マがあく
シラカン
STスポット(神奈川県)
2022/03/30 (水) ~ 2022/04/03 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
あるお部屋のお話。
ネタバレBOX
ドミノの舞台美術は触れたら倒れるのではないかとドキドキしましたが(固定しているのかもしれないけれど)、誰も触れませんでした。狭い空間にたくさんの俳優がいて、大きく動くシーンもあるにもかかわらず、です。広くはない「部屋」の空間を俳優達の身体が把握していて、そういった空間の感覚が第7番目の登場人物である「部屋」にリアリティを持たせていました。効果音や、マイム的な動きなどもふくめ、そういった細部の積み重ねが、劇空間をつくっていたと思います。
そのなかでの登場人物たちは、理不尽な主張の応酬だったり、あえて(だろう)わざとらしいせりふ回しといったいくつもの「違和」を登場させます。
違和感はあるけれども、なにかが起きそうなほどはなにも起きないので、そのもやもや感が居心地悪くもあり、その居心地悪さが面白くもあり、その面白さがすこしだけ物足りなくもあり、でもその物足りなさがクセになりそうでもあり……独特の不思議さをもった作風でした。
たとえば、不思議なゆっくりしたテンポでしゃべり、不思議にズレたテンポで会話する人物と一緒にいると、ちょっとクスリとしてしまうような、そんな感覚です。「なんだか、この人、好きだわぁ」と言いたくなるような、愛しい作品でした。
ひび割れの鼓動-hidden world code-
OrganWorks
シアタートラム(東京都)
2022/03/25 (金) ~ 2022/03/27 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
ギリシア悲劇の「コロス」という存在に着目し、かつて祭りのコロスから俳優が生まれ、時代とともに演劇、俳優、コロスが変容していく──その壮大な人類史と舞台芸術史を見たようでした。
舞台芸術がまだ今の形ではまったく無かった頃、人間たちの営みの背後に広がる大地、古代ギリシアの野外劇場の周囲に広がる町々、ステージという舞台にあがる人びと……そのような光景が見えるようでした。緻密で静謐。美しくも、なにか覗き込んだら食われるような深淵がある。タイトルは『ひび割れの鼓動』。そこに書かれた英字の『HIDDEN WORLD CODE』をまさに探すような、壮大な時空の旅でした。
ネタバレBOX
ギリシア悲劇を丁寧に考察/構築されていて、さらにそれを技術力のある俳優と、身体性の洗練されたダンサーとともに舞台にて表現しようという大胆さと的確さに驚きます。舞台芸術の本質が積み上げられるような、なんと貴重な第一歩だろう、と思います。
丁寧に組み立てられている反面、同時に、枠組みが際立つような気もしました。その構成が知的好奇心を刺激し、考察が優れているからこそ、頭で見てしまったかもしれません。そこに生身のカラダが躍動する身体表現による爆発力や空間の揺れのようなものを、感じたかったといえば望みすぎかもしれませんが……頭だけでなく五感への刺激がもう少し強ければ、さらに大きな高揚感があっただろうなと思います。
テキスト・ドラマターグは前川知大さん(イキウメ)。独自の世界観と言葉を持っている方なので、その特色をもう少し感じられたらコラボレーションとして現代的な面白さがあったかなと思いつつ、ダンスと演劇の背景を持つアーティストたちが共に古代ギリシアまで遡り、同じく舞台芸術に携わる者としてその歴史を立ち上げていく壮大な試みには興奮がやみません。
不思議の国のアリス
壱劇屋
門真市民文化会館ルミエールホール・小ホール(大阪府)
2022/03/24 (木) ~ 2022/03/25 (金)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
壱劇屋が初挑戦する、パントマイムだけの長編公演。出演者5人のうちパントマイムに初めて取り組むという人もいる意欲作でした。
ネタバレBOX
ほぼ素舞台に、紐などで空間を生み出していく。しかも物語の舞台は宇宙空間!?ということで、これは5人の息がそろっていないとこちらにイメージが伝わらないというとても難しいことに挑戦しています。もちろんパントマイムとしては未上達というところもありますが、5人が互いを全身で意識しながら、そしてお客さんの存在もとらえながら、空間をつくっていく様子は印象的でした。演じる、ということついてホスピタリティの高い劇団なのだなぁと思います。
