
わが友ヒットラー
シアターオルト Theatre Ort
駅前劇場(東京都)
2013/03/27 (水) ~ 2013/03/31 (日)公演終了
満足度★★★
空間と戯曲の関係、その可能性
駅前劇場という小空間で観る「わが友ヒットラー」には、戯曲の質量とも相まって、強い圧迫感のようなものを感じました。それはこの作品を上演する演劇人たち、そして私たち自身が、昨今の世の流れに感じる違和感、不安をそのまま映していたのかもしれません。
2ブロックに分かれた客席に挟まれた、ランウェイのような舞台の上で物語は展開します。青春時代の友情/幻想に浸り続ける突撃隊長・レームとヒトラーの運命を分ける会談の切なさ、反主流派(左派)のシュトラッサーの悲痛な闘い、武器商人クルップの不気味な存在感を、観客はごく間近に体験するわけです。さらに舞台は天井に向かって高さを増すスロープになっていますから、俳優たちも時には身を屈めて演技をすることになりますが、その窮屈さが、このドラマの背景にある政治的構造やそれに伴う恐怖をいっそう強く印象づけます(ヒトラーを含め、登場人物たちもまた、この恐怖から自由ではないのです)。
強い空間設計と計算された演技は、テーマの重さ、戯曲の重厚さを伝えるには充分でしたが、3時間近い大作ということもあり、沈滞感も漂っていたように思います。例えば、レームの、ヒトラーへの一種ホモセクシュアル的な執着には、もう少し色気も滑稽さもあっていいですし……そういった人間のあり方の複雑さ、幅こそが、この悲劇の深さ、面白さにも繫がっているのだと思うのです。

兄よ、宇宙へ帰れ。【ご来場ありがとうございました!】
バジリコFバジオ
駅前劇場(東京都)
2013/05/29 (水) ~ 2013/06/03 (月)公演終了

『問わず語り』
劇団ドガドガプラス
明石スタジオ(東京都)
2013/05/23 (木) ~ 2013/05/26 (日)公演終了
満足度★★★
物語としてはどうかな
女優陣の美しく、妖しい魅力に支えられた舞台だった。エロティックな表現は秀逸だったと思う。(照明が彼女たちの妖艶さをより引き立たせていた。)ただ物語としては深みがなく、何より主人公「太田」の内面が描かれていないのでどうもピンとこない。(原作がそうなのかな)戦局が硬直し、徐々に張り詰めていく時代の空気と「たるみにたるんだ軟派の極み」である太田の対比、シーンでいうと太田と息子の嫁、雪江の情交と戦地で散っていく息子、和也を二重写しにしたシーンは興味深く観た。(対極にある、生と死が象徴的に描かれていた。)また「別れ」を強調したかったのか、ショパンの「別れの曲」が何回も流れていたが、これは頂けない。情感が最も盛り上がるシーンで一度使えばいいと思うのだが、どうだろうか。

六丁目金山ビル・おみまめ
劇団芝居屋
テアトルBONBON(東京都)
2013/05/22 (水) ~ 2013/05/26 (日)公演終了
満足度★★★
確かに人生は覗けたけど・・・
前半は喫茶店に集う人々の人物紹介的な印象が強い。後半は姉弟と、彼らが幼い時期に別れた父の話が大半を占める。増田氏の語る「人情芝居」的色合いを後半で強めようと思ったのか、“おみまめ”まで行き着くのが少し性急すぎた感があり、私には入り込めなかった。ラストの姉弟をスポットで照らす場面もベタすぎて好きになれない。(「わかりやすさ」を追求した結果なのかな?)この物語を支えているのは喫茶店「マーガレット」のママを演じた永井利枝の演技だ。彼女の自然で皆を包み込むような演技がこの「人情芝居」をまるごと体現しているように思えてならない。

仏の顔も三度までと言いますが、それはあくまで仏の場合ですので
ポップンマッシュルームチキン野郎
サンモールスタジオ(東京都)
2013/05/24 (金) ~ 2013/06/03 (月)公演終了
満足度★★★★★
5つ目の☆は岡本氏に捧ぐ
もっと過激かと思ったらそうでもなかったけど、そんなことより
客入れの時点でもう、チラシの束を見るのも忘れてCR岡本物語さんに釘付け。
あの素敵なお尻はこうして鍛えられたのかと納得のパフォーマンス!
作家のバランス感覚とセンス、それにしたたかさを感じさせる舞台だった。

蒲田行進曲
インソムニア
Geki地下Liberty(東京都)
2013/05/29 (水) ~ 2013/06/02 (日)公演終了
観て欲しいと思う
内容はあらかじめ知っていたせいもあり、
好きなので安心して観れました。
セットもシンプルで、やはりこの劇は
階段だなと改めて思いました。
ただ、私サイドの問題ですが
内容を知っている分、映画のシーン(といっても映画のころはまだ幼少なので
厳密にはレンタルでしかみてませんが)が思い出され、
それにかぶさる形での印象になってしまったので、まっさらな上での
評価はできません。
しかし、メインの三人はもとより、
みな力のこもった演技であり、ホロッとくるところもあり、
映画を観ていない人にも
強くお勧めしたい公演だと思いました。
プルーフ/証明(元田 演出ver.)
DULL-COLORED POP
シアター風姿花伝(東京都)
2013/05/29 (水) ~ 2013/06/02 (日)公演終了
満足度★★★★★
わざわざ・・・
時間の関係上、こちらのバージョンのみ観ただけで、他のバージョンとは比較できないのですが。純粋に舞台の作品として素晴らしかったと思います。わざわざ遠方から観に行った甲斐がありました。
ただ、良かっただけに、今、他のバージョンが観れなかった残念感がスゴイです。

