れいの観てきた!クチコミ一覧

321-340件 / 349件中
エゴ・サーチ

エゴ・サーチ

虚構の劇団

紀伊國屋ホール(東京都)

2010/09/10 (金) ~ 2010/09/19 (日)公演終了

満足度★★★★★

圧倒的でした。
鴻上さんの演出力、役者さん全員の演劇力。この輝かしい生命力に目を見開いて凝視しているうちにあっという間に幕が下りてしまう。あまりに凄い舞台なので初日千秋楽含めて6回観てしまいました。私が今までに観た中で最高の演劇です。沢山の幸せをいただけて、感謝。

のるもの案内

のるもの案内

スミカ

MODeL T(東京都)

2010/08/21 (土) ~ 2010/08/22 (日)公演終了

満足度★★★★★

素敵空間。
事前に郵送で届いた宿題は「今までで一番印象的な旅」。思い出しながら書いてるうちにとても幸せな気分になり、劇場に向かう電車の中も小さな旅に出るような気分で過ごせました。

そして、カフェに着くと、ギャルソン姿の菅野さん・金丸さん・鈴木さんのお出迎え。どこのイケメンカフェかとドキドキしてしまいました(笑)この演出も、確りとした舞台芸術に根を降ろした方達だからこそ成り立つのだなと思います。

もちろん肝心のお芝居も、カフェならではの素敵な空気感に溢れた珠玉のようで。身の回りの品物の擬人化や宿題を使った即興芝居など、遊び心たっぷりの演出も面白く。観客としてではなくカフェの客としてその空間に馴染んでいるような気にもなり、夏の一つの思い出としてとても印象的な1時間を過ごさせていただきました。

夏真っ盛りでしたが、「暑い」ではなく「あたたかい」。こんな優しい気持ちにさせてくれるのは、さすが時間堂+スミカさん。帰りの電車でももちろん笑顔。楽しかったです☆

7/13-7/19『ON THE WAY HOME』(黒澤世莉演出)

7/13-7/19『ON THE WAY HOME』(黒澤世莉演出)

(株)喝采企画

シアターKASSAI(東京都)

2010/07/13 (火) ~ 2010/07/19 (月)公演終了

満足度★★★★★

主演男優賞モノ。
優しい印象の時間堂以外での黒澤さん演出、初見です。丁寧さや繊細さはそのままに、重厚で湧き上がってくるような底力のある演出。派手なセットは一切無く、美しい照明と役者の力で魅せる辺り、凄い、と感嘆しました。
主演の菅野貴夫さんはその緻密で思慮深い演技力を遺憾なく発揮して、驚愕に値する存在感で圧倒。もし小劇場アカデミー賞があるとしたら、今年の主演男優賞は間違いなく菅野さん。戦争の真っ只中を兵士として生きてきた人間の思いや覚悟を、静かにしかし滾るような熱情で、リアルタイムでの感情表現と回顧する人間としての感情表現を演じ分けながら見事に体現していました。
力のある作り手による、重いながらも忘れてはいけないテーマのお芝居を、暑い夏の日に観ることが出来て心から嬉しかったです。

ちなみに数少ない小道具のほとんどが、銃であったりナイフであったり拷問道具であったり・・・人が人を傷つけるために作り出したもの、ということが偶然かも知れないけれど印象的でした。

君といつまでも

君といつまでも

バジリコFバジオ

駅前劇場(東京都)

2010/06/17 (木) ~ 2010/06/21 (月)公演終了

満足度★★★★★

エンタメと芸術の見事なまでの融合。
一言で言うと、「面白かった!!」。小劇場から大劇場まで通用する、エンターテイメントと芸術を見事なまでに融合させた舞台。オリジナリティ溢れるデザインの人形劇を交えての演出は、独自のジャンルを確立していて凄いな、と。 何より、人間は沢山の人の思いでその生を受けている、という前向きなテーマがはっきりと前面に押し出されていて、子供から大人まで沢山の人に観てもらいたい楽しい楽しい舞台でした。
クライマックスのアクションシーン(特に女の子だけの殺陣)、ガンガンに盛り上げて行ってラストに全員で合唱という構成はすんごい私好み。ロックとクラシックを多用した選曲もいいし、音響も絶妙でした。大音響でも耳障りじゃなくて、いいスピード感で音楽が突っ走る。その結果、心臓がどんどん高鳴っていって、カーテンコールで思わず泣いてしまいました。素敵なお芝居をありがとうございました。また観たいです、バジリコ。