物語は、大人が未開の惑星?に降り立つという設定。キャラクターや展開や細部のエピソードなどは『不思議の国のアリス』をしっかり踏襲していながら、オリジナリティあふれる世界観になっていました。脚色・演出・振付の大熊隆太郎さんの描く「ヘンテコ」な景色を垣間見られて面白かったです。とくに、『不思議の国のアリス』でいうところのイモムシのイメージがありつつ、それが一人だけで演じられるのではなく複数人が同じ動きを繰り返して連なっていく様子は、身体表現やマイムの面白さが見られるキャラクター造形でした。
パフォーマンスの内容に対して会場が大きすぎる気もしましたが、舞台スペースを広く使っており、マイムによる演出もさまざまなアプローチをもちいるなど工夫がこらされていました。
また、劇団の初挑戦を応援するような客席の空気もあたたかく、「団体と一緒にリアルタイムに歩んでいく」という劇団の楽しさがあるなと感じます。
オロイカソング
理性的な変人たち
アトリエ第Q藝術(東京都)
2022/03/23 (水) ~ 2022/03/27 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
女の身体を持つ者たちによる、三世代の女たちの物語。私も女の身体を持ち女として生きる性だからなのか、私のパーソナリティなのか、女を描く物語や設定には、これまで親しんだ違和感のない手触りが多かったです。そういう意味では真新しさはなかった一方、丁寧に率直に真摯に、女が生きる世界を描こうという姿勢を感じました。
ネタバレBOX
年齢の違う三世代ですが、それぞれシングルマザーであったり性被害を受けたりと、女の生きづらさに遭遇しています。三世代を描くのであれば、世代間による違いはもっと感じられてもよいなとは思いました。あるいはどこかの世代にもっとフォーカスを当てて、観客の視点をもうすこし強く誘導しても良い気もしました(おもに現代の孫世代に焦点があたっていましたが、もっとそこを軸に過去を振り返る趣を強くするか、また個人的には二代目のお母さんを中心に据えても芯が立つと思いました)。
劇中で異彩を放っていたのが、戦隊モノのシーンでした。近年の女児主人公の戦隊モノ……とくに『プリキュア』の新作などは既存の価値観にクエスチョンを出す展開が多いです。「私達はこれでいいのか?」「世界はこれでいいのか?」「もっとこういう世界がいいんじゃないのか?」と問いかける戦士になって戦う──けれどもそれはまだ残念ながらフィクションである──という現代の女児主人公の戦隊モノを彷彿とさせるシーンは、まさにこの世界の女性達が置かれている現状でもありました。また、現実と戦うために、フィクションの力を借りて生き延びることにはリアリティがあると思います(そもそも近年の『プリキュア』がベースじゃなかったらすみません)。
空間の広さに対して俳優の演技が大き目なので、客席での居方を少し迷いました。慣れてくると受け入れられましたが、もう少し狭い空間における演技体でも良い気がします。俳優それぞれの演技がしっかりと太く、芯があるからこそよけいに空間に対して強く感じたのかもしれません。この作品をこれほどの狭さで上演するという、戯曲と空間はマッチしていると思いました。
また、提供のコンドームや特別映像など制作面と上演が関連しており、作品の厚みをうむ相乗効果をもたらしていました。オンライン裏話とのセット券もふくめ、上演以外にも興味を持ち世界が広がっていく工夫が凝らされていました。
“Na”
PANCETTA
「劇」小劇場(東京都)
2022/03/10 (木) ~ 2022/03/13 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
タイトルの「Na」ってなんだろうなと思っていたので、いろんな「Na、ナ、な」で遊ぶことが楽しくて、言葉には視覚・聴覚・舌感覚などさまざまな要素が詰まっているんだなと再確認しました。
ネタバレBOX
展開はシンプルで、誰でもわかりやすいのに飽きない!そして遊び心たっぷり。凝った笑いや、シンプルな笑いなど、ビジュアルで見せる笑いや(国旗ネタは爆笑しました…!)、音で楽しむ笑いなどさまざま。観客に呼びかけるという直接的なコミュニケーションのシーンだけでなく、全体を通して、観客の存在を意識し、相互関係を作ろうとしている様子を感じました。
