しゅうめいの観てきた!クチコミ一覧

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『宙の色 -sora no iro- 』

『宙の色 -sora no iro- 』

ポかリン記憶舎

ギャラリーKINGYO(東京都)

2012/04/17 (火) ~ 2012/04/22 (日)公演終了

満足度★★★

癒やしの空間
駅から迷います。(^_^;)
iPhoneのGPSがなかったら辿り着けなかったかも。。
しかし、おしゃれなお店が沢山ありますね。
散策すると1日で回れないくらいに。
歩くだけで楽しそう。

道に対して全面ガラス張りのギャラリーが舞台。
相変わらず出演者と一般人の通行人なのか判断できない不思議な空間。

とあるギャラリーの一日を切り取った心に染みる物語でした。
はじめは陶器を一目惚れした夫婦の物語。
陶器と同じように一目惚れした主人。
バツイチな主人が新たに得た伴侶は同じ価値観を共有出来る人だった。

ドイツ人のお客さんの物語。
明るい日本が大好きなドイツ人女性。
まさか高齢のオーナーが英語が出来て案内できてしまうのが驚きだった。
日本が好きな理由は亡くなった日本人の彼が好きだったから。。
ちょっと悲しい。
でも彼女の明るさをみると救われる。

陶芸家と古い友人の話。
11年前に共に美大の予備校で知り合い、
夢を叶えられなかった友人。
夢を叶えたが病気になったりで回り道して、
陶芸家になった彼女。
陶器は修復出来る。そしてそれも味になると語る陶芸家。
ラストでは2人でお茶を飲み見上げる空。
見守るオーナー。

それぞれの心のヒビを陶器を修復するかのように時間や人がヒビを埋めていく。
ラストに立てられた(練られた)お茶の濃さは11年経った2人には苦かったのか甘かったのか。
それは器だけが知る。

HIDE AND SEEK

HIDE AND SEEK

パラドックス定数

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2012/04/13 (金) ~ 2012/04/22 (日)公演終了

満足度★★★

幻想
江戸川乱歩と横溝正史と夢野久作の作品を一つでも
読んでいたらニヤニヤしっぱなし何だろうなと思いました。
読んでいなくても十分に楽しめましたが。
各作者が現実世界に創作したキャラクターが登場し、
虚構と現実の境界線が曖昧になっていく不思議な世界。
その境界線は作者と作者の壁も越えていく。。

一番気になったのは、夢野久作のドグラ・マグラに出てくる
若林先生と呉一郎。
特に若林先生役の人の動作か振る舞いが、
水木しげるの漫画のキャラクターのようで、
気になってというか、とても好きなキャラクターでした。

三鷹芸術劇場でやるパラドックス定数は、
必ず?歌やダンスが入るのですかね。
(元気で行こう絶望するなだけかな)
今回はラップがありました。

編集者が怪人二十面相であり、
読者の鏡ということで、
一番のモンスターは飽くなき欲求を持つ読者なのか。

青色文庫

青色文庫

青☆組

ゆうど(東京都)

2012/04/07 (土) ~ 2012/04/14 (土)公演終了

満足度★★★

もっと観たかった
都内にこんな静かな民家があるとは。
入場すると畳の部屋に座る。
天井が高くて古い民家の匂いが田舎を思わせる。
ここは都内なのに。

主催の吉田小夏さんが飴を配っているので、
一つ貰います。
それにしても吉田小夏さんキレイでした(^_^;)

あと民家の井戸水で入れたお茶を振る舞われて、
寒い雨で冷えた体が温まりました。

最初の『スイッチと野菜ジュース』はト書きを吉田小夏さんが朗読。
彼氏と同棲を解消して一人暮らしをする始める女性。
そこに運び込まれるピザ屋の懸賞で当たったTV。
でもTVは人型という少し不思議な物語。

TVを演じる荒井志郎さんのPUFFYの愛のしるしが頭に残ります。
チャンネルを変えるごとにTVが、
歌ったりドラマを演じたりニュースを読んだりと、
ちょっとSFな感じです。

