ニッキーの観てきた!クチコミ一覧

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飯縄おろし

飯縄おろし

世の中と演劇するオフィスプロジェクトM

タイニイアリス(東京都)

2009/11/06 (金) ~ 2009/11/11 (水)公演終了

満足度★★★★★

甘酸っぱい、あの頃の記憶
女子高生バージョンを観劇。
1970年代の、長野県の片田舎にある高校での一晩を描写。
高校生特有の、将来に対する不安と期待を地方伝承を絡め、見事に表現。
観劇中、観劇後、心がポッと暖かくなる舞台であった。
今年101本目の観劇作品となったが、年間のトップ10に入る秀作であった。

ネタバレBOX

卒業をまじかに控え、卒業式での出し物の練習をする3年生の女子高生たちであったが、季節はずれの大雪によって、校舎に閉じ込められてしまう。
女子高生の面子は、①東京出身で、成績優秀・スポーツ万能な生徒会長、②バスケで実業団への就職が決まっているヤンキー、③演劇部に属するも、舞台上で緊張のあまり台詞が一切出てこなくなってしまう演劇少女、④日ごろから差別的扱いを受ける部落出身者、器量。スタイルともに自身がなく、将来の幸せのためには、有名大学への進学しか目にないガリベン、⑥ヤンキーの金魚の糞として振舞う両思いの彼氏がいる少女の6人。
高校卒業・進学or就職を控えた多感な時期だけに、それぞれの少女には悩みがある。親のことを気遣いせっかく決まった大学推薦を取り下げる者、同級生に恋心をいだき、自分がレズビアンかも知れないと不安を募らせる者、被差別部落出身であることが重荷になる者等々。
作・演出の丸尾をこれらの者を等身大に描きつつ、あゆみを止めることなく、進めと、エールを送る。

黴と鉄道

黴と鉄道

地球割project

pit北/区域(東京都)

2009/10/29 (木) ~ 2009/11/08 (日)公演終了

満足度★★★★

なんとも独自の世界観
当劇団初見。
私の知るかぎり、ほかのどの劇団とも交わることのない独自の世界観を有する作風。

ネタバレBOX

生物兵器として計画中の「黴」(完成品ではないため、人を殺すほどの毒性はない)を積み込んだ列車が(故意か否かは別に)爆破され、「黴」がとある町に放出され、3日で町を飲み込むほどに成長する「黴」の栄枯盛衰を独自の視点で描く。
あるときは、「黴」の視点から。あるときは、「黴」を撲滅すべく、奮闘する科学者の視点から。あるときは、「黴」を撲滅することを使命とする「きのこ」の視点から。また、あるときは、爆破された鉄道の駅員の視点から。
舞台は、シンプルで、4本(ときに5本)のロープと4人の役者の体のみで表現されるが、見るものの想像力をかき立てる。
せりふは極めて詩的で、時に、くさくも聞こえるが、そのくささが心地よい。
百年後の蝶々

百年後の蝶々

桃色バカンス

TACCS1179(東京都)

2009/10/29 (木) ~ 2009/11/01 (日)公演終了

満足度★★★

違うスタイルでの演劇に期待
未知のウィルスに犯されたことをきっかけに生命維持装置を活用して100年後の世界によみがえった科学者と、その関係者、そして、特殊能力者の苦悩を描く未来SFサスペンスストーリー。
当劇団は初見であったが、作・演出を手がける増山は、「一番見たいもの」と「一番言いたいこと」を考え、作品をつくりあげるという。今回増山は、以前所属していた「神様プロデュース」という劇団のスタイルを踏襲したようである。
物語は100年前と今、数日前を頻繁に行き来しながら、本編の主題とは直接的な結びつきの弱いサイドストーリーを複数はさみつつ、進行される。
主題はつたわるものの、あまりにも頻繁に時空を越え、サイドストーリーが加わることで、やや焦点がぼけてしまったのが残念であった。
次回、違うスタイルでの劇団の公演に期待したい。


リフラブレイン

リフラブレイン

MCR

駅前劇場(東京都)

