えのきぃの観てきた!クチコミ一覧

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気がつけば五・七・五

気がつけば五・七・五

試験管ベビー

千種文化小劇場(愛知県)

2015/07/31 (金) ~ 2015/08/02 (日)公演終了

消化不良
「浦島サミット」「最低の台詞、最高の使い方」に続いて3回目の観劇。

今回も、笑わせて頂きました。
本当に、笑いのパートはテンポの良さに加え、思わず笑ってしまう台詞の応酬で、流石の試験管ベビークオリティといった印象。
ただ、残念ながら、今回のお客様参加システムは、物語の舞台(どういう人物が集う場所か)が分かってからは、どういうシーンで参加することになるかが読めてしまった。

で、投稿タイトルの消化不良。
理由は2つ。

まず、タイトル。
これ、企画?の段階ではもっと違う話だったんじゃないか?と思うくらい、内容とリンクしきれてない。
もう一つ、役者陣の台詞回し。
この団体に関して、今までこう思ったことはなかったのだけれど、今回はあまりに気になってしまった。
台詞一文の中に、声の大小?抑揚?うねり?何て言うのかな、よく分からないけれど、それが古参の方にも若い方にもあって、台詞が聞き取れない。
例えば冒頭の川柳も、「か○○○○ かくかくしかじか か○○○○」って、今何て言った?ってなってしまう。
普通の会話でそんな風になることはないから、やたら“台詞っぽく”感じる。
笑いのパートはやり込んでいるからか、テンポが良いからか、全く気にならないのだけど。

この2つがあって、消化不良。
途中で内容変えたから、練習不足になって、台詞がおかしくなってるのか?とか邪推していしまう。

11月の公演は楽しみにしています(^^)

20000ページ

20000ページ

文学座

文学座アトリエ(東京都)

2015/04/16 (木) ~ 2015/04/30 (木)公演終了

だからアトリエ公演は好きだ!
初回公演を観劇。上演時間2時間10分強、休憩なし。

いやーお腹いっぱい(^^ )とても楽しめた。
あっという間の2時間だった。
ラストの展開は、自分の予想と違った。

観客の一人曰わく「アルジャーノンの二番煎じ」と。
言われてみると……流れ的にはそうかもしれない。
でも、①“頭が良くなる”内容が違うし、②主人公がその能力を手に入れた後、主人公が苦悩する方向性(?)が違う。

主演のトニー、彼の主治医の女医が印象に残る。
本当にこの二人の台詞回しはすごい。
「これ、何ページ分一人で話してんのかな?」と何度も思うほど。でも、ちゃんと理解できる。独りよがりでない。

そう、この作品、台詞が面白い。
その台詞を用いて、文学座での稽古?レッスン?訓練?が垣間見える場面があります。

真実の歴史を知ることの苦悩、その歴史自体には無関心な人々、周囲に対して、また過去に対して何もできない苦悩、そんな中で当事者から突き付けられた衝撃の一言、歴史(過去)を軽んじ科学を至上とする者達、その先にあるもの、そのラスト。

これだから、アトリエ公演は好きだ。

追憶のアリラン【ご来場ありがとうございました!】

追憶のアリラン【ご来場ありがとうございました!】

劇団チョコレートケーキ

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2015/04/09 (木) ~ 2015/04/19 (日)公演終了

劇団チョコレートケーキにしかできない
終演後アフタートークがあった回を観劇。

アフタートークで、劇作家の古川さんが「5年後にはできないのではないかと思って。やるなら今しかないと。」とおっしゃっていましたが、今でも、このご時世の中、劇団チョコレートケーキにしかできないと思う。この劇団だからこそできたのだと思う。韓国の演劇祭で上演できなかったのは最もだろう。
というか、むしろこれは日本でさえも、やって良かったのか?とさえ、思う。
それほどデリケートな問題にぶつかった作品である。

本当に、この劇団の作品は期待を裏切らない。濃厚で重厚で繊細で緻密。一人一人が主人公。どの人の気持ちも分かる。
その時代背景の中、各人の立場、思想、思惑、役割…人間とは何か?戦争とは何か?人種とは、祖国とは、誇りとは…そういったものを考えさせてくれる。
歴史問題(戦争責任)とかってことよりも、「人」に焦点を置く作品。

ただ、今回の作品は、今までと違って、分かりやすくはない。着いてはいけるけれども。
過去の作品でも、現代からのモノローグ→過去の回想、の繰り返しの多用(扱うテーマ的にそうなる)はあったが、今回は、シーンごとの時系列が前後したり、モノローグが現代からのものであったり、過去のモノローグから更に過去の回想になったりした為だと思う。

