伝記
サンプル
こまばアゴラ劇場(東京都)
2009/01/15 (木) ~ 2009/01/25 (日)公演終了
満足度★★★★
死人に口なし。
サンプルでエンタテイメントしてみました、ということだろう。
コメディ志向が、いつもよりも強い印象である。
金子岳憲がいるから、という理由だけではない。たぶん。
物語/歴史を語ることがコメディであるということと同時に、
当事者である限りシリアスでしかないという皮肉である。
伝記を作られる死人に口はない。
なるほど、サンプルらしい切り口だ。
レドモン
カムヰヤッセン
王子小劇場(東京都)
2009/01/16 (金) ~ 2009/01/19 (月)公演終了
満足度★★★★
日常にSFを代入。
小気味のいいSFに出会えた。
いかにSFにリアリティを持たせられるかは、様々手段はあると思う。
ある種のメッセージを伝えるために、現実との親和性は必要だ。
『レドモン』は、うまく日常を持ち込むことで、問題を処理している。
先に挙げたような成果は、役者の力によるところも大きい。
板倉チヒロが場を握る役であったことは、この上なく正解だろう。
コミカルにシリアスにその場を支配し、物語を支えた。
愛せる人物は、やはり必要であるな、と改めて実感。
ただ、余韻なく語りきっている物語(または演技)はやりすぎではないか。
安易なカタルシスを求めるべきではないと思う。
エンタメだからそれでいーんだというのであれば、頷くしかないけど。
泉鏡花の夜叉ケ池
花組芝居
青山円形劇場(東京都)
2009/01/12 (月) ~ 2009/01/22 (木)公演終了
満足度★★★★
夜叉ヶ池、探訪す。
武蔵屋観劇。
花組芝居の十八番の一つであろう、『夜叉ヶ池』。
初めてその夜叉ヶ池に踏み入れることとなった。
鏡花の幽玄な雰囲気を花組流の解釈に乗せてしまえば、
ホラーもポップも自由自在のファンタジーになる。
原作のカラーを濃くするとこのような感じになるのかもしれない。
遊び心満載なれど、原作の肝は押さえている。
(でも、遊び心が多すぎるのも玉に瑕だったりする)
それにしても、円形劇場の掌握の仕方が見事。
円形劇場に、間違いなく夜叉ヶ池が在ったのだ。
proof
コロブチカ
王子小劇場(東京都)
2008/12/25 (木) ~ 2008/12/29 (月)公演終了
満足度★★★★
上手く甘える。
コロブチカ旗揚げが『proof』と聞いたとき、あまりよい印象を持たなかった。
おやつの時間堂『proof』のイメージが未だに強い中で、
コロがあえて『proof』を演る意味をあまり見出すことができなかったのだ。
しかし、今はそうは思わない。
戯曲の懐で上手く甘えられているな、というのが第一印象だ。
甘えというのは、別に役者や演出が仕事をしていないという意味ではない。
戯曲を知らなければ、上手い甘え方だってできない。
ただ、強度のある戯曲は、それだけで非を打つのが難しいから、
どうしても、細かな部分を役者や演出の問題として観てしまう。
まあ、それでも、なんとなく観られてしまうことは、別に不幸ではない。
役者と演出にとって、幸せかどうかは分からないけど。
(その点、翻訳の谷賢一の仕事はなかなかに素晴らしい……)
誰が『proof』をつまらなくやれるのか。誰が完璧な『proof』をやれるのか。
この二つは同じくらい難しいのでは、とふと思う。
少なくとも、コロブチカにとって安全な船出ができたことは、喜ばしい。
次回があることを期待します。
あれから
キューブ
世田谷パブリックシアター(東京都)
2008/12/13 (土) ~ 2008/12/28 (日)公演終了
満足度★★★★★
あの頃の未来に僕らは立つことになる。
