レドモン
カムヰヤッセン
吉祥寺シアター(東京都)
2016/04/06 (水) ~ 2016/04/10 (日)公演終了
満足度★★★★
うちゅう人
物語の中の宇宙人が様々な立場で苦しんでいる在日外国人と重なって見えた。
ネトウヨやヘイトスピーチが大手を振る昨今、この作品の問いかける意義は大きい。
高史明さんの息子で12歳で自死を選んだ岡真史さんの詩「ぼくはうちゅう人だ」を思い出した。
江戸糸あやつり人形結城座×ベトナム青年劇場 「野鴨中毒」
江戸糸あやつり人形 結城座
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2016/03/16 (水) ~ 2016/03/21 (月)公演終了
砦
トム・プロジェクト
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2016/03/01 (火) ~ 2016/03/06 (日)公演終了
満足度★★★★
役者の力
東憲司さんが松下竜一の原作をどう舞台化するのか、とても注目していた。
その点では少しものたりなかった。
結末がわかっている物語に対して、それでも観客を惹きつけるドラマツルギーがあるようには感じられなかったからだ。
ただ、役者たちの演技はとても重みがあった。
その点は本当に素晴らしかった。
冬の旅
天使館
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2016/02/12 (金) ~ 2016/02/14 (日)公演終了
満足度★★★★★
批評的身体
踊りとは何なのか、私にはわからない。
笠井叡氏の舞りが何なのか、尚更わからない。
(「満足度」という指標があるので、便宜的に付けるけれど、
大満足だった訳でもないし、不満だった訳でもない。
そういう尺度ではなく作品を観た。)
客
Interdisciplinary Art Festival Tokyo
某所(東京都)
2016/01/27 (水) ~ 2016/01/31 (日)公演終了
満足度★★★★★
「客」の意味するもの
精緻に言葉が配置され、構成も組まれていているが、そ
れらの演出を、観客の体験が、そこから想起される記憶が、
軽々と越えていく点にこそソ・キョンソク氏の面白さがある。
その時はじめて作者の言葉が響いてくる。
2014年の「From The Sea」ほどの衝撃はなかったけれど、
とても興味深い体験だった。
鳥取県内巡回公演『白雪姫』 ~グリム童話「白雪姫」より
鳥の劇場
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2016/01/23 (土) ~ 2016/01/24 (日)公演終了
満足度★★★★★
素晴らしい視野!
中島諒人さんは、演劇というものをとても広く捉えている。地域との接点として。今回の『白雪姫』も、子どものためという要素もあるのだが、それが子どもに単におもねる訳ではない。それでも、いやだからこそ、子どもは観ながら劇にのめり込み、時に泣き叫び、時に劇にツッコミを入れながら見ている。驚いたのは、ある子どもが発した言葉に、別の子どもが「そうそう」と同調したり、客席側が舞台の熱量を時に凌駕するかのような勢いがあったこと。ある意味では、昔の労働演劇や農村演劇なんかもこういう感じだったのかと思ってしまった。観客参加とか、劇は観客が作るとか、ポストドラマ演劇ではよく言われるけれど、演出意図をぶっちぎりで観客が越えてくる体験というのは初めて。
また公演後、東京から鳥取にUターンした設計士来間直樹さんとIターンしたデザイナー白岡あゆみさん、鳥の劇場の中島諒人さんのとのトークイベントも聞いた。3人の話が共通して、作品を作ることと地域で暮らすことが相互に影響していて、作品創りからその過程も含めて、本当に素晴らしいと思った。
書く女
ニ兎社
富士見市民文化会館キラリ☆ふじみ(埼玉県)
2016/01/17 (日) ~ 2016/01/17 (日)公演終了
満足度★★★★★
正攻法に素晴らしい
とてもよくできた脚本、それを活かす演出。
芸能人が主演の舞台は、、、というものも多いが、黒木華さんは素晴らしかった。
古河耕史さんもよかった。
樋口一葉という生き方にとても興味を持った。
この舞台をきっかけに調べようかと思う。
ライン(国境)の向こう【ご来場ありがとうございました!次回は秋!!】
劇団チョコレートケーキ
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2015/12/17 (木) ~ 2015/12/27 (日)公演終了
満足度★★★
なりえたかもしれない歴史
朝鮮半島で実際に起こったことを日本に移し替えたと言うべきか、
なりえたかもしれない日本の姿と言うべきか、
日韓関係が悪くなっている今の社会状況下で、
他国に想いをはせるのに、これほど直截的な問題提起はない。
自分たちがそうなっていたら、、、を考えることから、
何かが変わるかもしれない。
ベベール年代記
劇団解体社
左内坂スタジオ(東京都)
2015/12/10 (木) ~ 2015/12/15 (火)公演終了
満足度★★★
興味深いテーマ
ルイ・フェルディナン・セリーヌは、徹底して言語、文体そのものと向き合った作家である。その一方で、反ユダヤ主義によりナチスに協力した作家でもある。この両者の問題が舞台の上でも模索されていた。
この御時世で、レジスタンス(抵抗)作家を描くのではなく、加担した作家を描くということが、かえって切実な問いかけとして受け取られた。
ゴドーを待ちながら
KARAS
シアターX(東京都)
2015/12/10 (木) ~ 2015/12/14 (月)公演終了
満足度★★★★★
すばらしい!
