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わが友ヒットラー

わが友ヒットラー

シアターオルト Theatre Ort

駅前劇場(東京都)

2013/03/27 (水) ~ 2013/03/31 (日)公演終了

満足度★★★

空間と戯曲の関係、その可能性
駅前劇場という小空間で観る「わが友ヒットラー」には、戯曲の質量とも相まって、強い圧迫感のようなものを感じました。それはこの作品を上演する演劇人たち、そして私たち自身が、昨今の世の流れに感じる違和感、不安をそのまま映していたのかもしれません。

2ブロックに分かれた客席に挟まれた、ランウェイのような舞台の上で物語は展開します。青春時代の友情/幻想に浸り続ける突撃隊長・レームとヒトラーの運命を分ける会談の切なさ、反主流派(左派)のシュトラッサーの悲痛な闘い、武器商人クルップの不気味な存在感を、観客はごく間近に体験するわけです。さらに舞台は天井に向かって高さを増すスロープになっていますから、俳優たちも時には身を屈めて演技をすることになりますが、その窮屈さが、このドラマの背景にある政治的構造やそれに伴う恐怖をいっそう強く印象づけます(ヒトラーを含め、登場人物たちもまた、この恐怖から自由ではないのです)。

強い空間設計と計算された演技は、テーマの重さ、戯曲の重厚さを伝えるには充分でしたが、3時間近い大作ということもあり、沈滞感も漂っていたように思います。例えば、レームの、ヒトラーへの一種ホモセクシュアル的な執着には、もう少し色気も滑稽さもあっていいですし……そういった人間のあり方の複雑さ、幅こそが、この悲劇の深さ、面白さにも繫がっているのだと思うのです。






ネタバレBOX

また、この戯曲は室内劇ですが、ヒトラーの演説、銃声を遠くに聞く終幕など、外部(民衆、社会の動静など)を強く感じさせるものでもあります。今回は今を生きる観客自身がこの舞台を囲むことで、その構造を表現されていましたが、もしかするとこの戯曲はむしろ、プロセニアムアーチの劇場を前提に書かれた部分が大きいのかもしれません。ナチスと大衆の関係、あるいはヒトラーという人物のイメージをより劇的に、分かりやすく(それも善し悪しですが)伝えるには、いわゆる一般的な「劇場」の空間の方が便利というわけです。今回の上演の挑戦的な部分も、また、難しかった部分もここにあるような気もします。

兄よ、宇宙へ帰れ。【ご来場ありがとうございました!】

兄よ、宇宙へ帰れ。【ご来場ありがとうございました!】

バジリコFバジオ

駅前劇場(東京都)

2013/05/29 (水) ~ 2013/06/03 (月)公演終了

満足度★★★

space
面白い。ドードーかわいい。

ネタバレBOX

10年演劇やってた砂城(三枝貴志)が、迷いを感じ、高校生らとのトラブルを経由して、「演劇」が離れていく。すると、過去の演劇の登場人物や設定が現実のものとなり始める。エクソシストの仕事を斡旋された砂城が向かった先は、引きこもりの兄に悩む三姉妹がいる家。兄・啄郎(武田諭)は、砂城の高校時代の演劇仲間で、学園祭の時期に演劇をやめていた過去があった。啄郎の好きだった岬りり(陣内ユウコ)が家にくるが、りりは記憶が無くなっていく病に罹っていた。砂城は、二人に高校から付き合っていたという設定で演劇をさせる。晴れやかな顔になった二人は外で出ていき、砂城は演劇をまた始める…。

序盤から中盤、笑えるところが多くて好感触。高校生の青春シーンはコミカルで上手かった。砂城の社会人側にまわったツッコミもいい。

事故死した親を救えなかったことで引きこもった啄郎は、(砂城の)演劇を望み、演劇が離れていった砂城が「演劇」でもって啄郎とりりの悲しみを癒すシーン。徐々に高まっていくテンションは良かった。二人を見つめる砂城の表情も良かった。ただ、もうちょいここらに厚みがあってもよかったと思う。