2009/10/29 (木) ~ 2009/11/03 (火)公演終了

満足度★★★★

繰り返される愛の渦
幼くして、両親に捨てられた姉と弟をめぐる愛の物語。

ネタバレBOX

舞台は、姉・高校生、弟・中学生の場面からはじまる。家での食事は、姉お手製のパンとミルクセーキもどきというどうしようもない貧困。そして、学校ではいじめ。先の見えない恐ろしさが二人を襲う。しかしながら、二人は一見そのことを気にしていないかのように気丈に振舞う。
時は流れ、姉・キャバクラ嬢、弟・引きこもりの場面となる。その後、弟の胃がん騒ぎ、姉の借金と借金返済に向けた弟の出稼ぎ、姉の恋愛と弟による姉の片思い相手への傷害、服役中の弟と姉の面会など、姉弟の関係を断片的に切り取る。
姉弟は、一見すると常識を欠き、時として常軌を逸した行動をとる。また、一見悪者であるかのように振舞う借金取りが実は愛情にあふれた振る舞いや、一方、常識的であるはずの他者は、他人への配慮・愛情を欠く。これらのやり取りを笑いを交えながら描くが、その笑いがあるからこそ、姉弟愛がより一層強調される。
リフラブレインとは、リフレイン+ラブの造語か?切りたくても切れない、決して離れることのできない、最大にして最後の砦である姉弟愛を惜しみなく描く。
また、前述の姉弟とその他の人々の関係を通じて、「果たして、あなたにはどちらがまともに見えますか」と観客に問う。

ブラジル客演としての桜井氏になじみはあったが、MCRの舞台は初見であった。
このような人間の機微を描く作品を今後も期待したい。


カカフカカBig2

カカフカカBig2

カカフカカ企画

アイピット目白(東京都)

2009/10/15 (木) ~ 2009/10/25 (日)公演終了

満足度★★★

面白いが、下ネタが
「大脱獄」を鑑賞。当劇団初見。
近未来の、女性が男性を支配する世界で繰り広げられるナンセンスコメディー。
笑いを誘うしかけがあちこちにちりばめられており、なかなか楽しい舞台であった。
ただ、全編、下ネタのオンパレードで、後半は飽きてしまった。
次回、あまり下ネタのない、コメディーに期待したい!

ka-e-lu

ka-e-lu

多少婦人

しもきた空間リバティ(東京都)

2009/10/02 (金) ~ 2009/10/04 (日)公演終了

満足度★★★★

新感覚の言葉遊び
「かえる」に関するショートストーリ2人、ミドルストーリー1本のオムニバス。

「帰郷のすすめ」は、2年ほど、音信不通だった娘が突然、帰宅(かえる)するところから物語が始まる。久々にかつて自分が使っていた部屋に戻ると、そこには別人の荷物が。その荷物は、娘が突然出て行った寂しさを紛らわせるために、両親が新しい家族として迎え入れた娘と同じ年のころの同居人(赤の他人)の荷物であった。事態を飲み込めずに両親への不振が募るものの、ストレートに思いをぶつけることができずにいる娘、また、十分な説明を行うことができずに娘との距離を測りかねる両親。こ両者をつなぐべ奮闘する妹、そして、KYな同居人。これらのメンバーが織り成すかみ合わない会話の妙。
笑わせたいのか、笑ってほしくないのか、微妙なラインを行き来する演出がとても面白かった。

「無節操にひっくり返る。ならばせめて美しく。」は、5人の一般ユーザーが集まったモニターアンケートで、繰り広げられる女と女の勝負。主催者の意図とはまるっきり別に、モニターアンケート常連の二人の女は、お互いが多数意見を取ろうと、主導権争いを行う。ここでの「かえる」は、オセロのように、意見が「ひっくりかえる」ことにちなんでいる。「帰郷のすすめ」ほどではないものの、会話の妙を感じることができる作品。

「ガネーシャ・トランスポート」は、医療ミスと臓器移植がテーマにした本公演のメイン。「かえる」とは、医療ミスによって、危篤に陥った患者が「生き返る」ことをあらわす。ルイスキャロルのタブレットにヒントを得、臓器移植の是非を巡る倫理観を絡めた、言葉遊びに満ち溢れた脚本は見事の一言。ヒンズー教の、障害を取り去り、財産・幸福をもたらすといわれるガネーシャ神を登場させ、重層的な入れ子状態で展開されるスト-リーは謎解きを含み観客を飽きさせない。