「ゴドーを待ちながら」の面白さが最大限に引き出されていた。
こんな面白いゴドーの提示の仕方があるのだと驚いた。
もちろん変化球ではあるのだけれど、想定していた以上に直球なのが尚更すごい。
オークルチャボット
劇団黒テント
王子小劇場(東京都)
2015/12/05 (土) ~ 2015/12/13 (日)公演終了
満足度★★★★
伝統劇団の力
フットボールチームのサポーターの話でありながら、社会的テーマが重ねれていてよかった。
メッセージ的な作品でありながら、多様な解釈ができる点もよかった。
社会派の伝統劇団らしいテーマの作品で、黒テントの運動が続いているんだということに感じ入った。
レミング―世界の涯まで連れてって―
パルコ・プロデュース
東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)
2015/12/06 (日) ~ 2015/12/20 (日)公演終了
満足度★★★
独自の世界
寺山演劇ではなく松本雄吉氏の世界を構築している。その点が素晴らしい。
ただ、寺山修司好きとしては、寺山が戯曲になってしまったという悲しさもある。
麿赤兒氏は一瞬んで舞台を自分の世界にしてしまう凄さがあった。
泳ぐ機関車
劇団桟敷童子
すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)
2015/12/05 (土) ~ 2015/12/15 (火)公演終了
満足度★★★★★
物語演劇としてすごい完成度!
初演の時に衝撃を受けて、2回観てしまいました。
そして今回の再演も観ました。
今回は内容も知っているので冷静に観ましたが、すると脚本も演出もすごい完成度だなと驚きました。完璧に計算されているというか。
内容も一義的ではない広がりがある。
そして、ハジメ役大手忍さんの演技がすごい。
野毛綾華役の板垣桃子さんも見ているだけで笑ってしまうくらい強烈。
他の役者さんも、本当にすばらしい。
日韓共同制作『颱風奇譚(たいふうきたん)』
富士見市民文化会館キラリ☆ふじみ
富士見市民文化会館キラリ☆ふじみ(埼玉県)
2015/12/04 (金) ~ 2015/12/06 (日)公演終了
満足度★★★★★
言語の違いを活かした作・演出が素晴らしい!
東京で観た時よりも、役者さんたちの呼吸が合っていて、とても良かった。やはり言葉の違いを活かした作・演出の部分に、ソン・ギウンさんと多田淳之介さんの共同制作の面白さと可能性を強く感じた。
今回観ても、玉三郎(夏目慎也さん)とウルトリ(ペク・ジョンスンさん)のやりとりは磨きがかかって最高だった。
更に、2人にヤン・クリー(マ・ドゥヨンさん)が絡んでのやり取りもよかった。
また、素殷(チョン・スジさん)と成保(大石将弘さん)とのやり取りも面白かった。
前観た時以上にこの言葉の違いを活かした部分を面白く思ったのは、私が展開を把握したため、より演技そのものに意識が向けられたことと、演出が東京時より洗練され、役者同士の呼吸も合ってきていることの両方が影響していると思う。
当日パンフレットを読むと、この言葉の違いによる作・演出は、ソンさんも多田さんも、かなり意識的に取り組んでいるよう。
『カルメギ』もこの点が素晴らしいと思ったが、それをさらに一歩進めている。
一回目観た時は、『テンペスト』と比較しての物語展開について不満が残ったが、今回は物語を強く意識せず、演劇そのものとして受け取ったので、より楽しめた。
これは過剰な解釈かもしれないけれど、もしかしたらここで物語られている日韓問題以上に、ここにある言葉の違いから生じる演劇的面白さの中に、日韓問題のズレの本質と解決の糸口があるのではないかとさえ思った。いや、これは過剰な意味づけかも。
※上記の点が特に素晴らしいから、その点を強調しましたが、他の役者さんたちも素晴らしいかったです。
颱風(たいふう)奇譚 태풍기담
フェスティバル/トーキョー実行委員会
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2015/11/26 (木) ~ 2015/11/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
言語の違いを活かした演出が出色
料理人役:夏目慎也さんとその下っ端役のようなぺク・ジョンスンさんのかけ合いが最高に面白かった。
