真夜中のパーティー
ネルケプランニング
PARCO劇場(東京都)
2010/07/04 (日) ~ 2010/07/19 (月)公演終了
満足度★★★
観ました。
ゲイの疎外感・孤独感を描いた、重みのある作品でした。前半はところどころに笑いがあり、だんだんシリアスになって行く演出は、奇を衒わない分かりやすいものだったと思います。
主役のマイケルを演じた阿部力さんの台詞が聞き取りにくい箇所が多くて残念。村杉蝉之助が演じたアンソニーのキャラ作りが独特で良かったです。
「精跡-SEISEKI-」
角角ストロガのフ
サンモールスタジオ(東京都)
2010/07/07 (水) ~ 2010/07/11 (日)公演終了
満足度★★★★★
角田ルミのエロリズムワールド
少子化が進み、政府が出した女性の奴隷制度。その結果、精液がどんな価値観をもたらすことになったかが今回の昇天、いあ、違う。焦点。笑)・・・
以前も「角角ストロガのフ 」の公演を観た時、脚本家は男性だとばかり思ってた。だってその表現方法といい、モロシモネタといいアニメ的だったから。そのアニメも少年ジャンプではなく、ヤングジャンプのノリ。女性ながらあっぱれ!の粋。
・・・・まず、この舞台は感覚で観たほうがいい。だから結果がどうだとか、リアルの勝負だとか、そういう一般常識の世界ではない。それを度外視したファンキーで破壊力のある芝居だ。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
国家繁栄法で打ち出した策は女性に子供を生ませること。つまり子供を生むための機械だ。その為には優良な精子が必要だ。更に障害者優遇制度の為、障害者の精子にはポイントが付き、高額で売買される。ここに目をつけた業者は国の施策に乗っかって障害者の精子を取るために女性の奴隷にランクと番号をふり口や手を使って男性の精液を取る手伝いをさせる。
物語は3人のセックスボランティアとして監禁された3人の女性(奴隷ハウス)、1028号・3333号・2573号。彼女らと精子を管理する精子バンクの職員ら、そこで働くドクターとその家族。牛乳売り。ひよこ屋。これらの描写を舞台の右、左、中央、後方で同時に動かす。だから観ているワタクシの目はあっちにキョロキョロ、こっちにキョロキョロ、セックスのシーンではしばし、凝視なんかしちゃって、ハアハアしながら留まることを知らない。笑
挙句、障害者の精子が高額で取引されるのを知ったひよこ屋は障害者のふりして奴隷を強姦しちゃうのだから、本人は「ヤリ得」なんてニヤつく。そうして妊娠する奴隷。お腹に子がいるとお腹が空くがまともな食事を貰えない2573号は1028号の善意で彼女の両腕を食べる。その代償にすくすくと育つ胎児。
一方で知的障害の子を抱えたドクターの家族では妻がかまってもらえないストレスに苦しみ、自ら奴隷に志願する。そしてセックスし放題になり、挙句、子供の知的障害が快方に向かうと今度は教育ママに変貌するという、人間が持ち合わせている底のない欲望をも描写し、また一方で施設での人事配属でも足の引っ張り合いを描写する。
人間の心理とセックスと人間関係は一心同体のように常に隣りあわせでいつ自分が転落するかなんてわからない。だから、ぐるぐる巡る人事や支配されるもの、支配する者の情景が絶妙で軽快だった。
好みは割れるかもしれない。だけれどこの物語は実在するものではないし、所詮、芝居は嘘話だ。その嘘話で観客を楽しませる、という面においては成功だったように思う。演出もキャストらも○、強いて言うならオスカープロの森山が自意識過剰な演技力だった。鈴木ハルニは流石の演技力。未だに「劇団コーヒー牛乳改めゲキバカ」との添付があったが、ゲキバカの浸透力がないなら元に戻せば?笑
世界観はヤンジャン!笑
90%VIRGIN / 終末の天気【満員御礼!無事に終了いたしました。ありがとうございました!!】
エムキチビート
ギャラリーLE DECO(東京都)
2010/07/06 (火) ~ 2010/07/11 (日)公演終了
満足度★★★★
納涼気分で楽しめた/彦星
七夕の夜、彦星バージョンを観ました。エムキチビート、初見です。自分の場合、「初見の劇団を番外や企画公演から」というケースがけっこう多く、幸いにほとんどはずれがないです。
若者がワイワイやってるような作品は好みではないので、ふだんなら選ばなかったと思うのですが、今回、ご推薦があったので観ました。
適度な上演時間の2本立て企画、面白くて結構笑わせてもらい、ゲリラ豪雨や蒸し暑い夜が続いてゲンナリしていたところ、よき納涼となりました。
ネタバレBOX
役名は一部を除いて役者の名前をそのまま使っている。
「90%VIRGIN」
MUのハセガワアユムの初期の名作のカヴァー。
かっ飛ばしたハイスクールが舞台(・・・って日本の学制でハイスクールの呼称はないけど)。ミスチルのCDが割られてばら撒かれる事件が起き、軽音部が疑われて部室を取り上げられ、合唱コンクールでミスチルを歌うことを教師に強制され、部員たち(和田亮一、岡田NIY、秋澤弥里)は腐っている。
岡田は部の消滅を救った新入部員でドラム担当、使い走りをさせられ、リーダーの和田は高校中退して音楽留学したいと考えている。
軽音部の顧問で現代国語の教師(川添美和)を変態体育エロ教師(渡辺慎平)が追いかけ回し、W不倫へ?