次な『押しかけ女房』ですが、
タイトル通りに独身女性の家にある日突然、
女房がいるというお話。
最初はほのぼのな感じで、
世話を焼いてくれる女房のありがたみを感じていたのですが、
主人公の女性が不倫をかつてしていて、
その奥さんが失踪していると。。
少し世にも不思議な物語になるというお話。

なんといっても女房を演じた大西玲子が圧巻。
『スイッチと野菜ジュース』では等身大の女性を演じていたと思ったら、
『押しかけ女房』では大人しい女房から不倫を問い詰める迫力ある女房に変貌してと、
演技の幅の大きさに感服です。

A、B、Dと他の演目も観たかったのですが、
時間が(^_^;)
でも、こういう企画は美味しいので、
今後もやって欲しいですね。

トリツカレ男

トリツカレ男

演劇集団キャラメルボックス

赤坂ACTシアター(東京都)

2012/02/16 (木) ~ 2012/02/29 (水)公演終了

満足度★★★

トリツカレ男再び
初演を観ていたので、
お話というかオチは分かっていての鑑賞になります。

ヒロインのペチカ役を星野真里さん、
ジュゼッペの相方のネズミのトト役を金子貴俊さんが演じます。
芸能人というかTVを主舞台とする二人をゲストに迎えています。

ペチカ役の星野真里さんは本当に可憐でした。
これは純朴で一途なペチカ役が本当に様になっていました。
これだけでも初演を超えていましたね(笑)

トト役の金子貴俊もキュートなネズミを演じていて、
ジュゼッペの対等の相棒という感じをよく出していました。

ネタバレBOX

初演と比べて、ビアンカがパワーダウンしたかなと思いましたが、
それだけ退団した井上麻美子さんが良かったということでしょう。

仮面祭ですが、初演と比べてキレイになりすぎたかなと。
だからインパクトは薄かったのですが、
凄いパフォーマンスを見せて貰いました。

ロミオファミリーはもう言わずもがな。
何でもありな3人組でしたね。
もう声を上げて笑いました。

ジュゼッペの幼なじみのイザベラを演じた原田樹里さんの凛とした演技に魅せられました。
早々にヒロインな姿をみたいですね。

タタン先生とジュゼッペの最後のはしごのシーンは、
分かっていたのに涙が滲みます。
このシーンは何度も見ても飽きない気がします。

自分の年齢的にはタタン先生の視点に立ってしまうので、
なおさら、後を託すジュゼッペに送る気持ちを思うと、
悲しくなるのです。

現実的には愛は地球を救えないかもしれません。
でも、一人の人間は愛で救える。
そんなことを思いました。
墓場、女子高生

墓場、女子高生

ベッド&メイキングス

座・高円寺1(東京都)

2012/02/01 (水) ~ 2012/02/05 (日)公演終了

満足度★★★

よかった
タイトルが凄い気になったのと、
イキウメの岩本幸子さんが出演するというのと、
松本まりかさんが出演するということで、
当日券を狙って、座・高円寺1に行きました。

開演30分前で当日券狙いの方が、20名超えていて、
キャンセル待ちの列に待機していました。
何とかキャンセル待ちに滑り込んで、
観劇できました。

女子高生の幽霊。
戦時中の青年の幽霊。
やまびこの妖怪。
3人のやり取り。
死んだのに明るい女子高生の幽霊。
その謎は終盤で明らかになる。

授業をサボり、墓場にたむろする女子高生。
とにかく騒がしい。
でも、騒いで遊んでいるのは、
あの明るい女子高生を弔う為か忘れたくない為か。

他には岩本幸子さん演じる教師が来たり、
(チラシを見たときは女子高生姿だったので、
期待したのですけどねwww)
営業マンでご飯を食べに来る人が居たり、
墓場なのに人が溢れています。

幽霊とは誰かが思ってくれる(恨みも含む)間だけ、
存在すると幽霊が語ります。

女子高生たちは友人の死を忘れらない。
それは女子高生が何故死んだのか分からないから。
誰もが薄々と自分のせいかと思っている。

そこから、オカルト部と一緒に、
蘇生の儀式を行い、
まさかの蘇生(笑)

