こまごめとなりの観てきた!クチコミ一覧

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チェーホフ短編集

チェーホフ短編集

華のん企画

あうるすぽっと(東京都)

2008/01/26 (土) ~ 2008/02/03 (日)公演終了

満足度★★★★★

笑ってばかりもいられない。
笑劇とは言っても、そこはチェーホフ。笑ってばかりもいられない。
理不尽な人物、不満足な人物……それが何故か笑えてくるし、物悲しい。
上手い具合にオムニバスに仕立てており、一つの物語のように見えた。
個人的には「煙草の害悪について」が秀逸。

これからシェイクスピアと同じようにチェーホフもシリーズ化される模様。
来年の楽しみが早くもできてしまった。

ネタバレBOX

家族という枠組みでチェーホフを魅せたのは凄く面白い試みだった。
おそらく戯曲の面白みだとは思うのだけど、それを支える演出や役者も見事。

劇中で喋っている客、飴の包み紙かなにかをガサガサさせる客がちらほら。
年長の方ほどマナーが悪いのはどうしてなんでしょうか……。
少年B♥KR-14【柴幸男】

少年B♥KR-14【柴幸男】

キレなかった14才♥りたーんず

こまばアゴラ劇場(東京都)

2009/04/19 (日) ~ 2009/05/06 (水)公演終了

満足度★★★★★

思い出したくもないこと。
いつの間にか柴作品がカラダに馴染むようになった。
前は「自らに罰ゲームを科す演出をする人」という印象だったんだけど。

「少年B」という実に控え目なタイトルなこの作品の観劇の最中に、
私は思い出したくもない思い出をどんどん思い出した。
作品を観ながら、どこか14歳の自分を彷徨っているような気分。
実に恥ずかしい心持ちだった。

だんだん、自分にオーバーラップしていく感覚が、むず痒い。
その作品の素直さに胸を打たれた。控え目に言って。
あの頃。私もたぶん少年Bだったのです。

ネタバレBOX

合唱が素晴らしい。ベタなんだけど。素晴らしい。
ムネモパーク

ムネモパーク

NPO法人アートネットワーク・ジャパン(ANJ)

にしすがも創造舎 【閉館】(東京都)

2008/03/14 (金) ~ 2008/03/17 (月)公演終了

満足度★★★★★

記憶と統計とインド映画と。
鉄道模型のレイアウトに広がる記憶の数々。
そこで遊び語る老人たちが、記憶から現実を立ち上げる。
と言ってしまうと、ただただ感傷的な感じがするのだけど、それだけじゃない。

記憶からリンクして、現在のスイスの状況が見えてくる。
そこには数々のくすぐりがあり……そう言えば老人方は俳優じゃないのだ。
それこそ”脱力ドキュメンタリー”という言葉がしっくりくる。

なんだか考えれば考えるほど、虚構と現実の境目が難しくなってくる。
終演後に、レイアウトを見学していたら、なおさらそのように感じられた。

新しいパフォーマンスのスタイルとして、目から鱗の100%刺激的な体験。
また、日本で観られることを希望する。

ネタバレBOX

主軸というか目的は、インド映画の撮影である。
インド映画ってアルプスを舞台にしてるんかいっ、って酷く愉快な話だ。

「模型は過去からしか生まれない」
といったニュアンスの台詞に、このパフォーマンスの重要な意味が見えた。
怪人21面相

怪人21面相

パラドックス定数

SPACE EDGE(東京都)

2008/11/21 (金) ~ 2008/11/24 (月)公演終了

満足度★★★★★

これが想像力というものだ。
野木萌葱、今回もまた随分と大きな風呂敷を広げてくれたものだ。
今回は、グリコ・森永事件の真犯人を見せてくれた。

会社役員。新聞記者。暴力団員。公安刑事。
真犯人たちには、事件に関わる事情があり、さらなる事象が連なる。
創作だって分かってる。分かってるんだけど、いつのまにか胸が躍っている。
風呂敷の大きさは、説得する自信の表れだ。そして、見事に成功している。

