最新の観てきた!クチコミ一覧

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常夏の星

常夏の星

とくお組

駅前劇場(東京都)

2012/08/22 (水) ~ 2012/08/30 (木)公演終了

満足度★★★★

満足満足。
おもしろかった!

とくお組の舞台には概ね言えることなんだけど、セットの完成度が凄く高いんだよなあ。

『常夏の星』では、潜水艦に車が突っ込んでるセット。モノホンの車を使用しているところも唸りどころだけど、なんと言っても細かなところの凝り方が半端じゃないところがね、最高。配管の具合・・・イイねー!(←しかもストーリー上、そこまで凝る必要が無いというのもイイ!笑) 

最も唸ったのは、地下都市に通ずる管の内部。なんか内臓のようなもので飾られてるんだけど・・・これ、本当に凝る必要のないところなんだよね。てか、ステージに向かって左側の端の方の観客からは見切れてるんじゃないか?笑

なんか学ランの裏地に虎や龍を仕込む中高生みたいだよ(今時そんな奴いねーか!)。 セットを構想する時、組み立てる時・・・さぞかし楽しいんだろうなあ(笑)

脚本もいい具合に凝ってる。2つのストーリーから成ってるんだけど、その片方は劇中劇のような雰囲気を漂わせてるんだよね。でも実際は、同時系列の話で・・・。ま、この2つをくっつかせる為に、ものすごい力技でねじ伏せるんだけどさ(笑)

役者もイイ!配役もイイ!ほぼ完璧だと思います。

とくお組のコメディって(特に、エチュードに言えるんだけど)、頭の良さがにじみ出ちゃって鼻に付くところがあるにはあった(しかも瞬発力では、バカという名の天才に負けちゃうんだ)。松本人志の雰囲気をマネていた、かつての千原ジュニアのように。でも、今回は良い塩梅だったなあ。「センスを潜ませたい感」が表立ってなかったのが、凄くヨカッタ。

大満足の舞台。

【番外公演 とりささ!】 退魔師・裏

【番外公演 とりささ!】 退魔師・裏

とりにく

テアトルBONBON(東京都)

2012/08/30 (木) ~ 2012/09/02 (日)公演終了

う~ん、こういうのは
カジュアル歴史ファンタジーとでも呼べばいいのだろうか(軽いノリの和風歴史空想ものなので)けっこう若い人たちに人気があるみたいでした。衣装がアニメそのままで出来がいい。それ以外はありがち。ファンタジー小説そのままのよくあるパターンだ。殺陣のシーンでは効果音と殺陣がずれている。観劇のポイントはこのファンタジー世界に入り込めるかどうかが鍵でしたが、残念ながら入り込めなかった~。醒めて観ているとしんどい。 

SUMMERTIME

SUMMERTIME

TOKYO PLAYERS COLLECTION

LIFT(東京都)

2012/08/30 (木) ~ 2012/09/02 (日)公演終了

満足度★★★★

季節のはだざわりが導く俯瞰
残暑、少々蒸した夜に初日を拝見、

役者たちが紡ぎあげるロールが
それぞれの季節の肌触りを醸し出して。

その先には、女性たちのナチュラルな歩みへの俯瞰がありました。

ネタバレBOX

会場の早稲田 LIFTはとても面白い空間で、
吹き抜け(たぶん工場か倉庫の名残り)があって
1Fにあたる上部の音(声)がBFの空間に
とてもきれいに重なる。

その広がりには
絶妙に時間を湛える力があって
四人の女優が演じる二人の女性の二つの時間の物語が、
豊かにくみ上がっていきます。

幼いころの記憶、そして大人の女性の抱くもの、
それらがあからさまに舞台に広がるのではなく
エピソードとして観る側におかれ、
二つの時間の緩やかなつながりに導かれるように
ゆっくりとほどけていく。

過去の一つずつのエピソードのコンテンツが、
ナチュラルで、どこにもありそうで、
でも、しっかりと心に残るような夏の風情に磨き上げられていて。
夏休みのゆったりした時間に織り込まれた
風呂上がりの心地良さ、西瓜、かき氷、魚つり、花火の想いで、
それらがキャラクターの時間のなかに
差し込まれるたびに
役者たちのしなやかに季節を纏う演技のふくよかさが、
シーンにとても自然な夏の終わりの肌触りを与えて。

