BLUE/ORANGE
シーエイティプロデュース
ワーサルシアター(東京都)
2010/04/22 (木) ~ 2010/05/02 (日)公演終了
満足度★★★★★
空席がもったいない!!
コリッチメンバーの皆さん、こんな素晴らしい芝居を観ずして、どこの劇場に行ってしまったの??と叫びたいくらい、見逃したらもったいない感いっぱいの何もかもクオリティ高い名作舞台でした。
あーそれなのに、客席、4分の1くらいかな?空席ありました。
残念です。本当に…
「兵器のある風景」でも感じましたが、このジョー・ペンホールという作家は、相当のつわものです。2時間半以上の会話劇をちっとも長いと感じさせない!!
スゴイです!!驚嘆します。
そして、見事この上ないキャスティング!!
千葉さんは、主要な役を演じつつ、よくぞここまで名演出ができるものだと、また敬服!!中嶋しゅうさんは、もちろん期待以上だし、チョウソンハさんも、もはや若手ナンバーワンではと思える実力!!
観ないと損だと断言できる名舞台でした。
厠の兵隊
劇団桟敷童子
すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)
2010/04/16 (金) ~ 2010/04/26 (月)公演終了
満足度★★★
古き良きアングラの香り
桟敷童子、初観劇でした。
まず、会場の劇団員一丸となった、観客への心からの接待振りにとても好感を抱きました。
セットも素敵!!
旅芝居のアングラ版劇団風。
昔、寺山や、唐芝居が苦手だった自分には、あまり好きなタイプの演劇ではありませんでしたが、でも、この劇団の空気を好きな方にはたまらない魅力がある劇団だろうと、容易に推察できました。
何となく、先日観た黒色奇譚カナリア派風な舞台でしたが、同じアングラ色なら、私はこちらの方が好みです。
東さんが描こうとされていることが明確で、清々しいのですが、やや、説明過多だったのではと感じました。
死ぬのは私ではない
ワンツーワークス
劇場HOPE(東京都)
2010/04/21 (水) ~ 2010/04/29 (木)公演終了
満足度★★★★
テーマ自体は、難しいけれど
久しぶりの古城作品、やはりいろんな意味で、見応えありました。
死刑について考えさせる、テーマ自体は重たいし、瞬時に答えも出せない、難問を提示したような芝居ではありますが、古城さんの作品は、社会派であっても、演劇として、しっかり成立する要素の揃ったものなので、基本的に、いつも面白く拝見することができて、大好きです。
今回の舞台も、実際の事件に材を取り、作者自身の疑問や政治や社会に対する不審などを提示した大テーマがあるけれど、演劇作品として、不可欠なストーリー性や、登場人物の肉づけ、構成も見事な、無駄のない展開で、やはり古城さんは、演劇界でも、あまりいないタイプの得難い作家であり、演出家でいらっしゃると、感心しました。
アフタートークも含め、久々に、観劇後、少し、思慮深くなったように、錯覚できる、貴重な体験をさせて頂きました。
一跡ニ跳を解散されて淋しく思っていましたが、ワンツーワークスとして再スタートを切られて、今後の作品がまた楽しみになりました。
最初に、主人公の幸司役を演じられた、越智哲也さんは、目力と言い、ひときわ異彩を放つ役者さんで、今後、注目したい若手男優さんがまた一人増えました。
父との夏
三田村組
サンモールスタジオ(東京都)
2010/04/21 (水) ~ 2010/04/29 (木)公演終了
満足度★★★★★
ジワーッと泣けました
前回公演、えらく不愉快なラストだったので、あまり期待せずに行きましたが、今回の三田村組には、じんわり泣かされました。
演劇ならではの手法をうまく使い、ハートウオーミングな家族劇に仕上げて、お見事でした。
やや、音響効果がベタな気はしたものの、でも、その音楽の巧みなフェードインに余計涙を誘われたのも、正直なところ。
照明や音響のスタッフ技術も優れていました。
キャストは全員が好演でしたが、中でも金坂役の水口さんが素晴らしくて、感嘆しました。
感動して、近くの喫茶店で余韻に浸っていたら、その水口さんが、役柄とは似ても似つかない風情、言動で、お仲間と歓談していらして、その役柄とのあまりのギャップに、かなりガッカリしたものの、舞台自体は、とても上質な作品でしたので、☆は、迷わず5つです。
まだ、かなりチケットが余っているそうです。お時間のある方は是非!!