高校中退した元サーファーのDJロック(長谷川恵一郎)を尊敬する岡田。CDを割った犯人で謎の変態中学生ミツル=三二六(太田守信)は両親の不和で大人不信が強い。部員たちにみつかり、トイレに監禁されてしまう。
女生徒秋澤の彼氏が怒って教員室に乗り込んでいる間、DJロックが和田に説教を始めて・・・。
エロ教師の渡辺(本当に昴の人?笑)とドラムの岡田、どう見てもチュウボウに見えない太田が面白い。
「終末の天気。」
地方都市の高校演劇部。金曜日の午後、この週末に巨大隕石が落下し、世界は終わってしまうという中で、部員たちは「世界の終わり」という芝居の稽古をしている。
主役のすずきぺこ、親知らずを抜いた翌日で痛みがひどい和田亮一、演出家の若宮亮。和田はすずきに好意を抱いているが相手にされない。平田オリザファンのすずきとつかこうへいファンの和田が言い合いをする場面が可笑しい。にわか勉強で野田秀樹しか知らない演劇部顧問(長谷川恵一郎)。校内をくまなく回って点検している用務員(漣圭佑)。顧問の同級生で演劇部のOG大杉さほりは東京で女優から舞台スタッフに転向し、母校を訪ねてくる。すずきは小学生のとき観に来た文化祭で「夏の夜の夢」のパックを演じた大杉に憧れてこの学校に入学したという。和田に因縁をつけて追い回し、定番の台詞を連発する不良生徒(藤沼豊)と、ちょっと不気味な醒めた不良生徒(田中裕二)。
すずきは、明日世界が終わるというときに、意味のない稽古を続けることに苛立っている。「世界の終わり」はいまは東京にいる同級生(川添美和)が書いた脚本で、あと2ページ分が未完で、川添から原稿が届くのを演出の若宮が待っている。3人は将来、東京の大学に進んで劇団を立ち上げようと誓ったのだ。大杉が実は川添の急死を告げに学校に来たことがわかり、ショックを受けるすずきと若宮。最期のときが迫ってきて・・・。
ここにいる人たちは、みな、ここしか居場所がないと思い、集まってきたのだった。用務員の漣と顧問の長谷川の演技が印象に残った。
長谷川はDJとはまったく違う役どころを鮮やかに演じ分けた。くろいぬパレードの役者さんは客演で時折観ているが長谷川の舞台は初めて観た。脚本家・川添美和が演出家・若宮の前に現れて心情を語る場面、長台詞が流れて心に響いてこないのが残念。川添は演劇部の女生徒役より人妻の軽音部の顧問教師役のほうが似合っていると思った(あくまで私見)。
終末の日が明日に迫ったら、自分はどう過ごすのか、考えさせられた。
2作品は共に高校の部活を描き、暴れ者が騒動を起こすさなか、恋の告白があったり、先輩が後輩を説得したり、微妙な共通点があるのが興味深い。「90%」の軽音部部員を演じた和田が「終末-」で「オレ、本当は演劇よりバンドがやりたくて。軽音部とか・・・」と言う。
両バージョン観たという人が「彦星のほうが配役が合ってる」と話していた。自分としては、太田の演劇部顧問と、岡田の用務員も観てみたかった気がするが時間がなく残念。
七夕企画にちなみ、スタッフが男女共に浴衣姿で接客。帰り際、エレベーター前で岡田NIYが「よかったらまたいつか観にきてください。本日はご来場どうもありがとうございました」と丁寧に一礼し、見送ってくれたのがさわやかで心に残った(もちろん彼とは知り合いではない)。公演というのは作品だけでなく、こういうちょっとした心配りが大切だと思う。
エムキチビート、また観に来たいです!