その時代と
ふたりの女性の歩んだ時間と
再び束ねられた今が
記憶の質感とともに観る側を染め、想いを映し広がっていく。

ほんの少し苦く、
重さにならないほどに淡く、
でも深く満ちて、
気がつけば、キャラクターとともにその時間を抱いている・・。

上演時間も、会場や作品のテイストにフィットしていたように思います。
何気ない照明のメリハリや音の響きのコントロールも秀逸、
役者それぞれの描き出す色に加えて
上野作劇の冴えをたっぷりと感じることができる
秀作でありました。


【ご来場ありがとうございました】諍わなければならないいくつかのこと

【ご来場ありがとうございました】諍わなければならないいくつかのこと

劇団パラノワール(旧Voyantroupe)

pit北/区域(東京都)

2012/08/30 (木) ~ 2012/09/03 (月)公演終了

満足度★★★★

考えるな、感じろ
始まり方がいわゆるホットスタートなのと、内容がディープなので面食らうかも知れませんが、入ってしまえば問題なし! 独特の雰囲気が支配する空間を楽しみましょう。

ガラス瓶の中の月

ガラス瓶の中の月

enji

OFF OFFシアター(東京都)

2012/08/30 (木) ~ 2012/09/05 (水)公演終了

満足度★★★

なんかこうスラップステックかな?
タイトル通りにガラス瓶の多い舞台セットでした。
そのガラス瓶一つ一つに主人公の思い出が詰まっていて、
その思い出と展開してゆく物語でした。
明るいブラックコメディとでも言えましょうか・・・・。
スカッと明るくして欲しかったかなぁ。

ネタバレBOX

なんか、いかにもホームレス寸前という主人公の瓶だらけの部屋が舞台。
前説代わりの生活保護審査の男女二人組みの掛け合いが、
楽しそうな舞台への期待を高まらせてくれました。

なんかもう、再生工場で作り直したくなるようなダメダメな主人公。
ガラス瓶の中の楽しかった思い出に逃避しますが、
その楽しかった思い出が、部屋の中に布団や冷蔵庫や流し台の下から突然現れてくる!ビックリして楽しめました。

分かれた女房の元には一人娘がいて、
思い出に逃げようとする主人公を現実に立ち向かわせようと、
部屋に登場する思い出の両親とかと対決します。
が主人公の現実逃避が強くなかなか勝てない。

分かれた現実の奥さんとかが、
いろいろ手助けの為に再就職の連絡先とか、
福祉事務所の人が
審査のゆるい事務所向けの対策を綴った用紙くれたりして、
主人公も思い出を捨てる=舞台上の奈落に瓶を投げ捨てていきます。
あぁこれで前向きになっていくのかなって思ったら。

現実の娘は、無気力な親父を毛嫌いする攻撃的な娘であり。
いままで主人公を立ち直らせようとしていたのは、
昨日まで(過去の思い出)の娘であった。
現実の娘の強い感情に曝された主人公は、
再び楽しかった思い出の中に逃げてしまい、
夏の花火をしようという思い出達の言葉に乗って、
手助けの象徴である各種連絡先の用紙を花火として焼き捨ててしまう・・。
(Mg紙の消失シーンはビックリしました)

結局、
餓死した主人公を冒頭の福祉事務所の二人組みが見つけて幕となる。

くらい 暗いぞー
コミカルな思い出達=若き両親や老いた母親
溶けかけた主人公の死体を処理しに来るであろう清掃業者
(唐突に冷蔵庫から出てきたりする、笑えました。)
楽しい思い出達が出てくるのだから、
なんかコウもっとハッピーなENDに出来なかったんでしょうか?
と能天気な自分は思ったりしたデス。
異邦人

異邦人

東京演劇集団風

レパートリーシアターKAZE(東京都)

2012/08/23 (木) ~ 2012/08/27 (月)公演終了

満足度★★★

雰囲気に呑まれました
砂浜を模した砂を敷き詰めた(というより砂場そのものといった)舞台。照明の具合で乾いた、じりじりとした感覚に襲われます。やるせない不条理な物語を、何かは知りませんがエフェクトのかかったギターの演奏が盛り上げます。とにかく雰囲気に呑まれましたね。

Amar a un buen Juego  - 素敵な愛芝居 -

Amar a un buen Juego - 素敵な愛芝居 -

『劇団 もより駅は轟です』

新宿ゴールデン街劇場(東京都)