それぞれに、言葉の妙味を味わうことが出来るなかなかよい舞台であった。

異邦人~エトランジェ~

異邦人~エトランジェ~

シンクロナイズ・プロデュース

ザ・ポケット(東京都)

2009/09/16 (水) ~ 2009/09/20 (日)公演終了

満足度★★★★

「異邦人」はどっち?
「太陽が眩しかったから」という台詞で有名なアルベール・カミュの「異邦人」を比較的忠実に台本化した本作。
何事にも受身で、自分自身のことにさえ、あまり関心を持たないがゆえに、死刑台へと送られることになる主人公を丹念に描く。
自分に常に正直に、偽りを一切認めない、神を否定する主人公と、神を信奉し、道徳的な主人公以外の人々のどちらが、「異邦人」=「部外者」=「非常識人」なのかを見るものに問いかける。
道徳観が薄れるとともに、他者に対する関心が低い現在の日本においては、「異邦人」はもちろん主人公以外の人々であろう。
原作がどの時代にも通用する名作であることを再確認するとともに、そのことを理解させてくれた緻密な演出に感謝したい。

※欧米の作品を原典におく作品を読む、また、見るにつけ、毎回思うことであるが、一般に宗教観が薄い日本人の受け止めは欧米人のそれとは異なるのではないか。それをどう脚本家・演出家は考えているのだろうか。という疑問を今回も抱いた。

twelve

twelve

劇団6番シード

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2009/09/12 (土) ~ 2009/09/21 (月)公演終了

満足度★★★★

緻密な脚本に脱帽!
ある事故が原因で死亡した12人を描く重量級ミステリー。
トラック横転事故で死亡した12人の霊は、搬送先の病院の仮遺体安置所で、顔を合わせるが、11人の赤の他人に囲まれ、自身に何が起こったのか理解できずに、困惑する。
それぞれには、それぞれの鍵でしか開かない扉があり、その扉を開けることで、断片的に記憶がよみがえってくる。12人の記憶の断片がひとつになることで、事件の全体像が浮かびか上がってくるという仕掛け。
12人の霊は、自ら死を希望する者、ある者を助けようとして事故に巻き込まれた者など、関連する家族を含めて、見事に描き分けた作家の力量に感服した。出演者が多いにもかかわらず、誰一人として雑な描かれかたはされず、それぞれに、なぜ、今の状況におかれているのかを丁寧に描写されていた。
死期が迫った人物は、大きな事故現場に吸い寄せられるという話を聞いたことがあるが、今回の脚本はまさにそれを髣髴とさせ、それぞれの死に必然があるかのように、感じさせられた。
本劇団は初見であったが、コメディーに定評があるとのことであるが、引き続き本作のようなシリアスストーリーも取り扱ってほしい。
今後に大きな期待を持たせる劇団を発見できた喜びは大きい。

ハッピーエンドクラッシャー

ハッピーエンドクラッシャー

ゴジゲン

シアターブラッツ(東京都)

2009/09/09 (水) ~ 2009/09/15 (火)公演終了

満足度★★★★

古典的テーマだが、妙なリアル感
センター試験でのカンニングがもとで、友人を自殺に追い込んでしまった5人の若者と、遺族の心の葛藤を描いた作品。
新盆に、死んだ友の兄から呼び出しを受けた5人の友人。かれらは、友の自殺をきっかけに、それまでの幸せが一転、それぞれに、心の重石を背負って生きている。ある者は、友人の自殺のショックで、若年性健忘症をわずらい、ある者は受験勉強が手につかず、成績は下降の一途をたどる。また、ある者は、週に1回線香を上げることを遺族から半ば強制され、精神的に追い込まれている。その現況を作り出してきた遺族の兄もまた、本性を隠すことでつらい思いをしている一人だった。
しかしかれらは一様に、努めて明るく振舞う。自分が不幸であることを隠すかのように。しかし次第に明らかになる各人の異変。
ラスト、みなが、心のうちをさらけ出し、これからの前進を期待させる場面で終演を迎える。
テーマは古典的であるが、あてがきされた個々の役を役者がそれぞれ見事に演じており、物語全体のリアリティを高めていた。
特に秀島役の、東迎昴史郎は出色であった。
この劇団は初見で、コメディーに定評があるとのことであったが、今回のように、心のうち深くを扱う作品も引き続き、描いてほしい。

