ゲーテ・インスティトゥー卜韓国×NOLGONG『Being Faust – Enter Mephisto』 公演情報 フェスティバル/トーキョー実行委員会「ゲーテ・インスティトゥー卜韓国×NOLGONG『Being Faust – Enter Mephisto』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    演劇というフレームの拡大
    参加者自身がファウスト自身になり、
    欲望の本質について感じ・考える体験。

    これがこんにちの演劇だということに異論はない。
    ただ、、、

    ネタバレBOX

    観客個人によって体験の質が変わる演劇のため、
    以下は極私的体験談。

    ゲーム開始時は、何もわからずに係りの人の言われるがまま、「友人」を売ってしまった。だが、その内、その意味を考えるようになった。それでも、ポイントを得て満足度を充たしたいという自分の欲望には勝てず、どんどん友人を売っていく。
    さすがに私は家族などの固有名が想起される人までは売ることができなかった。

    そのような葛藤も含めて、欲望の本質を自身の身体を通じて理解していく。
    自分の中のイラヤシイ部分も含めて。

    舞台上の演劇を見る一般的な演劇だといくら感動しても、それは他人事でしかない。だが、このタイプの演劇では、それを自分自身の実感として体験することができる。その強度は確かに強い。

    ただし、それにしても観客に投げっぱなしの感が強い。
    これを演劇として提示(フレーミング)するならば、何かもう少し突っ込んだ仕掛けが欲しかった。
    最後の結果発表みたいなものも、選ばれた2人には印象深いできごとだろうが、その他大勢にとっては、驚きも、歓喜も、反省も、何も芽生えない。

    勿論、安易な落としどころを用意しないことで、この作品の意味を観客が意識的に考えざるをえないという良い効果もある。それでも、最後に自分の今までやってきた、やってしまったことの意味を、目に見える形で突きつけられるような仕掛けがあっても良かったのではないか。それこそ機械を使ったゲームなのだから、「診断結果」のようなものを作るのも、可能なのだし。

    と、物足りなかった点もあるけれど、演劇というフレームを拡大している点は素晴らしい。

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    2015/11/19 22:01

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