舞台衣装の眼鏡にレンズは入れないとか、フレームは光らない素材にするとかした方が良い。
牢獄の中では少し声が響くようにしてあった。細かいこだわり。
客入れの音響の重低音がずっと続くのは…頭痛くなってくる。

色々書いたけど、やはり劇団チョコレートケーキの世界観は素晴らしい。名古屋から見に来て良かった。

手を握る事すらできない

手を握る事すらできない

劇団時間制作

明石スタジオ(東京都)

2014/12/17 (水) ~ 2014/12/21 (日)公演終了

若い才能に出会った
下手(しもて)チームを観劇。

良かった。本当に。
こんなにも深いテーマを、こんなにも深く、かつ淀みなく、描ききってくれた舞台は観たことがない。
この作品を観て、次回作も是非観たい、過去作品も観てみたい、と思った。
聞いた話によると、作・演出はまだ23歳とのこと。そんな青年がこの作品を書き上げたことに驚いた。これからが楽しみな才能だ。

いじめをテーマにした作品。
いじめなんだけど、いじめの内容はあまり出して来ない。それよりも、いじめる側、いじめられる側、クラスメート、教師、学校管理者の立場や関わりを丁寧に描く。
あんなに登場人物がいるのに、全くごちゃごちゃにならずに描いてくれた。あんなに登場人物がいるのに、無駄な人物がほぼいない。
それぞれの人物にとっての起承転結がはっきりしている。

いじめる側からいじめられる側への変換、いじめられていた側からいじめる側への変換、問題生徒、正論を振りかざすが何も出来ない教師の葛藤、いじめを認める訳にはいかない教頭、夢を抱いてやってきた教育実習生が懐柔されていく様、殺さなければならなかった理由ーーーこれらが自然に、鮮やかに描かれた。
1時間40分しか経っていないのが信じられない。

現在から回想を挟み(その中にちょくちょく現在からのモノローグが入る)現在に戻る構成。
上演開始直後は固かった演技も、回想に入った辺りから自然になった。
自然と言えば、生徒達のテンポの良さは素晴らしい。コメディパートも全然わざとらしくなく、タイミングによる勘違いなどもとても自然だった。

女子生徒を殺すシーンは暗転するかと思いましたが、逃げませんでした。
そういう演出にした決断、それに応えた役者に拍手。

しにたがり狂騒曲

しにたがり狂騒曲

演劇ユニットちょもらんま

ギャラリーLE DECO(東京都)

2014/10/29 (水) ~ 2014/11/02 (日)公演終了

着想は面白い
まず「外編(45分)」で、とある雑居ビルのトイレ(の前)を舞台として見せる。
休憩15分を挟み、「内編(45分)」で、「外編」の時トイレの中では何が起こっていたかを見せる。
従って観る順番としては、劇団が提供する順番そのままに、「外編→内編」が鉄則。

外編・内編と続けて観られること、話がリンクしあっていることは、プラスの評価。

しかしながら…残念なのは、役者陣に熱量と距離感がない。
距離感がないから、トイレの内と外で「それ聞こえてるのに、これ聞こえないの!?」と心の中で、一人突っ込むことになる。
そして、登場人物一人一人、もっと掘り下げて演じてもらいたい。

私は内編の方がスピード感もあって好き。
死にたがり青年“さくちゃん”の遺書第一稿は面白い。中二病全開・炸裂。
祖父と妹には全否定されていたけれど、自殺する理由としては、十分すぎるくらいだろう。私は支持するが、これは私が中二病であるということなのかしら。

外編・内編ともに、主役は「死にたがりの青年」ではないことも面白い趣向。

スタッフさんの対応も、良かった。

ゴールド

ゴールド

金曜の夜の集会

荻窪小劇場(東京都)

2014/06/12 (木) ~ 2014/06/15 (日)公演終了

私の理解力不足であることを祈ろう
内容が難解。訳が分からない。

宮沢賢治の「よだかの星」「銀河鉄道の夜」をベースにしているのは分かる。
一つ一つのシーンも理解できる。

……が。
例えばシーンA、シーンB、シーンA’、シーンB’があるとする。
それぞれのシーンは理解できるのだが、これらがリンクし合う時、シーンAに於けるCというものが、シーンBでは何なのか何を表しているか、それが分からない。
それが分からないから、シーンがリンクし合わず、結果、物語全体を通しての展開や言いたいことが「?」になる。
結局、事の顛末は?金糸雀さんは?カンパネルラは……?