(感想遅くなってすみませんでした、、)

よせあつめフェスタ

よせあつめフェスタ

プロジェクトあまうめ

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2010/06/13 (日) ~ 2010/06/13 (日)公演終了

満足度★★★★★

単なるお祭り騒ぎではない。
twitter発とか、準備期間2週間とか。それらを全部凌駕するほど真摯な「舞台芸術」を見せていただきました。関わった役者さん・スタッフさん達の、今までの演劇人生の積み重ねがあるからこそのクオリティ。素晴らしい公演を見せていただきました!「twitter演劇」との一言で済ませたくないくらいです。
ちなみに、初見である堀越涼さんの芸術的な演技が心に残っています。久しぶりに「演技をみていたい」役者さんに出会った気がします。

(感想遅くなってすみません、、)

タイムカプセル

タイムカプセル

劇団活劇工房

明治大学和泉校舎第二学生会館地下アトリエ(東京都)

2010/06/25 (金) ~ 2010/06/27 (日)公演終了

満足度★★★

伝わってくる。
非常に荒削りではあるけれど、ちゃんとやりたいことが伝わって来る。メンバーが変わってもそこは変わらないところが感動的で、活劇工房にはついつい足を運んでしまいます。
今回の公演はクライマックスの復讐のシーンの演出が非常に美しかったので、そこに向かうまでの「薄皮一枚で繋がるような」演出の統一感があればよかったなと思います。コメディの部分が滑りまくってましたが、そこが完成されれば悲愴感に拍車がかかったかも。

コンパの部分は非常に楽しくて、ずっと爆笑してました。混ざりたかったです(笑)ダンスシーンに照れが見えたのはご愛嬌。可愛かったです。

北と東の狭間

北と東の狭間

JACROW

サンモールスタジオ(東京都)

2010/05/07 (金) ~ 2010/05/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

デートにオススメ。
こんなにドラマチックな会話劇を観たのは初めてです。映画的な派手さもあり、ライヴ感もたっぷりとあり。中国人ホステス役の女優さん達が皆小悪魔的で愛らしく、その媚薬のような空気に眩暈さえ感じます。女性陣のみならず男性陣も悪人ばかりですが、外伝まで観るとみんな愛おしく思えてくるから不思議。

中村さんの脚本・演出は初めて観るのですが、ラブストーリーとはいえとても硬派でキナ臭さが漂っていました。ひどい恋愛ばかりなのに、見終わった後は濾過された愛の美しさにうっとり。そんな純愛物語。大人が楽しめる演劇として、デートにもオススメです。素敵なラブシーンのおかげで、二人の仲が深まること請け合いです☆

ネタバレBOX

外伝の加藤と野村には爆笑。加藤、お母さんに電話してて可愛いし。野村、中島みゆき歌い切ってるしw ネーミングも「バーカウンターとボトル棚の狭間」「空と君の狭間」(タイトル合ってますか?)とか、もう(笑) 長澤もひどい男ですよねぇ。あそこまで一貫性があると、逆に単純で可愛いです。実際にいたら間違いなく往復ビンタですがw
パンオプティコン

パンオプティコン

劇団活劇工房

明治大学和泉校舎第二学生会館地下アトリエ(東京都)

2010/04/22 (木) ~ 2010/04/25 (日)公演終了

満足度★★★

一番大切なこと。
学生のサークルということで荒削りな部分は多々ありましたが、それを差し引いてなお、全員が楽しんで演劇を創り上げている様が舞台から沢山伝わってきて、観ている間中純粋な感動で心が満たされました。演劇で一番大切なことは、楽しむ心、楽しませようとする心なんじゃないかなって再確認。素敵な時間をありがとうございました、これからも頑張ってください(^o^)

※岩倉頌磨くんに突出した演技力と華を感じました。

Fight Alone 2nd

Fight Alone 2nd

エムキチビート

ギャラリーLE DECO(東京都)

2010/03/17 (水) ~ 2010/03/21 (日)公演終了

満足度★★★★★

闘いの末の、目指す場所。
皆さまの闘いを目撃するため、全チーム鑑賞しました。

終わってみると、実力派の客演の方達が集結する中、エムキチビートの劇団員が一つの場所を目指して闘い抜いた清清しさが印象的。劇団員の芝居からはどれも、「自分達の演劇を守ること」「自分達の世界を生きること」への思いが強く感じられ、一つ一つの演目を丁寧にテーマ立てて世界を作り上げていたように思えました。

