満足度★★★★★
言語の違いを活かした作・演出が素晴らしい!
東京で観た時よりも、役者さんたちの呼吸が合っていて、とても良かった。やはり言葉の違いを活かした作・演出の部分に、ソン・ギウンさんと多田淳之介さんの共同制作の面白さと可能性を強く感じた。
今回観ても、玉三郎(夏目慎也さん)とウルトリ(ペク・ジョンスンさん)のやりとりは磨きがかかって最高だった。
更に、2人にヤン・クリー(マ・ドゥヨンさん)が絡んでのやり取りもよかった。
また、素殷(チョン・スジさん)と成保(大石将弘さん)とのやり取りも面白かった。
前観た時以上にこの言葉の違いを活かした部分を面白く思ったのは、私が展開を把握したため、より演技そのものに意識が向けられたことと、演出が東京時より洗練され、役者同士の呼吸も合ってきていることの両方が影響していると思う。
当日パンフレットを読むと、この言葉の違いによる作・演出は、ソンさんも多田さんも、かなり意識的に取り組んでいるよう。
『カルメギ』もこの点が素晴らしいと思ったが、それをさらに一歩進めている。
一回目観た時は、『テンペスト』と比較しての物語展開について不満が残ったが、今回は物語を強く意識せず、演劇そのものとして受け取ったので、より楽しめた。
これは過剰な解釈かもしれないけれど、もしかしたらここで物語られている日韓問題以上に、ここにある言葉の違いから生じる演劇的面白さの中に、日韓問題のズレの本質と解決の糸口があるのではないかとさえ思った。いや、これは過剰な意味づけかも。
※上記の点が特に素晴らしいから、その点を強調しましたが、他の役者さんたちも素晴らしいかったです。