今回はまた、SPACE EDGEという空間が効果的だったと言える。
自然光で表情が見えない感じも、リアリティを増す効果があるというものだ。

『三億円事件』との絡みもあった模様。先月見逃したことが悔やまれる。

神様とその他の変種

神様とその他の変種

ナイロン100℃

本多劇場(東京都)

2009/04/17 (金) ~ 2009/05/17 (日)公演終了

満足度★★★★★

他の追随を許さず。
KERA作品におなじみのオフビートな人物をそのままに、
ホラーやミステリーの要素を醸し出しつつ、物語は進行していく。
徐々にホラーやミステリーの空気は消え始め、
だんだんとオフビートな人物たちの内側が明らかになってくる。

それにしても、ここ数年のKERAの充実振りには目を見張る。
他の追随を許さぬ下さなさと真摯さをバシバシ感じさせる。

ネタバレBOX

これは、冒頭で“神様”が出てきて、「私は“神様”である」と宣言する
タイプの物語である。
まあ、“神様”の受け売りに過ぎないが実際にそのとおりだ。
物語はあくまで意味ありげに展開していく。

今回も主要人物として二組の夫婦が登場した。
当然、昨年12月のKERA MAP『あれから』を思い出さずにはいられない。
KERAの描く夫婦という“状況”は非常に興味深い。
近年の作品ではそういった“状況としての夫婦”が印象的な気がする。
だから、結婚したわけではあるまいね。あるまいよ。
NOT BAD HOLIDAY

NOT BAD HOLIDAY

劇団競泳水着

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2009/05/19 (火) ~ 2009/05/26 (火)公演終了

満足度★★★★★

トレンディードラマがとまらない。
正式劇団化第一弾。
トレンディードラマ路線の継続を謳ったようだが、果たして。

今回はいつも以上に脚本に魅せられたように思う。
現在と回想の織り交ぜ方など、構成も含めて巧さが滲む。
「これからどうなるんだろう」という純粋な気持ちで、
舞台を見つめていられることは、凄く大切で貴重な時間だ。
そこだけは、今後も変わらないだろう、と信じたい。

いつも以上に、ベタで愛せる力作だ。

ネタバレBOX

最初の段階で事故のシーン。
そこに至る経緯がだんだんと肉付けされていく。
そんなベタなストーリー展開が許せてしまうのも、肉付けの仕方が
丁寧でナチュラルだからだろう。
構成も含めて惹きつけ方の巧さが、今回は特に光っていた。
「ここで終わるのかよ」というラストシーンまで含めて、やられたな、と。

ラストシーンについて言えば、昔、人から聞いた言葉を思い出す。
「シンデレラは、結婚してからが物語だ」
そう、トレンディードラマはおわらないし、とまらないんである。

また、極端に記号化された職業が多いのに、血が通っている。
そのへんの温かみも、上野演出と俳優の成せる業か。
とにかく、劇団員を含め、俳優陣には好感しかない。
The Diver

The Diver

世田谷パブリックシアター

シアタートラム(東京都)

2008/09/26 (金) ~ 2008/10/13 (月)公演終了

満足度★★★★★

甦生。
源氏物語千年紀に合わせて制作したわけではないらしいが、
アニバーサリー・イヤーに相応しいオマージュ作品。
ただし、カウンター的な解釈を持ち込むところは、野田秀樹らしいところ。
「源氏物語」をこういった形で蘇ってくるとは、むむむむむ、である。

ご存じの通り、『THE BEE』と同じチームでの制作である。
期待通りの緊密で濃密な舞台が展開されることは、保証したい。
キャサリン・ハンター、水底にいるような声が印象的で◎。
そして、空気をびりっとしめる野田秀樹。ああ、怪優だ。

ネタバレBOX

「源氏物語」+能楽「海女」+現代日本で実際に起こった事件をモチーフに、
深層/真相に演者も観客もDiveしていく印象を受ける。
光源氏に否を突きつける野田秀樹の解釈は、結果として1000年後の世に、
「源氏物語」を生きた作品として立ち上げることに成功している。
これだけでも、充分に価値のある仕事だ。

現代能楽集、侮れない企画である。
檸檬/蜜柑

檸檬/蜜柑

弘前劇場

ザ・スズナリ(東京都)

