満足度★★★★★
終わらなければいいと思った。
3バージョンコンプリート。Cバージョンは2回鑑賞。思い余ってレイトショーの「きみは死んでいる」「密会」まで観ました。最初から最後まで、楽しくて楽しくて。このままお芝居が終わらなければいい、MUの客席にずっといたいって心から思いました。
一番のお気に入りはCバージョン。マダム版の「めんどくさい人」では、厭世観に埋もれた退廃から徐々に引き戻される怖さとその甘い疼きに嫌というほど共感させられ、コメディで終わったのにカーテンコールと共に涙が溢れて止まりませんでした。
MUを観る度に感じる、過去の自分を引きずり出されるフラッシュバックのような痛みは今回も健在。鋭利なナイフのような切れ味の中から溢れるハセガワアユムさんの普遍のメッセージは、限りない人間への愛。観劇を重ねるごとに忘れかけていた自分の歴史を思い出し、それを懐かしみ、慈しむ時間を与えてくれる。嫌いだった自分を愛せるような気がするし、そして未来に何があっても、自分を・人生を愛せる気がする。
そんな不思議な感覚を観劇後に味わえるのは、MUだけ。演劇を超えて、素晴らしい人間の力を観せていただけることに心から感謝しています。