過去の記録(キャラ)が、現在の砂城に語りかけヒントを与える構図はよいけど、もっと絡んでも良かったかな。好みの問題だけど、あの人形のちょいグロさが際立つ使い方があって良かった。

シーンシーン自体は面白くて飽きなかった。
『問わず語り』

『問わず語り』

劇団ドガドガプラス

明石スタジオ(東京都)

2013/05/23 (木) ~ 2013/05/26 (日)公演終了

満足度★★★

物語としてはどうかな
女優陣の美しく、妖しい魅力に支えられた舞台だった。エロティックな表現は秀逸だったと思う。(照明が彼女たちの妖艶さをより引き立たせていた。)ただ物語としては深みがなく、何より主人公「太田」の内面が描かれていないのでどうもピンとこない。(原作がそうなのかな)戦局が硬直し、徐々に張り詰めていく時代の空気と「たるみにたるんだ軟派の極み」である太田の対比、シーンでいうと太田と息子の嫁、雪江の情交と戦地で散っていく息子、和也を二重写しにしたシーンは興味深く観た。(対極にある、生と死が象徴的に描かれていた。)また「別れ」を強調したかったのか、ショパンの「別れの曲」が何回も流れていたが、これは頂けない。情感が最も盛り上がるシーンで一度使えばいいと思うのだが、どうだろうか。

六丁目金山ビル・おみまめ

六丁目金山ビル・おみまめ

劇団芝居屋

テアトルBONBON(東京都)

2013/05/22 (水) ~ 2013/05/26 (日)公演終了

満足度★★★

確かに人生は覗けたけど・・・
前半は喫茶店に集う人々の人物紹介的な印象が強い。後半は姉弟と、彼らが幼い時期に別れた父の話が大半を占める。増田氏の語る「人情芝居」的色合いを後半で強めようと思ったのか、“おみまめ”まで行き着くのが少し性急すぎた感があり、私には入り込めなかった。ラストの姉弟をスポットで照らす場面もベタすぎて好きになれない。(「わかりやすさ」を追求した結果なのかな?)この物語を支えているのは喫茶店「マーガレット」のママを演じた永井利枝の演技だ。彼女の自然で皆を包み込むような演技がこの「人情芝居」をまるごと体現しているように思えてならない。

仏の顔も三度までと言いますが、それはあくまで仏の場合ですので

仏の顔も三度までと言いますが、それはあくまで仏の場合ですので

ポップンマッシュルームチキン野郎

サンモールスタジオ(東京都)

2013/05/24 (金) ~ 2013/06/03 (月)公演終了

満足度★★★★★

5つ目の☆は岡本氏に捧ぐ
もっと過激かと思ったらそうでもなかったけど、そんなことより
客入れの時点でもう、チラシの束を見るのも忘れてCR岡本物語さんに釘付け。
あの素敵なお尻はこうして鍛えられたのかと納得のパフォーマンス!
作家のバランス感覚とセンス、それにしたたかさを感じさせる舞台だった。

ネタバレBOX

あんなに楽しい客入れを始めて観た。
サービス精神にあふれていて、気合いの入れ方が違う。
本編よりエネルギー注入してるんじゃないかしら。(少なくとも消耗してる)
これから毎回あんなパフォーマンスが観られるなら、絶対早めに行く。

さて、その本編の方は
2013年の紅白歌合戦に出場が内定したイスラム原理主義系悪魔メタルバンド
「中東事変」のボーカル、アッラー正田(サイショモンドダスト)が
最近元気のない実家の父(今井孝佑)と、その兄(吹原幸太)との
積年のわだかまりを解く手助けをするというストーリー。

ひとりの女をめぐる兄弟の、互いを思いやるが故の誤解と距離が
兄が継いだ寺に住みついている妖怪やアッラー正田の活躍(?)によって
少しずつ溶けて行くところが楽しい。
実家に帰ってもずっとヘビメタメイクのアッラ―正田が
一番普通の感覚を持っていていいやつなのもよい。

“毒気”は確かにあるが、そこに“敵意”がない。
“認識の浅さ”を装って逆に表現の幅を広げているところがしたたかな印象。
問題意識の薄い、のど元過ぎれば、の日本人を笑い飛ばしている感じがする。