「アセンション・ミロク」
演劇ユニット トレランス
あうるすぽっと(東京都)
2010/07/07 (水) ~ 2010/07/13 (火)公演終了
満足度★★★★
意外!!
「あうるすぽっと」に行くのが初めてなら、「演劇ユニット トレランス」の舞台を観るのも初めて。チラシを観ると「なんだか重そうだなあ」とか「どんな内容なんだろう?宗教関係か?」という一抹の不安もあったが、SFチックな現代劇で、これが大当たり!!作・演出の上杉祥三氏(出演)のセンスはかなり冴えている。チケット代に見合うだけの満足感が得られた。例えていうなれば、お寺で住職からありがたい話を聞いたような感じ。成るほどと納得し、腹八分の食事をごちそううになったような心身ともに満足感が得られた。途中、懐メロ(60年代、70年代)がSEで使われ、アップテンポな展開も楽しめた。そしてジョン・レノン、イマジネーション・・・・・。劇中のキーワード4つは実生活の中でももっと使うべきだろう。惜しかったのは、SEとセリフが重なって聞こえにくかったこと。
東京ノート
BeSeTo演劇祭
新国立劇場 特設会場(東京都)
2010/07/02 (金) ~ 2010/07/17 (土)公演終了
満足度★★★★
東京ノート・日中韓3カ国語版
新国立劇場エントランスから中劇場へ向かう大階段がランドスケープに。日中韓3カ国語が発せられることで、世界の中のアジアが見えるようでした。特設劇場は公演期間中にバラし・建て込みもしているようです。またとない機会だと思います。音響機材がミラクルな仕事をしているようで、セリフが聴こえないなどの心配もありません。
ネタバレBOX
夫に浮気を告白された妻とその義理の姉が向き合う最後の場面は、いつも胸にぐっと来ます。美術館を舞台にしたこの作品で、客席に座る観客も「見ること」「見られること」の両方を体験し考えることができるように思います。
通行人を含め、出演者の多い芝居です。贅沢。
Wannabe
柿喰う客
アトリエ春風舎(東京都)
2010/06/29 (火) ~ 2010/07/19 (月)公演終了
満足度★★★★
何を書いてもネタバレになりそうなので
とりあえずネタバレへ。
ネタバレBOX
まずは、この舞台に合わせて、exciteの力を借りて感想を英文にしてみよう。
単に、コピペして、<翻訳>のボタンを押しただけなので、正しい英文かどうかはわからないが(笑)。
The actor from three countries all over Japan-South Korea performs it.
Therefore, it was not actually so though had thought that passing each other of the difference etc. of the culture was shown to be interesting. It was a story that positive people were doing happily managed by starting make it for the girlfriend in a different country even if communications were taken so that there were very not all, and the word did not run neatly in addition.
Considerably, it was not such development though shut rapidly after [shichimi] (All official titles were the real names or aliases from the real name) appeared the stage, and thought that something started here though continued heart-warming atmosphere either. [De] and that. [Yurika] that appears next blows in an eerie wind, and it rushes into last the ghost story story when thinking (Was this a little cramped?).
Footsteps named [dotadota] of last are impressive. This feeling is good.
And, though this development does.
I think it was interesting though it was a work of only about 60 minutes.
Moreover, most was unexpectedly safe though had not imagined with whole volume English surely. [Hiyo] and what?、Is the western-style painting seeing OK without the title?It seemed inadvertently to misunderstand it. ) ..doing however it when misunderstanding it apparently.. ..it is.. ..(.. ..laugh..
