劇団チョコレートケーキにしかできない
終演後アフタートークがあった回を観劇。
アフタートークで、劇作家の古川さんが「5年後にはできないのではないかと思って。やるなら今しかないと。」とおっしゃっていましたが、今でも、このご時世の中、劇団チョコレートケーキにしかできないと思う。この劇団だからこそできたのだと思う。韓国の演劇祭で上演できなかったのは最もだろう。
というか、むしろこれは日本でさえも、やって良かったのか?とさえ、思う。
それほどデリケートな問題にぶつかった作品である。
本当に、この劇団の作品は期待を裏切らない。濃厚で重厚で繊細で緻密。一人一人が主人公。どの人の気持ちも分かる。
その時代背景の中、各人の立場、思想、思惑、役割…人間とは何か?戦争とは何か?人種とは、祖国とは、誇りとは…そういったものを考えさせてくれる。
歴史問題(戦争責任)とかってことよりも、「人」に焦点を置く作品。
ただ、今回の作品は、今までと違って、分かりやすくはない。着いてはいけるけれども。
過去の作品でも、現代からのモノローグ→過去の回想、の繰り返しの多用(扱うテーマ的にそうなる)はあったが、今回は、シーンごとの時系列が前後したり、モノローグが現代からのものであったり、過去のモノローグから更に過去の回想になったりした為だと思う。
舞台衣装の眼鏡にレンズは入れないとか、フレームは光らない素材にするとかした方が良い。
牢獄の中では少し声が響くようにしてあった。細かいこだわり。
客入れの音響の重低音がずっと続くのは…頭痛くなってくる。
色々書いたけど、やはり劇団チョコレートケーキの世界観は素晴らしい。名古屋から見に来て良かった。