本堂に2つ並んだ骨壷のシーンで始まり、その同じシーンで終わる。
いつもながらこのしみじみとしたベタな本流、兄弟の演技がとても丁寧だから
毒気も妖怪も全てはこのラストシーンのためのマジな遊びだと解る。

出演者の紹介が流れる冒頭の映像がスタイリッシュだし、
キモ可愛いキャラクターの作り方などがとても上手いと思う。
それと同時に、年がバレるのを怖れずに言えば
「てんぷく笑劇場」とか「8時だヨ、全員集合!」のような
ちょい昔のテレビにあったアナログな手触りを感じる。
暗転の前に、CM前の“チャンネルはそのままで!”みたいな
引っ張りと期待させ感が何となくテレビ的で懐かしい。

私的には、サイショモンドダスト★さんの鼻筋通ったメイクが好きだな。
歌わなかったのが残念だけど、素顔を忘れそうなほど似合ってた。
妖怪たちの細かい笑いのポイントもハズレがなくて良かったが
なんちゃってアラビア語で叫んでたテロリストの「24ページ」には笑ったわ。
蒲田行進曲

蒲田行進曲

インソムニア

Geki地下Liberty(東京都)

2013/05/29 (水) ~ 2013/06/02 (日)公演終了

観て欲しいと思う
内容はあらかじめ知っていたせいもあり、
好きなので安心して観れました。
セットもシンプルで、やはりこの劇は
階段だなと改めて思いました。
ただ、私サイドの問題ですが
内容を知っている分、映画のシーン(といっても映画のころはまだ幼少なので
厳密にはレンタルでしかみてませんが)が思い出され、
それにかぶさる形での印象になってしまったので、まっさらな上での
評価はできません。
しかし、メインの三人はもとより、
みな力のこもった演技であり、ホロッとくるところもあり、
映画を観ていない人にも
強くお勧めしたい公演だと思いました。




プルーフ/証明(元田 演出ver.)

プルーフ/証明(元田 演出ver.)

DULL-COLORED POP

シアター風姿花伝(東京都)

2013/05/29 (水) ~ 2013/06/02 (日)公演終了

満足度★★★★★

わざわざ・・・
時間の関係上、こちらのバージョンのみ観ただけで、他のバージョンとは比較できないのですが。純粋に舞台の作品として素晴らしかったと思います。わざわざ遠方から観に行った甲斐がありました。

ただ、良かっただけに、今、他のバージョンが観れなかった残念感がスゴイです。

蒲田行進曲

蒲田行進曲

インソムニア

Geki地下Liberty(東京都)

2013/05/29 (水) ~ 2013/06/02 (日)公演終了

満足度★★★★★

完成度の高い舞台
蒲田の映画も舞台もそれぞれ10回以上は観ているが、今回の舞台は見事としか言いようがない。
つかさんの戯曲にしてもシナリオにしても、言葉を必要最小限に磨き込んで作ってあるので、変にこれを脚色しようなんて考えると、絶対に原作には到底及ばないものになってしまう。本作はシナリオに忠実に脚色されており、絶対的な部分は全く触らず、ただし板と銀幕の違いを調整するためだけに、微妙な調整だけが施されている。
だからこそ不覚にも二度も涙が込み上げてきたのだろう。「小夏さん、あんたのこと、儲けもんじゃと思うとるから」「だつて銀ちゃん、いつも一緒にいてくれないじゃない」、本当泣かす台詞でした。
小夏役の佐竹さん、素晴らしい演技でした。銀ちゃん、最後の階段落ちのシーンの手前位から顔つきも変わり、怖ろしいほどの気迫を感じました。
この人達の舞台、初めてでしたが、また観てみたいです。

ブロードウェイミュージカル HAIR「ヘアー」

ブロードウェイミュージカル HAIR「ヘアー」

キョードー東京

東急シアターオーブ(東京都)

2013/05/29 (水) ~ 2013/06/09 (日)公演終了

のぞき見公演♯4

のぞき見公演♯4

ガレキの太鼓

都内某所。劇場ではない空間。(東京都)