It might be easy for me to have understood according to the after toque because broken of that was excellent, broken do English, and existed in the extension of having learnt that most Japanese are the junior high schools and the high schools because inside residence wrote the scenario in English.
The scene that meant, existed more as the Japanese spoke in Japanese mutually, was talking by the mother tongue mutually indeed (Laugh) by Chinese or the South Korean, and confused the spectator (Japanese spectator) was, and thought that it might have been able to share a mysterious experience of union between these foreign countries.
Which person is person in the country where is happy not to understand until the mother tongue is spoken ..it.. ..bringing together [to]...
Therefore, it thinks whether even only whole volume English was really interesting.
Then, seeming the happiness of the people who were performing it anyway remained in the impression.
Especially, the after toque :.
日韓中の3つの国からの役者が演じる。
だから、もう、文化の違いとか、なんか、そんな感じのすれ違いを面白く見せてくれるのかと思っていたら、そんな感じではなかった。それなりにコミュニケーションをとっていて、言葉がきちんと通じなくても、異なる国のガールフレンドまでつくろうとするぐらいに、前向きな人たちで、なんとか楽しくやっているという話だった。
結構、ほのぼのした雰囲気が続くのだが、シチミ(全員の役名は、本名または本名からの呼び名のようだった)が登場してから、急激に舞台が締まり、ここから何かが始まるのか、と思っていたが、そういう展開でもなかった。で、あれ? と思っていたら、次に登場したユリカが、不気味な風を舞台に吹かせて、怪談話的なラストに突入する(これは、少々わかりにくかったかも)。
ラストのどたどたという靴音が印象的だ。この感じはいい。
そして、この展開は、さすが!
わずか60分ぐらいの作品だったけど、面白かったなぁと思う。
また、まさか、ほとんど全編英語とは思ってもみなかったが、意外と大丈夫だった。ひよっとしたら、何?、字幕なしで洋画とか観るのもOKということか? と、つい勘違いしそうだった。だけどそれはどうやら勘違いだったらしい(笑)。
アフタートークによれば、中屋敷さんが英語で脚本を書いたので、結構なブロークンイングリッシュということであり、そのブロークンさは、ほとんどの日本人が中学・高校と習ってきたことの延長にあったので、自分にとっても理解しやすかったのかもしれない。
日本人同士が日本語で話すように、もっと意味ありげに(笑ったりして)、中国人同士、あるいは韓国人同士が母国語で話し合っていて、観客(日本人の観客)を混乱させるシーンがあったりすると、この異国間の合体という、不思議な体験を共有できたのかもしれないと思ったりした。
どの人がどこの国の人なのかは、母国語を話すまでわからないので、それもちよっと楽しいのだ。
だから、本当に全編英語だけでも面白かったかも、と思ったり。
それにつけても、演じている人たちが、とにかく楽しそうだったのが、印象に残った。
特にアフタートークが。
8割世界番外公演『欲の整理術』×『ガハハで顎を痛めた日』
8割世界【19日20日、愛媛公演!!】
ART THEATER かもめ座(東京都)
2010/07/07 (水) ~ 2010/07/11 (日)公演終了
満足度★★★★
8割世界の新しい世界
8割世界が売出し中の女流作家館そらみの新作二本を一挙に上演するという魅力的な企画。コメディ一直線の8割世界と社会派のドラマが多い館そらみがどう融合するのかと興味深く観たが、コメディではないものの見事に8割ワールドになっていた。
1本目は近未来を舞台にしたシュールな作品。これを初演出の高宮尚貴がコメディタッチの作品に仕上げた。終わりがやや尻切れとんぼだったが面白かった。2本目は、中学校の新人教師の物語。配属前日の光景を見事に諷刺している。
難問だらけの教育現場だがそれでも先生を目指す新米たちの悲喜劇を的確に描いている。こちらは鈴木雄太の演出。ラストシーンが素敵で観ていて救われた感じがした。
てのひらのさかな
三角フラスコ
エル・パーク仙台 スタジオホール(宮城県)
2010/07/02 (金) ~ 2010/07/06 (火)公演終了
満足度★★★★★
気持ちの良い空間
今回もとても丁寧に作り込まれていて、その劇世界に浸っていられる事が気持ちいい舞台でした。話の内容は重かったと思うのですが、観た後に「うーん……」と考え込んでしまう程でもなく。色んな面において「丁度良い」舞台だったとおもいます。
終演後の作家さんとのトーク、学生向けのワークショップも楽しかったです。
バカとロミオとジュリエット
劇団FREE SIZE
ザ・ポケット(東京都)
2010/07/07 (水) ~ 2010/07/11 (日)公演終了
満足度★★★★
やっぱりあの男
奇想天外なストーリーには見ているだけの私のイマジネーションも刺激されました。主人公の活躍によって、ロミオとジュリエットの筋がもっとあっと驚くような変わり方をしてると、さらにインパクト大だったと思います。ロミオ役の勘違いアクション俳優がシェイクスピアと出会って心の中の何かが変わる様も見たかった。
かもめ ~断章~
劇団ING進行形
シアターX(東京都)
2010/06/24 (木) ~ 2010/06/24 (木)公演終了
満足度★★★★★
深い作品
メインの二人と身体表現のコロスが創り出す舞台空間は今までにない感じででした!
