満足度★★★★
古典的テーマだが、妙なリアル感
センター試験でのカンニングがもとで、友人を自殺に追い込んでしまった5人の若者と、遺族の心の葛藤を描いた作品。
新盆に、死んだ友の兄から呼び出しを受けた5人の友人。かれらは、友の自殺をきっかけに、それまでの幸せが一転、それぞれに、心の重石を背負って生きている。ある者は、友人の自殺のショックで、若年性健忘症をわずらい、ある者は受験勉強が手につかず、成績は下降の一途をたどる。また、ある者は、週に1回線香を上げることを遺族から半ば強制され、精神的に追い込まれている。その現況を作り出してきた遺族の兄もまた、本性を隠すことでつらい思いをしている一人だった。
しかしかれらは一様に、努めて明るく振舞う。自分が不幸であることを隠すかのように。しかし次第に明らかになる各人の異変。
ラスト、みなが、心のうちをさらけ出し、これからの前進を期待させる場面で終演を迎える。
テーマは古典的であるが、あてがきされた個々の役を役者がそれぞれ見事に演じており、物語全体のリアリティを高めていた。
特に秀島役の、東迎昴史郎は出色であった。
この劇団は初見で、コメディーに定評があるとのことであったが、今回のように、心のうち深くを扱う作品も引き続き、描いてほしい。