三田村組、次回の蓬莱作品で、終了だそうです。
良いユニット劇団を知ったばかりなのに、残念です。
THE LEFT STUFF
Piper
本多劇場(東京都)
2010/04/10 (土) ~ 2010/04/25 (日)公演終了
満足度★★★★★
無性に嬉しさがこみ上げる公演
後藤ひろひとさん、以前から尊敬する演劇人のお一人ですが、今回の舞台で、益々ファンになりました。
何て、楽しいんでしょう!!!
もう、最高!!
こんなに、客席を上手に巻き込む公演には初めて出会った気がします。
後藤さんの、客をその気にさせる才能は大したものです。天才的!!
相武紗季さんも、どこの舞台女優さんだっけ?と思うくらい、舞台女優としての楽しみな才気を見せて下さって、もう、ひたすら幸せ感いっぱいになれた舞台でした。
今までに比べてドタバタ度は減ったけれど、むしろ各人の演技の幅を感じさせられる舞台で、不思議な感動すら、ありました。
『ハチクロニクル』 (公演終了)
劇団鋼鉄村松
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2010/04/16 (金) ~ 2010/04/18 (日)公演終了
満足度★
アイデアセンスはいいけれど
前回公演、御ひいきの8割世界、吉岡さんの客演に惹かれ、観に行って、一度でファンになった、剛鉄村松。
だけど、どうも今回は、波長が合いませんでした。
「ハチミツとクローバー」を全く見たことがないので、台詞とかは、なるほど!と共感する部分もあるけれど、「これは誰さんスタンス」とか言われても、全然理解できないというネックもあったけれど、それ以上に、どうもストーリー運びがスマートでない感じを受けました。
理系、文系、哲学など、ありとあらゆる思考回路で、話を進める、斬新なアイデアと、小道具や大道具に名札つけたりするセンスには、好感持てたのですが、前回の、弾けるような面白さはなく、どうしてか?と改めて、当パン確認して、納得!
前回と作者が違うんだ!!
前回大変面白かった戦隊ものの作演は、今回、吉村役を演じた、バブル村松さんで、この芝居の方は、ボス村松さんだったのですね。
次回は、また、バブルさんの方の作演のようなので、次回に期待したいと思います。
前回、一目惚れした、ムラマツべスさんと村松かずおさんは、今回も、とてもナチュラル演技で、素敵でした。
ただ、この劇団、どうも、一般客を想定してない空気が…。
受付で名前を名乗ったら、「どなたのご関係ですか?」と聞かれ、ビックリ。
まるで、関係者しか来ないと想定してるみたい。終演後、ほとんど誰も席を立たないのも、皆、劇場内での役者面会を待っていたかららしく、私のような一般客はかなり少数のようでした。
だからなのか、あまりお客さん目線で、作劇されてない雰囲気があるのかも。
これは、前回も感じたのですが、べスさんや村松かずおさんに、他にない魅力がある反面、かなり、素人レベルの役者さんもいるのです。
何となく、どこかの学祭の催し物的な演劇表現レベルなのが、今回も気になったところでした。
ブラッド・ブラザーズ
東宝
THEATRE1010(東京都)
2010/04/17 (土) ~ 2010/04/18 (日)公演終了
満足度★★★★★
拍手は嘘をつかない!!!