新天地にたどり着いた様に思えて、更なる活躍を期待しています!
14+
FOURTEEN PLUS 14+
ぽんプラザホール(福岡県)
2010/05/20 (木) ~ 2010/05/23 (日)公演終了
自分が14歳に戻ってしまう・・・
客席がL字型。(というか。。。変形)
で、ちょうどラストのいいところが、アキツ先生(雪丸さん)が、まったく見えず!
「く、くやしい~~~~、もう1回観たい」と思いました。
自分にとっては「お金返せ!!」じゃなかったのが、不思議。ただ、その理由を言葉にできないのは、私の勉強不足なんだろうなぁ。
ネタバレBOX
会場に入ると、客席が変な形。でも、満席なので、誘導されるがままに・・・f^^;
セットは、学校の教室。その中に、アシを切られて高さがでこぼこの机がたくさん。教室の後ろが、やたら広いです。何もないのに広いです。
人物が登場すると、うす暗い光の感じがなんとなく、
大橋可也&ダンサーズ「ダウンワードスパイラル」を思い出しました。
自分の中で、警戒心のランプがつきました。
なんだかわからない警戒心の中、先生たちが出てきます。
持ち物検査を行うのですが、机の上に乗るんですね。
殺意とまではいませんが、嫌悪感を通り越して、憎悪みたいなもののスイッチが入ったのがわかりました。
人の机を土足で踏む、その無神経さに。
持ち物検査については、正統性を主張するのかもしれません。
でも、それが「私の小さな領域」を侵すことの理由にはならないはずなのです。
学生時代の理不尽なことを思い出して、観ながら不快な感情がぞわぞわと上がってきてました。
ジャージ姿のサイトウ先生が、自分の中では象徴的でした。
友人の教師から「いまどきはジャージなんて着れない。だらしないって苦情がくるから」という話を聞いていたので、逆に
古い価値観の象徴なのかなぁ?
サイトウ先生だけ、ジャージで方言(博多弁とは言いたくない)なのが、
新しい価値観と既成の古い価値観のぶつかりあい
みたいな気がしました。
なんとなく、この学校は
古くからの住民と、新しい住民の間で
地域としての生活スタイルや、価値観がバラバラ
なんじゃないかなー。と連想しました。
ごく個人的な思い出から、かもしれないけど
見てる自分が「14歳」の生徒の気持ちで、
舞台上の先生たちを嘲笑ってる・・・
そんなトワイライトゾーンみたいな錯覚に陥りました。
・・・自分で怖かったです。
「十四歳の国」というタイトルから「14+」というタイトルに変えたのも
演出の1つなのだろうと思います。
作者がドラマドクターに入っているにもかかわらず、大胆なタイトル変更
って、宮沢さんの器が大きいんだろうなぁ、たぶん。
リアル14歳の人が、この作品見たらどういう感想を持つのかも気になります。
昭和50~60年代の14歳だった人とは、全然違う感想じゃないかなぁ。。。
醜男
世田谷パブリックシアター
世田谷パブリックシアター(東京都)
2010/07/02 (金) ~ 2010/07/12 (月)公演終了
満足度★★★★
キモ面白かった(笑
上記タイトルが、この劇の最後の場面が終わって暗転した時に
じんわりと浮かんできた正直な感想。
マイエンブルクに関しては、過去の作品を若干ながら知ってたので
元の顔を取り戻すとか、そんなレベルでは終わんない、きっと一筋縄では
いかないんだろうなぁ、と思ったら案の定。 最高に黒い皮肉に満ちた
終わり方でした。
舞台が異様に簡素なのに、照明の使い方で場面を上手く切り替えたりと
凄くスタイリッシュだったのにうっとりしたり、序盤からレッテとその妻、
ファニーのやり取りに笑わせてもらったり、細かいとこで得した舞台でした。
入江雅人演じる、整形外科医の人を喰った態度が板に付き過ぎ。
「それは出来ない相談だ。何故なら私は医者ではない!!!