偶然なのか、夫婦を主題に扱った作品が12月は多かった。
PARCOプロデュース『Good Night Sleep Tight』、ブラジル『軋み』。
後者は“夫婦は他人”という点に主眼を置いていたように思うし、
前者も三谷幸喜がインタビューで語っていたと記憶している。
今作も、そういった意味では“夫婦は他人”という描き方をしている。
もうひとつ主題があるとすれば、まさに“あれから”ということになる。
私からすれば、壮年の夫婦は“これから”なのであって実感も薄い。
でも、「夜空ノムコウ」の歌詞の実感くらいは少しはあるわけで。
派手な演出など何もない。
が、KERAの“自称・レイト・ワーク”に相応しい普遍的な作品であろう。
軋み
ブラジル
新宿シアタートップス(東京都)
2008/12/10 (水) ~ 2008/12/14 (日)公演終了
満足度★★★★★
真剣から零れる。
なるほど、苦笑系喜劇とはよく言ったもの。
正面切って笑うには、状況があまりに状況だ。こっそりくすくすやりたい。
人物たちもへらへらしてはいるが、真剣さからこぼれるへらへらだ。
それはどこか悲劇的である。
最後がどうにも綺麗すぎたが、ごくごく真っ当な喜劇の終わりであった。
これほど過不足無く人物を扱えている芝居はなかなか見られない。
キャラクタ、配置、台詞に至るまで行き届いている。
THEATER/TOPSという空間に負けてきた団体をいくつか見てきたが、
確かでユニークな会話で空間をしっかり満たしていた。
不満無く日曜の夜を終えられるのは、至福なことである。
キミは癌
ろりえ
早稲田大学学生会館(東京都)
2008/12/11 (木) ~ 2008/12/15 (月)公演終了
満足度★★
ギミックを取り払ったら…。
目を背けるようなギミックがそこかしこにばらまかれているし、
思わず笑いたくなるようなギミックも用意周到である。
問題は、それを取り払った時、物語に退屈しか存在しないということだ。
そういった意味で、前回と大きく印象は変わらない。
天才・奥山雄太のやろうとしていることは、間違いなく演劇だ。
ただ、“ハチャメチャ”を褒め言葉として使うほど、パワーが無いと思う。
ギミックでビビらせること、音がでかいことがパワーじゃない。
なんというか、踏ん張る時に踏ん張れていないのが、ちょっときつい。
「女性陣、取り揃えてござい!」な印象に留まってしまっている。
プリンで乾杯
劇団競泳水着
王子小劇場(東京都)
2008/12/10 (水) ~ 2008/12/16 (火)公演終了
満足度★★★★
約束されたドラマ。
これが観られると思って観に行った時に裏切られぬ感じは流石。
トレンディードラマを舞台に置いた時の面白さは、間違えがない。
それぞれの恋愛関係を見せていくやり方は、いつも通り。
落とすべき落としどころをそれぞれに用意されてるとは言え、楽しめる。
それはやはりテレビとは違った感覚の距離感がそうさせるのだろう。
また、笑いの部分のスパイスが今回の特徴であったように思う。
永山智啓・辻沢綾香のコンビネーションは絶妙。できすぎてるくらい。
川村紗也・大川翔子を軸にまた素敵なドラマを見せてほしいと思う。
が、トレンディードラマは、続けるか未定とのこと。
でも、トレンディードラマをやるんだったら、きっと観に行く。
今日も、ふつう。
アロッタファジャイナ
新宿シアターモリエール(東京都)
2008/12/10 (水) ~ 2008/12/14 (日)公演終了
満足度★★★
実に「ふつう」の気持ちで。
物語の枠を作る(「起」の部分)のに1時間ほど。
ようやく物語が立ち上がったかと思ったら、早くも真相に気づいてしまう。
「承」の段階で「結」を予測させてしまうと、「転」は長い説明になってしまう。