【終幕】暗ポップ 【劇団員募集中】

【終幕】暗ポップ 【劇団員募集中】

空間ゼリー

赤坂RED/THEATER(東京都)

2009/08/26 (水) ~ 2009/08/30 (日)公演終了

満足度★★★★

「普通」なのは誰?
入院施設のある心療内科専門病院に、あたらしく併設されたショートステイの診療セラピー参加者と、医師・看護師などの医療従事者の7日間を描いた作品。
アップフロントエージェンシーのいわゆるアイドルたちが出演しているということで、気軽に見れる舞台と思いきや、いい意味で裏切られた。。。

ネタバレBOX

合宿に参加したのは、それぞれ、心に傷持つ人ばかり。①「足が太い」と友人に言われたことがきっかけで拒食症になった女子高生、②自分は常に正しいと思い、相手の価値観を受容することができない幼稚園教諭、③締め切りに間に合わず、原稿を落としてしまったことで、職場から逃げ出したフリーライター、④極度の人見知りで対人恐怖症の女子大生、⑤裕福な家庭に育ち、引きこもりとなったオタク、⑥ちょっとしたことですぐにキレ、同居する女性にもDVをはたらく「ひも」、⑦働きすぎが原因で電車に乗ることができなる適応障害のサラリーマン。そんな彼らではあるが、7日間の合宿を通して、参加者どおし、医療従事者、または入院患者との交流を通じて、自分と向き合い、相手との距離感の保ち方などを徐々につかみ、多くのメンバーは一定の成果を上げる。

一方で、かれらの支えるはずの医療従事者は医療従事者なりの課題を抱えていた。
物事をすべて白か黒かで判断しようとする心療内科医、一生懸命なばっかりにがんばりすぎて、精神安定剤が手放せない心療内科医、患者のことを思い、自分こそが患者の一番の理解者であると自認しながらも、ある事件が起こった際には、患者を信用することができなかった心療内科医など。

舞台の進行によって、「普通」でないはずのセラピー参加者は、実は「普通」で、「普通」であるはずの医療従事者が、実は「普通でない」様が明らかになってくる仕掛けはなかなか見ごたえがあった。
その典型は、セラピー参加者でありながら、自分は他の参加者とは違い、「普通」の人間であると自覚し、1日早くセラピーを切り上げ、社会復帰を果たしたはずのサラリーマン(前述の⑦)と思われる人物が、電車への飛び込み自殺を図ったことが暗示されるラストに象徴されている。

セラピーで交わされる参加者、医療従事者たちの会話・コミュニケーションの危うさを通して、万人が精神的に病んでいてもおかしくないこの時代に、仲間と普通にコミュニケーションがとれることが奇跡ではないか、と思わせられるような、そんなラストがわりと心地よかった。

昏睡

昏睡

青年団若手自主企画 山内・兵藤企画

アトリエ春風舎(東京都)

2009/08/17 (月) ~ 2009/08/26 (水)公演終了

満足度★★★★

神がかった脚本と、役者の熱演。。。
7組の男と女の出会いと別れ(そして再会を約束された遠い未来を暗示)を描く作品。
物語はそれぞれ独立しており、相互の連関は内容に思われた。
7つの物語は、観念的なものから、具象化されたものまで、ジツに幅広く、私は宗教性を強く感じさせられた。
まるで、何者か(神か?)があらゆる人間の好みにあうよう、7つの趣向の異なる物語を、作者の筆を通じて、書かせたかのよう。
見終わった直後は、あまりに重く(戦場の場、遺骨の場など)、あまりにばかばかしく(男女の営みの場)、ドット疲れてしまったが、場面を思い返すごとに、じわじわと、作品の深さを再認識できるようになった。

また、役者は、あれだけの力をこめて、演じていては相当に疲れるだろうと思われるほどの熱演を見せるが、時に過剰すぎて、観客が疲れてしまうほど。特に、第一番「戦場」での、「どもり」は見ていてつらかった。

観劇から1日近く経過したが、なかなか作品のすべてを理解できては居ないように思う。
たいへん評価の分かれる作品であろう。

反重力エンピツ

反重力エンピツ

国道五十八号戦線

サンモールスタジオ(東京都)

