雨模様の観てきた!クチコミ一覧

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さらば八月の大地

さらば八月の大地

松竹

新橋演舞場(東京都)

2013/11/01 (金) ~ 2013/11/25 (月)公演終了

満足度★★★

長い
というか、35分の休憩を入れて3時間25分になるように如何にも合わせた感じでした。

ネタバレBOX

満州映画協会撮影所で働く日本人と当時満人と呼ばれていた中国人の話。特に、満人の助監督、重慶出身の脚本家、大阪出身の撮影助手の友情物語。

迫り来るソ連軍に怯え死を覚悟しながらも、根暗の照明係の男がしっかり者の記録係の女にプロポーズして結婚するなど可笑しくてほろっとさせられる感動的なシーンもありましたが、ラストの別れのシーンなどは運転手が急かせているにも拘わらず、当地を去る者と残る者が延々と別れを惜しんでいて緊迫感が感じられず、如何にも時間稼ぎをしているようでした。

新婚さんは日本人同士なのに撮影所に残りました。なぜみんなと一緒に逃げなかったのでしょうか。その後どうなったのでしょうか。青酸カリを飲んだのでしょうか。少なくとも残ることを決めた理由ぐらい語らせてほしかったです。

去った者たちはみんな無事に日本に着いたのでしょうか。そして、若い三人の友情はその後実を結ぶことがあったのでしょうか。

満人のための映画を標榜していた理事長の下での話ですから決定的な対立は無く、盛り上がりに欠けました。撮影所閉鎖後の方がよほど気になりました。

檀れいさんのマイクだけやたら大きく音を拾っていたようですが、綺麗な歌声はさすがでした。

ところで、撮影助手が満州に来てまる二年と言っていましたが、1944年の夏に来て1945年8月に逃げ帰るのですから一年ではないか、あれっ来たのはいつだっけかと頭を抱え込んでしまいました。
レ・ミゼラブル

レ・ミゼラブル

東宝

帝国劇場(東京都)

2013/11/04 (月) ~ 2013/11/27 (水)公演終了

満足度★★★★★

ジンと来た
新演出になってからの初観。ジャン・バルジャン/吉原光夫、ジャベール/川口竜也。

ネタバレBOX

新演出のせいなのか、それとも筋を追っかけることもなくなり、ツボを心得てきたせいなのか理由は分かりませんが、燭台を受け取るシーンでいきなりジンと来ました。

ラストもね。

以前のものについてもそんなに観たわけではありませんから、演出面でどう変わったのか詳しくは分かりませんが、地下の下水道シーンや、ジャベールが川に飛び込むシーンなどで映像が効果的に使われていたと思います。

記憶違いかもしれませんが、これまではバリケードの向こう側の悲惨な状況を見せつけられたという印象がありましたが、今回はありませんでした。また、「さあ、お行き。」など、曲に乗せずに普通にしゃべったり、一言発したりするシーンが今回は散見されました。私の中ではレミゼの台詞は全て曲に乗って歌うものという固定観念がありましたので、その点では残念でした。

それにしても、ジャン・バルジャンを二人で切り盛りする状態になっていたとは全く知りませんでした。キム・ジュンヒョンさんも4月や5月頃に日本と韓国でミュージカルを掛け持ちしていたんじゃそりゃ疲れますよね。その後、いつどうなって消えたのかは知りませんが、福井晶一さんと吉原光夫さんは本当にご苦労様でした。

マリウスの原田優一さんは大正時代のやさ男風、コゼットの青山郁代さんには可憐さが無く、二人は岸田國士作品に出てくる夫婦という感じで華がありませんでした。エポニーヌの綿引さやかさんは良かったです。エポニーヌは死んでも帽子をかぶっているんですね。

全体を通して感動しました。
プロペラとスカーフ

プロペラとスカーフ

アトリエ・センターフォワード

シアター風姿花伝(東京都)

