RADIO311 公演情報 GROUP THEATRE「RADIO311」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    F1事故遠近
     2011.3.11 午後2時46分。宮城県沖で起きた大地震は、M8.4と報じられ、関東でも長い揺れが多くの人々の心胆を寒からしめた。その後、襲い来る大津波に、死者、行方不明者は交通インフラ遮断や通信途絶、原発爆発などによっても立ち入ることを拒まれ、実数は無論のこと、安否確認、危険地域からの避難・誘導についても混乱を極めたのは周知の事実である。

    ネタバレBOX

     一方、仙台の母子家庭で育ち、現在は、東京、目黒の賃貸アパートで暮らすニートの青年の部屋には、大家からの退室勧告、NHKの集金人などが、押し寄せてくる。無論、携帯に入る電話は、借金の督促だろう。彼が掛けるのは、友人への借金の申し込みである。毎日、叶いもしない夢を漠然と追い掛けて生きているというのが、彼にとっての日常である。
     だが、この地震の後、今後の生活に不安を感じた彼が、コンビニに食糧、水、その他生活に最低限必要と考えられる物資の買い出しに行き、戻ってみると、部屋の中には、見ず知らずの人達が、ラジオを前に“ああでもない、こうでもない”と言い合っている最中であった。「自分の部屋だ」と言って追い返そうとする彼に、「困った時は助け合いが肝心」と迫る彼らは、一体、どこの何者なのか? 何れにせよ、途切れがちのニュースを必死の面持ちで聴く彼らの態度は、尋常ではない。口々に語られる話の内容からすると、彼らは被災者のようであるが、ここは、現地から200km以上も離れた東京である。被災者が、なぜ、東京に現れたのか? 而も、津波に襲われて間もない時刻だというのに。彼らは、しきりに津波で別れ別れになった家族のことを話している。電話網は、回復していない。安否が確認できないので、ラジオのニュースに齧りついているのだ。青年はドアを開けて皆を追い出そうと試みるが。ドアはどういう訳か、開かない。青年も彼らと共に閉じ込められていたのである。
     幾日か経つと、避難所のニュースなども流れるようになった。するとアパートに来ていた人々とニュースに出た人の再会が果たされる。アパートには、煙が降りてくる。煙が晴れると、件の人々の姿は消えている。成仏したのである。こんなことを繰り返しているうちに、残るは、息子を思って情報収集する夫婦とアパート住人だけになった。而も彼らは再会を果たすことなく煙と共に昇天する羽目になった。最後の頼みに息子への伝言と写真を青年は預かった。
     現地では、責任感の強い父親が、孫を妊娠した娘と女房を置いて、福島原発3号機の収集作業に向かった。1号機は既に爆発を起こし、3号機も何時爆発してもおかしくない。而も、原始炉内部がどのような状態になっているかは誰も分からない。分かっているのは、冷却水が減って、炉心がむき出しになっているだろうこと、従って、炉心を冷やせなけれ、遅かれ早かれ爆発なりメルトダウンなり、メルトスル―が避けられない、ということである。できれば、若者に被ばくさせたくない。彼はベテランでもあり、自分らが行かなければ、誰にも抑えられないという経験と自負もある。恰も、原発自体が、生き物ででもあるかのように擬人化し、語り掛けて収束作業に向かう彼らを新たな爆発か余震が襲う。(追記後送)







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    2013/06/01 12:02

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