何より、お芝居を観たあとのこの幸福感。舞台と客席の交歓、共に高みを目指すグルーブ感。エムキチビートは今それが最も感じられる劇団です。だから大好きなのです。

長くなりそうなので、後はネタバレBOXで。

ネタバレBOX

中でも印象的なのは、太田守信さんの手掛けた3作品。「さいごのおつかい歩兵編」ではエムキチビートの真髄でもある思想「生きる」を笑いに載せて提供。一対の作品である「硝子の瞳」「Glass Eye」ではシリアスな一面を見せ、彼の抱く排他的・退廃的な耽美世界の悲しいまでの美しさに号泣。彼の多彩な才能の一面を垣間見せてくれました。
主宰・元吉さんの作・演出での和田亮一くんの「走馬燈」も圧巻。決して元吉さんの亜流ではない彼自身の生き様を芝居に投影しつつ、元吉さんの思想を確実に体現していて涙で魅了してくれました。

客演の方はどなたもその独自の空気感を凝縮した濃い芝居を見せてくれたのですが、初見だとその世界観を把握するまでに少々時間がかかってしまう難があり。しかし家に帰ってからじわじわと笑いがこみ上げてきて、もう一度観たいと思わされる作品ばかりでした。(免出さんや山中さんの作品は、いい意味でキ○ガイだな、と。)そんな中で圧倒的だったのは、木田友和さん。計算しつくしたスピード感のあるお芝居中、11役という驚異の演じ分け。短い時間でも挑戦をする前向きさに心を打たれました。

ちなみに5日中4日通いましたが、総じて楽しかったです。素敵なお芝居の時間をありがとうございました。
月並みなはなし[2010]

月並みなはなし[2010]

時間堂

座・高円寺2(東京都)

2010/03/11 (木) ~ 2010/03/14 (日)公演終了

満足度★★★★

温度差。
WIPは本当に素晴らしかったのです。しかしあの時感じた心の揺れや、繊細な時間の流れの愛おしさが、座・高円寺2という劇場では充分に感じられなかったのが残念。時間堂という劇団の持つ、人の優しい部分や優しくされたい部分にすーっと自然に流れ込んでくるその温かみが、感じられる人には感じられ、そうでない人には「で?何?」という置いてきぼり感のみが残る、そんな温度差が生まれるのではないかと危惧してしまいました。
それはやっぱり、劇場のキャパシティと演出の細やかさの釣り合いが取れていなかったのが原因かなと感じます。黒澤さんがトークショーで仰ってたように、円形で客席に囲まれた形の舞台だったら、観客が耳ちゃんを通してその話し合いに参加しているような錯覚を起こしえたかと思います。時間堂さんの持つ素敵な空気感が好きなので、もっともっと沢山の人にその良さを伝えていただきたいと切に願います。
厳しい意見を書かせていただきましたが、それでも後半は女性陣に共感させられて泣きっぱなしでした。そしてBuy1Get1という素敵なシステムのおかげで、久しぶりに会う大切な友人と素敵な時間を過ごさせていただきました、ありがとうございました。

ゴージャスな雰囲気/めんどくさい人(千秋楽満員御礼で終了しました・感謝!御感想お待ちしています)

ゴージャスな雰囲気/めんどくさい人(千秋楽満員御礼で終了しました・感謝!御感想お待ちしています)

MU

OFF OFFシアター(東京都)

2010/02/03 (水) ~ 2010/02/14 (日)公演終了

満足度★★★★★

終わらなければいいと思った。
3バージョンコンプリート。Cバージョンは2回鑑賞。思い余ってレイトショーの「きみは死んでいる」「密会」まで観ました。最初から最後まで、楽しくて楽しくて。このままお芝居が終わらなければいい、MUの客席にずっといたいって心から思いました。

一番のお気に入りはCバージョン。マダム版の「めんどくさい人」では、厭世観に埋もれた退廃から徐々に引き戻される怖さとその甘い疼きに嫌というほど共感させられ、コメディで終わったのにカーテンコールと共に涙が溢れて止まりませんでした。

MUを観る度に感じる、過去の自分を引きずり出されるフラッシュバックのような痛みは今回も健在。鋭利なナイフのような切れ味の中から溢れるハセガワアユムさんの普遍のメッセージは、限りない人間への愛。観劇を重ねるごとに忘れかけていた自分の歴史を思い出し、それを懐かしみ、慈しむ時間を与えてくれる。嫌いだった自分を愛せるような気がするし、そして未来に何があっても、自分を・人生を愛せる気がする。