一同喜ぶが本人だけが喜ばない。
そこに友人に語られることのない、
一番笑顔の似合う女子高生の苦悩があった。
死にたいと。

友人たちと一夜をともに過ごして、
大団円と思ったら、
友人たちの隙を突いて、桜の木で首つり自殺を図る。

彼女と過ごしたときのように歌を歌って、
助け出そうとする女子高生たち。
でもライトに照らされる先に女子高生がぶら下がる姿が照らし出される。


結局死んだ理由は分からない。
生き返ったときに死ぬのは苦しくてつらいと言っていたのに、
もう一度死を選んだ彼女。
この世界は彼女にとっては汚れた世界だったか。
理由は分からない。

ただ2度の死は、
彼女の友人たちを前に進めた。

墓場には女子高生は2人だけ。
幽霊も妖怪も居ない。
死者が静かに眠る場所になった。

そして、女子高生が言う。
いつか忘れるし、今のうちに言っておくよと。
「さようなら」

一見軽いシーンの中に、
彼女の真意が見え隠れしたり、
教師と営業マンのコメディ部分があったりと、
ホップな感じの演劇でした。
2時間ですが、途中で中だるみがあるので、
もっとテンポ良くして1時間半にしたらと考えますが、
彼女たちの憂鬱な心情を表すには、
この時間がやっぱり必要かなと。

クライマックスシーンの近くで、
客席からイビキが聞こえまして、
えっどうなるのよ〜と思ったら、
勇気ある観客の方が、
イビキの方を起こしていました。

自分も隣席だったら注意しますが、
あれだけ席離れているのに、
注意した方は凄いと思いましたね。

イエスタデイ

イエスタデイ

ブラジル

座・高円寺1(東京都)

2012/01/18 (水) ~ 2012/01/22 (日)公演終了

満足度★★★★

よい裏切り
ブラジル2012年新春第一弾は、苦笑系”3姉妹”喜劇!!
というキャッチコピーと、
牙狼でのヒロイン役で注目しました、
肘井美佳さんを目当てで観劇しました。

最初は、父親の元に集まった3姉妹のドタバタコメディの体をなしていたのですが、
物語が進むにつれて、父親の若き恋人?の家政婦の怪しい動きが目立ってきて。。
実は家の売却したお金を狙う結婚詐欺師だと分かるところから、
物語はジェットコースターの如く動きます。

そうアットホームなホームドラマから、
サスペンスドラマに。
いやホラーか。

家政婦を演じた近藤美月の包丁を振り回し、
あげくにはチェンソーをも振り回す怪演に脱帽です。

親父を見守る不審なさまよう男。
実はお爺ちゃん(幽霊)という設定に大変笑わせて貰いました。
役にたたないと言っていた親父にバイトの開始時間を目線で教えたりと、
大活躍でした。
最後に親父が娘たちを叱るときも、
巻き添え食ってビンタされているし(笑)

でも何も語らない親父さんが一番強かったんだよね。
奥さんの浮気も受け入れ、父親が早くに亡くなって、
娘たちも、会社が倒産した長女、薬におぼれる次女、恋人を刺して罪を犯した三女と
問題あるが、父親は詳しく追求しないで、ただただ家に迎える。
騙されたと嘘をついて家政婦を見逃す。
本当に親父かっこいいいです。

物語で、被害者が実はある面では加害者になるという描写が多々あり、
何が正しいのか分からなくなりましたが、
結局、許す受け入れるという愛という力でないと、
不毛なメビウスの輪は断ち切れないということを
親父さんは体現したのかなと。

今後のブラジル公演がますます楽しみになる劇でした。

全 員 彼 女

全 員 彼 女

TOKYO PLAYERS COLLECTION

王子小劇場(東京都)

2012/01/05 (木) ~ 2012/01/09 (月)公演終了

満足度★★★

2012年の初観劇
劇団競泳水着の上野さんの作演出ということで、
当日券で観に行きました。

主人公の何を考えているのか分からない。
ちょっと感情が上手く表に出ない感じが、
騒動の原因を作っていくので、
演じた役者さんの木訥とした感じが良かったかも。

倦怠期に入ったカップルがこれを見たらどう思うのか。
彼女の人数増えて、それが全て自分を愛してくれる充実感。
本当ならこんなに堪らないものはないでしょうね。

でも、それって相手も思っていることなんですよね。
主人公がそんな状態でも元カノと浮気していたり、
まさに「全員」彼女状態。

ハーレムは長く続かない。
彼女が分裂して、彼の元から心離れた時は、
もちろん、人数分離れるのがインパクトありました。

後半になると彼女視点で物語がリピート。
「胸を8回も見られた」とか細かいことカウントしているのが、
微笑ましい。(自分も気をつけよう(;・∀・))