2012/08/30 (木) ~ 2012/09/02 (日)公演終了

満足度★★★

微妙
バンラバンラな役柄の人が出てきて、脈絡のあるような無いような…、文学に絡んだ、男と女にまつわるコント集ということでした。

ネタバレBOX

そもそも題名そのものが読めません。口コミすら出来ません、です。

布団の中の男がイケメンから丸坊主の男に変わっていたなどとのオチは面白かったですが、全体としては繋がりとか、間が悪いように感じました。

小説を書き続け、友人、知人、男に振り回され、歳を取っていく…、趣向は良いと思いますが、あの変身はどうなんでしょう。笑いましたけど微妙でした。

ロ字ック山田佳奈さんのゲスト出演は嬉しかったです。
14の夕べ / 14 EVENINGS

14の夕べ / 14 EVENINGS

東京国立近代美術館

東京国立近代美術館(東京都)

2012/08/26 (日) ~ 2012/09/08 (土)公演終了

満足度

手塚夏子鑑賞
2時間半以上の間、踊ることも芝居をしたりすることもなく、パフォーマンスというよりはセミナーの形式に近く、『ただの「実験」がメディアになるのか?の実験』というタイトル通りの内容でした。

会社員の田仲桂さんと、反原発デモを企画している井出実さんによる「実験」を手塚夏子さんの司会で進める形式でした。

田仲さんが観客に記憶から削除したいことを書かせ柱に貼らせた後に、田仲さんは今日の新聞を取り出し、記事の中の原発関連の言葉を黒く塗り潰し、自身が福島のいわき在住であることを明かしました。
井出さんは手塚さんの息子さんを王様として観客参加のごっこ遊びの様な展開で、意図が分かりませんでした。自分は司会に徹すると言っていた井出さんが王様に対して誘導尋問的に話を進めていたのがいやらしく感じました。

休憩時間を挟んで、再び田仲さんの実験で、祈りについて考えるというもので、会場にある大きな木製の箱を観客を交えて叩いて祈ることを実践しました。
田仲さんが反原発デモへの違和感を述べたところで井出さんの番になり、デモの終わりに行っている、輪になって太鼓を叩くパフォーマンスを実演しました。それに拒否感を持つ人は行動で示して欲しいとのコメントが手塚さんからありました。
最後は手塚さんがステンレスのボウルを打ち鳴らしながら無の境地に辿り着こうとする実験でした。

手塚さん自身は枠の外から実験の反応を観察するという作品の形式自体には興味を持ちましたが、内容的には「実験」にすらなっていなくて退屈でした。センシティヴな思想的・政治的テーマの扱い方がナイーブ過ぎるように感じました。福島在住の方のメディアを通していない意見が聞けたのが良かったです。

ロボット

ロボット

演劇集団リレーションシップ

APOCシアター(東京都)

2012/08/29 (水) ~ 2012/09/02 (日)公演終了

満足度★★★★

チャペックすげー!(FNC風に・・)
これが90年以上前の作品ですかー
役者さんも頑張っていましたねー
原作は何となく知っていただけで、
キチンと作品化されたもの観るのは初めてであり期待感高く観劇しました。
原作に真剣に取り組んだ熱意が伝わる舞台でありました。
(SF好きな方にはお薦めかしら)
<全4幕半分に分けて15分休憩入れて165分でした>

ネタバレBOX

SF向かない方は休息後にいなくなった方もいましたね
(確認できたのはカップル1組、ちなみにほぼ満席の40名強の観客数。)

黒パイプのガチャガチャは先におっしゃってる方がいましたので、
自分はタバコについて言いたい!
極めて個人的な理由ですが劇場のような限定空間での喫煙は、
嫌いな人間には苦痛ですので熟考を願いたいです。
電子もネオシーダもあるので観客への配慮として考えて欲しいです。

観劇後に原作を読んだりもしましたが、
本当に丁寧に舞台化されていました。

ブライキングボス観たいのが出てくるわ、
リビングデッドみたいな篭城シーンあるわ、
ほんと現代のさまざまなSFの基礎シーンが盛り込まれていた作品でした。
狭い空間ながら上手に観客にイメージを伝えていました。

ただ原作読んで思ったことは、
舞台ではロボットが生き残る為に人間全滅させたとさせていましたが、
原作ではロボットに必要の無い、人間の為の需要物資の生産を永遠に続けるという労働性の向上のために人間が必要なかったと読めました。
ちと読解の方向性が異なっていたのではと感じられました。

原作の人造人間の定義が曖昧なレトロ感が味ではありましたが、
現代風に無機質でのメカニカルロボットか、
ほんとに有機質でのホムンクルス労働力での奴隷風な風刺劇とか、
派生したNEWロボットも舞台化して欲しいかな(^^)
とか考えさせられた舞台でありました。

