反重力エンピツ 公演情報 国道五十八号戦線「反重力エンピツ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    今の時代の学生運動
    「反重力」とは物質に加わる重力を無効にしたり、調節する技術。現実の物理学では理論的に不可能であり、架空の技術とされる。
    そんな反重力をテーマに描かれた学生運動活動家たちの物語。

    ネタバレBOX

    爆弾テロを計画するノンセクトラジカルのグループ。
    「ノンセクトラジカル」とはノンセクト・ラジカルとは、全共闘時代以降に成立した新左翼系の活動家やグループの総称。「ノンセクト」は「(既存の)セクト(党派)に属していない、無党派」の意。「ラジカル」は「急進的」の意。
    本質的には、国家権力はもちろん日本共産党や新左翼党派をも含めた既存の権力に反発する者の集まりである。もとよりノンセクトには明確な理論や強固な組織があるわけではなく、中にはお祭り騒ぎ的に参加した者さえも存在した。
    ノンセクトの運動は全共闘運動以降、縮小の一途を辿っているといわれているが、既存党派のように組織に縛られることがないため、その時代の世相にいち早く対応して行動する機動性に富んでいるといわれる。

    昔は最大で70名居たメンバーも現在は約十分の一になってしまったグループ。今の時代に、一般的、時代遅れといわれるそんなグループには、一癖も二癖もある人物たちが集まる。
    グループの中では、昔からの風習である、予定調和的な会議の進行が行われたり、内ゲバよろしく、主導権争いが行われ、時代にミスマッチな存在であることを浮き彫りにしていく。
    グループのコアメンバーは、どうやら、組織壊滅を目的としたスパイが入り込んでいるとにらみ、それらのスパイたちをあぶりだすための作戦を仕掛ける。
    実は、今回の爆弾テロは2回目に、1年前に計画した1回目のテロは失敗に終わり、コアメンバーの一人が非業に死を遂げていたのだが、それはダミーで、スパイたちをあぶりだすための作戦でしかなかった。
    つまり、コアメンバーは、もともと爆弾テロなど起こす気が毛頭なく、組織維持のために、スパイをあぶりだすためだけに、形だけのテロを計画していたのだ。
    その作戦によって、見事に、右翼系のスパイがあぶりだされ、それに釣られて、左翼系のスパイもあぶりだされる。
    これによって、掃討作戦は終了したかに見えるが、常に一人で行動し、グループになじめずにいた、本来は活動とは無縁に見えるメンバーが、少しでも、グループに貢献したいと、独自に本物の爆弾を作成し、テロを実行に移してしまうという、どんでん返しで、物語は幕切れを迎える。。。

    この物語では、スパイとスパイされる者は相当の労力を費やしているにもかかわらず、なんら生産性を持たない。
    相手を無力化すること=反重力であるの一点に力を注いでいる様がものがしかった。

    ストーリー進行は力強く、見るものをひきつけるため、芝居に入り込むことはできるが、学生運動の描き方が一面的で、リアリティに書ける点が残念であった。

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    2009/08/22 10:15

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