本当に、素晴らしい舞台でした。
皆さん、本気で拍手し続け、普通なら、それで終わりだった筈のカーテンコールが、何度もありました。
昨年、クリエで観た時は、演出も何だか腑に落ちませんでしたし、舞台を台無しにするキャストがいたため、愕然とする出来栄えでしたが、今回は、その2人のキャストが変わって、安崎さんと杜けあきさんになったので、本当に見違えるような素晴らしい作品に生まれ変わっていました。
今日が初日で、これから、日本全国の公演後、東京に戻るような雰囲気でしたから、是非是非、多くの演劇ファンの方にご覧頂きたい公演です。
田代、藤岡コンビは未見ですが、武田、岡田コンビの演技が賛辞の言葉が足りないくらい素晴らしいので、私としては、このお2人の方をおススメします。
楽曲も、ストーリーも、舞台セットも、とにかく、申し分のないミュージカルです。
最終的には悲劇ですが、本当に、人間が良く描かれているし、役者さんの演技が秀逸で、幼い頃のシーンは、笑いの絶えない作品です。
鈴木亜美さんも、キュートで素敵でした。
戯伝写楽
フジテレビジョン
青山劇場(東京都)
2010/04/07 (水) ~ 2010/04/17 (土)公演終了
満足度★★★★
演技者揃いのミュージカルは嬉しい!
このところ、歌えるだけで、演技は蔑ろのミュージカルに当たることが多かったので、取りあえず、楽曲にはピンと来ないけれど、演技をできる役者さんの揃ったミュージカルは、それだけでも拾いものでした。
主役二人を脇で支える、山路さん、葛山さん、東山さん、ソニンさんが、特に素晴らしくて、一幕後半あたりから、ストーリーや演出にではなく、この脇役陣の好演に終始ワクワクしました。
楽曲と衣装がもっと質が高ければ、なかなか上出来な舞台だったろうにと、残念に思います。
橋本さんのキャラクターは、ご本人を良く知る中島さんの脚本が裏目に出た気もしなくはないかなと思います。もう少し、屈折した性格づけの方が、このストーリーには見合っているように思うのですが…。
大和さんは、きっと宛書きが効を奏したように思えました。
わが町
文学座
こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)
2010/04/09 (金) ~ 2010/04/18 (日)公演終了
満足度★
戯曲だけ読めば良かった(泣く)
昔から、文学座の芝居をあまり面白いと思った記憶はありませんが、それにしても、まさかここまで低落の極みとは思いませんでした。
古色蒼然の鼻白む演技を我慢して観ていたら、気分が悪くなりそうでした。
こんな芝居を子供に見せていたら、日本の演劇界に未来はないとさえ思います。
これは、由々しき大問題です。文学座の皆さん、老舗劇団在籍に胡坐をかいていないで、小劇場の精鋭劇団のワークショップでも受けてみたらと、本気で提言したい思いです。
ご高齢の戌井さんのご健在ぶりに敬意を表して、☆は一つですが、正直言えば評価外の舞台でした。
この劇団、才能ある役者さんも演出家も、このところ外部公演ばかりで、これでは、この劇団の未来はないと、心底危惧してしまいます。
Side Show
フジテレビジョン
東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)
2010/04/07 (水) ~ 2010/04/18 (日)公演終了
満足度★★★
観て良かったとは思うけれど
誰もがミュージカルに期待するような「ワクワクと、楽しい気分」とは全く対極のストーリーなので、ミュージカルなのに、ずっといろいろ頭の中で、思考がやむことがありませんでした。
予備知識なく観に行きましたが、この主人公の姉妹は実在の人物だったのですね。
だったら、実際の姉妹の話に即したストーリーなのでしょうが、これが、ブロードウェイミュージカルだという点に、ちょっと引っかかりました。