2008/02/29 (金) ~ 2008/03/02 (日)公演終了

満足度★★★★★

思考する音。
リアルな言葉で話されているのに、物語は地上50センチくらいをふわりと浮く。
話がぷつんぷつんとあり、リンクするようなデッドリンクするような面白さ。
抽象的な話の交錯に、ビリヤードの球の音も交錯。何というか、思考する音だ。
長谷川孝治の世界観、ここにありき。

小笠原真理子が巧く舞台を回し、回りもそれに呼応するといった様相。
ここまで安心して観られる俳優陣を揃えたリージョナルシアターは、他に類を見ないでしょう。

ネタバレBOX

それにしても長谷川孝治は俳優に対して過酷な作演だなぁと思う。
毎回の難しい台詞回し(今回はインスリンの説明があった)や、
今回に至ってはビリヤードまでやれという……いやはや。
それに応える俳優陣も本当に凄い。
霊感少女ヒドミ

霊感少女ヒドミ

快快

こまばアゴラ劇場(東京都)

2008/02/07 (木) ~ 2008/02/09 (土)公演終了

満足度★★★★★

妥協なき逃げ足。
はじめての小指値にして、さいごの小指値。
名前を変えて活動はするみたいだけど、小指値の妥協なき逃げ足に感服。
名前を変えた所で彼らの価値が何ら変わらないんだろうな、
という確信にも似た妙にガッチリとした感触があった、そんな公演。

あえて言うならば、現代口語演劇系の一つの最先端であるのかな。
なんて、ジャンルで語ってもしょうかないか、と思わされる独特の世界観。
このポップさは、ゼロ年代の収穫と言っても過言ではないでしょうね。

ネタバレBOX

音楽のcapsuleは、実に小指値の色を出していると思う。
ゆらめき

ゆらめき

ペンギンプルペイルパイルズ

吉祥寺シアター(東京都)

2007/10/17 (水) ~ 2007/10/28 (日)公演終了

満足度★★★★★

珠玉のファミリー・アフェア
PPPPにしては、いつものような思考の飛躍(わかりにくい)が見えず、それを目で追える(わかりやすい)。
ドラマとして地に足がついているから、落ち着いてドキドキできる。こんなPPPPも悪くない。
それでいて、PPPPのいつもの雰囲気やメンバーの良さは相変わらず。
坂井真紀が好演。次もPPPPで観たいくらい。

ネタバレBOX

もう、鳩サブレ。夢に出てきそう。

鎌倉のくだりがすごく印象的。行けそうで行けない所。
それが夫婦のコミュニケーションとか倦怠感とか、いろいろ繋がってて。
見える謎のスリリングを楽しめた感がある。
キラリ☆ふじみで創る芝居『大恋愛』

キラリ☆ふじみで創る芝居『大恋愛』

富士見市民文化会館キラリ☆ふじみ

富士見市民文化会館キラリ☆ふじみ(埼玉県)

2008/02/07 (木) ~ 2008/02/11 (月)公演終了

満足度★★★★★

加速するリレー。
1幕・菅尾が滑走路を丹念に走り、
2幕・富永が甘くふわりと浮上させ、
3~5幕・多田がドライブ感で大気圏を突き抜けた。
3人の演出家の仕事が見えながら、本当に綺麗なリレーだった。

演出の仕事がこれだけ見える舞台というのは稀有な体験だ。
「ブレのない古典こそ遊ばれて然るべきなんだ」という好例であると思う。

この企画を提案してきた、キラリ☆ふじみのポテンシャルの高さには舌を巻く。
来年の『グランド・フィナーレ』が今から楽しみでしょうがない。

ネタバレBOX

【菅尾】
ロミオ役とジュリエット役が不在で、プロンプタが演ずるという設定は面白い。
ただ、主役の不在が、主役を決して大きく見せることはできなかったと思う。
もう少し不条理性が出ても良かったのではないだろうか。
丹念な印象はあれど、冒険心には欠けていたように感じる。
かなり期待していただけに、少しばかりがっかり。