ミステリというのはそこが問題であって、問題を解決した途端に引力を失う。
他にも引き寄せる要素が欲しかったが、いまいち感じにくかった。
恐らくあえてステロタイプな人物や設定を使っているのだろうけれど、
おかげで「ドラマ」の枠に収まってしまい、怖さを感じることはない。
そんな中でも、記憶に残る役者も少なくない。
中心を担う女子高生の中でも、安川結花・阪田瑞穂が際だった。
安川は、だんだん立ち上がってくるキャラクタが凄みがある。
阪田は、ナチュラルさが、逆にリアリティを立ち上げることに成功している。
そして、菅野貴夫。この人がいなければ、舞台が落ち着かなかったろう。
初めてのアロッタファジャイナだったので、図りかねる部分はある。
でもまあ。
結論から言うと、至って「ふつう」の気持ちで劇場を出たのでありました。
飴をあげる
こゆび侍
ギャラリーLE DECO(東京都)
2008/12/09 (火) ~ 2008/12/14 (日)公演終了
満足度★
退屈なまでにメルヘン。
「うつくしい」「いとおしい」がこゆび侍の好きなものだという。
こゆび侍の考える「うつくしい」「いとおしい」をいつもと違う形で。
それが今回の公演のコンセプトだったのではないか、と推測する。
残念ながら、その試みは上手くいってはいないようだ。
「とりあえずやってみよう」という心意気はいくらでも買う用意はあるが、
自分が実験台にされる用意までは、流石にしていなかった。
ワークショップの発表会としては、面白みもあろう。
だが、オムニバス公演の見せ方としては拙さだけが残った。
今回の企画公演で、こゆび侍の本領発揮というわけではないので、
次回の本公演も併せてご覧になっていただきたい。
と老婆心で記しておく。
冒険王
青年団
こまばアゴラ劇場(東京都)
2008/11/15 (土) ~ 2008/12/08 (月)公演終了
満足度★★★★★
明るさへの羨望。
『眠れない夜なんてない』の老人たちの帰れない悲壮感が2000年代的で、
『冒険王』の若者たちのどこにも行かない妙な勇壮感が1980年代的で、
なんて割り切れる問題じゃないのは分かっている。
あの若者たちが過去の人たちであるようにどうしても見えてしまう。
妙なポジティブさが安宿の中を支配しているのは、羨ましい。
羨ましいということは、今、日本にいて彼らが眩しく見えるからなのだろうか。
彼らはどう見ても怠惰で、褒められた存在なんかじゃない。
でも自分が、そこに“在る”可能性を、どうしても見出せない。
だから羨ましいのか?
日本人のバックパッカーは減っているという。
この芝居に過去を感じる一つの理由として挙げてもいいかもしれない。
それが、日本人の進化なのか退化なのか、判断には困るけど。
なんてことを考えた。
でも、明るいことは羨ましい。その気持ちに嘘はないんである。
俳優陣も充実。実際に若い人たちより随分若い印象が逞しい。
アキストゼネコ
チェリーブロッサムハイスクール
ウエストエンドスタジオ(東京都)
2008/12/04 (木) ~ 2008/12/09 (火)公演終了
満足度★★★★★
世界の強度に痺れろ。
異質な世界の強度と話の展開の巧妙さが、この劇団の魅力である。
人物の気持ちの描き方の不自然さも消え、さらに強度を増した感あり。
人間が描けてくると、しっかり固めた多くの設定が更に生きる。
前回はその部分にケチをつけさせていただいたが、今回ばかりは脱帽。
物語の大きなバックボーンがありながら、皆までは説明していない。
賛否両論あろうが、必要最小限の情報から想像させるのも方法はアリだ。
少なくとも、1から10まで説明して楽しくなるタイプの芝居ではないだろう。