作者は、どういう思惑でこの作品をミュージカルにしようと決めたのか、大変気になりました。
ヒルトン姉妹を演じたのは、元宝ジェンヌの中でも、演技力に定評のあるお二人なので、後半は特に二人の哀切な演技表現に、涙が出そうでしたが、お一人、長く某劇団に在籍されていた役者さんが、演技者としての表現力が乏しい方だったために、その出掛かった涙が何度も目の奥に引っ込みました。
むしろ、大澄さんと役を交代されていたら、もっとクオリティの高い作品になっていたかも知れません。
その反面、若い伊礼彼方さんが、演技も歌も、身体表現も、実にフランクな表現力があって、また彼の表現者としての資質に、頼もしさを覚えました。
板垣さんの演出は、全体としては好きでしたが、最初、アンサンブルの人達が、一人一人登場してから、音楽が始まるところだけは、再考の余地ありと感じました。
楽曲の素晴らしさ、照明の美しさは、特筆ものだと思います。
かたりの椅子
ニ兎社
世田谷パブリックシアター(東京都)
2010/04/02 (金) ~ 2010/04/18 (日)公演終了
満足度★★★
評価に迷います
待ちに待った永井愛さんの新作上演、その上、御ひいきの役者さん、大沢健さんと馬木也さんの共演!逸る気持ちを抑えて三軒茶屋に向かいました。
一幕は、文句なく面白く拝見し、相変わらずのセットの配置や使い方の巧さにも唸りました。役者さんも、全員、素晴らしい!!
でも、2幕で、これは演劇作品としては、どうだろう?とだんだん疑問が湧いて来て、評価は、☆3か4で迷っています。
やはり、私としては、「歌わせたい男たち」のような、演劇作品としてのレベルの高さを期待していましたから…。
役者さんは、皆さん、本当に好演されていましたが、中でも、花王おさむさんの九ヶ谷の役作りは絶品でした。初めて拝見した、吉田ウーロン太さんもとても良い味を出されていました。馬木也さんは、いつ観ても素敵な役者さんで、間近の席で惚れ惚れしてしまいました。
あー、このキャストで、もっと永井愛さんの真骨頂舞台を拝見したかった!!
ムサシ
彩の国さいたま芸術劇場
彩の国さいたま芸術劇場 大ホール(埼玉県)
2009/03/04 (水) ~ 2009/04/19 (日)公演終了
満足度★★★
今日、書いておこう!
過去の観劇作品については、特に良かったものだけ、書こうと決めて、「ムサシ」に関しては、コメントしていませんでしたが、作者が亡くなった今、やはり書いておこうと思います。
ちょうど、井上さんが、この「ムサシ」を書いていらっしゃる時に、戯曲セミナーの講義があり、「僕は、絶対、登場人物を死なせたくはない」とおっしゃっていたことを思い出します。だから、小次郎を死んだことにはせず、こういう作品を思いつかれたのだと思います。
復習の連鎖を断ち切らなければというお話もされていました。
そういう、作者自身の作劇意図を聞いた上で、この芝居を観たので、私自身は、結構この作品の奥深さを感じはしましたが、そういう先入観のない人には、あまり理解されない作品なのではと感じた舞台でした。
てんぷくトリオ的ドタバタギャグシーンがややしつこかったり、席の位置が悪く、前半ほとんどキャストの半分以上が見切れてしまい、声しか聞こえないのも残念でした。
後半の、白石さんと鈴木杏さんの丁々発止のやりとりは、痛快で、お二人の熱演は喝采ものでしたが…
いつのことからか、藤原さんの台詞が聞き取り辛くなり、役者さんとして、ちょっと低迷期に入られたか?と心配にもなりました。
通し狂言 四谷怪談忠臣蔵
松竹
新橋演舞場(東京都)
2010/04/01 (木) ~ 2010/04/23 (金)公演終了
満足度★★★
新感線で観てみたい演目
猿之助一門の歌舞伎、久しぶりでした。
以前は体型まで、猿之助さんそっくりだった右近さんが、少しスッキリされて、歌舞伎役者としての華が増した気がしました。