4人の俳優と2人のミュージシャンが、全力でパフォーマンスしてくださるからこそ、時に組み込まれるダジャレ的な笑いもあたたかくなっていく。実は個人的にはダジャレというものが苦手なのですが、瞬間的にだけ瞬発力で笑わせようとするのではなく、出演者たちの真摯さ、前後の空気感の作り方、観客の反応とのちょっとしたキャッチボールなど、空間ごとつくっていく要素としてダジャレがあるので楽しめる。ダジャレを好きにさせてくれてありがとうございます(笑)。
そういった関係性の作り方にはドラマがあり、いくつもの小話が関連したりはしているのですが、もう少し全体を通したダイナミズムがあるともっと印象深くなると思います。
また、冒頭の「王様ゲーム」はハラスメント的なシーンですこし見るのがつらいのですが、そこに王様など登場人物の人間性や関係がもっと描き込まれるか、他のセットリストとの明確な関係性があれば、ハラスメント的なシーンの存在意義があり、また作品に厚みも出るかなと想像しました。
また制作面で、Na=「名」として、チラシのデザインやチケットがこだわられていて、細部への遊び心を感じました。当日パンフがQRコードになっていて、アクセスしてみて当日のラインナップがわかる流れに。個人的にはQRコードパンフはコロナ禍にも対応しているし嵩張らないし好きなのですが、スマホを持っていない人もいるのでそういう方は見られたのかな、と少し心配にはなりました(けれども相談したら丁寧に対応してくださいそうな受付の雰囲気づくりや、並ぶ観客への声かけの柔らかさも良かったです)。
小刻みに戸惑う神様
SPIRAL MOON
「劇」小劇場(東京都)
2022/06/15 (水) ~ 2022/06/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
脚本はジャブジャブサーキットのはせ ひろいち氏、演出が水先アンナを演じた秋葉 舞滝子さんである。舞台美術の精密、センスの良さ、合理性、使い方何れをとっても流石スパイラル ムーンの舞台と唸らせる内容。無論、脚本、演出、演技もグー。殊に秋葉さんの演出、演技の群を抜いた上手さは格別である。(華5つ☆、タイゼツベシミル!!)1回目追記 6.16 17時 2回目最終追記6.18 0:50
ネタバレBOX
上演時間約105分。板上は中央の焦げ茶壁面に掛け時計この壁はホリゾントとしても機能し舞台上手から下手の端迄を占めている。上手・下手にそれぞれホリゾントと平行するよに延びた短い壁。短い壁とホリゾントの隙間が各々出捌け。下手の短い壁に直交するように左手側面の壁、上手も同様に直交する側面壁。上手側面壁の客席側に2階へ通じる階段が設えてありここが3カ所目の出捌けである。壁面には額装された写真などが掛かっている。上手にはソファーセットやテーブル、サイドテーブルが置かれテーブル上には黒盆に載せられた湯呑と未だテーブル上に置かれたままの湯呑が混在している、下手のテーブル上にも同様に湯呑と黒盆、椅子。上手下手各々のスペースの入口辺りに鉢植えの植物が置かれているので感覚の鋭い人には、それとなくこの舞台美術が葬儀の雰囲気を醸し出しているのがこの時点で分かるが、黒盆が2カ所に用いられ而も湯のみの数やその配置で上記の推論が正しいことは直ぐ合点がゆく。舞台美術のセンスの良さは上手側壁から左斜め方向に延びた明り取りの窓の鋭角の鋭さとその鋭さを宥めるようなその色彩・文様の微妙繊細なマッチングにある。上手サイドテーブルの傍にとても小さなゴミ箱が置かれているのだが、これもキチンと使用する辺りの気配りも流石である。
脚本は周到に練られており随所に仕掛けられた伏線・回収、遊びが在る。役者陣の演技については先に述べた通り、皆そつの無い演技力を見せてくれるが秋葉さんの図抜けた演技力はスタニスラフスキーの談じたレベルのそれを越えているように思う。それは単に自然に滲み出るというレベルであるより間の取り方、台詞回し、過不足の無い表現による安定し自然な立ち居振る舞いから醸し出される存在感が舞台全体を締める。こんなことができるのは矢張り脚本の深い理解と、登場人物相互間に働く人情の機微への没入、翻って瞬間的に他の出演者が演じている役柄との相互関係を的確且つ俯瞰的に判断、身体表現に移す瞬発力と舞台空間内での位置関係のこれまた極めて的確な把握によった言語(台詞)発語のレベル、時間(間)、空間(他の役者や美術との舞台内位置関係レベルと身体レベル相互の陥入及び俯瞰との瞬間的な交感能力があってのことだろう。まだるっこしい言い方になった。もっと根本的には彼女が日常レベルに於いてもアイデンティファイし得ているということなのであろう。