2013/11/15 (金) ~ 2013/11/25 (月)公演終了

満足度★★★★

熱い
飛行機バカたちの思いが伝わって来ました。

ネタバレBOX

大正八年の飛行機開発会社の物語。

女性飛行士との会話の最中に親抱えの女学生から急に大人びた女性に変化したときの牛水里美さんが素敵でした。

活動家に設計図を渡したのが誰かを探るときの疑心暗鬼の様子も見応えありました。

空冷式エンジンの設計図を軍に渡す代わりに、会社はプロペラのないタービン式の飛行機開発に踏み切りました。川の流れの例えで理論的には分かったような気になりましたが、プロペラのない飛行機のイメージは見えてきませんでした。ジェット機という言葉はまだ無かったのでしょうが、ジェット機のことなのでしょうか。

いずれにせよ、開発者の少ない弱小会社で次から次へと開発できるのが少し都合良過ぎるかなとは思いました。
さめザわ

さめザわ

張ち切れパンダ

サンモールスタジオ(東京都)

2013/11/13 (水) ~ 2013/11/20 (水)公演終了

満足度★★★★

喜劇
王道を貫いていました。

ネタバレBOX

子供の頃から死んだ振りの得意な鮫沢が、みんなからまともに名前も覚えてもらえず、軽視されていることへの不満が募り、この日初めて日頃の鬱憤を爆発させて反逆した話。

存在感の薄い鮫沢ですから、彼にとっての爆発は行動するのではなく行動を止めることでした。そして、生きている鮫沢よりも死んだ鮫沢の方がみんなから注視されて存在感があるのが面白いところでした。

その都度その都度死んだ振りしてみんなを困らせた鮫沢でしたが、最後だけは本当に死んだのかと思いました。お父さんの作ってくれた大切な絵本が破けてしまったのですから、勢い余ってスーパーの奥さんが鮫沢を殺したとしても仕方ありません。

でも、喜劇。良質な喜劇は誰も死にません。何かというと死ぬので明るい話とは言えませんが、喜劇の王道ではありました。

絶対領域近くの前が猫の顔、後ろが猫のしっぽのキャピキャピバイトさんが可愛かったですね。
みんな、天気の話をする。

みんな、天気の話をする。

篭庭ベルベット

中野スタジオあくとれ(東京都)

2013/11/13 (水) ~ 2013/11/17 (日)公演終了

満足度★★★

少し安直
重苦しい人間関係がそんなに丸く収まるのでしょうかと思いました。

ネタバレBOX

思うように行かない色々なことを抱えた人たちの話。

認知症の母を持つ駅員、その駅員と見合い結婚したものの駅員にも母親にも相手にされない女、女を誘って上京したものの職に就けずヒモ生活を送る男、介護の仕事をしながら男を養っている女、家庭内別居でかつ会社からリストラされた男、家庭内別居で癌に罹った女、売れない歌手、当たらないと言われているラジオのお天気お姉さん等々。

意思の疎通を欠く人たち同士がラストで和解し合えたのは少し安易な感じがしました。

まだらなのかもしれませんが、認知症の女性が先行きの不安を語るのはクリア過ぎ。母親のたっての願いで無理に結婚した男が一回ライブに行ったくらいで妻と仲良くなれるのかって。ま、これはあるかもしれませんが。

家庭内別居の夫が妻の癌に気づかなかったことにそんなに反省するかって。ま、本当は愛していたんでしょうね。会社に行かなくていいから二人で話し合える時間が持てるからいいねって、おいおい医療費、生活費どうすんのって。

同棲中の女が妊娠して心を入れ替えたのかい。どんな仕事にでも就くって言うけど、そこがそう簡単でもないから大変なんですよ。今後女の収入も途絶えるし、赤ちゃんが育てられるどころか二人とも共倒れになってしまいそうで心配です。

そもそも、ラジオの天気予報なんて法律に従ってやってるんだから、あなたの天気予報だけが当たらないなんてことはありませんよ。
某日快晴ワレ告白セリ

某日快晴ワレ告白セリ

タッタタ探検組合

ザ・ポケット(東京都)

2013/11/13 (水) ~ 2013/11/17 (日)公演終了

満足度★★★★

しょっぱくて
甘酸っぱい切ない物語。個人個人は強烈な個性でしたが。

ネタバレBOX

『聖火の献立』では、社会問題に対するツッコミ方が足りず、ただドタバタして子供受けしていただけだったのでその後ご無沙汰していましたが、今回は社会を二分するような問題を取り上げているわけでもなく、強いて言えばいじめの問題があったかもしれませんが、切ない中学生生活を素直に笑いに徹して描いていたのでこちらも素直に楽しむことができました。