元々、忠臣蔵外伝である、「四谷怪談」と、「仮名手本忠臣蔵」をうまくドッキングさせて、スピーデイに見せる演出手腕は見事でした。
何しろ、仮名手本は大序から4段目あたりまでが遅々として進まず、通し上演の時など、必ず睡魔に襲われ、かなり居眠りしても、まだ由良之助は着かず、塩冶判官と一緒に「由良之助はまだか」って言いたくなりますもの。(笑)
でも、忠臣蔵の方が巧くスピーディだった反面、四谷怪談の方は若干モタモタした印象がありました。
忠臣蔵と四谷怪談、どちらも一度は観てみたいという歌舞伎初心者にはおススメですが、演目の味わい深さには欠けるので、何度も両演目ご覧の方は、肩透かしを食うかもしれません。
これにもっとエンタメ要素を加味したら、新感線でやったら、とても良さそうな気がしました。途中から、この役はじゅんさんとか、これは粟根さんとか、勝手に脳内キャスティングして観ていたら、妙に楽しくなりました。
無頼の女房
劇団東京ヴォードヴィルショー
紀伊國屋ホール(東京都)
2010/04/03 (土) ~ 2010/04/11 (日)公演終了
満足度★
うーん、面白くない
中島さんの作品、ご自身の演出舞台は、あんまり面白くないってことを忘れて、観に行ってしまいましたが、やはりつまらなかった。
どうしてだろう?
あめくみちこさん、大西多摩恵さん、井之上隆志さんは、すごく良かったし、B作さんも悪くなかった。斉藤清六さんもいい味を出されていました。
でも、何か全体に面白くなくて、何度かウトウトしてしまいました。
何だか、一番の原因は本の出来ではと思います。
実在の作家をモデルにしているのだから、もっと深みのある作品になっていい筈なのに、何だか掘り下げ足りずな印象でした。
役者さん達が、皆さん、同じトーンで、声高に喋るのも、どうもうるさい感じがして、耳障りでした。
とりあえず寝る女
箱庭円舞曲
駅前劇場(東京都)
2010/04/02 (金) ~ 2010/04/06 (火)公演終了
満足度★★★★
99%のリアル感
噂に違わず、箱庭円舞曲、大変実力ある劇団でした。古川さん、なかなの切れ者とお見受けしました。
一般家庭のそんじょそこらにあまり見受けられない情況設定なのに、何故かどこにでもありそうな話のような妙なリアル感のある、不思議な芝居でした。
とにかく登場人物の台詞が、全然作り物めいていなくて、そうそう、そんな言い方されたら、そういうリアクションになるなとか、こういう性格の人間は、ここでこんな見当違いなこと言う言うとか、妙に納得できてしまう自然体の台詞で、舞台が進行し、それでいながら、各人物の内面や関係性も、自然に観る者に理解させてしまう、作者の力量に、感服しました。
こんなに普通の会話劇テイストで、説明台詞が一切ないのに、こんなにクリアに情況把握させてくれる作品には初めて出会ったかもしれません。
役者さんも、皆さんすごくいい!!中でも、赤澤ムックさん、小林タクシーさん、爺隠才蔵さんの自然体の存在感には敬服しました。
これだけ、自然にリアル感があるので、唯一つ残念だったのは、特に最初のシーンの方で、人物間の台詞のやり取りの時、「えっつ、え?何?」的な言いよどんだりした時の間合いだけが、やけに嘘臭い芝居染みた微妙な間になっていた点。他の会話があまりにも自然体だったので、余計目についてしまいました。
舞台装置や照明も音響も、スタッフ技術も大変優れていて、また追いかけたい劇団が増えてしまいました。
DOWNTOWN FOLLIES vol.7
Aux-Sables
青山円形劇場(東京都)
2010/04/04 (日) ~ 2010/04/13 (火)公演終了
満足度★★★★
とても楽しかったけれど
高平さん、やはりさすがの構成、演出でした。
玉野さん、吉野さんがいないのに、二人が参加している時とは趣を変え、しっかり楽しめるエンタメショーを構築していました。
