公演情報
「オロイカソング」の観てきた!クチコミ一覧
実演鑑賞
満足度★★★
亡くなった姉の子を育てた祖母、シングルマザーとして奮闘する母、性暴力事件をきっかけに溝が生まれてしまった双子。女性だけの三世代の家庭を舞台に、性暴力が残し続ける傷、その深さにいかに向き合い、寄り添うかが描かれます。当事者の哀しみ痛みだけでなく、周囲の戸惑いや過ちも静かに見つめ、解きほぐしていく手つき、プロセスが印象的な作品でした。
とりわけ、音信不通となった姉・倫子(西岡未央)と、その心を追って旅することになる妹・結子(滝沢花野)の関係は、少女期の二人のアンサンブルの良さも手伝って、直接の被害者ではない(と思っている)人間が、どのように、性暴力や差別と向き合っていくかというヒントを示しているようにも思えました。
実演鑑賞
満足度★★★
女の身体を持つ者たちによる、三世代の女たちの物語。私も女の身体を持ち女として生きる性だからなのか、私のパーソナリティなのか、女を描く物語や設定には、これまで親しんだ違和感のない手触りが多かったです。そういう意味では真新しさはなかった一方、丁寧に率直に真摯に、女が生きる世界を描こうという姿勢を感じました。
実演鑑賞
上演時間は約1時間50分。終演後に「CoRich舞台芸術まつり!2022春」最終選考対象作品であることの紹介と、「こりっちにクチコミしてください」というアナウンスあり。ありがとうございます!
小さなカフェのような空間での、5人の女性俳優によるお芝居。フル稼働状態の俳優のアンサンブルを、ほぼかぶりつきで観られるのは小劇場の醍醐味です。しかも皆、演技が達者ときた!幸せ!
20代後半の女性・結子(滝沢花野)は10年前から音信不通になっている双子のかたわれ・倫子(西岡未央)を探して、ライター・カメラマンの女性ルーシー(万里紗)を訪ねます。双子と、その母・弥生(佐藤千夏)と、双子と弥生を育てた祖母・オト(梅村綾子)の生活を回想し、倫子が抱える秘密がやがて明らかになります。
双子を演じた滝沢花野さん、西岡未央さんは1人の女性の幼少期から思春期、そして成人後を演じ分けます。役の成長による変化のグラデーションがきめ細やかで、それぞれの時代の双子の気持ちを信じられました。
心の傷は怒りをともなって、倫子を突き動かしていきます。西岡さんは秘めたマグマを想像させる冷静さにリアリティーがあり、やがて暴発にいたる経緯に切実な痛みを感じさせてくれました。
お芝居全体については少々雑然とした印象があり、進行に危なっかしさを感じたところもあったので、欲を言えば、いつか同じメンバーで上演を重ねてもらえたらいいなと思いました。
終演後のロビーでは作中人物(倫子)が製作したとされる作品(動画)を販売していました(通常1000円のところロビーでは500円)。希望者へのコンドームの配布もありました。
映像鑑賞
満足度★★★★★
配信映像にて観劇しました。
ストーリーも様々な時間軸が交差する演出も面白くてあっという間の2時間でした。
少し触れにくいと感じてしまいがちな性について正面から向き合っている印象の作品で、同性だからこそ共感できるのかなという部分がたくさんありました。また女性という性の視点だけでなく、過去のキズという視点からも心に響くものがたくさんありました。
俳優さんたちどの方も素晴らしかったです。オールフィメールの舞台個人的に好きだなぁと改めて感じました。
実演鑑賞
満足度★★★★
当初予定の2020年から漂流の果てにようやく上演となった公演。先日の「彼女たちの断片」と同じく女性作家、演出家と女優のみによる舞台で、性暴力・被害、性の多様性を扱う舞台、ではあるが、三世代四人の家族と一人の他人の人間模様にとってその要素は「特殊」であるよりは、濃密な人間関係の中に立ち現れて来る要素=Xとして他に置換可能、つまり誰しもが持つ傷と重ねながら観る事が可能な、普遍性あるドラマになっている。人物たちの関係図と心の来歴が次第に現われて来る手触りは秀逸だった。
最後に「事件」という部分に収斂していく所、千秋楽という事もあってか罪責に苛む二人(母と祖母)が健気に生きる子たちを見ながら涙でボロボロだったが、個人的には役人物の「日常」を維持して踏み留まって欲しく思った。