彼は今でも詩人なんでしょうか。新作も聞かせてほしかったです。憧れの人がその後交通事故で死んだというのは、ちょっと安直に殺しちゃったという感じでした。

ガオーガオーと吠える斎藤啓子さんの強烈なキャラクターは存在感がありました。
イタコ探偵工藤よしこの事件簿

イタコ探偵工藤よしこの事件簿

渡辺源四郎商店

こまばアゴラ劇場(東京都)

2013/11/15 (金) ~ 2013/11/17 (日)公演終了

満足度★★★★

何か言ったか
いえ何も

ネタバレBOX

本来ならイタコなんて一番嫌いなジャンルなのですが、青森という土地に土着した風なものなので一つの民族芸能プラスサスペンスという感じで観ました。

イタコの言葉は、交通事故に気をつけろ、ごめんね、ありがとうの三つだけだそうです。そこに事前調査やその場で仕入れた個人情報、故人情報を加味すれば出来上がりなんですね、勉強になりました。

さて、イタコ探偵のサスペンス物がお昼時に何話か再放送され、ワンパターンでベタなシーンが何度も繰り返される一方、テレビを見ているこちら側では母親死亡後も年金を受け続けている不正受給者および保険金詐欺を狙った少女失踪事件が解明されていくというストーリーで、一部メタフィクションになった面白い作りでした。

人間の心は弱いですから惑わされてしまいますが、イタコ探偵工藤よしこよりも、一般市民の工藤美子の、死者は語らないという言葉の方がその通りだし好きです。

数珠が切れ、ふすまが閉まらずにも動じないイタコ探偵でした。
ら抜きの殺意

ら抜きの殺意

劇団東京ドラマハウス

高田馬場ラビネスト(東京都)

2013/11/14 (木) ~ 2013/11/17 (日)公演終了

満足度★★★★

【音読みチーム】観劇
1997年初演の永井愛さんの作品。極力脚本に手を加えない姿勢が読み取れました。

ネタバレBOX

日系三世が男から女に変わったのではないかと思われますが、当時の携帯電話や当時のパソコンなど舞台装置や時代背景は1997年頃のままでした。

ら抜きだけでなく、敬語、丁寧語、謙譲語の誤使用問題、らさせて頂くやチョベリバ言葉、女言葉についても取り上げていました。

女言葉を捨てた掃除婦兼副社長は日本社会に怒っていました。まさに永井愛さんかと思いました。副社長の女言葉には命令形がなく、男は女から命令されるのが嫌なのだろうという台詞は実に印象的でした。

ら抜きを嫌うバイトとら抜きを使う社員がお互い弱味を見つけて対立し、それぞれが意にそぐわない言い回しを強要されるということになりましたが、殺人事件までには至りませんでした。

そして、言葉やことわざは常に変化していることを理解し、地方出身者が都会で萎縮しているとすれば方言なんか気にしなくて良い、相手と真に分かり合えるには本音で話すことが大切であるということでした。

私的には、ら抜きよりも、が行の濁音、鼻濁音の誤用の方が気になっています。東京ガスのガが鼻濁音になったり、ガラガラと崩れるの二番目のガが鼻濁音になったりするのを聞くのは耐えられません。一般の人よりもアナウンサーにこういう言い方をする人が多いのが問題だと思っています。
メランコリーにさよならを

メランコリーにさよならを

劇団宇宙キャンパス

シアターサンモール(東京都)

2013/11/14 (木) ~ 2013/11/17 (日)公演終了

満足度★★★★

真っすぐな学園ドラマ
時には変化球も必要かなと思いました。

ネタバレBOX

熱い応援団員、いじめに遭って定時制に移った女子高生、20年前の三人組人気アイドルグループのメンバーの一人で定時制に通っている女性を中心とした学園物。

メランコリーとは憂鬱のこと。耐えられないことがあったら逃げるのも一つの方策、そうですね。卒業だって嫌なやつから離れられる機会ですし、会社の人事異動もそうです。ただ、写真を撮られ、ネットにアップされたとなっては犯罪ですから、そんなビッチたちは告発しましょう。