そんな彼女が役名・水先アンナとして活躍する。即ち葬儀一般に関わるフリーの水先案内役を務める人物を造詣している訳だ。それは慣れない葬儀の為心細い喪主や親族と霊界を繋ぐ或る意味カロンであり、世間一般の習わしと儀式・霊界との仲介役でもある。
同時に脚本で亡くなったのが劇作家という設定もあり、亡くなった劇作家の主張が若くして最愛の妻を喪い作風が変じたこと。以降総ての作品に単に悲嘆に暮れる残された者を描くことのみならず、様々なエピソード、時に明るい話題も綯い交ぜにしつつ而も常に死の影が存在したこと、と作品創造との不可分な諸関係及び類似性が対比されつつ物語が紡がれてゆく。
この優れた脚本活き活きした舞台作品に仕立て上げているものは役者陣の演技、照明、音響の諸効果を見事に構成し効果的表現に高めている演出。そして数々の深い台詞、その深い科白の数々は人々の日常と葬儀との入れ子細工を通して神学と科学を示唆し、遂には誰しもがその問いを発し、応えきれずして何時しか放棄してしまった問題、‟我々は何処から来て何処へ行くのか? 我ら人間とは何か?“ という普遍的な問いを、再度提起してくるのだ。
透き間
サファリ・P
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2022/03/11 (金) ~ 2022/03/13 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
演劇という芸術を通じて、作者および観客が(物理的・心理的に)距離のあるテーマといかに関係性を結べるかという実験を行った意欲作である。
ネタバレBOX
アルバニアのイスマイル・カダレ『砕かれた四月』を下敷きに、復讐が社会的制度として存在する世界をいかに理解し得るか(あるいはし得ないか)を、ダンスと演劇を混在させたスタイルで考察している。溝と高さを巧く利用した舞台は、ダンサーの身体を様々なものに見せており、また舞台奥に天井からぶら下がったオブジェも含め、個々の要素が観客の想像力を刺激していた。出演者たちのダンス、ムーブメントは、ドラマ的に(すなわち『砕かれた四月』のストーリーに沿って)解釈することも、あるいはそこからズラして読むことも可能なものとして展開されており、そのように行き来する観客の思考は、作者が『砕かれた四月』を読解する思考と恐らく重なっているのだろう。舞台芸術を通じて読解の作業を共有している感覚が楽しかった。
しかし、応募書類に書かれていた作品創造の意図、目的がはっきりしていただけに、本作品が果たしてその目的に到達できていたかはやや疑問が残る。テクストと祖父の存在が有機的に結びついていたかも含め、自身と物理的、歴史的、心理的距離のある出来事を関連づける手つきとして、今回のやり方が有効であったとは必ずしも言えないのではないだろうか。巧く重なる瞬間もなく、かといって完全に客観視できるほど離れることもない、中途半端な位置付けになってしまっていたと言わざるを得なかった。
マがあく
シラカン
STスポット(神奈川県)
2022/03/30 (水) ~ 2022/04/03 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
STスポットの空間をよく活かせた、演劇的想像力を巧く活用した作品である。
ネタバレBOX
アパートの一室を契約するというシチュエーションに、リアリズム的な作品なのかと思っていたら次々に不条理な言動と展開が待ち受けている。小劇場の不条理的シットコムと呼び得る巧さで、不気味さと滑稽さのバランス感覚に優れていた。
思わず吹き出してしまうような台詞と俳優の演技も魅力的だった。他方で、その俳優たちが汎用性の高い上手さであるかはやや疑問であろう。あくまで本作の作品傾向とスケール感に合った演技だったため、他の作品でも見てみたいと思わされた。