ただ、役者の台詞のテンポの良さや、照明の美しさ、白い布の使い方は素晴らしかった。
青・緑系の美しさと、蛍光塗料を散らした白い布はため息が出るほどの美しさでした。

サラエヴォの黒い手【ご来場ありがとうございました!!】

サラエヴォの黒い手【ご来場ありがとうございました!!】

劇団チョコレートケーキ

駅前劇場(東京都)

2014/06/11 (水) ~ 2014/06/15 (日)公演終了

やはり劇チョコは好きだ
2時間15分弱。休憩なし。
しかし、そんな長丁場にも関わらず、一度も時計を確認しなかった程、観入った。

「統一か死か(通称黒手組)」「青年ボスニア」「ロシア」それぞれの立場、思想、思惑、考え方、生き方を丁寧に描き、それぞれが主役とも言える程に表現され、だからこそそれぞれに感情移入できる。
ドアの閉め方開け方一つとっても、その人物の状況が伝わる。

それぞれの思惑が乱れ入る、事の全貌が明らかになって思い返すと「あれはそういうことだったのか」と腑に落ちる。

「大人になりたかったんだ」「もうたくさんだ」「届いたぞ!」印象に残る言葉は沢山ある。

第一次世界対戦の勃発を、劇チョコがこのように描くなら、太平洋戦争の勃発を描いた作品も是非観てみたい。
そんな題材を扱ったら、このご時世何て言われるか分かったもんではないけれど。

龍馬疾風録

龍馬疾風録

オフィスワンダーランド・(一社)演劇集団ワンダーランド

新宿村LIVE(東京都)

2014/06/06 (金) ~ 2014/06/08 (日)公演終了

頑張って。そしてお疲れ様。
Aチームを観劇。約2時間。休憩なし。
開演時間になってから諸注意を言うのはどうなのか。
「お手洗いはお早めに」って、もう開演時間過ぎてます(^^;)
遅れ10分弱。

さて本編。
前半は説明に終始してしまった感があります。
私がおぉ盛り上がってきた!と思ったのはラスト30分でしょうか。
(共に観劇していた幕末好きの方曰わく「幕末好きには堪んない」内容だったようです)

当日パンフレットのコメントにもあったとおり、史実の中にありながら「んなわけないやろ」という内容になっています。
しかし、だからこそ楽しめたと思います。観劇しながら「えぇー!?ないない(^-^)」みたいな。

印象に残るのは千葉重太郎、東徳之進。

堀川蓮之丞はすごくおいしい役なのにもったいない。何だか一貫性のない人物に映ってしまった、私には。
茜太夫はもっと“格上の女”感が欲しい。

時代劇って、本当に難しいですね。
所作ね。着付けとか着崩れ直すのとかね。

人皮の本と舞い天狗

人皮の本と舞い天狗

劇団回転磁石

シアターシャイン(東京都)

2014/03/28 (金) ~ 2014/03/30 (日)公演終了

自分たちはこういうことがしたいんだ!ということが伝わってくる
舞台は、本棚に収められた本でいっぱい。
これを初めとして、美術関連はとても素晴らしい。
映像や照明を駆使して魅せてくれた。
選曲も、場面に合っており、舞台を盛り上げる。
衣装は和洋折衷の明治あたりなイメージ。
役者は舞台上で激しく動くので着崩れするのだが、一度袖に下がって再び登場するときには、きちんと衣装を整えて来る。これが徹底されていて好感が持てた。

役者は、狭い舞台を所狭しと動き回る。激しく。
だが、それにばかり気をとられているのか、台詞が会話になっていないというか、言っているだけというか、そんな感じがする。
それを動きでカバーしているように映ってしまった、私の目には。

私には、物語がほとんど分からず。
理解力の乏しい私だからなのかも知れませんが…
結局、ウツロって何なの?天狗って何なの?あれはどういうこと?これは?って色んなことが分からないまま物語が進行し終了してしまった。

ただ、冒頭で触れた映像を駆使した美術や、出演者の半数以上が心得のあるであろうダンスや日舞様の所作など、「自分たちはこういうことがしたいんだ!」ということが伝わってくる舞台だった。

『ギア-GEAR-』Ver.3.70

『ギア-GEAR-』Ver.3.70

「ギア」事務局

ART COMPLEX 1928(京都府)

2013/11/01 (金) ~ 2015/08/30 (日)公演終了

これは「ギア」という名のジャンル
ついに!念願の!ギア観てきましたぁっ!!(≧∇≦)b
良かった、京都まで見に行って。その為だけに京都行って。

あらすじはホームページに出ている通り。
余すことなく且つ簡潔に示されています。

会場(トイレや客席含む)も本当にこだわった造りで、入った瞬間にギアの世界に入り込んでしまいました。
紙吹雪の紙一枚にすらそのこだわりが見受けられたのは感動しました。

今回が、3万人目来場の回だったそうで、公演の後に演者と観客で記念撮影もありました。
ただ、その回の最初の受付だった私の受付の際、すごくモタモタされて、後から受付されて私より先に入場された他のお客様が3万人目だったので、「これ受付スムーズにしてくれてたら私だったんじゃ…?」ってことでちょっと不満。ま、やっかみですけど。