元アイドルのうち、一人は芸能界にしがみついています。もう一人は結婚して子供がいる主婦ということで、グループを解散してからの15年ぐらいがある程度分かります。それに対して肝心のこのお芝居の主役の一人である元アイドルだけは、思い立って定時制高校に通うまでの生活振りが全く見えてきませんでした。15年間何をして飯を食ってきたのかが分からないとストーリー全体の説得力が弱くなってしまいます。

「頑張れ」は、頑張っている人を肯定する言葉、応援する言葉であって、決して頑張っていないと見える人に強要する言葉では無いと言う若い応援団員は真っすぐで熱かったですが、真っすぐ過ぎて話に奥行きがなく、いじめを扱っているだけに、もっとドロドロとした変化球も必要のような気はしました。
『クリプトグラム』(cryptogram)

『クリプトグラム』(cryptogram)

世田谷パブリックシアター

シアタートラム(東京都)

2013/11/06 (水) ~ 2013/11/24 (日)公演終了

満足度★★★

【山田瑛瑠さんの回】観劇
暗号解読できず。

ネタバレBOX

一幕:ある日の夕方、二幕:次の日の夜、三幕:一ヶ月後の夕方の三幕物でしたが、二幕目が二幕目か一幕目の続きか判然としませんでした。三幕目になって引っ越しの準備をしているので二幕目だったと気付き、舞台挨拶で確信できました。

次の日は子どものジョンがキャンプに行くはずでしたが、にも拘わらず次の日の夜に家にいたということはキャンプに行かなかったということでしょうか。ま、単に荷解きをしなかったということでしょうが、一日目と同じくスリッパを履いていない状態では、単に時間が経過した後としか思えません。次の日だと分かるような演出面の工夫が何か必要でした。

ジョンの父でドニーの夫であるロバートには他に女性がいること、ロバートの友人でドニーを支えているように見えた男デルはロバートが女性と逢引きできるようにするために数日間部屋を貸していたこと、その間デルとロバートは一緒にキャンプに行っていたと嘘を付いていたわけですね、デルはドニーを愛しているのかと思っていましたが、もしかしたらバイかもしれませんが、実はホモだったことなどが明かされました。

しかし、そもそもロバートとドニー夫婦が破綻した原因はドニーにあったとデルが指摘していましたが、具体的な原因はさっぱり分かりませんでした。ヒステリー気味な点がそうなのでしょうか、暗号は解読できませんでした。
もう風も吹かない

もう風も吹かない

青年団

吉祥寺シアター(東京都)

2013/11/07 (木) ~ 2013/11/18 (月)公演終了

満足度★★★★★

青春群像劇
全くのSFでもなく、なさそうでありそうな特殊な環境下における青年たちの発想を想像してみることは非常に有意義だと思いました。

ネタバレBOX

宇宙ロケットの中の飛行士たちの話でもありません。学園ドラマでもありません。青年海外協力隊の派遣前の訓練所という馴染みの薄い場所、加えてIMFの管理下に入って1ドルが480円台になっているような財政破綻した日本という状況下、そして、今回の派遣が最後となるという特別な回に当たることなど、もしかしたら起こり得るかもしれない特殊な事情がいくつも重なった環境下における青年たちの話というところが絶妙です。

青年たちも青臭くある種特殊な人間で、鬱屈していなかったら普通に就職してここには来ていないという話や、相手国のためにではなく自分探しのために協力隊に入るのだなどという話を納得しながら聞きました。

食堂のお姉ちゃんが一番印象的でした。彼女は訓練生たちにこれまでも時々ちょっかいを出しながら、それでも訓練生に恋してはいけない、なぜならば、と言ったところで、学校の先生と言うのかと思いましたが、特攻隊の若者を送り出す食堂のおばちゃんの心境と同じだと言い放ちました。

物凄くなるほどと思いました。訓練生が飲酒したぐらいで一々追放していたら誰もいなくなってしまいます。また、青臭く鬱屈した精神を持つ青年をなだめすかして旅立たせることも大切です。良く分かる例えでした。

同じ植民地運営でも、ポルトガル、スペインなどの略取的手法と、イギリスなどの殖産的手法があったこと、そしてその手法の違いがその地域のその後の発展に大きく影響したという解説には、何となく分かっていましたが目からウロコでした。