総合すると、巧いが故に良くも悪くも後味を残さなかった。不条理にもシットコムにも振り切ることのないバランス感覚はあるが、それによって何を目指しているのかが伝わって来ない。また、応募書類に見られた問題意識や目標が作品を通じて見られず、その点も残念だった。若手の団体であるため、向かう先が垣間見えると一層の強みになるのではないかと思われた。
ひび割れの鼓動-hidden world code-
OrganWorks
シアタートラム(東京都)
2022/03/25 (金) ~ 2022/03/27 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
ダンスと演劇を同地平に併置することでその化学反応を見た実験的作品である。
ネタバレBOX
ダンサーはダンサー、俳優は俳優として舞台上におり、それぞれの身体がダンス的空間、演劇的空間を担保していたので、両者が交錯した瞬間の舞台上の異質化が体感できて面白かった。アフタートークでも語られていたように、その際観客の目線は演劇とダンスの間で行き来する。舞台上のダンサーあるいは俳優の身体を見ることで、観客の身体にも変化が起こるのが体験として新しかった。何より、出演者の技術が圧倒的に優れていた。川合ロン、平原慎太郎を筆頭にダンサーたちの能力は言うまでもなく、佐藤真弓、薬丸翔もダンサーたちの身体と拮抗する空間を築けていた。この、やや歪でありながら調和を見せた空間は、美しい美術と照明、衣装と音響によって構築されており、スタッフワークの完成度が高かったと評価できる。
他方で、ダンスと演劇の間を行き来する試みは既に歴史上にあり、この作品の独自性が見いだせたかは今ひとつだった。コロスを描くというテーマと、本作の実験的手法の有機的な結びつきが見えれば、それはダンスあるいは演劇を更新し得るのではないかという予感がした。
オロイカソング
理性的な変人たち
アトリエ第Q藝術(東京都)
2022/03/23 (水) ~ 2022/03/27 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
性犯罪の影響を、被害者だけではなくその周辺も含めて描いた、時宜を得た作品である。
ネタバレBOX
#MeToo運動をはじめ、性犯罪の告発が急増する現在において、本作のテーマが重要であることは自明である。したがって、そのテーマを「いかに」描いているかが評価の際に重要な要素となる。だが、本作品は描き方としては比較的ドラマであり、オーソドックスなやり方だった。主人公をはじめとして登場人物への感情移入を促す展開、演出がしばしば見られ、性犯罪の被害者である登場人物が葛藤する様は確かに心が動かされた。しかし、思考よりも感情の方が刺激されることにより、性犯罪というテーマを消費する方向に行ってしまっていたのではないかと懸念される。
興味深い演出は各所に散見された。例えば、人形を用いたり少女戦隊モノの演出にしたりという工夫で、被害者の抱える自責の念やそれを利用した二次加害、それらの克服方法を説明しており、いわゆる「お勉強」的にはならないよう上手く回避していた。だが、工夫止まりでありテーマと深く結びついていた訳ではない。作中で最もノリの良い、楽しかった演出が小道具に過ぎなかったのがやや残念だった。俳優は全員高い演技力が認められたものの、劇場の広さと演技の質が合っていなかったのが惜しかった。中でも梅村綾子は技術の幅広さを感じさせた。別の劇場であれば、あるいは劇場の狭さに合わせられれば、高い評価を得られたのではないかと思う。
結果として本作は、(恐らく本来は意図していなかったことだろうが)社会に向けたメッセージを伝えるメディアとして演劇が持つ特徴について再考する機会となった。SNSを含む多くのメディアが氾濫する現代において、演劇はどのようなメディアとなり得るのか。その可能性について改めて検討する必要があるだろう。
“Na”
PANCETTA
「劇」小劇場(東京都)
2022/03/10 (木) ~ 2022/03/13 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
シンプルな舞台美術と衣装を用い、観客の想像力を喚起することで劇世界を構築するミニマルなオムニバス作品群だった。
ネタバレBOX