そんな不思議な感覚を観劇後に味わえるのは、MUだけ。演劇を超えて、素晴らしい人間の力を観せていただけることに心から感謝しています。

幸せの歌をうたう犬ども【ご来場ありがとうございました!】

幸せの歌をうたう犬ども【ご来場ありがとうございました!】

DULL-COLORED POP

タイニイアリス(東京都)

2010/02/02 (火) ~ 2010/02/04 (木)公演終了

ドMならいいかも。
あらゆる意味でエゴイスティック。多分、どんな感想書いても谷さんには太刀打ちできないだろーな。褒めても罵倒しても鼻で笑われそうだし。と、観劇している間だけでなく、感想書くときにも観客として落ち着ける場所のない不思議な感覚の舞台でした。この舞台を楽しむためには徹底時にドMにならなければならない。谷さんという人間に調教される覚悟がいる。それだけに、麻薬のような存在になり得るんだろうなと思わされる、カオス。

エレクトリック:サーカス∴デイズ

エレクトリック:サーカス∴デイズ

エムキチビート

萬劇場(東京都)

2009/12/10 (木) ~ 2009/12/14 (月)公演終了

満足度★★★★★

闘い。
素晴らしい舞台でした。エンターテイメントとして極上を目指す演出、一人の人間の小宇宙の中での葛藤を描きながらも全ての人間に素敵なメッセージを贈る脚本。そして、主演の小野川晶の奇跡の演技力。娯楽として充分に楽しめるものであると共に、初日を観てその舞台が役者さん達の「闘い」であることに気付き、その行方を見守るためにチケットを追加で購入。結果、2日目を除く全ての日に通うことになりました。

その難しさの所以は、物語が小野川さん演じるミカの脳内で起こっているということ。全ての登場人物が彼女の脳内で走り回り、その精神世界を作り上げ、尚且つ彼女を苦しめる。それを表現する役者さん達の演技のバランスの絶妙さを要求する演出に、一人残らず役者さんが葛藤し、いかに産みの苦しみを味わったかが容易に想像できるのです。

その役者さん達の舞台上で「生きている」姿が物語のテーマとシンクロして、えもいわれぬ感動を覚えました。皆が自分と闘い・真正面から向き合い、素敵な舞台を作り上げようと必死で生きている。そんな姿を観て、私も私の日々を大切に生きようと思えたのでした。

なお、ミカの脳内で生きるミカの人格の一人として内山眞人くんが秀逸であったこと、そして千秋楽に素晴らしい飛躍を見せてくれた和田亮一くんが激しくカッコよかったことを記しておきます。

ネタバレBOX

スタイリッシュに・そしてファニーに、隅々まで細かく演出された繊細さがこの舞台の一番心に残った部分でした。どの舞台でも根底では同じなのですが、この舞台は特に、一人で演技をする人がいると全てが壊れてしまう危うさがあったと思います。そういう意味で、夢の世界から突然現実に引き戻されてしまう瞬間があったのも否めませんが、総じて情熱を節々に感じた素敵な舞台でした。

あ、これ、ネタバレじゃありませんね 笑
2P【満員御礼で無事終了☆】

2P【満員御礼で無事終了☆】

岩☆ロック座

シアターPOO(東京都)

2009/12/12 (土) ~ 2009/12/13 (日)公演終了

満足度★★★★

大人って楽しい。
時間堂の菅野貴夫さんが出ているというだけで行ってみました。その菅野さんが白ブリーフで踊る前説にドン引きしたものの、いい意味でバカバカしくそして切ないオムニバスを、お酒を片手に鑑賞しながら「大人って楽しいなぁ」としみじみ。総じて面白かったです。

「プレイ」の菊池美里さんは、いい意味で怪物。舞台に姿を見せるだけで笑いのスイッチが入ります。ショートパンツを脱いでタイツ姿で繰り広げられるベッドシーンには、こんなに色気の無い濡れ場が存在するものなのかとかなり笑わされました。いつか彼女がSEX出来る日が来るようにと思わず祈ってしまいました(^-^;)

「Ceremony」ああ、この繊細さが菅野さんだなって実感。白ブリーフの記憶を一気に消し去ってくれました(笑)男女が別れるまでの細かい心の揺れに、自分の過去の別れの記憶を思い出させられて胸が痛みました。二人のちょっとした心の掛け違いが埋められない溝の形成へと繋がっていく様は、私もあの時ああすればよかった、でもああしか出来なかったのが悲しかった・・・なんて、ちょっとセンチメンタルな気分にさせられたものです。いい意味で痛い作品でした。

