超家族 公演情報 お布団「超家族」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    かなり不気味で変わった話
    かなり不気味で変わった話である。

    畳は敷いていないが、おそらく和室の広間という設定と思われる。
    奥に、能面のようなものが3つ、横木に掛かっている。
    登場人物は、みな喪服のような姿。
    ほとんどが陰鬱な表情の中、1人の「おばさん」がやけに陽気で
    (結構ある話かも)他の甥姪などに話しかけるが、なぜか皆敬遠。
    これから葬儀か法事が始まるのかと思ったらそうではなかった。
    この桜内家のしきたりとして、親族で「儀式」を行わなくてはならず、
    しかもその儀式と言うのは、「台本」を親族一同が手にして、演じて、
    踊るという、まあ演劇好きの一家なら結構楽しいかもしれない(?)もの……
    では決してなくて、・・・・・・

    ネタバレBOX

    ・・・・・・この話は自分たちの先祖の話であり、人殺しも含んだかなりドロドロしたものであることと、1時間以内に儀式を終えない場合は、祟りがあって子孫が絶えてしまうという、とっても怖いものである。

    さて、その儀式の「演劇」部分は、この家の先祖の、地元民との関係や親族身内間の出来事(ほとんどが生々しいもので殺し合いも多い)台本を観ながら演じて行くもの。

    そして、話の途中には、輪舞がある。まあみんなが輪になって踊るので、盆踊りのような風情だが、音楽は和風のものではなくロック調。
    で、観ている最初の頃は、色々の要素があって面白く思っていたが、
    「同じパターン」が多くて、正直、段々飽きが来てしまったのも事実である。
    その1つは、踊りがマンネリということで、毎回登場する踊りが観る限り同じなんですよね。

    まあ役者自体、次第に結構疲れてくるようで、汗だくになって、喪服も乱れ、Yシャツがズボンから飛び出してきたり、そういうところは変わってきたし、最後の輪舞はちょっとテンポが遅くなったようには思ったが、基本的に同じパターン。ここは、筋の進行によって雰囲気を変えたりできなかったのかな?
    それから、輪舞で使われるロック調の音楽も、最初は「意外に合っている」と思ったものの、こういう怪奇的な芝居では、やはり邦楽の方が超現実的世界へ誘ってくれる雰囲気も醸し出せるし、良い曲を使えばぐっと舞台が引き締まったような気がする。

    それからもう1つ、殺す場面も基本的に同じで、殺されるのは、あるいは熊であったり、天狗であったり(この時にその役を演ずるものは奥に掛かっていた面を付ける)なのだが、四方から交代に鉄砲(古い時代のもので連射はできないという設定)を撃って長い時間をかけて仕留める、というやり方。

    もしかしたら、輪舞も含めて、あえて古典芸能的に様式的な表現を志向したのかもしれないが、私の観た限り、特に効果が上がっているとも思えなかった。

    さて、狭い村内での生々しい事件が突如として、劇的に雰囲気が変わってしまい、霧が舞台に濃くたちこめ、宇宙創世のような世界に転換する。
    そして、極めて象徴的かつ簡素な振りと台詞(例えば「進化」と言ってちょっぴり動いたり)で、宇宙の誕生から生物の発生、その進化が示される。
    この部分も、ここだけで観れば面白い趣向と思うのだが、前半部との関連性は何なんだろうかと思うと、私にはよく分からない。

    それから冒頭で「お前は親族ではない…だから(お前は)子孫が絶えることはない」と言う台詞があったが、結局この伏線がどうなったのか不明確で、せっかくの素材がもったいない気がした。

    まあそんなわけで、もっと考えてほしいところはいくらでもあるのだが、
    単なる怪奇ものや奇譚の紹介で終わるのではなく、実験的な手法も取り入れ、「独特の雰囲気」を創造していたことは私は高く評価したい。
    今後ももっと練って面白い作品を見せて頂きたい。

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    2011/08/31 16:44

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