジタリアンでございまして、
肉を食することはあまり好まないのだけど、
それは、例えば特定の宗教の戒律にしたがって、
食べたいけど我慢しているという話ではなく、
言わば単純に「私は食べたくない」という話なので、
同席者が肉を隣で食べていても平気だし、
他人にベジタリアンになれ、とも言わない。
それに、もしも屠殺が悪いことと考えるなら、
辛い思いで屠殺をする人よりも、他人に辛い屠殺をさせて、
美味しく肉を食べる人の方が、一層よろしくないとも思っている…。

やっぱり世の中には、地球規模では大規模な虐殺も無くなっていないし、
日本でも、死刑執行、妊娠中絶、屠殺、動物実験・殺処分…と言った
普段中々取り上げられない「闇」のような世界が、厳然と存在して、
そしてそれらが日々行われているのも確かなのである。
ある意味、私はこういう世界にも目を背けないでいたい、
と勝手に思っている…演劇の素材となるかどうかは別として。
以上、余計なことも書いてしまったが、
それほどこの芝居にインパクトを受けてしまったという次第である。

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