ちなみに、ダッチワイフやらローターやらが転がっていた舞台には、最後に白い服を着た愛らしい本物の少女が・・・カオスでした(^-^;)

※星ひとつ少ない理由は、白ブリーフです(笑)

11月戦争とその後の6ヶ月

11月戦争とその後の6ヶ月

アロッタファジャイナ

ギャラリーLE DECO(東京都)

2009/11/23 (月) ~ 2009/11/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

アロッタ史上、最高の。
オシャレでPOPで可愛らしく、そしてカッコ良くてドラマチックな作品だったのが「11月戦争とその後の六ヶ月」。笑いと涙と愛とエロ(笑)に満ちた素敵な作品でした。客演の鈴木信二くんを中心にバランスの良い配役が垢抜け感の一番の理由かも知れません。初日ということで固さやトラブルも多々ありましたが、きっとこれからどんどん良くなっていくんだろうなという予感は大ありです。

「王国」の脚本は現役高校生の手によるものだそうですが、高校で演じていたら高羽彩さんの「モロトフカクテル」以来の伝説になったと思われます。学生運動家を徹底的に時代の敗者として描き、悪意さえ感じるその描き方は観ていて吐き気を覚えたほど(誉め言葉です)。その脚本家の金子くんは、役者の才能もあると見受けました。将来が楽しみです。

(※後日、「影のあるオンナ」も観る予定です。その後、追記します)

ネタバレBOX

・峯尾くんの役がとても愛に満ちていて、こんな風に愛されたら幸せだろうなと乙女心をくすぐられました(*^-^*)

・新平くんもとても温かいアホキャラを生き生きと演じていて素敵でした☆
サードパーティー

サードパーティー

演劇ユニット・リッチ

ギャラリーLE DECO(東京都)

2009/11/05 (木) ~ 2009/11/08 (日)公演終了

満足度★★★★

楽しめました。
フライヤーからは全く予想がつかなかったお芝居の中身は、共学になった高校の職員室で起こる人間模様を描いた悲喜劇でした。登場人物たち(ほとんど先生)はステロタイプなのにどこかシュール。描かれているのは、学園物にありがちな理想的な教師像ではなく、普通に欠点を持った等身大の人間。

思えば私が高校の頃は、先生は「大人」で、自分とは異なるフィールドにいるという意識があって。 だから恋愛対象になんて見たこともないし、心を開く気もありませんでした。

自分が大人になった今は、もちろん先生も普通の人間と思えるので、この感覚のまま高校生活を送っていたら 先生を生身の男や生身の女として見てしまうだろうし、このお芝居のように細かな小競り合いなども見えてしまってそれはそれで面倒くさい高校生活になりそうだな、と。何も知らない子供でよかったです 笑

そんな風に昔を振り返ることもできる、どこか懐かしい舞台でした。

ネタバレBOX

それぞれの先生の、細かい人間臭さが結構ツボで。
特に、阿佐ヶ谷姉妹のような風貌のマサ子先生。 地味で真面目そうで、いかにも教師と言った風体。 女としての「性」を感じないとか、干物だとか、陰で言われ放題で。 けれど、陰口を叩いた先生の変な噂をわざと女生徒の間に流したり、 自分が心を寄せていた男の心を持っていかれた腹いせに妹の不倫を母親にバラしたり。陰湿にしてブラック 笑

他にも、目が異様にギョロっとしたバツイチの女教師とか。対人恐怖症なのに人一倍女生徒に興味を持っている先生とか。面白キャラだらけ。

そんな中で核になっているのが、女生徒とデキているという噂の、安住というイケメン教師。メンヘルの女生徒との関係に悩んでいるようで、実はもっと深い悩みを抱えていて。徐々にその闇が、学生時代からの親友であるタケオ相手に明かされていく過程がちょっとドキドキしました。

セリフではまったく触れられていませんでしたが、タケオに対する安住の切ない思いが演技から溢れていました。やるせない思いを振り切るようにタップを踏む安住がめっちゃカッコ良かったです。

星を一つ減らしたのは、面白かったのに声を出して笑える空気ではなかったので・・・。何か一つ、序盤に空気が温まる要素がほしいなと思いました。
パンクック

パンクック

9-States

OFF OFFシアター(東京都)