ネタバレBOX

開演直後から、劇場が誇る最新技術を惜しげもなく披露。
登場人物は白(ドール、天真爛漫)・赤(マイム、リーダー格)・緑(ジャグリング)・青(マジック、キザ担当)・黄(ブレイクダンス、おバカ担当)と色分けされており、また各人に担当があるのが分かりやすい。

登場人物は作中、言葉を発しないが、それでもこんなに伝わるものなのかと感心しながら観ていた。
唯一、ラストにドールが声(言葉ではない)を発するのだが、それが悲痛で、そこが唯一の場面なのでとても引き立つ。

ホームページを見てみると、各人が得意とする演目が異なっているようなので、全く同じ公演を観ることはないと思われる。

ラストはいかにも日本的で、見当はつくのだが、別にそれでがっかりすることはない。
子どもが観ても楽しめる物語と言えよう。
最高の台詞、最低な使い方

最高の台詞、最低な使い方

試験管ベビー

千種文化小劇場(愛知県)

2014/03/14 (金) ~ 2014/03/16 (日)公演終了

期待を裏切らない
本当、期待を裏切らない試験管ベビーさん。
名古屋で今勢いのある他劇団「劇団あおきりみかん」の鹿目さんや「オイスターズ」の平塚さんまで名前出しちゃって…乗っかりすぎですからw
いやでも試験管ベビーさんがやると、全て開き直りに見えて、それがまた面白いのだが。

今回は舞台に対し、正面・上手・下手の三方向に客席があり、面白い作りの会場でした。

作中の劇団「春夏秋冬」(←このネーミングもw)が初めにやったヘンゼルとグレーテルでの、台詞とシチュエーションのちぐはぐ具合から、後にやった新ヘンゼルとグレーテル、あそこまで変わるとは…さすがです。
劇団員の“言いたい台詞”をデカデカと襷にして掲げているので視覚的にも分かりやすく、「いつ言うのかな?」→「そこかぁーっ!!」と思いながら観ていました。

新ヘンゼルとグレーテルを創る過程も面白かったです。
台詞には、それに合ったシチュエーションがあって、ただ“言いたい台詞”を言うだけでは駄目なのだと、その台詞を言うに相応しい場を創らねばならないのだと、観客にもご教授頂きました。

一番面白かった台詞は「俺について来い!」ですね。
犬のぬいぐるみのシチュエーションは彼にぴったり。
何故ぬいぐるみを引っ張る紐を、テグス等にせず白い紐にしたのか首を傾げますが、彼のぬいぐるみの扱いは一級品wでした。

新しい等高線

新しい等高線

ユニークポイント

シアター711(東京都)

2014/03/11 (火) ~ 2014/03/18 (火)公演終了

地図に賭ける想い
休憩なし1時間50分。
膨大だろう量の調査と、そこから紡ぎ出された緻密な舞台だった。

色彩堂社長・小林清治の『地図』に対する想い、情熱、誇りがよく伝わってくる作品。
いや、想いとか情熱とか誇りとか、そんな簡単な言葉では表しきることはできない。
当時の時代背景、そこに生きていた人々の思い・考えを明確に提示し、その中に在ってなお揺るがない信念。それは地図職人としての誇り故、そして“地図が読める”故。
当日パンフレットの年表と連動しており、親切な冊子でした。

舞台上の柱に備えつけられた一輪挿しが、この家の空気というか、雰囲気というか、そういうものを全部表しているのも良い演出でした。

役者さん達がとても美味そうに酒を酌み交わすので、私もお酒を買って帰ったほどでした。

ネタバレBOX

一番印象に残るシーンはやはり、清治と政府官僚の三浦が会話する第四場でしょう。
それそれが、それまで周囲に明かしてこなかった本音を吐露し合う。それまで静かで穏やかだった清治が声を荒げるシーンもここ。
本当、良かったです、清治役・佐藤さん。

色彩堂社員森田役・植村さん。見慣れれば問題ないのだけれど、最初はキャラが浮きすぎでした。これは周囲にも問題があるのかなぁ?