ただSFなんで、需要は部分的かなぁ・・・。
とか思いました。(自分SF大好きですしねぇ、特に古典とか。)
ロボット

ロボット

演劇集団リレーションシップ

APOCシアター(東京都)

2012/08/29 (水) ~ 2012/09/02 (日)公演終了

満足度★★★★★

驚きました。
単にロボットという言葉が生まれただけの作品ではありませんでした。

なぜ奥の深いストーリーが一般に広まっていなかったのか不思議です。

ネタバレBOX

原作はSF小説かと思っていましたが、元々が戯曲だったのですね。そして何より、てっきり鉄製のロボットの話だとばかり思っていましたからタンパク質的なものと知って驚きました。

ゲノムが分かっても生命体が作れないように、反乱後のロボット(人造人間)たちは工場内の肉のラインなど部品部品のラインを確保しましたが、ロボット、即ち子孫が作れませんでした。ゲノムと生命体の関係に触れた先進性に感心します。

部品を組み合わせる方法は、それを発見した科学者の書類が燃やされてしまったので誰にも分かりませんし、そもそも人間は殺戮され、建築家として手に職を持った一人が生かされていただけでした。

それでも、愛を認識した進歩型の男ロボットと女ロボットにとっては彼が創造主の種族であり、唯一の人間です。なるほどね、こういう形で人間とロボット、神と人間、創造主と知的生命体の関係が繰り返されていくのですね。

新しいロボットは人間と呼ばれ繁栄し、古い人間は神と呼ばれ死滅していきます。我々は何回目のロボットなんでしょう、そして今はどのあたりに存在しているのでしょう、考えさせられました。

10分間の休憩を入れて2時間40分の熱演でした。
露出狂【8/27@名古屋/8/29@大阪!!!】

露出狂【8/27@名古屋/8/29@大阪!!!】

パルコ・プロデュース

森ノ宮ピロティホール(大阪府)

2012/08/29 (水) ~ 2012/08/29 (水)公演終了

満足度★★★★★

これは新しいジャンル⁈スポエロ根!
愉しかった~大きな会場が爆笑してました♪
まぁタイトルがタイトルだけに只のスポ根劇だとは思って居ませんでしたが
やはり中屋敷さんは私たち常識人とはかなり視点が違う
刺激的で面白い魅せ方をします♪

そんなのを魅せられたら舞台から目が離せないあっという間の120分!

今までの柿喰う客のリズム感ある動きやテンポのある展開ではなく
かなり一人ひとりのキャラを生かした会話を中心としたドラマ仕立てな演出!

そのひとつ一つの台詞が面白いから惹きつけられます♪
サッカー部の話なのにサッカーシーンが全くと言っていい程出てこない表現で魅せる辺りは面白い!

久しぶりの玉置玲央さんはキレキレの演技!
私は初めてこの人の強烈な演技を観て
興味を持ってから所属する柿喰う客を知ったぐらい!

そしてもう一人は柄本時生さん!
朴訥な表情ながらその演技は存在感たっぶり!
お芝居の中心にいました!

ラストは部室前で四天王の二人が初めて出会ったシーン…
余韻を残こす大人の様な終わり方も心憎い~♪

最後は満員のお客さんの温かい拍手喝采に包まれて
普段観ている小劇場とはまた違った楽しさがありました♪

いつも私の心を揺さぶり続ける中屋敷さんの作品!
まだまだ目が離せません!

そこそこの写真

そこそこの写真

各駅停車

OFF OFFシアター(東京都)

2012/08/23 (木) ~ 2012/08/27 (月)公演終了

満足度★★★

家族の物語。
人物背景はとっぴなのに、物語は静かでたんたんと進んでいった。
縁側の古い感じが実家感があってよかった。
雰囲気の静けさは好みだった。

世界の果て

世界の果て

unks

ギャラリーLE DECO(東京都)

2012/08/28 (火) ~ 2012/09/02 (日)公演終了

満足度★★★★

空間を創出する「あれ」の力
昔、授業で使っていたあれが大活躍でした。

原作は未読なので、
その作品がどこまで舞台の空間とつながっているかは
わからないのですが・・・。

その空間に築かれたイメージは
圧巻でした。、

ネタバレBOX

OHP(オーバーヘットプロジェクター)、
齢がばれるかもですが学校では授業などで時々使われていて、
休み時間などにはいろいろと遊んで先生に怒られたりもしていた
定規とか、教室に置いてあったの水槽とか乗せたりして・・・。

