若い才能に出会った
下手(しもて)チームを観劇。
良かった。本当に。
こんなにも深いテーマを、こんなにも深く、かつ淀みなく、描ききってくれた舞台は観たことがない。
この作品を観て、次回作も是非観たい、過去作品も観てみたい、と思った。
聞いた話によると、作・演出はまだ23歳とのこと。そんな青年がこの作品を書き上げたことに驚いた。これからが楽しみな才能だ。
いじめをテーマにした作品。
いじめなんだけど、いじめの内容はあまり出して来ない。それよりも、いじめる側、いじめられる側、クラスメート、教師、学校管理者の立場や関わりを丁寧に描く。
あんなに登場人物がいるのに、全くごちゃごちゃにならずに描いてくれた。あんなに登場人物がいるのに、無駄な人物がほぼいない。
それぞれの人物にとっての起承転結がはっきりしている。
いじめる側からいじめられる側への変換、いじめられていた側からいじめる側への変換、問題生徒、正論を振りかざすが何も出来ない教師の葛藤、いじめを認める訳にはいかない教頭、夢を抱いてやってきた教育実習生が懐柔されていく様、殺さなければならなかった理由ーーーこれらが自然に、鮮やかに描かれた。
1時間40分しか経っていないのが信じられない。
現在から回想を挟み(その中にちょくちょく現在からのモノローグが入る)現在に戻る構成。
上演開始直後は固かった演技も、回想に入った辺りから自然になった。
自然と言えば、生徒達のテンポの良さは素晴らしい。コメディパートも全然わざとらしくなく、タイミングによる勘違いなどもとても自然だった。
女子生徒を殺すシーンは暗転するかと思いましたが、逃げませんでした。
そういう演出にした決断、それに応えた役者に拍手。