そして、日本の韓国併合について考えさせられました。植民地だったことを恨む気持ちは分かりますが、略取的手法と決めつけている韓国の言い分はあまりにも一方的過ぎると思いました。

青春群像劇を楽しむとともに勉強にもなりました。
振り子時計物語

振り子時計物語

劇団暴創族

笹塚ファクトリー(東京都)

2013/11/07 (木) ~ 2013/11/10 (日)公演終了

満足度★★★★

ただいま、おかえり
大人になったら自分で決めるということですね。

ネタバレBOX

母親は自分を捨てたと思い込んでいる娘に対して、誤解したままではいけない、母親の気持ちをきちんと娘に伝えて上げようとする古時計の粋なはからいによるタイムスリップの話でした。

連帯保証人でもないのに父親の借金を娘に払わせようなんてそもそも理屈に合わないなと思っていましたが、借金取りが実は古時計の友人の妖精みたいな存在と分かってすーっと得心しました。

親権を巡る調停のときに、事前に両親と相談して、島で両親と一緒に旅館を経営しながら娘を育てると主張すれば良かったものを、それをしないで、決定後に親権が無いにも拘わらず娘を連れ去ってしまったことで、母親にはその後面会の機会が与えられなくなってしまった訳ですが、父親に育てられたことが決して悪かった訳でもありません。

そんな過去を踏まえた上で、あくまでも歴史は変えないという姿勢が行き渡っていました。

そして、小学生のときに旅館の女将さんになるという夢をお祖母さんに話したことを思い出し、親権に縛られていた子どもの頃とは違う大人になった今、改めて自分の意志で女将さんになる決意をしました。とても素敵な決心で、本当のただいま、おかえりになりました。

タイムスリップする迄がちょっと長いかなと感じました。大声を出すのも気になりました。母親の、「早く宿題やりなさい、早く大人になりなさい。」という言葉はとても印象的でした。

ところで、「ネジを巻くゼンマイ」という台詞がありました。一回だけ言い間違えたのかと思ったら、その後も「そのゼンマイ頂戴」みたいな台詞があって、完璧に誤解しているなと思いました。シダ植物のゼンマイに似ていることから時計の内部のぐるぐる巻かれたバネのことをゼンマイと呼ぶのであって、手に持って回す道具は時計の鍵です。あるいは、穴に入れて回すことから鍵のことをネジと呼んでもいいのかしれません。前者は、「時計の鍵」、「ゼンマイを巻くネジ」が、後者は、「その鍵頂戴」、「そのネジ頂戴」の方が自然だと思います。いずれにせよ、アニメのぜんまいざむらいの外観から誤解してしまったのでしょうか。

それに、ネジを巻くときは内側に回すと覚えていたような子供の頃の記憶があります。針を動かすゼンマイは右側ですから、時計回りに回していたように見えましたが、反時計回りに回すのが自然なような気がしました。
ビールのおじさん

ビールのおじさん

cineman

ワーサルシアター(東京都)

2013/11/06 (水) ~ 2013/11/10 (日)公演終了

満足度★★★★★

くり返すさざ波のように
人生いろいろです。

ネタバレBOX

鹿児島の片田舎、長男が死に、葬式に間に合わなかった次男たちも到着し、ようやくみんなが揃った後の話。

みんなに色々なことがあって、さざ波のようなことがくり返し、くり返し起こることによって、長い目で見ると世代交代が行われていく、どこにでもある小さな大河ドラマ、素晴らしかったです。

そんなあ、ずるいよ、大事なこと隠していて。大事なことは言わない人種、男たち、ホント良く分かります。共感しました。

作・演の特権でしょうか。ずるいよ、中年のおっさんにあんな可愛い安城レイさん演じる彼女がいるなんて。

一番主体性が無いような三男が結局家を守ることになりそうな気配、不思議な巡り合わせですが、そういうこともありますね。良く分かってらっしゃるといいう感じです。

10月8日に肝臓がんで亡くなられた島倉千代子さんと同じ、肝臓がんであと数ヶ月のビールを禁じられたビールの叔父さん、最後は故郷で過ごすことになりそうで、悲しいけれど羨ましかったです。
韓国現代戯曲連続上演

韓国現代戯曲連続上演

韓国現代戯曲連続上演実行委員会

こまばアゴラ劇場(東京都)