単に面白おかしいというだけではなく、言語の違いを活かして価値(力学)の反転を生じさせる笑いのため、本質的に素晴らしい。
それは脚本、演出、2人役者の演技力・個性が重なってできた素晴らしさだと思う。
全体として、私は『テンペスト』の内容を知ってしまっていたから、日韓で『テンペスト』をやる際にどういう落としどころに持っていくのだろうということを意識し過ぎて観てしまい、この結論も悪くはなかったけど、、、と思ってしまった。
『テンペスト』なんて知らない人の方が、色んな見方ができてより楽しめるのではないかと思う。
※全体の満足度は星4ですが、夏目さんとパクさんの賭け合いが絶妙なのでその点で星5。
Battlefield
パルコ・プロデュース
新国立劇場 中劇場(東京都)
2015/11/25 (水) ~ 2015/11/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
ある意味では、究極の物語劇
ある意味では、究極の物語演劇。
ただし、究極=最上という意味ではないけれど。
まさしく神話的な時間が流れていた。
こういう感覚になることは滅多にない。
演出は「なにもない空間」のピーター・ブルックだけに、究極的に簡素。まさに、なにもない。
観客は想像力によって、あらゆる背景を埋め合わせながら舞台を見る。
何より物語が秀逸で、単純そうな物語の中に極めて多義的な意味が含まれている。
と、ベタホメしてはいるけれど、
英語がわからない私には、その素晴らしさも半減してしまった。
簡素な演出の分、舞台に集中すべきなのに、字幕ばかり追ってしまったからだ。
また、これは個人的なことだけれど、私の隣りに座った人の鼻息や深呼吸がうるさすぎて、意識を大きく削がれたことも影響してしまった。
でも、たぶん集中して観ていたら、もっと興奮したんじゃないだろうか、、、実際はわからないけど。
※実際の満足度は星4だけど、もっと集中できていたらということで星5。
地上に広がる大空(ウェンディ・シンドローム)
フェスティバル/トーキョー実行委員会
東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)
2015/11/21 (土) ~ 2015/11/23 (月)公演終了
満足度★★★★★
ポストドラマ、あるいはパンクロック
額縁内でドラマを異化するタイプのポストドラマ演劇。
幻想には現実(ドキュメンタリー)が
言葉には身体が、対置され、ぶつかり合う。
あるいは、パンク歌手のコンサート。
それはアンジェリカ・リデルの魂の叫びであり、
そこに人間の普遍的な姿が浮かびあがる。
パリ市立劇場『犀』
公益財団法人さいたま市文化振興事業団
彩の国さいたま芸術劇場 大ホール(埼玉県)
2015/11/21 (土) ~ 2015/11/23 (月)公演終了
満足度★★★★
正攻法で上質
かなり正攻法の舞台。
新しさは感じないけれど、
あらゆる部分で質が高いと思った。
イヨネスコの『犀』はファシズムの台頭をテーマにしたもの。
その舞台を現代の日本でやる意味を考えながら見た。
また、パリ市立劇場の芝居ということで、
フランスでのテロのこととテロを受けての報復感情のことも重ねて見ずにはいられなった。演出側にそんな意図はないにしても。
地点×空間現代「ミステリヤ・ブッフ」
フェスティバル/トーキョー実行委員会
にしすがも創造舎 【閉館】(東京都)
2015/11/20 (金) ~ 2015/11/28 (土)公演終了
満足度★★★★
音楽との
バンドの生演奏が、ただの劇伴ではなく、劇のリズムを作っていたのが素晴らしかった。
また、普通の言語の発話を異化する口調も、その音楽と相まって奇妙なグルーヴを作っていた。それも素晴らしかった。
ただ、、、
(素晴らしいと思った部分は星5。全体としては星3。間をとって星4にしました。)
ゲーテ・インスティトゥー卜韓国×NOLGONG『Being Faust – Enter Mephisto』
フェスティバル/トーキョー実行委員会
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2015/11/19 (木) ~ 2015/11/22 (日)公演終了
満足度★★★★
演劇というフレームの拡大
参加者自身がファウスト自身になり、
欲望の本質について感じ・考える体験。
これがこんにちの演劇だということに異論はない。
ただ、、、