その遊び心が、極めてクリエーティブな
創作の手段として舞台に生かされる。

正直なところ、物語自体がわかりやすいものとは思わなかったし
不条理というか織り上がるなかでの歪みに圧迫されたり
針が飛んだように塗り替わるシーンのつながりもあって。
にも関わらず、OHPを中心とした場の作り方や
役者たちの身体が作り出す
場ごとの印象がとてもクリアで、
観る側を捕まえつづけるに十分な
創意の連鎖があって、
よしんば個々のシーンのつながりを見失っても
舞台から目を離すことができない。

そうして、積み重なったシーンが投げっぱなしにならず
ループして作品に厚みが生まれ、
その厚みがさらに踏み出して観る側を凌駕していく。
中盤の時間が巻き戻ったような感覚が導く高揚や、
終盤の闇への落下感、
気が付けば
生きることと死のボーダーが浮かび上がり、
自分の立ち位置が滅失していて・・・。

その感覚をOHPの作り出す空間が引き出し、
揺らし、映えさせる。
ナイロン100℃が使うような
映像と演技の重なりに
さらに、役者のオペレーションによる
手作りの生々しさが加わって、
精緻なだけにとどまらない、息遣いのようなものが
舞台に織り込まれて・・・。
これ凄い。

たぶん作品の100%の理解には至っていないと思うのですが、
観客として、ずっとテンションを持って
想像力のリードを解き放ち、
空間の色に染まることができました
鈴木忠志の世界

鈴木忠志の世界

SCOT

利賀芸術公園 野外劇場(富山県)

2012/08/25 (土) ~ 2012/09/01 (土)公演終了

満足度★★★

SCOT「シンデレラ」観ました
戯曲を書く孤独な女の生きざまと、孤独な少女の戯曲のシンクロ。メタ演劇的作りだけど、舞台上の演劇の内(役者たち)も外(スタッフたち)も、全体がSCOT的身体でメリハリが見えないのが意中外。SCOT的には質は高いと思うけれど、メタ演劇として見るとどうかと。メタ手法を使った最近の舞台、範宙遊泳「東京アメリカ」、時間堂「ローザ」、うりんこ「モモ」等が、それぞれ独自の効果をあげているのを観ると、ちょっと残念なつくり?序盤や、舞台上の照明音響等の、本当に役者でない(と思う)スタッフらの素が、逆に印象的。

かわたれの空

かわたれの空

日穏-bion-

シアター風姿花伝(東京都)

2012/08/29 (水) ~ 2012/09/04 (火)公演終了

満足度★★★★

時代背景と深読み
 扱われているのは1952年。1952年といえば総評などもゼネストを決行していた時代であり、サンフランシスコ講和条約発効の年でもある。一方、朝鮮戦争の真っ只中でレッドパージ旋風の影響もまだ吹き荒れていた。済州島4.3事件の4年後に当たっている。
 GHQによる日本支配が公式に終わる前後でもある。これに先立つ1949年には、下山事件、三鷹事件、松川事件が立て続けに起こる。無論、アメリカのスパイ組織が関与したというのが、実際の所だろう。日本の共産化を防ぐ為である。

ネタバレBOX

 このような知識は、当時を描いた作品を見る為には前提条件なのであるが、達夫が、記憶喪失の最中に自分が交通事故にあった原因として、「スパイだったのではないか」と自問する科白は、このような背景にリアリティーがあるからこそ活きてくるのである。
 また、この作品が現代に於いても多くの意味を持つとすれば、アメリカに対する日本の為政者の非合理的精神構造、何でもかんでもアメリカ反対vs追随の日本政府・官僚の姿勢が、民意をではなく、アメリカの施策にこそ重点を置いている近視眼的視点を明確に示していることである。結果、本当に苦しみを負うのは日本の民衆だという事実だ。
 ホームドラマ形式を採っている以上、露骨な形で以上のことを表現している訳ではない。裕仁の戦争責任についても、民衆の言い方として表現されている。だからこそ、観客は深読みする必要があるのだ。原発推進派の後ろに何が見え隠れしているか熟考してみるのも良かろう。本質は変わらない。
鈴木忠志の世界

鈴木忠志の世界

SCOT

利賀芸術公園 野外劇場(富山県)