2013/05/30 (木) ~ 2013/06/04 (火)公演終了

満足度★★★★

風営法違反編
まず、待ち合わせ場所が怪しい。待っている人の中に女性がいないとホントに怪しい。

そして迎えに来る人も怪しい。

で、場所は、まあまあ怪しい。あれが道の奥ばったぼろいマンションだともっと怪しい。

ハード面はさておき、中身だが、のぞき見、というより、端っこで見ていたという感じ。

観ているうちに、流れに入り込んでしまった。なんか、本当にマンションの一室でチームでなんかしているという印象を持った(って場所がマンションだから当たり前なのだが)。その分、日常感が入って、時間の流れがゆっくりになり、芝居というより、仲間うちという感じがものすごく強くなった。心地よかった。

中身は、エロ度No.1というだけあって、エロかった。楽しめます。

で、店長がとてもよかった。空気の流れがゆっくりになったのは、店長の雰囲気が大きく影響している。ああいう雰囲気を出したい。

不道徳教室

不道徳教室

森崎事務所M&Oplays

KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)

2013/05/29 (水) ~ 2013/06/04 (火)公演終了

満足度★★★★

余韻が長く続いて幸せ
現代日本語の親しみやすそうな会話劇…では全くなく、説明ゼロでさらりと時空を超え、迷子になったまま最後まで抜けられない。最高。二階堂ふみさん…確かに「恐ろしい子…!」だった。演技も声もいい。十代なんて信じられない。古典戯曲もやって欲しい。

私もパンフ(800円)とてもおすすめです。岩松さんと高橋源一郎さんとの対談があるのです。これが…すごい。ああ、やはりあの場面がクライマックスだよね!と、一人納得(勘違いの可能性最大)。

ネタバレBOX

カエターノ・ヴェローゾ「Cucurrucucu Paloma」。彼女を家まで追いかけた、あの瞬間。
さよならの唄

さよならの唄

企画演劇集団ボクラ団義

六行会ホール(東京都)

2013/05/30 (木) ~ 2013/06/02 (日)公演終了

満足度★★★★★

二回観た。
序盤こそ広い舞台を持て余している?感あったものの、あとはもう今までのボクラ団義の作品
「わラワレ!」
「嘘つきたちの唄」
「オーバースマイル」
「ハンズアップ」
あたりのボクラ団義らしい要素(時間や空間の扱い方、見せ方)をひたすら集めてきて濃縮したようなつくり。
映像、ダンスのシーンは従来に比べると少し控えめ?

ただ、あいかわらず一回ではわからない!
一回目は話の筋というか理屈を追いかけることになるべく専念し、二回目でやっとキャラクターの心の動きを感じられる点もいつも通り。二回目はもうOPのダンスのシーンあたりから涙目。。。

脳みそ変態こと主宰・久保田唱が創り出す魅力あふれるキャラクターと、それを具現化する役者たち、さらにはそれを「作品」に作り上げていく制作チームがいい仕事をしているのでしょう。

出演だけでなく衣装も担当している平山空も◎
アンケートの、特によかった部分の項目が、どうにもまとめきれなくて書くのをあきらめました。

ネタバレBOX

「秘技!神の声!」

ふつうにお客さんとして観にきてた真凛ちゃんと三田寺理紗さんと木村昴さん(天才劇団バカバッカ)に会えました。
「オーバースマイル」に出演していた足立梨花ちゃんに至ってはふつうに物販にいてびびりった。いわく「昼の一回観て、あと夜まで少し時間あるからDVDでも売ろうかなと思って」ですって!
あと堀越のりさんは「堀越のりカルタ」おぼえてました。

始まり方からして「ハンズアップ」を連想させるので、そういうことなんだろうな、と思ってたらその点だけ予想が当たってた。
ミレナ

ミレナ

劇団俳協

TACCS1179(東京都)