コミカルなコント集であり愉快だったが、それ以上にならなかったのが残念である。「名」を巡るそれぞれのエピソードは小品ながら「よくできた」という印象だとしても、「名」とは何かという議論にまで到達しない。名付けるという行為に代表されるように、「名」が「パフォーマンス」と深い結びつきがあるだけに、もったいなかった。
純粋に音楽要員としてのみ登場していると思っていた演奏家たちもまた「パフォーマー」であるとし、その人たちのみのエピソードがあったことは、予想外の面白さがあった。また、大道具等がシンプルであるために照明の美しさが際立っていたように思う。俳優は技術の差がやや目についてしまった。
嵐になるまで待って
CfY
新宿村LIVE(東京都)
2022/06/15 (水) ~ 2022/06/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
2002年版を観劇したことがあり、キャラメルボックスのファン歴も長かった。再演でどうかなの思ったけど、すごくよかった。演出も音楽も違う。全く別物として観て、おもしろかった。舞台が広いので何回観ても楽しめそう。
嵐になるまで待って
CfY
新宿村LIVE(東京都)
2022/06/15 (水) ~ 2022/06/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
忘れっぽいのは素敵なことです・・・前回も見ているのに最後までハラハラドキドキ楽しめました。どこか変わったのかな?とわからないのは辛いところですが、前回と同じところに疑問が残りました(そこは覚えているんですね 笑)
実はその時に買った原作をやっと読み始めていて、初日までに読み終わらなかったのですが、読めばその疑問が解消されるのでしょうか?。役柄や年齢の設定が原作とは随分違いますが、私は「特徴のあるあまり女の子らしくない声」ということでユーリには伊藤沙莉さんを脳内キャスティングしてしまったのでした。
ネタバレBOX
高杉さんが死ななくて良かったわ!原作では死んでしまいますので、心配してました(笑)
すべてセリフのはずだった
劇団フルタ丸
駅前劇場(東京都)
2022/06/15 (水) ~ 2022/06/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
下北沢で父親捜しをしている噂の4人異母姉妹。
元々他人同然だったのに同じ目的の為、ひとつ屋根の下。
観進めて行くほどに彼女達ひとりひとり、枝葉が伸びていくように個性が見え始め、その伸びた枝葉がお互いこすり合って波紋を生み出していく感じがとても面白い。
その中にもう1人、波及効果抜群の男枝葉も参入するのだけれど、そこはネタバレ自粛。
そんな彼女達に目を付けたのが映像制作会社。
人物描写のみならず職場モノとしてもかなり面白い。
個人的にフジテレビの『ザ・ノンフィクション』というドキュメンタリー番組が好きで、こんな生々しい映像を一体どうやって…という好奇心が、まるで見てきたかの様な描写で満たされていきます(笑)
ドキュメンタリーってホントこんな感じもアリだろうなぁというリアルから、後半は彼等彼女等全員がもつれ合ってできていく特有の流れ、ちょっと怖いとも、滑稽とも取れる流れへと突き進んでいくのでした。
20周年、凄くスマートに成熟している印象の劇団フルタ丸さんですが、フルタ氏ご本人の挨拶文には、「どう考えても不格好な20年」と書かれていました。
であれば、不格好だからこそ滲み出てくる絶妙な旨味っていう事なのかと思えてきます。
コロナ禍(まだ終わってはいませんが)を乗り越えての20周年おめでとうございます。
Secret War-ひみつせん-
serial number(風琴工房改め)
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2022/06/09 (木) ~ 2022/06/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
見どころは何と言っても三浦透子の舞台主演。映画「ドライブマイカー」とは違う、舞台女優としてのこれからが期待できる舞台である。舞台での姿がいい。早口の棒読みセリフかと思っていると感情的な表現も、演技の出し入れもうまい。主役の演技設計がよく考えられていてとてもほとんど初めての舞台主演とは思えない。二役なのだが、どちらもよく整理されていて破綻するところがない。久しぶりの大型女優の本格デビュー前のナマの舞台を観ることができた。プロダクションがユマニテで俳優作りのうまいところだから楽しみも一層増す。とりあえずは映像だろうが、舞台の活躍も大きな可能性がある。