2012/08/25 (土) ~ 2012/09/01 (土)公演終了

満足度★★★★

SCOT「トゥーランドット」観ました
利賀で学んだ5ヶ国の外国俳優らの演出、出演。当初抱いていたイメージとかなり違った、風刺の強いコメディ(有名な、無慈悲な王女の件は劇中劇だと初めて知った)。古い合掌造りの家屋を改造した真黒な劇場内で、SCOT的に身体をキビキビ使ってのポージングやダンス、イタリア仮面劇のノリが人形劇のようで小気味よい。斜に構えた掃除婦の視点から見た、馬鹿げた宮廷の喜劇。

【番外公演 とりささ!】 退魔師・裏

【番外公演 とりささ!】 退魔師・裏

とりにく

テアトルBONBON(東京都)

2012/08/30 (木) ~ 2012/09/02 (日)公演終了

満足度★★★★

殺陣
 殺陣の上手さが際立つ。照明も効果的である。また、退魔師と妖魔の敵対関係に陰陽師が関与する弁証法的構図に敵味方の謀略が絡み合って舞台に惹きつける。
 更に、敵味方の仲間意識や裏切り、それを超える価値観としての優しさ、人間らしさが、随所に表現され、単なる活劇に終わっていない。実質を伴ったエンターテインメント仕上がっている。

シュガー×ペッパー

シュガー×ペッパー

ハグハグ共和国

劇場MOMO(東京都)

2012/08/22 (水) ~ 2012/08/26 (日)公演終了

満足度★★★★

題名通り
ほろ苦さと甘さの匙加減、絶妙でした。
美女率高い女性陣や、華やかな衣装とダンスも、魅力的でした。

ネタバレBOX

前回同様、心に響く言葉や情景も、ちりばめられていて、コミカルさも、楽しめたけど、もうちょっとだけ、コミカルさは、おさえても、良いかも?と思ってしまいました。

誰しも胸の奥底で眠っている、立ち止っている姿や、ちょっとだけ引っかかっている事は、ちと切なかったり、ほろ苦かったり、、、でもラストは、ほっこり、それぞれの新たな一歩が、始まった感が良かった。

特に、『お助け隊』は、可笑しかった。
社長晴美(渋谷恭子さん)は、町の有力者の娘らしいワガママさが良かった。
女性社員3人(じゅりなさん、伊喜真理さん、窪田悠紀子さん)の、色っぽさや、3人で揃えるポーズも決めつつ、3キャラのそれぞれの違いも面白く、魅力的でした。
唯一の男性社員の小野(熊木拓矢さん)の、ちょいキザ加減も良く、面白かった。発声法が良いのだろう、声の響き方が、とても心地好く、表情も豊かで、キャラの想いが、客に、きちんと積み重なっていく感が良かった。シリアスな役も、是非観たいと思いました。

前半の秀子(月野原りんさん)は、戦いに挑まねばならぬ、一人の大人の女だったが、一人ぼっちではない後半は、優しさ柔らかさの滲む女の子らしさが、とても、素晴らしかったです。
背水の孤島

背水の孤島

TRASHMASTERS

本多劇場(東京都)

2012/08/30 (木) ~ 2012/09/02 (日)公演終了

満足度★★★★★

考えさせる作品
あくまで個人の好みですが、私は説教くさい作品は苦手です。映画でもマンガでも、作者の個人的な怒りや主義主張があからさまだと途端に醒めてしまう。それなら自分が政治家になって変えればいいじゃん。などと思ってしまう、嫌な観客なのですよ。
この作品は違いました。震災、原発、永田町、題材は生々しくて重いのに、面白い。エンターテイメントになっている! 凄いなぁと思いました。
3時間休憩無しで観て、もう一度観たいと思った作品は初めてかもしれない。
…リピートしちゃおうかな。でも上演期間が短いから悩み所です。

蛇足ながら。上演中に携帯が鳴った人がいました。いくらアナウンスしてもなくならない携帯の切り忘れは、本人の問題意識の低さが原因でしょう。本多劇場さんでも携帯電話抑止装置を導入してはどうかと。

音楽劇 オリビアを聴きながら

音楽劇 オリビアを聴きながら

劇団扉座

青山円形劇場(東京都)

2012/08/22 (水) ~ 2012/08/31 (金)公演終了

満足度★★★★★

ヒット曲を紡いで…
ヒット曲を紡いで…という作品は今年だけで既に2回見ており、その2回目が安直な作品だったので、そんなに期待しないで出かけたのですが、ナメてました。すみません。

ストーリーも良かったし、曲をよく吟味して取り入れてるし、それを表情豊かに表現することの出来るキャストが揃い、ステキなステージに仕上がっていました。悪役に徹した石井愃一ブラボー。

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