でも、段々と彼氏が隠し事しているのが見えてくる。
(彼氏のパートの時はバレてなさげなのにね。見事にバレてる)
そこで、彼女も人生経験ということで、
遊んだりと。。
(彼氏パートでは疑惑でしたが、彼女視点だと確信犯で遊んでいたとは。
ガクガク(((n;‘Д‘))ηナンダカコワイワァ)

思い返すと普通の男女の別れ。
でも、彼女が増殖したことで、
本来なら彼女の一面で見ることも出来なかった、
人格が人間になり分裂したことで、
彼女の全てを知ることになった彼氏。
その喪失感は、大きかったのかと。

元カノが結婚して彼氏に別れを告げるところでは、
同情というより哀れを感じさせ、
因果応報と言う言葉がぴったりでした。

全員元彼女になって終わり。

オーラでは伝わらない。
赤の他人だからこそ、「愛している」と言葉で発し、
態度で伝える。
その繰り返しが赤の他人から恋人・家族になるのかなと。
そんなことを考えました。

アフターイベントの「全員元カレ」は、
川村紗也さんでした。
とてもリアリティがあって、
いい短編でした。
笑って帰れて、本編の酸っぱさが、
ここで甘さに変わるという感じで、
両方併せて観るといいですね。

節電 ボーダー トルネード

節電 ボーダー トルネード

クロムモリブデン

赤坂RED/THEATER(東京都)

2011/12/20 (火) ~ 2011/12/30 (金)公演終了

満足度★★★★★

初めての劇団
初めて観劇する劇団でした。
森下さんや久保さんはキャラメルボックスに客演したときに、
拝見していたのですが、
ホームグランドでの演技は初めて見ます。

最初は何が起こったか分かりませんでした(^_^;)
何だろうか、このパワーと理不尽さ。

事件が起きても捜査をしない警察。
ひき逃げしても認めない運転手。
DVする男。
監禁される女。
電気ショックをする医者。
etc.

圧倒的なテンポとダンスと音楽に、
一気に日常から非日常に飛ばされました。

繰り返される理不尽。
通じない常識の世界。
これがある少女の夢と分かったところから世界が一変します。

理不尽なような世界だったのが、
実は「理」にかなっていた。
ある法則でなりたっていた。
その法則は、現実世界であった話。

これは凄い。
2回観たかった。
たぶん、2回目で観ると最初から世界が凄く見えるだろう。

こんな話を今にやるとは凄いと思いました。

主人公が最後に立ち直った(これは夢か幻か願望の具現化なのか)?
ラストの早着替えのシーンが圧巻でした。

もうトルネード。
節電されても世界にボーダーがあっても、
それを壊していく、そして直していく、
人は立ち直れる。

そんな強い思いを感じた舞台でした。
(σ・∀・)σ
この顔文字が頭から離れない(笑)
(σ・∀・)σσ・∀・)σσ・∀・)σσ・∀・)σσ・∀・)σ
σ・∀・)σσ・∀・)σσ・∀・)σσ・∀・)σσ・∀・)σ


星の結び目

星の結び目

時間堂

こまばアゴラ劇場(東京都)

2011/12/22 (木) ~ 2012/01/02 (月)公演終了

満足度★★★★

時間堂好きになりました
初めて観劇する劇団です。
この公演を観ようとした理由は、
青☆組の吉田小夏さんの脚本ということと、
青☆組の公演のトークイベントで時間堂の黒澤さんの話を聞いて、
時間堂に興味を持ったからです。