本は第二次大戦中の諜報戦で、この素材は若い作者でも、古川健も野木萌葱も書いているので、特に素材的に目新しいところはないが、軍の暗黒部に触れることなく奉職した若い女性タイピスト(三浦透子)(こういう設定もイギリス映画で見たような気がする)の戦争体験に絞っていてまとまりはいい。主人公の問題の焦点には入っていけない立場のもどかしさが、全体主義国家に生きる国民の感情とも重なって、戦争が身近になった時宜にふさわしい芝居ではあった。
ネタバレBOX
戦時中は理科に興味を持ちながら女性として排除されていた主人公が、戦後勉強し直して中学校の理科の先生になって、戦時中とはガラリ変わって、陽気で優しい先生になった、というエピソードが最後に、中国人になった元上司とその娘の会話で出てくるが、ここは泣かせた。
小刻みに戸惑う神様
SPIRAL MOON
「劇」小劇場(東京都)
2022/06/15 (水) ~ 2022/06/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
ここ最近続けて拝見してますが、今回も良くできたセットと脚本でとても楽しめました。心が暖かくなる内容で、役者の皆さんの丁寧な演技、とてもよかったです。応援してる中根さんもいつもながらの味のある演技を間近で拝見できて満足でした。
甘い手
万能グローブ ガラパゴスダイナモス
J:COM北九州芸術劇場 小劇場(福岡県)
2022/04/23 (土) ~ 2022/04/24 (日)公演終了
実演鑑賞
学園もののドタバタコメディーで、サービス満点の娯楽作でした。大勢の登場人物を細やかに書き分けて、活きのいいセリフで空気が弾ませ、笑えるネタやエピソードもたっぷりです。脚本・演出の川口大樹さんの技量にあらためて驚かされました。
いっときの嘘だから、フィクションだからと気を楽にして勇気を出して、ちょっと羽目をはずしたり、できないことに挑戦してみたり、いつもとは違う姿を見せたりできるのは、演劇のマジックです。誰もがその魔法を自分にかけることができる…そう受け取れました。
最初の場面で主人公(野村世界役:荒木宏志)が「僕の、理想の世界です」と言っているとおり、いかにも“つくりもの”らしいハッピーな世界が繰り広げられます。「昔ながらの高校生活あるある」「昔の少女漫画的ストーリー展開」なども狙ったものだと思いますが、男子生徒の学ラン、女子生徒のミニスカート、女性教師のスカート姿などの定型的な表象には、首をかしげざるを得ませんでした。ひとめで属性やキャラクターがわかる明快さを優先したのかもしれませんが、今、上演することで古い価値観を延命させてしまう可能性にも、敏感であって欲しいと思います。
“みんなのお母さん”的な立場の年配女性(駄菓子屋店主)が登場したり、描かれる恋愛が男女間のものだけだったりして、ジェンダー不平等や性的マイノリティー差別への問題意識が薄いことも気になりました。サッカー部男子による体育会系のホモソーシャルな人間関係についても、俳優の演技は達者でしたし、微笑ましく描かれてもいましたが、私は積極的には楽しめませんでした。女子生徒が男性教師に恋をするエピソードも、無批判に描いていいものではないのではないかと個人的には思います。グルーミングという加害の深刻さを知ったので、特に警戒してしまいます。
出演者のなかでは女性教師・館山絵リ咲を演じた横山祐香里さんに何度も目を奪われました。どういう設定で何が求められているのかを的確に把握し、必要十分な表現を全身で行った上で、さらに観客へのきめ細やかな応答もされていたように思います。キビキビとした素早い動きとバシっと決まる表情も魅力的で、次は何をしてくれるのかなと期待して見つめていました。
ロビーのグッズ販売が充実しており、私は上演台本を購入しました。当日パンフレットに顔写真付きの出演者紹介があってよかったです。誰がどの役を演じていたかが明確にわかるパンフレットが欲しいといつも思っています。
カーテンコールで「CoRich舞台芸術まつり!2022春」最終選考対象作品であることの紹介と、「こりっちにクチコミしてください」等のアナウンスあり。ありがとうございます!