第五場で純子が机で寝てしまう、というのは、それだけ清治との距離が近づいたというのを表したいためだと思うのだが、私には受け入れられず。
ここまで台詞が無いのに、よく表現してくれました。

もう一つ、社員山下は大日本帝国軍の兵士になれなかったのをもっと前面に出して欲しかった。今の状態だと、本当に「普通の人」。若い男達は皆戦地に行っている訳で、兵役に就いていない男なんて有り得ない。見るからにガリガリだとか瓶底眼鏡でも舐めるように見る、とかあっても良かったのでは。
ブラウニング バージョン

ブラウニング バージョン

雷ストレンジャーズ

シアターサンモール(東京都)

2014/03/05 (水) ~ 2014/03/09 (日)公演終了

そこで終わるのか!
一時間半。暗転なし。休憩なし。

チケットプレゼントで観劇。
プレゼントして頂いたことに感謝します。
一時間半、濃い時間をありがとうございます。

客席側に迫り出した六角形を模した舞台。
明日の学年末で退職する古典教師の、前日2時間を追う。
暗転から開演する作品が多いが、この作品では開演も暗転しない。暗転したのは終演時のみ。この方法は初めて観ました。
古典教師がおもむろに舞台に現れ、読書をはじめる。庭にももう一人。さらにその人物と肩を寄せ合うもう一人が現れる。一旦三人が捌けて、物語がスタートする。

箇条書きで失礼。書き殴りで申し訳ない、順不同。

ネタバレBOX

*生徒が本をプレゼントしたシーンはもうボロ泣き。

*台詞が結構な量かつややこしいので、理解するのに必死でした。

*この古典教師という人間の、底知れぬ気味悪さ。すごい。

*「あまり生徒に好かれていなかった先生が、退職前日に、生徒から、授業の内容を反映させた素晴らしいプレゼントをもらいました。先生は号泣しました」なんてチープなハッピーエンドで終わらない。ここからがじわじわ来る静かな盛り上がり第二部。やられちゃいました。

*何故妻は古典教師と夫婦を続けているのかよく分からない。多分ラストで教師が語ったのだと思うのだが、理解力不足の私には消化しきれず。

*妻が古典教師に嘘をつかない理由も同じく理解不能。

*年老いた人物が主役なので終始声は張らない(いや数回張ったか)が、ボソボソしている訳じゃなく、きちんと聞こえる。私は最前列だったのですが、客席最後列まで聞こえているなら「流石」の一言。

*自然科学教師が客席から舞台に上がった時は、役者と気づかず本気で「えっ!?ダメだよ勝手に舞台上がっちゃ(;゜O゜)」と思った。というのも、スーツの後ろがシワシワヨレヨレだったから。彼が“そういう人物”な訳ではないので、それが狙いでないのならピシッとお願いします。

*年収200ポンドというのが、どういう生活水準になるのか想像できない。かなり切り詰めないと無理そうだが…

*生徒は下心があった訳じゃない。それを観客に明確に示しているからこそ、妻の一言からの後半が凄みを増している。

*翌日の学年末の式典はどうなるんだ!?という所で終わる。本当に「そこで終わるのか!」というラスト。翌日の様子も是非観てみたいと思わせる。
笑エナイ!いないいないばあ

笑エナイ!いないいないばあ

劇団フリースマイル

シアターシャイン(東京都)

2014/02/28 (金) ~ 2014/03/02 (日)公演終了

指摘したい部分は多い
1時間40分ちょい。休憩なし。

何でも屋を舞台に、結婚とは、夫婦とは、家族とは何かを問う作品。
前半は、笑わそうとしているのだけど全っ然笑えず。
物語が進むにつれてだんだん笑えるようになった。
顔芸や一発芸のようなものではなく、おかしなシチュエーションで笑わせる方向に転換していったからかしら。

笑いに関しては、こういう方向に持って行きたいんだなというのが早々にわかってしまうのがイタい。

ネタバレBOX

とある何でも屋に、過去働いていた従業員が妻と6ヶ月の赤ちゃんを伴ってやって来る。
久し振りに呑みに繰り出す男達。離婚した所長小笠原・過去働いていた矢ヶ崎・デキ婚で新婚でまだ子供は生まれていない高嶺・従業員同士で交際中の弓削、立場のそれぞれ違う男達が、酒の力も手伝い、ぶっちゃけトークを繰り広げる。
矢ヶ崎は妻を思い、色々気を回すのだが、空回りばかり。矢ヶ崎が息子を風呂に入れようとした際に息子の頭をぶつけてしまったことから、過保護気味な妻菜緒と大喧嘩になってしまう。
結局は子はかすがい、仲直りして去る。
弓削と交際中の芽衣はこの一件により、より強い絆で結ばれる。

とにかく色々荒い。雑。詰めが甘い。(言葉が優しすぎかしら)
台詞を噛む、相手の台詞を喰う、というのがちょっと多い印象。
猫の毛を一本残さずに掃除するなら、ほうきではなく掃除機やコロコロの粘着シートでしょ。
赤ちゃんの泣き声がワンパターンしかなく、音量もずっと同じだから平坦。あやしたりして泣き止む際にピタッと声が止まり不自然。
不自然といえば、子供が泣き出した理由として、「おむつ」が全く入っていないのはおかしい。
所長小笠原が病院に行くのに車を出す、と言い出した時、一番に言わなきゃいけないのは「所長!飲酒運転ですから!」的なことなのでは…?あの下りでは頭のことばかり言っており、誰もそこに突っ込まないことにすごい違和感を覚えた。
居酒屋での呑みの場面に消え物を使わなかったのは面白いが、するならもっと磨きをかけてほしい。
居酒屋のバックの音は、その場面の時間録音出来なかったのか?もしくはもっと上手く繋げられなかったのか?

