実演鑑賞
満足度★★★★
女優さんが5人で性被害の話を演じると聞くと告発ものかと身構えてしまうが、それはむしろ細い横糸で太い縦糸は家族の物語であった(と感じた)。
誰しも家族や友人のことで気になるが聞けなかったこと、知ってはいたが知らんぷりをしたことの二つや三つはあるだろう。何かすれば良かった、何もしなくて良かった、どちらもあるだろう。また家族だろうが親友だろうが絶対に知られたくなかったこともあっただろう。知られなくて良かった、知ってもらえていれば楽になれた、どちらもあっただろう。観ている内に舞台上の出来事と同時にわが身のことを思い起こさせられた。あれで良かったのかと問うても答えが返ってくることはないのだが。
登場人物の結子は話題の中心ではないが全体の進行役とでもいうべき位置づけで、滝沢花野さんのしっかりとした発声、きりりとした立ち姿、安定した演技が全体の確かな芯となっていた。