2013/11/06 (水) ~ 2013/11/10 (日)公演終了

満足度★★★★

『上船』
私なら『乗船』にするかな。

ネタバレBOX

『真夜中のテント劇場』  不当解雇を訴えるためにテント生活を始めた女性の初日の話。夜は暗くて怖い、友人の女性が来てくれて良かった程度の話でした。

声だけですが、同僚の男性の、自分はカメラマンになる夢を叶えるために勉強するので抗議活動はできないというナレーションがありました。韓国社会の労働環境を改善するために立ち上がる人がいなければいつまで経っても変化しないのかもしれませんが、短い一生です、将来の労働者のための捨て石になることに時間を費やすのが大切なのか、どんな環境にも対応できるだけのスキルを身に付けて就職、あるいは起業できるようになるために時間に費やすのが大切なのか考えさせられました。

クビになった職種ですが、単に教材を訪問販売するだけもなさそうで、日本人にも分かるように説明してほしかったです。

『秋雨』  ラブホテル的ホテルで起きた二つの殺人事件の顛末と、その背景に一つの家族の崩壊があったことを語る傍観者たちの話。

また裸かと思いました。ちょっとドキッとして嬉しい面もありますが、今回のBeSeTo演劇祭は、韓国は客寄せの裸ばっかりというのが感想です。演出家は金世一さん、日本語でしか作品を作っていないらしいのですが、釜山出身の韓国人で、さもありなんでした。

売春婦たち、その夫であり父親である男、客たち、傍観者の男女を5人でこなしたのは素晴らしかったです。

スローモーションのようにゆっくりと歩くシーンがありました。能の様式を使って死者たちを表現したそうですが、息を溜めてゆっくり動く動作は日本人独特のもので、韓国人役者はすぐに息を吐いてしまうのでゆっくり動く動作ができないという金世一さんの話は印象的でした。

『上船』  港の屋台の女主人に会いに来た男の話。若い頃に恋仲だった二人は家庭環境の違いから反対され、男の方がもう一歩踏み込めば恋は成就できていたのかもしれませんが、そのまま終わってしまいました。男は女に会い、あれからのことを語らい、この世に残っていた未練の一つを解消して、港から出る死者たちの乗る船に乗って去っていきました。

実際におでんがあり、イイダコの炒めものを作るなど、現実的な事象と幻想的な出来事が組み合わさり、しっとりとした二人芝居の秀作でした。
供述調書によると

供述調書によると

中央大学第二演劇研究会

明石スタジオ(東京都)

2013/11/07 (木) ~ 2013/11/10 (日)公演終了

満足度★★★

えっ!
尻切れトンボ

ネタバレBOX

何回目かの公判が開かれるというところで終了。

被告と被害者のつかみ合いの喧嘩が始まる前に、被告ではない別の男と被害者の話し声が聞こえたという店員の証言や、傍聴マニアの女子大生の活躍によって新しい事実が判明するのかと思っていました。

みんなが呆然としている間に被告と同じ職場の一人が意識を失っていた被害者の息の根を止めたのではないかなどと想像していたのですが、被告が殺したこと自体はやはり事実だったのでしょうか。

もしそうだとしても、不正経理みたいなことをしていた被害者と、それを知りながら不正のために集計しやすくなって仕事がはかどるために暗黙の了解をしていたお局様、そして不正を嫌っていたがそのために仕事が遅くなってしまう被告たち真面目派の存在、こうした背景も裁判で明らかにされ、情状面などでどう変化していくのかと期待していました。

時々大声になるところや如何にも困ったというような大げさな表情、着こなしなどで気になる点はありましたが、これから面白い展開になると期待していただけに突然の終演に驚き残念に思いました。
偽造/夏目漱石

偽造/夏目漱石

重力/Note

アトリエ春風舎(東京都)

2013/11/04 (月) ~ 2013/11/10 (日)公演終了

満足度★★★

逆効果
良く分かりませんでした。

ネタバレBOX

夏目漱石の作品の中から、シーンやフレーズを抜き出して集めることで何かを表現した作品。あるいは表現したかった作品。

「は、何々している」、「吾輩は、である」のようにセリフから代名詞、名詞が省略されていました。主語、自分、自我などがないことを表現したかったのかもしれませんが、聞いている限り、「は」の前は「私」しか考えられず、「吾輩は」の後には、漱石のあまりにも有名なフレーズですから、残念ながら猫しか思い浮かびませんでした。