何でも屋の面々は菜緒のことを売れない芸人矢ヶ崎を支える「できた妻」と絶賛しているが、私はまったくそうは思わない。むしろ、嫌な女だ。「女はありがとうって言ってもらいたいんだよ」と被害者面して言っているが、それは男だって同じこと。
結局仲直りした際にも、矢ヶ崎が折れた形になったのが納得いかない。夫婦なのに上下関係ができていて、夫婦にその自覚がないのが更にイヤだ。

呑みの席でのぶっちゃけトークは、見る人の立場によって違う感想が生まれるだろう。そこがまた面白い所なのだが、まだ未婚の私としては苦笑いするしかない。
かもめ~21世紀になり全面化しつつある中二病は何によって癒されるのか、あるいはついに癒しえないのか、に関する一考察~

かもめ~21世紀になり全面化しつつある中二病は何によって癒されるのか、あるいはついに癒しえないのか、に関する一考察~

アロッタファジャイナ

ギャラリーLE DECO(東京都)

2014/02/26 (水) ~ 2014/03/02 (日)公演終了

初・かもめ
Bチームを観劇。
実はチェーホフの「かもめ」を全く知らずに観劇した。
登場人物達を『中二病』と括ってしまう解釈が斬新。
いやまさにそうなんだけど。

心の中、翼ひろげて

心の中、翼ひろげて

夏色プリズム

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2014/02/27 (木) ~ 2014/03/03 (月)公演終了

衝撃作
1時間40分弱。休憩なし。
これは見る人を選ぶ作品。実際、途中退席された方もいらっしゃった(それが退席の本当の理由かは分かりかねますが)。賛否両論であろうことが予測できる作品。
しかし、これがきちんとした取材をした上での作品であるならば、そうであるならば、うん…衝撃的な作品である。
劇作家が、何故そこを舞台に脚本を書こうとしたのかはわからないが、なかなか他の誰かが取り扱おうとしないだろう題材を取り上げたことを評価したい。
小劇場の舞台だからできる題材であり、だからこそ許さ
れる表現も散見される(昨今のTVでやったらご意見が沢山来そうなちょっとツッコミたい訂正したい部分がある)。

それぞれの登場人物の立場、そこから派生する「普通の」考え方。
健常者と障害者・孕んだ者と子を宿せない者と流れてしまった者・入居者と従業員、それぞれの意志や考え方は、立場が違えば考え方も異なるのだが、各々きちんと筋が通っていて、それぞれに共感できる。
それだけ役者各人がキャラクターを作り込んで演じてくれた。

観劇後、今改めてチラシを見ると、なかなか思う所がある。
「アナタを想えば想うほど
 アナタの真っ直ぐな気持ちが痛い
 …大切なヒトはいますか?
 …大切なヒトを理解していますか?
 …大切なヒトをどこまで理解しようと思いますか?」

中身の濃い1時間40分を過ごさせて頂いた。
受け付けない、拒否反応が出る方でないのなら、是非最後まで観てほしい。

ネタバレBOX

障害者の入居する施設が舞台。
入居者達は四肢に障害があるだけで、その他は健常者と変わらない。人を好きになる気持ちも、性欲も。キーワードは「性介助」。
この施設で働いていた従業員の兄が、施設の責任者に詰め寄っているところから物語は始まる。
施設を運営する拓郎&久美子夫婦、上記兄松井、入居者の青年明人、従業員裕子&由香&健二(隻腕)、新しく働き始めた女性従業員聡子とその婚約者隆司、そして舞台上に姿は見せないが、松井の妹ハルカによって物語は紡がれる。

脚本は起承転結がはっきりしている。実際、作品全体が四部に別れており、間に暗転を挟む。
物語全体はきれいにまとまっている。
承ラスト~結の聡子&隆司の展開はベタといえばベタであり、この施設が舞台である必要はないような気はする。
自分としてはもっと泣きたかったが、客席からは鼻をすする音も聞こえてきた。
自分が一番泣いたのは明人が由香に誤解されるシーンでした。

車椅子の青年二人は、本当にそういう人みたいだった。
車椅子の扱い方や、あの足の置き方!すっかり騙されました(誉め言葉ですw)
終演の挨拶で普通に歩いていらっしゃってびっくり(・д・)