だけど、やっぱり、二人がいた方がずっと面白いし、見応えがあるのは確か。
いつものダウンタウンフォーリーズを100とするなら、70%位の楽しさでした。
さすがの香寿さん、歌穂さんと、2年振りに復帰の北村さんの芸達者女優3人の共演は、でも文句なく楽しめました。何だか平澤さんが場繋ぎ要員的スタンスで、それがちょっとお気の毒な感じではありましたが、極上のレビューショーであることは、間違いありません。
乱反射ドロップ (出演劇団) こゆび侍・本田ライダーズ・てがみ座・シンクロ少女
みきかせworks
ワーサルシアター(東京都)
2010/04/01 (木) ~ 2010/04/04 (日)公演終了
満足度★★
イチゴ味が断然好み
今日は、シンクロ少女とてがみ座のハッカ味の方を観ました。
先日のイチゴ味が予想外に良かったので、期待していましたが、こちらは、どうも味付けが好みではなく、順番逆に観劇すればよかったかと後悔しました。
シンクロ少女は、いろんな意味で、強烈でした。あそこまで、私小説的演劇だと、何だか潔くて、嫌な気にはならなかったものの、どうやら、全て実話で、名前も仮名とかではないらしく、これ、無関係の人間は笑って観ていられても、もし私が、二人の親の立場だったら、絶対観たくない芝居だと思いました。
てがみ座は、いわゆる一般的なリーディングテイストで、シンクロ少女とは真逆で、安心して観られる反面、舞台としての面白さには欠けました。本公演を観ているので、どうしても比べてしまいますが、この「カシオペア」という作品は、やはり普通の演劇形態に向く作品ではないかなと強く感じました。日替わりキャストにしたのも、この公演にはマイナスに作用した気がします。他のキャスト日を観ていないから、断言はできませんが、少なくても、今日のお二人は、まだ、役が体に落ちていない感じがして、本を離して演技する部分以外は、どうしても、本を読んでいる感が強く、何だか、ワークショップ見学でもしているような気分でした。
ただ、てがみ座で唯一いいなと再発見したのは、最初と最後のト書きの言葉。本公演の時にはもちろんト書きなんて読まれないので、初めて聞いたわけですが、そのト書きの言葉の美しさにため息が出ました。長田さんって、こんなト書き一つにも才能を感じさせて下さるんだと、感激しました。
CLUB SEVEN 6th stage!
マリアート
天王洲 銀河劇場(東京都)
2010/03/29 (月) ~ 2010/04/04 (日)公演終了
満足度★★★★★
「ありがとう!」と叫びたくなるショー
「クラブ7」は、大好きなショーで、いつも必ず観に行っていますが、毎回感嘆するのは、スタッフ・キャストが一丸となって、全身全霊で、お客さんを心行くまで、エンジョイさせて下さる、ショーマンシップの素晴らしさ!!
今回の公演は、正直言って、見た目の美しさで魅了させくれるタイプのキャストは一人もいませんでしたが、そのことが、内容的な充実に繋がったようで、大変密度の濃い構成の、楽しいエンタメショーに仕上がっていました。
半端ない運動量と早替わり、振りに、台詞に、歌詞に、出はけの順番と、キャストの皆さんのご苦労と記憶量は、尋常ではないと思うのに、そんな裏の大変さを微塵も感じさせない、プロ中のプロの大エンタメショーに、入場料だけではとても代価として不足だと感じるくらいの、たくさんの感激と満足を頂きました。
来年は、7ステージ目で、かなり大掛かりなものを計画されているとか。
今から、その「クラブ7」7thを拝見できる日が待ち遠しくてなりません。
乱反射ドロップ (出演劇団) こゆび侍・本田ライダーズ・てがみ座・シンクロ少女
みきかせworks
ワーサルシアター(東京都)
2010/04/01 (木) ~ 2010/04/04 (日)公演終了
満足度★★★★★
御見逸れしました!本田ライダーズ
いの一番に会場に着いたら、受付の周りに見知った顔!顔!顔!