初日とはいえ、当日券で入れましたが、
ほぼ満席で開始。

初代と次男を演じた荒井さんの色気と、
初代の人間味あふれる演技に魅せられました。
これなら、人が惹かれるという説得力がありました。

窪田優さんのおとぼけの演技と、
愛人を演じたときの艶やかさが印象に残りました。

初日とはいえ、締まった芝居で、
時間堂さんのストレートプレイに対する実力を垣間見た気がします。

豪商一家の没落を静かに照らす夜空の星。
一代記を女性ならではの視点で照らし出してました。
魅力溢れる登場人物に心奪われ、彼等のその後が気になる。
最初に梅花の華やかさでスタートし、ラストシーンの花に落ち着く。
大きさ違えど美しさは喪ってない。
美しさは人の心だ。

太陽

太陽

イキウメ

青山円形劇場(東京都)

2011/11/10 (木) ~ 2011/11/27 (日)公演終了

満足度★★★★

重い
藤子・F・不二雄の「流血鬼」を思い出すストーリーでした。
重い。
そして、今回は変なリアル感があり緊張感満載だった。

ネタバレBOX


夜にしか生きられないノクス。
冒頭で、太陽を浴びて絶命するノクス。

旧人類扱いされている人間。キュリオ(骨董品という意味)という呼称で、
ノクスから軽蔑される人間。

冒頭では、キュリオがノクスを殺して、
集落が閉鎖される様が描かれる。

ノクスを殺した家族が焼き討ちに遭う。
ノクスによって。。

10年後。
閉鎖をとかれた集落。
ノクスとの交流が始まる。

ノクスがキュリオを支援する様が、
どこかの口の初代復興大臣な口様で、
支援をする。

この関係が、被災者と支援者関係を彷彿とさせます。

キュリオが失ったものは、失ったものしか分からない。
ノクスも15歳でなったもの24歳でなったもの、
20歳でなったものは、失ったものの大きさを理解できない。
いや理解しない。

27歳でノクスになったものは、
失ったものを分かっている。

これは被害に遭ってみないと分かり合えない。
口だけで分かっているといっても、
想像しても経験しないと分からないことを表しているのかなと。

ノクスとキュリオの思いは、
平行線を辿っていく。
お互いの正義を振りかざしながら。

それは軋轢を生み、
再度の悲劇を招く。

ラストでノクスの医師が、
ノクスの出生率の低下と太陽を克服するのが困難であると独白。
太陽に背を向けて生活するノクスが病人だよと。。

最後に純正ノクスとキュリオが対峙し、
自らの償い(エゴ?)の為に、太陽に焼かれる為に、
真ん中にキュリオからノクスになった医師が横たわる。

ノクスとキュリオの和解か、ノクスの滅び示唆しているか。

それは太陽だけが知っている。
戦場晩餐

戦場晩餐

パラドックス定数

SPACE EDGE(東京都)

2011/11/19 (土) ~ 2011/11/23 (水)公演終了

満足度★★★★

うまい飯と芝居
その劇場は渋谷駅の南口の線路脇にある。
いや、劇場なのか?
倉庫の脇の限りなく外に近い劇場でした。

twitterで前日の雨の時に雨の音が大きくて、
台詞が聞き取り辛いとか寒いとか呟きがあったので、
用心していったのですが天気は快晴となり、
気温も高くて会場は暖かかったです。
でも、壁がプラスチックのトタン一枚なので、
外からの音はダダ漏れですね。
時折聞こえる電車の音が会場を覆います。

物語は未来の日本のシブヤ。
1件の中華料理店。
外は戦場。内戦が起こっている日本。
いや、外人自治区があったりと、
イスラエルとパレスチナのような状態。
日本人とそれ以外で人種差別というか、
殺し合っている状態。

出前を受ければ、どこでも行く。
弾をよけて、中華料理を届ける。


人種問題が底辺にあり、
日本人以外の排斥を訴える人がいたりと、
でも、配達するのは中華料理だったり、
矛盾があるのが面白かったりします。

人は啀み合い殺し合う。
料理は全てを内包する。

料理に国境はないと地で表すストーリーでした。

ラストシーンでの元No.1料理人のアオイが、
エアー料理するシーンが、
ビシッと料理の実力を示すことになるのですが、
それを作る場所も食べさせる人もいない。
悲しい現実がはっきりと分かるシーンでもあります。
彼自身が排斥をしつづける人間を表しているようでね。