個人的にもう少し掘り下げて欲しかったのは、裕子の職業に対するプライドと、聡子がこの施設で働くことを選んだ理由。
ピノキオショー

ピノキオショー

CAPTAIN CHIMPANZEE

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2014/02/20 (木) ~ 2014/02/24 (月)公演終了

ロボットには人間の夢が詰め込まれている
ロボットが知能・感情・思考を持つほど技術が向上した世界。
訳ありのロボットサーカスを中心に物語は進む。
2時間5分、休憩なし。

当日パンフレットの中に「ひまつぶ紙」なる心理テストやちょっとしたクイズが記載された用紙が挟み込まれる。
用紙はクリアケースに入れられ、「アンケートが書きにくい」という声に応えた形。
こういった心遣い、嬉しいですね。

さて本編はというと、うーん…(-_- )
ちょっと話がとっちらかってしまった印象。
何を伝えたいのかが明確でないかな。
だから内容が雑多で2時間強は正直長い。

ラストの絵を、登場人物に演じさせたのは面白い。
舞台中ほどにあるもう一つの幕を上手く使っていた。

ネタバレBOX

ピノキオショーとは「ピノキオのshow」であり、「ピノキオの賞」。

作中に、それぞれのロボットの過去を挟む。
彼らは程度の違いはあれど人間に憎しみを持っている設定になっているのだが、その理由を明らかにするべき過去編で語られる理由では、正直「人間(人類)に対する憎しみ」は生まれないのではないかと思う。
カストルであれば赤城を、シンディやマイルダーZならマスターである子供を憎むのは理解できるが、そこから「人間(人類)全体」を憎むのは無理があるような…

冒頭で、サーカスを訪ねてきた子供が見たがった「ピノキオショー」。タクトはその子供に、手伝ってくれるなら見せると言って始まる本編。
ラストで子供は「面白かった」と答えるが…この台詞はハテナがいっぱい(*_*;???
まずこの内容がサーカスの演目「ピノキオショー」と言えるかという点、そしてこの人間とロボットの関係を見て「面白かった」…?

終盤の、博士の長台詞「あんなこと出来たらいいな、そういう夢を見る気持ちからロボットは作られている」という趣旨の言葉は深く頷くばかりだ。
今後、この夢を保ったまま、ロボット工学が発達していって欲しいものだ。
狐雨の花嫁

狐雨の花嫁

株式会社Legs&Loins

笹塚ファクトリー(東京都)

2014/02/15 (土) ~ 2014/02/23 (日)公演終了

色々ともったいない
Aチームを観劇。約二時間弱。休憩なし。

会場に一歩踏み入れると、そこはもう神の国ヤマトでした。
舞台装置は本当に素敵。
衣装もこだわりが光りました。
特に狐達の白や銀を基調とした衣装は綺麗でした。
音楽(音響ではない)も、選曲がとても合っていました。

が、しかし。
ちょっと殺陣に比重を置きすぎました。
「恋愛活劇」との謳い文句でしたが、恋愛要素の割合はめっちゃ少ないです。
その殺陣ですが、TVや大劇場ではありませんので、実際には相手に触れていないのがバレバレな訳です。その殺陣に、あの効果音は合わないです。で、斬る効果音が片手で数えられるくらいしかなく、それが延々大音量で流れるので、すごくチープに感じてしまいました。
そしてアドリブパート!
キタキが狸軍の城へ赴くシーンでのアドリブパートで、観劇への集中が途切れてしまい、再び本編に戻っても、私の集中は切れたまま。最後まで再び集中スイッチが入ることはありませんでした。
アドリブパート自体は、ネタの面白さは置いておいて、無茶振りしたり、された人が反旗を翻して無茶振り返したりと楽しめたのですが…
全編に渡る笑い総じて、しつこい、くどい、かな。私には。

最後に。申し訳ないが、姫はもっと姫であって欲しい。
狐の一族から姫を奪われるくらいなら、と狐が全滅するかもしれない戦いを決意させる程の姫らしさが欲しい。
そういう意味では、狐の将軍の妻は良かったです。

本編とは関係ありませんが、当日パンフレットのこの形態は初めて見ました。
観客に持ち帰ってもらう工夫でしょう。アンケートをWebで集めるのも初めてです。回収率は紙と比べてどうなのでしょう?