2013/05/29 (水) ~ 2013/06/02 (日)公演終了

満足度★★★

正統派の真面目な演劇でしたが・・・・。
その分、良くも悪くも終始演劇臭さとオールドファッションな演出が気になった。カフカとのくだりは最初のミレナが逮捕される原因の示唆のみでよかったような気がしますが・・・。また、主演女優さん二人が何だか体力不足のような感じで、台詞の噛みや聞き取りにくい台詞が多く、どうしたのかな~と。割とよく似た体格と容貌のお二人なので、髪の毛の右わけと左わけのみの違いというのも、演技力のみに頼った正統派演劇の感が強く、これも演劇臭く感じた要因の一つかもしれない。もうちょっとプラハのボヘミアンらしさがあってもよかったのでは?(大体ボヘミアンなんて言葉、若い観客に理解できるのか?)観客に理解力や想像力を期待しすぎている感じだ。見上手な観客ばかりでは無く、私のように「え~、もっと髪型や化粧ではっきりさせてくれればいいのに!」なんてバカもいますので・・・。

ネタバレBOX

劇中のイデオロギー論で脚本家のお年が分かりますね。ロシアも東欧も中国も資本主義化した今、むしろ陳腐に聞こえてしまいますが、どうしても外せないところだったのだと思います。しかし、収容所内の人間の尊厳と生存への執着と争い、ドイツの肥大した純血主義、体制への抵抗、人間の生き方への問いかけ、芸術家カフカの思想など様々な物が詰め込まれたこの演劇にイデオロギーまで持ち出してきては、どうしても詰め込みすぎの感が否めない。渾身の作ではあるでしょうが、「え~それもやるの??」というのが正直な感想です。
THE WIZARD OF BOM

THE WIZARD OF BOM

BOMBOMBURGERS

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2013/05/31 (金) ~ 2013/06/02 (日)公演終了

満足度★★★★

お芝居だけではなく
まさにスペシャルショーケース,劇場内では危険度も高まるだろうがインラインスケートの空中演技は見事であったし,ダンスもまた見るべきものはあった。お芝居についても,単なる「OZ」ではないストーリーにしているのがいい。とにかく,総合して誰もがエンターテイメントに楽しめる空間だったと思う。

モータプール

モータプール

劇団子供鉅人

AI・HALL(兵庫県)

2013/05/24 (金) ~ 2013/05/26 (日)公演終了

満足度★★★★

劇場に熱い風が吹きます!
白線だけの空間に色々な風景を映し出す!

懐かしさや温かさ、楽しさ、寂しさなど…色々と表現される

役者さんの熱い演技が魅力的で惹きこまれます!

綺麗に魅せるダンスではなく、感情を表現する全身全霊のダンスは圧倒されます!
これがダンスの原点の様な気がします♪
閉め切っている劇場内に風が吹きます!

頭の中で整理できなかった部分もありましたが
ツイートやブログで観た人の色々な感想を見て余韻に浸っています…

観劇する場所によって見え方や楽しさが大きく変わる
変幻自在で刺激的な子供鉅人のお芝居!

RADIO311

RADIO311

GROUP THEATRE

ウッディシアター中目黒(東京都)

2013/05/29 (水) ~ 2013/06/02 (日)公演終了

満足度★★★★

F1事故遠近
 2011.3.11 午後2時46分。宮城県沖で起きた大地震は、M8.4と報じられ、関東でも長い揺れが多くの人々の心胆を寒からしめた。その後、襲い来る大津波に、死者、行方不明者は交通インフラ遮断や通信途絶、原発爆発などによっても立ち入ることを拒まれ、実数は無論のこと、安否確認、危険地域からの避難・誘導についても混乱を極めたのは周知の事実である。

