満足度★★★
観て良かったとは思うけれど
誰もがミュージカルに期待するような「ワクワクと、楽しい気分」とは全く対極のストーリーなので、ミュージカルなのに、ずっといろいろ頭の中で、思考がやむことがありませんでした。
予備知識なく観に行きましたが、この主人公の姉妹は実在の人物だったのですね。
だったら、実際の姉妹の話に即したストーリーなのでしょうが、これが、ブロードウェイミュージカルだという点に、ちょっと引っかかりました。
作者は、どういう思惑でこの作品をミュージカルにしようと決めたのか、大変気になりました。
ヒルトン姉妹を演じたのは、元宝ジェンヌの中でも、演技力に定評のあるお二人なので、後半は特に二人の哀切な演技表現に、涙が出そうでしたが、お一人、長く某劇団に在籍されていた役者さんが、演技者としての表現力が乏しい方だったために、その出掛かった涙が何度も目の奥に引っ込みました。
むしろ、大澄さんと役を交代されていたら、もっとクオリティの高い作品になっていたかも知れません。
その反面、若い伊礼彼方さんが、演技も歌も、身体表現も、実にフランクな表現力があって、また彼の表現者としての資質に、頼もしさを覚えました。
板垣さんの演出は、全体としては好きでしたが、最初、アンサンブルの人達が、一人一人登場してから、音楽が始まるところだけは、再考の余地ありと感じました。
楽曲の素晴らしさ、照明の美しさは、特筆ものだと思います。