アーティストだからだ!!!」には笑った。 おまえ誰だよ(笑
ネタバレBOX
最後、自分の顔そっくりに整形したカールマン(マザコン息子の方)と
向き合い、コレが自分の顔か!と気付くレッテ。 そこでお互いに抱き合い
自分への愛情(カールマンへの愛情ではない…と信じたい)を再確認
し合ったところで、老婦人のファニーが「一緒にベッドへ行きましょう!!!
私たち、理想の自分とお金を手に入れたのだもの」と〆て幕。
…をいをい、それぶっ飛び過ぎだろう、と突っ込まずにはいられない。
「自分と寝る」気分って…いったいどんなもんなんだ??
結局、レッテは「現代人の肖像」なんでしょうね。
自分のことは本当は良く分からないのに、自意識過剰でいっつも
人とは違った形で認められたがっている。
人と違う自分。それを求め続けた結果が、最後「グロテスクな自己愛」に
帰結するのはものすごい皮肉と感じました。 こういうこと、形を変えて
結構現実でもありそうだなぁ…。
曳舟湯の怪人
シアターキューブリック
曳舟湯(東京都)
2010/06/26 (土) ~ 2010/07/18 (日)公演終了
満足度★★★★
この会場ならではの残響が効果的
銭湯の脱衣所と浴場を使っての55分。
この会場ならではの残響が幻想譚的な内容によく合い、内容も好みのタイプなので楽しむ。
ネタバレBOX
結末はアレでイイのか?と思うも先日観た某作品同様、「ある視点」からすればハッピーエンドか、と気付きある程度(笑)納得。
「ヒッキー・カンクーントルネード」の旅 2010
ハイバイ
西鉄ホール(福岡県)
2010/05/29 (土) ~ 2010/05/30 (日)公演終了
訴えたいものが素直に入ってくる
作・演出の岩井さんの訴えたいものが、素直に心に届く感じ。
いろんな人への応援歌みたいで、とても好きです。
ネタバレBOX
舞台の中央が、四角いリビング。
たぶん、プロレスのリングをイメージしてるのでしょうね。
主人公のヒッキー・登美男にとっては、家族の集まるリビングすら「戦場」なんですね。
母親も、リビングで家族のいるところからは、父親に電話もかけれない。
わざわざ公園の公衆電話から、電話する。
平和に見えるけど、なかなか息苦しくて、ぎすぎすしてることが伺えます。
リビングから舞台手前に、妹の部屋があります。
ドアは、ドアノブだけのセットで、透明な部屋。
主人公の引きこもってる部屋は、客席からは見えず、対照的です。
なんとなく、、、岩井さんが欲しているのは
自分の生き方をさらすことではなく、
自分を理解して応援してくれる人(妹役)
なのかなぁ と思ったり。
だから、「妹」の目線で
部屋に引きこもったお兄ちゃんを心配することを
提示しているのかなぁ。。。
時間も短くて、
セットもシンプルで、
登場人物も少なくて、
主題もストレートで、
観終わった後に、素直に応援歌を口ずさめる感じ。
全体的に「たどたどしい」空気がながれているのだけど、
「ヒッキーだから・・・、でも、がんばれ」
と、なんとなくほほえましく感じてしまうのです。
ダルマーさんに会いたい
劇団NLT
銀座みゆき館劇場(東京都)
2010/06/25 (金) ~ 2010/07/06 (火)公演終了
満足度★★★
訳者さんに…
旧ソ連の体質が出ていて筋自体は面白かったけど…、
ネタバレBOX
登場人物の名前が悪い!!!
名前で受けようなどとはもってのほか!