【富永】
今度は逆に全員がロミオとジュリエットになってしまう。
バルコニーのシーンは絡みまくりで……もう圧巻というしかない。
皮肉にも「ロミジュリに憧れを抱く」という菅尾演出の目的を達成している。

【多田】
本当に最近の多田の試みを総動員といった様相。
尾崎豊。そして、SPEED。行われているシーンと微妙に意味が被ってくる。
“誤引用”とでもいってしまおうか、その全力で間違ってる感が凄い。

というわけで、多田版『グランド・フィナーレ』が観たいです。
人間フィルハーモニー

人間フィルハーモニー

マンションマンション

駅前劇場(東京都)

2007/12/21 (金) ~ 2007/12/26 (水)公演終了

満足度★★★★★

納得の力業。
役者陣のパワーによって不条理な世界観をゴリゴリ押しつけ納得させる。
その力業をできるだけの役者が揃っており、どっぷり浸ることができた。
福原作品は初だったが、強引さと小ネタが非常にツボだった。
全開のチョウソンハも観られて、もはや180%くらい満足の2時間弱。

今年の観劇納めを、満腹で終わることができてハッピーでした。

ネタバレBOX

桟敷席にある丸舞台、座頭市、京王線、雨女、プール。
もう、どれを取ったって力業。
あんなに水浸しになっている駅前劇場なんてみたことない!
春琴(しゅんきん)

春琴(しゅんきん)

世田谷パブリックシアター

世田谷パブリックシアター(東京都)

2008/02/21 (木) ~ 2008/03/05 (水)公演終了

満足度★★★★★

陰翳を礼賛す。
仄暗い舞台にゆらゆらと立ち上がる谷崎の世界に酔う。
時間の流れ方が非常にゆっくり濃密になっていく。

ごくごく真っ当に原作と向き合った結果、誠実な舞台になったという印象。
原作の言葉の強さと、仄暗い舞台に浮かぶイメージが見事に合致。
なるほど、陰翳とは確かに美しい。

ネタバレBOX

地の文を朗読するというスタイルは、結果としていい方向に流れたと思う。
原作と真っ正面から向き合っていると思えたのは、そのためである。

春琴、佐助。それぞれの役代わりが巧い。
特に春琴が人形から人間に代わる瞬間は正直気づかないほどだった。
モンキー・チョップ・ブルックナー!!

モンキー・チョップ・ブルックナー!!

アマヤドリ

シアタートラム(東京都)

2009/12/15 (火) ~ 2009/12/23 (水)公演終了

満足度★★★★★

久々のシンプル。
(※舞台芸術アワード用の登録。本文は後から書きます)

まどろみ

まどろみ

森崎事務所M&Oplays

あうるすぽっと(東京都)

2008/05/15 (木) ~ 2008/05/25 (日)公演終了

満足度★★★★★

砂が零れ落ちる、目は冴えまくる。
物語の手をしっかり握っていたはずなのに、いつの間にか迷子。
というか、掴んでいたと思ったものが、砂のようにさらさらと零れ落ちる。
どこが現実で、どこが虚構なのか、どこまでも曖昧になっていく。
そんな体験がしたいがために、倉持作品を見続けているようなものだ。

確かに、「まどろみ」というタイトルに似合わぬくらい、神経を張り詰めさせた。
そんな悪夢もたまにはいいじゃあないですか。

近藤公園が好演。……ああ、くだらない。でも、本当です。
あの嘘なのか本当なのか分からない感じは、彼の力も多分にあると思う。

ネタバレBOX

確かに、小田急線沿い、それも世田谷区内ならそんなことがあってもいいかも。
あと、新宿西口のエスカレーターの話とか。
そういうふうに、現実の地平から不思議に持っていくやり方は、やはり巧いなぁ。
これを例えば大阪版でやられて共感できるかは……まあ、確かに微妙なところ。
東京裁判

東京裁判

パラドックス定数

pit北/区域(東京都)

2007/11/29 (木) ~ 2007/12/02 (日)公演終了

満足度★★★★★

いつの間にか共闘していた。
この題材に対して、直球ど真ん中で投げ込めるだけの本格派がいたことに驚き。
完成度の高い会話劇は、客席と舞台との境界が曖昧になるものだ。
張りつめた空気の中、闘う男たちの様を観て、境界が曖昧になるどころか、共闘している気分にさえなれた。
これぞ、観劇の至福。そう言いきりたい。