性虐待事件は「性」の本質において通底しながらも形は多様で、実際に為された具体的行為、その状況、その感受のされ方(心理的な影響)にも違いがありそうである。この作品で扱われたものは小学生におフェラまでさせた事件とされ、被害者である双子の「姉」への影響は思春期以降の挑戦的な異性関係に表われ、一方姉を慮る妹には異性への頑なな態度として表れる。
話は失踪した姉を探しに姉と一時期交際した女性を妹が訪ねてくる場面に始まり、折々の出来事が回想される。観客の関心に沿って順次、過去に分け入っていく手順が優れ、一つの家族の歴史と現在に立ち会う事となる。
広く共感を持ち得る物語になった事がこの作品のレベルを一段押し上げていると感じた事が、ラストの「その場にいない」母と祖母の感情露出を抑制してほしく思った理由だが(出来事の「特殊性」を強調する要素は抑えたい)、少し醒めた見方すぎだろうか。
特典として送られた映像も観た。十数分のが2作で、まりの女史の筆が画面上で色を自在に塗りこめるのだが、最初スピーカの無いPCで視たため(背後でピアノが流れているらしい事はチラっと別媒体で覗いて判っていたが)、一つの絵画作品の完成に至るまでの試行錯誤に見え、凄く面白かった。が、音声を聞くと物語の朗読になっており、その物語に呼応して絵筆が動いたのだった。
最初の印象の方に関係する話だが・・、先日ある配信で障害を持つ人のアート製作の現場を撮った20年以上前のドキュメント映画を観た。アーティスト達が「やり直し」をせず一本線の道を行く如く作って(描いて)行くらしいのを見て、(障害者に限らずだろうが)「降って来るんだな」と感じた事と、その一つの作品完成までのプロセスがユニークで、完成形のイメージに向かうなら通るだろう道を必ずしも通らない紆余曲折の謎に眩惑した。完全に「自分には判らない」世界だが、しかし自分もその道を通ってみたい。創造=生み出す営為の中で。そこはどんな道行なのか、風景を見たいと思ったんである。毎回視覚的な快さを与えてる荒巻まりの作画にもある種の「謎」を感じていたので、私は大変興味深く見せていただいた次第。
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/03/25 (金) 19:00
家族と性の問題を扱っている、とても重たく痛みをともなう物語です。しかしながら、上演時間110分があっという間にすぎる、そんな作品がこの『オロイカソング』です。笑いのバランスがとにかくいいからかなと思います。「ひどい」と笑いが交互にやってくる、問題によっては笑っていいのか逡巡しつつも大笑いしてしまう、だからこそ、目を背けずに、目の前に起きている物語を凝視できたのだと思います。時間や場所がめまぐるしく変わりながら、ある家族を追いかけていくのですが、振り落とされずに進めるのは構成が巧みだからだと思います。構成役者の演技、演出ともに素晴らしく、骨太で、それでいて思いっきりポップで、本当に良い作品でした。
実演鑑賞
満足度★★★★★
観る前は、「性暴力」ということで身構えるところが多少あった。それは、私が男性で、おそらく今回の性暴力の加害者も男性で、自分が加害者側に身を置くことになるのではないか、「男性」というだけで批判にさらされるのではないかと思ったから。
しかし、身構える必要はなかった。確かに、「性暴力」は、この作品の一つの重要な柱であり、加害者は男性だが、「男性」そのものを批判の対象にするような作品ではなかった。
性暴力は「男性」にとっても卑劣で嫌悪すべきものであり、性暴力に関する社会の無知や無理解、偏見が被害者やその家族を苦しめていること、その根っこにある、いわゆる男性優位の社会や、「命」につながる大切なことであるにもかかわらず、真面目に「性」や性教育に取り組んでこなかった社会、女性であることがハンディキャップになるような社会の在り方について考えさせてくれる。本人が望まない限り、あったことをなかったことにする社会であってはいけないと感じる。
同時に、この作品は、「家族」ということが、重要な柱になっていた。育児放棄、結婚をしない生き方、母子家庭、やむを得ない事情も含めて、それらが、いきなり生きていく上での逆境になってしまう社会とは何なのかを問い掛けてくる。
個人に目を向けたとき、思わずハッとされられることがあった。家族の身に悪い事件が起きたとき、他の家族は「あたしが悪い」という。なぜ自分が悪かったと思うのか?自分が悪かったと思うことで、家族の不幸を自分も背負おうとするからなのか?