2009/08/19 (水) ~ 2009/08/23 (日)公演終了

満足度★★★★

今の時代の学生運動
「反重力」とは物質に加わる重力を無効にしたり、調節する技術。現実の物理学では理論的に不可能であり、架空の技術とされる。
そんな反重力をテーマに描かれた学生運動活動家たちの物語。

ネタバレBOX

爆弾テロを計画するノンセクトラジカルのグループ。
「ノンセクトラジカル」とはノンセクト・ラジカルとは、全共闘時代以降に成立した新左翼系の活動家やグループの総称。「ノンセクト」は「(既存の)セクト(党派)に属していない、無党派」の意。「ラジカル」は「急進的」の意。
本質的には、国家権力はもちろん日本共産党や新左翼党派をも含めた既存の権力に反発する者の集まりである。もとよりノンセクトには明確な理論や強固な組織があるわけではなく、中にはお祭り騒ぎ的に参加した者さえも存在した。
ノンセクトの運動は全共闘運動以降、縮小の一途を辿っているといわれているが、既存党派のように組織に縛られることがないため、その時代の世相にいち早く対応して行動する機動性に富んでいるといわれる。

昔は最大で70名居たメンバーも現在は約十分の一になってしまったグループ。今の時代に、一般的、時代遅れといわれるそんなグループには、一癖も二癖もある人物たちが集まる。
グループの中では、昔からの風習である、予定調和的な会議の進行が行われたり、内ゲバよろしく、主導権争いが行われ、時代にミスマッチな存在であることを浮き彫りにしていく。
グループのコアメンバーは、どうやら、組織壊滅を目的としたスパイが入り込んでいるとにらみ、それらのスパイたちをあぶりだすための作戦を仕掛ける。
実は、今回の爆弾テロは2回目に、1年前に計画した1回目のテロは失敗に終わり、コアメンバーの一人が非業に死を遂げていたのだが、それはダミーで、スパイたちをあぶりだすための作戦でしかなかった。
つまり、コアメンバーは、もともと爆弾テロなど起こす気が毛頭なく、組織維持のために、スパイをあぶりだすためだけに、形だけのテロを計画していたのだ。
その作戦によって、見事に、右翼系のスパイがあぶりだされ、それに釣られて、左翼系のスパイもあぶりだされる。
これによって、掃討作戦は終了したかに見えるが、常に一人で行動し、グループになじめずにいた、本来は活動とは無縁に見えるメンバーが、少しでも、グループに貢献したいと、独自に本物の爆弾を作成し、テロを実行に移してしまうという、どんでん返しで、物語は幕切れを迎える。。。

この物語では、スパイとスパイされる者は相当の労力を費やしているにもかかわらず、なんら生産性を持たない。
相手を無力化すること=反重力であるの一点に力を注いでいる様がものがしかった。

ストーリー進行は力強く、見るものをひきつけるため、芝居に入り込むことはできるが、学生運動の描き方が一面的で、リアリティに書ける点が残念であった。

レストラン ル・デコ

レストラン ル・デコ

角角ストロガのフ×elePHANTMoon×犬と串

ギャラリーLE DECO(東京都)

2009/08/18 (火) ~ 2009/08/23 (日)公演終了

満足度★★★

3劇団顔見世興行
3劇団による30分三本勝負の顔見世興行という趣向。
今までのこれらの3劇団を見たことのない人には、一度で、その劇団の特徴を理解できるので、お得なのでは!?

ネタバレBOX

個人的には、角角ストロガのフが出色。
あらゆる動物の「皮」を食べることが辞められなくなる人々のはなし。最初は病気が治り、健康になるといわれた「皮」であるが、そのジツは、常習性賀強く、凶暴性を増し、さらには奇病を発症という始末。
タイトルの「食皮族」ではなく、「食皮俗」となっており、”食皮”が”俗”であることを暗示している。
ブラックコメディーとして、十分楽しみことができた。

犬と串は、人型をした「大根」を擬人化するというナンセンスコメディー。残念ながら、面白みを理解することができなかった。

elePHANTMoonは、最愛の息子を事故で失った女が精神を病み、今でも、息子が生きていると信じ、ミルク缶を息子として抱き続けるシリアスな物語。ストーリーはリアリティを感じさせるものの、どこかで見聞きしたような感じがして、イマイチ、入り込むことができなかった。