蒲田行進曲
インソムニア
Geki地下Liberty(東京都)
2013/05/29 (水) ~ 2013/06/02 (日)公演終了
満足度★★★★★
完成度の高い舞台
蒲田の映画も舞台もそれぞれ10回以上は観ているが、今回の舞台は見事としか言いようがない。
つかさんの戯曲にしてもシナリオにしても、言葉を必要最小限に磨き込んで作ってあるので、変にこれを脚色しようなんて考えると、絶対に原作には到底及ばないものになってしまう。本作はシナリオに忠実に脚色されており、絶対的な部分は全く触らず、ただし板と銀幕の違いを調整するためだけに、微妙な調整だけが施されている。
だからこそ不覚にも二度も涙が込み上げてきたのだろう。「小夏さん、あんたのこと、儲けもんじゃと思うとるから」「だつて銀ちゃん、いつも一緒にいてくれないじゃない」、本当泣かす台詞でした。
小夏役の佐竹さん、素晴らしい演技でした。銀ちゃん、最後の階段落ちのシーンの手前位から顔つきも変わり、怖ろしいほどの気迫を感じました。
この人達の舞台、初めてでしたが、また観てみたいです。

ブロードウェイミュージカル HAIR「ヘアー」
キョードー東京
東急シアターオーブ(東京都)
2013/05/29 (水) ~ 2013/06/09 (日)公演終了

のぞき見公演♯4
ガレキの太鼓
都内某所。劇場ではない空間。(東京都)
2013/05/30 (木) ~ 2013/06/04 (火)公演終了
満足度★★★★
風営法違反編
まず、待ち合わせ場所が怪しい。待っている人の中に女性がいないとホントに怪しい。
そして迎えに来る人も怪しい。
で、場所は、まあまあ怪しい。あれが道の奥ばったぼろいマンションだともっと怪しい。
ハード面はさておき、中身だが、のぞき見、というより、端っこで見ていたという感じ。
観ているうちに、流れに入り込んでしまった。なんか、本当にマンションの一室でチームでなんかしているという印象を持った(って場所がマンションだから当たり前なのだが)。その分、日常感が入って、時間の流れがゆっくりになり、芝居というより、仲間うちという感じがものすごく強くなった。心地よかった。
中身は、エロ度No.1というだけあって、エロかった。楽しめます。
で、店長がとてもよかった。空気の流れがゆっくりになったのは、店長の雰囲気が大きく影響している。ああいう雰囲気を出したい。

不道徳教室
森崎事務所M&Oplays
KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)
2013/05/29 (水) ~ 2013/06/04 (火)公演終了
満足度★★★★
余韻が長く続いて幸せ
現代日本語の親しみやすそうな会話劇…では全くなく、説明ゼロでさらりと時空を超え、迷子になったまま最後まで抜けられない。最高。二階堂ふみさん…確かに「恐ろしい子…!」だった。演技も声もいい。十代なんて信じられない。古典戯曲もやって欲しい。
私もパンフ(800円)とてもおすすめです。岩松さんと高橋源一郎さんとの対談があるのです。これが…すごい。ああ、やはりあの場面がクライマックスだよね!と、一人納得(勘違いの可能性最大)。

さよならの唄
企画演劇集団ボクラ団義
六行会ホール(東京都)
2013/05/30 (木) ~ 2013/06/02 (日)公演終了
満足度★★★★★
二回観た。
序盤こそ広い舞台を持て余している?感あったものの、あとはもう今までのボクラ団義の作品
「わラワレ!」
「嘘つきたちの唄」
「オーバースマイル」
「ハンズアップ」
あたりのボクラ団義らしい要素(時間や空間の扱い方、見せ方)をひたすら集めてきて濃縮したようなつくり。
映像、ダンスのシーンは従来に比べると少し控えめ?
ただ、あいかわらず一回ではわからない!
一回目は話の筋というか理屈を追いかけることになるべく専念し、二回目でやっとキャラクターの心の動きを感じられる点もいつも通り。二回目はもうOPのダンスのシーンあたりから涙目。。。
脳みそ変態こと主宰・久保田唱が創り出す魅力あふれるキャラクターと、それを具現化する役者たち、さらにはそれを「作品」に作り上げていく制作チームがいい仕事をしているのでしょう。
出演だけでなく衣装も担当している平山空も◎
アンケートの、特によかった部分の項目が、どうにもまとめきれなくて書くのをあきらめました。