不思議を楽しめないのは、はっきり言って不幸だ。
場面というか会話がパタパタと変わっていく感じは最初は違和感があった。
が、この異質な世界観には妙に合っていたような気がする。
この部分は灰汁なのか、旨味なのか……少なくとも今回は旨かった。
また、役者がテキストに振り回されていないのも好感。
作家に対する理解が深い演出と役者がいることは幸せなことだ。
設定に溺れて死にたいような方は、ぜひ。
弟の戦争
桜美林大学パフォーミングアーツプログラム<OPAP>
PRUNUS HALL(桜美林大学内)(神奈川県)
2008/11/29 (土) ~ 2008/12/07 (日)公演終了
満足度★★★★★
若獅子たちのリング。
若さを武器に役者がまさに戦っている、客席を四方で囲む舞台。
そこでは、躍動感というには有り余るくらいの爆発が何度も起きる。
その武器を生かした、演出・音響・照明・美術。
OPAP最高の舞台が生まれたんではないか、と真面目に思っている。
戦争をリアルに立ち上げる一つの方法を戯曲は提示しているわけだが、
作り手は、それをさらにリアルに立ち上げるための努力を怠っていない。
幾つかのギミックも、決して嘘にはなっていない。
恐らく、主役級が活躍すれば成功は約束された舞台だ。
しかしながら、それを支える面々も、抜かりはなかったように見える。
それも満足度を上げる要素となった。
確かに隙はある。それを埋めて余りある戦う姿勢。感激、の一言である。
七人は僕の恋人
大人計画
本多劇場(東京都)
2008/11/08 (土) ~ 2008/12/07 (日)公演終了
満足度★★★★
ごちそうさま。
人生初の生クドカン脚本。期待が高まらない方がおかしいわけで。
なるほど徹底的なコント。悪ふざけしかない。
それぞれのタイトルは映画モチーフであるけれど、まあ、原作には関係なし。
大いに笑えたし満足だと言って差し支えはあるまい。
でもまあ、130分ということで一本一本のくどさも全開なわけで。
好きなタイプだと問題ないけれど、嫌いなタイプだとしんどいという感じで。
まあ、贅沢な悩みなんであるけど。
そうそう、もうひとつ悩みといえば、客席の沸点が異常に低くて、
笑ってない自分がちょっと辛くなっちまうことでしょうか……。
死んだ赤鬼/戦争に行って来た(反転)
MU
ギャラリーLE DECO(東京都)
2008/11/25 (火) ~ 2008/11/30 (日)公演終了
満足度★★★★
わかってる短篇集。
小説は短篇集が割と好みで、割と短気な性格がでているんだと思う。
でも、演劇のオムニバスはだいたい小気味の良さがなくて嫌なんである。
その点MUは、短篇の作り方がこなれていながら、鋭さも感じさせる。
意地悪な感じだけど、意外と厭世観のようなものもないし、カラッとしている。
ハセガワアユムはそういう筋肉で戯曲を書いているんだなぁという感じ。
私は、「戦争に行って来た(反転)」の方が割と好み。
役者も揃いも揃ったりで言うことなし。
戯曲への理解度が高い役者がいることは幸せなことである。
特に気になったのは二人。
池田ヒロユキは、本当に不器用な達者さがたまらなく愛おしい。
岡田あがさは、抱えてる系の女をやらせたら迫るものがある。
また、作風もルデコの雰囲気に合っていたようである。
逆に言えば、劇場でやるには難しいような気もしてしまう。なーんでか。
そして付け加えるならば、小説ではこの短篇集はつまらないだろうな、と。
人が動くことでようやく生きるお話である。
アイツなら哀しくないわ
バナナ学園純情乙女組
ART THEATER かもめ座(東京都)
2008/11/26 (水) ~ 2008/12/02 (火)公演終了
満足度★★★
役者が揃った、のか?