雨の一瞬前(再演)

雨の一瞬前(再演)

ユニークポイント

ザ・スズナリ(東京都)

2009/08/14 (金) ~ 2009/08/16 (日)公演終了

満足度★★★★

雨とは焼夷弾
タイトルの「雨の一瞬前」の「雨」とは、東京大空襲で無数に振り注ぐ焼夷弾のこと。
ストーリー、演出ともに、きわめてオーソドックスであったが、終戦記念日にふさわしい作品であった。

ネタバレBOX

朝鮮人収容所で、集団脱走を引き起こし、さらには、監視を殺害した朝鮮人と、日本人と朝鮮人のハーフで、通訳を勤める朝鮮人(?)の二人組が、本郷にある休業中に旅館に転がり込んだところから、東京大空襲までの数日を描いた作品。
テーマは戦争と、朝鮮人差別。それぞれのテーマについて、左右どちらかに偏ることなく、中立的に事実として描いている姿勢に好感を持った。

最初は驚きつつも、次第に、朝鮮人2人を受け入れる旅館を営む2人姉妹。姉から朝鮮人の存在を明らかにしないよう懇願され、いったんは了承しながらも、友人である前に、日本国民であることが優先されるべきと主張し、朝鮮人の存在を掲載に密告する出征者を夫に持つ女教師。軍人でありながらも、医師rとして、朝鮮人の治療に当たる軍医。そして、朝鮮人収容所で散々いたぶられたことが原因で日本人を強烈にうらみを持ちながらも、姉妹の暖かさに触れ、徐々に恨みが和らぐ朝鮮人。朝鮮人と日本人のハーフであることから、アイデンティティを確立できずにいる朝鮮人(?)
それぞれの苦悩をうまく描いた作品であると思う。
惜しむらくはもう少し、ひねりがほしかった気はするが、オーソドックスであるからこそ、伝えられるものもあるのではと気を取り直なおした。
刺青/シセイ【ご来場ありがとうございました!!】

刺青/シセイ【ご来場ありがとうございました!!】

劇団印象派

タイニイアリス(東京都)

2009/08/14 (金) ~ 2009/08/16 (日)公演終了

満足度★★★★

谷崎の世界感を表現
谷崎潤一郎の「刺青」をモチーフにしながらも、新しい作品を表現。

ネタバレBOX

芸術家Sが突如、失踪。
失踪したSを探して、内縁の妻と、Sが金蔓としていた女、の二人が、それぞれ探偵を雇ってSを探す。
その過程で徐々に明らかになるSの遍歴と、そのSから逃れることのできない二人の女の物語。
Sが内縁の妻と出会ってから次々と姿を消していく、Sの昔の女たち。
果たして、昔の女たちの行方は?そして、Sの行方は。。。というストーリー。

谷崎のその後の作品性を決定続けたといわれる処女作「刺青」の倒錯した偏愛の世界観を残しつつ、まったく新しい作品に仕上げられた舞台はすばらしい。アングラの名にふさわしい印象的な舞台であった。

今回は、ダンスとのコラボがテーマであったとにおことであるが、ダンスは作品の進行との関連性がうかがえる部分もあった一方で、関連性が薄い部分もあり、課題を残していたように思う。
リチャード・イーター

リチャード・イーター

劇団銀石

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2009/08/12 (水) ~ 2009/08/16 (日)公演終了

満足度★★★

せむしの行進は印象的
ある歴史作家の妄想の中で、進行する「リチャードⅢ世」の物語。
チラシ等をみて、「リチャードⅢ世」を題材に、全く新しい作品を出現させるのと思っていたが、ストーリー自体は、設定を現在に置き換えているものの、原作「リチャードⅢ世」にきわめて忠実であった。

ネタバレBOX

リチャードを、表(善人)と裏(悪人)に分けて、2人が一役を演ずるといった演出など、新味は感じられた。
キャラクターは誰もが、どこかに不具を抱え、正常な人間は誰も居ないことを示そうとしているかのようである。
せむしたちが舞台上を所狭しと行進する様はそのことを端的にあらわしていたのではないだろうか。
今度は、原作を持たない作品を見てみたいと思った。
グッバイ・マイ・ダーリン

グッバイ・マイ・ダーリン

世田谷シルク

小劇場 楽園(東京都)