CoRich舞台芸術!の公演情報では「上演時間: 約1時間30分(休憩なし)を予定」ですが、劇場では「上演時間は2時間」となっていました…私、パニック状態になってしまいまして(大汗)、劇場スタッフの方々にさまざまなご迷惑をおかけいたしました…申し訳ございませんでした。上演は最後まで観られたのですが、終演後のトークは聴けず…無念!泊篤志さん(飛ぶ劇場)にお会いしたかったです。
ネタバレBOX
駄菓子屋店主のおばちゃん・日ノ出マユに男子生徒・野村世界が自作の台本を見せる場面から始まります。これから上演されるのはその台本に書かれたお芝居だとも解釈できます。劇中で上演されるお芝居は劇中劇中劇になりますね。
装置は抽象美術で、敢えてと思われる張りぼて感は、変幻自在の劇中劇に相応しいもので、演劇の自由さを支えているように思いました。舞台奥のパネルには回転式の黒板がしつらえられており、素早く教室の教壇に変化します。壁に埋め込まれた四角い小さな扉がパカっと開いて、俳優が上半身を出してしゃべる演出が笑いを誘います。パッチワークの手作り感が魅力的な幕は、緞帳にもなる大きなサイズです。隙間から顔を出したり、舞台の出はけに使ったり、自動販売機や鳥居などを取り付けて場面転換したり、自由自在。吊り下げられた窓枠がスライドして出てくるのも楽しいですね。
13人の登場人物、そして登場はしないけれど頻繁に話題にのぼる2人の教師(古谷先生と松山先生)など、約15人のエピソードが丁寧に絡み合わさって、怒涛の文化祭当日へとなだれ込みます。男子生徒・野村世界が書いた人形劇が突然、女子生徒・早苗から松山先生への愛の告白劇場になったかと思うと、鉄面皮の女性教師・館山先生とサッカー部男子たちによる「マイメロディ」ダンスにステージを奪われ、一体どうどうなっちゃうのかとハラハラしていたら、古谷先生特製の幻のチャーハンをつくろうとした松山先生が、火力の強過ぎるコンロで火事を出してしまいます。ボヤのせいで文化祭は中止に…。ハチャメチャ具合も畳み掛けかたも見事だと思いました。
人形劇の台本がまだない段階で「文化祭まであと1週間」という設定は、さすがに時間が無さすぎな気がしてヤキモキしましたが、それも作劇の術中にはまったということかもしれません。
晴れときどき、わかば荘 あらあら
東京舞台製作株式会社
草月ホール(東京都)
2022/06/10 (金) ~ 2022/06/20 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
腐女子にはたまらないであろう、超マニアックなステージ。終演後の規制退場では、数分前までステージにたってた役者さんが出てきて、楽しいトークをまじえてのアナウンス。割と早く自分の順番が来てしまったので、後ろ髪をかなり引かれる思いをして会場をあとにしました。居座るわけにはいかないし…。
GIRLS TALK TO THE END-vol.3-
藤原たまえプロデュース
シアター711(東京都)
2022/06/01 (水) ~ 2022/06/05 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
この顧問の先生って一体・・・出て来ないけど女子生徒と今のメンバーとも・・・めっちゃ気になります♪
瀬沼さんのことを何も知らない
ライオン・パーマ
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2022/06/08 (水) ~ 2022/06/12 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
瀬沼さんが主役なのに・・・周りが濃すぎて・・・でも物語的にはずっと瀬沼さんが絡んでいて・・・不思議な感覚でした♪
途中で振りはあったけど・・・このオチで終わるのか~・・・♪