ラストに、料理長のミユキが飯を作り、
客のウキフネが食べる。

人はそれだけ。
人種も関係ない。

世界は単純である。
救いはあるのかもしれない。

いと愛し

いと愛し

劇団競泳水着

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2011/11/01 (火) ~ 2011/11/06 (日)公演終了

満足度★★★★

いとおしい
劇団競泳水着。
以前の公演を観た途端に劇団の活動休止だったので、
待ち遠しい本公演でした。
さらに劇団員のみの3名の公演。

ある作曲家の元に3名が集う。
大川翔子さん演じる作曲家の実の娘。
大川さんってこんなに細かったんだとなで肩を見て、
改めて認識(笑)
とても皮肉の物言いする女性を好演。

川村紗也さん演じる作曲家の内縁の妻の娘。
川村さんのめがね娘でドジ属性の女の子にときめきました。

細野今日子さん演じる作曲家の昔の恋人の娘。
秘書であるので、その淑やかな美しい女性を演じていました。
相変わらずの美しさです。眩しい(笑)


物語は、作曲家が残した娘への曲を巡る、
3人の娘の話です。

それぞれの作曲家の父への想いが錯綜するが、
死人同様に彼女達も全てを語る訳でない。
そこは人の秘めた想いがある。

ただ一つ。

亡き者への愛しさだけは語らずとも共感する。
きっとコンビニが救いの神だ(笑)

シリアスで通すと思ったら、
甘栗にAmazonとローソンのネタに笑った。

いつも人を愛す簡単な気持ちを思い出させてくれる劇団です。

飛ぶ教室

飛ぶ教室

演劇集団キャラメルボックス

あうるすぽっと(東京都)

2011/10/13 (木) ~ 2011/10/23 (日)公演終了

満足度★★★

ひさしぶりの石原さん
この世界名作劇場も3回目。
今回は家族や学生の人向けなのかなと。
原作の飛ぶ教室が、そういう層をターゲットとしているからかな、
個人的には、マルチンには感情移入は出来ずに、
ただ、彼らの抗争を冷めた目で見てしまった(^_^;
昔のゲルマン民族は戦闘種族だったのですねと(笑)

よかったのは、正義先生と禁煙さんの友情ですね。
これは本当に良かった。
客演の大家さんが演じた正義先生の押さえた演技が、
全体を締めていました。

そして久しぶりの石原さん演じる禁煙さんの、
ちょっと自暴気味な感じが出ていて、
とてもいい演技でした。

この二人が、大人の雰囲気を出していて、
全体を支えていたのかなと。

降りそそぐ百万粒の雨さえも

降りそそぐ百万粒の雨さえも

演劇集団キャラメルボックス

サンシャイン劇場(東京都)

2011/08/06 (土) ~ 2011/08/28 (日)公演終了

満足度★★★★

駆け抜けた
立川迅助シリーズのラスト。
3部作だったのですね。
新撰組としては珍しい江戸に戻ってからの活躍を描くのも楽しみにしていました。
とはいえ、勢いのなくなり下り坂を落ちていく新撰組は散る桜を見るようで、
悲しいものがありました。

労咳に倒れた沖田がどうやって戦うのかと思いましたが、
迅助と共に想いで戦っていくシーンには感動しました。

シリーズを通して、
敵対するものが分かり合うというのも、
とても感ずるところもありましたね。

生まれて初めての千秋楽公演でしたが、
出演者全員の一言挨拶、小多田さんの誕生日、阿部さんの三本締めと盛り沢山。
初めての千秋楽観劇だが、これなら皆観たがる訳ですね。
元気をもらった公演でした!