2009/08/06 (木) ~ 2009/08/09 (日)公演終了

満足度★★★

実験的な舞台
とある「おっぱいパブ」と、その「おっパブ」の階上に居を構える4人家族を描く。題材を寺山作品においているというだけあって、実験的な試みがなされている。寺山作品と異なり、リアルな部分が多いものの、象徴的なダンスが繰り返され、見るものの嗅覚を刺激し続ける。前衛をめざしているであろう、作品なのだから、何を伝えたいのかを理解する必要はなかろうが、70年代の前衛と比べ、リアルな部分が多い分、メッセージを解読しようとしたが、うまく理解できなかった。もう少し、どちらかを鮮明にすると、より観客に伝わる部分が多かったのではないか。相当に好みの分かれる作品のように思う。

暗黒地帯

暗黒地帯

鵺的(ぬえてき)

「劇」小劇場(東京都)

2009/08/05 (水) ~ 2009/08/09 (日)公演終了

満足度★★★★

心地悪すぎるが、しかし
とあるマンションの配水管の施工不良を端緒に、抉り出される人間の本心を、見事に、かつ、丁寧に描き分けた秀作といえよう。在日、部落、麻薬、うつ病、等々現代日本の暗部をこれでもかというほど、ぐいぐい観客に押し付けてくる。見ていてこれほど気分の悪い作品も多くはない。しかし、心地悪いにはそれなりの理由が存在する。今の日本のリアルを上手に描いているからであろう。それに加えて、キャストの一人ひとりが、まさに熱演。特に、在日2世を演じた荒井靖雄は出色。作・演出の高木登の今後に期待したい。

花とアスファルト

花とアスファルト

青☆組

アトリエ春風舎(東京都)

2009/08/01 (土) ~ 2009/08/09 (日)公演終了

満足度★★★★★

異質者との距離感
或る団地に、本物の「クマ」が引っ越してくることからはじまる物語。
どうやら、世の中には、一定程度、本物の「クマ」が、言葉をしゃべり、人間と一緒に暮らしているようだ。

ネタバレBOX

田舎にあると思われる団地では「クマ」を見るのは初めてという人がほとんどだが、ニューヨークにはたくさんいるらしい。ニューヨーク帰りの娘は、「クマ」とルームシェアをしていたという。

一見寓話の形を取っているが、この物語は、突然、入り込んできた異質者とのどのように接するか、それを観客一人ひとりに問いかけていたように思う。
異質者とは、現在の日本でいえば、「外国人」と置き換えればわかりやすい。
「外国人」を何の違和感もなく受け入れることができる者、外見だけで、危険と決め付け本質を知らずに拒否する者、同じような境遇にあることで親近感を覚える者。あなたはどうですかと聞かれている気がした。
「クマ」が発する、”一見知らんぷりしながら、影でじろじろ見られるより、興味本位でもじろじろ見られるほうがいい”ということは、彼ら異質者の本音ではなかろうか。

舞台は役者の台詞回しも美しく、ところどころ、笑いを誘うようなせりふもあり、全体としてほのぼのとした雰囲気をかもし出していたが、私のは今の日本を風刺するシニカルなストーリーのように感じられた。

たいへん楽しめる舞台であった。
ねずみの夜 【公演終了・御来場御礼】

ねずみの夜 【公演終了・御来場御礼】

殿様ランチ

サンモールスタジオ(東京都)

2009/07/29 (水) ~ 2009/08/04 (火)公演終了

満足度★★★

気楽に見るにはいいかも
舞台は幕末。坂本竜馬が殺されたまさにその日。
竜馬が殺された近江屋の隣にある長屋風の建物で起こる数時間の出来事を切り取ったシチュエーションコメディ。
勘違い・早とちりが生み出すおかしみを素材に、タイトルの「ねずみ」に引っ掛けて、「ねずみ小僧」と、「ねずみ講」を、いくつかの伏線を交えながら、最後にはひとつにつなげるという設定はうまく、コメディとしての完成度はそれなりに高い。
しかし、何か最後にはメッセージがあるのでは期待したのだが、最後の最後までなんらメッセージ性のある言葉は語られず。。。
気軽にあまり考えずに、面白さのみを追求し、演劇を見る人に面白いのかも。

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