「は」の方は、むしろ「は」が強調されることによって返って「私は」であることが強調されてしまいました。「○○は」は、「は」まで含めて主語なんですね。主語を省こうとしたら「は」も含めて省かなければなりませんが、主語を省いたところで素直に日本語として通用してしまうし、何ともやっかいな話です。

役者さんたちは熱演でしたが、内容は意味不明で、どうせ分からないのなら、アフタートークでもちょっと提案があったように、セリフを全て無くしてパフォーマンスだけで行うのも良いのかもしれません。漱石に似た役者さんもおられましたし、猫が電球にじゃれているところは分かりましたから。
VAGUENIGMA

VAGUENIGMA

疾駆猿

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2013/11/06 (水) ~ 2013/11/10 (日)公演終了

満足度★★★★

【-祀木刑事の捜査ファイル-】観劇
旧家を巡る重苦しい事件、雰囲気はありました。

ネタバレBOX

まだ相関図や状況が把握し切れていない内に第一回目の殺人が起こり、事件前後の状況について三者三様の説明がなされ、こりゃ藪の中でややこしいことになって困ったぞと思われたのですが、第二の殺人、その後に続く自殺も含め、軽いどんでん返しがあって分かり易く謎解きをしてくれました。

祀木刑事が話す事件の一部始終を聞いて、蓮上教授がさらに話をひっくり返すのかと期待しましたがそれはなく、蓮上教授は殺人はもののけが起こすのではなく人が起こすのだと講釈を垂れるだけの単なる聞き役でした。祀木刑事も、なんでこんな読めない名前に設定するのかはなはだ疑問ですが、まつらぎと読むそうです、何をしに行ったのか意味不明でした。

ラスト、教授の許に学生の日和見が来て体験談を語るというところで終了、『VAGUENIGMA -日和見助手の怪異レポート-』に続くという感じでした。

日和見助手の方は同じ事件を別の角度から見る話かと思っていましたが、どうも全く別物のようです。
吉田光希(映画監督)×河西裕介(演出家)『ハアトフル』

吉田光希(映画監督)×河西裕介(演出家)『ハアトフル』

浮間ベースプロジェクト

浮間ベース(東京都)

2013/11/04 (月) ~ 2013/11/10 (日)公演終了

満足度★★★★

三人の女性たちの表と裏
辛い日常が赤裸々に、凄いですね。

ネタバレBOX

女優を目指しながら、イベントなどでの歌のお姉さんのバイトをして頑張っている地方出身の若い女性三人の普段の生活を、と言っても結構辛い日常を切り取って描いた話。

先ず1階で二人の作家の共作によるイントロダクションとして、イベント会場で子供たち相手に歌う優しいお姉さん振りを見せる三人の表の顔が示されました。その後、2階に移動して河西裕介バージョンによるチエの日常が描かれ、さらに3階に移動して吉田光希バージョンによるフタバとソノミの様子が描かれました。

男に入れ込み捨てられ、またすぐに別の男に入れ込んで騙されるような男にだらしないチエ。国分寺大人倶楽部っぽく、セックスと暴力に溢れていました。辛く悩んだチエが電話を掛けたときの、いきなり金の無心を断るような母親の対応には、めったに掛けてこない娘なんだから話を聞いてやるのが母親というものだろうと思うとともに、日本の家庭事情が透けて見えるようでした。

フタバと街で知り合い、彼女のアパートに押しかけてきた男たち。そんな悪い奴らが、フタバからちょっと罵倒されたぐらいで気分を害して帰りますかって。返って火に油を注ぐようなものです。何か上手い工合にセックスシーンを避けたという感じでした。薬もやっていたような荒んだフタバは自殺しました。

全く無縁なので、缶をへこまし薬物を乗せて火で炙る光景は別世界を覗いたような気がしました。

オイルマッサージのバイトの方が本業ともいえるソノミは客から性的サービスを強要されました。そういうタイプの店ではないようですから、一回やっちゃうと今度はそれをネタに脅されることにもなりかねず、毅然とした態度を取るように、あるいは店長に連絡するようにと恐らくマニュアルに示されているはずです。あり得ないと思いましたが、結局は堕ちてしまったソノミでした。性的サービスの様子はあれでは悔しくてベッドを叩いているようにしか見えませんでした。

