満足度★★★
物語としてはどうかな
女優陣の美しく、妖しい魅力に支えられた舞台だった。エロティックな表現は秀逸だったと思う。(照明が彼女たちの妖艶さをより引き立たせていた。)ただ物語としては深みがなく、何より主人公「太田」の内面が描かれていないのでどうもピンとこない。(原作がそうなのかな)戦局が硬直し、徐々に張り詰めていく時代の空気と「たるみにたるんだ軟派の極み」である太田の対比、シーンでいうと太田と息子の嫁、雪江の情交と戦地で散っていく息子、和也を二重写しにしたシーンは興味深く観た。(対極にある、生と死が象徴的に描かれていた。)また「別れ」を強調したかったのか、ショパンの「別れの曲」が何回も流れていたが、これは頂けない。情感が最も盛り上がるシーンで一度使えばいいと思うのだが、どうだろうか。