2009/09/25 (金) ~ 2009/09/29 (火)公演終了

満足度★★★

いろいろ惜しいかな・・・。
最後列で拝見しましたが、ナチュラルすぎて声が届かない場面もあれば、口内クラッカーや本気の往復ビンタという演出もあり、全体的な演出に統一感が感じられませんでた。また、お話もドタバタかと思いきや、しっとりさせるような場面もあり、それらを中途半端に無理矢理つなげている感がありしっくり来ませんでした。いっそのこと、演出もお話もドタバタに徹してしまった方が観客として観やすかったかもしれません。ちなみに唯一ウケたのは、大掛かりなセットを繰る舞監さんの本気で楽しそうな笑顔でした(^-^;) あとやっぱり、このお話は8月に観たかったな。

遠吠えが聞こえるか。

遠吠えが聞こえるか。

キテレツゥ

RAFT(東京都)

2009/09/25 (金) ~ 2009/09/27 (日)公演終了

満足度★★★

シュール。
キテレツゥ版「人間失格」。シュールで不条理な世界が小さな空間で繰り広げられ、この手のじわじわ来る空気感が好きな人にはたまらないんだろうなぁ、と思いました。
しかし寒々としたシュールな笑いが持続するには刺激不足で、例えば平手打ちや、お腹をドツくシーンは本気でやっちゃって良かったような気がします。ロックミュージシャンがお婆さんをボコる不謹慎さはあるのに、本気で殴るくらいのキレ感がないと、なんだかアンバランスな感じがして全体的にお話の印象がボケてしまう。もっと抉るようなキレがないと、1時間半の上演時間は長くて辛い。
しかし5人の役者さんのバランス感はとてもよく、特に峯尾くんのシュールなはじけっぷりには目を引かれました。駅から遠い劇場でしたが、その道のりを経て峯尾くんの演技を観た価値は大アリでした。

片想い撲滅倶楽部(公演終了・ありがとうございました・御感想お待ちしています)

片想い撲滅倶楽部(公演終了・ありがとうございました・御感想お待ちしています)

MU

新宿シアターモリエール(東京都)

2009/09/10 (木) ~ 2009/09/13 (日)公演終了

満足度★★★★★

神様がいた。
最初こそ「いつものMUより甘い?」と思ったものの、段々と記憶の奥底を抉り出され、前公演の「便所の落書き屋さん」同様、心臓や脳が切り裂かれるような痛みを覚えました。結婚相談所の社長の罪悪感や虚無感は、性的な倫理という意味では正反対の価値観を持つ私でも容易に共感できるし、その感情の流れに胸が自然に熱くなる。だからこそラストシーンには浮絵が神様に見えたし、赤い糸が沢山見える光景が非常に可愛く思えました。役者さんが皆さん、もれなく生き生きとして魅力的に感じましたが、やっぱり元吉庸泰さんがいいキレっぷりで素敵でした。彼が煙草を吸ってるシーンはあまりのカッコ良さに釘付けで、メインの芝居を観れませんでしたごめんなさい(笑)

神様はいない(公演終了・ありがとうございました・御感想お待ちしています)

神様はいない(公演終了・ありがとうございました・御感想お待ちしています)

MU

新宿シアターモリエール(東京都)

2009/09/10 (木) ~ 2009/09/13 (日)公演終了

満足度★★★★★

絶望した。
仏壇に手を合わせていても信仰心があるわけではなく、最後の神頼みをしてるくせに神の存在を信じているわけではない。クリスマスにケーキを食べて花祭りには甘酒を飲む、そんな標準的な日本人の感覚を持つ私だけど、「神を守ろうとして人を刺し返り血を浴び犯罪者になる」、そのラストに心の中で叫びました。「神様はいない!」。その時、神がいることを願っていた自分に気付き、カーテンコールの後に深い絶望感を覚えました。

花束をバシバシ叩きつけたり、不自由な足を蹴飛ばしたり。「片想い」の方でもババァとかデブとか言いたい放題で、MUの見せる凶暴性には容赦がない。しかしそこに「人間のありのままの姿」を見出し、またそれを肯定する自分に気付き、小さな罪悪感と奇妙な快感に包まれる・・・だから私はMUの虜なのだと気付かされました。

怖くて素敵なお芝居をありがとうございました。次回作も楽しみにしています!

(追記)あまりの衝撃に、ラストの「雨は雨」の意味をその場では分からずにずっと考えてました。いまさらながら、他の方々の感想でいろいろ気付きを与えてもらってます。私にとってMUのお芝居は、怖いほどリアルな「己との対峙」です。このような演劇もあるのだと感動しきりです。

このページのQRコードです。

拡大