1970年頃、和田さんという人がフランスでこのお芝居を知って、翻訳するときにロシア人の名前が発音しづらいということでダルマー、パンダー、ピンキー等々に変えたという。
官僚主義、お役所的体質、恋愛、浮気、誤解…が混在した良質なコメディなのに、勝手に創作した名前のせいで軽薄な感じになってしまって残念でした。
原作における登場人物の名前がどんなのか知りませんが、もう一回訳し直した方が良いのではないでしょうか!!
元気で行こう絶望するな、では失敬。
パラドックス定数
三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)
2010/06/25 (金) ~ 2010/07/04 (日)公演終了
満足度★★★★★
リズミカルで元気出る舞台
冒頭がかっこよかった。
懐かしいチャイムの音にあわせて、20人は観客に向きあって一斉着席、太宰治のテキスト音読をBGMに、同時多発的に雑談がはじまる。
ここの展開には、全然ついていけなかった。
が、
芝居が一呼吸つく静寂をきっかけに、すべての椅子を90度回転させて生徒みんながシャッフルするのだ。そうやって、客席に教室の左右側面からの風景を見せる。この演出はよかった。
ザッ。 ぺちゃくちゃ ザッ。 わーははっは ザッ。
20人がそろえた音に乗せて、会場まるごとあちら側に持っていかれた感じだった。同じく、夜の森のシーンやラストでも、間とリズムが独特の効果をあげていた。
空いっぱい
アンティークス
OFF OFFシアター(東京都)
2010/07/01 (木) ~ 2010/07/05 (月)公演終了
満足度★★★
確かに不思議な話で、
確かに不思議な話で、どこから現実でどこから夢(あるいは妄想?)なのか、ちょっとうっかりすると、わかりづらかったです。ディテールよりも雰囲気を楽しむものなのですね。
大奥
明治座
博多座(福岡県)
2010/07/03 (土) ~ 2010/07/27 (火)公演終了
満足度★★★
期待以上
テレビ放送も全く見ておらず、「大奥」なんて女ばかりの確執描くだけのどうでもいい話でしょ。等と、何の期待もしていなかった。
確かにストーリーは女の嫉妬と嫁姑問題というだけの話ではあった。
演技に関しても、浅野ゆう子にはほとんど惹かれなかったし、スリーアミーゴスの方々はほとんど場繋ぎで活きていなかったと思う。
見所だと思ったのは、衣装と安達祐実。
各キャラクターに合わせた衣装は見ていて楽しかった。
ちょっと合わないんじゃないかと思えるものもなかにはあったが、色や刺繍など工夫が見られてよかった。
また、安達祐実の演技は素晴らしかった。
京ことば、何も知らない素直なお姫様ぶりから夫を思う芯の強さの演技。
なかなか合うキャラクターに出会えない彼女であるが、今回のはなかなか良かったのではないかと思う。
それから、博多座で観る芝居は、ファンサービスという面ではいつもながら満足。
鏡花水月
ハグハグ共和国
新宿シアターモリエール(東京都)
2010/07/01 (木) ~ 2010/07/04 (日)公演終了
満足度★★
ダンスと殺陣はよかったけど
ダンスと殺陣はよかったけど、ストーリーはへんてこなアリスって感じで、面白くない。これでいいのか?
空いっぱい
アンティークス
OFF OFFシアター(東京都)
2010/07/01 (木) ~ 2010/07/05 (月)公演終了
満足度★★★★
ウキキキキー!
一回りして、良い方向へ進んで良かったね!
ネタバレBOX
パラレルワールド物。一回りがいい。二回りしていたらウダウダ。
余命半年と診断された男が、不思議な夢を経験して、現実に戻ると、自分の病気自体は治らないものの荒んだ世の中がまともになり、充実した一生を終えたという話。
のび太がドラえもんといっしょにタイムマシンに乗って亡くなったおばあさんに会いに行って、その後心が優しくなったような感じ。
佐々木拓也さんは実写版のび太的。幼なじみはドラエモン体型。おばあさんとは、もちろん、亡くなったおかあさんと生まれてすぐ死んだ弟と妹のこと。
不思議な妖精のような子が、男の死後に生まれた娘だったとは。子供にも会えて良かったね!
佐々木拓也さんは1年5ヶ月振りの役者とか。パセリス公演も楽しみです。