現代能楽集Ⅵ 『奇ッ怪 其ノ弐』

現代能楽集Ⅵ 『奇ッ怪 其ノ弐』

世田谷パブリックシアター

世田谷パブリックシアター(東京都)

2011/08/19 (金) ~ 2011/09/01 (木)公演終了

満足度★★★★★

不思議な世界へ
前川さんの演出の完成形を見たような気がする。
散歩する侵略者も素晴らしい演出だったが、さらに一歩先をいった気がする。
最後のシーンは、まさに奇ッ怪!
主人公と共に迷い込んだ世界に取り残された気分になった。

仲村トオルさんは、チーム・バチスタ3のドラマと平行しての仕事だったのか、
ちょっとあちらのキャラが入っていましたね(^_^;

火山ガスで全滅した集落に里帰りした主人公。
実家の神社には仲村トオル演じる謎の男が住んでる。
それを胡散臭い不動産屋と調査に来た学者さん。
4人が奇っ怪な話を紡いでいく。
そんな話。
話の最中に、生者でない死者を思わせる仮面の男女達が、
何かの動作をしながら舞台上を横切る。

物語は、集落最後の日を語る段になると、
今まで死者だったと思われる人々の動きが分かる仕掛け。
生きていた人の動きが、あの仮面の人々と一緒なのだ。
ガスで一瞬で死んだ人たち。
自分たちが死んだことに気がついていないか、
そこにあった営みを繰り返し行っていたのだ。

ここに震災と被るが、
何か得体の知れない怖さと悲しさを感じた。
しかも最初から登場していた、
不動産屋と調査に来た学者も死んでいたとはねΣ(´∀`;)

笑いありの途中から、ラストのしっとりと終わる様は、
まさに能というか、上手い落語の話を聞いているような、
凄いものをみたという感じをうけた。

さよなら また逢う日まで

さよなら また逢う日まで

ブラジル

紀伊國屋ホール(東京都)

2011/08/14 (日) ~ 2011/08/16 (火)公演終了

満足度★★★★

初めての劇団
オープニングは、メンバーが強盗に出撃するシーンでした。
音楽に合わせて計画書をばらまいたりと、
とてもスタイリッシュ。

ブラジルは初めて見る劇団です。
出演者で知っているのは、MCRの櫻井さんくらいですね。
でも、素行の悪役やる桜井さんは格好いいくらいはまりますね。

最後のどんでん返しというか、
結末まで読めませんでした。
まさに衝撃のラスト。

4年間ひとり罪を被った人間がリベンジをというストーリーに騙されていました。
まさかもう一人リベンジを誓っている人がいるとは。
次々とメンバーが殺されていく様は、恐怖を感じました。
誰が裏切り者なんだとね。

最後の銃撃戦も手に汗握りましたね。
まさか舞台上で銃撃戦があるとは。

ラストシーンでやっとタイトルの意味が分かる。

こんな結末誰が予想できるのか。

初紀伊國屋ホールということでしたが、
セットの天井が高くて、とてもよい雰囲気を出していました。
今後の公演も見たいと思わせる公演でした。

トロンプ・ルイユ

トロンプ・ルイユ

パラドックス定数

劇場HOPE(東京都)

2011/08/09 (火) ~ 2011/08/14 (日)公演終了

満足度★★★★★

人馬一体
以前のチラシを見たときは、
タイトルから騙し絵だから、
詐欺師の話かなと予想していたのですが、
見事に裏切られました。
馬の話でした。
でもね。
馬だから競馬のシーンとかないんだろうと思っていたら、
まさかね。
人が馬を演じるとは。(演劇なので当たり前ですが(^_^;)

パラドックス定数にしては珍しく暗転があり、
音楽もかかるという珍しい公演でした。
でも、この演目にはそれがふさわしい。

5頭の馬と5人の人間の物語。
5頭と5人が微妙にリンクしている。
性格が同じだったりと、
馬社会のシーンでは馬同士が会話するし、
人間のシーンではもちろん人間が会話する。
馬と人間が混在するシーンでは、
一方通行の会話だ。
それは馬と人間だからね。
でも、シーンが進んで一瞬だけ、
馬と人間が通じる合う瞬間がある。
でも通じていないかもしれない。
お互いの思いが同じだけで、同じ言語はしゃべっていないのだから。