ネタバレBOX

 一方、仙台の母子家庭で育ち、現在は、東京、目黒の賃貸アパートで暮らすニートの青年の部屋には、大家からの退室勧告、NHKの集金人などが、押し寄せてくる。無論、携帯に入る電話は、借金の督促だろう。彼が掛けるのは、友人への借金の申し込みである。毎日、叶いもしない夢を漠然と追い掛けて生きているというのが、彼にとっての日常である。
 だが、この地震の後、今後の生活に不安を感じた彼が、コンビニに食糧、水、その他生活に最低限必要と考えられる物資の買い出しに行き、戻ってみると、部屋の中には、見ず知らずの人達が、ラジオを前に“ああでもない、こうでもない”と言い合っている最中であった。「自分の部屋だ」と言って追い返そうとする彼に、「困った時は助け合いが肝心」と迫る彼らは、一体、どこの何者なのか? 何れにせよ、途切れがちのニュースを必死の面持ちで聴く彼らの態度は、尋常ではない。口々に語られる話の内容からすると、彼らは被災者のようであるが、ここは、現地から200km以上も離れた東京である。被災者が、なぜ、東京に現れたのか? 而も、津波に襲われて間もない時刻だというのに。彼らは、しきりに津波で別れ別れになった家族のことを話している。電話網は、回復していない。安否が確認できないので、ラジオのニュースに齧りついているのだ。青年はドアを開けて皆を追い出そうと試みるが。ドアはどういう訳か、開かない。青年も彼らと共に閉じ込められていたのである。
 幾日か経つと、避難所のニュースなども流れるようになった。するとアパートに来ていた人々とニュースに出た人の再会が果たされる。アパートには、煙が降りてくる。煙が晴れると、件の人々の姿は消えている。成仏したのである。こんなことを繰り返しているうちに、残るは、息子を思って情報収集する夫婦とアパート住人だけになった。而も彼らは再会を果たすことなく煙と共に昇天する羽目になった。最後の頼みに息子への伝言と写真を青年は預かった。
 現地では、責任感の強い父親が、孫を妊娠した娘と女房を置いて、福島原発3号機の収集作業に向かった。1号機は既に爆発を起こし、3号機も何時爆発してもおかしくない。而も、原始炉内部がどのような状態になっているかは誰も分からない。分かっているのは、冷却水が減って、炉心がむき出しになっているだろうこと、従って、炉心を冷やせなけれ、遅かれ早かれ爆発なりメルトダウンなり、メルトスル―が避けられない、ということである。できれば、若者に被ばくさせたくない。彼はベテランでもあり、自分らが行かなければ、誰にも抑えられないという経験と自負もある。恰も、原発自体が、生き物ででもあるかのように擬人化し、語り掛けて収束作業に向かう彼らを新たな爆発か余震が襲う。(追記後送)







月の岬

月の岬

SPIRAL MOON

「劇」小劇場(東京都)

2013/05/29 (水) ~ 2013/06/02 (日)公演終了

満足度★★★★★


 詩的なシナリオに見合った質の高い、演出、演技。舞台美術や小道具に至るまでの物が、多くを語る。緻密で奥行きのある優れた作品。舞台上で微妙な情緒を表現するのに用いられるスモークの焚き方、照明も絶妙。