ミレナ
劇団俳協
TACCS1179(東京都)
2013/05/29 (水) ~ 2013/06/02 (日)公演終了
満足度★★★
正統派の真面目な演劇でしたが・・・・。
その分、良くも悪くも終始演劇臭さとオールドファッションな演出が気になった。カフカとのくだりは最初のミレナが逮捕される原因の示唆のみでよかったような気がしますが・・・。また、主演女優さん二人が何だか体力不足のような感じで、台詞の噛みや聞き取りにくい台詞が多く、どうしたのかな~と。割とよく似た体格と容貌のお二人なので、髪の毛の右わけと左わけのみの違いというのも、演技力のみに頼った正統派演劇の感が強く、これも演劇臭く感じた要因の一つかもしれない。もうちょっとプラハのボヘミアンらしさがあってもよかったのでは?(大体ボヘミアンなんて言葉、若い観客に理解できるのか?)観客に理解力や想像力を期待しすぎている感じだ。見上手な観客ばかりでは無く、私のように「え~、もっと髪型や化粧ではっきりさせてくれればいいのに!」なんてバカもいますので・・・。

THE WIZARD OF BOM
BOMBOMBURGERS
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2013/05/31 (金) ~ 2013/06/02 (日)公演終了
満足度★★★★
お芝居だけではなく
まさにスペシャルショーケース,劇場内では危険度も高まるだろうがインラインスケートの空中演技は見事であったし,ダンスもまた見るべきものはあった。お芝居についても,単なる「OZ」ではないストーリーにしているのがいい。とにかく,総合して誰もがエンターテイメントに楽しめる空間だったと思う。

モータプール
劇団子供鉅人
AI・HALL(兵庫県)
2013/05/24 (金) ~ 2013/05/26 (日)公演終了
満足度★★★★
劇場に熱い風が吹きます!
白線だけの空間に色々な風景を映し出す!
懐かしさや温かさ、楽しさ、寂しさなど…色々と表現される
役者さんの熱い演技が魅力的で惹きこまれます!
綺麗に魅せるダンスではなく、感情を表現する全身全霊のダンスは圧倒されます!
これがダンスの原点の様な気がします♪
閉め切っている劇場内に風が吹きます!
頭の中で整理できなかった部分もありましたが
ツイートやブログで観た人の色々な感想を見て余韻に浸っています…
観劇する場所によって見え方や楽しさが大きく変わる
変幻自在で刺激的な子供鉅人のお芝居!

RADIO311
GROUP THEATRE
ウッディシアター中目黒(東京都)
2013/05/29 (水) ~ 2013/06/02 (日)公演終了
満足度★★★★
F1事故遠近
2011.3.11 午後2時46分。宮城県沖で起きた大地震は、M8.4と報じられ、関東でも長い揺れが多くの人々の心胆を寒からしめた。その後、襲い来る大津波に、死者、行方不明者は交通インフラ遮断や通信途絶、原発爆発などによっても立ち入ることを拒まれ、実数は無論のこと、安否確認、危険地域からの避難・誘導についても混乱を極めたのは周知の事実である。

月の岬
SPIRAL MOON
「劇」小劇場(東京都)
2013/05/29 (水) ~ 2013/06/02 (日)公演終了
満足度★★★★★
詩
詩的なシナリオに見合った質の高い、演出、演技。舞台美術や小道具に至るまでの物が、多くを語る。緻密で奥行きのある優れた作品。舞台上で微妙な情緒を表現するのに用いられるスモークの焚き方、照明も絶妙。

ドロテアノヒツギ〜evolution〜
ムーンビームマシン
HEP HALL(大阪府)
2013/05/17 (金) ~ 2013/05/19 (日)公演終了
満足度★★★
初めての感覚でした。
こういう作品はファンタジーというのですね。見終わってから知りました。映画や絵本のような舞台で可愛らしく、そして切ないストーリーで好きでした。ただ見たことのある展開やダンスで、舞台だから楽しめるはずの部分が少なかった印象です。「映画や絵本で見る方が••」と思ってしまいました。舞台だからこそ味わえる相対性をもっと感じたい!

妄想レイン@OFFICE
斬撃☆ニトロ
OVAL THEATER & GALLERY (旧・ロクソドンタブラック)(大阪府)
2013/05/24 (金) ~ 2013/05/26 (日)公演終了
満足度★★
若さ!
勢いでガーッと進んでいき、途中でちょっと集中力が切れてしまいました。しかし佐藤太一郎さんのインパクトが物凄かったです。若さ推し役者さんの中で吉本新喜劇の集約力と風格を体感しました。

その夢、むこう
clickclock
placebo 大阪府大阪市中央区千日前2-3-9千日前味園ビル2F(大阪府)
2013/04/19 (金) ~ 2013/04/20 (土)公演終了
満足度★★
ありがとうございました
成瀬さんと一川さんが出演されているということで見に行きました。
Twitterなどでも「音」と書かれていたのですが、それが活きていなかったのが残念でした。狭い会場だから役者さんの身体使いと言葉使いの散漫さも目立ちました。でもこんなに近くで役者さんの細かい表情や汗を見ることが出来たことが贅沢でした。ありがとうございました。