これは、あまり面白くなかった時、コメント書き辛いななんて心配しましたが、まったくそんな心配はご無用で、こんな面白いリーディング公演には、初めてお目に掛かりました。
今日は、こゆび侍と本田ライダーズのイチゴ味でしたが、きっと劇団の雰囲気として、リーディングの形態はお誂え向きと予想したこゆび侍は期待通り。ところが、それ以上に、見せるリーディング形態が見事にはまった本田ライダーズの作品が超面白くて、まさか、リーディングで、こんなに笑うことになるとは予想だにしない楽しい作品でした。
本田ライダーズ、役者さんも皆さん凄く良いし、気になる劇団がまた一つ増えました。アフタートークで、チャリT企画の楢原さんが、「付いて行けない」を連呼していましたが、彼は、付いて行けないのではなく、最初から斜に構えて観ていたからではと思いました。だって、楢原さんの2倍ぐらいの年齢の私でも、心底可笑しくて、何度も大笑いしていましたから。
7ストーリーズ
劇団青年座
青年座劇場(東京都)
2010/03/25 (木) ~ 2010/03/31 (水)公演終了
満足度★★★
5ストーリーズぐらいが良かったかも
モーリス・パニッチは、俳優座で上演した「金魚鉢の中の少女」がとても面白かったし、小林七緒さんは、「標的家族!」の演出が面白かったので、大変楽しみな舞台でした。
まず、劇場に入った途端、洒落たセットに目を奪われ、始まってしばらくは、期待通りに面白く拝見したのですが、6っつ目の窓の中の住人の話しになったあたりから、だんだん眠気が襲って来て、ちょっとウトウトしてしまう箇所が出始めました。私だけでなく、その頃から、客席にワサワサとした空気が充満し始めて、何となく皆の集中力が途切れた空気が伝播するのを感じました。
人生哲学テイストのブラックコメディ風で、7つの部屋の住人達のキャラクターも、デフォルメされているとは言え、なかなかいそうな人物ばかりで、大変ストーリー展開も気が効いて面白かったのですが、7つの住人のエピソードはやや長く感じました。
5つのストーリーぐらいにして、1時間半に収めた方が、もっと厭きずに観られたし、中身も濃くなった気がします。
一人だけ、一役を通した、男役の小森創介さんが、自然体の演技で、終始舞台を引っ張って、素敵な舞台表現で、魅せて下さった反面、石橋さんの如何にも演じています感漂う演技と波長が合わず、そのことが、舞台全体のクオリテイを下げてしまう原因になり、残念でした。
青年座の大家さんは、八面六臂の活躍で、特に、最初の元俳優の役は、コメディセンスが素晴らしく、大家さんて、こんなに喜劇向きな方だったかと、認識を新たにしました。
三鴨さんはいつ何を観ても三鴨さん風ですが、でも彼女の独特な声や演技は、いつでも、舞台を明るくする効果があり、決して苦手な女優さんではないのですが、今回の舞台では、もう少しトーンを落とした喋り方の方がベターな気がしました。
「オールナイトフジ」にご出演の頃は、どちらかと言えば、好きになれないタレントさんだった、山崎さんは、その後、文学座で、験算を積まれて、大変味わいのある女優さんになられたなあと、感じ入りました。
変な心理学者と、100歳のお婆さん役を演じられた、柴田さんが、この作品の核になる役を好演され、舞台を引き締めていました。
終わった途端、後ろの席の熟年女性客が、口々に「あー、疲れた!絶対、こんな芝居、こんな劇場、もう二度と来ない!」とえらくご立腹の様子でしたが、これもきっと、もう少し、ストーリーが手際よくまとまっていたら、そこまでの思いは生まれなかったのではと思います。
序盤が大変興味深く楽しめただけに、終盤が、やや冗長に感じられたことが、もったいない気がしてしまいました。