SUMMERTIME 公演情報 TOKYO PLAYERS COLLECTION「SUMMERTIME」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    季節のはだざわりが導く俯瞰
    残暑、少々蒸した夜に初日を拝見、

    役者たちが紡ぎあげるロールが
    それぞれの季節の肌触りを醸し出して。

    その先には、女性たちのナチュラルな歩みへの俯瞰がありました。

    ネタバレBOX

    会場の早稲田 LIFTはとても面白い空間で、
    吹き抜け(たぶん工場か倉庫の名残り)があって
    1Fにあたる上部の音(声)がBFの空間に
    とてもきれいに重なる。

    その広がりには
    絶妙に時間を湛える力があって
    四人の女優が演じる二人の女性の二つの時間の物語が、
    豊かにくみ上がっていきます。

    幼いころの記憶、そして大人の女性の抱くもの、
    それらがあからさまに舞台に広がるのではなく
    エピソードとして観る側におかれ、
    二つの時間の緩やかなつながりに導かれるように
    ゆっくりとほどけていく。

    過去の一つずつのエピソードのコンテンツが、
    ナチュラルで、どこにもありそうで、
    でも、しっかりと心に残るような夏の風情に磨き上げられていて。
    夏休みのゆったりした時間に織り込まれた
    風呂上がりの心地良さ、西瓜、かき氷、魚つり、花火の想いで、
    それらがキャラクターの時間のなかに
    差し込まれるたびに
    役者たちのしなやかに季節を纏う演技のふくよかさが、
    シーンにとても自然な夏の終わりの肌触りを与えて。

    その時代と
    ふたりの女性の歩んだ時間と
    再び束ねられた今が
    記憶の質感とともに観る側を染め、想いを映し広がっていく。

    ほんの少し苦く、
    重さにならないほどに淡く、
    でも深く満ちて、
    気がつけば、キャラクターとともにその時間を抱いている・・。

    上演時間も、会場や作品のテイストにフィットしていたように思います。
    何気ない照明のメリハリや音の響きのコントロールも秀逸、
    役者それぞれの描き出す色に加えて
    上野作劇の冴えをたっぷりと感じることができる
    秀作でありました。


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    2012/08/31 11:28

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