人馬一体。
人に人生があるように馬にも人生(馬生)がある。

ただ走ることに全てをかける姿に人は感動して、
自分の人生を投影する。
そこには、純粋にゴールに向かう崇高な姿をした、
馬がいるから。

人間は迷い、立ち止まることがあるから、
走り続ける彼らに惹かれるのだろう。

パラドックス定数の新しい進化を見た気がする。
演劇ってやつは可能性が無限大ですね。

『ナツヤスミ語辞典』

『ナツヤスミ語辞典』

演劇集団キャラメルボックス

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2011/08/03 (水) ~ 2011/08/11 (木)公演終了

満足度★★★★

お祭り
キャラメルボックスと柿喰う客のコラボ公演。
最初のシーンからドン引きました(笑)
笑いがついていけないというかなんというか(^_^;
でも、終演後には思うのは、あのビートが耳から離れないのです。

低音で響くビートは、あの中学生達の活動的な生の鼓動であり、
生きている者の鼓動だったんですよね。
その代わりにウラシマ達のシーンでは、ビートがない無音の世界でしたから。

ウラシマは、鍛治本さんが演じていましたが、
個人的には石原さんで観たかったなぁと思いますが、
キャラメルでは観られることの少ないいい役でした。

コロさんは、ProjectBUNNGAKUという演劇で、
初めて見てなんというイケメンな女優さんだと思っていましたが、
柿喰う客の俳優さんだったのですね。
今後注目かなと。

森下さん演じる駅長が場面を締めていましたね。
やはりベテランはこう使うべきというか、
空気を持っていますね。

この作品はこれで初めて観たのですが、
キャラメルボックス版も観たくなりました。

パール食堂のマリア

パール食堂のマリア

青☆組

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2011/07/29 (金) ~ 2011/08/07 (日)公演終了

満足度★★★★

やっと見られました
以前、ProjectBUNNGAKUという演劇にて、
青☆組を観てから気になっていました。
やっと今回鑑賞できることになり、三鷹まで足を運びました。

舞台のセットがとてもきれいで、
横浜の港町を表現していたと思います。

ある家族を中心とした群像劇でした。
愛することをあきらめた長女と
愛することをはじめた次女。
それを温かく見守る父親。

家族の暖かいぬくもりの感じる物語でした。

印象に残っているのは、
クレモンティーヌですね。
オカマキャラが凄い様になっていました。
でも、彼もまた愛することをあきらめた人であり、
悲しい人でありました。

登場人物達が最後に新しい一歩を進めていく、
再生の物語だと思い、
観ていて肩をポンと叩かれ元気だそうよと言われたようなそんな感じです。

劇中に彷徨っていたマリアが町を去るのが、
母親からの自立、また過去への決別を表しているのかなと思うと、
マリアのことが悲しかったです。

すれ違う事も過ちを犯す事もある。
でも赦し繋がる事で救われる事もある。
帰る場所、家族という近くにあって遠くに感じるものの
大切さを改めて認識させられました。

アフタートークも参加して大満足でした。

荒野に立つ

荒野に立つ

阿佐ヶ谷スパイダース

シアタートラム(東京都)

2011/07/14 (木) ~ 2011/07/31 (日)公演終了

満足度★★★

初めて
初めての阿佐ヶ谷スパイダース公演を観劇。
観に行こうと思い立ったのは、
劇団競泳水着の川村紗也さんが出演するから。

ネタバレBOX

舞台は荒涼とした荒野。
枯れ木が一本立っているだけ。
冒頭に出演者が全員椅子を持って座る。
そこで、背景のスクリーンに物語の主題が表示される。

夢か現か幻か

夢のような現実のような世界を行ったり来たりするヒロイン。

ヒロインの現実が荒野のようにすさんでいるのが垣間見られる。
だが、迷い込んだまたは逃げ込んだ先も荒野だった。
心象風景もまたすさんでいる。

だが彼女を取り巻く人々は彼女が思っていた以上に、
彼女を心配して優しさを愛を与えていた。

しかし、水をすぐに捌けさせてしまう荒野のように
彼女の心には届かない。

でも、荒野に立たない場所は、
家族・友人達が座って待っている所だった。

人生は荒野のように。
でも、荒野に立つことが疲れたならば、
振り返るとオアシスのような場所がきっとある。

なにか他人の夢というか長塚圭史さんの夢に迷い込んだような
不思議な演劇でした。

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