通し狂言 四谷怪談忠臣蔵 公演情報 松竹「通し狂言 四谷怪談忠臣蔵」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    新感線で観てみたい演目
    猿之助一門の歌舞伎、久しぶりでした。
    以前は体型まで、猿之助さんそっくりだった右近さんが、少しスッキリされて、歌舞伎役者としての華が増した気がしました。
    元々、忠臣蔵外伝である、「四谷怪談」と、「仮名手本忠臣蔵」をうまくドッキングさせて、スピーデイに見せる演出手腕は見事でした。
    何しろ、仮名手本は大序から4段目あたりまでが遅々として進まず、通し上演の時など、必ず睡魔に襲われ、かなり居眠りしても、まだ由良之助は着かず、塩冶判官と一緒に「由良之助はまだか」って言いたくなりますもの。(笑)

    でも、忠臣蔵の方が巧くスピーディだった反面、四谷怪談の方は若干モタモタした印象がありました。

    忠臣蔵と四谷怪談、どちらも一度は観てみたいという歌舞伎初心者にはおススメですが、演目の味わい深さには欠けるので、何度も両演目ご覧の方は、肩透かしを食うかもしれません。

    これにもっとエンタメ要素を加味したら、新感線でやったら、とても良さそうな気がしました。途中から、この役はじゅんさんとか、これは粟根さんとか、勝手に脳内キャスティングして観ていたら、妙に楽しくなりました。

    ネタバレBOX

    何故か、新田義貞の霊まで出て来たり、いつもは敵役の定九郎がいい人だったり、四谷怪談の伊右衛門が、討ち入りの時は、師直の配下の小林平八郎に改名していたり、かなりとんでもない話に変わっている部分もありながら、本軸は、両方の演目の流れから逸脱していなくて、なかなか趣向が楽しい作品でした。
    一幕の幕切れの両国橋の花火が綺麗!!普通の歌舞伎では見ない演出でした。
    忠臣蔵がスピーデイに巧くまとまってわかりやすかったのに比べ、四谷怪談の方は、やや役者さんの動きがぎこちなくて、次の場面のための仕込みが客に気取られる箇所が何度か目に付き、気になりました。一番おかしかったのは、お岩が、後で自分の首が刺さって死ぬための刀を、懸命に柱の穴に突き刺していたこと。喜劇じゃないんだからと突っ込み入れたくなりました。
    門之助さんと笑也さんが良かったなあと思いました。

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    2010/04/09 03:29

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  • KAEさま
    「忠臣蔵の系譜」というのは面白いテーマですね。真山青果の新歌舞伎は司馬遼太郎に通じるものがありますね。

    >この舞台で、斧定九郎が忠臣として登場しましたが、忠臣蔵の研究者によれば、大野は、忠臣だったという説が有力です。ですから、こういう定九郎の設定もありだなと思いました。

    なるほど。大野っていうと、どうしても時代劇でも金箱持って逐電しちゃう場面とかが印象的ですね(笑)。浅野内匠頭も最近はヒステリー説とかありますけど、まあ、私などは、けっこうガマンをためてためて、ああなっちゃったと思いたいですが。大学生のとき、「徳川実記」を読んでたら、浅野が吉良にいじめられたという表記はないけど、他の大名が吉良に厳しく注意されたり、とかくの風聞はあったようですね。


    >私の、師事した池田一朗先生が、晩年時代小説作家、隆慶一郎として、数々の名作を残されたのですが、池田先生が書かれた「大忠臣蔵」が、私は幾多の忠臣蔵物の中で一番好きでした。
    隆慶一郎ファンの新感線の中島かずきさんに、いつか隆慶一郎テイストの忠臣蔵を書いてもらえないかなと、この舞台を観て、妄想してしまったのです。

    池田一朗さん、懐かしいお名前です。時代劇の脚本もたくさん手がけてましたよね。池田さんのお弟子さんだったというKAEさまも大物ですね。素晴らしい。隆慶一郎ファンは多いですね。早く亡くなられましたが。確かに新感線が挑むとよいかも。

    2010/04/14 23:24

    きゃる様
    卒論は、「忠臣蔵物の系譜」の予定で、元禄忠臣蔵まで行く予定だったのですが、ちょうど、父が亡くなった頃で、急遽、「仮名手本」までに変更させてもらいました。
    この舞台で、斧定九郎が忠臣として登場しましたが、忠臣蔵の研究者によれば、大野は、忠臣だったという説が有力です。ですから、こういう定九郎の設定もありだなと思いました。
    私の、師事した池田一朗先生が、晩年時代小説作家、隆慶一郎として、数々の名作を残されたのですが、池田先生が書かれた「大忠臣蔵」が、私は幾多の忠臣蔵物の中で一番好きでした。
    隆慶一郎ファンの新感線の中島かずきさんに、いつか隆慶一郎テイストの忠臣蔵を書いてもらえないかなと、この舞台を観て、妄想してしまったのです。
    そうそう、三角屋敷は良かったですよ。あの場面はなかなか好きです。歌舞伎ならではの粋な色気がありますよね。

    2010/04/13 21:49

    KAEさま

    新聞の劇評がなかなか褒めてあったので、KAEさまのレビューも楽しみにしていました。
    おかげさまで何となく舞台の想像がつきました。今回、「三角屋敷」が良いらしいですね。国立の「四谷怪談」で猿之助の直助権兵衛、現幸四郎の佐藤与茂七、精四郎のお袖の「三角屋敷」を観ましたが、当時、「まったく新世代の三角屋敷には賛否両論あろう」と言われ、武智鉄二氏が「猿之助の直助はTV時代劇のようで安っぽい」とちょっと変わった酷評をしたことを覚えてます。お父上は評価されていた記憶がありますが。
    KAEさまは卒論が「忠臣蔵」だったのですね。さすが、です。いまから25年くらい前、先々代の仁左衛門さんの分厚く大きな「忠臣蔵」解説書を中央区図書館から借りて、歌舞伎座の通し狂言観劇に持ち込み、首っ引きでチェックしたんですが仁左衛門さんが「間違い」とするやりかたで演じてる役者もいましたねぇ。どちらも通しで何度か観て、最近はおっくうになって観に行ってません。
    「四谷怪談」は勘九郎のお岩初役以来、行ってないかも。
    猿之助は倒れる直前の「按摩道玄」を観ておいてよかったと思います。突然だったので驚きました。昔はお水しか飲まない下戸だったのに、ワインと美食が生活習慣病を呼んだ気がして残念です。
    この一座も過去にずいぶん観ましたが、最近は観ていません。大人になったんでしょうね。

    2010/04/13 20:11

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