これほど、上質な会話劇を書ける人を見逃していた自分の過去を呪う。
ポストオリザの一人として、野木さんはもっと取り上げられてよいと思うのだが……。

いやむしろわすれて草

いやむしろわすれて草

三条会

三条会アトリエ(千葉県)

2007/11/09 (金) ~ 2007/11/13 (火)公演終了

満足度★★★★★

どこまでもずるい男たち。
関美能留という人は、戯曲選びが本当に巧い。三条会のメソッドをぶつけて壊れない作品しか出てこない。ずるいなぁとも思う。その“ずるうま”が、前田司郎にも通用してしまうのだから脱帽である。
アトリエ公演という楽しさも効いている。俳優・関美能留……怪優であった。ずるい。

それにしても、本家『生きているものはいないのか』より、三条会『むしろ忘れて草』の方が、五反田団っぽく見えるのはどうしたことだ。

わが闇

わが闇

ナイロン100℃

本多劇場(東京都)

2007/12/08 (土) ~ 2007/12/30 (日)公演終了

満足度★★★★★

生きてるってご無体。
とても怖ろしい作品として観た。空気の張り詰め方がビリビリ。
弛緩と緊張がいい具合に展開され、3時間が短く感じる。
作者の筆の動きが見えるのはご愛敬と言ってしまえばそれまでか。
サーガとしては申し分のない傑作であると太鼓判を押したい。

照明に関して、今年一番の物を見ることができたと確信している。
何回もタッグを組んでいるからこそできる芸当なのだろう。

ネタバレBOX

ケラ版三人姉妹と言っても差し支えはないとは思う。
ただ、三人ともモスクワが何となく手に届く形で終わっているように感じる。
(モスクワは希望と言い換えたら陳腐だろうか……)
でも、なんとなくモスクワには行けないんだろうな、とも思う。
博多湾岸台風小僧

博多湾岸台風小僧

劇団桟敷童子

吉祥寺シアター(東京都)

2007/11/06 (火) ~ 2007/11/12 (月)公演終了

満足度★★★★★

台風小僧に連れ去られろ!
“叩ける演出家”という記事を読んだこともあり、美術には大いに期待していた。

何はともあれ、吉祥寺シアターが大変なことになっている。この劇場をここまで団体の色に染め抜けていると感じたのは初めて。それはもはや貪欲とすら言っていい。特にラスト……そこまでやるか! 吉祥寺に一度でも行ったことある人には特にお勧めしたい。
話も役者も、実に熱い。2時間後には博多弁がうつってしまうこと請け合いである。

「て」

「て」

ハイバイ

駅前劇場(東京都)

2008/06/18 (水) ~ 2008/06/23 (月)公演終了

満足度★★★★★

深化する悲喜劇。
キャラクタが相変わらず秀逸とか、アンチ成長物語でどこにも行かないとか、
悪人は誰一人いなかったとか、痴呆老婆のアサッテぶりが素敵とか。
いやはや、私演劇といって片付けてしまってよいものなのだろうか。

悲喜劇的状況は深みを増し、ポジもネガも同じ状況下でじゃぶじゃぶしている。
そのじゃぶじゃぶの状況に、泣くのは何か善人ぶってる気がするし、
笑うと何か性格悪い奴みたいに感じちゃうし、妙な雰囲気ではあった。

こんな爆弾を放っておいて次作はどうするの、岩井さん。と、余計な心配。

ネタバレBOX

アフタートークでの解説によりかなり現実度が高まった感じ。
本当に私演劇なのだな、というのを実感すると同時に、どこか信じがたい。

6~7割が事実という非常にドメスティックな作品であると同時に、
共感を得られるキャラクタはいるのは強みであるな、と強く感じる。

物語が2周する効果がぐぐっと出ている。
味方したい人物が2周目で変わっちゃうのは、さすが計算高い岩井作品。
でも、そっか、事実なんだなぁ(しみじみ)。

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