でも、そうすることは、悪い事件があった本人にとって、本当によいことなのか?事件と、家族と、キズと向き合うとは、どういうことなのか?大小の違いはあるかもしれないが、誰にでも抱えるキズはあるのではないかと思う。観ていて自分の中のキズが刺激されるのを感じた。
作品の中の家族一人一人が抱えるキズを通して、改めて「家族」を想うきっかけになる作品だった。
家族といえども、一人一人違う個人で、抱えるキズも違う。それでも家族として、分かり合おうとする、前を向こうとする、ただ受け止めようとする。何か、目の前がパッと開けたような、そんな気がした終演。前半から、ラスト、クライマックスへの盛り上がり方がすばらしい。芯の通った、凛として、すっくと立つ、美しさと強さを感じた舞台だった。
実演鑑賞
満足度★★★★★
重たいテーマをこれでもかと凝縮してきた作品。
大切なこと故に重たくなるなかに、明るさと強さがある。結構、笑っちゃう場面も多くて、思わず声を出して笑ってしまうこともありました。
明と暗がしっかりとあって、本当に飽きさせずに、そして辛くなり過ぎずに観れました。
楽しみだけど、少し観るのが怖かったが…チケットの3倍の交通費を払って、わざわざ観に行ってみて良かったです。
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/03/24 (木) 14:00
三世代の女性母娘4人+1人の40年?を通して描く、女性が生きていく上でのさまざまな困難についての物語。幅広い年齢を行き来しつつ、一家の中にあった「秘密」を巡り家族の関係や自己認識がどう変化していったかを丁寧に描く。女性の人生、特に「結婚」システムに属さ/せない女性のそれがいかに構造的無理ゲーか。「子ども」は更に食い物にされる凄惨な世界。
女性のみで演じられることで、「もちろん男性も大変だけれど」と念のためのお断りを入れる必要なしにこれらの女性に対する複合的差別状況に集中できたのはよかった。男性との関係を通さずに、こうして女性が自分を正面から見つめる機会を得られるのはやはり貴重。そして「子ども」が十分に護られぬ状況へ向けられた視線にははっとさせられた。日本で女性をやっていくってトラップ多すぎだな……と思ってる人にぜひ観てほしい力強い舞台。
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/03/24 (木) 14:00
座席自由席番
価格3,500円
芝居を面白く観る事ができました。またこのメンバーの芝居が有れば、観たいと思います。
実演鑑賞
満足度★★★★
女優さんが5人で性被害の話を演じると聞くと告発ものかと身構えてしまうが、それはむしろ細い横糸で太い縦糸は家族の物語であった(と感じた)。
誰しも家族や友人のことで気になるが聞けなかったこと、知ってはいたが知らんぷりをしたことの二つや三つはあるだろう。何かすれば良かった、何もしなくて良かった、どちらもあるだろう。また家族だろうが親友だろうが絶対に知られたくなかったこともあっただろう。知られなくて良かった、知ってもらえていれば楽になれた、どちらもあっただろう。観ている内に舞台上の出来事と同時にわが身のことを思い起こさせられた。あれで良かったのかと問うても答えが返ってくることはないのだが。
登場人物の結子は話題の中心ではないが全体の進行役とでもいうべき位置づけで、滝沢花野さんのしっかりとした発声、きりりとした立ち姿、安定した演技が全体の確かな芯となっていた。
実演鑑賞
満足度★★★★
今は家を出て行った双子の一人・倫子(西岡未央)。彼女が7歳の時に遭った事件。その事件のせいで、10歳の時の学校の性教育でははいてしまい、高校生になると心の傷を埋めるように、だれとでも寝るようになる。双子のもう一人の結子(滝沢花野)が、倫子の恋人(?)だった写真家のルーシー(万里沙)と語り合う32歳の現在と、過去を行ったり来たりしながら、性被害者の問題にじわじわとせまっていく。
若くてパワフルで美しい女優陣の魅力と熱量に圧倒された。狭い会場での熱演、衣装や小道具も段ボールから出したりしまったりの、手作り。幼少期の誕生会や、「サザエさん」の場面はのどかでホッとする。サザエさんを見ながら「カツオはタラちゃんのお兄さんなの?」「サザエさんちは普通じゃないね」「うちも普通じゃないね」と、この家族の事情が分かっていく。母(佐藤千夏)は未婚の母、祖母(梅村綾子)と血のつながりがない。
「引っ越しのバイトは、他人の日記をのぞくようで楽しい」など、ちょっとしたいいセリフもある。
「オロイカ」は天草方言でキズモノのことらしい。漁師のおかみさんたちが「この魚、もってけや。オロイカだ」と使う。芝居では方言もいかされてる。天草から大阪に出て大阪弁になった祖母が、東京で関西弁を直そうと、「ばあちゃんが大阪弁使ったら、10円あげる」と幼い双子にもちかけたり。1時間55分。