ネタバレBOX

 オープニング、下手奥から登場した長女は、襖を開け、直ぐ奥に消えてしまう。間もなくチーンと仏壇にまいる様子を伝える音が聞こえてくる。
 一瞬、存在した者が、非在の相へ転位すると、短い間を置いて、音という位相で存在を露わにする見事さ。観客は、先ず、この手際に驚かされる。
 舞台美術も単に手が込んでいるというより、気の利いた使い方をされている。舞台正面にちゃぶ台を置いた居間があり、ここで、話が展開するのだが、この部屋の手前、観客席側に濡れ縁があり、上がり框には、靴脱ぎ石が置かれているのだが、この石の上に置かれる履き物の位置や履き物同志の距離などによって、舞台上の登場人物の親疎まで照応して表現されている。無論、靴脱ぎ石に載る履き物の数は限られているから、それ以外の場所に置かれた時には、履き物石の上の履き物とそれ以外の場所の履き物との関係を見れば良い。
 シナリオは、基本的に長崎辺りの九州弁。舞台は、フェリーで渡る大島という離島である。この島には満潮になると島からも切り離されてしまう京が崎というエリアがあるが、大潮の時は殊に潮流も激しく、流れに浚われ、行方不明になる者も後を絶たない。悲恋の末に波に浚われた美姫の伝説もある。更には、この海で命を落とした者達の霊が、ここで泳ぐ者を、海の底に引きずり込むという話もまことしやかに語られ続けているのである。
 海と月光に照り映える水面の美しさばかりが、無上の詩情を誘うばかりの微妙繊細な、而も一旦変化すれば人の命などひとたまりもないような荒々しさを秘めた底知れぬたゆたいを背景に恋の闇が息づく。
 男と女はかつて恋仲であった。その恋は、駈け落ちをする寸前迄、思い詰める程のものであった。而も、すんでの所で女は、自らの生活を選び、男は単身東京へ渡って、事業を立ち上げたものの、経済の失墜の煽りを受けて倒産。妻子を捨て、夜逃げをして故郷に舞い戻っていた。連日のように男は女に迫った。然し、女は「むかしのことは忘れた」と答える。「帰って下さい」とも。「迷惑です」とも。結婚した弟夫婦も巻き込んで、執拗に姉に迫る男を退散させるが、満月の晩、姉は家に戻らない。弟はきっと妹夫婦の面倒を見ている義父の見舞いにでも行っているのだろうと高を括っていたが。駐在が、姉らしい人物を見た、という証人まで連れて訪ねて来たのを見て、漸く己の不明を悟り崩折れる。
 実は、前兆があったのだ。弟の結婚を知って、付き合いを始めた女生徒が居たのである。彼女は、デートで付き合い始めた彼と共に海に行った。其処で初めてディープキスをする、そのことで妊娠したのではないか、とそれとなく匂わしたのだが、信夫はその意味する所を捉えきれていなかった。脅迫めいた電話が入ったり、学校の仕事を終えて帰り掛けに何者か数人に襲われたりということがあった。これらの事実を関連付けて考えることが出来ない。劇中、弟のキャラはずっとこのようなものとして描かれている。信夫の妻は流産した。姉の失踪する前から彼女は10日間程、家で療養している。療養中に満月は来た。一際大きく、波のざわめきが聞こえる。信夫に電話が入る。高校生カップルの彼からだ。彼女は自死したらしい。靴脱ぎ石の横の大きな水瓶に映り込む満月の怜悧な光を浴び信夫はがくりと膝を折る。或いは姉の失踪と死、女子高生が、自分に憧れていたことに気付きでもしたかのように。己の想像力の欠如に今更。

ドロテアノヒツギ〜evolution〜

ドロテアノヒツギ〜evolution〜

ムーンビームマシン

HEP HALL(大阪府)

2013/05/17 (金) ~ 2013/05/19 (日)公演終了

満足度★★★

初めての感覚でした。
こういう作品はファンタジーというのですね。見終わってから知りました。映画や絵本のような舞台で可愛らしく、そして切ないストーリーで好きでした。ただ見たことのある展開やダンスで、舞台だから楽しめるはずの部分が少なかった印象です。「映画や絵本で見る方が••」と思ってしまいました。舞台だからこそ味わえる相対性をもっと感じたい!

妄想レイン@OFFICE

妄想レイン@OFFICE

斬撃☆ニトロ

OVAL THEATER & GALLERY (旧・ロクソドンタブラック)(大阪府)

2013/05/24 (金) ~ 2013/05/26 (日)公演終了

満足度★★

若さ!
勢いでガーッと進んでいき、途中でちょっと集中力が切れてしまいました。しかし佐藤太一郎さんのインパクトが物凄かったです。若さ推し役者さんの中で吉本新喜劇の集約力と風格を体感しました。

その夢、むこう

その夢、むこう

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placebo 大阪府大阪市中央区千日前2-3-9千日前味園ビル2F(大阪府)

2013/04/19 (金) ~ 2013/04/20 (土)公演終了

満足度★★

ありがとうございました
成瀬さんと一川さんが出演されているということで見に行きました。
Twitterなどでも「音」と書かれていたのですが、それが活きていなかったのが残念でした。狭い会場だから役者さんの身体使いと言葉使いの散漫さも目立ちました。でもこんなに近くで役者さんの細かい表情や汗を見ることが出来たことが贅沢でした。ありがとうございました。

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