正直、もう観ないと決意していたのだけれど、諸々あって久々にバナナ観劇。
過去に観た2作はあらすじが一番面白い、という状況が原因だ。
役者を観るにはあまりに猥雑すぎるし、そもそものクオリティも限りなく低く、
中屋敷戯曲のアクばかり気になり、事故のような笑いが唯一の救いだった。
だから、正直、すっと観られてしまったことに戸惑いを覚えているのである。
劇団は観客を育てるというが、私はバナナに調教されてしまったのだろうか。
いや、断じて認めない。認めはしないのだ、そんなこと。
一つだけ言っておくと、役者の精度がぐんとアップしている。
今回は演出ではなく、作家がキャスティングをしたという話を聞いたので、
当て書きした効果があったということもあるのだろう。
役者の青田買いをするなら、バナナ学園は非常に面白いかも知れない。
そして、劇団員の仕事は特になにも言うことはない。
旗揚げからわずか半年。実に立派な振る舞いが頼もしい。
でも、この劇団は絶対認めたくないんだよな。なんとなく。
1% Monster
負味
王子小劇場(東京都)
2008/11/28 (金) ~ 2008/11/30 (日)公演終了
満足度★★★
もったいないサスペンス。
隅から隅までもったいないお化けに満ち満ちている。
設定の強度はあるし、サスペンスをやりきる志に嘘はない。
ただ、それを支えるなにもかもが惜しいのである。
意外さを押し出そうとするあまり、無理が出ている部分がある。
特にラストは、フェアだし伏線も拾ってるしと、一見丁寧なようで、
カタルシスの欠片もないくらい唐突だ。
このラストを作るために、いろいろ腐心している部分があるに違いない。
ただ、観客のミスリードの誘い方が強引というか、いささか作業的である。
もっと、しっかり物語に気をつかってもいいじゃん、と思う。
更に問題なのは、多くの役者の演技がノイズでしかないことだ。
キャラクタ作りの浅さであるとか、そもそも演技が稚拙であるとか、
サスペンスとして強度を保たせるために邪魔でしかない。残念。
方々から勧められていただけに、正直、肩すかしであった。
でも、設定は本当に面白かったので、次回も期待。
鳥のまなざし
ポかリン記憶舎
シアタートラム(東京都)
2008/11/27 (木) ~ 2008/11/30 (日)公演終了
なにも覚えていない。
遅れて劇場に入り、美術に目を見張る。いつものトラムの光景ではない。
普段椅子のある位置に、大きな舞台がある。
たぶん、桟敷で見上げるように見ると面白いんだろうな、と上の席に座る。
それこそ、妙な美術を見下ろす形は、鳥のまなざしだ。
しかし、そこまでだった。
テキストが思い出せない。なにが起こったのか説明もできない。
音や動きは心地よく伝わってくる。が、音や動きが意味として伝わらない。
意味のあるはずの言葉が、意味を持たないなにかとして伝わってくる。
だから、この芝居において何か書けることはない。
俯瞰した風景は、なにひとつとして記憶に残らなかったのだ。
※遅れて入場しましたので、評価は控えさせていただきます。
友達
世田谷パブリックシアター
シアタートラム(東京都)
2008/11/11 (火) ~ 2008/11/24 (月)公演終了
満足度★★★
退屈な友達。
思い出せば面白い場面は多かったようだ。が、空気がいかにも退屈だった。
その原因を探り探り、この記事を書いている。なんだったんだ、あの退屈は。
安部公房のブラックなユーモアが炸裂した作品なのに笑えない。
私はよい読者ではないが、笑えない場面での笑いが魅力だと思っている。
個性豊かな俳優陣のパフォーマンスが、逆にそれを邪魔していたとか?
テキストの面白みがパフォーマンスによって阻害された、と。
一理あるかも知れない。
主人公の喜劇的な悲劇性も、その冗長さのために切迫感が足りない。
その冗長さの意図が見えないのは、チェルフィッチュにも言えることだ。
さらに今回は岡田利規らしい仕事のようにも見えない。
戯曲に真正面から向き合った結果、生真面目に向き合わざるを得なかった、
ということなのだろうか。
どうも、戯曲を信用しすぎているきらいがある。
来春もそういった機会があるので、どうなることか見守りたい。
怪人21面相
パラドックス定数
SPACE EDGE(東京都)
2008/11/21 (金) ~ 2008/11/24 (月)公演終了
満足度★★★★★
これが想像力というものだ。
野木萌葱、今回もまた随分と大きな風呂敷を広げてくれたものだ。
今回は、グリコ・森永事件の真犯人を見せてくれた。
会社役員。新聞記者。暴力団員。公安刑事。
真犯人たちには、事件に関わる事情があり、さらなる事象が連なる。
創作だって分かってる。分かってるんだけど、いつのまにか胸が躍っている。
風呂敷の大きさは、説得する自信の表れだ。そして、見事に成功している。
今回はまた、SPACE EDGEという空間が効果的だったと言える。
自然光で表情が見えない感じも、リアリティを増す効果があるというものだ。
『三億円事件』との絡みもあった模様。先月見逃したことが悔やまれる。