場合によっては屋上も使えるそうですが、今回は浮間ベースの1階から3階までを使いました。そんな手法には特段の感想はありませんが、お披露目セールのようなものだと思いました。2階は元鰻屋さんだったのしょうか、ウナギの匂いが染み込んでいました。
テロリストは山手線に乗る

テロリストは山手線に乗る

劇団青年座

青年座劇場(東京都)

2013/11/05 (火) ~ 2013/11/10 (日)公演終了

満足度★★★★★

まさかの爽快活劇
本当に本当だとは思ってもいませんでした。

ネタバレBOX

近頃新商品がことごとく外れる駄菓子メーカーが、酢イカをチョコレートでコーティングしたような駄菓子ダイナマイトやっちゃんイカの発売に当たり、発売開始日当日の山手線における車体広告やシークレットイベントを盛り上げるためにテロリストの格好をして11月11日東京を制圧するという映像をユーチューブに流したところ、本物のテロリストか、あるいは愉快犯かが便乗して犯行予告声明を発したことから巻き起こった瓢箪から駒のリアル騒動劇。

当初、山手線の車内で袋からお菓子が飛び出るみたいな面白テロが起きるぐらいの話かなと思っていましたが、彼らはそんな乗客を驚かすようなことも考えていなくて、あくまでも目的はイベントを盛り上げるためだけのことでした。それが、便乗犯を制圧するために本当に山手線を止め、犯人グループの実態を突き止め、犯行動機と犯行計画を知り、車内放送を通じて実行犯に犯行を思い止まるように説得し事なきを得るというところまで行き着くことになろうとは思ってもみませんでした。

何のとりえもない普通の主婦が突然サバイバルゲームに巻き込まれ、戦士として急成長して戦い、敵を倒すというような感じで、女子高生が活躍する話はアニメなどでよくありそうですが、リーダーが主婦というところが何とも新鮮でした。

彼女には15年前に交通事故で夫と息子を死なせた過去があり、罪を償い今は娘と暮らしていますが、そのときの精神的ショックで車椅子生活のままです。彼女が今回のプロジェクトや銃の取り扱いに真剣になることで立てるようになり、そして過去の真相が明らかになって再び立てなくなり、最後娘を救出しようとする意志で立ち上がることができました。

東京と娘と家庭と会社を救った派遣社員さんが、3年後にはアフガニスタン支店の支店長とはハッピーハッピーな大団円でした。

宇田川美樹さんは、『傭兵ども!砂漠を走れ!』で見た通りのさすがの傭兵振りでした。
ディズニーミュージカル「リトルマーメイド」東京公演

ディズニーミュージカル「リトルマーメイド」東京公演

劇団四季

四季劇場[夏](東京都)

2013/04/07 (日) ~ 2017/04/09 (日)公演終了

満足度★★★★★

豪華、綺麗
立体的な演技はごく自然で素敵でした。

ネタバレBOX

地上に憧れる人魚姫アリエルと地上の王子エリックが結ばれるまでの話。

やはり、立体的シーンは素敵でした。特に、前半の海の中は素晴らしいと歌いあげるシーンは様々な生き物が出てきて豪華で美しく、実に立体的でした。

タコの化物のようなアースラの台詞に、魔法にも勝るのが思春期のホルモンというのがあって笑ってしまいましたが、実際には思春期のホルモンによる暴走はなく、魔法を打ち破るまでには至りませんでした。

アースラを倒し、父親である海の王トリトンの許しを得てアリエルは再び王子の許に向かいました。そのときトリトンも同伴し、先方に挨拶するなど礼を尽くしていましたが、おとぎ話の世界なのに随分と社会秩序を重んじるものだと思いました。

それにしても、言葉を一音一音カクカクと発音するのには本当に閉口しました。そんな変な喋り方をする必要は無いと思いますが、廓言葉と同じで、出身地の訛りを排除し、他の分野に逃げて行かないように囲い込みをするための方策なのでしょうね。

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