色々書きましたが、あの空間に創り出された世界観(美術、役者含め)は本当に素晴らしかったです。

嗚呼素晴らしきサラリー人生

嗚呼素晴らしきサラリー人生

東京サムライガンズ

劇場MOMO(東京都)

2014/02/13 (木) ~ 2014/02/16 (日)公演終了

すごいモヤモヤしてる
色々と設定が無茶な部分はあるが、当日パンフレットにあった「“カジュアル”で“ポップな”作品」ではある。

自分が観劇した回が満員だったそう。
DVD製作のため、カメラ&マイクが入り、前説でそれらの説明と注意事項が入る。
前説で「僕(脚本演出)が捌けたらすぐ始まりますから」と話していたが、捌けた後、本編とは関係ない映像作品(しかも結構長い)が始まり、しかも見ていてもよく分からない内容で、「よし始まるぞ」と意気込んでいるのを削がれてしまった。

本編は、突然社長になってしまったドラ息子を、社員たちが育てていく、といった内容。前半は会社員としてのマナーや電車の乗り方の教育。後半は元ドラ息子の社長としての成長。

私もOL経験がないので、名刺の渡し方などとても勉強になった。
電車通勤の場面では、作者が常日頃感じていることを面白おかしく見せてくれた。
曲に合わせて動くのも、机を電車の扉や改札機に見立てるのも、工夫されていた。曲に合わせるというのは本当に良かった。あぁ作者は上京した当時こう感じたんだな、というのがよく伝わってくる。
後半の、会社のピンチに社長自らがテキパキと的確な指示を飛ばす場面では、その成長に「よぅ大きくなったなぁ」と子供を見るような不思議な感覚に包まれた。

舞台装置は空間を余すことなく有効利用している印象。オフィスとその他、という上部スペースと下部スペースを場転に用いるのが暗転なくスムーズに見られた。

本社とライフエス(物語の舞台)との関係は物語中盤で予想がついてしまうのが残念なところ。

さて、観劇し終わって思うのが、このモヤモヤ感。
観客も笑っていたし、カジュアルでポップな作品だった。工夫も見られた。
しかし…自分の中の盛り上がりに欠ける。退屈はしないのだが大して高揚もしないというか。何故そう感じるのかが自分で分からないからモヤモヤしている。
何故だろう?と考え出した頃、ふと隣を見ると、おじさま入眠中(-_-)zzzこの人も同じなんだなー…と思ってしまった。

コヒモトメム

コヒモトメム

演劇ユニット 金の蜥蜴

ブディストホール(東京都)

2014/02/12 (水) ~ 2014/02/16 (日)公演終了

乱闘シーンの迫力は凄い!
このユニットのコンセプトは
『「能楽」と「現代芝居」のコラボレーション、回りくどく言えば「能楽と現代芝居はどちらも役者のやる芝居であるということを、お客様に感じて欲しい」』(byホームページ主宰あいさつ)だそうだ。
私のような若輩者には「能楽」なんていまいちピンと来ない、馴染みがない、敷居が高いようなモノである。というか、馴染み深い人間の方が少ないだろう。
そんな観客達への導入部としての、当日パンフレットは実に観客に優しいものに仕上がっている。時間に余裕のある方は、開演前に目を通すことをお勧めする。

さて、本編は能楽「求塚」を題材にしている。
とは言っても、話が重なってくるのは後半から。
物語の構成としては、現在→過去の挿入(ここがメイン)→現在。
今回は箇条書きにて失礼。


本編とは関係ないが、当日パンフレットにあった、仏教での女性の捉え方にもびっくり!ネタバレboxラストに内容入れておきます。

ネタバレBOX

*登場人物が多い。次第に覚える。

*表の顔と裏の心、本音と建前。それがなければ社会の中では生きられない。登場人物は皆、それを使い分けながら懸命に生きている。それがよく伝わってきた。

*男共が、阿知の何にそんなに惹かれるのか分からない。放っておけない?確かに優しい人ではあるが…

*真人、成人の乱闘シーンは凄い迫力!確かにあの二人の熱演では止めに入ろうとするなら、こちらの怪我を覚悟せねばなるまい。それぐらいの迫力。

*小夜は本当に子供に見えた。大人が子供の役を演じるのは今までにも見たことがあるが、私の中では今回の彼女が一番。すごい。

*せせらぎの音からして、作中の生田川はとても小さな小川(水嵩は膝まであるかないかくらい)だと思っていたため、終盤、そこに「身を投げる」「流される」というのが、自分の中でどうにもしっくり来ない。

*ラスト、本当に救いがない。でもその中でも、阿知が「先に二人(真人&成人)の塚を」という所は何だかとても印象に残った。

*過去編が終わって思うのは、何故冒頭で呰女が村の女達からあんな風に扱われているのか?過去ではそんなこともなかったのに。彼女たちが原因でもない…よね?更に何故宮手が呰女のあばら屋で寝泊まりしていたのか?うーーん(-"-;)


さて、当日パンフレットによると
『仏教では、女性は女性であることがすでに罪だとありました(中略)女に生まれた以上、地獄は免れないという教えです。』
…………って何だそりゃあ!?(゜Д゜)何という男尊女卑の世界!!
開演前一番の衝撃はコレでした。

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