満足度★★★★★
素晴らしい視野!
中島諒人さんは、演劇というものをとても広く捉えている。地域との接点として。今回の『白雪姫』も、子どものためという要素もあるのだが、それが子どもに単におもねる訳ではない。それでも、いやだからこそ、子どもは観ながら劇にのめり込み、時に泣き叫び、時に劇にツッコミを入れながら見ている。驚いたのは、ある子どもが発した言葉に、別の子どもが「そうそう」と同調したり、客席側が舞台の熱量を時に凌駕するかのような勢いがあったこと。ある意味では、昔の労働演劇や農村演劇なんかもこういう感じだったのかと思ってしまった。観客参加とか、劇は観客が作るとか、ポストドラマ演劇ではよく言われるけれど、演出意図をぶっちぎりで観客が越えてくる体験というのは初めて。
また公演後、東京から鳥取にUターンした設計士来間直樹さんとIターンしたデザイナー白岡あゆみさん、鳥の劇場の中島諒人さんのとのトークイベントも聞いた。3人の話が共通して、作品を作ることと地域で暮らすことが相互に影響していて、作品創りからその過程も含めて、本当に素晴らしいと思った。