オロイカソング 公演情報 理性的な変人たち「オロイカソング」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    女の身体を持つ者たちによる、三世代の女たちの物語。私も女の身体を持ち女として生きる性だからなのか、私のパーソナリティなのか、女を描く物語や設定には、これまで親しんだ違和感のない手触りが多かったです。そういう意味では真新しさはなかった一方、丁寧に率直に真摯に、女が生きる世界を描こうという姿勢を感じました。

    ネタバレBOX

    年齢の違う三世代ですが、それぞれシングルマザーであったり性被害を受けたりと、女の生きづらさに遭遇しています。三世代を描くのであれば、世代間による違いはもっと感じられてもよいなとは思いました。あるいはどこかの世代にもっとフォーカスを当てて、観客の視点をもうすこし強く誘導しても良い気もしました(おもに現代の孫世代に焦点があたっていましたが、もっとそこを軸に過去を振り返る趣を強くするか、また個人的には二代目のお母さんを中心に据えても芯が立つと思いました)。

    劇中で異彩を放っていたのが、戦隊モノのシーンでした。近年の女児主人公の戦隊モノ……とくに『プリキュア』の新作などは既存の価値観にクエスチョンを出す展開が多いです。「私達はこれでいいのか?」「世界はこれでいいのか?」「もっとこういう世界がいいんじゃないのか?」と問いかける戦士になって戦う──けれどもそれはまだ残念ながらフィクションである──という現代の女児主人公の戦隊モノを彷彿とさせるシーンは、まさにこの世界の女性達が置かれている現状でもありました。また、現実と戦うために、フィクションの力を借りて生き延びることにはリアリティがあると思います(そもそも近年の『プリキュア』がベースじゃなかったらすみません)。

    空間の広さに対して俳優の演技が大き目なので、客席での居方を少し迷いました。慣れてくると受け入れられましたが、もう少し狭い空間における演技体でも良い気がします。俳優それぞれの演技がしっかりと太く、芯があるからこそよけいに空間に対して強く感じたのかもしれません。この作品をこれほどの狭さで上演するという、戯曲と空間はマッチしていると思いました。

    また、提供のコンドームや特別映像など制作面と上演が関連しており、作品の厚みをうむ相乗効果をもたらしていました。オンライン裏話とのセット券もふくめ、上演以外にも興味を持ち世界が広がっていく工夫が凝らされていました。

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    2022/06/16 05:58

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